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特開2024-136693ダブルデッキエレベーター、ダブルデッキエレベーターの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136693
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ダブルデッキエレベーター、ダブルデッキエレベーターの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20240927BHJP
   B66B 1/06 20060101ALI20240927BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B66B5/02 F
B66B1/06 D
B66B3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047882
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝田 康介
(72)【発明者】
【氏名】山下 大輔
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 秀二
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】河合 慶太
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
3F502
【Fターム(参考)】
3F303BA03
3F303CB25
3F303CB33
3F304CA04
3F304EA12
3F304EB11
3F502HA01
3F502HB16
3F502JA40
3F502JA44
3F502KA18
(57)【要約】
【課題】救出運転時において、乗客を効率よく救出することができるダブルデッキエレベーターの制御方法、及び、ダブルデッキエレベーターを提供する。
【解決手段】救出運転時において、2つのかごが同時に停止可能な最寄階である上下かご最寄り階、又は、いずれか一方のかごのみが停止可能な最寄階である片かご最寄り階を算出する停止階設定部と、乗りかごの上下かご最寄り階、又は、片かご最寄り階に移動時に、乗りかごと、つり合い重りとが接触する可能性が有るかを判断する接触判断部とを備える。また、停止階設定部は、接触判断部が、乗りかごと前記釣合い重りとの接触の可能性が無いと判断した最寄階を、停止階として設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻上機と、
前記巻上機によって昇降路内を昇降し、昇降方向における上下に配置された2つのかごを有する乗りかごと、
前記乗りかごと主ロープを介して接続される釣合いおもりと、
前記乗りかごの昇降動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
救出運転時において、前記2つのかごが同時に停止可能な最寄階である上下かご最寄り階、又は、いずれか一方のかごのみが停止可能な最寄階である片かご最寄り階を算出する最寄階算出部と、
前記乗りかごの前記上下かご最寄り階、又は、前記片かご最寄り階に移動した場合に、前記乗りかごと、前記つり合い重りとが接触する可能性が有るかを判断する接触判断部と、
前記接触判断部が、前記乗りかごと前記釣合いおもりとの接触の可能性が無いと判断した最寄階を、停止階として設定する停止階設定部と、
を備える
ダブルデッキエレベーター。
【請求項2】
前記停止階設定部は、停止した前記乗りかごの位置情報と、前記乗りかごが停止可能な停止可能階の情報とに基づいて、前記乗りかごの現在位置に一番近い第1の最寄階を算出し、
前記接触判断部が、前記乗りかごの前記第1の最寄階への移動時において前記乗りかごと前記釣合いおもりとの接触の可能性が有ると判断した場合は、前記乗りかごの停止位置に対して前記第1の最寄階とは反対方向における第2の最寄階を算出し、前記第2の最寄階を地震発生後の停止階として設定する
請求項1に記載のダブルデッキエレベーター。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記停止階が一方のかごのみ停止可能な最寄階である場合において、当該停止階における前記2つのかごの救出順序を設定する救出順番設定部を備える
請求項2に記載のダブルデッキエレベーター。
【請求項4】
前記乗りかごは、前記2つのかごのそれぞれにおける荷重値を検知可能な荷重センサ装置を有し、
前記救出順番設定部は、前記2つのかごの内、前記荷重センサ装置で検知された荷重値の重いかごから優先的に前記停止階に停止するように救出順序を設定する
請求項3に記載のダブルデッキエレベーター。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記2つのかごが同時に停止可能な最寄階を前記停止階とした場合における第1の救出運転時間と、前記いずれか一方のかごのみが停止可能な最寄階を前記停止階とした場合における第2の救出運転時間と、を算出する救出運転時間算出部を備え、
前記停止階設定部は、前記第1の救出運転時間と前記第2の救出運転時間とで、救出運転時間が短い方の最寄階を前記停止階として設定する
