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特開2024-136676蓄電システム、電力供給システムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136676
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】蓄電システム、電力供給システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240927BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240927BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240927BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J7/34 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047862
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】江頭 大也
(72)【発明者】
【氏名】綾井 直樹
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HA11
5G066HA13
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503BB02
5G503DA05
5G503DA07
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD02
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】整定値を用いることなく安定動作を行うことが可能な蓄電システム、電力供給システムおよび制御方法を提供する。
【解決手段】蓄電システムは、蓄電システムであって、蓄電池から放電される第1直流電力を第1交流電力に変換して出力し、他のシステムから蓄電システムに入力される第2交流電力を第2直流電力に変換して蓄電池を充電する電力変換装置と、電力変換装置を制御する制御部とを含み、制御部は、蓄電池の充電可能能力を決定するパラメータが所定のしきい値を超えたことを受けて、第1交流電力の電圧の実効値または周波数を変化させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電システムであって、
蓄電池から放電される第1直流電力を第1交流電力に変換して出力し、他のシステムから前記蓄電システムに入力される第2交流電力を第2直流電力に変換して前記蓄電池を充電する電力変換装置と、
前記電力変換装置を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、前記蓄電池の充電可能能力を決定するパラメータが所定のしきい値を超えたことを受けて、前記第1交流電力の電圧の実効値または周波数を変化させる、蓄電システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2交流電力が前記蓄電池の充電可能能力以下になるまで、前記実効値または前記周波数をスロープ状または階段状に変化させる、請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記他のシステムは直流電力を交流電力に変換する変換装置を含み、
前記制御部が前記実効値または前記周波数を変化させる速度は、前記変換装置が無効電力注入を実行しない範囲の値である、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記周波数を変化させ、
前記周波数を変化させる前記速度は、0.01Hz/340ms以下である、請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記実効値または前記周波数を変化させた後、前記第2交流電力が前記蓄電池の充電可能能力以下になったことを受けて、変化させた後の前記第1交流電力の電圧を、変化させる前の電圧に戻す、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記実効値または前記周波数を変化させている間に前記第2交流電力が入力されなくなったことを受けて、変化させた後の前記実効値または前記周波数を維持する、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記制御部は、変化させた後の前記実効値または前記周波数を維持している間に、前記蓄電池の充電可能能力が所定値以上になったことを受けて、変化させた後の前記第1交流電力の電圧を、変化させる前の電圧に戻す、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記実効値を変化させた後、前記第2交流電力が前記蓄電池の充電可能能力以下になったことを受けて、変化させた後の前記第1交流電力の電圧を、変化させる前の電圧に向かって変化させる、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記他のシステムの運転状態を表す情報を取得し、
前記情報に基づいて、前記第2交流電力が前記蓄電池の充電可能能力以下になったか否かを判定する、請求項5に記載の蓄電システム。
【請求項10】
前記第2交流電力の電流または電圧を測定する測定装置をさらに含み、
前記制御部は、前記測定装置による測定結果を、前記他のシステムの運転状態を表す前記情報として用いる、請求項9に記載の蓄電システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記電力変換装置の出力電流または出力電力に基づいて、前記第2交流電力が前記蓄電池の充電可能能力を超えたか否かを判定する、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項12】
蓄電システムであって、
蓄電池から放電される第1直流電力を第1交流電力に変換して出力し、他のシステムから前記蓄電システムに入力される第2交流電力を第2直流電力に変換して前記蓄電池を充電する電力変換装置と、
前記電力変換装置を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、前記第2交流電力が前記蓄電池の充電可能能力に関する所定の値を超えたことを受けて、前記第1交流電力の電圧の実効値または周波数を変化させる、蓄電システム。
【請求項13】
請求項1または請求項2に記載の蓄電システムと、
前記他のシステムとを含み、
前記蓄電システムの制御部は、前記他のシステムの余剰電力により蓄電池を充電するように前記蓄電システムの電力変換装置を制御する、電力供給システム。
【請求項14】
蓄電システムの制御方法であって、
蓄電池から放電される第1直流電力を第1交流電力に変換して出力し、他のシステムから前記蓄電システムに入力される第2交流電力を第2直流電力に変換して前記蓄電池を充電する制御ステップを含み、
前記制御ステップは、
前記蓄電池の充電可能能力を決定するパラメータが所定のしきい値を超えたか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより、前記パラメータが前記しきい値を超えたと判定されたことを受けて、前記第1交流電力の電圧の実効値または周波数を変化させるステップとを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電システム、電力供給システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光パネル(以下、PV(Photovoltaic)パネルという)により発電された直流電力を交流電力に変換する電力変換装置を有するハイブリッド型の蓄電システムと、そのような電力変換装置を有さない単機能型の蓄電システムとが知られている。いずれの蓄電システムにも、全負荷タイプの蓄電システムと、特定負荷タイプの蓄電システムがある。全負荷タイプの蓄電システムは、系統に停電が発生したときに、蓄電システムの設置場所において、系統から電力が供給され得る全ての負荷(即ち電気機器)に単相3線の200Vおよび100Vを供給する。特定負荷タイプの蓄電システムは、系統に停電が発生した場合に、特定の負荷に単相2線100Vを供給する。
