(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136672
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】発光装置、表示装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 33/60 20100101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L33/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047858
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 泰斗
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA04
5F142AA14
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD15
5F142CE06
5F142CE13
5F142CF13
5F142CF23
5F142CG07
5F142CG27
5F142DB12
5F142DB13
5F142FA21
5F142FA32
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】光の取り出し効率を向上できる発光装置を提供する。
【解決手段】第1電極と、透光性を有する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、第1導電型を有する第1半導体層と、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、前記第1電極と前記第1半導体層との間に設けられ、前記発光層で発生した光を前記第2電極側に反射させて集光させる反射層と、を有する、発光装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
透光性を有する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、第1導電型を有する第1半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
前記第1電極と前記第1半導体層との間に設けられ、前記発光層で発生した光を前記第2電極側に反射させて集光させる反射層と、
を有する、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記反射層の前記第1半導体層側の面は、凹面である、発光装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記反射層と前記第1半導体層との間に設けられたフレネルレンズを有する、発光装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記第2電極の前記第2半導体層とは反対側に設けられ、前記発光層で発生した光を集光させる集光部を有する、発光装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記発光層の側方に設けられ、前記発光層で発生した光を前記集光部に向けて反射させる金属層を有する、発光装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1半導体層、前記発光層、および前記第2半導体層は、複数の柱状部を構成する、発光装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置を有する、表示装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置を有する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、表示装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)などの発光素子を有する発光装置は、表示装置などの光源に適用される。
【0003】
例えば特許文献1には、各々が、光出射面を有している第1導電層、発光層および第2導電層をこの順に積層して構成された半導体層を有しているとともに、第2導電層に接する第1電極と、第1導電層に接する第2電極とを有し、発光層から光出射面を介して光を出射する複数の発光素子を備えた発光デバイスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような発光デバイスでは、光の取り出し効率を向上させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置の一態様は、
第1電極と、
透光性を有する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、第1導電型を有する第1半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
前記第1電極と前記第1半導体層との間に設けられ、前記発光層で発生した光を前記第2電極側に反射させて集光させる反射層と、
を有する。
【0007】
本発明に係る表示装置の一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0008】
