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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136650
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01R13/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047823
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】的場 悠希
(72)【発明者】
【氏名】大森 康雄
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE01
5E087EE11
5E087FF02
5E087FF03
5E087HH01
5E087MM02
5E087RR22
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】効率良く異物を除去できる技術を提供する。
【解決手段】コネクタ10は、筒状のフード部20と、フード部20に装着される端子60と、を備える。フード部20は、奥壁21と、奥壁21から前方に突出する周壁22と、を有している。端子60は、奥壁21の前面から突出し、周壁22によって外周を包囲される接続部61Aを有している。接続部61Aは、高さ方向の上面と下面に、相手端子90に接触する接点部61Bを有している。奥壁21は、奥壁21の内部を幅方向に延びる通し孔23を有している。通し孔23は、一端に、奥壁21の側面に開口する側面開口23Bを有し、他端に、奥壁21の前面で接点部61Bを臨める位置に開口する流出口23Gを有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のフード部と、前記フード部に装着される端子と、を備え、
前記フード部は、奥壁と、前記奥壁から前方に突出する周壁と、を有し、
前記端子は、前記奥壁の前面から突出し、前記周壁によって外周を包囲される接続部を有し、
前記接続部は、高さ方向の上面と下面に、相手端子に接触する接点部を有し、
前記奥壁は、前記奥壁の内部を幅方向に延びる通し孔を有し、
前記通し孔は、一端に、前記奥壁の側面に開口する側面開口を有し、他端に、前記前面で前記接点部を臨める位置に開口する流出口を有している、コネクタ。
【請求項2】
前記端子は、前記フード部に複数装着され、
複数の前記端子の前記接続部は、前記前面に前記幅方向に複数列配置され、
前記側面開口は、前記幅方向の両側の各々の前記側面に開口し、
前記流出口は、前記幅方向に複数列配置された前記接続部の各々と対応するように前記前面に前記幅方向に複数列開口している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
複数の前記端子の前記接続部は、前記前面に前記高さ方向に複数段配置され、
前記側面開口は、前記幅方向の各々の前記側面に、複数段の前記接続部の各々と対応するように前記高さ方向に複数段開口している、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記側面開口は、各々の前記側面に各段に一つずつ開口している、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記通し孔は、前記奥壁の内部において、前記幅方向の端側よりも前記幅方向の中央側で前後方向の孔幅が狭くなっている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記流出口は、前記前面において、前記幅方向の中央側のものほど開口径が大きくなっている、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記側面開口は、前記側面に四角形に開口している、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2に開示されたコネクタは、ハウジングの一部である筒状のフード部と、フード部の内側に突出する接続部を有する端子と、を備えている。フード部の内側には、相手コネクタが嵌合される。特許文献3は、端子から異物を除去する技術を開示している。
【0003】
この種のコネクタは、メンテナンスおよび回路変更等の状況の変更に応じ、相手コネクタとの挿抜を繰り返すことがある。ここで、端子の接続部に塵埃等の異物が付着していると、挿抜の度に、端子と相手端子との摩耗が進行するため、好ましくない。このため、例えば、コネクタから相手コネクタを抜き取った後、新たに相手コネクタとの嵌合を開始するまでの間に、端子の接続部に付着した異物をエアで除去する作業、つまりエアブローによる洗浄作業を行うことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-99274号公報