【0003】
図1を参照して、全負荷タイプの蓄電システム900は、太陽光発電システム920と接続される。蓄電システム900は、蓄電池902、DC/DCコンバータ904、DC/ACコンバータ906およびリレー908を含む。太陽光発電システム920は、PVパネル922およびPCS(Power Conditioning System)924を含む。DC/DCコンバータ904は、蓄電池902から出力される直流電圧を昇圧してDC/ACコンバータ906に出力する。DC/ACコンバータ906は、入力される直流電圧を交流電圧に変換して、屋内に配置された家電機器等の負荷932に電力を供給する。リレー908がオンされることにより、DC/ACコンバータ906および負荷932は系統930に接続される。系統930から供給される電力は、負荷932に供給される。DC/ACコンバータ906およびDC/DCコンバータ904は、双方向に電力変換可能であり、系統930から供給される交流電力を直流電力に変換し、蓄電池902を充電する。
【0004】
PVパネル922は、太陽光により発電して直流電力を出力する。PCS924は、PVパネル922から出力される直流電力を交流電力に変換して、負荷932に供給する。太陽光発電システム920は系統連系可能であり、系統930から電力が供給されていれば、系統930と連系して発電電力を負荷932に供給する。系統930が停電している場合には、蓄電システム900は、蓄電池902を放電させて単相3線200Vおよび100Vを発生し、疑似的な系統になる。したがって、PCS924は、系統930が停電している場合においても、系統930が停電していないときと同様に、疑似的な系統(即ち蓄電システム900)と連系して電力を出力可能である。
【0005】
全負荷タイプの蓄電システム900においては、太陽光発電システム920の発電電力が大きく負荷932の消費電力が小さいときは、余剰電力により蓄電池902を充電する。この状態が継続すると蓄電池902の電池残量が増大し、やがて使用範囲の上限に到達する。上限に到達すると、蓄電池902への充電ができなくなり、余剰電力の行き場がなくなる。そのため、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システム900が保護停止してしまう。その影響により、PCS924が保護停止し、負荷932への電力供給も一時的に停止してしまう。その後、エラー内容によっては蓄電システム900の自立出力が復帰して負荷への供給が再開する。PCS924が復帰すると再度上記の現象が繰返される。そのため、蓄電システム900を安定動作のためには、太陽光発電システム920の発電電力(即ちPCS924の出力電力)を抑制または停止させる必要がある。
【0006】
この問題の課題を解決する方法として、下記の特許文献1および特許文献2には、PV用PCSの保護機能を動作させることにより、蓄電システムを保護停止させずに、負荷へ電力を供給し続ける方法が提案されている。即ち、特許文献1および特許文献2に記載の蓄電システムはいずれも、PV用PCSの保護機能が働く異常電圧を出力可能であり、PV用PCSを停止させたいときに、PV用PCSの保護機能が働かない正常電圧から異常電圧へ変化させて、PV用PCSを停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-96659号公報
【特許文献2】国際公開第2020/105176号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載の技術には、以下に示す問題がある。
【0009】
第1に、いずれの技術においても異常電圧の設定方法に関する問題がある。即ち、特許文献1および特許文献2に記載の技術においては、PV用PCSの保護機能が働く異常電圧の保護しきい値(即ち整定値)を事前に知る必要がある。蓄電システムおよびPV用PCSの設置時期が同じであれば、連系保護機能の整定値は蓄電システムもPV用PCSも同じ可能性が高い。しかし、設置時期が異なる場合、整定値が異なる、または不明である場合もある。また、設置時期が同じであったとしても、それぞれのPV用PCSの設定可能な整定値の範囲が異なる場合、異なる整定値に設定せざるを得ない。整定値が不明、または異常電圧の整定値が異なる場合、PV用PCSを停止できない可能性がある。例えば、周波数上昇(OFR:Over Frequency Relay)の整定値が、蓄電システムに関しては51.0Hzであり、PV用PCSに関しては52.0Hzである場合、蓄電システムの整定値に基づいて、異常電圧を、51.0Hzより高い値、例えば51.5Hzに設定しても、PV用PCSの整定値よりも小さいため、PV用PCSを停止させることはできない。
【0010】
第2に、いずれの技術においても電圧変化のマージンの設定に関する問題がある。PV用PCSの保護整定値を知ることができたとして、計測誤差および電圧降下等の影響をも考慮して確実に停止させるために、異常電圧は、PV用PCSの整定値よりも十分にマージンを持った電圧(例えば、整定値+5V)に設定する必要がある。そのため、必要以上の電圧を出力することになる。異常電圧は負荷にも印加されるため、電圧の変化により負荷にも影響が出る。
【0011】
例えば、次のような影響がある。
・電圧実効値を過剰に上昇させると、過電圧による接続機器の故障の可能性がある。
・電圧実効値を過剰に低下させると、電圧不足により接続機器が動作しない可能性がある。
・電圧周波数を過剰に上昇させると、回転機の回転数と消費電力は周波数に比例するため、異常発熱や過回転による故障の可能性がある。
・電圧周波数を過剰に下降させると、変圧器の励磁電流と鉄損が大幅に上昇するため、異常発熱や焼損する可能性がある。
【0012】
第3に、いずれの技術においても蓄電システムとPV用PCSとの間の配線には微小ながら配線抵抗があることにより生じる問題がある。蓄電システムとPV用PCSとの設置位置が離れている場合、両者間の配線長が長く、電圧降下が大きくなる。その場合、蓄電システムの電圧の出力端子と、PV用PCSの電圧出力端子の電圧が異なる。そのため、電圧変化が不十分となり、PV用PCSを停止できない可能性がある。逆に、過剰に電圧を印加する可能性もある。電圧降下は、蓄電システムとPV用PCSとの間の配線に流れる電流、配線径および配線長に依存し、それらは設置状況および電力バランスに依存する。そのため、蓄電システムにおいてコントロールできず、特許文献1および特許文献2のように単一の異常電圧を用いることはできない。例えば、5.5sq(3.4Ω/km)、片道10mの電線を用いて配線されていたとすると、配線抵抗は0.034Ωとなる。ここに、充電方向に5.5kWの電力が通過すると、配線に流れる電流は27.5A(200V換算)。したがって、配線の電圧降下は、0.034[Ω]×2(往復分)×27.5[A]=1.87[V]となる。蓄電システムが220Vを出力すると、PV用PCSの電圧出力端は221.87Vとなり、想定より過剰な電圧が印加される。放電方向に電力が流れる場合には、逆にPV用PCSの電圧出力端は218.13Vとなり、想定より過少な電圧が印加される。
【0013】
第4に、いずれの技術においても電圧周波数をステップ状に変化させることによる問題がある。ステップ状に変化させる場合、周波数が急激に変化する。そのため、単独運転検出機能の1つである周波数フィードバック機能により、PV用PCSから無効電力が急激に注入される。この無効電力注入により、蓄電システムの動作が不安定になる可能性がある。単独運転検出機能に関してはJEM1498により標準化されている。注入される無効電力の上限値は+0.25p.u.、下限値は-0.25p.u.である。図2を参照して、出力4kWである場合の周波数偏差-無効電力特性を示す。例えば、蓄電システムの定格出力電力が5.5kVA、PV用PCSの発電電力が5.5kW、かつ無負荷である場合に、通常であれば、蓄電システムへ5.5kWの充電が可能である。しかし、周波数フィードバック機能により、0.25p.u.(=1.375Var)の無効電力が注入されると、蓄電システムへの充電電力は5.67kVAとなり、定格出力電力を超えるため、蓄電システムが保護停止、即ち、全停電して負荷に電力を供給できなくなる可能性がある。
