(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136680
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ペレット、成形品の製造方法およびフィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240927BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20240927BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20240927BHJP
B29B 7/38 20060101ALI20240927BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20240927BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20240927BHJP
C08J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
C08L 23/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CES
B29C49/04
B29C48/08
B29B7/38
C08J3/20 Z
C08J5/18
C08J7/00 304
C08L23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047866
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 慎太郎
【テーマコード(参考)】
4F070
4F071
4F073
4F201
4F207
4F208
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA13
4F070AA15
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4F073AA15
4F073BA07
4F073BA08
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4F201AA03
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4F208LA01
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4F208LB01
4F208LG22
4J002BB031
4J002BB041
4J002BB111
4J002BB121
4J002DE096
4J002DJ056
4J002FD206
4J002GG01
(57)【要約】
【課題】レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減可能な成形品(たとえば容器やフィルム)を製造することができるペレットを提供することを目的とする。レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができる成形品の製造方法を提供することも目的とする。レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができるフィルムを提供することも目的とする。
【解決手段】ポリオレフィンと、レーザーマーキング剤とを含み、安息角が25度以上45度以下であるペレットに関する。ペレットがレーザーマーキング剤を含むことから、レーザーによってマークを形成することが可能な成形品、つまり、レーザー印字可能な成形品を製造することができる。ペレットの安息角が25度以上45度以下であることから、印字ムラを低減可能な成形品を製造することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンと、
レーザーマーキング剤とを含み、
安息角が25度以上45度以下である、
ペレット。
【請求項2】
前記レーザーマーキング剤の含有量が1質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載のペレット。
【請求項3】
前記ペレット一粒当たりの重さが8mg以上20mg以下である、請求項1に記載のペレット。
【請求項4】
容器を製造するために使用される、請求項1に記載のペレット。
【請求項5】
少なくとも、請求項1~4のいずれかに記載のペレット、および第二ペレットを混合する工程と、
少なくとも前記ペレットおよび前記第二ペレットを混合する前記工程で準備された混合ペレットをホッパから押出機に供給する工程と、
前記押出機で前記混合ペレットを溶融させ、押し出す工程とを含む、
成形品の製造方法。
【請求項6】
前記押出機で押し出された層を含むパリソンのブロー成形をおこなう工程をさらに含む、請求項5に記載の成形品の製造方法。
【請求項7】
前記押出機で前記混合ペレットを溶融させ、押し出す前記工程では、フィルム状の溶融物を押し出す、請求項5に記載の成形品の製造方法。
【請求項8】
前記ペレットの安息角、および前記第二ペレットの安息角の差が絶対値で10度以下である、請求項5に記載の成形品の製造方法。
【請求項9】
ポリオレフィンと、
レーザーマーキング剤とを含むフィルムであって、
前記フィルムにおける長さ方向の前記レーザーマーキング剤の主要金属元素の含有量の変動幅が0.10質量%以下であり、前記変動幅が、前記フィルムの前記長さ方向で50m間隔で前記主要金属元素の含有量を測定したときの平均値と、前記平均値から最も離れた値との差の絶対値である、
フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット、成形品の製造方法およびフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食品の容器として、レーザーで印字可能な容器が知られている(特許文献1~3参照)。特許文献1には、レーザーで印字可能な小袋が記載されている。特許文献2には、レーザーで印字可能なラミネートチューブ容器が記載されている。特許文献3には、レーザーで印字可能な多層樹脂容器が記載されている。これらの容器には、レーザーで、飲食品の製造日や賞味期限、ロット番号などを付すことができる。
【0003】
レーザーで印字可能なフィルムやラベル、蓋なども知られている(特許文献4参照)。これらにもレーザーで印字することで、製造日や賞味期限、ロット番号などを付すことができる。
【0004】
これらを製造するために、レーザーマーキング剤を含有するペレット、つまりマスターバッチを作製したうえで、マスターバッチと、レーザーマーキング剤を含有しないペレット(たとえば市販のポリオレフィンペレット)とを混合し、押出機に供給する、という手順を踏むことも知られている(たとえば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4727414号
【特許文献2】特許第6592926号
【特許文献3】特許第6260265号
【特許文献4】WO/2021/125135A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、ある程度の長さ(具体的には500mの長さ)を有するロール状のフィルムを製造したうえで、これから切り出した個々のフィルムにレーザー印字をおこった際に、フィルムごとに印字ムラ、すなわち、レーザー印字の濃さのムラが生じることがあることを見出した。
【0007】
