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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136666
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】液体吐出装置、及び冷却ユニット
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240927BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047852
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】柳原 弘和
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB06
2C056EC06
2C056EC28
2C056FA13
2C056JC17
(57)【要約】
【課題】液体吐出モジュールから生じるインクミストにより、ヘッド駆動モジュールで短絡が生じてしまう可能性を低減可能な液体吐出装置、及び冷却ユニットを提供する。
【解決手段】ヘッド駆動モジュール10-1,10-2と、ヘッド駆動モジュール10-1からの駆動信号に基づいて、媒体にインクを吐出する液体吐出モジュール20-1と、ヘッド駆動モジュール10-2からの駆動信号に基づいて、媒体にインクを吐出する液体吐出モジュール20-2と、気流を発生させる吸気ファン及び排気ファンと、気流を第1経路に導く第1風洞WT1と、気流を第1経路とは異なる第2経路に導く第2風洞WT2と、を含み、ヘッド駆動モジュール10-1は、前記第1風洞WT1の内部に配置され、ヘッド駆動モジュール10-2は、第2風洞WT2の内部に配置され、液体吐出モジュール20-1,20-2は、第1風洞WT1及び第2風洞WT2の外部に配置される。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動信号を生成する第1駆動回路と、
第2駆動信号を生成する第2駆動回路と、
前記第1駆動信号に基づいて、媒体に液体を吐出する第1吐出部と、
前記第2駆動信号に基づいて、媒体に液体を吐出する第2吐出部と、
気流を発生させる送風部と、
前記気流を第1経路に導く第1風洞と、
前記気流を前記第1経路とは異なる第2経路に導く第2風洞と、
を含み、
前記第1駆動回路は、前記第1風洞の内部に配置され、
前記第2駆動回路は、前記第2風洞の内部に配置され、
前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記第1風洞及び前記第2風洞の外部に配置される
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1風洞への送風量と、前記第2風洞への送風量とを調整する調整部をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1駆動回路の発熱量が前記第2駆動回路の発熱量と比して大きいとき、前記第1風洞への送風量が前記第2風洞への送風量より大きくなるように前記調整部を制御する制御部をさらに含む
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1駆動回路、前記第2駆動回路、前記第1吐出部、及び前記第2吐出部を内包するハウジングをさらに含み、
前記第1風洞及び前記第2風洞は、前記ハウジングの内部に配設されるダクトを構成し、
前記ダクトは、前記ハウジングの外部から空気を吸入する吸気口を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ダクトは、前記ハウジングの外部に空気を排出する排気口を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記送風部は、前記吸気口から空気を吸入する第1送風部と、前記排気口から空気を排出する第2送風部と、を含み、
前記第1送風部の送風量は、前記第2送風部の送風量より大きい
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
熱交換を行う熱交換部をさらに含み、
前記第1風洞及び前記第2風洞は、ダクトを構成し、
前記ダクトは、空気が循環する閉回路であり、
前記ダクト内の空気は、前記熱交換部により冷却される
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第1駆動回路は、第1基板を有する第1モジュールに含まれ、
前記第1吐出部は、第2基板を有する第2モジュールに含まれ、
前記第1基板と前記第2基板とは、BtoB接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
第1駆動信号を生成する第1駆動回路、及び前記第1駆動信号に基づいて媒体に液体を吐出する第1吐出部を備える第1ヘッドユニットと、第2駆動信号を生成する第2駆動回路、及び前記第2駆動信号に基づいて媒体に液体を吐出する第2吐出部を備える第2ヘッドユニットと、に取り付けられる冷却ユニットであって、
気流を発生させる送風部と、
前記気流を第1経路に導く第1風洞と、
前記気流を前記第1経路とは異なる第2経路に導く第2風洞と、
を含み、
前記第1駆動回路は、前記第1風洞の内部に配置され、
前記第2駆動回路は、前記第2風洞の内部に配置され、
前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記第1風洞及び前記第2風洞の外部に配置される
ことを特徴とする冷却ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置、及び冷却ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドからインク等の液体を吐出して媒体に画像を形成する液体吐出装置において、高精細な画像形成をするためには、吐出安定性が高い必要がある。ヘッドを駆動する駆動回路からヘッドまでの距離が長くなると、配線によるインダクタンスの影響が増大し、吐出安定性が低下する恐れがある。そのため、特許文献1に示すように、ヘッドの直上に駆動回路を配置する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-138356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液体吐出装置においては、駆動回路を構成する集積回路、FET、及びコイル等の電子部品が、ヘッドの上部の限られた範囲内に密集配置されるため、駆動回路は、非常に高温になる。そのため、特許文献1に示すように、駆動回路は、一般的に空冷により冷却される。しかしながら、ヘッドの直上において気流を生じさせると、インクの吐出に伴い漂っているインクミストを巻き上げてしまう場合がある。インクミストが巻き上がって駆動回路に付着すると、駆動回路において短絡が生じてしまう恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体吐出装置は、第1駆動信号を生成する第1駆動回路と、第2駆動信号を生成する第2駆動回路と、前記第1駆動信号に基づいて、媒体に液体を吐出する第1吐出部と、前記第2駆動信号に基づいて、媒体に液体を吐出する第2吐出部と、気流を発生させる送風部と、前記気流を第1経路に導く第1風洞と、前記気流を前記第1経路とは異なる第2経路に導く第2風洞と、を含み、前記第1駆動回路は、前記第1風洞の内部に配置され、前記第2駆動回路は、前記第2風洞の内部に配置され、前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記第1風洞及び前記第2風洞の外部に配置される。
【0006】
冷却ユニットは、第1駆動信号を生成する第1駆動回路、及び前記第1駆動信号に基づいて媒体に液体を吐出する第1吐出部を備える第1ヘッドユニットと、第2駆動信号を生成する第2駆動回路、及び前記第2駆動信号に基づいて媒体に液体を吐出する第2吐出部を備える第2ヘッドユニットと、に取り付けられる冷却ユニットであって、気流を発生させる送風部と、前記気流を第1経路に導く第1風洞と、前記気流を前記第1経路とは異なる第2経路に導く第2風洞と、を含み、前記第1駆動回路は、前記第1風洞の内部に配置され、前記第2駆動回路は、前記第2風洞の内部に配置され、前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記第1風洞及び前記第2風洞の外部に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】液体吐出装置の概略構成を示す図である。
図2】ヘッドユニットの概略構成を示す図である。
図3】駆動信号の信号波形の一例を示す図である。
図4】駆動信号選択回路の機能構成を示す図である。
図5】デコーダーにおけるデコード内容の一例を示す図である。
図6】選択回路の構成の一例を示す図である。
図7】駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。
図8】液体吐出モジュールの構造を示す図である。
図9】吐出モジュールの構造の一例を示す図である。
図10】吐出モジュールを図9に示すA-a線で切断した場合の断面図である。
図11】ヘッド駆動モジュールの構造の一例を示す斜視図である。
図12】駆動回路部に含まれている第3基板上における駆動信号出力回路の実装例を示す図である。
図13】ヒートシンクと駆動信号出力回路と第3基板との位置関係の一例を示す図である。
図14】冷却ユニットの構造の一例を示す図である。
図15】ヘッドユニット及び冷却ユニットを示す正面図である。
図16】ヘッドユニット及び冷却ユニットを示す側面図である。
図17】ヘッドユニット及び冷却ユニットを示す斜視図である。
図18】変形例に係る冷却ユニットの構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本開示の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.液体吐出装置の構成
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。図1に示すように、液体吐出装置1は、搬送ユニット4によって搬送される媒体Pに対して、所望のタイミングで液体の一例であるインクを吐出することで、媒体Pに所望の画像を形成する所謂ライン方式のインクジェットプリンターである。ここで、以下の説明において、媒体Pが搬送される方向を搬送方向と称し、搬送される媒体Pの幅方向を主走査方向と称する場合がある。
【0010】
図1に示すように、液体吐出装置1は、制御ユニット2、液体容器3、搬送ユニット4、複数のヘッドユニット5、冷却ユニット6、及びハウジングHSを備える。ハウジングHSは、液体吐出装置1の外装を構成し、制御ユニット2、液体容器3、搬送ユニット4、複数のヘッドユニット5、及び冷却ユニット6を内包する。ただし、制御ユニット2、液体容器3、搬送ユニット4、複数のヘッドユニット5、及び冷却ユニット6の一部がハウジングHSの外部に配置されたり、ハウジングHSの内部から外部に突出したりする構成であってもよい。
【0011】
制御ユニット2は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と、半導体メモリー等の記憶回路とを含む。制御ユニット2は、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示のホストコンピューター等の外部機器から供給される画像データに基づいて、液体吐出装置1の各要素を制御する信号を出力する。
【0012】
液体容器3には、ヘッドユニット5に供給される1又は複数の種類の液体が貯留されている。例えば、液体容器3には、ヘッドユニット5に供給されるインクが貯留されている。具体的には、液体容器3には、媒体Pに吐出される複数の色彩のインクであって、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グレー等のインクが貯留されている。もちろん、液体容器3は、ブラックインクのみを貯留してもよく、インク以外の液体を貯留してもよい。
【0013】
搬送ユニット4は、搬送モーター41と搬送ローラー42とを有する。搬送ユニット4には、制御ユニット2が出力する搬送制御信号が入力される。そして、入力される搬送制御信号に基づいて搬送モーター41が動作し、搬送モーター41の動作に伴い搬送ローラー42が回転駆動することで、搬送方向に沿って媒体Pが搬送される。
【0014】
複数のヘッドユニット5は、それぞれがヘッド駆動モジュール10と液体吐出モジュール20とを有する。ヘッドユニット5には、制御ユニット2が出力する画像情報信号IPが入力されるとともに、液体容器3に貯留されるインクが供給される。そして、制御ユニット2から入力される画像情報信号IPに基づいて、ヘッド駆動モジュール10が液体吐出モジュール20の動作を制御し、液体吐出モジュール20がヘッド駆動モジュール10の制御に従い、液体容器3から供給されるインクを媒体Pに吐出する。
【0015】
また、複数のヘッドユニット5のそれぞれが有する液体吐出モジュール20は、搬送される媒体Pの幅方向の全領域に対してインクの吐出が可能なように主走査方向に沿って、媒体Pの幅以上となるように並んで位置している。これにより、液体吐出装置1は、ライン方式のインクジェットプリンターを構成する。なお、液体吐出装置1は、ライン方式のインクジェットプリンターに限られるものではない。
【0016】