本発明に係る電子機器の一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図2】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図3】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図4】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図5】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図6】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図7】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図8】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図9】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図10】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図11】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図12】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図13】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図14】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図15】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図16】本実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図17】本実施形態の第1変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図18】本実施形態の第1変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図19】本実施形態の第2変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図20】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【
図21】本実施形態に係るディスプレイを模式的に示す平面図。
【
図22】本実施形態に係るディスプレイを模式的に示す断面図。
【
図23】本実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを模式的に示す斜視図。
【
図24】本実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの像形成装置および導光装置を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1. 発光装置
1.1. 構成
まず、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。
【0012】
発光装置100は、
図1に示すように、基板10と、積層体20と、レンズ30と、反射層32と、第1電極40と、第2電極42と、絶縁層50と、金属層52と、絶縁層60と、パッド70と、プラグ72と、配線層74と、集光部80と、透光層82と、を有している。
【0013】
基板10は、例えば、シリコン基板である。
【0014】
積層体20は、基板10と離隔している。積層体20は、第1半導体層22と、発光層24と、第2半導体層26と、を有している。第1半導体層22、発光層24、および第2半導体層26は、例えば、III族窒化物半導体であり、ウルツ鉱型結晶構造を有している。
【0015】
第1半導体層22は、レンズ30上に設けられている。第1半導体層22は、第1電極40と第2電極42との間に設けられている。第1半導体層22は、第1導電型を有している。第1半導体層22は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。
【0016】
なお、本明細書では、第1半導体層22および発光層24の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、発光層24を基準とした場合、発光層24から第2半導体層26に向かう方向を「上」とし、発光層24から第1半導体層22に向かう方向を「下」として説明する。また、積層方向と直交する方向を「側方」ともいう。
【0017】
発光層24は、第1半導体層22上に設けられている。発光層24は、第1半導体層22と第2半導体層26との間に設けられている。発光層24は、不純物が意図的にドープされていないi型の導電型を有している。発光層24は、電流が注入されることで光を発生させる。発光層24は、例えば、ウェル層と、バリア層と、を有している。ウェル層およびバリア層は、i型の半導体層である。ウェル層は、例えば、InGaN層である。バリア層は、例えば、GaN層である。発光層24は、ウェル層とバリア層とから構成されたMQW(Multiple Quantum Well)構造を有している。
【0018】
なお、発光層24を構成するウェル層およびバリア層の数は、特に限定されない。例えば、ウェル層は、1層だけ設けられていてもよく、この場合、発光層24は、SQW(Single Quantum Well)構造を有している。
【0019】
第2半導体層26は、発光層24上に設けられている。第2半導体層26は、第1半導体層22と第2電極42との間に設けられている。第2半導体層26は、第1導電型と異なる第2導電型を有している。第2半導体層26は、例えば、Mgがドープされたp型のGaN層である。
【0020】
発光装置100では、p型の第2半導体層26、i型の発光層24、およびn型の第1半導体層22により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極40と第2電極42との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、発光層24に電流が注入されて発光層24において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により、発光層24は、光を発生させる。
【0021】
レンズ30は、積層体20の下に設けられている。レンズ30は、反射層32と第1半導体層22との間に設けられている。レンズ30は、例えば、凸レンズである。図示の例では、レンズ30の下面は、凸面である。レンズ30は、第1導電型を有している。レンズ30の材質は、例えば、Siがドープされたn型のGaNである。
【0022】