【特許文献2】特開2013-16388号公報
【特許文献3】特開2005-228554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、エアブローによる洗浄作業を行う際に、フード部の開口側から奥壁に向けて単にエアを吹き付けるだけでは、エアが奥壁で無秩序に反射して乱流を生じ易く、異物をフード部の外側に効率良く排出させることができないという問題がある。
【0006】
これに対し、例えば、特許文献3に開示された異物除去技術では、フード部の壁内に、横管、縦管および枝管等からなる複雑に迂回した分岐管路を構築する必要があり、フード部を成形する金型構造が複雑化し、コストの上昇を招く懸念がある。
【0007】
そこで、本開示は、効率良く異物を除去できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のコネクタは、筒状のフード部と、前記フード部に装着される端子と、を備え、前記フード部は、奥壁と、前記奥壁から前方に突出する周壁と、を有し、前記端子は、前記奥壁の前面から突出し、前記周壁によって外周を包囲される接続部を有し、前記接続部は、高さ方向の上面と下面に、相手端子に接触する接点部を有し、前記奥壁は、前記奥壁の内部を幅方向に延びる通し孔を有し、前記通し孔は、一端に、前記奥壁の側面に開口する側面開口を有し、他端に、前記前面で前記接点部を臨める位置に開口する流出口を有している、コネクタである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、効率良く異物を除去できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係るコネクタの斜視図である。
図2図2は、図1に示すコネクタの正面図である。
図3図3は、図2のA-A線断面において、一つの端子に相手端子が接続した状態を示す断面図である。
図4図4は、図2のB-B線断面図である。
図5図5は、実施形態2に係るコネクタの斜視図である。
図6図6は、図5に示すコネクタの側断面図である。
図7図7は、図5に示すコネクタの平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)筒状のフード部と、前記フード部に装着される端子と、を備え、前記フード部は、奥壁と、前記奥壁から前方に突出する周壁と、を有し、前記端子は、前記奥壁の前面から突出し、前記周壁によって外周を包囲される接続部を有し、前記接続部は、高さ方向の上面と下面に、相手端子に接触する接点部を有し、前記奥壁は、前記奥壁の内部を幅方向に延びる通し孔を有し、前記通し孔は、一端に、前記奥壁の側面に開口する側面開口を有し、他端に、前記前面で前記接点部を臨める位置に開口する流出口を有している。
上記構成は、側面開口から通し孔にエアを供給することにより、流出口からエアが流出し、エアを端子の接点部に吹き付けることができる。その結果、端子の接点部に付着した異物を効率良く除去することができる。特に、上記構成は、通し孔が奥壁の内部で高さ方向に延びる部分を必要とせず、通し孔を成形する金型構造が複雑になるのを回避できるので、製造コストを抑えることができる。
【0012】
(2)上記(1)に記載のコネクタにおいて、前記端子は、前記フード部に複数装着され、複数の前記端子の前記接続部は、前記前面に前記幅方向に複数列配置され、前記側面開口は、前記幅方向の両側の各々の前記側面に開口し、前記流出口は、前記幅方向に複数列配置された前記接続部の各々と対応するように前記前面に前記幅方向に複数列開口していることが好ましい。
上記構成は、各流出口からエアが流出することにより、各列の端子の接点部に付着された異物をいずれも効率良く除去することができる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)に記載のコネクタにおいて、複数の前記端子の前記接続部は、前記前面に前記高さ方向に複数段配置され、前記側面開口は、前記幅方向の各々の前記側面に、複数段の前記接続部の各々と対応するように前記高さ方向に複数段開口していることが好ましい。
上記構成は、各々の側面に開口する側面開口から流出口にかけてエアを流すことができるので、通し孔を流れるエアの流路長を短くでき、各端子の接点部にエアを流速を落とさず吹き付けることができる。
【0014】
(4)上記(3)に記載のコネクタにおいて、前記側面開口は、各々の前記側面に各段に一つずつ開口していることが好ましい。
上記構成は、一つの側面を有する一つの通し孔を、各列の端子で共有することができ、通し孔の構造が複雑になるのをより回避できる。