本発明は、レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減可能な成形品(たとえば容器やフィルム)を製造することができるペレットを提供することを目的とする。本発明は、レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができる成形品の製造方法を提供することも目的とする。本発明は、レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができるフィルムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために、本発明は、下記[1]の構成を備える。
[1]
ポリオレフィンと、
レーザーマーキング剤とを含み、
安息角が25度以上45度以下である、
ペレット。
【0009】
[1]によれば、ペレットがレーザーマーキング剤を含むことから、レーザーによってマークを形成することが可能な成形品、つまり、レーザー印字可能な成形品を製造することができる。
【0010】
しかも、ペレットの安息角が25度以上45度以下であることから、印字ムラを低減可能な成形品を製造することができる。これについて説明する。ペレットの安息角が25度以上45度以下であることから、本発明のペレット(すなわち、[1]に係るペレット)と、他のペレット(たとえば第二ペレット)とを混合したうえでホッパから押出機に供給する際に、本発明のペレット(すなわち、[1]に係るペレット)の単位時間当たりの供給量の経時的なばらつきを抑えることが可能であり、押出機内の溶融物のレーザーマーキング剤濃度の経時的なばらつきを抑えることができる。したがって、成形品についてのレーザーマーキング剤濃度のばらつきを抑えることが可能であり、成形品にレーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができる。たとえば、成形品が、フィルム状の溶融物を押し出す工程を経て製造されたロール状のフィルムである場合、フィルムにおける長さ方向のレーザーマーキング剤濃度のばらつきを抑えることが可能である。それ故、ロールから切り出したフィルムにレーザー印字をおこなう場合、フィルムごとに生じ得る印字ムラを低減することができる。いっぽう、成形品が、押出機で押し出された層を含むパリソンのブロー成形を経て製造された容器である場合、容器ごとに生じ得る印字ムラを低減することができる。
【0011】
本発明は、下記[2]~[4]の構成が好ましい。
[2]
前記レーザーマーキング剤の含有量が1質量%以上50質量%以下である、[1]に記載のペレット。
[3]
前記ペレット一粒当たりの重さが8mg以上20mg以下である、[1]または[2]に記載のペレット。
[4]
容器を製造するために使用される、[1]~[3]のいずれかに記載のペレット。
【0012】
本発明は、下記[5]の構成を備える。
[5]
少なくとも、[1]~[4]のいずれかに記載のペレット、および第二ペレットを混合する工程と、
少なくとも前記ペレットおよび前記第二ペレットを混合する前記工程で準備された混合ペレットをホッパから押出機に供給する工程と、
前記押出機で前記混合ペレットを溶融させ、押し出す工程とを含む、
成形品の製造方法。
【0013】
本発明は、下記[6]~[8]の構成が好ましい。
[6]
前記押出機で押し出された層を含むパリソンのブロー成形をおこなう工程をさらに含む、[5]に記載の成形品の製造方法。
[7]
前記押出機で前記混合ペレットを溶融させ、押し出す前記工程では、フィルム状の溶融物を押し出す、[5]に記載の成形品の製造方法。
[8]
前記ペレットの安息角、および前記第二ペレットの安息角の差が絶対値で10度以下である、[5]~[7]のいずれかに記載の成形品の製造方法。
【0014】
本発明は、下記[9]の構成を備える。
[9]
ポリオレフィンと、
レーザーマーキング剤とを含むフィルムであって、
前記フィルムにおける長さ方向の前記レーザーマーキング剤の主要金属元素の含有量の変動幅が0.10質量%以下であり、前記変動幅が、前記フィルムの前記長さ方向で50m間隔で前記主要金属元素の含有量を測定したときの平均値と、前記平均値から最も離れた値との差の絶対値である、
フィルム。
ここで、「レーザーマーキング剤の主要金属元素」とは、レーザーマーキング剤に含まれる金属元素のうち、含有量が最も多い金属元素を意味する。
【0015】
[9]によれば、フィルムにおける長さ方向のレーザーマーキング剤の主要金属元素の含有量の変動幅が0.10質量%以下であることから、レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減可能な成形品(たとえば容器やフィルム)を製造することができるペレットを提供することができる。本発明によれば、レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができる成形品の製造方法を提供することもできる。本発明によれば、レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができるフィルムを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】楕円柱状をなすペレットについて、測定した長さを説明するための概略斜視図である。
【
図2】楕円体状をなすペレットについて、測定した長さを説明するための概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0019】
<1.ペレット>
<1.1.ポリオレフィン>
本実施形態のペレットはポリオレフィンを含む。ポリオレフィンは、ホモポリマーであってもよく、共重合体であってもよい。ポリオレフィンとして、たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレンを挙げることができる。これに加えて、ホモポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリプロピレンを挙げることができる。ポリオレフィンとして、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマーを挙げることもできる。ポリオレフィンが官能基を有していてもよい。官能基として、たとえば、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、メルカプト基、ウレイド基、グリシジル基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩基を挙げることができる。官能基を有するポリオレフィンとして、たとえば、三井化学株式会社の接着性ポリオレフィン「アドマー(登録商標)」を挙げることができる。なお、ポリオレフィンとして一種使用してもよく、二種以上使用してもよい。
【0020】
<1.2.レーザーマーキング剤>
本実施形態のペレットはレーザーマーキング剤を含む。ペレットがレーザーマーキング剤を含むことから、レーザーによってマークを形成することが可能な成形品、つまり、レーザー印字可能な成形品を製造することができる。
【0021】
レーザーマーキング剤は、レーザーを吸収することが可能な顔料であることができる。レーザーマーキング剤がレーザーを吸収することが可能であると、レーザーのエネルギーを熱に変換することができるので、周辺のポリオレフィンを炭化させることができる。もちろん、レーザーマーキング剤自身が変色する(たとえば黒色に変色する)ことが可能であってもよい。このように、レーザーマーキング剤は、周辺のポリオレフィンを炭化させることが可能であってもよく、レーザーマーキング剤が変色することが可能であってもよく、両方が可能であってもよい。
【0022】