【0014】
したがって、本開示は、整定値を用いることなく安定動作を行うことが可能な蓄電システム、電力供給システムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示のある局面に係る蓄電システムは、蓄電システムであって、蓄電池から放電される第1直流電力を第1交流電力に変換して出力し、他の発電システムから蓄電システムに入力される第2交流電力を第2直流電力に変換して蓄電池を充電する電力変換装置と、電力変換装置を制御する制御部とを含み、制御部は、蓄電池の充電可能能力を決定するパラメータが所定のしきい値を超えたことを受けて、第1交流電力の電圧の実効値または周波数を変化させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、整定値を用いることなく安定動作を行うことが可能な蓄電システム、電力供給システムおよび制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、全負荷タイプの蓄電システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、周波数偏差-無効電力特性を示すグラフである。
図3図3は、本開示の実施形態に係る蓄電システムの構成を示すブロック図である。
図4図4は、図3に示した制御部の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、蓄電池のSOCと充電可能能力との関係を示すグラフである。
図6図6は、太陽光発電システムから一定の交流電力が出力されている状態において、交流電力と、蓄電池のSOCに応じて変化する充電可能能力との関係を示すグラフである。
図7図7は、図4に示した処理による蓄電システムおよび太陽光発電システムの状態変化を示すグラフである。
図8図8は、第1変形例に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
図9図9は、図8に示した処理による蓄電システムおよび太陽光発電システムの状態変化を示すグラフである。
図10図10は、第2変形例に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
図11図11は、図10に示した処理による蓄電システムおよび太陽光発電システムの状態変化を示すグラフである。
図12図12は、第3変形例に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
図13図13は、図12に示した処理による蓄電システムおよび太陽光発電システムの状態変化を示すグラフである。
図14図14は、太陽光発電システムから一定の交流電力が出力されている状態において、交流電力と、蓄電池のSOCに応じて変化する充電可能能力に対応して決定されるしきい値との関係を示すグラフである。
図15図15は、太陽光発電システムから出力される交流電力の変化としきい値との関係を示すグラフである。
図16図16は、図3と異なる蓄電システムの構成を示すブロック図である。
図17図17は、図3および図16のいずれとも異なる蓄電システムの構成を示すブロック図である。
図18図18は、図3図16および図17のいずれとも異なる電力供給システムの構成を示すブロック図である。
図19図19は、図3および図16から図18のいずれとも異なる電力供給システムの構成を示すブロック図である。
図20図20は、図3および図16から図19のいずれとも異なる電力供給システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組合せてもよい。
【0019】
(1)本開示の第1の局面に係る蓄電システムは、蓄電システムであって、蓄電池から放電される第1直流電力を第1交流電力に変換して出力し、他のシステムから蓄電システムに入力される第2交流電力を第2直流電力に変換して蓄電池を充電する電力変換装置と、電力変換装置を制御する制御部とを含み、制御部は、蓄電池の充電可能能力を決定するパラメータが所定のしきい値を超えたことを受けて、第1交流電力の電圧の実効値または周波数を変化させる。これにより、整定値を用いることなく他のシステムの電力変換装置の動作を停止または抑制できる。したがって、蓄電システムの安定動作が可能になる。即ち、蓄電池への充電ができずに、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システムが保護停止してしまうことを回避できる。また、特許文献1および特許文献2に関して上記した第2および第3の問題が発生することを回避できる。
【0020】
(2)上記(1)において、制御部は、第2交流電力が蓄電池の充電可能能力以下になるまで、実効値または周波数をスロープ状または階段状に変化させることができる。これにより、出力電圧の周波数を徐々に変化させることができ、負荷に対する負担を軽減できる。
【0021】
(3)上記(1)または(2)において、他のシステムは直流電力を交流電力に変換する変換装置を含み、制御部が実効値または周波数を変化させる速度は、変換装置が無効電力注入を実行しない範囲の値であってもよい。これにより、無効電力の注入を回避できる。したがって、蓄電システムが保護停止、即ち全停電して負荷に電力を供給できなくなることを回避できる。
【0022】
(4)上記(3)において、制御部は、周波数を変化させてもよく、周波数を変化させる速度は、0.01Hz/340ms以下であってもよい。これにより、無効電力の注入をより一層回避できる。
【0023】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つにおいて、制御部は、実効値または周波数を変化させた後、第2交流電力が蓄電池の充電可能能力以下になったことを受けて、変化させた後の第1交流電力の電圧を、変化させる前の電圧に戻してもよい。これにより、他のシステムの動作を再開できる。
【0024】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つにおいて、制御部は、実効値または周波数を変化させている間に第2交流電力が入力されなくなったことを受けて、変化させた後の実効値または周波数を維持してもよい。これにより、実効値または周波数を変化させている間に、他のシステムが機器内部保護等により一時停止した場合に対応できる。
【0025】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つにおいて、制御部は、変化させた後の実効値または周波数を維持している間に、蓄電池の充電可能能力が所定値以上になったことを受けて、変化させた後の第1交流電力の電圧を、変化させる前の電圧に戻してもよい。これにより、異常電圧を維持している間に、他のシステムが系統連系保護ではなく、過電流等の機器の保護により停止した後、自動復帰した場合、他のシステムによる発電が再開されて蓄電システムに余剰電力が入力されることを防止できる。
【0026】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つにおいて、制御部は、実効値を変化させた後、第2交流電力が蓄電池の充電可能能力以下になったことを受けて、変化させた後の第1交流電力の電圧を、変化させる前の電圧に向かって変化させてもよい。これにより、他のシステムの変換装置を停止させないので、発電電力をより有効に活用できる。
【0027】
(9)上記(5)において、制御部は、他のシステムの運転状態を表す情報を取得し、情報に基づいて、第2交流電力が蓄電池の充電可能能力以下になったか否かを判定してもよい。これにより、他のシステムを確実に停止させることができる。
【0028】
(10)上記(9)において、蓄電システムは、第2交流電力の電流または電圧を測定する測定装置をさらに含んでいてもよく、制御部は、測定装置による測定結果を、他のシステムの運転状態を表す情報として用いる。これにより、他のシステムを確実に停止させることができる。
