(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136686
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】インクジェットシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240927BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06F3/12 334
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01
G06F3/12 310
G06F3/12 329
G06F3/12 385
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047874
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村山 寿郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸朗
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智良
(72)【発明者】
【氏名】宮岸 暁良
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB07
2C056EB08
2C056EB39
2C056EB40
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC26
(57)【要約】
【課題】複数のプリンターのヘッドの状態を見やすく提供する。
【解決手段】インクジェットシステムは、第1ヘッドと第2ヘッドとが少なくとも装着された第1記録装置と、第3ヘッドと第4ヘッドとが少なくとも装着された第2記録装置と、第1記録装置と第2記録装置とに共通に接続し、表示部を有する処理装置と、を有するインクジェットシステムであって、処理装置は、表示部に対し、第1ヘッドの状態を示す第1状態情報と、第2ヘッドの状態を示す第2状態情報と、第3ヘッドの状態を示す第3状態情報と、第4ヘッドの状態を示す第4状態情報と、を表示させる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヘッドと第2ヘッドとが少なくとも装着された第1記録装置と、
第3ヘッドと第4ヘッドとが少なくとも装着された第2記録装置と、
前記第1記録装置と前記第2記録装置とに共通に接続し、表示部を有する処理装置と、を有するインクジェットシステムであって、
前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1ヘッドの状態を示す第1状態情報と、前記第2ヘッドの状態を示す第2状態情報と、前記第3ヘッドの状態を示す第3状態情報と、前記第4ヘッドの状態を示す第4状態情報と、を表示させる、
ことを特徴とするインクジェットシステム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1状態情報および前記第2状態情報と、前記第3状態情報および前記第4状態情報と、を1つの画面にて区別可能に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1状態情報および前記第2状態情報と、前記第3状態情報および前記第4状態情報と、の境界を示す境界情報をさらに表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットシステム。
【請求項4】
前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1状態情報および前記第2状態情報と、前記第3状態情報および前記第4状態情報とを、色、フォント、サイズのいずれかを異ならせて表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェットシステム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記第1状態情報、前記第2状態情報、前記第3状態情報および前記第4状態情報が互いに同程度に目立つように表示させる第1表示態様と、前記第3状態情報および前記第4状態情報に比して前記第1状態情報および前記第2状態情報が目立つように表示させる第2表示態様と、を切り替え可能である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットシステム。
【請求項6】
前記処理装置は、前記第1状態情報および前記第2状態情報に比して前記第3状態情報および前記第4状態情報が目立つように表示させる第3表示態様をさらに切り替え可能である、
ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェットシステム。
【請求項7】
前記第1ヘッドと前記第3ヘッドとは、それぞれ第1色のインクを吐出し、
前記第2ヘッドと前記第4ヘッドとは、それぞれ前記第1色と異なる第2色のインクを吐出し、
前記処理装置は、前記第1状態情報、前記第2状態情報、前記第3状態情報および前記第4状態情報が互いに同程度に目立つように表示させる第1表示態様と、前記第2状態情報および前記第4状態情報に比して前記第1状態情報および前記第3状態情報が目立つように表示させる第4表示態様と、を切り替え可能である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットシステム。
【請求項8】
前記処理装置は、前記第1状態情報および前記第3状態情報に比して前記第2状態情報および前記第4状態情報が目立つように表示させる第5表示態様をさらに切り替え可能である、
ことを特徴とする請求項7に記載のインクジェットシステム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記第1ヘッドからの吐出状態が正常である場合と異常である場合とで、前記第1状態情報を異ならせて表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットシステム。
【請求項10】
前記処理装置は、前記第1ヘッドからの吐出状態の異常の程度に応じて、前記第1状態情報を段階的に異ならせて表示させる、
ことを特徴とする請求項9に記載のインクジェットシステム。
【請求項11】
前記処理装置は、ユーザーによる前記第1ヘッドの指定を受け付け、当該指定に基づき前記第1ヘッドの状態を前記第1状態情報よりも詳細に示す第1詳細状態情報を表示させる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットシステム。
【請求項12】
前記処理装置と接続可能なサーバーをさらに有し、
前記サーバーは、
前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、前記第3ヘッドおよび前記第4ヘッドの使用状態に関する第1情報を前記処理装置から取得し、
前記第1情報に基づいて、前記第1状態情報、前記第2状態情報、前記第3状態情報および前記第4状態情報に関する第2情報を生成し、
前記処理装置は、
前記第2情報を前記サーバーから取得し、
前記第2情報に基づいて、前記表示部に対し、前記第1状態情報と前記第2状態情報と前記第3状態情報と前記第4状態情報とを表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インクジェットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式のプリンター等の記録装置は、一般に、インク等の液体を液滴として吐出するヘッドを備える。例えば、特許文献1には、インクジェット式のヘッドを有する記録装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ヘッドを製造するヘッドメーカーが記録装置に組み込み、そのヘッドメーカーが記録装置も製造販売するというビジネスモデルであるプリンター完成品モデルに関する。これに対し、近年では、ヘッドメーカーがプリンターメーカーにヘッドを販売し、プリンターメーカーがプリンターを製造するというビジネスモデルであるヘッド外販モデルが存在する。ヘッド外販モデルにおいて、最終ユーザーは、プリンターメーカー自体であるか、または、プリンターメーカーからプリンターを購入した購入者である。
【0005】
ここで、ヘッドは、使用に応じて劣化または吐出不良等のエラーが生じることがある。このようなエラーは、ヘッドを販売した後に発生するため、通常ヘッドメーカー側で認知することはできない。そこで、発明者らは、ヘッドメーカーがクラウドネットワークを介して最終ユーザーの所有するヘッドのインク、ヘッド、温湿度、ドットカウント等の使用状態を把握し、その使用状態に応じてエラーの発生の有無を最終ユーザーに知らせるというシステムを考案した。このようにヘッドに加えてこのシステムを提供することは、プリンターメーカーまたは最終ユーザーに対してヘッド単独を提供するよりも付加価値を提供することになる。
【0006】
このシステムは、最終ユーザーの所有するPCまたはスマートフォン等の処理装置に、どのヘッドでエラーが生じているかを示す情報である状態情報を表示させる。発明者らは、今までの検討では、複数ヘッドを装着した1つのプリンターを想定しており、複数プリンターを前提とした表示を想定していなかった。そこで、発明者らは、複数プリンターを前提としたときに、状態情報が見易くなるような表示の方法を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本開示のインクジェットシステムの一態様は、第1ヘッドと第2ヘッドとが少なくとも装着された第1記録装置と、第3ヘッドと第4ヘッドとが少なくとも装着された第2記録装置と、前記第1記録装置と前記第2記録装置とに共通に接続し、表示部を有する処理装置と、を有するインクジェットシステムであって、前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1ヘッドの状態を示す第1状態情報と、前記第2ヘッドの状態を示す第2状態情報と、前記第3ヘッドの状態を示す第3状態情報と、前記第4ヘッドの状態を示す第4状態情報と、を表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るインクジェットシステムの構成例を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係るインクジェットシステムに用いるプリンターの構成例を示す概略図である。
【
図4】実施形態に係るインクジェットシステムに用いる処理装置の構成例を示す概略図である。
【
図5】実施形態に係るインクジェットシステムに用いるサーバーの構成例を示す概略図である。
【
図6】実施形態に係るインクジェットシステムにおける処理装置とサーバーとの間の処理を示すフローチャートである。
【
図7】処理装置における表示処理を示すフローチャートである。
【
図13】第1ヘッドからの吐出状態が異常である場合の表示例を示す図である。
【
図14】正常な吐出状態のヘッドの詳細状態情報の表示例を示す図である。
【
図15】異常な吐出状態のヘッドの詳細状態情報の表示例を示す図である。
【
図16】変形例1における第1表示態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
1.第1実施形態
1-1.インクジェットシステムの概略
図1は、実施形態に係るインクジェットシステム10の構成例を示す概略図である。インクジェットシステム10は、インクジェット方式により印刷を行うシステムである。
図1に示す例では、インクジェットシステム10は、プリンター群GR-1~GR-3と処理装置200-1~200-3とサーバー300とを有する。
【0011】
プリンター群GR-1は、ユーザーU-1に使用される複数のプリンターの集合であり、プリンター群GR-2は、ユーザーU-2に使用される複数のプリンターの集合であり、プリンター群GR-3は、ユーザーU-3に使用される複数のプリンターの集合である。プリンター群GR-1~GR-3は、処理装置200-1~200-3にそれぞれ対応する。ユーザーU-1は、プリンター群GR-1のプリンターのほか、処理装置200-1を使用する。ユーザーU-2は、プリンター群GR-2のプリンターのほか、処理装置200-2を使用する。ユーザーU-3は、プリンター群GR-3のプリンターのほか、処理装置200-3を使用する。