請求項1に記載のダブルデッキエレベーター。
【請求項6】
前記制御装置は、
救出運転後、前記2つのかご内における乗客の閉じ込めを検知する閉じ込め防止動作部を備え、
前記閉じ込め防止動作部が前記2つのかごのうち少なくとも一方のかご内における乗客の閉じ込めを検知した場合、前記運転制御部は、閉じ込めを検知したかごにおける前記救出運転時の停止階に前記閉じ込めを検知したかごが移動するように前記巻上機を制御すると共に、戸開制御を行う
請求項1~5のいずれか一項に記載のダブルデッキエレベーター。
【請求項7】
地震感知器を備え、
前記制御装置は、前記地震感知器から送信されてくる情報に基づいて、前記救出運転を開始する
請求項1に記載のダブルデッキエレベーター。
【請求項8】
巻上機と、
前記巻上機によって昇降路内を昇降し、昇降方向における上下に配置された2つのかごを有する乗りかごと、
前記乗りかごと主ロープを介して接続される釣合いおもりと、
前記乗りかごの昇降動作を制御する制御装置と、を備えるダブルデッキエレベーターの制御方法であって、
救出運転時において、前記2つのかごが同時に停止可能な最寄階である上下かご最寄り階、又は、いずれか一方のかごのみが停止可能な最寄階である片かご最寄り階を算出し、
前記乗りかごの前記上下かご最寄り階、又は、前記片かご最寄り階に移動時に、前記乗りかごと、前記釣合いおもりとが接触する可能性が有るかを判断し、
前記乗りかごと前記釣合いおもりとの接触の可能性が無いと判断した最寄階を、停止階として設定する
ダブルデッキエレベーターの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルデッキエレベーター、及び、ダブルデッキエレベーターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下方向に2つの乗りかごを有するダブルデッキエレベーターでは、停電時における乗客の救出時において、2つの乗りかごの乗客を救出する必要がある。特許文献1では、ダブルデッキエレベーターにおいて、停電時に最寄り階に乗りかごを移動させて乗客を救出する際の救出順位の設定方法が開示されている。特許文献1では、身障者呼びの有無や、上下かごの荷重値の比較に基づいて、乗客を救出する乗りかごの優先順位を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-199422公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エレベーターからの乗客の救出時においては、釣合いおもりと、乗りかごとの接触の危険性を加味し、乗りかごを、釣合いおもりから離れる方向の最寄り階に移動することが推奨されている。しかしながら、特許文献1に開示された制御方法では、乗りかごと釣合いおもりとの接触を回避することは考慮されていない。特に地震発生後においては、乗りかごと釣合いおもりとが揺れることに起因する接触の危険がある。
【0005】
そこで、本発明は、救出運転時において、乗客を効率よく救出することができるダブルデッキエレベーターの制御方法、及び、ダブルデッキエレベーターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のダブルデッキエレベーターは、巻上機と、巻上機によって昇降路内を昇降し、昇降方向における上下に配置された2つのかごを有する乗りかごと、乗りかごと主ロープを介して接続される釣合いおもりと、乗りかごの昇降動作を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、救出運転時において、2つのかごが同時に停止可能な最寄階である上下かご最寄り階、又は、いずれか一方のかごのみが停止可能な最寄階である片かご最寄り階を算出する最寄階算出部と、乗りかごの上下かご最寄り階、又は、片かご最寄り階に移動時に、乗りかごと、つり合い重りとが接触する可能性が有るかを判断する接触判断部とを備える。また、接触判断部が、乗りかごと前記釣合い重りとの接触の可能性が無いと判断した最寄階を、停止階として設定する停止階設定部を備える。
【0007】
本発明のダブルデッキエレベーターの制御方法は、上述のダブルデッキエレベーターにおいて、救出運転時において、2つのかごが同時に停止可能な最寄階、又は、いずれか一方のかごのみが停止可能な最寄階であって、当該最寄階への乗りかごの移動時において乗りかごと釣合いおもりとの接触が無い最寄階を、地震発生後における救出運転時の停止階として設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ダブルデッキエレベーターの乗客を安全に効率よく救出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るダブルデッキエレベーター1の概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るダブルデッキエレベーター1の制御系を示したブロック図である。
図3】地震発生後における乗客の救出方法に係る制御フローである。
図4図3に示した救出運転後に実施される閉じ込め防止のための制御フローである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るダブルデッキエレベーター及びダブルデッキエレベーターの制御方法の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