冷却ユニット6は、ハウジングHSの内部に配設されるダクト700と、ダクト700の内部に配設される吸気ファンFNi及び排気ファンFNoとを有している。冷却ユニット6は、ダクト700内に配置されたヘッド駆動モジュール10を冷却する。ダクト700は、図1には図示しない吸気口及び排気口を有しており、吸気口及び排気口を介してハウジングHSの外部と連通する。吸気ファンFNi及び排気ファンFNoには、制御ユニット2から冷却制御信号が入力される。そして、吸気ファンFNi及び排気ファンFNoは、入力される冷却制御信号に基づいて動作し、ダクト700内に気流を生じさせる。なお、吸気口及び排気口等、ダクト700の一部は、ハウジングHSの外部に突出していてもよい。
【0017】
次に、ヘッドユニット5の概略構成について説明する。図2は、ヘッドユニット5の概略構成を示す図である。図2に示すように、ヘッドユニット5は、ヘッド駆動モジュール10と液体吐出モジュール20とを有する。また、ヘッドユニット5において、ヘッド駆動モジュール10と液体吐出モジュール20とは、1又は複数の配線部材30で電気的に接続されている。
【0018】
配線部材30は、ヘッド駆動モジュール10と液体吐出モジュール20とを電気的に接続するための可撓性の部材であって、例えば、フレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。
【0019】
ヘッド駆動モジュール10は、制御回路100、駆動信号出力回路50-1~50-m、及び変換回路120を有する。
【0020】
制御回路100は、CPUやFPGA等を有する。制御回路100には、制御ユニット2が出力する画像情報信号IPが入力される。制御回路100は、入力される画像情報信号IPに基づいて、ヘッドユニット5の各要素を制御する信号を出力する。
【0021】
制御回路100は、画像情報信号IPに基づいて、液体吐出モジュール20の動作を制御するための基データ信号dDATAを生成し、変換回路120に出力する。変換回路120は、基データ信号dDATAをLVDS(Low Voltage Differential Signaling)等の差動信号に変換し、データ信号DATAとして液体吐出モジュール20に出力する。なお、変換回路120は、基データ信号dDATAをLVDS以外のLVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)やCML(Current Mode Logic)等の高速転送方式の差動信号に変換し、データ信号DATAとして液体吐出モジュール20に出力してもよい。或いは、基データ信号dDATAの一部、又は全部をシングルエンドのデータ信号DATAとして、液体吐出モジュール20に出力してもよい。
【0022】
また、制御回路100は、駆動信号出力回路50-1に、基駆動信号dA1,dB1,dC1を出力する。駆動信号出力回路50-1は、駆動回路52a,52b,52cを有する。基駆動信号dA1は、駆動回路52aに入力される。駆動回路52aは、入力される基駆動信号dA1をデジタル/アナログ変換した後、D級増幅することで駆動信号COMA1を生成し、液体吐出モジュール20に出力する。基駆動信号dB1は、駆動回路52bに入力される。駆動回路52bは、入力される基駆動信号dB1をデジタル/アナログ変換した後、D級増幅することで駆動信号COMB1を生成し、液体吐出モジュール20に出力する。基駆動信号dC1は、駆動回路52cに入力される。駆動回路52cは、入力される基駆動信号dC1をデジタル/アナログ変換した後、D級増幅することで駆動信号COMC1を生成し、液体吐出モジュール20に出力する。
【0023】
ここで、駆動回路52a,52b,52cのそれぞれは、入力される基駆動信号dA1,dB1,dC1のそれぞれで規定される波形を増幅することで駆動信号COMA1,COMB1,COMC1を生成できればよく、D級増幅回路に替えて、若しくはD級増幅回路に加えてA級増幅回路、B級増幅回路、又はAB級増幅等回路等を含んでもよい。また、基駆動信号dA1,dB1,dC1のそれぞれは、対応する駆動信号COMA1,COMB1,COMC1の波形を規定できればよく、アナログ信号であってもよい。
【0024】
また、駆動信号出力回路50-1は、基準電圧出力回路53を有する。基準電圧出力回路53は、液体吐出モジュール20が有する後述する圧電素子60の基準電位を示す一定電位の基準電圧信号VBS1を生成し、液体吐出モジュール20に出力する。この基準電圧信号VBS1は、例えば、グラウンド電位であってもよく、5.5Vや6V等の一定電位であってもよい。ここで、一定電位とは、周辺回路の動作に起因して生じる電位の変動、回路素子のばらつきに起因して生じる電位の変動、回路素子の温度特性に起因して生じる電位の変動等の誤差による変動を加味した場合に、略一定の電位であるとみなせる場合を含む。
【0025】
駆動信号出力回路50-2~50-mは、入力される信号及び出力する信号が異なるのみであり、駆動信号出力回路50-1と同様の構成である。すなわち、駆動信号出力回路50-j(jは、1~mのいずれか)は、駆動回路52a,52b,52cに相当する回路と、基準電圧出力回路53に相当する回路とを含み、制御回路100から入力される基駆動信号dAj,dBj,dCjに基づいて駆動信号COMAj,COMBj,COMCjと基準電圧信号VBSjとを生成し、液体吐出モジュール20に出力する。
【0026】
液体吐出モジュール20は、復元回路220と吐出モジュール23-1~23-mとを有する。
【0027】
復元回路220は、データ信号DATAをシングルエンドの信号に復元するとともに、吐出モジュール23-1~23-mのそれぞれに対応する信号に分離し、対応する吐出モジュール23-1~23-mに出力する。
【0028】
具体的には、復元回路220は、データ信号DATAを復元するとともに分離することで、吐出モジュール23-1に対応するクロック信号SCK1、印刷データ信号SI1、及びラッチ信号LAT1を生成し、吐出モジュール23-1に出力する。また、復元回路220は、データ信号DATAを復元するとともに分離することで、吐出モジュール23-jに対応するクロック信号SCKj、印刷データ信号SIj、及びラッチ信号LATjを生成し、吐出モジュール23-jに出力する。
【0029】
以上のように復元回路220は、ヘッド駆動モジュール10が出力する差動信号のデータ信号DATAを復元するとともに、復元した信号を吐出モジュール23-1~23-mに対応する信号に分離する。これにより、復元回路220は、吐出モジュール23-1~23-mのそれぞれに対応するクロック信号SCK1~SCKm、印刷データ信号SI1~SIm、及びラッチ信号LAT1~LATmを生成し、対応する吐出モジュール23-1~23-mに出力する。なお、復元回路220が出力する吐出モジュール23-1~23-mのそれぞれに対応するクロック信号SCK1~SCKm、印刷データ信号SI1~SIm、及びラッチ信号LAT1~LATmの内のいずれかが、吐出モジュール23-1~23-mに対して、共通の信号であってもよい。
【0030】
ここで、復元回路220が、データ信号DATAを復元するとともに分離することで、クロック信号SCK1~SCKm、印刷データ信号SI1~SIm、及びラッチ信号LAT1~LATmを生成する点に鑑みれば、データ信号DATAは、クロック信号SCK1~SCKm、印刷データ信号SI1~SIm、及びラッチ信号LAT1~LATmに対応する差動信号である。また、データ信号DATAの基となる基データ信号dDATAには、クロック信号SCK1~SCKm、印刷データ信号SI1~SIm、及びラッチ信号LAT1~LATmのそれぞれに対応する信号が含まれる。すなわち、基データ信号dDATAには、液体吐出モジュール20が有する吐出モジュール23-1~23-mの動作を制御する信号が含まれる。
【0031】
吐出モジュール23-1は、駆動信号選択回路200と複数の吐出部600とを有する。複数の吐出部600のそれぞれは、駆動素子としての圧電素子60を含み、吐出モジュール23-1に入力される駆動信号COMA1,COMB1,COMC1等に基づいて、媒体Pにインクを吐出する。
【0032】
具体的には、吐出モジュール23-1には、駆動信号COMA1,COMB1,COMC1と、基準電圧信号VBS1と、クロック信号SCK1、印刷データ信号SI1、及びラッチ信号LAT1と、が入力される。駆動信号COMA1,COMB1,COMC1と、クロック信号SCK1、印刷データ信号SI1、及びラッチ信号LAT1とは、吐出モジュール23-1が有する駆動信号選択回路200に入力される。駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK1、印刷データ信号SI1、及びラッチ信号LAT1に基づいて、駆動信号COMA1,COMB1,COMC1のそれぞれを選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給する。このとき、圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBS1が供給されている。そして、圧電素子60が、一端に供給される駆動信号VOUTと他端に供給される基準電圧信号VBS1との電位差により駆動することで、対応する吐出部600からインクが吐出される。
【0033】
同様に、吐出モジュール23-jは、駆動信号選択回路200と複数の吐出部600とを有する。また、複数の吐出部600のそれぞれは、駆動素子としての圧電素子60を含み、吐出モジュール23-jに入力される駆動信号COMAj,COMBj,COMCj等に基づいて、媒体Pにインクを吐出する。
【0034】
具体的には、吐出モジュール23-jには、駆動信号COMAj,COMBj,COMCjと、基準電圧信号VBSjと、クロック信号SCKj、印刷データ信号SIj、及びラッチ信号LATjと、が入力される。駆動信号COMAj,COMBj,COMCjと、クロック信号SCKj、印刷データ信号SIj、及びラッチ信号LATjとは、吐出モジュール23-jが有する駆動信号選択回路200に入力される。駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCKj、印刷データ信号SIj、及びラッチ信号LATjに基づいて、駆動信号COMAj,COMBj,COMCjのそれぞれを選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給する。このとき、圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSjが供給されている。そして、圧電素子60が、一端に供給される駆動信号VOUTと他端に供給される基準電圧信号VBSjとの電位差により駆動することで、対応する吐出部600からインクが吐出される。
【0035】
以上のように構成された第1実施形態の液体吐出装置1は、制御ユニット2が不図示のホストコンピューター等から供給される画像データに基づいて、搬送ユニット4により媒体Pの搬送を制御するとともに、ヘッドユニット5が有する液体吐出モジュール20からのインクの吐出を制御する。これにより、液体吐出装置1は、媒体Pの所望の位置に所望の量のインクを着弾させることができ、媒体Pに所望の画像を形成する。
【0036】
ここで、液体吐出モジュール20が有する吐出モジュール23-1~23-mは、入力される信号が異なるのみであり、同様の構成である。そのため、以下の説明において、吐出モジュール23-1~23-mを区別する必要がない場合、単に吐出モジュール23と称する場合がある。また、この場合において、吐出モジュール23に入力される駆動信号COMA1~COMAmを駆動信号COMAと称し、駆動信号COMB1~COMBmを駆動信号COMBと称し、駆動信号COMC1~COMCmを駆動信号COMCと称する場合がある。同様に、基準電圧信号VBS1~VBSmを基準電圧信号VBSと称し、クロック信号SCK1~SCKmをクロック信号SCKと称し、印刷データ信号SI1~SImを印刷データ信号SIと称し、ラッチ信号LAT1~LATmをラッチ信号LATと称する場合がある。
【0037】
すなわち、吐出モジュール23には、駆動信号COMA,COMB,COMCと、基準電圧信号VBSと、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、及びラッチ信号LATと、が入力される。駆動信号COMA,COMB,COMCと、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、及びラッチ信号LATとは、吐出モジュール23が有する駆動信号選択回路200に入力される。駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、印刷データ信号SI、及びラッチ信号LATに基づいて、駆動信号COMA,COMB,COMCのそれぞれを選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給する。このとき、圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが供給されている。そして、圧電素子60が、一端に供給される駆動信号VOUTと他端に供給される基準電圧信号VBSとの電位差により駆動することで、対応する吐出部600からインクが吐出される。
【0038】
2.駆動信号選択回路の機能構成
次に、吐出モジュール23が有する駆動信号選択回路200の構成及び動作について説明する。吐出モジュール23が有する駆動信号選択回路200の構成及び動作を説明するにあたり、まず、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COMA,COMB,COMCに含まれる信号波形の一例について説明する。
【0039】