反射層32は、レンズ30の凸面に設けられている。反射層32は、第1電極40と第1半導体層22との間に設けられている。反射層32の第1半導体層22側の面34は、凹面である。反射層32の面34は、レンズ30の凸面と接している。レンズ30は、反射層32とオーミックコンタクトしていてもよい。積層方向からみて、例えば、発光層24は、反射層32の外縁の内側に位置している。反射層32は、例えば、Al層である。反射層32は、発光層24で発生した光を、第2電極42側に反射させて集光させる。なお、反射層32は、DBR(Distributed Bragg Reflector)層であってもよい。
【0023】
第1電極40は、基板10上に設けられている。第1電極40は、基板10と反射層32との間に設けられている。第1電極40の材質は、例えば、Al、Au、TiNなどである。第1電極40は、例えば、接合部材41を介して、反射層32と接合されている。接合部材41の材質は、例えば、金錫である。第1電極40は、接合部材41、反射層32、およびレンズ30を介して、第1半導体層22と電気的に接続されている。第1電極40は、発光層24に電流を注入するための一方の電極である。
【0024】
第2電極42は、第2半導体層26上に設けられている。第2電極42は、第2半導体層26と集光部80との間に設けられている。第2電極42は、第2半導体層26と電気的に接続されている。第2半導体層26は、第2電極42とオーミックコンタクトしていてもよい。第2電極42は、透光性を有する。第2電極42は、発光層24で発生した光を透過させる。第2電極42の材質は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)である。第2電極42は、発光層24に電流を注入するための他方の電極である。
【0025】
絶縁層50は、レンズ30上に設けられている。絶縁層50は、レンズ30と集光部80との間に設けられている。絶縁層50は、積層体20の側面に設けられている。絶縁層50は、積層方向からみて、積層体20を囲んでいる。絶縁層50は、側面51を有している。側面51は、積層体20とは反対側の側面である。側面51は、積層方向に対して傾斜している。側面51は、レンズ30から集光部80に向かうにしたがって、側面51と積層体20との間の距離が大きくなるように傾斜している。絶縁層50は、発光層24で発生した光を透過させる。絶縁層50は、例えば、酸化シリコン層、酸化アルミニウム層である。
【0026】
金属層52は、絶縁層50の側面51に設けられている。金属層52は、側面51に沿って設けられている。金属層52は、絶縁層50を介して、積層体20の側方に設けられている。図示の例では、金属層52は、第1半導体層22、発光層24、および第2半導体層26の側方に設けられている。金属層52は、例えば、Al層である。金属層52は、発光層24で発生した光を、集光部80に向けて反射させる。
【0027】
金属層52、絶縁層50、電極40,42、反射層32、レンズ30、および積層体20は、発光素子102を構成している。発光素子102は、例えば、複数設けられている。複数の発光素子102は、積層方向からみて、マトリックス状に配列されていてもよい。発光素子102は、例えば、LEDである。
【0028】
絶縁層60は、隣り合う発光素子102の間に設けられている。絶縁層60は、金属層52およびレンズ30の側方に設けられている。絶縁層60は、積層方向からみて、積層体20、レンズ30、反射層32、絶縁層50、および金属層52を囲んでいる。
【0029】
パッド70は、基板10上に設けられている。パッド70は、基板10とプラグ72との間に設けられている。パッド70の材質は、例えば、第1電極40の材質と同じである。
【0030】
プラグ72は、絶縁層60の形成されたコンタクトホールに設けられている。プラグ72は、隣り合う発光素子102の間に設けられている。プラグ72は、パッド70と配線層74とを電気的に接続している。プラグ72の材質は、例えば、タングステンである。
【0031】
配線層74は、プラグ72上、絶縁層50,60上、および第2電極42上に設けられている。配線層74は、プラグ72と第2電極42とを電気的に接続している。第2電極42は、配線層74およびプラグ72を介して、パッド70と電気的に接続されている。配線層74は、Al層、Au層、Cu層などである。
【0032】
配線層74には、開口部76が形成されている。開口部76は、配線層74を貫通している。開口部76の平面形状は、円であってもよい。開口部76は、積層方向からみて、発光層24と重なっている。発光層24で発生した光は、開口部76を通って出射される。
【0033】
集光部80は、第2電極42上および配線層74上に設けられている。集光部80は、第2電極42の第2半導体層26とは反対側に設けられている。図示の例では、集光部80は、凸レンズである。集光部80の上面は、凸面である。積層方向からみて、発光層24は、集光部80の外縁の内側に位置している。積層方向からみて、集光部80は、金属層52と重なっている。集光部80は、例えば、複数の発光素子102に対応して、複数設けられている。集光部80の材質は、例えば、酸化窒化シリコンである。集光部80は、発光層24で発生した光を集光させる。なお、集光部80は、発光層24で発生した光を集光できれば、凸レンズではなく、例えば、反射層であってもよい。
【0034】
透光層82は、集光部80上に設けられている。図示の例では、透光層82は、集光部80の凸面に設けられている。透光層82の屈折率は、例えば、集光部80の屈折率よりも低い。これにより、集光部80と空気層との界面における反射を低減できる。透光層82の材質は、例えば、酸化シリコンである。
【0035】
なお、透光層82の屈折率は、集光部80の屈折率よりも高くてもよい。透光層82の屈折率が集光部80の屈折率よりも高ければ、発光層24で発生した光をより集光できる。この場合、透光層82の材質は、例えば、窒化シリコンである。また、透光層82は、設けられていなくてもよい。
【0036】
また、上記では、InGaN系の発光層24について説明したが、発光層24としては、出射される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。
【0037】
