(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136687
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】伸縮支柱
(51)【国際特許分類】
F16B 7/14 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
F16B7/14 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047875
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】597001394
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】福原 伸治
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA03
3J039AB02
3J039BB02
3J039LA04
(57)【要約】
【課題】 強度を維持しつつ迅速容易に伸縮させることができる伸縮支柱を提供する。
【解決手段】 内周断面が矩形状の外筒10と、外筒10に上方から挿入される外周断面が矩形状の内筒20とを備え、外筒10に対する内筒20の挿入長さを変えて伸縮させることができる伸縮支柱1であって、内筒20は、長手方向に沿って複数の係止孔21が形成されており、外筒10の上部に取り付けられる固定部材30を更に備え、固定部材30は、外筒10に外嵌される装着筒31と、装着筒31に回動自在に支持される回動部材32と、回動部材32を付勢する付勢部材33とを備え、回動部材32は、付勢部材33によって係止孔21に挿入されるように付勢される挿入部を有しており、付勢部材33の付勢力に抗して回動することにより、係止孔21への挿入部の挿入が解除される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周断面が矩形状の外筒と、前記外筒に上方から挿入される外周断面が矩形状の内筒とを備え、前記外筒に対する前記内筒の挿入長さを変えて伸縮させることができる伸縮支柱であって、
前記内筒は、長手方向に沿って複数の係止孔が形成されており、
前記外筒の上部に取り付けられる固定部材を更に備え、
前記固定部材は、前記外筒に外嵌される装着筒と、前記装着筒に回動自在に支持される回動部材と、前記回動部材を付勢する付勢部材とを備え、
前記回動部材は、前記付勢部材によって前記係止孔に挿入されるように付勢される挿入部を有しており、前記付勢部材の付勢力に抗して回動することにより、前記係止孔への前記挿入部の挿入が解除される伸縮支柱。
【請求項2】
前記挿入部は、上下方向の幅が先端ほど狭くなるように形成されており、
前記挿入部が前記係止孔に挿入された状態から、前記内筒を前記外筒から引き出すことにより、前記係止孔の縁部が前記挿入部を押し上げて前記回動部材を回動させる請求項1に記載の伸縮支柱。
【請求項3】
前記外筒は、長手方向に沿って複数の貫通孔が形成されており、
前記挿入部は、一の前記貫通孔を介して前記係止孔に挿入され、
前記回動部材は、他の前記貫通孔との係合状態が回動中に維持される円弧状の係合部を備える請求項1または2に記載の伸縮支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の伸縮支柱として、特許文献1には、中空筒状のポールを複数備え、下側ポールに対する上側ポールの挿入長さを調節可能な構成が開示されている。上側ポールの挿入長さは、上側ポールに多段に形成された貫通孔のいずれかを選択して、下側ポールに形成された嵌入穴との位置合わせを行い、嵌入穴および貫通孔にピンを挿通することで、所望の大きさに固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の支柱は、伸縮式の構成として一般的なものであるが、全体長さを変更する際には、上側ポールおよび下側ポールの双方からピンを一旦取り外してから、嵌入穴と貫通孔との位置合わせを行った後に、ピンを再び挿通する必要があることから、長い支柱や重い支柱などの場合には、伸縮長さを調節するための一連の作業が煩雑で時間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、強度を維持しつつ迅速容易に伸縮させることができる伸縮支柱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、内周断面が矩形状の外筒と、前記外筒に上方から挿入される外周断面が矩形状の内筒とを備え、前記外筒に対する前記内筒の挿入長さを変えて伸縮させることができる伸縮支柱であって、前記内筒は、長手方向に沿って複数の係止孔が形成されており、前記外筒の上部に取り付けられる固定部材を更に備え、前記固定部材は、前記外筒に外嵌される装着筒と、前記装着筒に回動自在に支持される回動部材と、前記回動部材を付勢する付勢部材とを備え、前記回動部材は、前記付勢部材によって前記係止孔に挿入されるように付勢される挿入部を有しており、前記付勢部材の付勢力に抗して回動することにより、前記係止孔への前記挿入部の挿入が解除される伸縮支柱により達成される。
【0007】
この伸縮支柱において、前記挿入部は、上下方向の幅が先端ほど狭くなるように形成されていることが好ましく、前記挿入部が前記係止孔に挿入された状態から、前記内筒を前記外筒から引き出すことにより、前記係止孔の縁部が前記挿入部を押し上げて前記回動部材を回動させる構成であることが好ましい。
【0008】
前記外筒は、長手方向に沿って複数の貫通孔が形成されていることが好ましく、前記挿入部は、一の前記貫通孔を介して前記係止孔に挿入され、前記回動部材は、他の前記貫通孔との係合状態が回動中に維持される円弧状の係合部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の伸縮支柱によれば、強度を維持しつつ迅速容易に伸縮させることができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る伸縮支柱の正面図である。
【
図3】