図3は、駆動信号COMA,COMB,COMCの信号波形の一例を示す図である。図3に示すように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってから次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの周期Tに配された台形波形Adpを含む。台形波形Adpは、圧電素子60の一端に供給されることで、当該圧電素子60に対応する吐出部600から、所定の量のインクを吐出させる信号波形である。駆動信号COMBは、周期Tに配された台形波形Bdpを含む。この台形波形Bdpは、電圧振幅が台形波形Adpよりも小さい信号波形であり、圧電素子60の一端に供給されることで、当該圧電素子60に対応する吐出部600から、所定の量よりも少量のインクを吐出させる信号波形である。駆動信号COMCは、周期Tに配された台形波形Cdpを含む。この台形波形Cdpは、電圧振幅が台形波形Adp,Bdpよりも小さい信号波形であり、圧電素子60の一端に供給されることで、当該圧電素子60に対応する吐出部600からインクが吐出されない程度にノズル開孔部付近のインクを振動させる信号波形である。この台形波形Cdpは、圧電素子60に供給されることで、当該圧電素子60を含む吐出部600のノズル開孔部付近のインクを振動させる。これにより、ノズル開孔部付近のインクの粘度が増大するおそれが低減する。
【0040】
すなわち、駆動信号COMAは、インクが吐出されるように圧電素子60を駆動する信号であり、駆動信号COMBは、インクが吐出されるように圧電素子60を駆動する信号であり、駆動信号COMCは、インクが吐出されないよう圧電素子60を駆動するための信号である。このような駆動信号COMAが圧電素子60に供給された場合に吐出モジュール23を含む液体吐出モジュール20から吐出されるインクの量と、駆動信号COMBが圧電素子60に供給された場合に吐出モジュール23を含む液体吐出モジュール20から吐出されるインクの量とは異なる。
【0041】
また、台形波形Adp,Bdp,Cdpのそれぞれの開始タイミング及び終了タイミングにおいて、台形波形Adp,Bdp,Cdpの電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp,Bdp,Cdpは、それぞれが電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する信号波形である。
【0042】
ここで、以下の説明において、台形波形Adpが圧電素子60の一端に供給された場合に、当該圧電素子60に対応する吐出部600から吐出されるインクの量を大程度の量と称し、台形波形Bdpが圧電素子60の一端に供給された場合に、当該圧電素子60に対応する吐出部600から吐出されるインクの量を小程度の量と称する場合がある。また、台形波形Cdpが圧電素子60の一端に供給された場合に、当該圧電素子60に対応する吐出部600からインクが吐出されない程度にノズル開孔部付近のインクを振動させることを微振動と称する場合がある。
【0043】
なお、図3では、駆動信号COMA,COMB,COMCのそれぞれが、周期Tにおいて1個の台形波形を含む場合を例示しているが、駆動信号COMA,COMB,COMCのそれぞれは、周期Tにおいて2個以上の連続した台形波形を含んでもよい。この場合、駆動信号選択回路200には、2個以上の台形波形の切替タイミングを規定する信号が入力され、吐出部600は、周期Tにおいて複数回インクを吐出する。そして、周期Tにおいて複数回に分けて吐出されたインクが媒体Pに着弾し結合することで媒体Pに1個のドットが形成される。これにより媒体Pに形成されるドットの階調数を増加することができる。
【0044】
これに対して、第1実施形態に示す液体吐出装置1では、駆動信号COMA,COMB,COMCが周期Tにおいて1個の台形波形を含む信号であるとして説明を行う。これにより、媒体Pにドットを形成する周期Tを短くすることができ、媒体Pへの画像形成速度の高速化を実現するとともに、駆動信号COMA,COMB,COMCを並列して液体吐出モジュール20に供給することにより、媒体Pに形成されるドットの階調数の増加も実現している。ここで、ラッチ信号LATが立ち上がってから次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの周期Tを、媒体Pに所望のサイズのドットを形成するドット形成周期と称する場合がある。
【0045】
なお、駆動信号COMA,COMB,COMCに含まれる信号波形は、図3に例示する信号波形に限られるものではなく、吐出部600から吐出されるインクの種類、駆動信号COMA,COMB,COMCにより駆動される圧電素子60の数、駆動信号COMA,COMB,COMCが伝搬する配線長等に応じて、様々な信号波形が用いられてもよい。すなわち、図2に示す駆動信号COMA1~COMAmは、それぞれが互いに異なる信号波形を含んでもよく、同様に、駆動信号COMB1~COMBm、駆動信号COMC1~COMCmも、それぞれが互いに異なる信号波形を含んでもよい。
【0046】
次に、駆動信号COMA,COMB,COMCのそれぞれを選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを出力する駆動信号選択回路200の構成及び動作について説明する。図4は、駆動信号選択回路200の機能構成を示す図である。図4に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路210及び複数の選択回路230を含む。
【0047】
選択制御回路210には、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKが入力される。また、選択制御回路210は、n個の吐出部600の各々に対応したシフトレジスター(S/R)212、ラッチ回路214、及びデコーダー216の組を有する。すなわち、駆動信号選択回路200は、吐出部600の総数と同じn個のシフトレジスター212、ラッチ回路214、及びデコーダー216を含む。
【0048】
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であって、n個の吐出部600の各々から吐出されるインクにより形成されるドットサイズを「大ドットLD」、「小ドットSD」、「非吐出ND」、及び「微振動BSD」のいずれかで規定するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む。この印刷データ信号SIは、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]毎に吐出部600に対応したシフトレジスター212に保持される。
【0049】
具体的には、吐出部600に対応したn個のシフトレジスター212は、互いに縦続接続されている。シリアルで入力された印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに従って縦続接続されたシフトレジスター212の後段に順次転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止することで、n個のシフトレジスター212には、当該シフトレジスター212に対応する吐出部600に対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、図4では、縦続接続されたn個のシフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から下流側に向かい1段、2段、…、n段と表記している。
【0050】
n個のラッチ回路214の各々は、ラッチ信号LATの立ち上がりで対応するシフトレジスター212で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。
【0051】
n個のデコーダー216の各々は、対応するラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をデコードし、周期T毎にデコード内容に応じた論理レベルの選択信号S1,S2,S3を出力する。図5は、デコーダー216におけるデコード内容の一例を示す図である。デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]と図5に示すデコード内容とで規定される論理レベルの選択信号S1,S2,S3を出力する。例えば、第1実施形態におけるデコーダー216は、対応するラッチ回路214によりラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、周期Tにおいて選択信号S1,S2,S3のそれぞれの論理レベルをL,H,Lレベルとする。
【0052】
選択回路230は、n個の吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、n個の選択回路230を有する。選択回路230には、同じ吐出部600に対応するデコーダー216が出力する選択信号S1,S2,S3と、駆動信号COMA,COMB,COMCと、が入力される。そして、選択回路230は、選択信号S1,S2,S3と駆動信号COMA,COMB,COMCとに基づいて駆動信号COMA,COMB,COMCのそれぞれを選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に出力する。
【0053】
図6は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成の一例を示す図である。図6に示すように、選択回路230は、インバーター232a,232b,232cと、トランスファーゲート234a,234b,234cとを有する。
【0054】
選択信号S1は、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232aによって論理反転されてトランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給される。トランスファーゲート234aは、入力される選択信号S1がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、入力される選択信号S1がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。すなわち、トランスファーゲート234aは、選択信号S1がHレベルの場合に駆動信号COMAを出力端に出力し、選択信号S1がLレベルの場合に駆動信号COMAを出力端に出力しない。
【0055】
選択信号S2は、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232bによって論理反転されてトランスファーゲート234bにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。トランスファーゲート234bは、入力される選択信号S2がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、入力される選択信号S2がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。すなわち、トランスファーゲート234bは、選択信号S2がHレベルの場合に駆動信号COMBを出力端に出力し、選択信号S2がLレベルの場合に駆動信号COMBを出力端に出力しない。
【0056】
選択信号S3は、トランスファーゲート234cにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232cによって論理反転されてトランスファーゲート234cにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234cの入力端には、駆動信号COMCが供給される。トランスファーゲート234cは、入力される選択信号S3がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、入力される選択信号S3がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。すなわち、トランスファーゲート234cは、選択信号S3がHレベルの場合に駆動信号COMCを出力端に出力し、選択信号S3がLレベルの場合に駆動信号COMCを出力端に出力しない。
【0057】
トランスファーゲート234a,234b,234cの出力端は、共通に接続されている。すなわち、共通に接続されたトランスファーゲート234a,234b,234cの出力端には、選択信号S1,S2,S3によって選択又は非選択された駆動信号COMA,COMB,COMCが供給される。選択回路230は、この共通に接続された出力端に供給される信号を駆動信号VOUTとして対応する吐出部600に出力する。
【0058】
駆動信号選択回路200の動作について説明する。図7は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期してシリアルで入力され、吐出部600に対応するシフトレジスター212で順次転送される。そして、クロック信号SCKの入力が停止することで、吐出部600の各々に対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が対応するシフトレジスター212に保持される。
【0059】
その後、ラッチ信号LATが立ち上がると、シフトレジスター212に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]は、ラッチ回路214により一斉にラッチされる。なお、図7には、ラッチ回路214によってラッチされた1段、2段、…、n段のシフトレジスター212に対応する2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をLT1、LT2、…、LTnとして図示している。