レーザーとして、たとえばCO2レーザー(10600nm)、YAGレーザー(1064nm)、YVO4レーザー(1064nm)、ファイバーレーザー(1090nm)、グリーンレーザー(532nm)、紫外線レーザー(以下、「UVレーザー」と言うことがある。)(355nm)を挙げることができる。なかでも、YAGレーザー、YVO4レーザー、ファイバーレーザー、グリーンレーザー、UVレーザーが好ましく、Nd:YAGレーザー、ファイバーレーザー、グリーンレーザー、UVレーザーがより好ましい。
【0023】
レーザーマーキング剤は、たとえば、ビスマス、ガドリニウム、ネオジム、チタン、アンチモン、スズ、アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属の単体、および/または、この群より選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物を含むことができる。もちろんレーザーマーキング剤は、これら以外の金属の単体や酸化物を含んでいてもよい。
【0024】
レーザーマーキング剤の粒径は0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。いっぽう、レーザーマーキング剤の粒径は10μm以下が好ましく、9μm以下がより好ましい。
【0025】
レーザーマーキング剤の市販品として、たとえば、TOMATEC株式会社の「TOMATEC COLOR」や、メルクパフォーマンスマテリアル合同会社の「Iriotec(登録商標)」を挙げることができる。なお、レーザーマーキング剤として一種使用してもよく、二種以上使用してもよい。
【0026】
ペレットにおけるレーザーマーキング剤の含有量は1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。レーザーマーキング剤の含有量は10質量%以上であってもよく、15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。いっぽう、ペレットにおけるレーザーマーキング剤の含有量は50質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。50質量%以下であると、ペレットの真比重が過度に大きくなることを防止できる。レーザーマーキング剤の含有量は40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。
【0027】
<1.3.ペレットの物性や重さなど>
ペレットの安息角は25度以上45度以下である。25度以上45度以下であることによって、印字ムラを低減可能な成形品を製造することができる。これについて説明する。ペレットの安息角が25度以上45度以下であることから、本実施形態のペレットと、他のペレットとを混合したうえでホッパから押出機に供給する際に、本実施形態のペレットの単位時間当たりの供給量の経時的なばらつきを抑えることが可能であり、押出機内の溶融物のレーザーマーキング剤濃度の経時的なばらつきを抑えることができる。したがって、成形品についてのレーザーマーキング剤濃度のばらつきを抑えることが可能であり、成形品にレーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができる。たとえば、成形品が、フィルム状の溶融物を押し出す工程を経て製造されたロール状のフィルムである場合、フィルムにおける長さ方向のレーザーマーキング剤濃度のばらつきを抑えることが可能である。それ故、ロールから切り出したフィルムにレーザー印字をおこなう場合、フィルムごとに生じ得る印字ムラを低減することができる。いっぽう、成形品が、押出機で押し出された層を含むパリソンのブロー成形を経て製造された容器である場合、容器ごとに生じ得る印字ムラを低減することができる。ペレットの安息角は28度以上が好ましく、30度以上がより好ましく、32度以上がさらに好ましい。いっぽう、ペレットの安息角は43度以下が好ましく、42度以下がより好ましい。
【0028】
ペレットの形状として、たとえば、直円柱状、楕円柱状といった円柱状や楕円体状を挙げることができる。ペレットがこのような形状をなす場合、ペレットの高さは、たとえば、1.0mm以上であってもよく、1.3mm以上であってもよく、1.5mm以上であってもよい。いっぽう、ペレットの高さは、たとえば、10.0mm以下であってもよく、7.0mm以下であってもよく、5.0mm以下であってもよい。
【0029】
ペレット一粒当たりの重さは8mg以上20mg以下が好ましい。ペレット一粒当たりの重さは、たとえば9mg以上であってもよく、10mg以上であってもよい。いっぽう、ペレット一粒当たりの重さは、たとえば18mg以下であってもよく、17mg以下であってもよく、16mg以下であってもよい。
【0030】
ペレットのかさ比重、すなわち、かさ密度は、たとえば0.30g/cm3以上であってもよく、0.40g/cm3以上であってもよく、0.45g/cm3以上であってもよく、0.50g/cm3以上であってもよく、0.52g/cm3以上であってもよく、0.54g/cm3以上であってもよい。いっぽう、ペレットのかさ比重は、たとえば0.60g/cm3以下であってもよく、0.57g/cm3以下であってもよく、0.55g/cm3以下であってもよい。
【0031】
ペレットの真比重は、たとえば0.94g/cm3以上であってもよく、1.00g/cm3以上であってもよく、1.02g/cm3以上であってもよく、1.03g/cm3以上であってもよい。いっぽう、ペレットの真比重は、たとえば1.20g/cm3以下であってもよく、1.15g/cm3以下であってもよく、1.12g/cm3以下であってもよく、1.10g/cm3以下であってもよい。
【0032】
<2.成形品の製造方法>
本実施形態の成形品の製造方法は、少なくとも、上述のペレット(すなわち、ポリオレフィンおよびレーザーマーキング剤を含む、安息角25度以上45度以下のペレット。以下、「第一ペレット」と言うことがある。)、および第二ペレットを混合する工程(以下、「混合工程」と言うことがある。)と、少なくとも第一ペレットおよび第二ペレットを混合する工程で準備された混合ペレットをホッパから押出機に供給する工程(以下、「供給工程」と言うことがある。)と、押出機で混合ペレットを溶融させ、押し出す工程(以下、「押出し工程」と言うことがある。)とを含む。
【0033】
本実施形態の製造方法で製造される成形品として、たとえば、容器、フィルムを挙げることができる。成形品としてパリソンを挙げることもできる。
【0034】
容器として、たとえば、飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、歯磨剤、絵具、接着剤向けの容器を挙げることができる。飲食品として、たとえば、マヨネーズ、ケチャップ、練りわさび、練りからし、ピザソースを挙げることができる。なかでも、飲食品向け容器が好ましく、マヨネーズ、ケチャップといったソース向けの容器が好ましい。
【0035】
いっぽう、フィルムは、たとえば、ラベル、容器の蓋として使用できる。フィルムは、ラベル、容器の蓋、袋、ラミネートチューブなどを製造するために使用することもできる。ラベルとして、たとえばボトル用ラベルを挙げることができる。袋として、たとえば、縦ピロー、横ピロー、ガゼット袋といった、ヒートシールによって作製される袋を挙げることができる。溶断シールによって作製される袋を挙げることもできる。
【0036】
以下では、容器の製造方法と、フィルムの製造方法とについて説明する。
【0037】
<2.1.容器の製造方法>
本実施形態の容器の製造方法は、少なくとも、第一ペレット(すなわち、ポリオレフィンおよびレーザーマーキング剤を含む、安息角25度以上45度以下のペレット)、および第二ペレットを混合する工程(すなわち混合工程)と、少なくとも第一ペレットおよび第二ペレットを混合する工程で準備された混合ペレットをホッパから押出機に供給する工程(すなわち供給工程)と、押出機で混合ペレットを溶融させ、押し出す工程(すなわち押出し工程)と、押出機で押し出された層を含むパリソンのブロー成形をおこなう工程(以下、「ブロー成形工程」と言うことがある。)とを含む。