【0011】
1.ダブルデッキエレベーターの構成
まず、本発明の一実施形態に係るダブルデッキエレベーターについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態(以下、本実施形態とする)に係るダブルデッキエレベーター1の概略構成図である。
【0012】
ダブルデッキエレベーター1は、図1に示すように、建物構造物内に形成された昇降路10内を昇降動作する。ダブルデッキエレベーター1は、昇降方向において上下に設けられた上かご12及び下かご13を有する乗りかご2と、主ロープ3と、釣合いおもり4と、巻上機6とを備える。また、ダブルデッキエレベーター1は、各部を制御する制御装置8を備える。
【0013】
[昇降路]
昇降路10は、乗りかご2が昇降するための空間であり、建物内部の各階を上下方向に貫いて設けられている。昇降路10の内壁面には、乗りかご2の昇降を案内するガイドレール(図示を省略する)が取り付けられている。また、昇降路10の壁面における各階において、上かご12及び下かご13が停止する階には、各階に通じる乗場ドア(図示を省略する)が設けられている。また、昇降路10の頂部には、機械室10aが設けられ、下部には、ピット(図示を省略する)が設けられている。
【0014】
[乗りかご]
乗りかご2は、昇降方向(上下方向)に配置された上かご12及び下かご13を有する。上かご12及び下かご13は、それぞれ、中空の略直方体状に形成されている。上かご12及び下かご13は、かご枠(図示を省略する)内において、上かご12が下かご13よりも上方に位置するように配置されている。例えば、本実施形態では、上かご12が2階に停止する場合には、下かご13は1階に停止する。また、上かご12が32階に停止する場合には、下かご13は31階に停止する。
【0015】
上かご12及び下かご13を収容するかご枠は、主ロープ3を介して、釣合いおもり4と連結され、昇降路10内を昇降する。上かご12及び下かご13を収容するかご枠は、昇降路10内の壁面に設けられたガイドレールに案内され、昇降路10内の上下方向に昇降する。上かご12及び下かご13の側面には、乗場ドアに対応する位置に、かごドア(図示を省略する)が設けられており、所定の停止階に上かご12及び下かご13が停止した際に、かごドア及び乗場ドアが開くことで、乗りかご2への人や荷物の乗り降りが行われる。以下の説明において、上かご12及び下かご13の両方について説明する場合には、上下かご12、13と記し、上かご12又は下かご13のうちどちらか一方について説明する場合には、片かごと記す。また、上かご12及び下かご13を区別しない場合には、単にかごと記す。
【0016】
[主ロープ]
主ロープ3は、軸方向の一端が乗りかご2の上部に接続されており、他端が、釣合いおもり4の上部に接続されている。また、主ロープ3の中間部は、機械室10aに配置された巻上機6に巻き掛けられると共に、巻上機6近傍に配置された反らせ車7に装架されている。
【0017】
[釣合いおもり]
釣合いおもり4は、昇降路10内において、主ロープ3の他端に吊り下げられた状態で収容されている。釣合いおもり4は、図示を省略するおもり側ガイドレールに沿って昇降路10内を昇降動作する。
【0018】
ところで、ダブルデッキエレベーター1は、急行ゾーンが設けられる建物に設置されることが多い。本実施形態では、1階及び2階と31階及び32階に停止階を有し、その間を乗りかご2が昇降移動する例とする。また、急行ゾーンが設けられる建物においては、急行ゾーン内に片かごのみ停止可能な非常停止階を有する場合がある。また、セキュリティのために停止出来ない階や建屋の構造的に両かごの停止を行うことのできない階床が存在する場合がある。本実施形態では、一例として、図1に示すように、7階を、片かごのみ停止可能な非常停止階として設定する。
【0019】
2.ダブルデッキエレベーターの制御系
次に、本実施形態のダブルデッキエレベーター1の制御系の構成について説明する。図2は、本実施形態に係るダブルデッキエレベーター1の制御系を示したブロック図である。図2において、図1に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0020】
図2に示すように、ダブルデッキエレベーター1の乗りかご2には、かご位置検出機器5と、上かご12及び下かご13のそれぞれに設けられた開ボタン53、55と荷重センサ装置52、54とが設けられている。また、ダブルデッキエレベーター1は、地震感知器9と、制御装置8とを備える。
【0021】
[かご位置検出機器]
かご位置検出機器5は、昇降移動する乗りかご2の位置(より詳しくは、上かご12及び下かご13の位置)を検知し、その検知結果を制御装置8に送信する。本実施形態では、地震発生後における運転停止後、乗りかご2の停止位置を検知して制御装置8に送信する。
【0022】
[荷重センサ装置]
荷重センサ装置52、54は、上かご12及び下かご13のそれぞれに設けられている。上かご12に設けられた荷重センサ装置52と下かご13に設けられた荷重センサ装置54とは、その構成が同じであるので、ここでは、上かご2に設けられた荷重センサ装置52について説明する。