【0060】
デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットサイズに応じて、論理レベルの選択信号S1,S2,S3を出力する。
【0061】
具体的には、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、周期Tにおいて、選択信号S1,S2,S3の論理レベルを、H,L,Lレベルとして選択回路230に出力する。その結果、選択回路230は、周期Tにおいて台形波形Adpを選択し、「大ドットLD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、周期Tにおいて、選択信号S1,S2,S3の論理レベルを、L,H,Lレベルとして選択回路230に出力する。その結果、選択回路230は、周期Tにおいて台形波形Bdpを選択し、「小ドットSD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、周期Tにおいて、選択信号S1,S2,S3の論理レベルを、L,L,Lレベルとして選択回路230に出力する。その結果、選択回路230は、周期Tにおいて台形波形Adp,Bdp,Cdpのいずれも選択せず、電圧Vcで一定の「非吐出ND」に対応する駆動信号VOUTを出力する。また、デコーダー216は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、周期Tにおいて、選択信号S1,S2,S3の論理レベルをL,L,Hレベルとして選択回路230に出力する。その結果、選択回路230は、周期Tにおいて台形波形Cdpを選択し、「微振動BSD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0062】
ここで、選択回路230が、台形波形Adp,Bdp,Cdpのいずれも選択しない場合、対応する圧電素子60の一端には、当該圧電素子60に直前に供給された電圧Vcが圧電素子60の容量成分により保持される。すなわち、選択回路230が電圧Vcで一定の駆動信号VOUTを出力するとは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp,Bdp,Cdpのいずれも選択されていない場合に、圧電素子60の容量成分により保持された直前の電圧Vcが駆動信号VOUTとして圧電素子60に供給される場合が含まれる。
【0063】
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKに基づいて、駆動信号COMA,COMB,COMCを選択又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応した駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に出力する。これにより、複数の吐出部600のそれぞれから吐出されるインクの量が個別に制御される。
【0064】
3.液体吐出モジュールの構成
次に、液体吐出モジュール20の構造について図8図10を用いて説明する。図8は、液体吐出モジュール20の構造を示す図である。ここで、液体吐出モジュール20の構造を説明するに際して、図8図10には、互いに直交するX1方向、Y1方向、及びZ1方向を示す矢印を図示している。また、図8図10の説明において、X1方向を示す矢印の起点側を-X1側、先端側を+X1側と称し、Y1方向を示す矢印の起点側を-Y1側、先端側を+Y1側と称し、Z1方向を示す矢印の起点側を-Z1側、先端側を+Z1側と称する場合がある。また、以下の説明において、第1実施形態における液体吐出装置1が備える液体吐出モジュール20は、6個の吐出モジュール23を有するとして説明を行い、6個の吐出モジュール23のそれぞれを区別する場合、吐出モジュール23-1~23-6と称する場合がある。
【0065】
液体吐出モジュール20は、筐体31、集合基板33、流路構造体34、ヘッド基板35、分配流路37、固定板39、及び吐出モジュール23-1~23-6を有する。そして、液体吐出モジュール20において、流路構造体34、ヘッド基板35、分配流路37、及び固定板39は、Z1方向に沿って-Z1側から+Z1側に向かい、固定板39、分配流路37、ヘッド基板35、流路構造体34の順に積層されるとともに、筐体31が、流路構造体34、ヘッド基板35、分配流路37、及び固定板39を支持するように、流路構造体34、ヘッド基板35、分配流路37、及び固定板39の周囲に位置する。そして、集合基板33が、筐体31の+Z1側において、筐体31に保持された状態で立設するとともに、6個の吐出モジュール23は、分配流路37と固定板39との間において、一部が液体吐出モジュール20の外部に露出するように位置している。
【0066】
液体吐出モジュール20の構造を説明するにあたり、まず、液体吐出モジュール20が有する吐出モジュール23の構造について説明する。図9は、吐出モジュール23の構造の一例を示す図である。また、図10は、吐出モジュール23の断面の一例を示す図である。ここで、図10は、図9に示す吐出モジュール23を図9に示すA-a線で切断した場合の断面図であり、また、図10に示すA-a線は、吐出モジュール23が有する導入路661を通り、且つノズルN1及びノズルN2を通る仮想的な線分である。
【0067】
図9及び図10に示すように、吐出モジュール23は、並設された複数のノズルN1と並設された複数のノズルN2とを有する。この吐出モジュール23が有するノズルN1とノズルN2との総数が、吐出モジュール23が有する吐出部600と同数のn個となる。なお、第1実施形態において、吐出モジュール23が有するノズルN1の数とノズルN2の数とは同数であるとして説明を行う。すなわち、吐出モジュール23は、n/2個のノズルN1とn/2個のノズルN2とを有するとして説明を行う。ここで、以下の説明においてノズルN1とノズルN2と区別する必要がない場合、単にノズルNと称する場合がある。
【0068】
吐出モジュール23は、配線部材388、ケース660、保護基板641、流路形成基板642、連通板630、コンプライアンス基板620、及びノズルプレート623を有する。
【0069】
流路形成基板642には、一方面側から異方性エッチングすることにより複数の隔壁によって区画された圧力室CB1がノズルN1に対応して並設されているとともに、一方面側から異方性エッチングすることにより複数の隔壁によって区画された圧力室CB2がノズルN2に対応して並設されている。ここで、以下の説明において、圧力室CB1と圧力室CB2とを区別する必要がない場合、単に圧力室CBと称する場合がある。
【0070】
ノズルプレート623は、流路形成基板642の-Z1側に位置している。ノズルプレート623には、n/2個のノズルN1により形成されたノズル列Ln1と、n/2個のノズルN2により形成されたノズル列Ln2とが設けられている。ここで、以下の説明において、ノズルNが開口するノズルプレート623の-Z1側の面を液体噴射面623aと称する場合がある。
【0071】
流路形成基板642の-Z1側であって、ノズルプレート623の+Z1側には、連通板630が位置している。連通板630には、圧力室CB1とノズルN1とを連通するノズル連通路RR1と、圧力室CB2とノズルN2とを連通するノズル連通路RR2とが設けられている。また、連通板630には、圧力室CB1の端部とマニホールドMN1とを連通する圧力室連通路RK1と、圧力室CB2の端部とマニホールドMN2とを連通する圧力室連通路RK2とが、圧力室CB1,CB2のそれぞれに対応して独立して設けられている。
【0072】
マニホールドMN1は、供給連通路RA1と接続連通路RX1とを含む。供給連通路RA1は、連通板630をZ1方向に沿って貫通して設けられ、接続連通路RX1は連通板630をZ1方向に貫通することなく、連通板630のノズルプレート623側に開口してZ1方向の途中まで設けられている。同様に、マニホールドMN2は、供給連通路RA2と接続連通路RX2とを含む。供給連通路RA2は連通板630をZ1方向に沿って貫通して設けられ、接続連通路RX2は連通板630をZ1方向に貫通することなく、連通板630のノズルプレート623側に開口してZ1方向の途中まで設けられている。そして、マニホールドMN1に含まれる接続連通路RX1が圧力室連通路RK1によって対応する圧力室CB1と連通し、マニホールドMN2に含まれる接続連通路RX2が圧力室連通路RK2によって対応する圧力室CB2と連通する。
【0073】
ここで、以下の説明において、ノズル連通路RR1とノズル連通路RR2とを区別する必要がない場合、単にノズル連通路RRと称する場合があり、マニホールドMN1とマニホールドMN2とを区別する必要がない場合、単にマニホールドMNと称する場合がある。同様に、供給連通路RA1と供給連通路RA2とを区別する必要がない場合、単に供給連通路RAと称する場合があり、接続連通路RX1と接続連通路RX2とを区別する必要がない場合、単に接続連通路RXと称する場合がある。
【0074】
流路形成基板642の+Z1側の面には、振動板610が位置している。また、振動板610の+Z1側の面上には、ノズルN1,N2に対応して圧電素子60が2列で形成されている。圧電素子60の一方の電極、及び圧電体層は圧力室CB毎に形成され、圧電素子60の他方の電極は圧力室CBに対して共通の共通電極として構成されている。そして、圧電素子60の一方の電極に、駆動信号選択回路200から駆動信号VOUTが供給され、圧電素子60の他方の電極である共通電極には、基準電圧信号VBSが供給される。
【0075】
流路形成基板642の+Z1側の面には、保護基板641が接合されている。保護基板641は、圧電素子60を保護するための保護空間644を形成する。また、保護基板641には、Z1方向に沿って貫通する貫通孔643が設けられている。圧電素子60の電極から引き出されたリード電極611の端部は、この貫通孔643の内側に露出するように延設される。そして、貫通孔643の内側に露出するリード電極611の端部に配線部材388が電気的に接続される。
【0076】
また、保護基板641及び連通板630には、複数の圧力室CBに連通するマニホールドMNの一部を画成するケース660が固定されている。ケース660は、保護基板641に接合されるとともに、連通板630にも接合されている。具体的には、ケース660は、-Z1側の面に流路形成基板642及び保護基板641が収容される凹部665を有する。凹部665は、保護基板641が接合された流路形成基板642よりも広い開口面積を有する。そして、凹部665に流路形成基板642等が収容された状態で凹部665の-Z1側の開口面が連通板630によって封止される。これにより、ケース660と流路形成基板642及び保護基板641とによって流路形成基板642の外周部に供給連通路RB1及び供給連通路RB2が画成される。ここで、供給連通路RB1と供給連通路RB2とを区別する必要がない場合、単に供給連通路RBと称する場合がある。
【0077】
また、連通板630における供給連通路RA及び接続連通路RXが開口する面には、コンプライアンス基板620が設けられている。このコンプライアンス基板620により、供給連通路RAと接続連通路RXの開口が封止される。このようなコンプライアンス基板620は、封止膜621と固定基板622とを有する。封止膜621は、可撓性を有する薄膜等により形成され、固定基板622は、ステンレス鋼等の金属等の硬質の材料で形成される。
【0078】
ケース660には、マニホールドMNにインクを供給するための導入路661が設けられている。また、ケース660には、保護基板641の貫通孔643に連通しZ1方向に沿って貫通する開口であって、配線部材388が挿通される接続口662が設けられている。
【0079】
配線部材388は、吐出モジュール23とヘッド基板35とを電気的に接続するための可撓性の部材であって、例えば、FPCを用いることができる。また、配線部材388には、集積回路201がCOF(Chip On Film)実装されている。この集積回路201には、前述した駆動信号選択回路200の少なくとも一部が実装されている。
【0080】
以上のように構成された吐出モジュール23では、配線部材388を介して駆動信号選択回路200が出力する駆動信号VOUTと、基準電圧信号VBSとが圧電素子60に供給される。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差の変化により駆動する。この圧電素子60の駆動に伴い、振動板610が上下方向に変位し、圧力室CBの内部圧力が変化する。そして、圧力室CBの内部圧力の変化により、圧力室CBの内部に貯留されるインクが対応するノズルNから吐出される。ここで、吐出モジュール23において、ノズルN、ノズル連通路RR、圧力室CB、圧電素子60、及び振動板610を含む構成が、前述した吐出部600に相当する。
【0081】
図8に戻り、固定板39は、吐出モジュール23の-Z1側に位置している。固定板39は、6個の吐出モジュール23を固定する。具体的には、固定板39は、固定板39をZ1方向に沿って貫通する6個の開口部391を有する。この6個の開口部391のそれぞれから吐出モジュール23の液体噴射面623aが露出する。すなわち、固定板39には、液体噴射面623aが対応する開口部391のそれぞれから露出するように6個の吐出モジュール23が固定される。
【0082】
分配流路37は、吐出モジュール23の+Z1側に位置している。分配流路37の+Z1側の面には、4個の導入部373が設けられている。4個の導入部373は、分配流路37の+Z1側の面からZ1方向に沿って+Z1側に突出する流路管であって、流路構造体34の-Z1側の面に形成された不図示の流路孔と連通する。また、分配流路37の-Z1側の面には、4個の導入部373と連通する不図示の流路管が位置している。この分配流路37の-Z1側の面に位置する不図示の流路管が、6個の吐出モジュール23のそれぞれが有する導入路661と連通する。また、分配流路37は、Z1方向に沿って貫通する6個の開口部371を有する。この6個の開口部371には、6個の吐出モジュール23のそれぞれが有する配線部材388が挿通される。