【0012】
以下では、プリンター群GR-1~GR-3のそれぞれを区別せずにプリンター群GRという場合がある。また、以下では、ユーザーU-1~U-3のそれぞれを区別せずにユーザーUという場合がある。さらに、以下では、ユーザーU-1~U-3のそれぞれを区別せずにユーザーUという場合がある。また、以下では、処理装置200-1~200-3のそれぞれを区別せずに処理装置200という場合がある。
【0013】
なお、
図1に示す例では、インクジェットシステム10の有する処理装置200の数が3個であるが、当該数は、これに限定されず、1個、2個または4個以上でもよい。すなわち、処理装置200およびプリンター群GRの組数は、3組に限定されず、1組、2組または4組以上でもよい。
【0014】
図1では、図示の便宜上、プリンター群GR-1~GR-3のうち、プリンター群GR-1の構成例が代表的に示される。
図1に示す例では、プリンター群GR-1がプリンター100-1~100-4の集合である。プリンター100-1は、「第1記録装置」の一例であり、プリンター100-2は、「第2記録装置」の一例である。以下では、プリンター100-1~100-4のそれぞれを区別せずにプリンター100という場合がある。なお、プリンター群GRの有するプリンター100の数は、2以上であればよく、
図1に示す例に限定されず、任意である。また、プリンター群GR-1~GR-3の有するプリンター100の数は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0015】
プリンター100-1は、ヘッドユニット110-1、110-2を有する。ヘッドユニット110-1は、「第1ヘッドユニット」の一例である。ヘッドユニット110-2は、「第2ヘッドユニット」の一例である。プリンター100-2は、ヘッドユニット110-3、110-4を有する。ヘッドユニット110-3は、「第3ヘッドユニット」の一例である。ヘッドユニット110-4は、「第4ヘッドユニット」の一例である。プリンター100-3は、ヘッドユニット110-5、110-6を有する。プリンター100-4は、ヘッドユニット110-7、110-8を有する。以下では、ヘッドユニット110-1~110-8のそれぞれを区別せずにヘッドユニット110という場合がある。
【0016】
ここで、プリンター100-1~100-4のそれぞれは、プリンターメーカーにより提供される。当該プリンターメーカーは、ヘッドユニット110を製造するヘッドメーカーから購入したヘッドユニット110を用いてプリンター100-1~100-4を製造した者である。ただし、プリンター群GR-1~GR-3のプリンターは、互いに同じメーカーにより提供されてもよいし、互いに異なるメーカーにより提供されてもよい。以下、プリンター100-1~100-4のそれぞれを区別せずにプリンター100という場合がある。また、以下では、プリンター100の製造者を単に「プリンターメーカー」という場合があり、ヘッドユニット110または液体吐出ヘッド110a(後述)の製造者を単に「ヘッドメーカー」という場合がある。また、プリンター100を構成する要素のうちヘッドユニット110を除く要素を「プリンター本体」という場合がある。
【0017】
プリンターメーカー自身がプリンター100を使用する場合、当該プリンターメーカーがユーザーUである。また、プリンターメーカーがプリンター100を第三者に販売し、当該第三者がプリンター100を使用する場合、当該第三者がユーザーUである。
【0018】
処理装置200-1~200-3のそれぞれは、ユーザーUの所有物を用いてもよいし、プリンターメーカーにより提供されてもよい。例えば、プリンター100-1~100-4を使用するユーザーU-1は、プリンター100-1~100-4および処理装置200-1を所有する。ここで、プリンター100-1~100-4のそれぞれには、ヘッドユニット110が組み込まれており、ユーザーU-1は、プリンター100-1~100-4のそれぞれに組み込まれるヘッドユニット110も所有する。ただし、ヘッドユニット110は、ヘッドメーカーにより提供される。
【0019】
サーバー300は、ヘッドメーカーがユーザーUに必要なサービスを提供することが可能であればよく、ヘッドメーカー自身により所有されてもよいし、ヘッドメーカー以外の第三者により所有されてもよい。ここで、ユーザーUは、サーバー300を所有しないが、ユーザーUの所有する処理装置200は、通信網NWを介してサーバー300と通信可能に接続される。また、サーバー300が第三者により所有される場合、ヘッドメーカー自身により所有される図示しない処理装置が通信網NWを介してサーバー300と通信可能に接続される。当該処理装置は、ヘッドメーカーによって保守、管理される。
【0020】
プリンター100は、処理装置200に通信可能に接続されており、処理装置200からの記録データDPに基づく画像をインクジェット方式により印刷媒体に印刷するプリンターである。記録データDPは、プリンター100で処理可能な形式の画像データである。印刷媒体は、プリンター100が印刷可能な媒体であればよく、特に限定されず、例えば、各種紙、各種布または各種フィルム等である。プリンター100は、シリアル型のプリンターでもよいし、ライン型のプリンターでもよい。プリンター100の構成については、後に
図2および
図3に基づいて詳述する。
【0021】
処理装置200は、スマートフォン、タブレット端末、デスクトップ型またはノート型等のコンピューターであり、記録データDPを生成する機能と、プリンター100による印刷を制御する機能と、プリンター100から必要な情報を取得する機能と、を有する。ここで、処理装置200は、例えば、PostScript、PDF(Portable Document Format)、XPS(XML Paper Specification)等のファイル形式の画像データをRIP(Raster image processor)処理または色変換処理等の各種処理することにより、記録データDPを生成する。
【0022】
また、処理装置200は、インターネットを含む通信網NWを介してサーバー300に通信可能に接続されており、前述の機能のほか、第1情報D1をサーバー300に出力する機能と、サーバー300からの第2情報D2を入力する機能と、第2情報D2に基づく表示を行う機能と、を有する。第1情報D1は、後に詳述するが、ヘッドの使用状態に関する情報である。第2情報D2は、後に詳述するが、ヘッドの状態に関する情報である。
【0023】
ここで、処理装置200は、表示装置210を有しており、第2情報D2に基づいてプリンター100ごとに区別し得る態様で複数のヘッドの状態を示す状態情報を表示装置210に対して一括表示させる。表示装置210は、「表示部」の一例である。処理装置200の構成については、後に
図4に基づいて詳述する。
【0024】
サーバー300は、クラウドサーバーとして機能するコンピューターであり、処理装置200からの第1情報D1を入力する機能と、第1情報D1に応じた第2情報D2を処理装置200に出力する機能と、を有する。サーバー300の構成については、後に
図5に基づいて詳述する。
【0025】
以上のように、インクジェットシステム10は、プリンター100-1~100-4と、プリンター100-1~100-4とに共通に接続し、表示装置210を有する処理装置200と、を有する。ここで、前述のように、プリンター100-1には、ヘッドユニット110-1とヘッドユニット110-2とが少なくとも装着される。プリンター100-2には、ヘッドユニット110-3とヘッドユニット110-4とが少なくとも装着される。プリンター100-3には、ヘッドユニット110-5とヘッドユニット110-6とが少なくとも装着される。プリンター100-4には、ヘッドユニット110-7とヘッドユニット110-8とが少なくとも装着される。
【0026】
1-2.プリンターの構成
図2は、実施形態に係るインクジェットシステム10に用いるプリンター100の構成例を示す概略図である。
図2に示すように、プリンター100は、複数のヘッドユニット110と移動機構120と通信装置130と記憶回路140と処理回路150とを有する。
【0027】
図2に示す例では、簡単のため、ヘッドユニット110の有する液体吐出ヘッド110aの数が1個であるように記載しているが、実際には当該数は、2個以上である。具体的には、本実施形態では、1つのヘッドユニット110は、シアンインク用の液体吐出ヘッド110aとマゼンタインク用の液体吐出ヘッド110aとイエローインク用の液体吐出ヘッド110aとブラックインク用の液体吐出ヘッド110aとを1つずつ含む。但し、必ずしも4色それぞれのヘッド110aを1つずつ有していなくともよい。例えば4色それぞれのヘッド110aとも3つずつ有していても良い。また、1つのヘッドユニット110が3色以下のヘッド110aを有していても良い。
特に図示していないが、ヘッドユニット110には、上記の複数の液体吐出ヘッド110aが一体的且つ着脱可能に取り付けられている。
【0028】
ヘッドユニット110は、ヘッドチップ111と駆動回路112と電源回路113と駆動信号生成回路114と記憶回路116とを有する。
【0029】
図2に示す例では、ヘッドユニット110は、ヘッドチップ111および駆動回路112を含む液体吐出ヘッド110a(ヘッド110aとも称する)と、電源回路113、駆動信号生成回路114および記憶回路116を含む制御モジュール110bと、に区分される。なお、ヘッドユニット110は、液体吐出ヘッド110aと制御モジュール110bに区分される態様に限定されず、例えば、制御モジュール110bの一部または全部が液体吐出ヘッド110aに組み込まれてもよい。
【0030】
ヘッドチップ111は、インクを印刷媒体に向けて吐出する。
図2では、ヘッドチップ111の構成要素のうち、複数の駆動素子111fが代表的に図示される。ヘッドチップ111の詳細の一例については、後に
図3に基づいて説明する。
【0031】
駆動回路112は、処理回路150による制御のもと、ヘッドチップ111の有する複数の駆動素子111fのそれぞれについて、駆動信号生成回路114から出力される駆動信号Comを駆動パルスPDとして供給するか否かを切り替える。駆動回路112は、例えば、当該切り替えのためのトランスミッションゲート等のスイッチ群を含む。
【0032】
電源回路113は、図示しない商用電源から電力の供給を受け、所定の各種電位を生成する。生成した各種電位は、プリンター100の各部に適宜に供給される。
図2に示す例では、電源回路113は、電源電位VHVとオフセット電位VBSとを生成する。オフセット電位VBSは、ヘッドチップ111等に供給される。また、電源電位VHVは、駆動信号生成回路114等に供給される。
【0033】
駆動信号生成回路114は、ヘッドチップ111の有する各駆動素子111fを駆動するための駆動信号Comを生成する回路である。具体的には、駆動信号生成回路114は、例えば、DA変換回路と増幅回路とを有する。駆動信号生成回路114では、当該DA変換回路が処理回路150からの後述の波形指定信号dComをデジタル信号からアナログ信号に変換し、当該増幅回路が電源回路113からの電源電位VHVを用いて当該アナログ信号を増幅することにより駆動信号Comを生成する。ここで、駆動信号Comに含まれる波形のうち、駆動素子111fに実際に供給される波形の信号が駆動パルスPDである。
【0034】
記憶回路116は、半導体メモリーである。記憶回路116には、ヘッドユニット110または液体吐出ヘッド110aに固有のシリアルナンバー等の固有番号を示す識別情報等が記憶される。
【0035】
移動機構120は、ヘッドユニット110と印刷媒体との相対的な位置を変化させる。より具体的には、プリンター100がシリアル型である場合、移動機構120は、印刷媒体を所定方向に搬送する搬送機構と、ヘッドユニット110を当該印刷媒体の搬送方向に直交する軸に沿って反復的に移動させる移動機構と、を有する。また、プリンター100がライン型である場合、移動機構120は、長尺状のヘッドユニット110の長手方向に交差する方向に印刷媒体を搬送する搬送機構を有する。