【0038】
<2.1.1.混合工程>
混合工程では、第一ペレットおよび第二ペレットを混合する。混合は、たとえば、ホッパの上流に設けられた混合機でおこなうことができる。この場合、混合したのちに、混合ペレットを混合機からホッパに移す。なお、混合機とホッパとの間にフィーダが設けられていてもよい。いっぽう、混合はホッパ内でおこなってもよい。
【0039】
第二ペレットはポリオレフィンを含むことが好ましい。第二ペレットのポリオレフィンの説明は、上述の説明(すなわち第一ペレットのポリオレフィンの説明)と重複するため省略する。よって、第一ペレットのポリオレフィンの説明は、第二ペレットのポリオレフィンの説明としても扱うことができる。
【0040】
第一ペレットのポリオレフィンがポリエチレンを含む場合、第二ペレットのポリオレフィンもポリエチレンを含むことが好ましい。たとえば、第一ペレットのポリオレフィンが低密度ポリエチレンを含む場合、第二ペレットのポリオレフィンも低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。第一ペレットのポリオレフィンが直鎖状低密度ポリエチレンを含む場合、第二ペレットのポリオレフィンも直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。いっぽう、第一ペレットのポリオレフィンがポリプロピレンを含む場合、第二ペレットのポリオレフィンもポリプロピレンを含むことが好ましい。
【0041】
第二ペレットはレーザーマーキング剤を含んでいてもよく、含まなくてもよいものの、第二ペレットはレーザーマーキング剤を含まないことが好ましい。なぜなら、第一ペレットがレーザーマーキング剤を含むことから、第二ペレットがレーザーマーキング剤を含む必要はないためである。
【0042】
第二ペレットの安息角は15度以上55度以下が好ましい。15度以上55度以下であると、第二ペレットのホッパからの落下しやすさが、第一ペレットのそれ(すなわち落下しやすさ)から過度に乖離することを回避することが可能であり、したがって、第一ペレットの単位時間当たりの供給量の経時的なばらつきをいっそう抑えることができる。その結果、成形品、すなわち容器にレーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラをいっそう低減することができる。第二ペレットの安息角は20度以上がより好ましく、25度以上がさらに好ましく、28度以上がさらに好ましく、30度以上がさらに好ましく、32度以上がさらに好ましい。いっぽう、第二ペレットの安息角は43度以下がより好ましく、41度以下がさらに好ましく、40度以下がさらに好ましい。
【0043】
第二ペレットの形状、重さ(具体的には、第二ペレット一粒当たりの重さ)、かさ比重の説明は、上述の説明(すなわち第一ペレットにおけるこれらの説明)と重複するため省略する。よって、第一ペレットの形状、重さ、かさ比重の説明は、第二ペレットにおけるこれらの説明としても扱うことができる。
【0044】
第一ペレットの安息角、および第二ペレットの安息角の差は絶対値で10度以下が好ましく、9度以下がより好ましく、8度以下がさらに好ましく、7度以下がさらに好ましく、6度以下がさらに好ましい。10度以下であると、第一ペレットのホッパからの落下しやすさが、第二ペレットのそれ(すなわち落下しやすさ)から過度に乖離することを回避することが可能であり、したがって、第一ペレットの単位時間当たりの供給量の経時的なばらつきをいっそう抑えることができる。その結果、成形品、すなわち容器にレーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラをいっそう低減することができる。この差は絶対値で5度以下であってもよく、この差は絶対値で4度以下であってもよく、この差は絶対値で3度以下であってもよく、この差は絶対値で2度以下であってもよい。
【0045】
混合工程では、第一ペレットおよび第二ペレットとともに、他のペレット(たとえば第三ペレット)をさらに混合してもよい。他のペレットの説明は、第二ペレットの説明と重複するため省略する。よって、第二ペレットの説明は、他のペレットの説明としても扱うことができる。
【0046】
混合工程で混合されるペレット(すなわち、第一ペレット、第二ペレット、および必要に応じて混合される他のペレット)の個々の安息角うち、最大値と最小値との差は10度以下が好ましく、9度以下がより好ましく、8度以下がさらに好ましく、7度以下がさらに好ましく、6度以下がさらに好ましい。10度以下であると、第一ペレットの単位時間当たりの供給量の経時的なばらつきをいっそう抑えることが可能であるため、容器にレーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラをいっそう低減することができる。この差は絶対値で5度以下であってもよく、この差は絶対値で4度以下であってもよい。
【0047】
混合工程で混合されるペレット(すなわち、第一ペレット、第二ペレット、および必要に応じて混合される他のペレット)の合計質量100質量%中、第一ペレットの量は1.0質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましい。第一ペレットの量は3.0質量%以上であってもよく、5.0質量%以上であってもよい。いっぽう、混合工程で混合されるペレットの合計質量100質量%中、第一ペレットの量は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
【0048】
混合工程で混合されるペレット(すなわち、第一ペレット、第二ペレット、および必要に応じて混合される他のペレット)の合計質量100質量%中、第二ペレットの量は30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。いっぽう、混合工程で混合されるペレットの合計質量100質量%中、第二ペレットの量は99.0質量%以下が好ましく、98.5質量%以下がより好ましい。97.0質量%以下がさらに好ましい。
【0049】
<2.1.2.供給工程>
供給工程では、混合ペレットをホッパから押出機に供給する。ホッパは、押出機の供給口の上に設けられていることができる。ホッパは漏斗状をなす。なお、ホッパには、混合ペレットの排出を促すための装置、たとえばバイブレーター、エアーノッカー、スクリューが設けられていてもよい。
【0050】
ホッパの傾斜角は、たとえば40度以上であってもよく、45度以上であってもよく、50度以上であってもよい。いっぽう、ホッパの傾斜角は、たとえば、75度以下であってもよく、70度以下であってもよい。ホッパの傾斜角は、対向する一対のホッパ内面がなす角度である。たとえば、ホッパがテーパーを有する場合、すなわち円錐状部分を有する場合、円錐状部分の直径に直交し、かつ直径の中心に位置する面でホッパを切断したと仮定したときの断面図において、対向する一対のホッパ内面がなす角度である。なお、傾斜角が、測定箇所によって変わる場合、「ホッパの傾斜角」は最小値で表される。
【0051】
<2.1.3.押出し工程>
押出し工程では、パリソンを成形するために、押出機で混合ペレットを溶融させ、押し出す。
【0052】
押出機は、スクリューと、スクリューを取り囲むシリンダーとを含む。つまり、押出機は、シリンダーと、シリンダー内のスクリューとを含む。押出機は、回転するスクリューによって、混合ペレットを溶融させ、定量で押し出すことができる。押出機として、たとえば、単軸押出機、2軸押出機を挙げることができる。
【0053】