【0029】
(11)上記(1)から(10)のいずれか1つにおいて、制御部は、電力変換装置の出力電流または出力電力に基づいて、第2交流電力が蓄電池の充電可能能力を超えたか否かを判定してもよい。これにより、他のシステムからの情報を用いることなく、他のシステムを停止させることができる。
【0030】
(12)本開示の第2の局面に係る蓄電システムは、蓄電システムであって、蓄電池から放電される第1直流電力を第1交流電力に変換して出力し、他のシステムから蓄電システムに入力される第2交流電力を第2直流電力に変換して蓄電池を充電する電力変換装置と、電力変換装置を制御する制御部とを含み、制御部は、第2交流電力が蓄電池の充電可能能力に関する所定の値を超えたことを受けて、第1交流電力の電圧の実効値または周波数を変化させる。これにより、整定値を用いることなく他のシステムの電力変換装置の動作を停止または抑制できる。したがって、蓄電池への充電ができずに、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システムが保護停止してしまうことを回避できる。また、特許文献1および特許文献2に関して上記した第2および第3の問題が発生することを回避できる。
【0031】
(13)本開示の第3の局面に係る電力供給システムは、上記(1)から(12)のいずれか1つに記載の蓄電システムと、他のシステムとを含み、蓄電システムの制御部は、他のシステムの余剰電力により蓄電池を充電するように蓄電池システムの電力変換装置を制御する。これにより、整定値を用いることなく他のシステムの変換装置の動作を停止または抑制できる。したがって、蓄電池への充電ができずに、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システムが保護停止してしまうことを回避できる。また、特許文献1および特許文献2に関して上記した第2および第3の問題が発生することを回避できる。
【0032】
(14)本開示の第4の局面に係る制御方法は、蓄電システムの制御方法であって、蓄電池から放電される第1直流電力を第1交流電力に変換して出力し、他のシステムから蓄電システムに入力される第2交流電力を第2直流電力に変換して蓄電池を充電する制御ステップを含み、制御ステップは、蓄電池の充電可能能力を決定するパラメータが所定のしきい値を超えたか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにより、パラメータがしきい値を超えたと判定されたことを受けて、第1交流電力の電圧の実効値または周波数を変化させるステップとを含む。これにより、整定値を用いることなく他のシステムの変換装置の動作を停止または抑制できる。したがって、蓄電池への充電ができずに、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システムが保護停止してしまうことを回避できる。また、特許文献1および特許文献2に関して上記した第2および第3の問題が発生することを回避できる。
【0033】
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施形態においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0034】
(システム構成)
図3を参照して、本開示の実施形態に係る電力供給システムは、蓄電システム100と、蓄電システム100以外の他のシステムとして太陽光発電システム120とを含む。電力供給システムは、例えば住宅に設置される。蓄電システム100は、蓄電池102、DC/DCコンバータ104、DC/ACコンバータ106、リレー108および制御部110を含む。
【0035】
蓄電池102は、リチウムイオン二次電池等の充放電可能な蓄電池である。蓄電池102は、直流電源として機能する。DC/DCコンバータ104は、制御部110による制御を受けて、蓄電池102から出力される直流電圧を昇圧してDC/ACコンバータ106に出力する。DC/ACコンバータ106は、制御部110による制御を受けて、DC/DCコンバータ104からの直流電圧を交流電圧に変換して、屋内に配置された家電機器等の負荷132に電力を供給する。
【0036】
リレー108が制御部110の制御を受けてオンされることにより、DC/ACコンバータ106および負荷132は系統130に接続される。系統130から供給される電力は、負荷132に供給される。蓄電システム100および太陽光発電システム120は、系統130と連系可能であり、負荷132に電力を供給する。DC/ACコンバータ106およびDC/DCコンバータ104は、双方向に電力変換可能であり、系統130から供給される交流電力を直流電力に変換し、蓄電池102を充電する。
【0037】
PVパネル122は、直列接続された複数の太陽電池セルが平面に配置され、強化ガラス等が用いられて封止されたものである。PVパネル122は、直流電源として機能する。PCS124は、PVパネル122から出力される直流電力を交流電力に変換して、負荷132に供給する。上記したように、太陽光発電システム120は系統連系可能であり、系統130から電力が供給されていれば、系統130と連系して発電電力を負荷132に供給する。
【0038】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含む。制御部110の機能は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することにより実現される。制御部110は、DC/DCコンバータ104、DC/ACコンバータ106およびリレー108を制御する。制御部110は、DC/DCコンバータ104およびDC/ACコンバータ106の各々を構成するスイッチング素子(例えばFET(Field Effect Transistor))の制御信号(例えばゲート信号)を出力することにより、各々の電力変換機能、即ち入出力の電圧および電流を制御する。
【0039】
制御部110は、系統130からリレー108への電力の供給状態を、電流センサ(図示せず)等により監視し、系統130の停電発生を検出する。系統130に停電が発生し、系統130から電力が供給されない状態になった場合、制御部110は、リレー108をオフ(即ち開放)する。これにより、蓄電システム100、太陽光発電システム120および負荷132は系統130から切離される。制御部110は、蓄電池102の充電可能能力を決定するパラメータ(例えば、電池残量を表すSOC(State Of Charge)等)を蓄電池102から取得し、充電可能能力(即ちパラメータ)に応じて、後述するように、PCS124の動作を停止または抑制するための制御を行う。制御部110は、DC/DCコンバータ104およびDC/ACコンバータ106を制御して、蓄電池102の放電電力を負荷132に供給する。系統130の停電中において、制御部110が疑似的な系統の役割を担うので、太陽光発電システム120は、疑似的な系統である蓄電システム100との連系出力を負荷132に供給できる。
【0040】
(蓄電システムの動作)
図4を参照して、蓄電システム100の動作に関して説明する。図4に示した処理は、系統130に停電が発生し、系統130から電力が供給されなくなった場合に、制御部110内部のCPUが、制御部110内部のメモリに記憶されているプログラムを読出し、実行することにより開始される。
【0041】
ステップ300において、制御部110は、太陽光発電システム120のPCS124を制御する必要があるか否かを判定する。制御する必要があると判定された場合、フローはステップ306に移行する。そうでなければ、フローはステップ302に移行する。具体的には、制御部110は、PCS124から蓄電システム100に入力される電力(即ち余剰電力)を測定し、余剰電力が蓄電池102の充電可能能力を超えているか否かを判定する。充電可能能力は、例えば蓄電池102のSOCにより表され、SOCは充電可能能力を決定するパラメータの1つである。例えば、蓄電池102のSOCが100%に近ければ、太陽光発電システム120の余剰電力により蓄電池102を充電することができず、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システムが保護停止してしまう可能性がある。このような場合、制御部110は、PCS124を制御する必要があると判定する。