【0036】
通信装置130は、処理装置200と通信可能な回路である。例えば、通信装置130は、無線または有線のLAN(Local Area Network)、USB(Universal Serial Bus)等のインターフェイスを有する通信回路である。USBは、登録商標である。なお、通信装置130は、インターネット等の他のネットワークを介して他の処理装置200に接続されてもよい。
【0037】
記憶回路140は、処理回路150が実行する各種プログラムと、処理回路150が処理する記録データDP等の各種データと、を記憶する。記憶回路140は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の1または複数のメモリーとROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)またはPROM(Programmable ROM)等の1または複数の不揮発性メモリーとの一方または両方の半導体メモリーを含む。記録データDPは、例えば、処理装置200から供給される。なお、記憶回路140は、処理回路150の一部として構成されてもよい。
【0038】
処理回路150は、プリンター100の各部の動作を制御する機能と、各種データを処理する機能と、を有する。処理回路150は、例えば、1個以上のCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。なお、処理回路150は、CPUに代えて、または、CPUに加えて、FPGA(field-programmable gate array)等のプログラマブルロジックデバイスを含んでもよい。
【0039】
処理回路150は、記憶回路140に記憶されるプログラムを実行することにより、プリンター100の各部の動作を制御する。ここで、処理回路150は、プリンター100の各部の動作を制御するための信号として、制御信号Sk、印刷データ信号SIおよび波形指定信号dCom等の信号を生成する。
【0040】
制御信号Skは、移動機構120の駆動を制御するための信号であり、移動機構120に入力される。印刷データ信号SIは、駆動回路112の駆動を制御するための信号であり、駆動回路112に入力される。具体的には、印刷データ信号SIは、駆動回路112が駆動信号生成回路114からの駆動信号Comを駆動パルスPDとして駆動素子111fに対して供給するか否かを所定の単位期間ごとに指定する。この指定により、ヘッドチップ111から吐出されるインク量等が指定される。波形指定信号dComは、駆動信号生成回路114で生成される駆動信号Comの波形を規定するためのデジタル信号であり、駆動信号生成回路114に入力される。
【0041】
図3は、ヘッドチップ111の構成例を示す断面図である。以下の説明は、説明の便宜上、互いに交差するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いる。以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向と反対の方向がX2方向である。同様に、Y軸に沿って互いに反対の方向がY1方向およびY2方向である。Z軸に沿って互いに反対の方向がZ1方向およびZ2方向である。なお、ヘッドチップ111の構成は、一例であり、
図3に示す例に限定されない。
【0042】
図3に示すように、ヘッドチップ111は、Y軸に沿う方向に配列される複数のノズルNを有する。当該複数のノズルNは、X軸に沿う方向に互いに間隔をあけて並ぶ第1列L1と第2列L2とに区分される。第1列L1および第2列L2のそれぞれは、Y軸に沿う方向に直線状に配列される複数のノズルNの集合である。
【0043】
ヘッドチップ111は、X軸に沿う方向で互いに略対称な構成である。ただし、第1列L1の複数のノズルNと第2列L2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置は、互いに一致してもよいし異なってもよい。
図3では、第1列L1の複数のノズルNと第2列L2の複数のノズルNとのY軸に沿う方向での位置が互いに一致する構成が例示される。
【0044】
図3に示すように、ヘッドチップ111は、流路基板111aと圧力室基板111bとノズル板111cと吸振体111dと振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとを有する。
【0045】
流路基板111aおよび圧力室基板111bは、この順でZ1方向に積層されており、複数のノズルNにインクを供給するための流路を形成する。流路基板111aおよび圧力室基板111bからなる積層体よりもZ1方向に位置する領域には、振動板111eと複数の駆動素子111fと保護板111gとケース111hと配線基板111iとが設置される。他方、当該積層体よりもZ2方向に位置する領域には、ノズル板111cと吸振体111dとが設置される。ヘッドチップ111の各要素は、概略的にはY方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤により、互いに接合される。以下、ヘッドチップ111の各要素を順に説明する。
【0046】
ノズル板111cは、第1列L1および第2列L2のそれぞれの複数のノズルNが設けられた板状部材である。複数のノズルNのそれぞれは、インクを通過させる貫通孔である。ここで、ノズル板111cのZ2方向を向く面がノズル面FNである。ノズル板111cは、例えば、ドライエッチングまたはウェットエッチング等の加工技術を用いる半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、ノズル板111cの製造には、他の公知の方法および材料が適宜に用いられてもよい。また、ノズルの断面形状は、典型的には円形状であるが、これに限定されず、例えば、多角形または楕円形等の非円形状であってもよい。
【0047】
流路基板111aには、第1列L1および第2列L2のそれぞれについて、空間R1と複数の供給流路Raと複数の連通流路Naとが設けられる。空間R1は、Z軸に沿う方向でみた平面視で、Y軸に沿う方向に延びる長尺状の開口である。供給流路Raおよび連通流路Naのそれぞれは、ノズルNごとに形成された貫通孔である。各供給流路Raは、空間R1に連通する。
【0048】
圧力室基板111bは、第1列L1および第2列L2のそれぞれについて、キャビティと称される複数の圧力室Cが設けられた板状部材である。複数の圧力室Cは、Y軸に沿う方向に配列される。各圧力室Cは、ノズルNごとに形成され、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状の空間である。流路基板111aおよび圧力室基板111bそれぞれは、前述のノズル板111cと同様に、例えば、半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、流路基板111aおよび圧力室基板111bのそれぞれの製造には、他の公知の方法および材料が適宜に用いられてもよい。
【0049】
圧力室Cは、流路基板111aと振動板111eとの間に位置する空間である。第1列L1および第2列L2のそれぞれについて、複数の圧力室CがY軸に沿う方向に配列される。また、圧力室Cは、連通流路Naおよび供給流路Raのそれぞれに連通する。したがって、圧力室Cは、連通流路Naを介してノズルNに連通し、かつ、供給流路Raを介して空間R1に連通する。
【0050】
圧力室基板111bのZ1方向を向く面には、振動板111eが配置される。振動板111eは、弾性的に振動可能な板状部材である。振動板111eは、例えば、第1層と第2層とを有し、これらがこの順でZ1方向に積層される。第1層は、例えば、酸化シリコン(SiO2)で構成される弾性膜である。当該弾性膜は、例えば、シリコン単結晶基板の一方の面を熱酸化することにより形成される。第2層は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)で構成される絶縁膜である。当該絶縁膜は、例えば、スパッタ法によりジルコニウムの層を形成し、当該層を熱酸化することにより形成される。なお、振動板111eは、前述の第1層および第2層の積層による構成に限定されず、例えば、単層で構成されてもよいし、3層以上で構成されてもよい。
【0051】
振動板111eのZ1方向を向く面には、第1列L1および第2列L2のそれぞれについて、互いにノズルNに対応する複数の駆動素子111fが配置される。各駆動素子111fは、駆動信号の供給により変形する受動素子である。各駆動素子111fは、平面視でX軸に沿う方向に延びる長尺状をなす。複数の駆動素子111fは、複数の圧力室Cに対応するようにY軸に沿う方向に配列される。駆動素子111fは、平面視で圧力室Cに重なる。
【0052】
各駆動素子111fは、圧電素子であり、図示しないが、第1電極と圧電体層と第2電極とを有し、この順でこれらがZ1方向に積層される。第1電極および第2電極のうちの一方の電極は、駆動素子111fごとに互いに離間して配置される個別電極であり、当該一方の電極には、駆動パルスPDが供給される。第1電極および第2電極のうちの他方の電極は、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状の共通電極であり、当該他方の電極には、オフセット電位VBSが供給される。これらの電極の金属材料としては、例えば、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銅(Cu)等の金属材料が挙げられ、これらのうち、1種を単独でまたは2種以上を合金または積層等の態様で組み合わせて用いることができる。圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)等の圧電材料で構成される。圧電体層は、駆動素子111fごとに個別に設けられてもよいし、複数の駆動素子111fにわたり連続するようにY軸に沿う方向に延びる帯状に設けられてもよい。以上の駆動素子111fの変形に連動して振動板111eが振動すると、圧力室C内の圧力が変動することで、インクがノズルNから吐出される。
【0053】
保護板111gは、振動板111eのZ1方向を向く面に設置される板状部材であり、複数の駆動素子111fを保護するとともに振動板111eの機械的な強度を補強する。ここで、保護板111gと振動板111eとの間には、複数の駆動素子111fが収容される。保護板111gは、例えば、樹脂材料で構成される。
【0054】
ケース111hは、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留するための部材である。ケース111hは、例えば、樹脂材料で構成される。ケース111hには、第1列L1および第2列L2のそれぞれについて、空間R2が設けられる。空間R2は、前述の空間R1に連通する空間であり、空間R1とともに、複数の圧力室Cに供給されるインクを貯留するリザーバーRとして機能する。ケース111hには、各リザーバーRにインクを供給するための導入口IHが設けられる。各リザーバーR内のインクは、各供給流路Raを介して圧力室Cに供給される。
【0055】
吸振体111dは、コンプライアンス基板とも称され、リザーバーRの壁面を構成する可撓性の樹脂フィルムであり、リザーバーR内のインクの圧力変動を吸収する。なお、吸振体111dは、金属製の可撓性を有する薄板であってもよい。吸振体111dのZ1方向を向く面は、流路基板111aに接着剤等により接合される。
【0056】
配線基板111iは、振動板111eのZ1方向を向く面に実装されており、ヘッドチップ111と駆動回路112および制御モジュール110b等とを電気的に接続するための実装部品である。配線基板111iは、例えば、COF(Chip On Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)またはFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板である。本実施形態の配線基板111iには、前述の駆動回路112が実装される。
【0057】
1-3.処理装置の構成
図4は、実施形態に係るインクジェットシステム10に用いる処理装置200の構成例を示す概略図である。