【0023】
荷重センサ装置52は、上かご12にかかる荷重値を検知する装置である。荷重センサ装置52は、例えば、上かご12のかご床を支持する下枠に設置されている。荷重センサ装置52は、かご床の下方に設けられた複数の防振ゴムの変位量を検出することで、乗りかご2にかかっている荷重値を検出する。荷重センサ装置52としては、一般的に用いられている装置を適用することができる。本実施形態では、荷重センサ装置52は、かご床の下方に設けられる例としたが、上かご12にかかる荷重を検知できる構成であれば、種々の形態を採ることができる。荷重センサ装置52で取得された荷重データは、後述する制御装置8に送信される。
【0024】
[開ボタン]
開ボタン53、55は、上かご12及び下かご13のそれぞれに設けられている。上かご12に設けられた開ボタン53と、下かご13に設けられた開ボタン55とは、その構成が同じであるので、ここでは、上かご12に設けられた開ボタン53について説明する。
【0025】
開ボタン53は、上かご12に乗車している利用者が操作可能なボタンである。所定の階に上かご12が停止した際に、開ボタン53を押すことで、乗場ドア及びかごドアを戸開状態とすることができる。また、本実施形態では、地震発生後における、かご内の乗客救出後、さらに、かご内に取り残された乗客が開ボタン53、55を押すことで、再度、救出に係る制御が開始される。この場合、開ボタン53、55が押されたことによって発生する信号は、制御装置8に送信され、制御装置8において、閉じ込め防止動作に係る制御が為される。この閉じ込め防止動作に係る制御については後で詳述する。
【0026】
[地震感知器]
地震感知器9は、建物の地震等に起因する揺れを感知する機器である。地震感知器9で感知された建物の揺れに関する情報は、制御装置8に送信される。制御装置8では、地震感知器9から送信されてきた揺れの情報に基づいて、建物の揺れが所定の震度以上であった場合には、ダブルデッキエレベーター1の運転を停止する。その後、救出運転に係る制御を開始する。本実施形態では、地震発生後における救出運転に係る制御に特徴を有する。この制御方法については後で詳述する。
【0027】
[制御装置]
制御装置8は、運転制御部101、異常検出部102、かご位置検出部103、停止可能階記憶部104、停止階設定部105、おもり位置検出部106、接触判断部107、及び、停止階記憶部108を備える。さらに、制御装置8は、救出順番設定部109、救出時間算出部110、救出時間記憶部111、救出時間比較部112、及び、閉じ込め防止動作部113を備える。
【0028】
運転制御部101は、通常の運転制御の他、地震発生後における運転の停止、及び、救出運転の制御を行う。運転制御部は101、各部からの信号に基づいて、乗りかご2の昇降動作に関わる巻上機6の駆動制御、及び、乗場ドア及びかごドアの開閉制御を行う。
【0029】
異常検出部102は、地震発生後等の運転停止後に、各部から送信されてくる信号に基づいて、異常の有無を検出する。ここで検出される異常は、ダブルデッキエレベーター1の運転に関わる異常である。異常検出部102における検出結果は、運転制御部101に送信される。
【0030】
かご位置検出部103は、かご位置検出機器5から送信されてきた情報に基づいて、乗りかご2の位置を検出する。また、おもり位置検出部106は、かご位置検出機器5から送信されてきた情報に基づいて、釣合いおもり4の位置を検出する。かご位置検出部103で検出された乗りかご2の位置、及び、おもり位置検出部106で検出された釣合いおもりの位置に関する情報は、接触判断部107に送信される。
【0031】
停止可能階記憶部104は、停止可能な階を記憶している。本実施形態では、例えば、停止可能階記憶部104において、1階及び2階と、31階及び32階とが、上かご12及び下かご13(以下、上下かご)が同時に停止可能な停止階として記憶されている。一方、停止可能階記憶部104において、7階が、上かご12又は下かご13の内一方のかご(以下、片かご)のみ停止可能な停止階として記憶されている。
【0032】
停止階設定部105は、かご位置検出部103で検出された乗りかご2の停止位置と、停止可能階記憶部104に記憶された停止可能階の情報に基づいて、乗りかご2が停止した位置から最寄りの停止階(最寄階)を算出する。本実施形態では、停止階設定部105において、上下かご12、13が同時に停止可能な最寄階と、片かごのみが停止可能な最寄階を算出する。また、停止階設定部105では、後述する接触判断部107からの判断結果に基づいて、最寄階への移動時において乗りかご2と釣合いおもり4との接触が発生しない上下かご12、13が停止可能な最寄階を『上下かご最寄階』として設定する。同様に、停止階設定部105では、後述する接触判断部107からの判断結果に基づいて、最寄階への移動時において乗りかご2と釣合いおもり4との接触が発生しない片かごが停止可能な最寄階を『片かご最寄階』として設定する。
【0033】
また、停止階設定部105は、後述する救出時間比較部112の比較結果に基づいて、『上下かご最寄階』又は『片かご最寄階』のいずれかを、救出運転時の停止階として設定する。
【0034】