【0083】
ヘッド基板35は、分配流路37の+Z1側に位置している。ヘッド基板35には、後述する集合基板33と電気的に接続する配線部材FCが取り付けられている。また、ヘッド基板35には、4個の開口部351と切欠部352,353とが形成されている。4個の開口部351には、吐出モジュール23-2~23-5が有する配線部材388が挿通する。そして、4個の開口部351を挿通した吐出モジュール23-2~23-5のそれぞれの配線部材388は、はんだ等によってヘッド基板35と電気的に接続される。また、切欠部352には、吐出モジュール23-1が有する配線部材388が通過し、切欠部353には、吐出モジュール23-6が有する配線部材388が通過する。そして、切欠部352,353のそれぞれを通過した吐出モジュール23-1,23-6のそれぞれが有する配線部材388は、はんだ等によってヘッド基板35と電気的に接続される。
【0084】
また、ヘッド基板35の四隅には4個の切欠部355が形成されている。4個の切欠部355には、導入部373が通過する。そして、切欠部355を通過した4個の導入部373は、ヘッド基板35の+Z1側に位置する流路構造体34に接続される。
【0085】
流路構造体34は、流路プレートSu1及び流路プレートSu2を有する。流路プレートSu1及び流路プレートSu2は、+Z1側に流路プレートSu1が位置し、-Z1側に流路プレートSu2が位置した状態でZ1方向に沿って積層され、接着剤等により互いに接合されている。
【0086】
流路構造体34は、+Z1側の面にZ1方向に沿って+Z1側へ突出する4個の導入部341を有する。4個の導入部341は、流路構造体34の内部に形成されたインク流路を介して、流路構造体34の-Z1側の面に形成された不図示の流路孔と連通している。そして、流路構造体34の-Z1側の面に形成された不図示の流路孔と4個の導入部373とが連通する。また、流路構造体34には、Z1方向に沿って貫通する貫通孔343が形成されている。貫通孔343には、ヘッド基板35と電気的に接続する配線部材FCが挿通する。また、流路構造体34の内部には、導入部341と、-Z1側の面に形成された不図示の流路孔と、を連通するインク流路に加えて、当該インク流路を流れるインクに含まれる異物を補足するためのフィルター等が設けられていてもよい。
【0087】
筐体31は、流路構造体34、ヘッド基板35、分配流路37、及び固定板39の周囲を覆うように位置し、流路構造体34、ヘッド基板35、分配流路37、及び固定板39を支持する。筐体31は、4個の開口部311、集合基板挿通部313、及び保持部材315を有する。
【0088】
4個の開口部311のそれぞれには、流路構造体34が有する4個の導入部341が挿通される。そして、4個の開口部311を挿通した4個の導入部341には、不図示のチューブ等を介して液体容器3からインクが供給される。
【0089】
保持部材315は、集合基板33の一部が集合基板挿通部313を挿通した状態で集合基板33を挟持する。集合基板33には、接続部330が設けられている。接続部330には、ヘッド駆動モジュール10が出力するデータ信号DATA、駆動信号COMA,COMB,COMC、基準電圧信号VBS、及びその他の電源電圧等の各種信号が配線部材30を介して入力される。また、集合基板33には、ヘッド基板35が有する配線部材FCが電気的に接続される。これにより、集合基板33とヘッド基板35とが電気的に接続する。この集合基板33には、前述した復元回路220を含む半導体装置が設けられてもよい。なお、図8では、集合基板33が1個の接続部330を有している場合を図示しているが、この構成に限定されない。例えば、ヘッドユニット5が、複数の配線部材30を有し、ヘッド駆動モジュール10が出力するデータ信号DATA、駆動信号COMA,COMB,COMC、基準電圧信号VBS、及びその他の電源電圧等の各種信号が複数の配線部材30を介して集合基板33に入力される場合、集合基板33は、複数の配線部材30のそれぞれに対応する複数の接続部330を有してもよい。
【0090】
以上のように構成された液体吐出モジュール20では、液体容器3と導入部341とが不図示のチューブ等を介して連通することで液体容器3に貯留されたインクが供給される。そして、液体吐出モジュール20に供給されたインクは、流路構造体34の内部に形成されたインク流路を介して、流路構造体34の-Z1側の面に形成された不図示の流路孔に導かれた後、分配流路37が有する4個の導入部373に供給される。4個の導入部373を介して分配流路37に供給されたインクは、分配流路37の内部に形成された不図示のインク流路において6個の吐出モジュール23毎に対応して分配された後、対応する吐出モジュール23が有する導入路661に供給される。そして、導入路661を介して吐出モジュール23に供給されたインクが、吐出部600に含まれる圧力室CBに貯留される。
【0091】
また、ヘッド駆動モジュール10と液体吐出モジュール20とは、1又は複数の配線部材30で電気的に接続されている。これにより、液体吐出モジュール20には、ヘッド駆動モジュール10が出力する駆動信号COMA,COMB,COMC、基準電圧信号VBS、及びデータ信号DATAを含む各種信号が供給される。液体吐出モジュール20に入力された駆動信号COMA,COMB,COMC、基準電圧信号VBS、及びデータ信号DATAを含む各種信号は、集合基板33、ヘッド基板35を伝搬する。このとき、復元回路220が、データ信号DATAから、吐出モジュール23-1~23-6のそれぞれに対応するクロック信号SCK1~SCK6、印刷データ信号SI1~SI6、及びラッチ信号LAT1~LAT6を生成する。そして、配線部材388に設けられた駆動信号選択回路200を含む集積回路201によって、n個の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTが生成され、対応する吐出部600に含まれる圧電素子60に供給される。その結果、圧電素子60が駆動し、圧力室CBに貯留されるインクが吐出される。
【0092】
4.ヘッド駆動モジュールの構造
次に、図11図13を参照し、ヘッド駆動モジュール10の構造について説明する。ここで、以下の説明では、前述したX1方向、Y1方向、及びZ1方向とは独立した方向であって、互いに直交するX2方向、Y2方向、及びZ2方向を示す矢印を図示している。また、X2方向を示す矢印の起点側を-X2側、先端側を+X2側と称し、Y2方向を示す矢印の起点側を-Y2側、先端側を+Y2側と称し、Z2方向を示す矢印の起点側を-Z2側、先端側を+Z2側と称する場合がある。また、一例として、Z2方向が重力方向と反対の方向、すなわち、上方向である場合について説明する。また、一例として、X2方向と反対の方向が搬送方向である場合について説明する。また、一例として、Y2方向と平行な方向が主走査方向である場合について説明する。また、以下では、一例として、m=6である場合について説明する。なお、本実施形態では、一例として、制御回路100及び変換回路120が、共通のFPGAに含まれる場合について説明する。ただし、変換回路120は、FPGAに含まれない構成であってもよい。
【0093】
図11は、ヘッド駆動モジュール10の構造の一例を示す斜視図である。図11に示すように、ヘッド駆動モジュール10は、第1回路基板B1と、第2回路基板B2と、制御回路100と、変換回路120と、6個の駆動回路部DRV1~DRV6と、第1コネクターCN1と、第2コネクターCN2と、第3コネクターCN3と、第4コネクターCN4と、を有する。なお、6個の駆動回路部DRV1~DRV6を区別する必要がない場合には、単に駆動回路部DRVと称する場合がある。
【0094】
第1回路基板B1は、ヘッド駆動モジュール10に含まれる各部材へ電力を供給する電源ボードである。また、第1回路基板B1は、ヘッド駆動モジュール10が液体吐出モジュール20と接続される場合において、図11において図示しない液体吐出モジュール20よりも+Z2側に配置される基板である。また、第1回路基板B1は、第1回路基板B1が有する2つの面である第1面M1及び第2面M2それぞれの長手方向がZ2方向に向かって延伸し、第1面M1及び第2面M2それぞれの短手方向がY2方向に向かって延伸する平板状の基板である。
【0095】
ここで、本実施形態において、ある部材の長手方向又は短手方向がある方向に向かって延伸することは、当該部材が当該方向に延伸することと、当該部材が当該方向と斜交する方向に延伸することとのいずれのことを意味してもよい。以下では、一例として、図11に示したように、第1回路基板B1が、第1面M1及び第2面M2それぞれの長手方向がZ2方向へ延伸し、第1面M1及び第2面M2それぞれの短手方向がY2方向へ延伸する平板状の基板である場合について説明する。
【0096】
なお、第1回路基板B1は、配線部材30を介して液体吐出モジュール20に接続される構成であるとしたが、配線部材30を介さずに、液体吐出モジュール20の集合基板33にBtoB(Board to Board)接続される構成であってもよい。ここで、BtoB接続とは、2つの基板を、電線やフレキシブル配線基板等を介さずに、基板上に実装された一対のコネクターによって電気的に接続することを意味する。配線部材30を介さずにBtoB接続される場合には、ヘッド駆動モジュール10で生成した駆動信号COMA,COMB,COMCが、選択回路230に入力されるまでに伝搬される配線経路が短くなり、駆動信号COMA,COMB,COMCが配線経路のインダクタンスから受ける影響が低減する。従って、選択回路230から出力されて圧電素子60に印加される駆動信号VOUTの精度が向上し、液体吐出モジュール20の吐出安定性が向上する。
【0097】
第1回路基板B1の第1面M1上には、6個の駆動回路部DRV、第2回路基板B2等が搭載されている。また、第1回路基板B1の第1面M1が有する端部のうち-Z2側の端部には、第1コネクターCN1が設けられている。また、第1回路基板B1の第2面M2が有する端部のうち+Z2側の端部には、第2コネクターCN2、第3コネクターCN3のそれぞれが設けられている。このように、第1回路基板B1は、第1コネクターCN1と、第2コネクターCN2と、第3コネクターCN3と、をそれぞれを有する。
【0098】
第1コネクターCN1は、駆動回路52a、駆動回路52b、駆動回路52cのそれぞれから出力される駆動信号COMA,COMB,COMCが伝送される伝送ケーブルが接続されるコネクターである。第1コネクターCN1には、液体吐出モジュール20、又は、液体吐出モジュール20に接続された配線部材30が接続される。このため、駆動回路52a、駆動回路52b、駆動回路52cから出力される駆動信号COMA,COMB,COMCは、第1コネクターCN1を介して液体吐出モジュール20へ出力される。図11に示した例では、第1コネクターCN1は、第1回路基板B1が有する2つの面のうちの第1面M1上及び第2面M2上のそれぞれに設けられている。
【0099】
第2コネクターCN2及び第3コネクターCN3は、電源ボードである第1回路基板B1に電力を供給する電源ケーブルが接続されるコネクターである。第2コネクターCN2及び第3コネクターCN3は、第1回路基板B1の第2面M2上に設けられている。なお、第2コネクターCN2及び第3コネクターCN3は、第1回路基板B1の第1面M1上に設けられる構成であってもよい。
【0100】
6個の駆動回路部DRVのうちのi番目の駆動回路部DRViは、第1回路基板B1の第1面M1上に設けられる。換言すると、駆動回路部DRViは、第1回路基板B1の第1面M1上に接続される。駆動回路部DRViは、駆動信号出力回路50-iを備える。すなわち、駆動回路部DRViは、図11において図示しない駆動回路52a、駆動回路52b、駆動回路52cの3つの駆動回路と、基準電圧出力回路53とを含んで構成される。ここで、iは、1~6のうちのいずれかの整数である。
【0101】
また、駆動回路部DRViは、駆動信号出力回路50-iが実装された第3回路基板B3と、ヒートシンクHS2を含む。
【0102】
ここで、第3回路基板B3は、図11に示したように、第1回路基板B1とBtoB接続して、第1回路基板B1に対して起立している。このため、第3回路基板B3と他の基板との接続はすべて、第1回路基板B1とのBtoB接続を介する。また、第3回路基板B3は、図12に示したように、平板状の基板であり、駆動信号出力回路50-iが実装される。図12は、駆動回路部DRV1に含まれている第3回路基板B3上における駆動信号出力回路50-1の実装例を示す図である。なお、第3回路基板B3上における駆動信号出力回路50-2~50-6の実装例については、第3回路基板B3上における駆動信号出力回路50-1の実装例と同じであるため、説明を省略する。図12に示した例では、駆動回路部DRV1の第3回路基板B3上には、D級増幅回路として駆動回路52a、駆動回路52b、駆動回路52cのそれぞれを構成する3個の集積回路IC、3個の電界効果トランジスターFET、3個のコイルRC、1個の電解コンデンサーCP等が搭載されている。そして、当該例では、第3回路基板B3上において、3個の集積回路ICと、3個の電界効果トランジスターFETと、3個のコイルRCとは、3個のコイルRC、3個の電界効果トランジスターFETと、3個の集積回路ICの順に、X2方向に向かって並んでいる。また、当該例では、3個の集積回路ICは、Z2方向に向かって並んでいる。また、当該例では、3個の電界効果トランジスターFETは、Z2方向に向かって並んでいる。また、当該例では、コイルRCは、Z2方向に向かって並んでいる。また、当該例では、1個の電解コンデンサーCPは、3個のコイルRCよりも-X2側に位置している。すなわち、当該例では、第3回路基板B3は、駆動信号出力回路50-1の駆動回路52a、駆動回路52b、駆動回路52cよりも第1回路基板B1側に電解コンデンサーCPを搭載している。なお、第3回路基板B3は、電解コンデンサーCPに代えて、他の種類のコンデンサーを搭載している構成であってもよい。