図4に示すように、処理装置200は、表示装置210と入力装置220と通信装置230と記憶回路240と処理回路250とを有する。これらは、互いに通信可能に接続される。表示装置210は、「表示部」の一例である。
【0058】
表示装置210は、処理回路250による制御のもとで各種の画像を表示する。ここで、表示装置210は、液晶表示パネルまたは有機EL(electro-luminescence)表示パネル等の表示パネルを有する。
【0059】
入力装置220は、ユーザーからの操作を受け付ける機器である。例えば、入力装置220は、タッチパッド、タッチパネルまたはマウス等のポインティングデバイスを有する。ここで、入力装置220は、タッチパネルを有する場合、表示装置210を兼ねてもよい。なお、入力装置220は、処理装置200の外部に設けられてもよい。また、入力装置220は、キーボード等の他の入力機器を有してもよい。
【0060】
通信装置230は、プリンター100およびサーバー300のそれぞれと通信可能な回路である。例えば、通信装置230は、無線または有線のLAN、USB等のインターフェイスを有する通信回路である。通信装置230は、プリンター100との通信により、記録データDPをプリンター100に送信する。また、通信装置230は、サーバー300との通信により、第1情報D1を送信したり、第2情報D2を受信したりする。すなわち、通信装置230は、サーバー300と通信可能に接続される接続部231として機能する。なお、通信装置230は、処理回路250と一体でもよい。
【0061】
記憶回路240は、処理回路250が実行する各種プログラム、および処理回路250が処理する各種データを記憶する装置である。記憶回路240は、例えば、ハードディスクドライブまたは半導体メモリーを有する。なお、記憶回路240の一部または全部は、処理装置200の外部の記憶装置またはサーバー等に設けてもよい。
【0062】
本実施形態の記憶回路240には、プログラムPG1、第1情報D1、第2情報D2および記録データDPが記憶される。なお、プログラムPG1、第1情報D1および第2情報D2の一部または全部は、処理装置200の外部の記憶装置またはサーバー等に記憶されてもよい。
【0063】
プログラムPG1は、プリンター100を管理するための管理プログラムであり、当該管理に必要な各種機能をコンピューターに実現させる。
【0064】
第1情報D1は、ヘッド110aの使用状態に関する情報である。第1情報D1は、ヘッドメーカーがヘッド110aからの吐出状態が正常であるか異常であるかを判断可能な情報であればよく、例えば、ヘッド110aに固有のシリアルナンバー等の固有番号を示す識別情報、ヘッド110aでの吐出に用いられる液体の種類に関する情報、ヘッド110aの温度および湿度に関する情報、駆動パルスPDの波形に関する情報、ヘッド110aのドットカウント等の使用回数に関する情報等が挙げられる。ヘッド110aでの吐出に用いられる液体の種類に関する情報としては、例えば、インクの品番、粘度、残留振動または吐出速度等に関する情報が挙げられる。ヘッド110aの温度に関する情報としては、例えば、ヘッド110aの内部または周囲に設けられた温度センサーの検出温度に関する情報が挙げられる。ヘッド110aの湿度に関する情報としては、例えば、ヘッド110aの内部または周囲に設けられた湿度センサーの検出温度に関する情報が挙げられる。なお、ヘッドメーカーが事前にヘッド110aの使用状態に関する情報の一部を所有している場合、当該一部は、第1情報D1に含まれなくてもよい。
【0065】
第2情報D2は、ヘッド110aの状態に関する情報を含む。ヘッド110aの状態に関する情報としては、例えば、ヘッド110aの状態が正常であるか異常であるかを示す情報、ヘッド110aの状態が異常である場合に異常の種類、箇所または程度を示す情報、ヘッド110aの状態が異常である場合にその異常に関するヘッドメーカーからの通知に関する情報、ヘッド110aの使用履歴および使用状態等の情報等が挙げられる。
【0066】
処理回路250は、処理装置200の各部を制御する機能、および各種データを処理する機能を有する装置である。処理回路250は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを有する。なお、処理回路250は、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーで構成されてもよい。また、処理回路250の機能の一部または全部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現してもよい。
【0067】
処理回路250は、記憶回路240からプログラムPG1を読み込んで実行することにより、取得部251、出力部252、入力部253、表示制御部254および受付部255として機能する。
【0068】
取得部251は、第1情報D1を取得する。具体的には、ヘッド110aに固有のシリアルナンバー等の固有番号を示す識別情報を第1情報D1が含む場合、取得部251は、例えば、当該識別情報をヘッド110aの記憶回路116から読み込むことにより取得する。ヘッド110aでの吐出に用いられる液体の種類に関する情報を第1情報D1が含む場合、取得部251は、例えば、表示装置210および入力装置220を用いたGUI(graphical user interface)へのユーザーによる入力結果に基づいて、当該情報を取得する。ヘッド110aの温度または湿度に関する情報を第1情報D1が含む場合、取得部251は、例えば、プリンター100の図示しない温度センサーまたは湿度センサーからの検出結果を取得することにより、当該情報を取得する。駆動パルスPDの波形に関する情報を第1情報D1が含む場合、取得部251は、例えば、当該情報をプリンター100の記憶回路140から読み込むことにより取得する。ヘッド110aの使用回数に関する情報を第1情報D1が含む場合、取得部251は、例えば、当該情報をプリンター100の記憶回路140から読み込むことにより取得する。なお、取得部251による第1情報D1の取得タイミングは、所定時間ごとの定期的なタイミングであってもよいし、ユーザーからの指示により任意のタイミングであってもよい。
【0069】
出力部252は、第1情報D1を接続部231を介して出力する。例えば、出力部252は、入力装置220を用いたユーザーによる指示等をトリガーとして、サーバー300に向けて、第1情報D1を接続部231を介して出力する。なお、出力部252は、第1情報D1とともに他の情報をサーバー300に向けて出力してもよい。
【0070】
入力部253には、第2情報D2が接続部231を介して入力される。例えば、入力部253には、入力装置220を用いたユーザーによる指示等をトリガーとして、サーバー300から、第2情報D2が接続部231を介して入力される。
【0071】
表示制御部254は、第2情報D2に基づいて、表示装置210に対する表示を行う。また、表示制御部254は、受付部255の受付結果に基づいて、表示装置210に対する表示の制御を行う。この表示の具体例については、後に
図8から
図15に基づいて説明する。
【0072】
受付部255は、表示装置210および入力装置220を用いたGUIへのユーザーからの操作を受け付ける。
【0073】
1-3.サーバーの構成
図5は、実施形態に係るインクジェットシステム10に用いるサーバー300の構成例を示す概略図である。
図5に示すように、サーバー300は、表示装置310と入力装置320と通信装置330と記憶回路340と処理回路350とを有する。これらは、互いに通信可能に接続される。
【0074】
表示装置310は、処理回路350による制御のもとで各種の画像を表示する装置であり、前述の表示装置210と同様に構成される。入力装置320は、ユーザーからの操作を受け付ける機器であり、前述の入力装置220と同様に構成される。通信装置330は、各処理装置200と通信可能な回路であり、前述の通信装置230と同様に構成される。なお、通信装置330は、処理回路350と一体でもよい。
【0075】
ここで、通信装置330は、処理装置200との通信により、第1情報D1を受信したり、第2情報D2を送信したりする。すなわち、通信装置330は、接続部231と通信可能に接続される接続部331として機能する。
【0076】
記憶回路340は、処理回路350が実行する各種プログラム、および処理回路350が処理する各種データを記憶する装置であり、前述の記憶回路240と同様に構成される。記憶回路340には、プログラムPG2、第1情報D1および第2情報D2が記憶される。
【0077】
プログラムPG2は、第1情報D1に応じた第2情報D2を生成するのに必要な各種機能をコンピューターに実現させるプログラムである。
【0078】
処理回路350は、サーバー300の各部を制御する機能、および各種データを処理する機能を有する装置であり、前述の処理回路250と同様に構成される。処理回路350は、記憶回路340からプログラムPG2を読み込んで実行することにより、出力部351、入力部352および演算部353として機能する。
【0079】
出力部351は、第2情報D2を接続部331を介して出力する。例えば、出力部351は、入力装置220を用いたユーザーによる指示等をトリガーとして、処理装置200に向けて、第2情報D2を接続部331を介して出力する。
【0080】
入力部352には、第1情報D1が接続部331を介して入力される。例えば、入力部352には、入力装置220を用いたユーザーによる指示等をトリガーとして、処理装置200から、第1情報D1が接続部331を介して入力される。
【0081】
演算部353は、第1情報D1に応じた第2情報D2を生成する演算を行う。例えば、プログラムPG2には、ヘッドメーカーの知見を活かして、第1情報D1とヘッド110aの状態との対応関係を示す対応情報が組み込まれており、演算部353は、当該対応情報と第1情報D1とを用いて、第2情報D2を生成する演算を行う。
【0082】
1-4.インクジェットシステムの処理
前述のように、ヘッドメーカーがプリンターメーカーにヘッドユニット110やヘッド110aを販売し、プリンターメーカーがプリンター100を製造するというビジネスモデルであるヘッド外販モデルが存在する。ヘッド外販モデルにおいて、最終ユーザーであるユーザーUは、プリンターメーカー自体であるか、または、プリンターメーカーからプリンターを購入した購入者である。
【0083】
ここで、ヘッド110aは、使用に応じて劣化または吐出不良等のエラーが生じることがある。このようなエラーは、ヘッドメーカーがヘッド110aを販売した後に発生するし、最終ユーザーの使用状態によってその発生頻度や発生までの時間が大きく左右されるため、従来では、通常ヘッドメーカー側で認知することはできない。そこで、発明者らは、ヘッドメーカーがクラウドネットワークを介してユーザーUの所有するヘッド110aのインク、ヘッド、温湿度、ドットカウント等の使用状態を把握し、その使用状態に応じてエラーの発生の有無をユーザーUに知らせるというインクジェットシステム10を考案した。インクジェットシステム10を実現するために、ヘッドメーカーは、プリンターメーカーまたは最終ユーザーに対して、ヘッド110aだけでなく、プログラムPG1を提供する。これにより、プリンターメーカーまたは最終ユーザーに対してヘッド110aを単独で提供するよりも付加価値を提供することになる。
【0084】
図6は、実施形態に係るインクジェットシステム10における処理装置200とサーバー300との間の処理を示すフローチャートである。インクジェットシステム10では、まず、
図6に示すように、ステップS101において、処理装置200が第1情報D1を取得する。この取得は、前述のように取得部251により行われる。
【0085】
そして、ステップS102において、処理装置200が第1情報D1をサーバー300に出力する。
【0086】
具体的には、ステップS102において、出力部252は、第1情報D1の取得をトリガーとして、第1情報D1を接続部231を介して出力する。なお、第1情報D1を接続部231に出力させるタイミングは、第1情報D1の取得時に限定されない。例えば、出力部252は、サーバー300にユーザーのアカウント情報、パスワード等の認証用情報を送信し、サーバー300が当該認証用情報を用いた認証に成功した場合、サーバー300から処理装置200に出力許可情報を送り、処理装置200で出力許可情報を受け付けたらサーバー300に第1情報D1を出力してもよい。