【0042】
例えば、蓄電池102の充電可能能力は、電力により規定され、蓄電池102のSOCに応じて図5に示すように変化するとする(放電電力を正とする)。即ち、SOCが92%未満から92%以上に変化すると、充電可能能力は-6kWから-3kWに低下する。PCS124から振幅が一定の交流電力が出力されている状態において、その交流電力と、蓄電池のSOCに応じて変化する充電可能能力との関係は、図6に示すようになる。時刻t1において、SOCは90%であり、交流電力(-5kW)は充電可能能力(-6kW)よりも小さい。この状態においては、供給される電力により蓄電池102は充電可能であり、PCS124を停止させる必要はない。時刻t2において、充電可能能力は-3kWに低下し、交流電力(-5kW)が充電可能能力(-3kW)よりも大きくなり、蓄電池102の充電可能能力を超えた電力が供給されているので、蓄電システム100の動作を維持するには、PCS124を停止させる必要がある。したがって、例えばSOC=90%を判定のしきい値として使用すれば、蓄電池102の充電可能能力が抑制される前に、PCS124を停止させることができる。
【0043】
なお、充電可能能力とは、一般的には電流または電力により規定される。大別すると、「蓄電池が許容する電流または電力」と「蓄電システムが許容する電流または電力」とに分類される。それらは、蓄電システムの外的要因および運転状態によって制限され、それに伴い充電可能能力が低下する。例えば、充電可能能力は、SOCに限らず、蓄電池を構成する電池セルの電圧、電池セルの温度にも依存する。例えば、蓄電池の劣化防止のために、低温または高温においては充電可能な電力が制限される。また、蓄電システムの仕様電流および仕様電力(即ち、許容される電流および電力)の制限もある。例えば、許容出力電流が30Aとすると、出力電圧が200Vであれば6kW(=200V×30A)充電可であるが、出力電圧が190Vであれば5.7kW(=190V×30A)に制限される。また、蓄電システムの周りの雰囲気温度、蓄電システム内部の部品温度によっても制限され得る。例えば、部品の劣化および故障の防止のため、一時的に入出力電力が制限される。したがって、充電可能能力は、SOC、電池セルの電圧、電池セルの温度、並びに、蓄電システムの仕様電流、仕様電力、雰囲気温度および部品温度のいずれか、または、それらの組合せに基づいて決定されてもよい。即ち、充電可能能力を決定するパラメータは、SOC、電池セルの電圧、電池セルの温度、並びに、蓄電システムの仕様電流、仕様電力、雰囲気温度および部品温度を含む。
【0044】
ステップ302において、制御部110は、正常電圧を出力するようにDC/ACコンバータ106を制御する。その後、フローはステップ304に移行する。
【0045】
ステップ300による判定結果がYESであれば、ステップ306において、制御部110は、出力電圧の周波数をΔfだけ上昇させた電圧が蓄電システム100から出力されるように、DC/ACコンバータ106を制御する。Δfは、例えば0.5Hzである。その後、フローはステップ308に移行する。
【0046】
ステップ308において、制御部110は、PCS124の制御が不要か否かを判定する。不要と判定された場合、フローはステップ302に移行する。そうでなければ、フローはステップ300に戻る。具体的には、制御部110は、測定したPCS124の出力電力が蓄電池102の充電可能能力以下になったか否かを判定する。制御部110は、PCS124の出力電力が蓄電池102の充電可能能力以下になれば、PCS124の制御は不要と判定する。そうでなければ、PCS124の制御を維持すると判定する。フローがステップ300に戻り、ステップ306が繰返されることにより、出力電圧の周波数の上昇が継続される。
【0047】
ステップ304において、制御部110は、終了するか否かを判定する。終了すると判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、フローはステップ300に戻り、上記した処理が繰返される。
【0048】
以上により、整定値を用いることなく太陽光発電システム120のPCS124の動作を停止または抑制できる。したがって、蓄電システム100の安定動作が可能になる。即ち、蓄電池102への充電ができずに、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システム100が保護停止してしまうことを回避できる。
【0049】
なお、ステップ308において、PCS124の出力電力がしきい値未満になったか否か、蓄電システムの出力電力が増大してSOCが減少したか否か、または、蓄電システムの出力電力が順変換(即ち充電)から逆変換(即ち放電)に変化したか否かを判定することにより、PCS124の制御が不要か否かを判定してもよい。
【0050】
上記したように、出力電圧の周波数を徐々に変化させる(Δf間隔)ことにより、負荷に対する負担を軽減できる。周波数を大きく変化させると、負荷に対して負担になる。例えば、負荷が回転機であれば回転数が上がり、壊れやすくなる。また、負荷がトランスの場合、周波数を下げると偏磁が起こりやすい。
【0051】
上記したように、制御部110は、周波数を変化させた後、PCS124が停止し、PCS124の出力電力が蓄電池102の充電可能能力以下になったことを受けて、変化させた後の蓄電システム100の出力電力の電圧を、変化させる前の電圧(即ち正常電圧)に戻す。これにより、PCS124の動作を再開できる。
【0052】
図7を参照して、図4に示した処理が実行されることにより、蓄電システム100および太陽光発電システム120の状態がどのように変化するかを説明する。太陽光発電システム120のPCS124の制御を必要とする条件を、SOCが90%以上、かつ蓄電システム100が充電状態であることとする。太陽光発電システム120のPCS124の制御を不要とする条件を、蓄電システム100が放電状態であることとする。正常周波数は50.0Hzであり、蓄電システム100のOFR整定値は51.0Hzであり、PCS124のOFR整定値は52.0Hzであるとする。Δf=0.5Hz、太陽光発電システム120の発電電力は2kW、負荷132の消費電力(以下、負荷電力という)は1kWであるとする。
【0053】
PCS124から蓄電システム100に2kWが供給され、負荷電力が1kWであるので、1kWの余剰電力により蓄電池102が充電され、PCS124のSOCは上昇する。時刻t1までは、SOCは90%以下であり、ステップ300の判定結果はNOである。時刻t1になると、矢印Aにより示すように、SOCが90%を超え、ステップ300の判定結果がYESとなり、ステップ306が実行される。それにより、周波数は、50.0Hzから上昇する。図7においては、周波数が、Δtの時間経過に伴いΔfだけ上昇する場合を示している。その後、ステップ306が繰返されることにより、時刻t2に周波数は52.0Hzになり、PCS124は、保護機能により動作を停止し、矢印Bにより示すように、出力電力は0になる。これにより、矢印Cにより示すように、時刻t3においてステップ308の判定結果がYESとなり、ステップ302が実行され、周波数が正常周波数(即ち50.0Hz)に戻され、正常電圧が出力される。
【0054】
上記においては、Δf=0.5Hzとしたが、周波数の変化量Δfを小さくし、限りなく連続的にスロープ状に変化させることが好ましい。例えば、Δf=0.01Hzとすることができる。また、時間ステップΔtは、交流周期の整数倍とすることが望ましい。これにより、負荷に対する負担を軽減でき、電圧の歪み率を少なくできる。
【0055】
周波数を変化させる速度は、太陽光発電システム120が無効電力注入を実行しない範囲の値であることが好ましい。これにより、太陽光発電システム120の無効電力の注入を回避できる。したがって、蓄電システム100が保護停止、即ち全停電して負荷に電力を供給できなくなることを回避できる。具体的には、周波数を上昇させる速度は、0.01Hz/340ms以下であることが好ましい。これにより、無効電力の注入をより一層回避できる。