なお、本実施形態の停止階設定部105は、本発明における「最寄階算出部」と「最寄階設定部」とを兼ねるものである。本実施形態では、停止階設定部105において、最寄階の算出と、停止階の設定を行う例としたが、最寄階の算出については、最寄階算出部が行い、接触判断部107からの判断結果及び救出時間比較部112の比較結果に基づく停止階の設定は、停止階設定部105が行う構成としてもよい。
【0035】
接触判断部107は、停止階設定部105で算出された最寄階への乗りかご2の移動時に、乗りかご2と釣合いおもり4とが接触するか否かを判断する。接触判断部107では、停止階設定部105からの情報と、かご位置検出部103から送られてきた現在の乗りかご2の位置情報と、おもり位置検出部106から送られてきた釣合いおもり4の位置情報とに基づいて、乗りかご2と釣合いおもり4とが接触するか否かを判断する。接触判断部107における判断結果は、停止階設定部105に送信される。
【0036】
停止階記憶部108は、停止階設定部105から送信されてきた『上下かご最寄階』及び『片かご最寄階』の情報を記憶する。停止階記憶部108に記憶される『上下かご最寄階』及び『片かご最寄階』は、地震発生後の救出運転における乗りかご昇降動作時に、乗りかご2と釣合いおもり4とが、接触しないと判断された最寄階である。また、停止階記憶部108は、停止階設定部105で設定された救出運転時における停止階の情報を記憶する。
【0037】
救出順番設定部109は、停止階設定部105で設定された『片かご最寄階』における、上かご12及び下かご13からの乗客の救出順序を決定する。片かご最寄階では、乗りかご2のうち、上かご12又は下かご13のどちらか一方ずつからしか乗客の救出ができない。このため、救出順番設定部109では、乗りかご2を『片かご最寄階』に停止させる場合において、救出順序を設定する。ここでは、上かご12及び下かご13に設置された各荷重センサ装置52、54から送信されてくる各かごの荷重情報に基づいて、荷重の大きいほうのかごから先に救出されるように救出順序を決定する。
【0038】
救出時間算出部110は、乗客の救出時において、乗りかご2の移動を開始してから、上かご12及び下かご13が同時に停止できる『上下かご最寄階』に乗りかご2を停止させて乗客を救出するまでの時間(第1の救出運転時間)を算出する。さらに、救出時間算出部110は、乗客の救出時において、乗りかご2の移動を開始してから、上かご12又は下かご13の片かごのみ停止できる『片かご最寄階』に停止させ、上かご12及び下かご13の両方の乗客を救出するまでの時間(第2の救出運転時間)を算出する。救出時間算出部110で算出された救出時間に係る情報は、救出時間記憶部111に送信される。救出時間算出部110における第1の救出運転時間及び第2の救出運転時間の算出方法については後で詳述する。
【0039】
救出時間記憶部111は、『上下かご最寄階』に乗りかご2を停止させて救出する場合の救出時間と、『片かご最寄階』に乗りかご2を停止させて救出する場合の救出時間を記憶する。
【0040】
救出時間比較部112は、救出時間記憶部111に記憶された『上下かご最寄階』での救出にかかる第1の救出運転時間と、『片かご最寄階』での救出にかかる第2の救出運転時間とを比較する。停止階設定部105において、救出時間比較部112における比較結果に基づいて、救出運転時における停止階を決定する。決定された停止階に関する情報は、停止階記憶部108に記憶されると共に、運転制御部101に送信される。運転制御部101では、救出運転時における停止階の情報に基づいて、救出運転制御を実行する。
【0041】
閉じ込め防止動作部113は、救出運転後、さらに、上かご12の開ボタン53又は下かご13の開ボタン55が押された場合に、かご内に救出されていない乗客が居ると判断して閉じ込め防止動作を開始する。閉じ込め防止動作部113は、停止階記憶部108に記憶された停止階に基づいて、乗りかご2の昇降動作及び、乗場ドア及びかごドアの戸開動作を決定する。閉じ込め防止動作における制御方法については後で詳述する。
【0042】
ところで、上述した、制御装置8の各部は、それぞれ、図示を省略する制御処理部の制御の下、制御される。制御処理部は、例えば、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性ストレージを備える。
【0043】
CPUは、各部において、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROMから読み出してRAMに展開して実行する。なお、制御処理部は、CPUの代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAMには、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0044】
不揮発性ストレージとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージには、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、制御処理部を機能させるためのプログラム等が記録される。なお、プログラムは、ROMに格納されてもよい。
【0045】
プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM又は不揮発性ストレージは、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0046】