【0087】
次に、ステップS103において、サーバー300が第1情報D1を入力する。この入力は、入力部352により行われる。そして、ステップS104において、サーバー300が第1情報D1に基づいて第2情報D2を生成する。この生成は、前述のように演算部353により行われる。なお、サーバー300は、第1情報D1を所定の照会情報と照会し、その結果に応じてステップS104以降の処理を中止してもよい。この場合、出力部351は、第2情報D2を提供しないことを示す情報を出力してもよい。
【0088】
その後、ステップS105において、サーバー300が第2情報D2を処理装置200に出力する。この出力は、出力部351により行われる。
【0089】
次に、ステップS106において、処理装置200が第2情報D2を入力する。具体的には、ステップS106において、入力部253には、サーバー300からの第2情報D2が接続部231を介して入力される。なお、入力部253は、サーバー300から第2情報D2を入力するか否かをユーザーに表示装置210等を用いて通知し、ユーザーが入力装置220等により入力を許可する指示を入力した場合に限り、サーバー300からの第2情報D2の入力を行ってもよい。
【0090】
そして、ステップS107において、処理装置200が第2情報D2に基づく表示を行う。この表示は、表示制御部254により行われる。
【0091】
以上のように、インクジェットシステム10は、処理装置200と接続可能なサーバー300を有する。サーバー300は、前述のように、第1情報D1を処理装置200から取得し、第1情報D1に基づいて第2情報D2を生成する。一方、処理装置200は、第2情報D2を前記サーバーから取得し、第2情報D2に基づいて、表示装置210に対し、後述の状態情報B1C~B8Kを表示させる。
【0092】
このように、サーバー300を利用することにより、サーバー300の管理者または利用者の知見を活かして状態情報B1C~B8Kを得ることができる。ここで、サーバー300の管理者または利用者は、前述のように、ヘッドユニット110やヘッド110aのメーカーである。このため、サーバー300の管理者または利用者の知見を活かすことにより、ヘッドユニット110やヘッド110aの状態を的確に判定したうえで、適切な状態情報B1C~B8Kを得ることができる。
【0093】
ここで、インクジェットシステム10は、最終ユーザーの所有するPCまたはスマートフォン等の処理装置200に、どのヘッド110aでエラーが生じているかを示す情報である状態情報を表示させる。発明者らは、今までの検討では、複数のヘッド110aを装着した1つのプリンター100を想定しており、複数のプリンター100を前提とした表示を想定していなかった。そこで、発明者らは、複数のプリンター100を前提としたときに、状態情報が見易くなるような表示の方法を見出した。以下、当該表示について詳述する。
【0094】
1-5.表示部での表示
図7は、処理装置200における表示処理を示すフローチャートである。前述のステップS107では、まず、ステップST1において、表示制御部254が第2情報D2に基づいて各ヘッド110aの状態を示す情報を表示装置210に表示させる。当該情報は、後述の状態表示ウインドウHWに含まれる。
【0095】
ステップST1の後、ステップST2において、表示制御部254は、状態表示ウインドウHWの表示態様を切り替える指示を受け付けたか否かを判断する。この判断は、後述のプルダウンメニューPD1、PD2への操作の有無により行われる。
【0096】
状態表示ウインドウHWの表示態様を切り替える指示を受け付けた場合(ステップST2:YES)、ステップST3において、表示制御部254は、状態表示ウインドウHWの表示態様を切り替える。この切り替えは、後述のプルダウンメニューPD1、PD2への操作内容に応じて行われる。
【0097】
状態表示ウインドウHWの表示態様を切り替える指示を受け付けていない場合(ステップST2:NO)、または、ステップST3の後、ステップST4において、表示制御部254は、状態表示ウインドウHWの表示を更新する指示を受け付けたか否かを判断する。この判断は、後述の更新ボタンBTへの操作の有無により行われる。
【0098】
状態表示ウインドウHWの表示を更新する指示を受け付けた場合(ステップST4:YES)、ステップST5において、表示制御部254は、状態表示ウインドウHWの表示を更新する。この更新は、前述の
図6に示すステップS101からステップS107を再度実行した後、新たな第2情報D2に基づいて状態表示ウインドウHWを表示することにより行われる。
【0099】
状態表示ウインドウHWの表示を更新する指示を受け付けていない場合(ステップST4:NO)、または、ステップST5の後、ステップST6において、表示制御部254は、ヘッド110aの状態を詳細に示す情報を含む後述の詳細状態情報DWを表示する指示を受け付けたか否かを判断する。この判断は、後述の状態情報B1M~B8Kのいずれかへの操作の有無により行われる。
【0100】
詳細状態情報DWを表示する指示を受け付けた場合(ステップST6:YES)、ステップST7において、表示制御部254は、詳細状態情報DWを表示装置210に表示させる。この表示は、後述の状態情報B1M~B8Kのうち操作された状態情報の種類に応じて行われる。
【0101】
詳細状態情報DWを表示する指示を受け付けていない場合(ステップST6:NO)、または、ステップST7の後、ステップST8において、表示制御部254は、終了指示を受け付けたか否かを判断する。この判断は、例えば、状態表示ウインドウHWを閉じるための操作が行われたか否かにより行われる。
【0102】
終了指示がない場合(ステップST8:NO)、表示制御部254は、前述のステップST2に戻り、一方、終了指示がある場合(ステップST8:YES)、表示制御部254は、状態表示ウインドウHWの表示を終了することにより、表示処理を終了する。
【0103】
図8は、第1表示態様CS1の一例を示す図である。前述のステップST1では、
図8に示すように、状態表示ウインドウHWが表示装置210に表示される。
図8では、第1表示態様CS1の状態表示ウインドウHWが示される。なお、
図8では、各プリンター100が2つのヘッドユニット110を有し、かつ、各ヘッドユニット110がシアンインク用の液体吐出ヘッド110aとマゼンタインク用の液体吐出ヘッド110aとイエローインク用の液体吐出ヘッド110aとブラックインク用の液体吐出ヘッド110aの4つの液体吐出ヘッド110aを有する場合が例示される。
【0104】
ここで、シアンは、「第1色」の一例であり、マゼンタは、「第1色と異なる第2色」の一例である。
プリンター100-1のヘッドユニット110-1に設けられたシアンインク用の液体吐出ヘッド110aは、「第1ヘッド」の一例である。
プリンター100-1のヘッドユニット110-1に設けられたマゼンタインク用の液体吐出ヘッド110aは、「第2ヘッド」の一例である。
プリンター100-2のヘッドユニット110-3に設けられたシアンインク用の液体吐出ヘッド110aは、「第3ヘッド」の一例である。
プリンター100-2のヘッドユニット110-3に設けられたマゼンタインク用の液体吐出ヘッド110aは、「第4ヘッド」の一例である。
つまり、「第1ヘッド」と「第2ヘッド」は同じプリンター100-1に対応し、異なる色のインクに対応する。また、「第3ヘッド」と「第4ヘッド」は同じプリンター100-3に対応し、異なる色のインクに対応する。また、「第1ヘッド」と「第3ヘッド」は異なるプリンターに対応し、同じ色(シアン)のインクに対応する。また、「第2ヘッド」と「第4ヘッド」は異なるプリンターに対応し、同じ色(マゼンタ)のインクに対応する。
【0105】
状態表示ウインドウHWは、状態情報B1C、B2C、B1M、B2M、B1Y、B2Y、B1K、B2K、B3C、B4C、B3M、B4M、B3Y、B4Y、B3K、B4K、B5C、B6C、B5M、B6M、B5Y、B6Y、B5K、B6K、B7C、B8C、B7M、B8M、B7Y、B8Y、B7K、B8Kと境界情報BD1、BD2、BD3、BD4とプルダウンメニューPD1、PD2と更新ボタンBTとを含む。
【0106】
以下では、状態情報B1C、B2C、B1M、B2M、B1Y、B2Y、B1K、B2K、B3C、B4C、B3M、B4M、B3Y、B4Y、B3K、B4K、B5C、B6C、B5M、B6M、B5Y、B6Y、B5K、B6K、B7C、B8C、B7M、B8M、B7Y、B8Y、B7K、B8Kをまとめて状態情報B1C~B8Kという場合がある。
【0107】
状態情報B1C~B8Kのそれぞれは、対応する液体吐出ヘッド110aの状態を示す情報である。例えば、状態情報B1C~B8Kのそれぞれは、対応する液体吐出ヘッド110aからの吐出状態が正常であるか否かに応じて異なる色、明るさまたは点滅の有無等の態様で表示される。また、状態情報B1C~B8Kのそれぞれは、ヘッド110aからの吐出状態が異常である場合、その以上の程度に応じて異なる色、明るさまたは点滅の有無等の態様で表示される。この点については、後に
図13に基づいて説明する。
【0108】
また、状態情報B1C~B8Kのそれぞれは、ユーザーUによる操作を受付可能であり、ユーザーUによる操作を受け付けると、後述の詳細状態情報DWが別ウインドウで表示される。この点については、後に
図14および
図15に基づいて説明する。
【0109】
次に、それぞれの状態情報が何を示すかを詳細に説明する。
【0110】
状態情報B1C、B2C、B3C、B4C、B5C、B6C、B7C、B8Cは、シアンインクの液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B1M、B2M、B3M、B4M、B5M、B6M、B7M、B8Mは、マゼンタインクの液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B1Y、B2Y、B3Y、B4Y、B5Y、B6Y、B7Y、B8Yは、イエローインクの液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B1K、B2K、B3K、B4K、B5K、B6K、B7K、B8Kは、ブラックインクの液体吐出ヘッド110aに対応する。
【0111】
上下方向に並ぶ1列の状態情報は、同じヘッドユニットに属する液体吐出ヘッドに対応する。
状態情報B1C、B1M、B1Y、B1Kは、ヘッドユニット110-1の液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B2C、B2M、B2Y、B2Kは、ヘッドユニット110-2の液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B3C、B3M、B3Y、B3Kは、ヘッドユニット110-3の液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B4C、B4M、B4Y、B4Kは、ヘッドユニット110-4の液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B5C、B5M、B5Y、B5Kは、ヘッドユニット110-5の液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B6C、B6M、B6Y、B6Kは、ヘッドユニット110-6の液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B7C、B7M、B7Y、B7Kは、ヘッドユニット110-7の液体吐出ヘッド110aに対応する。
状態情報B8C、B8M、B8Y、B8Kは、ヘッドユニット110-8の液体吐出ヘッド110aに対応する。
【0112】
プリンター100-1には、ヘッドユニット110-1とヘッドユニット110-2が設けられる。よって、状態情報B1C、B1M、B1Y、B1K、B2C、B2M、B2Y、B2Kは、プリンター100-1に対応する。
プリンター100-2には、ヘッドユニット110-3とヘッドユニット110-4が設けられる。よって、状態情報B3C、B3M、B3Y、B3K、B4C、B4M、B4Y、B4Kは、プリンター100-2に対応する。
プリンター100-3には、ヘッドユニット110-5とヘッドユニット110-6が設けられる。よって、状態情報B5C、B5M、B5Y、B5K、B6C、B6M、B6Y、B6Kは、プリンター100-3に対応する。