【0103】
また、駆動回路部DRV1の第3回路基板B3が有する端部のうち-X2側の端部には、第5コネクターCN5が設けられている。第5コネクターCN5は、第1回路基板B1に設けられている図示しないコネクターと接続される。これにより、駆動回路部DRV1は、第1回路基板B1に対してBtoB接続される。その結果、駆動回路部DRV1は、第1回路基板B1に対して交差する方向に向かって延伸するように、第1回路基板B1上に接続される。図11に示した例では、駆動回路部DRV1は、第1回路基板B1に対して直交する方向であるX2方向に向かって延伸するように、第1回路基板B1にBtoB接続されている。また、第5コネクターCN5は、駆動回路部DRV1に含まれる駆動回路52a、駆動回路52b、駆動回路52cのそれぞれから出力される駆動信号COMA,COMB,COMCを、第1回路基板B1を介して液体吐出モジュール20へ出力するためのコネクターである。
【0104】
ヒートシンクHS2は、駆動信号出力回路50-iを冷却するためのヒートシンクである。ヒートシンクHS2は、第3回路基板B3上に実装された駆動信号出力回路50-iを第3回路基板B3とともに挟むように第3回路基板B3上に設けられる。図13は、ヒートシンクHS2と駆動信号出力回路50-iと第3回路基板B3との位置関係の一例を示す図である。ここで、図11図13に示した例では、駆動回路部DRViの外形は、略直方体形状である。このような駆動回路部DRViの外形は、駆動回路部DRViに含まれる第3回路基板B3及びヒートシンクHS2によって構成されている。駆動信号出力回路50-iに設けられたヒートシンクHS2は、第1平板部材HS21と、第2平板部材HS22と、第1平板部材HS21と第2平板部材HS22とを接続する第1接続部材HS23と、第1平板部材HS21上に設けられた複数のフィンFnsとを含んで構成される。第1平板部材HS21は、第3回路基板B3上の3個の集積回路ICと、第3回路基板B3上の3個の電界効果トランジスターFETとのそれぞれと接触している平板状の部材である。図13では、図を簡略化するため、第3回路基板B3上の3個の集積回路ICは、1個の直方体形状の物体として示されている。また、図13では、図を簡略化するため、第3回路基板B3上の3個の電界効果トランジスターFETは、1個の直方体形状の物体として示されている。第2平板部材HS22は、第1平板部材HS21と平行な平板形状の部材であり、第1平板部材HS21よりも第3回路基板B3から離れている部材である。また、Y2方向に向かってヒートシンクHS2を見た場合、第2平板部材HS22が有する端部のうち+X2側の端部は、第1平板部材HS21が有する端部のうち-X2側の端部と重なっている。第1接続部材HS23は、これら2つの端部を接続する平板状の部材であり、Y2-Z2平面と平行な部材である。ここで、第2平板部材HS22と第3回路基板B3との間の空間には、第3回路基板B3上に実装された3個のコイルRC、電解コンデンサーCP等が位置する。複数のフィンFnsのそれぞれは、Y2-Z2平面と平行な平板形状のフィンである。ヒートシンクHS2の構成がこのような構成であるため、これら複数のフィンFnsは、Z2方向に沿って流れる気流を略阻害しない。また、図13に示したように、ヒートシンクHS2がX2-Y2平面と平行な平板形状の部材を含まずに構成されているため、Z2方向に沿って流れる気流は、ヒートシンクHS2によって略阻害されない。その結果、Z2方向に沿って流れる気流は、駆動回路部DRViの放熱を効率よく行うことができる。
【0105】
第2回路基板B2は、図11に示したように、平板状の基板であり、制御回路100と、変換回路120とが実装されるインターフェイスボードである。より具体的には、第2回路基板B2は、第1回路基板B1の第1面M1上において、6個の駆動回路部DRVよりも+Z2側に実装される。また、図11に示した例では、第2回路基板B2は、第1回路基板B1にBtoB接続される。なお、第2回路基板B2は、BtoB接続と異なる接続で第1回路基板B1に接続される構成であってもよい。また、第2回路基板B2が有する端部のうち+Z2側の端部には、第4コネクターCN4が設けられている。このため、当該例では、ヘッド駆動モジュール10において、第1コネクターCN1と、6個の駆動回路部DRVと、変換回路120と、第4コネクターCN4とは、第1コネクターCN1、6個の駆動回路部DRV、変換回路120、第4コネクターCN4の順に、Z2方向に向かって並んでいる。
【0106】
第4コネクターCN4は、制御回路100に入力される画像情報信号IP等の信号を伝送する伝送ケーブルが接続されるコネクターである。このため、制御回路100には、第4コネクターCN4を介して画像情報信号IPが入力される。また、第4コネクターCN4は、変換回路120に入力される制御信号を伝搬するコネクターでもある。このため、変換回路120には、第4コネクターCN4を介して制御信号が入力される。ここで、前述した通り、第2回路基板B2は、第1回路基板B1にBtoB接続されている。このため、変換回路120は、第1回路基板B1から第2回路基板B2に供給される電力によって動作する。一方、制御信号は、第1回路基板B1を介さずに、第4コネクターCN4を介して第2回路基板B2に入力される。すなわち、変換回路120は、第1回路基板B1を介さずに、第4コネクターCN4を介して制御信号を受信する。なお、第4コネクターCN4は、例えば、ライトアングルコネクターであるが、これに代えて、他の種類のコネクターであってもよい。
【0107】
5.冷却ユニットの構造
次に、ヘッド駆動モジュール10を冷却する冷却ユニット6の構造について説明する。なお、これ以降、説明を簡単にするために、液体吐出装置1は、同一色のインクを吐出する3個のヘッドユニット5を備えるものとする。つまり、液体吐出装置1は、3個のヘッド駆動モジュール10を備える。この場合、これら3個のヘッドユニット5によってラインヘッドが構成される。ただし、ヘッドユニット5の数、すなわちヘッド駆動モジュール10の数は、3個に限定されない。
【0108】
図14は、冷却ユニット6の構造の一例を示す図であり、冷却ユニット6を-X2側から見た正面図である。図14に示すように、冷却ユニット6は、ダクト700と、吸気ファンFNiと、排気ファンFNoと、3つの吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3と、3つの排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3とを有する。
【0109】
ダクト700は、共通吸気風洞WTiと、共通排気風洞WToと、第1風洞WT1と、第2風洞WT2と、第3風洞WT3と、を含み、冷却用の空気の経路となる。言い換えれば、共通吸気風洞WTiと、共通排気風洞WToと、第1風洞WT1と、第2風洞WT2と、第3風洞WT3とは、ダクト700を構成し、内部の空気が移動できる方向を所定の方向に制限する。第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3は、共通吸気風洞WTiと共通排気風洞WToとの間に配設され、それぞれが共通吸気風洞WTiと共通排気風洞WToとを連通させる。
【0110】
共通吸気風洞WTiは、Y2方向に沿って延在する筒状の風洞である。共通吸気風洞WTiは、ダクト700の吸気口に相当し、+Y2側の開口からハウジングHSの外部の空気を吸入する。共通吸気風洞WTiの-Y2側の開口は、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3それぞれの開口に接続されている。なお、共通吸気風洞WTiは、ハウジングHSの外部に突出していてもよい(図15参照)。
【0111】
第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3は、U字状に屈曲した筒状の風洞である。具体的には、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3は、経路の中央部において、Z2方向に沿って延在しており、-Z2側の端部及び+Z2側の端部は、Y2方向の+Y2側に屈曲している。上述した共通吸気風洞WTiの-Y2側の開口は、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3の-Z2側の開口に接続されている。
【0112】
第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3は、経路の中央部において、Y2方向に沿って配列されている。具体的には、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3は、+Y2側から-Y2側に向かって、第1風洞WT1、第2風洞WT2、第3風洞WT3の順に配列されている。言い換えれば、第2風洞WT2は、U字状の第1風洞WT1の外周に沿って隣接し、第3風洞WT3は、U字状の第2風洞WT2の外周に沿って隣接している。第1風洞WT1と第2風洞WT2とは、板状の部材によって仕切られる構成であってもよいし、空間を隔てて配置される構成であってもよい。同様に、第2風洞WT2と第3風洞WT3とは、板状の部材によって仕切られる構成であってもよいし、空間を隔てて配置される構成であってもよい。
【0113】
共通排気風洞WToは、Y2方向に沿って延在する筒状の風洞であり、共通排気風洞WToの-Y2側の開口は、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3それぞれの+Z2側の開口に接続されている。共通排気風洞WToは、ダクト700の排気口に相当し、+Y2側の開口からハウジングHSの外部に空気を排出する。なお、共通排気風洞WTiは、ハウジングHSの外部に突出していてもよい(図15参照)。
【0114】
吸気ファンFNiは、共通吸気風洞WTi内に配置され、共通吸気風洞WTiの+Y2側の開口からハウジングHSの外部の空気を吸入して、ダクト700内に送風する。また、排気ファンFNoは、共通排気風洞WTo内に配置され、ダクト700内の空気を、共通排気風洞WToの+Y2側の開口からハウジングHSの外部に排出する。つまり、吸気ファンFNi及び排気ファンFNoの回転により、ダクト700内に気流が発生する。ハウジングHSの外部から共通吸気風洞WTiに吸入された空気は、第1風洞WT1を通る経路と、第2風洞WT2を通る経路と、第3風洞WT3を通る経路とに分配される。そして、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3を通過した空気は、共通排気風洞WTo内で合流し、ハウジングHSの外部に排出される。なお、ダクト700は、吸気口である共通吸気風洞WTiの+Y2側の開口と、排気口である共通排気風洞WToの+Y2側の開口以外で空気の出入りがないように構成されていることが望ましい。このように構成すれば、ダクト700内の空気の移動方向を所定の方向に制限することが可能となり、ハウジングHS内の空気がダクト700内に流入することを抑制できる。このため、吐出部600からのインクの吐出に伴い、吐出されたインクの一部が、霧状のインクミストとしてハウジングHS内に浮遊している場合であっても、ダクト700内にインクミストが入り込む恐れを低減することできる。
【0115】
吸気側調整部RVi1は、第1風洞WT1の-Z2側の開口の近傍に配置され、吸気側調整部RVi2は、第2風洞WT2の-Z2側の開口の近傍に配置され、吸気側調整部RVi3は、第3風洞WT3の-Z2側の開口の近傍に配置される。吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3は、調整弁であり、それぞれ第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3の-Z2側の開口の開口面積を調整可能である。このため、吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3により、共通吸気風洞WTiから第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3内に吸入される空気の量を調整することができる。つまり、共通吸気風洞WTiに吸入された空気は、吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3の調整状態に応じて、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3に分配される。
【0116】
排気側調整部RVo1は、第1風洞WT1の+Z2側の開口の近傍に配置され、排気側調整部RVo2は、第2風洞WT2の+Z2側の開口の近傍に配置され、排気側調整部RVo3は、第3風洞WT3の+Z2側の開口の近傍に配置される。排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3は、調整弁であり、それぞれ第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3の+Z2側の開口の開口面積を調整可能である。このため、排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3により、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3から共通排気風洞WToに排出される空気の量を調整することができる。つまり、排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3の調整状態に応じた量の空気が第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3から共通排気風洞WToに排出される。