3.ダブルデッキエレベーターの制御方法(地震発生後における乗客の救出方法)
次に、本実施形態のダブルデッキエレベーター1の制御方法について説明する。ここでは、地震発生後に実施される乗りかご2内の乗客の救出時における制御方法について説明する。図3は、地震発生後における乗客の救出方法に係る制御フローである。なお、ここでは、地震発生後であるとして制御フローの説明を行うが、本実施形態に係るダブルデッキエレベーターの制御方法は、地震発生時に限らず、異常発生時における救出運転時においても適用可能である。
【0047】
地震が発生した場合、地震感知器9が建物の揺れを検知し、建物の揺れに関する情報を制御装置8に送信する。運転制御部101では、地震感知器9から送信されてきた情報に基づいて、建物の揺れが所定の閾値以上である場合には、ダブルデッキエレベーター1の運転を停止する。具体的には、巻上機6の駆動を停止することで、乗りかご2の昇降移動を停止する。図3に係るフローは、地震発生後に、ダブルデッキエレベーター1の運転が停止された時点で開始される。
【0048】
地震発生後におけるダブルデッキエレベーター1の運転停止後、異常検出部102は、ダブルデッキエレベーター1の各部から送信されてくる信号に基づいて、異常の有無を確認する(ステップS100)。なお、ダブルデッキエレベーター1において、走行不能な異常が発生している場合には、この段階で、図3のフローは終了する。本実施形態では、走行不能な異常が発生しなかった場合についてのみ説明を行う。すなわち、ステップS100で走行不能な異常が確認されなかった場合に、ステップS110に進む。
【0049】
ステップS110では、上下かご12、13が同時に停止可能な最寄階を算出する。ここでは、まず、かご位置検出部103が、かご位置検出機器5から送信されてくる乗りかご2の位置情報に基づいて、現在の乗りかご2の位置情報(停止位置)を検出し、停止階設定部105にその位置情報を送信する。次に、停止階設定部105は、現在の乗りかご2の位置情報と、停止可能階記憶部104に記憶された上下かご12、13が同時に停止できる停止可能階の情報とに基づいて、上下かご12、13の現在位置から一番近い停可能止階を算出し、その停止可能階を最寄階として設定する。例えば、図1に示す例であれば、1階及び2階、又は、31階及び32階のうち、現在の乗りかご2の停止位置に近い停止可能階が、最寄階として算出される。
【0050】
次に、接触判断部107は、ステップS110で設定された上下かご12、13が停止可能な最寄階に乗りかご2が移動する際に、乗りかご2と、釣合いおもり4との接触が有るか否かを判断する(ステップS120)。ここでは、接触判断部107は、かご位置検出部103で検出された乗りかご2の位置情報と、おもり位置検出部106で検出された釣合いおもり4の位置情報と、上下かご12、13の最寄階の情報とに基づいて、乗りかご2と釣合いおもり4との接触が有るか否かを判断する。
【0051】
ステップS120において「NO」と判断された場合、すなわち、接触しないと判断された場合には、停止階設定部105は、ステップS110で設定された最寄階を、『上下かご最寄階』として設定する(ステップS140)。
【0052】
一方ステップS120において、「YES」と判断された場合、すなわち、接触すると判断された場合には、ステップS130に進む。ステップS130では、停止階設定部105は、ステップS110で設定された最寄階(本発明の第1の最寄階に相当)とは逆方向において、上下かご12、13が停止可能な最寄階(本発明の第2の最寄階に相当)を算出する。その後、ステップS140において、ステップS130で算出された最寄階を『上下かご最寄階』として設定する。ステップS140で設定された『上下かご最寄階』の情報は、停止階記憶部108に送信され、記憶される。
【0053】
次に、停止階設定部105は、片かごが停止可能な最寄階を算出する(ステップS150)。ここでは、まず、かご位置検出部103は、かご位置検出機器5から送信されてくる乗りかご2の位置に関する情報に基づいて、現在の乗りかご2の停止位置を検出すると共に、その位置情報を停止階設定部105に送信する。そして、停止階設定部105は、現在の乗りかご2の位置情報と、停止可能階記憶部104に記憶された片かごずつ停止可能な停止可能階の情報とに基づいて、乗りかご2の現在位置から一番近い停止可能階を算出すると共に、その停止可能階を最寄階として設定する。例えば、図1に示す例であれば、例えば7階が、最寄階として算出される。
【0054】
次に、接触判断部107は、ステップS150で設定された片かごが停止可能な最寄階に乗りかご2が移動する際に、乗りかご2と、釣合いおもり4との接触が有るか否かを判断する(ステップS160)。ここでは、接触判断部107は、かご位置検出部103で検出された乗りかご2の位置情報と、おもり位置検出部106で検出された釣合いおもり4の位置情報と、片かごが停止可能な最寄階の情報とに基づいて、乗りかご2の移動時に釣合いおもり4との接触が有るか否かを判断する。
【0055】
ステップS160において「NO」と判断された場合、すなわち、接触しないと判断された場合には、停止階設定部105は、ステップS150で設定された片かごが停止可能な最寄階を、『片かご最寄階』として設定する(ステップS180)。
【0056】