プリンター100-4には、ヘッドユニット110-7とヘッドユニット110-8が設けられる。よって、状態情報B7C、B7M、B7Y、B7K、B8C、B8M、B8Y、B8Kは、プリンター100-4に対応する。
【0113】
以上からわかるように、例えば、状態情報B1Cは、プリンター100-1のヘッドユニット110-1に配置されたシアンインクの液体吐出ヘッド110a、すなわち「第1ヘッド」に対応する。状態情報B1Cは、「第1状態情報」の一例である。
また例えば、状態情報B1Mは、プリンター100-1のヘッドユニット110-1に配置されたマゼンタインクの液体吐出ヘッド110a、すなわち「第2ヘッド」に対応する。状態情報B1Mは、「第2状態情報」の一例である。
また例えば、状態情報B3Cは、プリンター100-2のヘッドユニット110-3に配置されたシアンインクの液体吐出ヘッド110a、すなわち「第3ヘッド」に対応する。状態情報B3Cは、「第3状態情報」の一例である。
また例えば、状態情報B3Mは、プリンター100-2のヘッドユニット110-3に配置されたマゼンタインクの液体吐出ヘッド110a、すなわち「第4ヘッド」に対応する。状態情報B3Mは、「第4状態情報」の一例である。
【0114】
このように、本実施形態では、プリンターごとに状態情報がまとめられている。
言い換えれば、各状態情報が表示された領域を左右方向に4分割すると、最も左の領域に、プリンター100-1に対応する状態情報B1C、B1M、B1Y、B1K、B2C、B2M、B2Y、B2Kが集合している。
また、左から2つ目の領域に、プリンター100-2に対応する状態情報B3C、B3M、B3Y、B3K、B4C、B4M、B4Y、B4Kが集合している。
また、右から2つ目の領域に、プリンター100-3に対応する状態情報B5C、B5M、B5Y、B5K、B6C、B6M、B6Y、B6Kが集合している。
また、最も右の領域に、プリンター100-4に対応する状態情報B7C、B7M、B7Y、B7K、B8C、B8M、B8Y、B8Kが集合している。
そのため、液体吐出ヘッド110aの状態が異常になったとき、その液体吐出ヘッド110aがどのプリンターに配置されているのかがわかり易い。
【0115】
また、プリンター100ごとに状態情報がまとめられているので、それぞれのプリンター100に属する液体吐出ヘッド110aの情報をまとめて視認することができる。
【0116】
ここで、必須ではないが、
図8に示すように、異なるプリンターに対応する状態情報の間の距離は、同じプリンターに対応する状態情報の間の距離よりも長いことが好ましい。ここで言う距離とは、最も近接する状態情報の間の距離である。例えば、プリンター100-1に対応する状態情報B2Cとプリンター100-2に対応する状態情報B3Cは、異なるプリンターの中では、最も近接する関係にある。また、プリンター100-1に対応する状態情報B1C、B2Cは、同じプリンターの中では、最も近接する関係にある。よって、状態情報B2C、B3Cの間の距離と、状態情報B1C、B2Cの間の距離とで比較を行う。このとき、前者が後者よりも長くなっている。これにより、ある状態情報がどのプリンターに属するかを更に分かり易くすることができる。
【0117】
また、同じく必須ではないが、
図8に示すように、異なるプリンターに対応する状態情報の間には、境界情報BD1、BD2、BD3、BD4が表示されることが好ましい。
図8に示す例では、境界情報BD1は、プリンター100-1に対応する状態情報を囲む枠を示す情報であり、当該枠内には、プリンター100-1に属することを示す「プリンター1」の文字が表示される。このような境界情報BD1により、状態情報B1C~B8Kのうち、プリンター100-1に属するヘッド110aの状態情報B1C~B2Kとそれ以外とを視覚的に区別することができる。
【0118】
境界情報BD2は、プリンター100-2に対応する状態情報を囲む枠を示す情報であり、当該枠内には、プリンター100-2に属することを示す「プリンター2」の文字が表示される。
【0119】
境界情報BD3は、プリンター100-3に対応するヘッド110aの状態情報B5C~B6Kを囲む枠を示す情報であり、当該枠内には、プリンター100-3に属することを示す「プリンター3」の文字が表示される。
【0120】
境界情報BD4は、プリンター100-4に対応するヘッド110aの状態情報B7C~B8Kを囲む枠を示す情報であり、当該枠内には、プリンター100-4に属することを示す「プリンター4」の文字が表示される。
【0121】
このような境界情報BD1、BD2、BD3、BD4により、プリンター100-1、100-2、100-3、100-4のいずれに属するかをより視覚的に区別し易くすることができる。
【0122】
以上のように、処理装置200は、表示装置210に対し、プリンター100-1~100-4のヘッド110aの状態を示す状態情報B1C~B8Kを表示させる。このため、プリンター100-1~100-4のそれぞれのヘッド110aの状態をユーザーUに対して同時に知らせることができる。すなわち、プリンター100-1~100-4のそれぞれについてヘッド110aごとの状態をユーザーUに対して同時に知らせることができる。したがって、複数のプリンター100のヘッド110aの状態を見やすく提供することができる。
【0123】
以上のように、処理装置200は、表示装置210に対し、プリンター100ごとに区別可能に状態情報B1C~B8Kを1つの画面にて表示させる。このため、プリンター100-1~100-4のいずれに属するヘッド110aであるかを区別した状態で、プリンター100-1~100-4のすべてのヘッド110aの状態を一括して同時にユーザーに対して視覚的に知らせることができる。例えば、プリンター100-1、100-2について、処理装置200は、状態情報B1C(第1状態情報)および状態情報B1M(第2状態情報)と、状態情報B3C(第3状態情報)および状態情報B3M(第4状態情報)と、を1つの画面にて区別可能に表示させる。このため、プリンター100-1およびプリンター100-2のいずれに属するヘッドであるかを区別した状態で、第1ヘッド110aおよび第2ヘッド110aと、第3ヘッド110aおよび第4ヘッド110aとのそれぞれの状態を一括して同時にユーザーUに対して視覚的に知らせることができる。
【0124】
以上が本実施形態において状態情報が何を示すかについての説明である。
次に、本実施形態の状態表示ウインドウHWに含まれる状態情報以外の要素について説明する。
【0125】
プルダウンメニューPD1、PD2のそれぞれは、状態情報B1C~B8Kの表示態様を切り替えるためのウィジェットである。
【0126】
具体的には、プルダウンメニューPD1は、状態情報B1C~B8Kのうちの表示対象となるプリンター100を指定するためのウィジェットである。
図8では、プリンター100-1~100-4を指定した状態のプルダウンメニューPD1が示されており、プルダウンメニューPD1には、プリンター100-1~100-4を指定すること示す「全プリンターを表示」の文字が表示される。プルダウンメニューPD1は、プリンター100-1~100-4を指定することのほか、プリンター100-1~100-4のうちの1つ以上を任意に指定可能である。
【0127】
プルダウンメニューPD2は、状態情報B1C~B8Kのうちの表示対象となるインク色を指定するためのウィジェットである。
図8では、すべてのインク色を指定した状態のプルダウンメニューPD2が示されており、プルダウンメニューPD2には、すべてのインク色を指定すること示す「全色を表示」の文字が表示される。プルダウンメニューPD2は、すべてのインク色を指定することのほか、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのうちの1つ以上を任意に指定可能である。
【0128】
このように、表示対象としてプリンター100-1~100-4が指定されるとともに、すべてのインク色が指定されることにより、状態情報B1C~B8Kが同程度に目立つように第1表示態様CS1で表示される。このため、第1表示態様CS1では、すべてのプリンター100のヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0129】
「目立たたせる」ための表示態様としては、例えば、目立たたせる対象を他の対象よりも明るく表示させる態様、目立たたせる対象を表示させるとともに他の対象を非表示とする態様、目立たたせる対象を表示させるとともに他の対象をグレーアウトさせる態様等が挙げられる。なお、
図9では、作図の便宜上、目立たたせる対象が実線で示され、他の対象が破線で示される。
【0130】
例えば、第1表示態様CS1では、状態情報B1C(第1状態情報)、状態情報B1M(第2状態情報)、状態情報B3C(第3状態情報)および状態情報B3M(第4状態情報)が互いに同程度に目立つように表示されるので、プリンター100-1に属するヘッド110aとプリンター100-2に属するヘッド110aとの両方の状態の情報を必要とする場合に好適である。また、プリンター100-1およびプリンター100-2のそれぞれについて、シアンおよびマゼンタの両方のヘッド110aの情報を必要とする場合に好適である。
【0131】
更新ボタンBTは、状態情報B1C~B8Kの内容を最新状態に更新するためのウィジェットである。更新ボタンBTを操作することにより、前述の
図7に示すステップST5が実行される。
【0132】
図9は、第2表示態様CS2の一例を示す図である。
図9では、第2表示態様CS2の状態表示ウインドウHWが示される。
図9では、プリンター100-1を指定した状態のプルダウンメニューPD1が示されており、プルダウンメニューPD1には、プリンター100-1を指定すること示す「プリンター1を表示」の文字が表示される。
【0133】
このように、表示対象としてプリンター100-1が指定されることにより、状態情報B1C~B8Kのうち、プリンター100-1に属するヘッド110aの状態を示す状態情報B1C~B2Kが他に比べて目立つように第2表示態様CS2で表示される。このため、第2表示態様CS2では、プリンター100-1のヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0134】
例えば、第2表示態様CS2では、状態情報B3C(第3状態情報)および状態情報B3M(第4状態情報)に比して状態情報B1C(第1状態情報)および状態情報B1M(第2状態情報)が目立つように表示されるので、プリンター100-2に属するヘッド110aの状態の情報を必要としないが、プリンター100-1に属するヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0135】
以上のように、処理装置200は、第1表示態様CS1と第2表示態様CS2とを切り替え可能である。このため、第1表示態様CS1と第2表示態様CS2との切り替えにより、ユーザーUにとって必要な情報を変更することができる。
【0136】
図10は、第3表示態様CS3の一例を示す図である。
図10では、第3表示態様CS3の状態表示ウインドウHWが示される。
図10では、プリンター100-2を指定した状態のプルダウンメニューPD1が示されており、プルダウンメニューPD2には、プリンター100-2を指定すること示す「プリンター2を表示」の文字が表示される。
【0137】
このように、表示対象としてプリンター100-2が指定されることにより、状態情報B1C~B8Kのうち、プリンター100-2に属するヘッド110aの状態を示す状態情報B3C~B4Kが他に比べて目立つように第3表示態様CS3で表示される。このため、第3表示態様CS3では、プリンター100-2のヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0138】
例えば、第3表示態様CS3では、状態情報B1C(第1状態情報)および状態情報B1M(第2状態情報)に比して状態情報B3C(第3状態情報)および状態情報B3M(第4状態情報)が目立つように表示させるので、プリンター100-1に属するヘッド110aの状態の情報を必要としないが、プリンター100-2に属するヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0139】