【0056】
なお、制御部110は、太陽光発電システム120の運転状態を表す情報を取得し、その情報に基づいて、PCS124の出力電力が蓄電池102の充電可能能力以下になったか否かを判定してもよい。例えば、太陽光発電システム120のPCS124から停止信号を、蓄電システム100の制御部110に入力可能に構成し、制御部110が停止信号を受信したことを受けて、PCS124の制御不要と判定してもよい。これにより、太陽光発電システム120が停止したことを確認できる。
【0057】
また、蓄電システム100は、PCS124の出力電力の電流または電力を測定する測定装置をさらに含んでいてもよい。制御部110は、測定装置による測定結果を、太陽光発電システム120の運転状態を表す情報として用いることができる。これにより、太陽光発電システム120を確実に停止させることができる。
【0058】
また、制御部110は、DC/ACコンバータ106の出力電流または出力電圧に基づいて、PCS124の出力電力が蓄電池102の充電可能能力を超えたか否かを判定してもよい。これにより、太陽光発電システム120からの情報を用いることなく、太陽光発電システム120のPCS124を停止させることができる。
【0059】
(第1変形例)
上記においては、蓄電システム100の制御部110は、太陽光発電システム120のPCS124が停止すると速やかに、周波数を正常値に戻す場合を説明したが、これに限定されない。第1変形例に係る蓄電システムは、太陽光発電システム120のPCS124を確実に停止させるために、周波数を、PCS124のOFR整定値を超える周波数に維持する。第1変形例に係る蓄電システムの構成は、図3に示した蓄電システム100と同じである。したがって、以下においては、図3の符号を参照する。
【0060】
(蓄電システムの動作)
第1変形例に係る蓄電システムは、図4に示した動作に代えて、図8に示した動作を実行する。図8に示したフローチャートは、図4に示したフローチャートにおいて、ステップ320およびステップ322を追加したものである。図8において、図4と同じ符号を付したステップの処理は、図4と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0061】
図8に示した処理は、系統130に停電が発生し、系統130から電力が供給されなくなった場合に、制御部110内部のCPUが、制御部110内部のメモリに記憶されているプログラムを読出し、実行することにより開始される。上記したステップ300の判定結果がYESとなると、上記したステップ306およびステップ308が実行される。
【0062】
その後、ステップ320において、制御部110は、PCS124を再度接続するか否か、即ち再稼働させるか否かを判定する。接続すると判定された場合、フローはステップ302に移行する。そうでなければ、フローはステップ322に移行する。具体的には、制御部110は、例えば、ステップ308の判定結果がYESとなった時から、所定時間が経過したか否かを判定する。制御部110は、所定時間が経過すれば、PCS124を再度接続すると判定する。これに代えて、制御部110は、蓄電池102のSOCが所定値以下になったか否かを判定してもよい。制御部110は、蓄電池102のSOCが所定値以下になれば、PCS124を再度接続すると判定する。
【0063】
ステップ322において、制御部110は、異常電圧、即ち最後にステップ306が実行された結果である異常な周波数の出力電圧を維持する。ステップ320およびステップ322が繰返し実行される間、異常電圧が維持され、正常電圧は出力されない。
【0064】
図9を参照して、図8に示した処理が実行されることにより、蓄電システム100および太陽光発電システム120の状態がどのように変化するかを説明する。PCS124を再接続する条件を、SOCが89%以下であることとする。その他の条件は、図7と同じである。即ち、太陽光発電システム120のPCS124の制御を必要とする条件は、SOCが90%以上、かつ蓄電システム100が充電状態であり、太陽光発電システム120のPCS124の制御を不要とする条件は、蓄電システム100が放電状態であることである。正常周波数は50.0Hzであり、蓄電システム100のOFR整定値は51.0Hzであり、PCS124のOFR整定値は52.0Hzであるとする。Δf=0.5Hz、太陽光発電システム120の発電電力は2kW、負荷電力は1kWであるとする。
【0065】
図9において、時刻t2までは、SOC、周波数、PCS124の出力電力および蓄電システム100の出力電力は、図4と同様に変化する。時刻t2の後、PCS124から電力が供給されないので、SOCは減少するが、ステップ320の判定結果はNOであり、ステップ322により周波数が52.0Hz以上の状態が維持される。さらにSOCが減少し、時刻t3においてSOCが89%以下になると、ステップ320の判定結果がYESとなる。これにより、ステップ302が実行され、矢印Dにより示すように、周波数は正常周波数(即ち、50.0Hz)に戻され、時刻t4において、矢印Eにより示すように、PCS124が再度動作し電力の出力を開始する。したがって、蓄電システム100は充電状態になり、PCS124からの余剰電力により蓄電池102が充電される。
【0066】
このように、蓄電システム100の出力電力の電圧の周波数を、ある一定に時間、異常周波数(即ち、PCS124のOFR整定値である52.0Hz以上)に維持することにより、太陽光発電システム120のPCS124を確実に停止させることができる。したがって、蓄電システム100の安定動作が可能になる。即ち、蓄電池への充電ができずに、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システム100が保護停止してしまうことを確実に回避できる。
【0067】
(第2変形例)
上記したようにPCS124の制御が必要と判定されると、蓄電システム100の出力電圧の周波数を徐々に上昇させる。その後、周波数がPCS124のOFR整定値以上になりPCS124が停止する前に、何らかの原因(例えば機器内部保護)により、PCS124が動作を停止することがある。第2変形例に係る蓄電システムは、これに対処することを可能とする。第2変形例に係る蓄電システムの構成は、図3に示した蓄電システム100と同じである。したがって、以下においては、図3の符号を参照する。
【0068】
(蓄電システムの動作)
第2変形例に係る蓄電システムは、図4および図8に示した動作に代えて、図10に示した動作を実行する。図10に示したフローチャートは、図8に示したフローチャートにおいて、ステップ340を追加したものである。図10において、図4および図8と同じ符号を付したステップの処理は、図4および図8と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0069】
図10に示した処理は、系統130に停電が発生し、系統130から電力が供給されなくなった場合に、制御部110内部のCPUが、制御部110内部のメモリに記憶されているプログラムを読出し、実行することにより開始される。上記したステップ300の判定結果がYESである間、上記したステップ306およびステップ308が繰返し実行される。その間に、PCS124が動作を停止すると、蓄電システム(即ち蓄電池102)は放電し始めるので、ステップ308の判定結果がYESとなり、上記したステップ320が実行される。ステップ320の判定結果がNOであれば、上記したステップ322が実行される。
【0070】
その後、ステップ340において、制御部110は、制御部110が順潮流であるか否かを判定する。順潮流であると判定された場合、フローは306に戻る。そうでなければ(即ち逆潮流)、フローはステップ320に戻る。具体的には、制御部110は、蓄電池102が充電状態になったか否かを判定する。フローがステップ320に戻ることにより、ステップ322が実行され、正常値から上昇された周波数が維持される。その後、PCS124が自動復帰して動作を再開すると、ステップ340により順潮流であると判定され、ステップ306に戻り、周波数の上昇が再開される。