【0117】
3個のヘッド駆動モジュール10は、それぞれ第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3の内部に配置される。具体的には、3個のヘッド駆動モジュール10は、それぞれ第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3における経路の中央部に、Z2方向に沿って配置される。以下の説明では、第1風洞WT1内に配置されるヘッド駆動モジュール10をヘッド駆動モジュール10-1と称し、第2風洞WT2内に配置されるヘッド駆動モジュール10をヘッド駆動モジュール10-2と称し、第3風洞WT3内に配置されるヘッド駆動モジュール10をヘッド駆動モジュール10-3と称する場合がある。つまり、ヘッド駆動モジュール10-1は、第1風洞WT1の内部を通る気流によって冷却され、ヘッド駆動モジュール10-2は、第2風洞WT2の内部を通る気流によって冷却され、ヘッド駆動モジュール10-3は、第3風洞WT3の内部を通る気流によって冷却される。
【0118】
なお、ヘッド駆動モジュール10は、一部が第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3からはみ出すように構成されてもよい。また、第1回路基板B1等、ヘッド駆動モジュール10の一部が、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3の一部を構成してもよい。ただし、ヘッド駆動モジュール10の中でも、駆動回路部DRVのように、特に冷却が必要な部位や、インクミストの付着により短絡が生じる恐れがある部位については、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3の内部に配置される。
【0119】
このように構成された冷却ユニット6は、吸気ファンFNi、又は排気ファンFNo、又はその双方を駆動することでダクト700内に気流を発生させ、ヘッド駆動モジュール10を冷却することができる。吸気ファンFNiと排気ファンFNoの双方を駆動する場合、吸気ファンFNiの送風量が、排気ファンFNoの送風量と比して大きくなるように構成することが好ましい。これによりダクト700内を正圧にすることができるため、ダクト700内にインクミストが流入する恐れをより低減することができる。
【0120】
ここで、第1風洞WT1を通る気流の経路を第1経路と称し、第2風洞WT2を通る気流の経路を第2経路と称し、第3風洞WT3を通る気流の経路を第3経路と称する。つまり、第1風洞WT1は、気流を第1経路に導き、第2風洞WT2は、気流を第2経路に導き、第3風洞WT3は、気流を第3経路に導く。第1経路、第2経路、及び第3経路は、互いに異なる経路である。冷却ユニット6は、吸気側調整部RVi1、及び排気側調整部RVo1のいずれか一方又は双方を調整することで第1経路を通過する空気の量、すなわち第1風洞WT1への送風量を調整することができる。同様に、冷却ユニット6は、吸気側調整部RVi2、及び排気側調整部RVo2のいずれか一方又は双方を調整することで第2経路を通過する空気の量、すなわち第2風洞WT2への送風量を調整することができる。そして、冷却ユニット6は、吸気側調整部RVi3、及び排気側調整部RVo3のいずれか一方又は双方を調整することで第3経路を通過する空気の量、すなわち第3風洞WT3への送風量を調整することができる。このような構成により、冷却ユニット6は、ヘッド駆動モジュール10-1、ヘッド駆動モジュール10-2、ヘッド駆動モジュール10-3のそれぞれの冷却速度を調整することができる。
【0121】
吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3、及び排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3は、手動で調整される構成であってもよいし、制御ユニット2が出力する冷却制御信号に基づいて調整される構成であってもよい。また、吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3、及び排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3の一部は手動で調整され、他の一部は冷却制御信号に基づいて調整される構成であってもよい。吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3、及び排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3の少なくとも一部が冷却制御信号、すなわち制御ユニット2の制御によって調整される構成である場合、これらは、例えば、ヘッド駆動モジュール10の発熱量に基づいて調整される。この場合には、各ヘッド駆動モジュール10に温度センサーを取り付けることにより、各ヘッド駆動モジュール10の発熱量を検知することができる。そして、制御ユニット2は、検知された発熱量に基づいて、吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3、及び排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3の少なくとも一部を調整する。具体的には、制御ユニット2は、発熱量が大きいヘッド駆動モジュール10が配置されている風洞への送風量が大きくなるように、冷却制御信号を冷却ユニット6に出力する。例えば、ヘッド駆動モジュール10-1の発熱量が、ヘッド駆動モジュール10-2の発熱量と比して大きいとき、制御ユニット2は、第1風洞WT1への送風量が第2風洞WT2への送風量より大きくなるように吸気側調整部RVi1,RVi2、及び排気側調整部RVo1,RVo2を制御する。或いは、媒体Pに形成される画像の態様に応じて、ヘッド駆動モジュール10の発熱量が変化するため、制御ユニット2は、画像情報信号IPに基づいて、吸気側調整部RVi1,RVi2,RVi3、及び排気側調整部RVo1,RVo2,RVo3の少なくとも一部を調整してもよい。
【0122】
図15図17は、ヘッドユニット5及び冷却ユニット6を示す図であり、図15は、-X2側から見た正面図、図16は、+Y2側から見た側面図、図17は、略+X2側から見た斜視図である。図15には、ハウジングHSの外形が二点鎖線で示されている。
【0123】
なお、ヘッド駆動モジュール10-1に接続される液体吐出モジュール20及び配線部材30を、それぞれ液体吐出モジュール20-1及び配線部材30-1と称し、ヘッド駆動モジュール10-1、液体吐出モジュール20-1、及び配線部材30-1を含むヘッドユニット5をヘッドユニット5-1と称する。また、ヘッド駆動モジュール10-2に接続される液体吐出モジュール20及び配線部材30を、それぞれ液体吐出モジュール20-2及び配線部材30-2と称し、ヘッド駆動モジュール10-2、液体吐出モジュール20-2、及び配線部材30-2を含むヘッドユニット5をヘッドユニット5-2と称する。また、ヘッド駆動モジュール10-3に接続される液体吐出モジュール20及び配線部材30を、それぞれ液体吐出モジュール20-3及び配線部材30-3と称し、ヘッド駆動モジュール10-3、液体吐出モジュール20-3、及び配線部材30-3を含むヘッドユニット5をヘッドユニット5-3と称する。
【0124】
図15に示すように、冷却ユニット6は、ハウジングHSの内部において、ヘッドユニット5-1,5-2,5-3に取り付けられる。ダクト700を構成する共通吸気風洞WTiの+Y2側の開口、及びダクト700を構成する共通排気風洞WToの+Y2側の開口は、ともにハウジングHSの+Y側の面から露出する。つまり、ダクト700は、共通吸気風洞WTi及び共通排気風洞WToを介して、ハウジングHSの外部と連通する。
【0125】
図15図17に示すように、ダクト700の内部に配置されたヘッド駆動モジュール10-1,10-2,10-3の-Z2側の端部は、ダクト700の-X2側において、ダクト700の外部、すなわち第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3の外部に露出している。そして、液体吐出モジュール20-1は、第1風洞WT1の外部に配置されており、配線部材30-1を介してヘッド駆動モジュール10-1に接続されている。同様に、液体吐出モジュール20-2は、第2風洞WT2の外部に配置されており、配線部材30-2を介してヘッド駆動モジュール10-2に接続されている。また、液体吐出モジュール20-3は、第3風洞WT3の外部に配置されており、配線部材30-3を介してヘッド駆動モジュール10-3に接続されている。このように、ヘッド駆動モジュール10-1,10-2,10-3がダクト700の内部に配置される一方で、液体吐出モジュール20-1,20-2,20-3は、ダクト700の外部に配置される。つまり、ヘッド駆動モジュール10と液体吐出モジュール20とは、ダクト700によって隔てられている。このため、液体吐出モジュール20から発生したインクミストがヘッド駆動モジュール10に付着して、ヘッド駆動モジュール10において短絡が生じてしまう恐れが低減される。さらに、液体吐出モジュール20は、ハウジングHSの内部に配置される一方で、ダクト700には、ハウジングHSの外部の空気が吸入されるため、ダクト700内にインクミストが吸入される恐れが一層低減される。また、ヘッド駆動モジュール10と液体吐出モジュール20とがダクト700によって隔てられているため、液体吐出モジュール20から吐出されるインクに、冷却のための気流が当たることが抑制される。このため、媒体P上におけるインクの着弾位置、すなわち吐出位置の精度を向上することができる。さらに、ダクト700内の空気がハウジングHSの外部に排出されるため、液体吐出モジュール20から吐出されるインクに、冷却のための気流が当たることが一層抑制される。
【0126】
6.変形例
以上、この開示の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。例えば、以下のような変更が可能である。
【0127】
上記実施形態では、冷却ユニット6がハウジングHSの外部の空気を吸入してヘッド駆動モジュール10を冷却する構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、冷却ユニット6は、ハウジングHSの外部と連通するダクト700の代わりに、閉回路であるダクト701を備える構成であってもよい。図18に示すように、ダクト701には、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3が含まれ、これらの風洞に配置されたヘッド駆動モジュール10-1,10-2,10-3は、ダクト701内を循環する空気によって冷却される。この構成において、冷却ユニット6は、例えば、熱交換部HEと、冷却液タンクCLTと、ラジエーターRDとをさらに備える。そして、ヘッド駆動モジュール10を冷却することによって温度が上昇したダクト701内の空気は、熱交換部HEにて、冷却液タンクCLTから供給される冷却液と熱交換することによって冷却される。熱交換後の冷却液は、ラジエーターRDで冷却された後に冷却液タンクCLTに戻される。この構成によれば、ダクト701内には、外部の空気が吸入されないため、ダクト701の内部にインクミストが流入する恐れを一層低減できる。
【0128】
上記実施形態では、1組の吸気ファンFNi及び排気ファンFNoによって、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3内に気流を生じさせているが、この構成に限定されない。例えば、第1風洞WT1、第2風洞WT2、及び第3風洞WT3のそれぞれに、個別に吸気ファンFNi及び排気ファンFNoのいずれか一方又は双方を配置する構成としてもよい。さらに、制御ユニット2の制御により、各吸気ファンFNi及び各排気ファンFNoの回転数、すなわち送風量を変更できる構成とすれば、風洞毎に調整弁を備える必要はなくなる。この場合、吸気ファンFNi及び排気ファンFNoが調整部に相当する。
【0129】
上記実施形態では、同色のインクを吐出する複数のヘッドユニット5がラインヘッドとしてY2方向に沿って1列に配列された例を示したが、液体吐出装置1が複数色のインクを吐出する構成の場合には、色毎のラインヘッドをX2方向に配列させてもよい。この場合、複数のヘッドユニット5は、Z2方向から見てマトリクス状に配置される。また、このような構成において、すべてのヘッドユニット5のヘッド駆動モジュール10が、共通の冷却ユニット6によって冷却される構成であってもよい。つまり、すべてのヘッド駆動モジュール10が共通のダクト700内に配置されてもよい。或いは、液体吐出装置1が色毎に冷却ユニット6を備え、複数の冷却ユニット6がX2方向に配列される構成であってもよい。
【0130】
なお、上記において説明した事項は、如何様に組み合わされてもよい。
【0131】
7.作用効果
以上説明したように、実施形態に係る液体吐出装置は、第1駆動信号を生成する第1駆動回路と、第2駆動信号を生成する第2駆動回路と、前記第1駆動信号に基づいて、媒体に液体を吐出する第1吐出部と、前記第2駆動信号に基づいて、媒体に液体を吐出する第2吐出部と、気流を発生させる送風部と、前記気流を第1経路に導く第1風洞と、前記気流を前記第1経路とは異なる第2経路に導く第2風洞と、を含み、前記第1駆動回路は、前記第1風洞の内部に配置され、前記第2駆動回路は、前記第2風洞の内部に配置され、前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記第1風洞及び前記第2風洞の外部に配置される。