以上のように、処理装置200は、第3表示態様CS3をさらに切り替え可能である。すなわち、処理装置200は、第1表示態様CS1と第2表示態様CS2と第3表示態様CS3とを切り替え可能である。このため、第1表示態様CS1と第2表示態様CS2と第3表示態様CS3との切り替えにより、ユーザーにとって必要な情報を変更することができる。
【0140】
図11は、第4表示態様CS4の一例を示す図である。
図11では、第4表示態様CS4の状態表示ウインドウHWが示される。
図11では、シアン色を指定した状態のプルダウンメニューPD2が示されており、プルダウンメニューPD2には、シアン色を指定すること示す「シアンを表示」の文字が表示される。
【0141】
このように、表示対象としてシアン色が指定されることにより、状態情報B1C~B8Kのうち、シアンインク用のヘッド110aの状態を示す状態情報B1C、B2C、B3C、B4C、B5C、B6C、B7C、B8Cが他に比べて目立つように第4表示態様CS4で表示される。このため、第4表示態様CS4では、シアンインク用のヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0142】
例えば、第4表示態様CS4では、状態情報B1M(第2状態情報)および状態情報B3M(第4状態情報)に比して状態情報B1C(第1状態情報)および状態情報B3C(第3状態情報)が目立つように表示されるので、プリンター100-1およびプリンター100-2のそれぞれについて、第2インクを用いるヘッド110aの状態の情報を必要としないが、第1インクを用いるヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0143】
以上のように、処理装置200は、第1表示態様CS1と第4表示態様CS4とを切り替え可能である。このため、第1表示態様CS1と第4表示態様CS4との切り替えにより、ヘッド110aがいずれのプリンター100に属するかにかかわらず、ヘッド110aに用いられるインクの色に応じて、ユーザーUにとって必要な情報を変更することができる。
【0144】
図12は、第5表示態様CS5の一例を示す図である。
図12では、第5表示態様CS5の状態表示ウインドウHWが示される。
図12では、マゼンタ色を指定した状態のプルダウンメニューPD2が示されており、プルダウンメニューPD2には、マゼンタ色を指定すること示す「マゼンタを表示」の文字が表示される。
【0145】
このように、表示対象としてマゼンタ色が指定されることにより、状態情報B1C~B8Kのうち、マゼンタインク用のヘッド110aの状態を示す状態情報B1M、B2M、B3M、B4M、B5M、B6M、B7M、B8Mが他に比べて目立つように第5表示態様CS5で表示される。このため、第5表示態様CS5では、マゼンタインク用のヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0146】
例えば、第5表示態様CS5では、状態情報B1C(第1状態情報)および状態情報B3C(第3状態情報)に比して状態情報B1M(第2状態情報)および状態情報B3M(第4状態情報)が目立つように表示されるので、プリンター100-1およびプリンター100-2のそれぞれについて、第1インクを用いるヘッド110aの状態の情報を必要としないが、第2インクを用いるヘッド110aの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0147】
以上のように、処理装置200は、第5表示態様CS5をさらに切り替え可能である。すなわち、処理装置200は、第1表示態様CS1と第4表示態様CS4と第5表示態様CS5とを切り替え可能である。このため、第1表示態様CS1と第4表示態様CS4と第5表示態様CS5との切り替えにより、例えば、ヘッド110aがいずれのプリンター100に属するかにかかわらず、ヘッド110aに用いられるインクの色に応じて、ユーザーUにとって必要な情報を変更することができる。
【0148】
図13は、プリンター100-1のヘッドユニット110-1に配置されたシアンインクの液体吐出ヘッド110a(第1ヘッド)からの吐出状態が異常である場合の表示例を示す図である。
図13では、第1表示態様CS1の状態表示ウインドウHWにおいて、ヘッド110aの状態を示す状態情報B1Cが異常を表示する状態が示される。なお、
図13では、作図の便宜上、状態情報B1Cが網掛け表示される。その他のヘッド110aに対応する状態情報は、正常を表示する状態が示される。
図13では、作図の便宜上、状態情報B1Cが網掛けなしで表示される。
【0149】
このように、処理装置200は、ヘッド110aからの吐出状態が正常である場合と異常である場合とで、状態情報を異ならせて表示させる。このため、ヘッド110aからの吐出状態が正常であるか否か、言い換えると異常であるか否かをユーザーに知らせることができる。なお、他のヘッド110aの情報についても、同様に表示を行うことにより、正常であるか異常であるかをユーザーに知らせることができる。
【0150】
ここで、「表示を異ならせる」とは、例えば、表示の色、明るさ、点滅の有無、点滅の時間間隔等が相違することをいう。より具体的には、ユーザーUが異常の存在を認識し得るように、例えば、緑色で正常を表示する場合に赤色で故障を表示すること、常時点灯で正常を表示する場合に点滅で異常を表示すること等が挙げられる。
【0151】
また、処理装置200は、ヘッド110aからの吐出状態の異常の程度に応じて、状態情報を段階的に異ならせて表示させる。このため、ヘッド110aからの吐出状態の異常の程度を段階的にユーザーに知らせることができる。このような段階的な表示は、例えば、ユーザーUが必要に応じて事前に対処したり、ユーザーUがプリンター100を使用できない期間の発生を低減したりすることができるので、ユーザビリティの観点から有用である。例えば、吐出不良のノズルNが存在するとき、吐出不良のノズル数が少ないことから他のノズルを用いて補間する処理により所定の画質を維持することが可能である場合、異常の程度または緊急度が低いことを示す表示が行われ、これに対し、吐出不良のノズル数が多いことから他のノズルを用いて補間する処理により所定の画質を維持することが不可能である場合、異常の程度または緊急度が高いことを示す表示が行われる。
【0152】
ここで、「表示を段階的に異ならせる」とは、例えば、異常の程度または緊急度が高まるにつれて、表示の色、明るさ、点滅の有無、点滅の時間間隔等を変更することをいう。より具体的には、ユーザーUが異常の程度を認識し得るように、例えば、緑色で正常を表示する場合に異常の程度が高まるにつれて黄色から赤色に表示を変更すること、常時点灯で正常を表示する場合に異常の程度が高まるにつれて点滅の時間間隔を短くすること等が挙げられる。
【0153】
図14は、正常な吐出状態のヘッド110aの詳細状態情報DWの表示例を示す図である。
図14では、ヘッド110aが正常な吐出状態である場合に前述の状態情報B1Cに対してユーザーUの操作が行われた場合に表示される詳細状態情報DWが例示される。詳細状態情報DWは、「第1詳細状態情報」の一例である。
【0154】
例えば、状態情報B1C(第1状態情報)に対してクリック等のユーザーUの操作が行われると、
図14に示すように、第1ヘッド110aの詳細情報を示す詳細状態情報DWが前述の状態表示ウインドウHWとは別ウインドウで表示装置210に表示される。
【0155】
図14に示す例では、詳細状態情報DWがプロパティ情報GCおよび入力欄GDを含む。
【0156】
入力欄GDは、ヘッド110aに固有のシリアルナンバー等の固有番号等の識別情報の入力のためのGUI用の画像である。
図14に示す例では、入力欄GDがボタンおよびテキストボックスを有する。当該テキストボックスには、当該識別情報が入力される。当該ボタンは、当該テキストボックスへの当該識別情報の入力後に操作される。これにより、処理装置200は、当該識別情報に関連する各種情報をサーバー300に対して要求する。そうすると、サーバー300が処理装置200に当該各種情報を送信する。当該各種情報を取得した処理装置200は、当該各種情報をプロパティ情報GCとして表示する。プロパティ情報GCは、領域RC1、RC2、RC3を含む。
【0157】
領域RC1には、ヘッド110aの使用期限に関する情報が表示される。
図14に示す例では、領域RC1には、対象のヘッド110aの製造日、使用開始日、累計駆動回数および使用期限目安の項目が表示される。当該使用期限は、例えば、当該使用開始日からの経過日数と当該累計駆動回数とのうちの一方または両方と、当該識別情報と、に基づいて、サーバー300で決定される。ここで、当該ヘッド製造日から一定期間経過している場合、当該使用開始日からの経過日数と当該累計駆動回数とにかかわらず、使用期限に達していることをサーバー300で決定してもよい。なお、領域RC1に表示される項目は、ヘッド110aの使用期限をユーザーに通知することができればよく、
図14に示す例に限定されない。
【0158】
領域RC2には、対象のヘッド110aの温度状態、通電状態および流路状態の良否が示される。
図14に示す例では、対象のヘッド110aが正常であるため、いずれの状態も良好であることを示す「good」が表示される。
【0159】
領域RC3には、第2情報D2に基づいて、ヘッドメーカーからの通知が表示される。例えば、領域RC3には、対象のヘッド110aに不備ある場合、その旨が表示される。
図14に示す例では、対象のヘッド110aが正常であるため、「nothing」が表示される。
【0160】
図15は、異常な吐出状態のヘッド110aの詳細状態情報DWの表示例を示す図で
ある。
図15では、ヘッド110aが異常な吐出状態である場合に前述の状態情報B1Cに対してユーザーUの操作が行われた場合に表示される詳細状態情報DWが例示される。
【0161】
図15に示す例では、領域RC2には、温度状態、通電状態および流路状態のうち、通電状態が異常であることを示す「bad」が表示され、他の状態が正常であることを示す「good」が表示される。また、領域RC3には、対象のヘッド110aの使用を推奨しないことを示す「notify」が表示される。この場合、適宜の方法で、追ってヘッドメーカーまたはプリンターメーカーが必要な情報をユーザーに提供してもよい。
【0162】
以上のように、処理装置200は、ユーザーUによるヘッド110aの指定を受け付け、当該指定に基づきヘッド110aの状態を状態情報よりも詳細に示す第1詳細状態情報を表示させる。このため、必要に応じてユーザーUがヘッド110aの詳細情報を知ることができる。なお、上記では第1ヘッド110aの詳細情報について説明したが、第1ヘッド110a以外のヘッド110aの詳細情報も同様に知ることができる。
【0163】
2.変形例
以上、本開示のインクジェットシステムについて図示の実施形態に基づいて説明したが、本開示は、これらに限定されない。また、本開示の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【0164】
2-1.変形例1
図16は、変形例1における第1表示態様CS1の一例を示す図である。
図16では、第1表示態様CS1の状態表示ウインドウHWが示される。変形例1の状態表示ウインドウHWは、境界情報BD1、BD2、BD3、BD4が省略されるとともに、状態情報B1C~B8Kの色が異なること以外は、前述の実施形態の状態表示ウインドウHWと同様である。
【0165】
ここで、状態情報B1C~B8Kは、プリンター100ごとに色が異なる。
図16では、作図の便宜上、状態情報B1C~B8Kがプリンター100ごとに異なる濃さのグレースケールで表示される。これにより、プリンター100ごとに区別可能に状態情報B1C~B8Kを表示することができる。
【0166】
例えば、変形例1の処理装置200は、表示装置210に対し、状態情報B1Cおよび状態情報B1Mと、状態情報B3Cおよび状態情報B3Mと、を色を異ならせて表示させる。このため、表示装置210に表示された色により、プリンター100-1に関する状態情報B1Cおよび状態情報B1Mとプリンター100-2に関する状態情報B3Cおよび状態情報B3Mとを視覚的に容易に区別することができる。なお、色を異ならせる態様に限定されず、フォントまたはサイズを異ならせることによっても、プリンター100ごとに区別可能に状態情報B1C~B8Kを表示することができる。