押出機にはダイが取り付けられている。ダイは、ヘッド(すなわち押出機ヘッド)を介して、シリンダーに取り付けられていることができる。なお、ダイがヘッドを含んでいてもよい。
【0054】
押出し工程では、具体的には、押出機で混合ペレットを溶融させ、混合ペレットの溶融物を、必要に応じて他の押出機からの溶融物と積層したうえで、溶融物すなわちパリソンをダイから押し出す。これらの溶融物は、ヘッド内またはダイ内で積層されることができる。他の押出機は、一台であってもよく、二台以上であってもよい。
【0055】
他の押出機に供給される樹脂として、たとえば、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体(つまりEVOH)、ポリオレフィンを挙げることができる。他の押出機に供給される樹脂は、ペレット状をなしていてもよい。ポリアミドとして、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)を例示できる。ポリオレフィンの説明は、上述の説明(すなわち第一ペレットのポリオレフィンの説明)と重複するため省略する。よって、第一ペレットのポリオレフィンの説明は、他の押出機に供給されるポリオレフィンの説明としても扱うことができる。
【0056】
<2.1.4.ブロー成形工程>
ブロー成形工程では、パリソンのブロー成形をおこなう。たとえば、パリソン内に圧縮ガス(たとえば圧縮空気)を吹き込み、パリソンを金型の内面に押し付ける。これによって、中空の成形品、具体的には容器を得ることができる。なお、ブロー成形は、たとえばダイレクトブロー成形(すなわち押出しブロー成形)であってもよく、射出ブロー成形であってもよい。
【0057】
パリソンは、混合ペレットを原料として形成された層(以下、「レーザーマーキング層」と言うことがある。)を含む。レーザーマーキング層は、ポリオレフィンおよびレーザーマーキング剤を含む。レーザーマーキング層は、各種の添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤として、たとえば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤、滑剤を挙げることができる。
【0058】
パリソンは、レーザーマーキング層のみからなってもよく、つまり、単層であってもよく、複数の層を含んでいてもよい。
【0059】
パリソンが複数の層を含む場合、パリソンは、エチレン・ビニルアルコール共重合体(つまりEVOH)を含む層をさらに含んでいてもよい。パリソンが、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含む層を含むと、容器のガスバリア性を向上することができる。なお、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含む層とレーザーマーキング層との間にポリオレフィン(たとえば、官能基を有するポリオレフィン)を含む層をパリソンが含んでいてもよい。
【0060】
パリソンが複数の層を含む場合、たとえば、次のような層構成を挙げることができる。なお、以下では、ポリエチレンを含む層を「ポリエチレン層」、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含む層を「EVOH層」、接着性樹脂(たとえば、官能基を有するポリオレフィン)を含む層を「接着性樹脂層」と呼ぶことがある。
・ポリエチレン層/レーザーマーキング層/接着性樹脂層/EVOH層/接着性樹脂層/ポリエチレン層
・ポリエチレン層/EVOH層/接着性樹脂層/レーザーマーキング層/接着性樹脂層/EVOH層/ポリエチレン層
【0061】
このような手順で容器を得ることができる。なお、容器に必要に応じて何らかの加工を施してもよい。
【0062】
<2.2.フィルムの製造方法>
本実施形態のフィルムの製造方法は、少なくとも、第一ペレット(すなわち、ポリオレフィンおよびレーザーマーキング剤を含む、安息角25度以上45度以下のペレット)、および第二ペレットを混合する工程(すなわち混合工程)と、少なくとも第一ペレットおよび第二ペレットを混合する工程で準備された混合ペレットをホッパから押出機に供給する工程(すなわち供給工程)と、押出機で混合ペレットを溶融させ、押し出す工程(すなわち押出し工程)と、押出機で押し出された層を含むフィルム状の溶融物をチルロールで固化する工程とを含む。
【0063】
<2.2.1.混合工程および供給工程>
本実施形態のフィルムの製造方法における混合工程および供給工程の説明は、上述の説明(すなわち、容器の製造方法における混合工程および供給工程の説明)と重複するため省略する。よって、容器の製造方法における混合工程および供給工程の説明は、フィルムの製造方法における混合工程および供給工程の説明としても扱うことができる。
【0064】
<2.2.2.押出し工程>
押出し工程では、押出機で混合ペレットを溶融させ、ダイからフィルム状の溶融物を押し出す。
【0065】
押出機は、スクリューと、スクリューを取り囲むシリンダーとを含む。つまり、押出機は、シリンダーと、シリンダー内のスクリューとを含む。押出機は、回転するスクリューによって、混合ペレットを溶融させ、定量で押し出すことができる。押出機として、たとえば、単軸押出機、2軸押出機を挙げることができる。
【0066】
押出機にはダイが取り付けられている。ダイは、ヘッド(すなわち押出機ヘッド)を介して、シリンダーに取り付けられていることができる。なお、ダイがヘッドを含んでいてもよい。
【0067】
押出し工程では、具体的には、押出機で混合ペレットを溶融させ、混合ペレットの溶融物を、必要に応じて他の押出機からの溶融物と積層したうえで、フィルム状の溶融物をダイから押し出す。これらの溶融物は、フィードブロック内またはダイ内で積層されることができる。他の押出機は、一台であってもよく、二台以上であってもよい。
【0068】
他の押出機に供給される樹脂の説明は、上述の説明(すなわち容器の製造方法における樹脂の説明)と重複するため省略する。よって、容器の製造方法における樹脂の説明は、フィルムの製造方法における樹脂の説明としても扱うことができる。
【0069】
<2.2.3.他の工程>
フィルム状の溶融物をチルロールで固化する。これによって、フィルム状の溶融物を急冷固化することができ、その結果、実質的に未配向のフィルム(以下、「未延伸フィルム」と言うことがある。)を得ることができる。なお、チルロールの表面温度は40℃以下が好ましい。
【0070】
次いで、未延伸フィルムを延伸することできる。たとえば二軸延伸することができる。二軸延伸は、同時二軸延伸であってもよく、逐次二軸延伸であってもよい。なかでも、逐次二軸延伸が好ましい。逐次二軸延伸では、未延伸フィルムを、長手方向すなわちMDに延伸し、MD延伸後のシートを、幅方向すなわちTDに延伸することが好ましい。
【0071】
未延伸フィルムを長手方向に延伸する方法は、たとえば、複数のロール間で多段階に延伸する方法であっても、赤外線ヒーターなどにより加熱して延伸する方法であってもよい。なかでも前者が好ましい。
【0072】
長手方向の延伸の際、未延伸フィルムの温度が100℃~180℃になるように予備加熱することが好ましい。100℃以上であると、未延伸フィルムを長手方向に延伸する際に生じ得る破断を抑制することができる。
【0073】
予備加熱された未延伸フィルムを長手方向に延伸する際の延伸倍率、すなわちMD延伸倍率は1.1倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、2.0倍以上がさらに好ましい。1.1倍以上であると、フィルムの長手方向に分子配向を与えることが可能であるため、機械強度を向上することができる。MD延伸倍率は10倍以下が好ましく、9.5倍以下がより好ましく、9.0倍以下がさらに好ましい。10倍以下であると、TD延伸時に生じ得る破断を抑制することができる。