また、上記では、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型として説明したが、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型であってもよい。
【0038】
1.2. 作用効果
発光装置100では、第1電極40と、透光性を有する第2電極42と、第1電極40と第2電極42との間に設けられ、第1導電型を有する第1半導体層22と、第1半導体層22と第2電極42との間に設けられ、第1導電型と異なる第2導電型を有する第2半導体層26と、第1半導体層22と第2半導体層26との間に設けられた発光層24と、第1電極40と第1半導体層22との間に設けられ、発光層24で発生した光を、第2電極42側に反射させて集光させる反射層32と、を有する。
【0039】
このように、発光装置100では、第1電極40と第1半導体層22との間に設けられた反射層32によって、発光層24で発生した光を、第2電極42側に反射させて集光させるため、基板10側に抜ける光を低減できる。これにより、光の取り出し効率を向上できる。さらに、発光装置100では、光の利用効率を高めることができる。
【0040】
発光装置100では、反射層32の第1半導体層22側の面34は、凹面である。そのため、発光装置100では、反射層32の面34によって、発光層24で発生した光を、第2電極42側に反射させて集光させることができる。
【0041】
発光装置100では、第2電極42の第2半導体層26とは反対側に設けられ、発光層24で発生した光を集光させる集光部80を有する。そのため、発光装置100では、集光部が設けられていない場合に比べて、光の取り出し効率をより向上できる。
【0042】
発光装置100では、発光層24の側方に設けられ、発光層24で発生した光を、集光部80に向けて反射させる金属層52を有する。そのため、発光装置100では、金属層が設けられていない場合に比べて、光の取り出し効率をより向上できる。
【0043】
2. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図2~
図15は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0044】
図2に示すように、成長基板12上に、第1半導体層22、発光層24、および第2半導体層26を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。成長基板12は、例えば、GaN基板である。
【0045】
図3に示すように、第2半導体層26、発光層24、および第1半導体層22をパターニングして、積層体20を形成する。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。
【0046】
次に、成長基板12上であって積層体20の側方に、絶縁層50を形成する。絶縁層50は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、ALD法(Atomic Layer Deposition)、スピンコート法によって形成される。
【0047】
図4に示すように、積層体20および絶縁層50に、支持基板14を貼り付ける。支持基板14の材質は、積層体20および絶縁層50を支持できれば、特に限定されない。
【0048】
図5に示すように、基板12,14、積層体20、および絶縁層50からなる構造体を、
図4で示す状態から上下反転させる。そして、成長基板12および絶縁層50をパターニングする。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングによって行われる。ドライエッチングは、絶縁層50の側面51が傾斜するように行われる。なお、成長基板12をパターニングする前に、成長基板12の厚さを、エッチングなどにより小さくしてもよい。
【0049】
図6に示すように、絶縁層50の側面51に、金属層52を形成する。金属層52は、例えば、真空蒸着法によって形成される。
【0050】
図7に示すように、成長基板12を覆うように、絶縁層60を形成する。絶縁層60は、例えば、スピンコート法によって形成される。次に、絶縁層60の一部を除去して、成長基板12を露出させる。絶縁層60の除去は、例えば、エッチング、CMP(Chemical Mechanical Polisher)によって行われる。
【0051】
図8に示すように、絶縁層60をパターニングしてコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールにプラグ72を形成する。プラグ72は、例えば、CVD法、スパッタ法によって形成される。
【0052】
図9に示すように、成長基板12をパターニングして、レンズ30を形成する。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングによって行われる。具体的には、フォトリソグラフィーを行ったレジストを、熱処理し、レジストの角を滑らかにする。その後、当該レジストをマスクとして、成長基板12をドライエッチングすることにより、凸面を有するレンズ30を形成できる。
【0053】
図10に示すように、レンズ30の凸面に、反射層32を形成する。反射層32は、例えば、真空蒸着法によって形成される。
【0054】
図11に示すように、第1電極40およびパッド70が形成された基板10に、支持基板14、積層体20、レンズ30、反射層32、絶縁層50,60、および金属層52を有する構造体を実装する。当該実装では、例えば、接合部材41を介して反射層32を第1電極40に接合させ、プラグ72をパッド70に金属-金属接合させる。第1電極40およびパッド70は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法によって形成される。
【0055】
図12に示すように、積層体20から支持基板14を除去する。支持基板14を除去する方法は、特に限定されない。次に、第2半導体層26上に、第2電極42を形成する。第2電極42は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法によって形成される。本工程により、発光素子102が形成される。
【0056】