【0167】
2-2.変形例2
前述の形態では、状態情報が液体吐出ヘッド110aごとに個別に表示される態様が例示されるが、この態様に限定されず、同じヘッドユニット110に属する複数の液体吐出ヘッド110aをひとまとめにして、ヘッドユニット110ごとに状態情報をまとめて表示してもよい。また、前述の状態情報の表示態様は、一例であり、これに限定されず、例えば、形状、大きさ配置等の形態が適宜変更されてもよい。
【0168】
2-3.変形例3
前述の形態では、サーバー300がクラウドサーバーである構成が例示されるが、当該構成に限定されない。例えば、サーバー300は、クラウドサーバー以外のサーバーまたは仮想サーバーであってもよいし、オンプレミスサーバーであってもよい。
【0169】
2-4.変形例4
前述の形態では、駆動素子111fが圧電素子である構成が例示されるが、当該構成に限定されず、例えば、駆動素子111fが圧力室C内のインクを加熱するヒーターでもよい。すなわち、ヘッドチップ111の駆動方式は、圧電方式に限定されず、例えば、サーマル方式でもよい。
【0170】
3.付記
以下、本開示のまとめを付記する。
【0171】
(付記1)本開示の好適例である第1態様のインクジェットシステムは、第1ヘッドと第2ヘッドとが少なくとも装着された第1記録装置と、第3ヘッドと第4ヘッドとが少なくとも装着された第2記録装置と、前記第1記録装置と前記第2記録装置とに共通に接続し、表示部を有する処理装置と、を有するインクジェットシステムであって、前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1ヘッドの状態を示す第1状態情報と、前記第2ヘッドの状態を示す第2状態情報と、前記第3ヘッドの状態を示す第3状態情報と、前記第4ヘッドの状態を示す第4状態情報と、を表示させる。
【0172】
以上の第1態様では、表示部に対し第1状態情報と第2状態情報と第3状態情報と第4状態情報が表示されるので、第1ヘッドと第2ヘッドと第3ヘッドと第4ヘッドとのそれぞれの状態をユーザーに対して同時に知らせることができる。すなわち、第1記録装置および第2記録装置のそれぞれについてヘッドごとの状態をユーザーに対して同時に知らせることができる。したがって、複数のプリンターのヘッドの状態を見やすく提供することができる。
【0173】
(付記2)第1態様の好適例である第2態様において、前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1状態情報および前記第2状態情報と、前記第3状態情報および前記第4状態情報と、を1つの画面にて区別可能に表示させる。以上の第2態様では、第1記録装置および第2記録装置のいずれに属するヘッドであるかを区別した状態で、第1ヘッドと第2ヘッドと第3ヘッドと第4ヘッドとのそれぞれの状態を一括して同時にユーザーに対して視覚的に知らせることができる。
【0174】
(付記3)第2態様の好適例である第3態様において、前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1状態情報および前記第2状態情報と、前記第3状態情報および前記第4状態情報と、の境界を示す境界情報をさらに表示させる。以上の第3態様では、表示部に表示された境界情報により、第1記録装置に関する第1状態情報および第2状態情報と第2記録装置に関する第3状態情報および第4状態情報とを視覚的に容易に区別することができる。
【0175】
(付記4)第2態様の好適例である第4態様において、前記処理装置は、前記表示部に対し、前記第1状態情報および前記第2状態情報と、前記第3状態情報および前記第4状態情報とを、色、フォント、サイズのいずれかを異ならせて表示させる。以上の第4態様では、表示部に表示された色、フォント、サイズのいずれかにより、第1記録装置に関する第1状態情報および第2状態情報と第2記録装置に関する第3状態情報および第4状態情報とを視覚的に容易に区別することができる。
【0176】
(付記5)第1態様または第2態様の好適例である第5態様において、前記処理装置は、前記第1状態情報、前記第2状態情報、前記第3状態情報および前記第4状態情報が互いに同程度に目立つように表示させる第1表示態様と、前記第3状態情報および前記第4状態情報に比して前記第1状態情報および前記第2状態情報が目立つように表示させる第2表示態様と、を切り替え可能である。以上の第5態様では、第1表示態様と第2表示態様との切り替えにより、ユーザーにとって必要な情報を変更することができる。
【0177】
ここで、第1表示態様では、第1状態情報、第2状態情報、第3状態情報および第4状態情報が互いに同程度に目立つように表示されるので、第1記録装置に属する第1ヘッドおよび第2ヘッドと第2記録装置に属する第3ヘッドおよび第4ヘッドとの両方の状態の情報を必要とする場合に好適である。一方、第2表示態様では、第3状態情報および第4状態情報に比して第1状態情報および第2状態情報が目立つように表示されるので、第2記録装置に属する第3ヘッドおよび第4ヘッドの状態の情報を必要としないが、第1記録装置に属する第1ヘッドおよび第2ヘッドの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0178】
(付記6)第5態様の好適例である第6態様において、前記処理装置は、前記第1状態情報および前記第2状態情報に比して前記第3状態情報および前記第4状態情報が目立つように表示させる第3表示態様をさらに切り替え可能である。以上の第6態様では、第1表示態様と第2表示態様と第3表示態様との切り替えにより、ユーザーにとって必要な情報を変更することができる。第3表示態様では、第1状態情報および第2状態情報に比して第3状態情報および第4状態情報が目立つように表示されるので、第1記録装置に属する第1ヘッドおよび第2ヘッドの状態の情報を必要としないが、第2記録装置に属する第3ヘッドおよび第4ヘッドの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0179】
(付記7)第1態様または第2態様の好適例である第7態様において、前記第1ヘッドと前記第3ヘッドとは、それぞれ第1色のインクを吐出し、前記第2ヘッドと前記第4ヘッドとは、それぞれ前記第1色と異なる第2色のインクを吐出し、前記処理装置は、前記第1状態情報、前記第2状態情報、前記第3状態情報および前記第4状態情報が互いに同程度に目立つように表示させる第1表示態様と、前記第2状態情報および前記第4状態情報に比して前記第1状態情報および前記第3状態情報が目立つように表示させる第4表示態様と、を切り替え可能である。以上の第7態様では、第1表示態様と第4表示態様との切り替えにより、ヘッドが第1記録装置に属するか第2記録装置に属するかにかかわらず、ヘッドに用いられるインクの色に応じて、ユーザーにとって必要な情報を変更することができる。
【0180】
ここで、第1表示態様では、第1状態情報、第2状態情報、第3状態情報および第4状態情報が互いに同程度に目立つように表示されるので、第1記録装置および第2記録装置のそれぞれについて、第1色および第2色の両方のヘッドの情報を必要とする場合に好適である。一方、第4表示態様では、第2状態情報および第4状態情報に比して第1状態情報および第3状態情報が目立つように表示されるので、第1記録装置および第2記録装置のそれぞれについて、第2インクを用いるヘッドの状態の情報を必要としないが、第1インクを用いるヘッドの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0181】
(付記8)第7態様の好適例である第8態様において、前記処理装置は、前記第1状態情報および前記第3状態情報に比して前記第2状態情報および前記第4状態情報が目立つように表示させる第5表示態様をさらに切り替え可能である。以上の第8態様では、第1表示態様と第4表示態様と第5表示態様との切り替えにより、ヘッドが第1記録装置に属するか第2記録装置に属するかにかかわらず、ヘッドに用いられるインクの色に応じて、ユーザーにとって必要な情報を変更することができる。ここで、第5表示態様では、第1状態情報および第3状態情報に比して第2状態情報および第4状態情報が目立つように表示されるので、第1記録装置および第2記録装置のそれぞれについて、第1インクを用いるヘッドの状態の情報を必要としないが、第2インクを用いるヘッドの状態の情報を必要とする場合に好適である。
【0182】
(付記9)第1態様または第2態様の好適例である第9態様において、前記処理装置は、前記第1ヘッドからの吐出状態が正常である場合と異常である場合とで、前記第1状態情報を異ならせて表示させる。以上の第9態様では、第1ヘッドからの吐出状態が正常である場合と異常である場合とで第1状態情報の表示が異なるので、第1ヘッドからの吐出状態が正常であるか否か、言い換えると異常であるか否かをユーザーに知らせることができる。なお、他のヘッドの情報についても、同様に表示を行うことにより、正常であるか異常であるかをユーザーに知らせることができる。
【0183】
(付記10)第9態様の好適例である第10態様において、前記処理装置は、前記第1ヘッドからの吐出状態の異常の程度に応じて、前記第1状態情報を段階的に異ならせて表示させる。以上の第10態様では、第1ヘッドからの吐出状態の異常の程度を段階的にユーザーに知らせることができる。このような段階的な表示は、例えば、ユーザーが必要に応じて事前に対処したり、ユーザーがプリンターを使用できない期間の発生を低減したりすることができるので、ユーザビリティの観点から有用である。
【0184】
(付記11)第1態様または第2態様の好適例である第11態様において、前記処理装置は、ユーザーによる前記第1ヘッドの指定を受け付け、当該指定に基づき前記第1ヘッドの状態を前記第1状態情報よりも詳細に示す第1詳細状態情報を表示させる。以上の第11態様では、必要に応じてユーザーが第1ヘッドの詳細情報を知ることができる。
【0185】
(付記12)第1態様の好適例である第12態様において、前記処理装置と接続可能なサーバーをさらに有し、前記サーバーは、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、前記第3ヘッドおよび前記第4ヘッドの使用状態に関する第1情報を前記処理装置から取得し、前記第1情報に基づいて、前記第1状態情報、前記第2状態情報、前記第3状態情報および前記第4状態情報に関する第2情報を生成し、前記処理装置は、前記第2情報を前記サーバーから取得し、前記第2情報に基づいて、前記表示部に対し、前記第1状態情報と前記第2状態情報と前記第3状態情報と前記第4状態情報とを表示させる。
【0186】
以上の第12態様では、サーバーの管理者または利用者の知見を活かして第1状態情報、第2状態情報、第3状態情報および第4状態情報を得ることができる。ここで、サーバーの管理者または利用者は、ヘッドのメーカーである。このため、サーバーの管理者または利用者の知見を活かすことにより、ヘッドの状態を的確に判定したうえで、適切な第1状態情報、第2状態情報、第3状態情報および第4状態情報を得ることができる。
【符号の説明】
【0187】
10…インクジェットシステム、100…プリンター(第1記録装置)、100-1…プリンター(第2記録装置)、110-1…ヘッドユニット(第1ヘッドユニット)、110-2…ヘッドユニット(第2ヘッドユニット)、110-3…ヘッドユニット(第3ヘッドユニット)、110-4…ヘッドユニット(第4ヘッドユニット)、200…処理装置、200-1…処理装置、200-2…処理装置、200-3…処理装置、210…表示装置(表示部)、300…サーバー、B1C…状態情報、B1K…状態情報、B1M…状態情報、B1Y…状態情報、B3C…状態情報、B3K…状態情報、B3M…状態情報、B3Y…状態情報、B5C…状態情報、B5K…状態情報、B5M…状態情報、B5Y…状態情報、B7C…状態情報、B7K…状態情報、B7M…状態情報、B7Y…状態情報、BD1…境界情報、BD2…境界情報、BD3…境界情報、BD4…境界情報、CS1…第1表示態様、CS2…第2表示態様、CS3…第3表示態様、CS4…第4表示態様、CS5…第5表示態様、D1…第1情報、D2…第2情報、DW…詳細状態情報、U…ユーザー、U-1…ユーザー、U-2…ユーザー、U-3…ユーザー。