【0074】
長手方向に延伸されたフィルムの少なくとも一方の面に、必要に応じてコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を施してもよい。長手方向に延伸されたフィルムの少なくとも一方の面に、必要に応じて樹脂分散液または樹脂溶解液を塗布してもよい。
【0075】
長手方向に延伸されたフィルムをテンター装置に導き、フィルムの両端をクリップで把持して、熱風によりフィルムを加熱した後、長手方向に搬送しながらクリップ間の距離、すなわち間隔を広げることでフィルムを幅方向に延伸することができる。
【0076】
フィルムを幅方向に延伸する際の予熱温度は110℃以上170℃以下が好ましい。フィルムを幅方向に延伸する際の温度、すなわちTD延伸温度は、120℃以上180℃以下が好ましい。
【0077】
フィルムを幅方向に延伸する際の延伸倍率、すなわちTD延伸倍率は1.5倍以上が好ましく、2.0倍以上がより好ましい。TD延伸倍率は20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましい。
【0078】
幅方向に延伸したフィルム、すなわち、二軸延伸されたフィルムを、熱処理をおこなうためのゾーン(以下、「熱処理ゾーン」と言うことがある。)に導くことができる。二軸延伸されたフィルムを熱処理ゾーンに導く前に、積極的な加熱をおこなわないゾーン(以下、「中間ゾーン」と言うことがある。)に導いてもよい。つまり、二軸延伸されたフィルムを、中間ゾーンに導いた後に熱処理ゾーンに導いてもよい。
【0079】
熱処理ゾーンでは、フィルムを130℃以上190℃以下で加熱することが好ましい。熱処理ではフィルムの結晶化を促進されるため、熱収縮率を低減させやすくなる。加熱温度は135℃以上が好ましい。いっぽう、加熱温度は185℃以下が好ましく、180℃以下がさらに好ましい。
【0080】
なお、熱処理をおこなう際に、テンターのクリップ間の距離を縮めてもよい。これによって、幅方向の熱収縮率を低減させることができる。
【0081】
熱処理ゾーンを通過したフィルムを冷却ゾーンに導くことができる。冷却ゾーンでは、10℃以上30℃以下の冷却風で2秒以上20秒以下、フィルムを冷却することが好ましい。
【0082】
フィルムの両端部を必要に応じて裁断除去しながら巻き取ることができる。スリット加工を必要に応じておこなったうえで巻き取ってもよい。このような手順でロール状のフィルムを得ることができる。なお、任意のタイミングで印刷をおこなってもよく、任意のタイミングでガスバリア層を形成してもよい。ガスバリア層の原料種として、たとえば、ケイ素、アルミニウム、スズ、亜鉛、鉄、マンガンなどの金属や、これら金属の1種以上を含む無機化合物を挙げることができる。無機化合物として、たとえば、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物を挙げることができる。
【0083】
<2.2.4.フィルム>
フィルムは、混合ペレットを原料として形成された層(つまりレーザーマーキング層)を含む。レーザーマーキング層は、ポリオレフィンおよびレーザーマーキング剤を含む。レーザーマーキング層は、各種の添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤として、たとえば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤、滑剤を挙げることができる。
【0084】
レーザーマーキング層の厚みは5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。厚みが厚いほど、レーザーで形成されるマーク、すなわちレーザー印字を濃くすることができる。いっぽう、レーザーマーキング層の厚みは100μm以下が好ましく、95μm以下がより好ましく、90μm以下がさらに好ましい。厚みが薄いほど、フィルムのヘイズが低減する傾向がある。
【0085】
フィルムは、レーザーマーキング層のみからなってもよい。つまり、単層であってもよい。
【0086】
いっぽう、フィルムは、レーザーマーキング層と、他の層とを含んでいてもよい。つまり、フィルムは、複数の層を含んでいてもよい。たとえば、フィルムは、第一層、第二層、および第三層を含むことができる。第一層、第二層、第三層は、フィルムの厚み方向でこの順に並んでいる。ここで、第一層、第二層、第三層の少なくともいずれか一つがレーザーマーキング層であることができる。なお、第一層および第二層の間や、第二層および第三層の間に、他の層が存在してもよい。
【0087】
フィルムが、第一層、第二層、および第三層を含み、第二層がレーザーマーキング層である場合、第一層はポリオレフィンを含むことが好ましい。第一層のポリオレフィンの説明は、上述の説明(すなわち第一ペレットのポリオレフィンの説明)と重複するため省略する。よって、第一ペレットのポリオレフィンの説明は、第一層のポリオレフィンの説明としても扱うことができる。なお、レーザーマーキング層のポリオレフィンがポリエチレンを含む場合、第一層もポリエチレンを含むことが好ましい。たとえば、レーザーマーキング層が低密度ポリエチレンを含む場合、第一層が、低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンの少なくとも一方を含むことが好ましい。レーザーマーキング層が直鎖状低密度ポリエチレンを含む場合、第一層も直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。いっぽう、レーザーマーキング層がポリプロピレンを含む場合、第一層もポリプロピレンを含むことが好ましい。
【0088】
第一層は滑剤をさらに含むことが好ましい。滑剤として、粒子、たとえばシリカ、タルクを挙げることができる。滑剤として、たとえば脂肪酸アミド類、アルキルスルホン酸塩、ステアリン酸類、エルカ酸アミド類を挙げることもできる。第一層は各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0089】
フィルムが、第一層、第二層、および第三層を含み、第二層がレーザーマーキング層である場合、第三層はポリオレフィンを含むことが好ましい。第三層のポリオレフィンの説明は、上述の説明(すなわち第一ペレットのポリオレフィンの説明)と重複するため省略する。よって、第一ペレットのポリオレフィンの説明は、第三層のポリオレフィンの説明としても扱うことができる。なお、レーザーマーキング層のポリオレフィンがポリエチレンを含む場合、第三層もポリエチレンを含むことが好ましい。たとえば、レーザーマーキング層が低密度ポリエチレンを含む場合、第三層が、低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンの少なくとも一方を含むことが好ましい。レーザーマーキング層が直鎖状低密度ポリエチレンを含む場合、第三層も直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。いっぽう、レーザーマーキング層がポリプロピレンを含む場合、第三層もポリプロピレンを含むことが好ましい。
【0090】
第三層は滑剤をさらに含むことが好ましい。滑剤として、粒子、たとえばシリカ、タルクを挙げることができる。滑剤として、たとえば脂肪酸アミド類、アルキルスルホン酸塩、ステアリン酸類、エルカ酸アミド類を挙げることもできる。第三層は各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0091】
フィルムには、コロナ処理やコーティング処理、火炎処理などが施されていてもよい。
【0092】