【0015】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載のコネクタにおいて、前記通し孔は、前記奥壁の内部において、前記幅方向の端側よりも前記幅方向の中央側で前後方向の孔幅が狭くなっていることが好ましい。
上記構成は、通し孔を流れるエアのスムーズな流れを実現できる。
【0016】
(6)上記(5)に記載のコネクタにおいて、前記流出口は、前記前面において、前記幅方向の中央側のものほど開口径が大きくなっていることが好ましい。
上記構成は、各流出口から流出するエアを適度な流速に調整することができる。
【0017】
(7)上記(1)から(6)のいずれかに記載のコネクタにおいて、前記側面開口は、前記側面に四角形に開口していることが好ましい。
上記構成は、奥壁の側面に四角形に開口する側面開口を、通し孔を成形する金型の引き抜き口として利用することができるので、通し孔の成形性に優れる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
<実施形態1>
実施形態1に係るコネクタ10は、図1に示すように、フード部20と、フード部20に装着される複数の端子60と、を備えている。フード部20は、図示しない相手コネクタと嵌合される。なお、以下の説明において、前後方向については、コネクタ10が相手コネクタと嵌合される側を前側とする。図1において、矢印Xが前側になり、矢印Yが右側になり、矢印Zが上側になる。本明細書において、左右方向は幅方向と同義であり、上下方向は高さ方向と同義である。これらの方向の基準は、便宜的なものであり、コネクタ10が図示しない車両等に搭載された状態における方向の基準とは必ずしも一致しない。なお、図面では、相手コネクタを係止するロック構造等を省略し、簡略化して図示している。
【0020】
(コネクタ10の構造)
フード部20は、合成樹脂製であって筒状をなし、ハウジングの一部を構成している。フード部20は、奥壁21と、奥壁21から前方に突出する周壁22と、を有している。奥壁21は、正面視矩形状をなし、壁面を前後方向に向けて配置されている。周壁22は、角筒状をなし、左右方向を長手としている。
【0021】
各端子60は、導電金属製であってピン状またはタブ状をなし、前後方向に延びる第1延出部61と、第1延出部61の後端から下方に延びる第2延出部62と、を有している。
【0022】
第1延出部61の中間部は、奥壁21を貫通し、奥壁21に圧入またはインサートして装着されている。各端子60は、奥壁21に対し、上下方向に複数段で且つ左右方向に複数列となるように並んで配置されている。本実施形態1の場合、各端子60は、奥壁21に上下三段に配置され、上段、中段、下段に配置される順に、長さを短くしている。
【0023】
第1延出部61の前部は、接続部61Aとして構成される。接続部61Aは、フード部20の内側に配置され、周壁22によって外周を包囲される。接続部61Aは、図3に示すように、上面および下面(高さ方向を向く面)に、相手端子90と接触して電気的に接続される接点部61Bを有している。第2延出部62の下端部は、回路基板100に半田付けして電気的に接続される。
【0024】
フード部20は、奥壁21の内部を左右方向に延びる複数の通し孔23を有している。各通し孔23は、上下方向に複数段配置されている。各通し孔23は、各段の端子60の接続部61Aのうち、上下方向で隣接する各端子60の接続部61Aの間と、最上段の各端子60の接続部61Aよりも上方と、最下段の各端子60の接続部61Aよりも下方と、にそれぞれ配置されている。
【0025】
具体的には、図4に示すように、各段の通し孔23は、それぞれ、奥壁21の内部で左右方向に対をなす2つの共通孔部23Aを有している。2つの共通孔部23Aは、それぞれ、一端に、奥壁21の左右各々の側面に開口する側面開口23Bを有し、側面開口23Bから奥壁21の左右中央側まで延びる形状になっている。奥壁21の左右中央部には、2つの共通孔部23Aを仕切る閉塞部24が形成されている。そして、2つの共通孔部23Aは、奥壁21の内部で閉塞部24を介して左右対称の形状をなしている。側面開口23Bは、図1に示すように、奥壁21の側面に、側面視で四角形に開口している。側面開口23Bは、奥壁21の各々の側面に、各段の通し孔23に1つずつ、同じ形状および同じ大きさで、開口している。
【0026】
共通孔部23Aは、図4に示すように、奥壁21の内部において、側面開口23Bに近い左右端側に、幅広孔部23Cを有し、側面開口23Bから遠い左右中央側に、幅狭孔部23Dを有している。側面開口23Bは、共通孔部23Aで前後方向に最大の孔幅を有している。幅広孔部23Cの前後方向の孔幅は、側面開口23B側から幅狭孔部23D側へ行くに従って徐々に小さくなっている。幅狭孔部23Dは、段付孔部23Eを介して幅広孔部23Cに連通し、幅広孔部23Cよりも小さい孔幅を有している。幅狭孔部23Dの前後方向に孔幅は、段付孔部23E側から奥壁21の閉塞部24側へ行くに従って徐々に小さくなっている。