図13に示すように、第2電極42上、絶縁層50,60上、およびプラグ72上に、配線層74を形成する。配線層74は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法によって形成される。
【0057】
図14に示すように、第2電極42上に、集光部80となる透光層80aを形成する。透光層80aは、例えば、CVD法、ALD法によって形成される。
【0058】
図15に示すように、透光層80aをパターニングして、集光部80を形成する。パターニングは、例えば、上述したレンズ30を形成するためのパターニングと、同様に行われる。
【0059】
図1に示すように、集光部80上に、透光層82を形成する。透光層82は、例えば、CVD法、ALD法によって形成される。
【0060】
以上の工程により、発光装置100を製造できる。
【0061】
3. 発光装置の変形例
3.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図16は、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。
【0062】
以下、本実施形態の第1変形例に係る発光装置200において、上述した本実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する本実施形態の第2変形例に係る発光装置おいて、同様である。
【0063】
上述した発光装置100では、
図1に示すように、レンズ30は、凸レンズであった。
【0064】
これに対し、発光装置200では、
図16に示すように、レンズ30は、フレネルレンズである。レンズ30は、鋸状の形状を有している。レンズ30の鋸状の刃は、例えば、周期的に設けられている。反射層32は、レンズ30の鋸状の面に設けられている。反射層32は、例えば、第1電極40と金属-金属接合されている。なお、図示はしないが、反射層32は、金錫などの接合部材を介して、第1電極40と接合されていてよい。
【0065】
発光装置200の製造方法では、
図8に示すようにプラグ72を形成した後に、
図17に示すように、成長基板12を鋸状にパターニングすることによって、レンズ30を形成する。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングによって行われる。その後、
図18に示すように、レンズ30の鋸状の面に、反射層32を形成する。以降の工程は、上述した発光装置100の製造方法と、基本的の同じである。なお、
図17および
図18は、発光装置200の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0066】
発光装置200では、レンズ30は、フレネルレンズである。そのため、発光装置200では、凸レンズを用いる場合に比べて、レンズ30の加工時間を短縮できる。フレネルレンズを形成する場合は、凸レンズを形成する場合に比べて、成長基板12を深くまでエッチングしなくてよいので、エッチング時間を短縮できる。
【0067】
3.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図19は、本実施形態の第2変形例に係る発光装置300を模式的に示す断面図である。
【0068】
発光装置300では、
図19に示すように、第1半導体層22、発光層24、第2半導体層26は、複数の柱状部28を構成している点において、上述した発光装置100と異なる。積層体20は、複数の柱状部28を有している。
【0069】
柱状部28は、レンズ30上に設けられている。柱状部28は、レンズ30から上方に突出している。柱状部28は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部28の平面形状は、例えば、正六角形などの多角形、円である。
【0070】
柱状部28の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。柱状部28の径を500nm以下とすることによって、高品質な結晶の発光層24を得ることができ、かつ、発光層24に内在する歪を低減することができる。
【0071】
なお、「柱状部28の径」とは、柱状部28の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部28の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部28の径は、柱状部28の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部28の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。
【0072】
複数の柱状部28は、互いに離隔している。図示の例では、隣り合う柱状部28の間は、空隙である。隣り合う柱状部28の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。複数の柱状部28は、積層方向からみて、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部28は、例えば、正三角格子状、正方格子状に配列されている。複数の柱状部28は、フォトニック結晶の効果を発現することができる。
【0073】
なお、「柱状部28のピッチ」とは、所定の方向に隣り合う柱状部28の中心間の距離である。「柱状部28の中心」とは、柱状部28の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、柱状部28の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、柱状部28の中心は、柱状部28の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、柱状部28の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0074】
発光装置300では、第1半導体層22、発光層24、第2半導体層26は、複数の柱状部28を構成している。そのため、発光装置300では、発光層24の歪を低減できる。さらに、発光装置300の発光素子102は、半導体レーザーであってもよく、この場合、複数の柱状部28によるフォトニック結晶の効果により、発光層24で発生した光を、レーザー発振させることができる。そして、+1次回折光および-1次回折光をレーザー光として、積層方向に出射できる。