フィルムの厚みは8μm以上が好ましく、13μm以上がより好ましく、18μm以上がさらに好ましい。フィルムの厚みはたとえば20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。いっぽう、フィルムの厚みは200μm以下が好ましく、195μm以下がより好ましく、190μm以下がさらに好ましい。厚みが薄いほど、コストを抑えることができる。フィルムの厚みはたとえば150μm以下であってもよく、100μm以下であってもよく、80μm以下であってもよく、60μm以下であってもよい。
【0093】
フィルムがロール状をなす場合、フィルムの長さは、たとえば500m以上であってもよく、1000m以上であってもよく、5000m以上であってもよく、10000m以上であってもよい。
【0094】
フィルムの長さ方向において、レーザーマーキング剤の主要金属元素(以下、「レーザーマーキング剤主要金属元素」と言うことがある。)の含有量の変動幅は0.10質量%以下が好ましく、0.09質量%以下がより好ましく、0.08質量%以下がさらに好ましく、0.07質量%以下がさらに好ましい。ここで、「レーザーマーキング剤主要金属元素」とは、レーザーマーキング剤に含まれる金属元素のうち、含有量が最も多い金属元素を意味する。レーザーマーキング剤主要金属元素は、レーザーマーキング剤における全金属元素の含有量を100質量%としたとき、50質量%以上を占めることが好ましい。なお、レーザーマーキング剤主要金属元素は、フィルムにおける全金属元素の含有量を100質量%としたとき、50質量%以上を占めてもよい。レーザーマーキング剤主要金属元素として、たとえばSn(スズ)、Bi(ビスマス)、Ti(チタン)、Nd(ネオジム)、Gd(ガドリニウム)、Sb(アンチモン)、Al(アルミニウム)、Mo(モリブデン)を挙げることができる。たとえば、後述の実施例で使用されたIRIOTEC(登録商標)8825(メルクパフォーマンスマテリアルズ、主成分アンチモンドープスズ/雲母)の主要金属元素はSn、すなわちスズである。いっぽう、TOMATEC COLOR42-920A(TOMATEC株式会社、主成分Bi2O3)の主要金属元素はBi、すなわちビスマスである。レーザーマーキング剤主要金属元素の含有量の変動幅とは、フィルムの長さ方向で50m間隔でレーザーマーキング剤主要金属元素の含有量を測定したときの平均値と、平均値から最も離れた値との差の絶対値である。この変動幅は、実施例に記載の方法で求めることができる。変動幅が0.10質量%以下であると、レーザー印字をおこなったときに生じ得る印字ムラを低減することができる。なお、変動幅は、たとえば0.001質量%以上であってもよく、0.003質量%以上であってもよく、0.005質量%以上であってもよく、0.01質量%以上であってもよく、0.02質量%以上であってもよい。
【0095】
フィルムの長さ方向において、レーザー印字L*値のバラツキは2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.7以下がさらに好ましく、1.5以下がさらに好ましい。ここで、レーザー印字L*値のバラツキとは、フィルムの長さ方向で50m間隔でレーザー印字をおこなったうえで、レーザー印字のL*値(すなわち、レーザー照射された部分のL*値)を測定したときの最大値と最小値との差である。このバラツキは、実施例に記載の方法で求めることができる。
【実施例0096】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0097】
<1.原料>
次に示す原料を使用した。
<1.1.ポリオレフィン>
住友ノーブレン(登録商標) FS2011DG3(住友化学株式会社製のポリプロピレン)
ノバテックPP FL203D(日本ポリプロ株式会社製のポリプロピレン)
スミカセン(登録商標) FV405(住友化学株式会社製の直鎖状低密度ポリエチレン)
ハーモレックス NC564A(日本ポリエチレン株式会社製の直鎖状低密度ポリエチレン)
スミカセン(登録商標) FV407(住友化学株式会社製の直鎖状低密度ポリエチレン)
ハイゼックス(HZ)2300L(株式会社プライムポリマー製の高密度ポリエチレン)
【0098】
これらにつき、サイズ、真比重、かさ比重、重さ(具体的には、一粒当たりの重さ)、安息角を測定した。これらの測定方法は後述する。結果を表1に示す。
【表1】
なお、表1において「-」は未測定または未評価であることを示す。
【0099】
<1.2.レーザーマーキング剤>
IRIOTEC(登録商標)8825(メルクパフォーマンスマテリアルズ、主成分アンチモンドープスズ/雲母)
TOMATEC COLOR42-920A(TOMATEC株式会社、主成分Bi2O3)
【0100】
<2.マスターバッチペレットの作製>
<2.1.ペレットB、J、L、Mの作製>
FS2011DG3と、IRIOTEC(登録商標)8825とを質量比80:20で混合(ドライブレンド)し、二軸スクリュー押出機に投入し、250℃で溶融・混合させた。円柱状のストランドをストランドダイから吐出し、水冷したうえで、ストランドカッターで切断し、ペレットBを得た。表2に記載に従って原料を混合したこと以外は、ペレットBの作製と同じような手順でペレットJ、L、Mを得た。
【0101】
<2.2.ペレットE、Kの作製>
FV405と、IRIOTEC(登録商標)8825とを質量比90:10で混合(ドライブレンド)し、二軸スクリュー押出機に投入し、250℃で溶融・混合させた。円柱状のストランドをストランドダイから吐出し、水冷したうえで、ストランドカッターで切断し、ペレットEを得た。表2に記載に従って原料を混合したこと以外は、ペレットEの作製と同じような手順でペレットKを得た。
【0102】
<2.3.ペレットFの作製>
FV405とシリカとを、シリカが20000ppmとなるように混合し、二軸スクリュー押出機に投入し、250℃で溶融・混合させた。円柱状のストランドをストランドダイから吐出し、水冷したうえで、ストランドカッターで切断し、ペレットFを得た。
【0103】
<2.4.マスターバッチペレットの測定結果>
マスターバッチペレットにつき、サイズ、真比重、かさ比重、重さ(具体的には、一粒当たりの重さ)、安息角を測定した。これらの測定方法は後述する。結果を表2に示す。
【表2】
なお、レーザーマーキング剤の行において「-」は、レーザーマーキング剤の添加なしを意味する。滑剤の行においても「-」は、滑剤の添加なしを意味する。ペレットFについて、形状やサイズ、真比重、かさ比重、一粒当たりの重さは未測定である。
【0104】
<3.フィルムの作製>
<3.1.実施例1におけるフィルムの作製>
ペレットBおよびペレットCを質量比1.5:98.5で混合したうえで、ホッパ(傾斜角60度)から単軸スクリュー押出機に投入し、250℃で溶融させてTダイからフィルム状の溶融物を押し出した。フィルム状の溶融物を、表面温度30℃に設定したチルロール上で冷却固化した。これによって未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムを複数のロール群を連続的に配置した縦延伸機へ導き、予熱ロール上でフィルム温度が125℃になるまで予備加熱した後に4.5倍に延伸した。縦延伸後のフィルムを横延伸機(すなわちテンター)に導いて表面温度が160℃になるまで5秒間の予備加熱を行った後、幅方向(横方向)へ9倍に延伸した。その後、フィルムを熱処理ゾーンに導き、163℃で5秒間熱処理した。このとき、幅方向の7%リラックス処理をおこなった。熱処理ゾーンを経たフィルムを30℃の冷却風で5秒間冷却したうえで、フィルムの両縁部を裁断除去し、幅400mm、厚み40μmのフィルムをロール状に巻き取った。これによって長さ500mのフィルムを得た。
【0105】
<3.2.実施例3、4および比較例2、3におけるフィルムの作製>
表3に記載に従ってペレットを混合したこと以外は、実施例1と同じ手順でフィルムを得た。
【0106】