【0027】
共通孔部23Aの前面(奥壁21の前面側の面)は、奥壁21の左右端側(側面開口23B側)から左右中央側(閉塞部24側)にかけて、左右方向に直線状に形成されている。共通孔部23Aの後面は、奥壁21の左右端側から左右中央側にかけて、前向きに傾斜している。このうち、幅狭孔部23Dの左右中央側の後面(閉塞部24を仕切る面)および段付孔部23Eの後面は、共通孔部23Aの後面の他の部分よりも左右方向に対する傾斜角を大きくしている。
【0028】
各段の通し孔23は、それぞれ、各列の端子60の接続部61Aと対応する位置に、流出孔部23Fを有している。各流出孔部23Fは、奥壁21の内部に、円形の断面形状で前後方向に短く延びる形状になっている。各流出孔部23Fの後端は、共通孔部23Aの前面に開口している。各流出孔部23Fの前端(通し孔23の他端)は、図2に示すように、奥壁21の前面に開口する流出口23Gになっている。各流出孔部23Fの流出口23Gは、奥壁21の前面における各列の端子60の接点部61Bを臨める位置に、左右方向に複数列開口している。
【0029】
各流出孔部23Fは、左右方向の端側のものから左右中央側のものにかけて、徐々に孔径(奥壁21の前面に開口する開口径)が大きくなるように形成されている。最大孔径を有する流出孔部23Fは、奥壁21の左右中央側で閉塞部24を介して隣り合うように2つ配置されている。
【0030】
(コネクタ10の作用)
コネクタ10は、例えば、嵌合状態から相手コネクタが離脱させられ、新たな相手コネクタを待ち受ける状態に一時的に配置される。コネクタ10が待ち受け状態にあるときに、フード部20の内側がエアブローによって洗浄され、各端子60の接続部61Aに付着した塵埃等の異物を除去する作業が行われる。
【0031】
エアブローによる洗浄を行う際に、図示しないエアスプレーやエアガン等の吹き付け装置が用いられ、吹き付け装置のノズルの先端部が奥壁21の側面に開口する側面開口23Bに挿入または対向して配置される。
【0032】
続いて、吹き付け装置から側面開口23Bを通して通し孔23の共通孔部23Aにエアが供給される。エアは、共通孔部23Aの幅広孔部23C、段付孔部23Eおよび幅狭孔部23Dに誘導されつつ各流出孔部23Fを前方に流れ、各流出口23Gから流出して各列の端子60の接続部61Aの上面および下面(接点部61Bを含む)に吹き付けられ得る。エアは、接続部61Aの上面および下面に沿って前方に流れ、そのままフード部20の開口側から外部へ流れることができる。ここで、各列の端子60の接点部61Bに付着した異物もエアとともにフード部20の開口側から外部へ排出可能となる。
【0033】
本実施形態1の構成は、例えば、吹き付け装置のノズルの先端部を奥壁21の各々の側面における各段の側面開口23Bに順次挿入または対向させ、各通し孔23に順次エアを供給することができる。これにより、各列および各段の全ての端子60の接点部61Bにエアを吹き付けることができ、全ての端子60の接点部61Bに付着した異物をエアで除去することが可能となる。上記エアブローによる洗浄工程を経たコネクタ10は、新たな相手コネクタと嵌合される。相手コネクタがフード部20の内側に嵌合される。
【0034】
以上のとおり、本実施形態1によれば、奥壁21の側面に開口する側面開口23Bから通し孔23の共通孔部23Aにエアを供給することにより、通し孔23の流出口23Gからエアが流出し、エアを端子60の接点部61Bに吹き付けることができる。その結果、端子60の接点部61Bに付着した異物を効率良く除去することができる。特に、上記構成は、奥壁21の内部に、上下方向への分岐管路を形成することなく、通し孔23を形成している。このため、奥壁21の内部に複雑に迂回した分岐管路が形成されることがない。よって、通し孔23を成形する金型構造が格別複雑になることがなく、製造コストを抑えることができる。
【0035】
また、通し孔23が各列の端子60の接続部61Aに対応する複数の流出口23Gを有しているため、各流出口23Gからエアが流出することにより、各列の端子60の接点部61Bに付着された異物をいずれも効率良く除去することができる。
【0036】
また、通し孔23の側面開口23Bが奥壁21の各々の側面に開口しているため、通し孔23を流れるエアの流路長を奥壁21の左右端側から左右中央側までの長さに短く抑えることができ、各端子60の接点部61Bにエアを流速を落とさず吹き付けることができる。本実施形態1の場合、エアの流路長は、共通孔部23Aの左右長で規定され得る。