一方、ステップS160において、「YES」と判断された場合、すなわち、接触すると判断された場合には、ステップS170に進む。ステップS170では、停止階設定部105は、ステップS150で設定された最寄階とは逆方向において、片かごが停止可能な最寄階を算出する。その後、ステップS180において、ステップS170で算出された最寄階を『片かご最寄階』として設定する。ステップS180で設定された『片かご最寄階』の情報は、停止階記憶部108に送信され、記憶される。
【0057】
次に、救出順番設定部109は、『片かご最寄階』で救出を行う場合における救出順序を決定する(ステップS190)。ここでは、救出順番設定部109は、上かご12及び下かご13のそれぞれの荷重センサ装置52、54から送信されてくる荷重値に基づいて、救出順序を設定する。本実施形態では、荷重の大きいほうのかごに乗客が多く乗っていると推定し、乗客が多く乗っていると推定されるかごから先に救出する設定としている。
【0058】
例えば、『片かご最寄階』として図1の7階が設定された場合、乗りかごが7階よりも上の階に停止している場合でも、上かご12の乗客が下かご13の乗客よりも多い場合には、上かご12の乗客から先に救出を行う設定とする。したがって、この場合には、一度、乗りかご2を下方向に昇降移動させて上かご12の乗客を救出した後、乗りかご2を1階分だけ上方に昇降移動させて下かご13の乗客を救出する手順となる。
【0059】
なお、本実施形態では、『片かご最寄階』において乗客の救出を行う場合に乗客が多いかごから救出する例としたが、乗客の救出の順番はこれに限られるものではない。例えば、乗りかご2の移動方向において、早く『片かご最寄階』に到着するかごから順に乗客を救出する例としてもよい。
【0060】
次に、救出時間算出部110は、『上下かご最寄階』において乗客の救出を行う場合の救出時間T1(本発明の第1の救出運転時間に相当)を算出する(ステップS200)。救出時間T1は、乗りかご2の停止位置から『上下かご最寄階』までの運転時間(移動時間t1)と、上かご12及び下かご13の乗客が、各乗り場階に避難する時間(避難時間t2)を足し合わせたものである。すなわち、救出時間T1=移動時間t1+避難時間t2で算出される。ここでは、『上下かご最寄階』では、上下かご12、13から同時に乗客が避難するため、避難時間t2は、両かごから同時に乗客が避難する時間に設定されている。救出時間算出部110で算出された救出時間T1の情報は、救出時間記憶部111に記憶される。
【0061】
次に、救出時間算出部110は、『片かご最寄階』において乗客の救出を行う場合の救出時間T2(第2の救出運転時間に相当)を算出する(ステップS210)。救出時間T2は、乗りかご2の停止位置から『片かご最寄階』までの運転時間(移動時間t3)と、上かご12及び下かご13の乗客が、乗り場階に避難する時間(避難時間t4)と、『片かご最寄階』に対する上かご12と下かご13の位置を入れ替える時間(入れ替え時間t5)とを足し合わせたものである。すなわち、救出時間T2=移動時間t3+避難時間t4+入れ替え時間t5で算出される。ここでは、『片かご最寄階』では、片かごずつ乗客が避難するため、避難時間t4は、上かご12から乗客が避難する時間と、下かご13から乗客が避難する時間とを足し合わせた時間に設定されている。救出時間算出部110で算出された救出時間T2の情報は、救出時間記憶部111に記憶される。
【0062】
次に、救出時間比較部112は、救出時間T1と救出時間T2とを比較する(ステップS220)。ステップS220において、T1<T2である場合には、停止階設定部105は、『上下かご最寄階』を、救出運転時の停止階として設定する(ステップS230)。その後、救出運転時における停止階の情報は、停止階記憶部108に送信される。停止階記憶部108において、『上下かご最寄階』が救出運転時における停止階として記憶される。その後、ステップS250に進む。
【0063】
一方、ステップS220において、T1>T2である場合には、停止階設定部105は、『片かご最寄階』を、救出運転時の停止階として設定する(ステップS240)。その後、救出運転時における停止階の情報は、停止階記憶部108に送信される。停止階記憶部108において、『片かご最寄階』が救出運転時における停止階として記憶される。その後、ステップS260に進む。
【0064】
ステップS250では、運転制御部101は、『上下かご最寄階』への乗りかご2の昇降移動を開始すると共に、『上下かご最寄階』における乗客の救出を行う。ここでは、運転制御部101は、『上下かご最寄階』に乗りかご2を移動させた後、戸開状態として乗客の避難を促す。
【0065】
一方、ステップS260では、運転制御部101は、『片かご最寄階』への乗りかご2の昇降移動を開始すると共に、『片かご最寄階』における乗客の救出を行う。なお、『片かご最寄階』において乗客の救出を行う場合には、救出順番設定部109で設定された救出順序に応じて、片かごずつ、乗客の救出を行う。例えば、上かご12から乗客の救出を行う場合には、まず、上かご12を『片かご最寄階』に停止させ、戸開状態として上かご12からの乗客の避難を促す。その後、乗りかご2を移動させて下かご13を『片かご最寄階』に停止させ、戸開状態として下かご13からの乗客の避難を促す。
【0066】