【0075】
4. プロジェクター
次に、本実施形態に係る表示装置としてのプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図20は、本実施形態に係るプロジェクター700を模式的に示す図である。
【0076】
プロジェクター700は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0077】
プロジェクター700は、図示しない筐体と、筐体内に設けられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。なお、便宜上、
図20では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化して図示している。
【0078】
プロジェクター700は、さらに、例えば、筐体内に設けられた、第1光学素子702Rと、第2光学素子702Gと、第3光学素子702Bと、第1光変調装置704Rと、第2光変調装置704Gと、第3光変調装置704Bと、投射装置708と、を有している。第1光変調装置704R、第2光変調装置704G、および第3光変調装置704Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置708は、例えば、投射レンズである。
【0079】
赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子702Rに入射する。赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子702Rによって集光される。なお、第1光学素子702Rは、集光以外の機能を有していてもよい。第2光学素子702Gおよび第3光学素子702Bについても、集光以外の機能を有していてもよい。
【0080】
第1光学素子702Rによって集光された光は、第1光変調装置704Rに入射する。第1光変調装置704Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置708は、第1光変調装置704Rによって形成された像を拡大してスクリーン710に投射する。
【0081】
緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子702Gに入射する。緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子702Gによって集光される。
【0082】
第2光学素子702Gによって集光された光は、第2光変調装置704Gに入射する。第2光変調装置704Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置708は、第2光変調装置704Gによって形成された像を拡大してスクリーン710に投射する。
【0083】
青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子702Bに入射する。青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子702Bによって集光される。
【0084】
第3光学素子702Bによって集光された光は、第3光変調装置704Bに入射する。第3光変調装置704Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置708は、第3光変調装置704Bによって形成された像を拡大してスクリーン710に投射する。
【0085】
プロジェクター700は、さらに、例えば、第1光変調装置704R、第2光変調装置704G、および第3光変調装置704Bから出射された光を合成して投射装置708に導くクロスダイクロイックプリズム706を有している。
【0086】
第1光変調装置704R、第2光変調装置704G、および第3光変調装置704Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム706に入射する。クロスダイクロイックプリズム706は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置708によりスクリーン710上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0087】
なお、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置704R、第2光変調装置704G、および第3光変調装置704Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置708は、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン710に投射してもよい。この場合、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、それぞれ、クロスダイクロイックプリズム706の3つの入射面に対向して配置される。赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bのそれぞれが出射する画像光は、クロスダイクロイックプリズム706の3つの入射面に入射し、クロスダイクロイックプリズム706において合成される。
【0088】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0089】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0090】
5. ディスプレイ
次に、本実施形態に係る表示装置としてのディスプレイについて、図面を参照しながら説明する。
図21は、本実施形態に係るディスプレイ800を模式的に示す平面図である。
図22は、本実施形態に係るディスプレイ800を模式的に示す断面図である。なお、
図21では、互いに直交する2つの軸として、X軸およびY軸を図示している。
【0091】