【0037】
さらに、通し孔23の側面開口23Bが共通孔部23Aに一つずつ形成され、各流出孔部23Fが一つの共通孔部23Aを共用し、一つの共通孔部23Aから各列の端子60の接点部61Bにエアを吹き付けることができる。このため、通し孔23の構造が複雑になるのをより回避できる。
【0038】
さらに、通し孔23が奥壁21の左右端側よりも左右中央側で前後方向の孔幅が狭くなっているため、通し孔23の側面開口23Bから流出口23Gに流れ、流出口23Gから端子60の接点部61Bに吹き付けられるエアのスムーズな流れを実現できる。さらにここで、各流出口23Gの開口径が奥壁21の左右中央側ほど大きくなっているため、各流出口23Gから流出するエアを適度な流速に調整することができる。
【0039】
そして、本実施形態1の場合、奥壁21の側面に四角形に開口する側面開口23Bを、通し孔23を成形する金型の引き抜き口として利用できるので、通し孔23の成形性に優れる。
【0040】
<実施形態2>
実施形態2に係るコネクタ10Aは、図5図7に示すように、通し孔23の形状を実施形態1のものと異にしている。実施形態2の通し孔23以外の構造は、上記実施形態1と同様である。なお、実施形態2において、上記実施形態1と同一または相当する構造(通し孔23を含む)には同一符号を付し、上記実施形態1と重複する説明を省略する。
【0041】
通し孔23は、上記実施形態1と同様、各段の端子60の接続部61Aと対応するように上下方向に複数段配置され、左右方向に対をなす2つの共通孔部23Aにそれぞれ各流出孔部23Fが連通し、奥壁21の前面に各流出口23Gを開口させた形態になっている。もっとも、本実施形態2の共通孔部23Aは、図7に示すように、幅広孔部、段付孔部および幅狭孔部の区別なく、左右端側から左右中央側にかけて、共通孔部23Aの全体にわたって前後方向の孔幅を徐々に狭めた形状になっている。
【0042】
共通孔部23Aの前面(奥壁21の前面側の面)は、奥壁21の左右端側(側面開口23B側)から左右中央側(閉塞部24側)にかけて、左右方向に直線状に形成されている。共通孔部23Aの後面は、奥壁21の左右端側から左右中央側にかけて、左右方向に対し一定の傾斜角で前向きにテーパ状に傾斜している。
【0043】
また、共通孔部23Aは、断面(横断面)D字形をなし、前面が上下方向に沿って配置され、後面が半円状に湾曲した形状になっている。側面開口23Bは、奥壁21の各々の側面に、側面視D字形に開口している。
【0044】
側面開口23Bを通して通し孔23に供給されたエアは、共通孔部23Aから各流出孔部23Fに流れ、各流出口23Gから対応する各列の端子60の接点部61Bに吹き付けられることができる。特に、本実施形態2の構成は、共通孔部23Aから各流出孔部23Fへとエアを滞りなく流すことができる。
【0045】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1,2は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1,2の場合、フード部20の周壁22は、角筒状をなしていた。これに対し、他の実施形態によれば、フード部の周壁は、円筒状をなしていても良い。
上記実施形態1,2の場合、共通孔部23Aは、奥壁21の左右中央側で閉塞部24を介して分割されていた。これに対し、他の実施形態によれば、共通孔部は、奥壁の左右中央側で互いに連通していても良い。
上記実施形態1の側面開口23Bは、奥壁21の側面に四角形に開口し、上記実施形態2の側面開口23Bは、奥壁21の側面にD字形に開口していた。これに対し、他の実施形態によれば、側面開口は、吹き付け装置のノズルの先端形状と適合するように、奥壁の側面に円形に開口していても良い。
上記実施形態1,2の場合、共通孔部23Aの後面は、奥壁21の左右端側から左右中央側に向けて、左右方向に対して一定の傾斜角で傾斜していた。これに対し、他の実施形態によれば、共通孔部23Aの後面は、奥壁21の左右端側から左右中央側に向けて、曲面状に傾斜していても良い。
他の実施形態として、エアブローによる洗浄工程の後、奥壁の側面に開口した通し孔を閉塞する手段、例えば、側面を覆うカバー部材等を備える構成であっても良い。
【符号の説明】
【0046】
10,10A…コネクタ
20…フード部
21…奥壁
22…周壁
23…通し孔
23A…共通孔部
23B…側面開口
23C…幅広孔部
23D…幅狭孔部
23E…段付孔部
23F…流出孔部
23G…流出口
24…閉塞部
60…端子
61…第1延出部
61A…接続部
61B…接点部
62…第2延出部
90…相手端子
100…回路基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7