以上により、地震発生後のダブルデッキエレベーター1における救出運転が終了する。本実施形態では、地震発生後における救出運転において、乗りかご2と釣合いおもり4とがすれ違うのを防ぐことができる。これにより、かご揺れや、釣合いおもりの揺れによって、乗りかご2と釣合いおもり4とが接触する危険性を回避することができる。また、救出時間をより短くできる乗り場階を、救出運転時の停止階として決定することができる。これにより、より安全で効率よく乗客を救出することができる。
【0067】
ところで、地震発生後の救出運転後、さらに上かご12又は下かご13において乗客の閉じ込めが発生していた場合、再度、乗客を救出する必要がある。以下では、図3に示した救出運転後に実施することができる閉じ込め防止制御について説明する。
【0068】
4.閉じ込め防止のための制御方法
図4は、図3の救出運転後に実施される閉じ込め防止のための制御フローである。図4に示すフローは、図3のフローが終了した後にスタートする。
【0069】
まず、運転制御部101が、図3のステップS250又はステップS260における救出運転の終了を確認する(ステップS300)。その後、運転制御部101は、ダブルデッキエレベーター1の運転を休止する(ステップS310)。
【0070】
次に、閉じ込め防止動作部113は、上かご12の開ボタン53、又は、下かご13の開ボタン55が押されたか否かを判定する(S320)。閉じ込め防止動作部113において、開ボタン53、55が押されていないと判断されている間は、ステップS310に戻り、閉じ込め防止動作部113における判定を継続する。
【0071】
一方、ステップS320において、「YES」と判定された場合、すなわち、閉じ込め防止動作部113が、開ボタン53又は開ボタン55が押されたことを検知した場合、ステップS330に進む。なお、閉じ込め防止動作部113における判定時において、上かご12又は下かご13に閉じ込められた乗客が、速やかに開ボタン53又は開ボタン55を押すことができるように、ステップS320の前段において、上かご12の開ボタン53及び下かご13の開ボタン55を点滅させておく制御を行ってもよい。又は、所定時間毎に閉じ込め確認のアナウンスを流すことで、閉じ込められた乗客が開ボタン53又は開ボタン55を速やかに押すことができるようにしてもよい。
【0072】
ステップS330では、閉じ込め防止動作部113は、開ボタン53又は開ボタン55が押されたかごが、現在、停止階に停止しているか否かを判定する。ここでは、閉じ込め防止動作部113は、かご位置検出部103から検出された乗りかご2の現在位置と、停止階記憶部108に記憶された、救出運転時の停止階の情報とに基づいて判定が行われる。
【0073】
ステップS330において、「YES」と判定された場合、すなわち、開ボタン53又は開ボタン55が押されたかごが、救出運転で救出を行った停止階に停止していると判定された場合には、閉じ込め防止動作部113は、乗場ドア及びかごドアを戸開する(ステップS340)。これにより、かご内に取り残されていた乗客の避難を促すことができる。
【0074】
一方、ステップS330において、「NO」と判定された場合、すなわち、開ボタン53又は開ボタン55が押されたかごが救出運転で救出を行った停止階に停止していないと判定された場合にはステップS350に進む。
【0075】
ステップS350では、運転制御部101は、閉じ込め防止動作部113からの信号に基づいて、乗りかご2を、救出運転において救出を行った停止階に移動させる(ステップS350)。その後、閉じ込め防止動作部113は、開ボタン53又は開ボタン55が押されたかごが停止階に停止した後、乗場ドア及びかごドアを戸開する(ステップS360)。これにより、かご内に取り残されていた乗客の避難を促すことができる。
【0076】
これにより、閉じ込め防止動作が終了する。図4では、ステップS340又はステップS360の後、フローを終了する例としたが、ステップS340又はステップS360の後、再度、ステップS310に戻ってもよい。このようにすることで、上かご12及び下かご13の両方で乗客の閉じ込めが発生していた場合に、上かご12及び下かご13に閉じ込められた乗客を、開ボタンが押された順に避難させることができる。
【0077】
以上のように、本実施形態では、救出運転後において、かご内に取り残された乗客がいる場合にも、再度、停止階に乗りかご2を移動させることで、乗客を非難させることができる。これにより、地震発生後において、より確実に乗客を救出することができる。
【0078】
上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成について他の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…ダブルデッキエレベーター、3…主ロープ、5…かご位置検出機器、6…巻上機、8…制御装置、9…地震感知器、10…昇降路、10a…機械室、52、54…荷重センサ装置、53、55…開ボタン、101…運転制御部、102…異常検出部、103…かご位置検出部、104…停止可能階記憶部、105…停止階設定部、106…おもり位置検出部、107…接触判断部、108…停止階記憶部、109…救出順番設定部、110…救出時間算出部、111…救出時間記憶部、112…救出時間比較部、113…閉じ込め防止動作部
図1
図2
図3
図4