【0071】
これにより、蓄電システム100の出力電圧の周波数が、PCS124のOFR整定値以上になる前に、PCS124が何らかの原因により一時停止して電力を出力しなくなれば、周波数の上昇を停止する。その後、PCS124が復帰して電力の出力が再開されると、周波数の上昇を再開し、PCS124が動作している状態において、周波数がPCS124のOFR整定値以上になることにより、PCS124を停止させることができる。
【0072】
図11を参照して、図10に示した処理が実行されることにより、蓄電システム100および太陽光発電システム120の状態がどのように変化するかを説明する。前提条件は、図9と同じである。即ち、PCS124の制御を必要とする条件は、SOCが90%以上、かつ蓄電システム100が充電状態であり、PCS124の制御を不要とする条件は、蓄電システム100が放電状態であることであり、PCS124を再接続する条件は、SOCが89%以下であることである。正常周波数は50.0Hzであり、蓄電システム100のOFR整定値は51.0Hzであり、PCS124のOFR整定値は52.0Hzであるとする。Δf=0.5Hz、太陽光発電システム120の発電電力は2kW、負荷電力は1kWであるとする。
【0073】
図11において、時刻t1において、蓄電池102のSOCが90%を超え、周波数の上昇が開始される(矢印A参照)。その後、時刻t2において、PCS124が停止する(矢印F参照)。これにより、蓄電池102の動作は、充電から放電に切替わり、周波数上昇は停止し、周波数はその時の値に維持される(ステップ322参照)。時刻t3において、PCS124が動作を再開すると(矢印G参照)、蓄電池102の動作は、放電から充電(順潮流)に切替わり、周波数上昇が再開される(ステップ306参照)。その後、時刻t4において、周波数がPCS124のOFR整定値以上になり、PCS124は動作を停止する(矢印B参照)。
【0074】
これにより、周波数を変化させている間に、PCS124が機器内部保護等により一時停止した場合に対応できる。即ち、PCS124が一時停止することにより、蓄電池102が放電状態になり、SOCが減少して充電可能能力が増大するので、PCS124が動作を再開したときに、蓄電池102の充電が可能になる。
【0075】
その後は、第1変形例(図9参照)と同様に、SOCが減少して89%以下になるまで、周波数はPCS124のOFR整定値以上に維持される。時刻t5においてSOCが89%以下になると、矢印Dにより示すように、周波数は正常周波数(即ち、50.0Hz)に戻され、時刻t6において、矢印Eにより示すように、PCS124が再度動作し電力の出力を開始する。このように、第1変形例と同様に、蓄電システム100の出力電力の電圧の周波数を、ある一定に時間、異常周波数(即ち、PCS124のOFR整定値である52.0Hz以上)に維持することにより、太陽光発電システム120のPCS124を確実に停止させることができる。したがって、蓄電システム100の安定動作が可能になる。即ち、蓄電池への充電ができずに、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システム100が保護停止してしまうことを確実に回避できる。
【0076】
なお、図4図8および図10においては、蓄電システム100の出力電圧の周波数を変化させる場合を説明したが、蓄電システム100の出力電圧の実効値を変化させてもよい。
【0077】
(第3変形例)
上記においては、周波数がPCS124のOFR整定値以上になりPCS124が停止すると、蓄電システム100の出力電圧の周波数を元の値に戻して正常な電圧を出力する場合を説明したが、これに限定されない。第3変形例に係る蓄電システムは、徐々に正常電圧に戻す。第3変形例に係る蓄電システムの構成は、図3に示した蓄電システム100と同じである。したがって、以下においては、図3の符号を参照する。
【0078】
(蓄電システムの動作)
第3変形例に係る蓄電システムは、図4に示した動作に代えて、図12に示した動作を実行する。図12に示したフローチャートは、図4に示したフローチャートにおいて、ステップ306よびステップ308を削除し、ステップ360からステップ364を追加したものである。図12において、図4と同じ符号を付したステップの処理は、図4と同じである。したがって、以下においては、重複説明を繰返さず、主として異なる点に関して説明する。
【0079】
図12に示した処理は、系統130に停電が発生し、系統130から電力が供給されなくなった場合に、制御部110内部のCPUが、制御部110内部のメモリに記憶されているプログラムを読出し、実行することにより開始される。
【0080】
上記したステップ300の判定結果がYESであれば、フローはステップ360に移行する。ステップ360において、制御部110は、電圧の実効値をΔV1だけ上昇させた電圧が蓄電システム100から出力されるように、DC/ACコンバータ106を制御する。その後、フローはステップ300に戻る。ΔV1は、例えば3Vである。
【0081】
ステップ300の判定結果がNOであれば、フローはステップ362に移行する。ステップ362において、制御部110は、蓄電システム100の出力電圧が正常電圧以下であるか否かを判定する。正常電圧以下であると判定された場合、フローはステップ302に移行する。そうでなければ、フローはステップ364に移行する。
【0082】
ステップ364において、制御部110は、電圧の実効値をΔV2だけ降下させた電圧が蓄電システム100から出力されるように、DC/ACコンバータ106を制御する。その後、フローはステップ300に戻る。ΔV2は、例えば2Vである。ΔV2は、ΔV1と異なる値に限らず、同じ値であってもよい。
【0083】
ステップ302において、制御部110は、正常電圧を出力するように、DC/ACコンバータ106を制御する。その後、フローはステップ304に移行する。ステップ304において、制御部110は、終了するか否かを判定する。終了すると判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、フローはステップ300に戻り、上記した処理が繰返される。
【0084】
これにより、余剰電力が蓄電池102の充電可能能力を超えていれば、PCS124を停止させずに、PCS124の動作を抑制し、不足する電力を蓄電池102の放電により負荷132に供給する。余剰電力が蓄電池102の充電可能能力以下になれば、PCS124の動作の抑制をせずに、余剰電力により蓄電池102の充電を行う。PCS124を停止させないので、太陽光発電システム120による発電電力を有効に活用できる。
【0085】
図13を参照して、図12に示した処理が実行されることにより、蓄電システム100および太陽光発電システム120の状態がどのように変化するかを説明する。PCS124の制御を必要とする条件は、上記と同様に、SOCが90%以上、かつ蓄電システム100が充電状態であることである。PCS124の抑制開始条件は、蓄電システム100の出力電圧が109V以上であることである。正常電圧は101Vであり、ΔV1は3Vであり、ΔV2は2Vである。太陽光発電システム120の発電電力は2kW、負荷電力は1.5kWであるとする。
【0086】
図13を参照して、時刻t1において、蓄電池102のSOCが90%を超え、蓄電システム100は充電状態であり(ステップ300の判定結果はYES)、出力電圧の上昇が開始される(ステップ360および矢印A参照)。その後、時刻t2において、蓄電システム100の出力電圧が109Vを超えたため、PCS124の発電電力が徐々に低下し始める(矢印H参照)。時刻t3において、SOCは90%を超えているが、蓄電システム100は放電状態になり(ステップ300の判定結果はNO)、出力電圧が下降される(ステップ364および矢印I参照)。その後、蓄電システム100の出力電圧が109V未満になったため、時刻t4において、PCS124の発電電力が徐々に上昇する(矢印J参照)。その後、SOCが90%未満になった後、蓄電システム100は充電状態になり、時刻t5において、時刻t1と同様に、蓄電池102のSOCが再度90%以上になると(矢印K参照)、以降、上記の処理が繰返される。