ディスプレイ800は、例えば、光源として、発光装置100を有している。なお、便宜上、
図21および
図22では、発光装置100を簡略化して図示している。
【0092】
ディスプレイ800は、画像を表示する表示装置である。画像には、文字情報のみを表示するものが含まれる。ディスプレイ800は、自発光型のディスプレイである。ディスプレイ800は、
図21および
図22に示すように、例えば、レンズアレイ820と、ヒートシンク830と、を有している。
【0093】
基板10には、発光装置100の発光素子102を駆動させるための駆動回路が搭載されている。駆動回路は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを含む回路である。駆動回路は、例えば、入力された画像情報に基づいて、発光素子102を駆動させる。
【0094】
基板10は、例えば、表示領域812と、データ線駆動回路814と、走査線駆動回路816と、制御回路818と、を有している。
【0095】
表示領域812は、複数の画素Pで構成されている。画素Pは、図示の例では、X軸およびY軸に沿って配列されている。
【0096】
図示はしないが、基板10には、複数の走査線と複数のデータ線が設けられている。例えば、走査線はX軸に沿って延び、データ線はY軸に沿って延びている。走査線は、走査線駆動回路816に接続されている。データ線は、データ線駆動回路814に接続されている。走査線とデータ線の交点に対応して画素Pが設けられている。
【0097】
1つの画素Pは、例えば、1つの発光素子102と、1つの集光部80と、図示しない画素回路と、を有している。画素回路は、画素Pのスイッチとして機能するスイッチング用トランジスターを有し、スイッチング用トランジスターのゲートが走査線に接続され、ソースまたはドレインの一方がデータ線に接続されている。
【0098】
データ線駆動回路814および走査線駆動回路816は、画素Pを構成する発光装置100の駆動を制御する回路である。制御回路818は、画像の表示を制御する。
【0099】
制御回路818には、上位回路から画像データが供給される。制御回路818は、当該画像データに基づく各種信号をデータ線駆動回路814および走査線駆動回路816に供給する。
【0100】
走査線駆動回路816が走査信号をアクティブにすることで走査線が選択されると、選択された画素Pのスイッチング用トランジスターがオンになる。このとき、データ線駆動回路814が、選択された画素Pにデータ線からデータ信号を供給することで、選択された画素Pの発光装置100がデータ信号に応じて発光する。
【0101】
レンズアレイ820は、複数の集光部80で構成されている。集光部80は、例えば、1つの発光素子102に対して、1つ設けられている。
【0102】
ヒートシンク830は、基板10に接触している。ヒートシンク830の材質は、例えば、銅、アルミニウムなどの金属である。ヒートシンク830は、発光素子102で発生した熱を、放熱する。
【0103】
6. ヘッドマウントディスプレイ
6.1. 全体の構成
次に、本実施形態に係る電子機器としてのヘッドマウントディスプレイについて、図面を参照しながら説明する。
図23は、本実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ900を模式的に示す斜視図である。
【0104】
ヘッドマウントディスプレイ900は、
図23に示すように、眼鏡のような外見を有する頭部装着型のディスプレイである。ヘッドマウントディスプレイ900は、観察者の頭部に装着される。観察者とは、ヘッドマウントディスプレイ900を使用する使用者のことである。ヘッドマウントディスプレイ900は、観察者に対して虚像による映像光を視認させることができるとともに、外界像をシースルーで視認させることができる。
【0105】
ヘッドマウントディスプレイ900は、例えば、第1表示部910aと、第2表示部910bと、フレーム920と、第1テンプル930aと、第2テンプル930bと、を有している。
【0106】
第1表示部910aおよび第2表示部910bは、画像を表示する。具体的には、第1表示部910aは、観察者の右眼用の虚像を表示する。第2表示部910bは、観察者の左眼用の虚像を表示する。表示部910a,910bは、例えば、像形成装置911と、導光装置915と、を有している。
【0107】
像形成装置911は、画像光を形成する。像形成装置911は、例えば、光源や投射装置などの光学系と、外部部材912と、を有している。外部部材912は、光源および投射装置を収容している。
【0108】
導光装置915は、観察者の眼前を覆う。導光装置915は、像形成装置911で形成された映像光を導光させるとともに、外界光と映像光とを重複して観察者に視認させる。なお、像形成装置911および導光装置915の詳細については、後述する。
【0109】
フレーム920は、第1表示部910aおよび第2表示部910bを支持している。フレーム920は、例えば、表示部910a,910bを囲んでいる。図示の例では、第1表示部910aの像形成装置911は、フレーム920の一方の端部に取り付けられている。第2表示部910bの像形成装置911は、フレーム920の他方の端部に取り付けられている。
【0110】
第1テンプル930aおよび第2テンプル930bは、フレーム920から延在している。図示の例では、第1テンプル930aは、フレーム920の一方の端部から延在している。第2テンプル930bは、フレーム920の他方の端部から延在している。
【0111】
第1テンプル930aおよび第2テンプル930bは、ヘッドマウントディスプレイ900が観察者に装着された場合に、観察者の耳に懸架される。テンプル930a,930b間に、観察者の頭部が位置する。
【0112】
6.2. 像形成装置および導光装置
図24は、ヘッドマウントディスプレイ900の第1表示部910aの像形成装置911および導光装置915を模式的に示す図である。なお、第1表示部910aと第2表示部910bとは、基本的に同じ構成を有している。したがって、以下の第1表示部910aの説明は、第2表示部910bに適用できる。
【0113】
像形成装置911は、
図24に示すように、例えば、光源としての発光装置100と、光変調装置913と、結像用の投射装置914と、を有している。
【0114】