<3.3.比較例1におけるフィルムの作製>
表3に記載に従って、ペレットとしてペレットCだけを用いたこと以外は、実施例1と同じ手順でフィルムを得た。
【0107】
<3.4.実施例2におけるフィルムの作製>
コア層を形成するための原料を得るために、ペレットDとペレットEとペレットGとを質量比30:3:67で混合した。いっぽう、スキン層を形成するための原料を得るために、ペレットFとペレットHとペレットIとを質量比10:80:10で混合した。スキン層を形成するための原料(すなわち、ペレットF、ペレットH、およびペレットIの混合ペレット)を第一および第三の押出機に供給し、250℃で溶融させた。コア層を形成するための原料(すなわち、ペレットDとペレットEとペレットGの混合ペレット)をホッパ(傾斜角60度)から第二の押出機に供給し、250℃で溶融させた。個々の押出機からの溶融物をフィードブロックに導き、スキン層/コア層/スキン層となるように積層したうえで、Tダイからフィルム状の溶融物を押し出した。この際、スキン層/コア層/スキン層の厚み比率が、15/70/15となるように吐出比率を調整した。フィルム状の溶融物を表面温度30℃に設定したチルロール上で冷却固化した。チルロールを経たフィルム、すなわち、無延伸の積層フィルムの両縁部を裁断除去し、幅400mm、厚み30μmのフィルムをロール状に巻き取った。これによって長さ500mのフィルムを得た。
【0108】
<4.測定方法>
<4.1.サイズ>
ノギスを用いて、ペレットの各種長さを測定した。具体的には、ペレットが楕円柱状をなす場合、
図1に従って寸法1、寸法2および寸法3を測定した。いっぽう、ペレットが楕円体状をなす場合、
図2に従って寸法1、寸法2および寸法3を測定した。この測定を10粒分おこなったうえで、平均値を求めた。
【0109】
<4.2.一粒当たりの重さ>
重量計を用いて、ペレット1粒の重さ(g)を測定した。この測定を10粒分おこなったうえで、平均値を求めた。
【0110】
<4.3.真比重>
一粒当たりの体積を求めたうえで、一粒当たりの体積で、一粒当たりの重さを割ることによって真比重(g/mm
3)を求めた。ペレットが楕円柱状をなす場合、一粒当たりの体積は下記式で求めた。
体積=高さ×長半径×短半径×3.14
すなわち、
図1に沿うと、
体積=寸法1×寸法2×寸法3×3.14
いっぽう、
図2に示すように、ペレットが楕円体状をなす場合、一粒当たりの体積は下記式で求めた。
体積=寸法1×寸法2×寸法3×4/3×3.14
【0111】
<4.4.かさ比重>
ペレットを、金属製のカップにすりきり一杯入れ、カップ内のペレットの重量を求めた。この操作を2回繰り返し、平均値を求めた。平均値(すなわち、カップ内のペレットの重量の平均値)を、カップの容量で割ることによって、かさ比重(g/mm3)を求めた。なお、カップの容量は、カップ一杯に水を入れた後、その水をメスシリンダーに移したうえで、その水の体積を測定することによって求めた。
【0112】
<4.5.安息角>
直径50mmの金属製の円筒容器の台と、口径10mmのポリエチレン製の漏斗を準備した。台の上面(すなわち直径50mmの平面)の中心から高さ50mmに漏斗の口(すなわち口径10mmの排出口)が位置する状態で、漏斗内のペレットを落下させた。これは、台の周りがペレットであふれるまでおこなった。台のうえに堆積したペレットの斜面と、台の上面(つまり水平面)とがなす角、すなわち安息角を分度器で測定した。
【0113】
<4.6.レーザーマーキング剤主要金属元素の含有量の変動幅>
長さ500mのフィルムを50mピッチでサンプリングした。具体的には、長さ500mのフィルムの50m、100m、150m、200m、250m、300m、350m、400m、450mの位置から試料を切り出した。それぞれの試料について、レーザーマーキング剤主要金属元素の含有量を測定したうえで、平均値(すなわち、主要金属元素の含有量の平均値)を求めたうえで、平均値から最も離れた値(最大値または最小値)との差の絶対値を、変動幅(すなわち、レーザーマーキング剤主要金属元素の含有量の変動幅)として求めた。なお、主要金属元素の含有量は、次の方法で求めた。
【0114】
試料50mgを100mL石英製三角フラスコに秤量後、濃硫酸を3mL添加し、ホットプレート上で徐々に加熱し、黒色の溶液になるまで湿式炭化を実施した。その後、この溶液が無色透明になるまで、この溶液に30%過酸化水素水を添加し、ホットプレート上でさらに加熱した。この加熱によって溶液の色が変わらない事を確認した後、室温まで放冷した。放冷後の溶液、すなわち放冷後の分解液を50mLデジチューブに入れ、6N塩酸10mL超純水を用いて50mL定容とした。これによって前処理液を得た。前処理液を高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、SPECTROBLUE)で測定し、金属元素量、具体的には主要金属元素量を定量した。なお、試料が、IRIOTEC(登録商標)8825を含む場合、主要金属元素としてSnを定量した。いっぽう、試料が、TOMATEC COLOR42-920Aを含む場合、主要金属元素としてBiを定量した。試料中の主要金属元素の含有量をA(ppm=mg/kg)、前処理液中の主要金属元素濃度をB(mg/L)、測定ブランクとしての空試験液(すなわち6N塩酸10mLに超純水を用いて50mL定容したもの)中の主要金属元素濃度をC(mg/L)とし、試料50mg中の主要金属元素量を下記により求めた。
A=(B-C)×50/50
【0115】
<4.7.レーザー印字L*値のバラツキ>
長さ500mのフィルムを50mピッチでサンプリングした。具体的には、長さ500mのフィルムの50m、100m、150m、200m、250m、300m、350m、400m、450mの位置から試料を切り出した。それぞれの試料にレーザー印字をおこなったうえで、レーザー印字のL*値(すなわち、レーザー照射された部分のL*値)を測定した。なお、L*値の測定は、試料ごとに2回おこない、試料ごとにL*値の平均値を求めた。これらの平均値のうち、最大値と最小値との差を、レーザー印字L*値のバラツキとして求めた。
【0116】
<4.7.1.レーザー印字>
個々の試料に、波長355nmの紫外線(UV)レーザーマーカー(MD-U1000、キーエンス社製)を用い、レーザーパワー40%、スキャンスピード1000mm/秒、パルス周波数40kHz、スポット可変 -20の条件でレーザーを照射し、それによって「ABC123」を印字した。なお、文字のサイズは、一文字(たとえば「B」)あたりで高さ0.8cm±0.2cm、幅0.6cm±0.2cmであった。
【0117】
<4.7.2.L*値>
レーザー印字のL*値(すなわち、レーザー照射された部分のL*値)は、分光式色差計(日本電色株式会社製、ZE-6000)を用い反射法で測定した。具体的には、次の手順で測定した。まず、「ABC123」と印字されている文字のうち、「B」すべてが入るように3cm四方のサンプルを切り出した。次いで、6φ試料台(測定光の当たる開口部が直径約1cm)の開口部に、文字「B」が入るようにサンプルを配置した。そのうえで、6φ見口を用いて、L*値を測定した。
【0118】
<5.フィルムの評価結果>
【表3】
なお、個々のペレットの名称の後ろには安息角が示されている。
実施例2について三層、すなわち、スキン層/コア層/スキン層の厚み比率は15/70/15である。
【0119】
レーザーマーキング剤含有のペレット(すなわち、ペレットB、J、L、M、E、K)に関して、安息角55度のペレットLや、安息角23度のペレットMを用いた場合に比べて、安息角42度のペレットBや、安息角32度のペレットJ、安息角41度のペレットE、安息角36度のペレットKを用いた場合、レーザー印字L*値のバラツキが小さかった。レーザーマーキング剤の含有量の変動幅も小さかった。