【0087】
上記においては、充電可能能力(即ちパラメータ)に応じて、PCS124の動作を停止または抑制するための制御を行う場合を説明したが、これに限定されない。充電可能能力に基づいて定められたしきい値を使用してもよい。例えば、しきい値=充電可能能力+定数(例えば1kW)とすることができる。蓄電池102の充電可能能力が電力により規定され、図5に示したように、SOCに応じて変化するとする。PCS124から一定の交流電力が供給されている状態において、その交流電力と、蓄電池のSOCに応じて変化する充電可能能力に対応して決定されるしきい値との関係は、図14に示すようになる。時刻t1より前においては、SOCは92%未満であり、交流電力(-2.5kW)は、充電可能能力(-6kW)に基づいて定められたしきい値(-5kW=-6kW+1kW)よりも小さい。この状態においては、供給される電力により蓄電池102は充電可能であり、PCS124を停止させる必要はない。時刻t1になると、充電可能能力は-3kWに低下し、交流電力(-2.5kW)は、充電可能能力(-3kW)に基づいて定められたしきい値(-2kW=-3kW+1kW)よりも大きくなり、PCS124を停止または抑制する制御を開始できる。
【0088】
また、PCS124から蓄電システム100に供給される交流電力は、負荷の変動および日射の変化に応じて変化し得る。図15を参照して、時刻t2において、交流電力は、充電可能能力(-6kW)に基づいて定められたしきい値(-5kW=-6kW+1kW)を超えるので、PCS124を停止または抑制する制御を開始できる。
【0089】
よって、整定値を用いることなく太陽光発電システム120のPCS124の動作を停止または抑制できる。したがって、蓄電システム100の安定動作が可能になる。即ち、蓄電池102への充電ができずに、余剰電力の行き場がなくなり、出力電圧の不安定化および内部電圧の電圧上昇が発生し、蓄電システム100が保護停止してしまうことを回避できる。
【0090】
上記においては、蓄電システム100(図3参照)が蓄電池102を含む場合を説明したが、これに限定されない。蓄電システムは蓄電池を含んでいなくてもよい。図16を参照して、蓄電システム200は、蓄電池を含まず、外部の電気自動車(以下、EV(Electric Vehicle)という)202を、蓄電池102(図3参照)の代わりに使用する。即ち、蓄電システム200は、EV202から供給される直流電力を、DC/DCコンバータ104およびDC/ACコンバータ106により交流電力に変換して、負荷132および系統130に供給できる。蓄電システム200には太陽光発電システム120が接続されており、蓄電システム200は、太陽光発電システム120の余剰電力により、EV202に搭載された蓄電池を充電する。したがって、蓄電システム200は、蓄電システム100と同様に、太陽光発電システム120のPCS124の動作を制御することが好ましい。これにより、蓄電システム200の安定動作が可能になる。
【0091】
また、蓄電システムは、外部のPVパネルから供給される電力を利用してもよい。図17を参照して、蓄電システム210は、蓄電システム100(図3参照)の構成に加えて、PVパネル214により発電された直流電力を変換するためのDC/DCコンバータ212を含む。蓄電システム210は、蓄電池102の放電電力に加えて、PVパネル214の発電電力を変換して、負荷132および系統130に供給できる。蓄電システム210には、太陽光発電システム120が接続されており、蓄電システム210は、太陽光発電システム120の余剰電力により、蓄電池102を充電する。したがって、蓄電システム210は、蓄電システム100と同様に、太陽光発電システム120のPCS124の動作を制御することが好ましい。これにより、蓄電システム210の安定動作が可能になる。
【0092】
上記においては、電力供給システムに、蓄電システム以外の他のシステムとして、太陽光発電システムが含まれる場合を説明したが、これに限定されない。太陽光発電システム以外の他のシステムが蓄電システムに接続されていてもよい。他のシステムは、太陽光発電システムと同様に、直流電力を交流電力に変換する変換装置(例えばPCS)を含んでいてもよい。
【0093】
例えば、図18を参照して、電力供給システムは、太陽光発電システム120(図3参照)を代替する他のシステムとして、燃料電池システム220を含む。燃料電池システム220は、燃料電池222およびPCS224を含む。燃料電池222により発電された直流電力は、PCS224により交流電力に変換されて、負荷132および系統130に供給される。燃料電池システム220の余剰電力は蓄電システム100に供給され、蓄電システム100は余剰電力により蓄電池102を充電する。したがって、蓄電システム100は、太陽光発電システム120が接続されている場合と同様に、燃料電池システム220のPCS224の動作を制御することが好ましい。これにより、蓄電システム100の安定動作が可能になる。
【0094】
また、電力供給システムは、発電装置としてPVパネルと蓄電池とを含むハイブリッドシステムを含んでいてもよい。図19を参照して、電力供給システムは、太陽光発電システム120(図3参照)を代替する他のシステムとして、蓄電システム100に接続されるハイブリッドシステム230を含む。ハイブリッドシステム230は、PVパネル122と蓄電池232とPCS234とを含む。PCS234は、PVパネル122および蓄電池232の各々から出力される直流電力を交流電力に変換して、負荷132および系統130に供給する。ハイブリッドシステム230の余剰電力は蓄電システム100に供給され、蓄電システム100は余剰電力により蓄電池102を充電する。したがって、蓄電システム100は、太陽光発電システム120が接続されている場合と同様に、ハイブリッドシステム230のPCS234の動作を制御することが好ましい。これにより、蓄電システム100の安定動作が可能になる。
【0095】
また、電力供給システムは、蓄電システムと太陽光発電システムとEVシステムとを含んでいてもよい。図20を参照して、電力供給システムは、図3に示した蓄電システム100および太陽光発電システム120に加えて、EVシステム240を含む。EVシステム240は、EV202およびPCS242を含む。EV202から供給される直流電力は、PCS242により交流電力に変換されて、負荷132および系統130に供給される。太陽光発電システム120およびEVシステム240の余剰電力は蓄電システム100に供給され、蓄電システム100は余剰電力により蓄電池102を充電する。したがって、蓄電システム100は、太陽光発電システム120のPCS124およびEVシステム240のPCS242の動作を制御することが好ましい。これにより、蓄電システム100の安定動作が可能になる。
【0096】
以上、実施の形態を説明することにより本開示を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本開示は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本開示の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0097】
100、200、210、900 蓄電システム
102、232、902 蓄電池
104、212、904 DC/DCコンバータ
106、906 DC/ACコンバータ
108、908 リレー
110 制御部
120、920 太陽光発電システム
122、214、922 PVパネル
124、224、234、242、924 PCS
130、930 系統
132、932 負荷
202 電気自動車(EV)
220 燃料電池システム
222 燃料電池
230 ハイブリッドシステム
240 EVシステム
300、302、304、306、308、320、322、340、360、362、364、366 ステップ
A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K 矢印
t1、t2、t3、t4、t5、t6 時刻
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20