光変調装置913は、発光装置100から入射した光を、画像情報に応じて変調して、映像光を出射する。光変調装置913は、透過型の液晶ライトバルブである。なお、発光装置100は、入力された画像情報に応じて発光する自発光型の発光装置であってもよい。この場合、光変調装置913は、設けられない。
【0115】
投射装置914は、光変調装置913から出射された映像光を、導光装置915に向けて投射する。投射装置914は、例えば、投射レンズである。投射装置914を構成するレンズとして、軸対称面をレンズ面とするものを用いてもよい。
【0116】
導光装置915は、例えば、投射装置914の鏡筒にねじ止めされることにより、投射装置914に対して精度よく位置決めされている。導光装置915は、例えば、映像光を導光する映像光導光部材916と、透視用の透視部材918と、を有している。
【0117】
映像光導光部材916には、投射装置914から出射された映像光が入射する。映像光導光部材916は、映像光を、観察者の眼に向けて導光するプリズムである。映像光導光部材916に入射した映像光は、映像光導光部材916の内面において反射を繰り返した後、反射層917で反射されて映像光導光部材916から出射される。映像光導光部材916から出射された映像光は、観察者の眼に至る。反射層917は、例えば、金属や、誘電体多層膜で構成されている。反射層917は、ハーフミラーであってもよい。
【0118】
透視部材918は、映像光導光部材916に隣接している。透視部材918は、映像光導光部材916に固定されている。透視部材918の外表面は、例えば、映像光導光部材916の外表面と連続している。透視部材918は、観察者に、外界光を透視させる。映像光導光部材916についても、映像光を導光する機能の他に、観察者に外界光を透視させる機能を有している。なお、ヘッドマウントディスプレイ900は、観察者に、外界光を透視させない構成であってもよい。
【0119】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクター、ディスプレイ、およびヘッドマウントディスプレイ以外にも用いられることが可能である。上述した実施形態に係る発光装置は、例えば、屋内外の照明、レーザープリンター、スキャナー、光を用いるセンシング機器、EVF(Electronic View Finder)、スマートウォッチなどのウェアラブルディスプレイ、車載用ライト、車載用ヘッドアップディスプレイ、テレビに用いられる。
【0120】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0121】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0122】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0123】
発光装置の一態様は、
第1電極と、
透光性を有する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、第1導電型を有する第1半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
前記第1電極と前記第1半導体層との間に設けられ、前記発光層で発生した光を前記第2電極側に反射させて集光させる反射層と、
を有する。
【0124】
この発光装置によれば、光の取り出し効率を向上できる。
【0125】
前記発光装置の一態様において、
前記反射層の前記第1半導体層側の面は、凹面であってもよい。
【0126】
この発光装置によれば、反射層の第1半導体層側の面によって、発光層で発生した光を、第2電極側に反射させて集光させることができる。
【0127】
前記発光装置の一態様において、
前記反射層と前記第1半導体層との間に設けられたフレネルレンズを有してもよい。
【0128】
この発光装置によれば、レンズの加工時間を短縮できる。
【0129】
前記発光装置の一態様において、
前記第2電極の前記第2半導体層とは反対側に設けられ、前記発光層で発生した光を集光させる集光部を有してもよい。
【0130】
この発光装置によれば、光の取り出し効率をより向上できる。
【0131】
前記発光装置の一態様において、
前記発光層の側方に設けられ、前記発光層で発生した光を前記集光部に向けて反射させる金属層を有してよい。
【0132】
この発光装置によれば、光の取り出し効率をより向上できる。
【0133】
前記発光装置の一態様において、
前記第1半導体層、前記発光層、および前記第2半導体層は、複数の柱状部を構成してもよい。
【0134】
この発光装置によれば、発光層の歪を低減できる。
【0135】
表示装置の一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0136】
電子機器の一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【符号の説明】
【0137】
10…基板、12…成長基板、14…支持基板、20…積層体、22…第1半導体層、24…発光層、26…第2半導体層、28…柱状部、30…レンズ、32…反射層、34…面、40…第1電極、41…接合部材、42…第2電極、50…絶縁層、51…側面、52…金属層、60…絶縁層、70…パッド、72…プラグ、74…配線層、76…開口部、80…集光部、80a…透光層、82…透光層、100…発光装置、100R…赤色光源、100G…緑色光源、100B…青色光源、200,300…発光装置、700…プロジェクター、702R…第1光学素子、702G…第2光学素子、702B…第3光学素子、704R…第1光変調装置、704G…第2光変調装置、704B…第3光変調装置、706…クロスダイクロイックプリズム、708…投射装置、710…スクリーン、800…ディスプレイ、812…表示領域、814…データ線駆動回路、816…走査線駆動回路、818…制御回路、820…レンズアレイ、830…ヒートシンク、900…ヘッドマウントディスプレイ、910a…第1表示部、910b…第2表示部、911…像形成装置、912…外部部材、913…光変調装置、914…投射装置、915…導光装置、916…映像光導光部材、917…反射層、918…透視部材、920…フレーム、930a…第1テンプル、930b…第2テンプル