【0132】
この構成によれば、インクミストを生じ得る第1吐出部及び第2吐出部と、インクミストによって短絡が生じ得る第1駆動回路及び第2駆動回路とを、第1風洞及び第2風洞によりそれぞれ別々の空間に隔てることができるため、第1駆動回路及び第2駆動回路において短絡が生じてしまう可能性を低減することができる。さらに、第1駆動回路と第2駆動回路とが別々の風洞内に配置されるため、一方の風洞内にインクミストが入り込んでしまった場合であっても、他方の風洞内に配置されている駆動回路において短絡が生じてしまう可能性を低減することができる。また、空冷による冷却であるため、第1駆動回路及び第2駆動回路がコイルやコンデンサー等の基板から突出している電子部品を有している場合であっても、これらを効率的に冷却することができる。
【0133】
なお、上記において説明した例では、液体吐出装置1が、当該液体吐出装置の一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-1に含まれる駆動回路部DRVが、当該第1駆動回路の一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-1の駆動回路部DRVが出力する駆動信号COMA,COMB,COMCが当該第1駆動信号の一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-2に含まれる駆動回路部DRVが、当該第2駆動回路の一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-2の駆動回路部DRVが出力する駆動信号COMA,COMB,COMCが当該第2駆動信号の一例である。また、上記において説明した例では、液体吐出モジュール20-1に含まれる吐出部600が、当該第1吐出部の一例である。また、上記において説明した例では、液体吐出モジュール20-2に含まれる吐出部600が、当該第2吐出部の一例である。また、上記において説明した例では、吸気ファンFNi及び排気ファンFNoが、当該送風部の一例である。また、上記において説明した例では、第1風洞WT1が、当該第1風洞の一例である。また、上記において説明した例では、第2風洞WT2が、当該第2風洞の一例である。
【0134】
また、実施形態に係る液体吐出装置は、前記第1風洞への送風量と、前記第2風洞への送風量とを調整する調整部をさらに含む。
【0135】
この構成によれば、第1駆動回路及び第2駆動回路の発熱量等に応じて、第1風洞への送風量、及び第2風洞への送風量を調整できるため、第1駆動回路及び第2駆動回路の冷却を効率的に行うことができる。なお、上記において説明した例では、吸気側調整部RVi1,RVi2、及び排気側調整部RVo1,RVo2のうち少なくとも1つが、当該調整部の一例である。
【0136】
また、実施形態に係る液体吐出装置は、前記第1駆動回路の発熱量が前記第2駆動回路の発熱量と比して大きいとき、前記第1風洞への送風量が前記第2風洞への送風量より大きくなるように前記調整部を制御する制御部をさらに含む。
【0137】
この構成によれば、制御部が、発熱量が大きい駆動回路が配置されている風洞への送風量を大きくするため、第1駆動回路及び第2駆動回路の冷却を効率的に行うことができる。なお、上記において説明した例では、制御ユニット2が、当該制御部の一例である。
【0138】
また、実施形態に係る液体吐出装置は、前記第1駆動回路、前記第2駆動回路、前記第1吐出部、及び前記第2吐出部を内包するハウジングをさらに含み、前記第1風洞及び前記第2風洞は、前記ハウジングの内部に配設されるダクトを構成し、前記ダクトは、前記ハウジングの外部から空気を吸入する吸気口を備える。
【0139】
この構成によれば、第1吐出部及び第2吐出部を内包するハウジングの外部にある空気が、ダクトの内部に吸入されるため、第1駆動回路及び第2駆動回路が受けるインクミストの影響を低減することができる。なお、上記において説明した例では、ハウジングHSが、当該ハウジングの一例である。また、上記において説明した例では、ダクト700が、当該ダクトの一例である。また、上記において説明した例では、共通吸気風洞WTiが、当該吸気口の一例である。
【0140】
また、実施形態に係る液体吐出装置において、前記ダクトは、前記ハウジングの外部に空気を排出する排気口を備える。
【0141】
この構成によれば、第1吐出部及び第2吐出部を内包するハウジングの外部に空気が排出されるため、ダクトからの排気が第1吐出部及び第2吐出部から吐出される液体に与える影響を低減することが可能となり、媒体P上における液体の吐出位置の精度を向上することができる。なお、上記において説明した例では、共通排気風洞WToが、当該排気口の一例である。
【0142】
また、実施形態に係る液体吐出装置において、前記送風部は、前記吸気口から空気を吸入する第1送風部と、前記排気口から空気を排出する第2送風部と、を含み、前記第1送風部の送風量は、前記第2送風部の送風量より大きい。
【0143】
この構成によれば、ダクトの内部が正圧となるため、ダクト内にインクミストが浸入する可能性が低減する。このため、第1駆動回路及び第2駆動回路が受けるインクミストの影響を低減することができる。なお、上記において説明した例では、吸気ファンFNiが、当該第1送風部の一例である。また、上記において説明した例では、排気ファンFNoが、当該第2送風部の一例である。
【0144】
また、変形例に係る液体吐出装置は、熱交換を行う熱交換部をさらに含み、前記第1風洞及び前記第2風洞は、ダクトを構成し、前記ダクトは、空気が循環する閉回路であり、前記ダクト内の空気は、前記熱交換部により冷却される。
【0145】
この構成によれば、ダクトが閉回路であるため、ダクトの内部にインクミストが流入する恐れを一層低減できる。なお、上記において説明した例では、熱交換部HEが、当該熱交換部の一例である。また、上記において説明した例では、ダクト701が、当該ダクトの一例である。
【0146】
また、実施形態に係る液体吐出装置において、前記第1駆動回路は、第1基板を有する第1モジュールに含まれ、前記第1吐出部は、第2基板を有する第2モジュールに含まれ、前記第1基板と前記第2基板とは、BtoB接続される。
【0147】
この構成によれば、第1駆動回路を含む第1モジュールの第1基板と、第1吐出部を含む第2モジュールの第2基板とがBtoB接続されるため、第1駆動信号が伝搬される経路が短くなり、第1駆動信号が乱れる恐れを低減することができる。なお、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-1が、当該第1モジュールの一例である。また、上記において説明した例では、液体吐出モジュール20-1が、当該第2モジュールの一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-1の第1回路基板B1が、当該第1基板の一例である。また、上記において説明した例では、液体吐出モジュール20-1の集合基板33が、当該第2基板の一例である。
【0148】
また、実施形態に係る冷却ユニットは、第1駆動信号を生成する第1駆動回路、及び前記第1駆動信号に基づいて媒体に液体を吐出する第1吐出部を備える第1ヘッドユニットと、第2駆動信号を生成する第2駆動回路、及び前記第2駆動信号に基づいて媒体に液体を吐出する第2吐出部を備える第2ヘッドユニットと、に取り付けられる冷却ユニットであって、気流を発生させる送風部と、前記気流を第1経路に導く第1風洞と、前記気流を前記第1経路とは異なる第2経路に導く第2風洞と、を含み、前記第1駆動回路は、前記第1風洞の内部に配置され、前記第2駆動回路は、前記第2風洞の内部に配置され、前記第1吐出部及び前記第2吐出部は、前記第1風洞及び前記第2風洞の外部に配置される。
【0149】
この構成によれば、インクミストを生じ得る第1吐出部及び第2吐出部と、インクミストによって短絡が生じ得る第1駆動回路及び第2駆動回路とを、第1風洞及び第2風洞によりそれぞれ別々の空間に隔てることができるため、第1駆動回路及び第2駆動回路において短絡が生じてしまう可能性を低減することができる。さらに、第1駆動回路と第2駆動回路とが別々の風洞内に配置されるため、一方の風洞内にインクミストが入り込んでしまった場合であっても、他方の風洞内に配置されている駆動回路において短絡が生じてします可能性を低減することができる。また、空冷による冷却であるため、第1駆動回路及び第2駆動回路がコイルやコンデンサー等の基板から突出している電子部品を有している場合であっても、これらを効率的に冷却することができる。
【0150】
なお、上記において説明した例では、冷却ユニット6が、当該冷却ユニットの一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-1に含まれる駆動回路部DRVが、当該第1駆動回路の一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-1の駆動回路部DRVが出力する駆動信号COMA,COMB,COMCが当該第1駆動信号の一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-2に含まれる駆動回路部DRVが、当該第2駆動回路の一例である。また、上記において説明した例では、ヘッド駆動モジュール10-2の駆動回路部DRVが出力する駆動信号COMA,COMB,COMCが当該第2駆動信号の一例である。また、上記において説明した例では、液体吐出モジュール20-1に含まれる吐出部600が、当該第1吐出部の一例である。また、上記において説明した例では、液体吐出モジュール20-2に含まれる吐出部600が、当該第2吐出部の一例である。また、上記において説明した例では、吸気ファンFNi及び排気ファンFNoが、当該送風部の一例である。また、上記において説明した例では、第1風洞WT1が、当該第1風洞の一例である。また、上記において説明した例では、第2風洞WT2が、当該第2風洞の一例である。
【符号の説明】
【0151】
1…液体吐出装置、2…制御ユニット、3…液体容器、4…搬送ユニット、5,5-1,5-2,5-3…ヘッドユニット、6…冷却ユニット、10,10-1,10-2,10-3…ヘッド駆動モジュール、20,20-1,20-2,20-3…液体吐出モジュール、23,23-1~23-m…吐出モジュール、30,30-1,30-2,30-3…配線部材、31…筐体、33…集合基板、34…流路構造体、35…ヘッド基板、37…分配流路、39…固定板、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、50-1~50-m…駆動信号出力回路、52a,52b,52c…駆動回路、53…基準電圧出力回路、60…圧電素子、100…制御回路、120…変換回路、200…駆動信号選択回路、201…集積回路、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、220…復元回路、230…選択回路、232a,232b,232c…インバーター、234a,234b,234c…トランスファーゲート、311…開口部、313…集合基板挿通部、315…保持部材、330…接続部、341…導入部、343…貫通孔、351…開口部、352,353,355…切欠部、371…開口部、373…導入部、388…配線部材、391…開口部、600…吐出部、610…振動板、611…リード電極、620…コンプライアンス基板、621…封止膜、622…固定基板、623…ノズルプレート、623a…液体噴射面、630…連通板、641…保護基板、642…流路形成基板、643…貫通孔、644…保護空間、660…ケース、661…導入路、662…接続口、665…凹部、700,701…ダクト、Adp,Bdp,Cdp…台形波形、B1…第1回路基板、B2…第2回路基板、B3…第3回路基板、CB,CB1,CB2…圧力室、CLT…冷却液タンク、CN1…第1コネクター、CN2…第2コネクター、CN3…第3コネクター、CN4…第4コネクター、CN5…第5コネクター、COMA,COMB,COMC,COMA1~COMAm,COMB1~COMBm,COMC1~COMCm…駆動信号、CP…電解コンデンサー、dA1,dB1,dC1…基駆動信号、DATA…データ信号、dDATA…基データ信号、DRV,DRV1~DRV6…駆動回路部、FC…配線部材、FET…電界効果トランジスター、FNi…吸気ファン、FNo…排気ファン、Fns…フィン、HE…熱交換部、HS…ハウジング、HS2…ヒートシンク、HS21…第1平板部材、HS22…第2平板部材、HS23…第1接続部材、IC…集積回路、IP…画像情報信号、LAT,LAT1~LATm…ラッチ信号、Ln1,Ln2…ノズル列、M1…第1面、M2…第2面、MN,MN1,MN2…マニホールド、N,N1,N2…ノズル、P…媒体、RA,RA1,RA2…供給連通路、RB,RB1,RB2…供給連通路、RC…コイル、RD…ラジエーター、RK1,RK2…圧力室連通路、RR,RR1,RR2…ノズル連通路、RVi1,RVi2,RVi3…吸気側調整部、RVo1,RVo2,RVo3…排気側調整部、RX,RX1,RX2…接続連通路、S1,S2,S3…選択信号、SCK,SCK1~SCKm…クロック信号、SI,SI1~SIm…印刷データ信号、Su1…流路プレート、Su2…流路プレート、T…周期、VBS,VBS1~VBSm…基準電圧信号、Vc…電圧、VOUT…駆動信号、WT1…第1風洞、WT2…第2風洞、WT3…第3風洞、WTi…共通吸気風洞、WTo…共通排気風洞。
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