図1に示す伸縮支柱の作動を説明するための要部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、 本発明の一実施形態に係る伸縮支柱の正面図であり、
図2は、
図1に示す伸縮支柱の平面図である。
図1および
図2に示すように、伸縮支柱1は、外筒10と、内筒20と、固定部材30とを備えている。
【0012】
外筒10は、内周断面および外周断面が矩形状の角筒状に形成されている。 外筒10の側面には、外筒10の長手方向に延びる長孔状の貫通孔11が、当該長手方向に沿って等間隔に複数形成されている。本実施形態の貫通孔11は、外筒10の4つの側面の1つのみに形成されているが、外筒10の2以上の側面のそれぞれに、貫通孔11を複数形成してもよい。外筒10の下端は、キャップ12により閉塞されている。
【0013】
内筒20は、内周断面および外周断面が矩形状の角筒状に形成されている。内筒20の側面には、内筒20の長手方向に延びる長孔状の係止孔21が、当該長手方向に沿って等間隔に複数形成されている。係止孔21は、外筒10の貫通孔11と略同じ大きさに形成されており、係止孔21と貫通孔11とが互いに対向するように、内筒20が外筒10の内部に上方から挿入される。本実施形態の係止孔21は、内筒20の4つの側面の1つのみに形成されているが、内筒20の2以上の側面にそれぞれ複数形成してもよい。内筒20の上端は、キャップ22により閉塞されている。外筒10の内周面と内筒20の外周面との間には、若干の隙間が形成されることが好ましい。
【0014】
固定部材30は、外筒10に外嵌される装着筒31と、装着筒31に回動自在に支持される回動部材32と、回動部材32を付勢する付勢部材33とを備えている。装着筒31は、外筒10の上部外周面に嵌合される角筒状の部材であり、装着筒31の上端には、内方に張り出す枠状のストッパ31aが形成されている。
【0015】
装着筒31の表面には、装着筒31の長手方向に互いに平行に延びる一対のガイド部34,35が設けられている。回動部材32は、板状に形成されており、一対のガイド部34,35の間に、ピン36により上下方向に回動自在に支持されている。回動部材32の上部には、貫通孔11および係止孔21に挿入されて内筒20の内部に突出する挿入部32aが設けられている。付勢部材33は、例えばコイルばねからなり、挿入部32aが貫通孔11および係止孔21に挿入されるように回動部材32を付勢する。
【0016】
図3は、伸縮支柱1の要部概略断面図であり、
図2のA-A断面に相当する図である。
図3(a)に示すように、回動部材32の上部に形成された挿入部32aは、上側の平坦部32dと、平坦部32dに対して傾斜する下側の傾斜部32eとを備えており、上下方向の幅が先端側(図の右側)ほど狭くなるように三角形状に形成されている。挿入部32aの基端側における上下方向の最大幅は、回動部材32のピン36周りの回動によって挿入部32aが貫通孔11および係止孔21から離脱できるように、貫通孔11および係止孔21の上下方向の幅よりも小さく形成されている。
【0017】
回動部材32の上下方向の中央部には、挿入部32aと同方向に膨出するピン36と同心の円弧状の係合部32bが形成されている。係合部32bは、挿入部32aが挿入される一の貫通孔11に対して下方に隣接する他の貫通孔11に部分的に挿入されて、当該貫通孔11に係合する。
【0018】
付勢部材33は、装着筒31の表面と回動部材32の下部にそれぞれ設けられた突状の支持部37,32cに両端部が支持されており、平坦部32dが略水平になって挿入部32aが係止孔21に挿入された状態を維持するように、回動部材32を付勢する。
【0019】
上記の構成を備える伸縮支柱1は、
図3(a)に示すように、回動部材32の挿入部32aが内筒20の係止孔21に挿入された状態から、内筒20を外筒10から引き出すように矢示B方向に上昇させると、係止孔21の下側縁部が傾斜部32eに当接して、挿入部32aを押し上げる。これにより、
図3(b)に示すように、付勢部材33の付勢力に抗して回動部材32が回動し、係止孔21への挿入部32aの挿入が解除される。
【0020】
内筒20を引き続き矢示B方向に上昇させる間に、回動部材32は、付勢部材33から矢示C方向の付勢力を受けて、
図3(c)に示すようにもとの状態に戻るように回動し、挿入部32aが内筒20のいずれかの係止孔21に挿入される。挿入部32aが係止孔21に挿入された後は、内筒20の自重によって、係止孔21の上側縁部が挿入部32aの平坦部32dに当接し、内筒20が外筒10に固定される。回動部材30に形成された係合部32bは、回動部材30の回動中に貫通孔11との係合状態が維持されることで、係止孔21に対する挿入部32aの挿入を確実に行うことができる。
【0021】
本実施形態の伸縮支柱1によれば、外筒10から内筒20を引き出すことで、内筒20の係止孔21と回動部材30の挿入部32aとの係合解除および係合が自ずと確実に行われるため、伸縮支柱1の強度を維持しつつ、長さ調節を迅速容易に行うことができる。なお、伸縮支柱1の長さを短くする場合には、回動部材30を手動で操作して係止孔21への挿入部32aの挿入を解除する間に、内筒20を外筒10に押し込むことができる。
【0022】
外筒10および内筒20に形成された貫通孔11および係止孔21は、棚板、パーティション、プロジェクタスクリーン等を支持するブラケットの取り付けにも使用することができ、これらを多数形成することで、伸縮支柱1の汎用性を高めることができる。但し、外筒10に形成された貫通孔11は、本発明において必須のものではなく、外筒10の上方等で貫通孔11を介さずに、回動部材32の挿入部32aを内筒20の係止孔21に挿入することも可能である。
【0023】
本実施形態の外筒10および内筒20は、いずれも角筒状に形成されているが、外筒10については、内周断面が内筒20の外周断面に合わせて矩形状に形成されていればよく、外筒10の外周断面は円形状等の他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 伸縮支柱
10 外筒
11 貫通孔
20 内筒
21 係止孔
30 固定部材
31 装着筒
32 回動部材
32a 挿入部
32b 係合部
33 付勢部材