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特開2024-136694医用解析装置、超音波診断装置、医用解析方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136694
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】医用解析装置、超音波診断装置、医用解析方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B8/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047884
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正毅
(72)【発明者】
【氏名】掛江 明弘
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD19
4C601DD23
4C601EE09
(57)【要約】
【課題】被検体の体内の測定対象の組織における硬さに関する解析を行えるようにさせることである。
【解決手段】実施形態の医用解析装置は、被検体の体内の組織の硬さを解析する医用解析装置であって、処理部を持つ。処理部は、被検体に向けて送信された超音波信号が被検体の体内で反射された反射波信号に基づいて生成された超音波画像と、超音波画像を撮像する際に超音波信号の送信および反射波信号の検出を行う超音波プローブが被検体に対して圧迫状態および開放状態とされているときの圧力を表す圧力情報とに基づいて、超音波画像に写されている被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体内の組織の硬さを解析する医用解析装置であって、
前記被検体に向けて送信された超音波信号が前記被検体の体内で反射された反射波信号に基づいて生成された超音波画像と、前記超音波画像を撮像する際に前記超音波信号の送信および前記反射波信号の検出を行う超音波プローブが前記被検体に対して圧迫状態および開放状態とされているときの圧力を表す圧力情報とに基づいて、前記超音波画像に写されている前記被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する処理部、
を備える医用解析装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記超音波画像に基づいて前記測定対象の組織の変位および歪みを求め、求めた歪みと前記圧力と対応付けた圧力-歪み曲線を生成する歪み処理部と、
前記圧力-歪み曲線の傾きを表す近似関数を求め、求めた前記近似関数に基づいて前記圧力-歪み曲線に線形性があるか否かを判定する線形判定部と、
前記圧力-歪み曲線と、前記圧力-歪み曲線の線形性の判定結果とに基づいて、前記測定対象の組織の硬さを表す物理量を算出する物理量算出部と、
を備える請求項1に記載の医用解析装置。
【請求項3】
前記歪み処理部は、前記超音波プローブによって前記圧迫状態および前記開放状態にされる一連の操作を一つの単位としたサイクルごとに、前記圧力-歪み曲線を生成する、
請求項2に記載の医用解析装置。
【請求項4】
前記歪み処理部は、前記超音波信号の特性に基づいて前記測定対象の組織の変位および歪みを求める、
請求項3に記載の医用解析装置。
【請求項5】
前記歪み処理部は、前記超音波画像に写された前記測定対象の組織の像の変化に基づいて前記測定対象の組織の変位および歪みを求める、
請求項3に記載の医用解析装置。
【請求項6】
前記物理量は、前記圧力-歪み曲線から得られるヤング率、ヒステリシス損、仕事量のうちの一部または全部が含まれる、
請求項3に記載の医用解析装置。
【請求項7】
前記線形判定部は、前記圧力-歪み曲線を複数の範囲に分割し、分割したそれぞれの前記範囲ごとに前記近似関数の傾きを求め、前記圧力-歪み曲線と前記近似関数との相関関係を表す予め定めた閾値に基づいて、求めた前記近似関数の傾きが予め定めた線形関数から逸脱しているか否かを判定することにより、それぞれの前記範囲ごとに前記線形性があるか否かを判定し、
前記ヤング率は、前記線形性があると判定された前記範囲の前記近似関数の傾きである、
請求項6に記載の医用解析装置。
【請求項8】
前記近似関数は、前記範囲の両側の端点を結んで得られる近似直線である、
請求項7に記載の医用解析装置。
【請求項9】
前記近似関数は、前記範囲に含まれる複数の値から最小二乗法によって得られた一次近似関数である、
請求項7に記載の医用解析装置。
【請求項10】
前記近似関数は、前記範囲に含まれる複数の値から多項式近似によって得られた多項次関数の接線である、
請求項7に記載の医用解析装置。
【請求項11】
前記歪み処理部は、複数の前記サイクルの前記圧力-歪み曲線を生成し、
前記物理量算出部は、それぞれの前記圧力-歪み曲線から前記物理量を算出し、同じ項目の複数の前記物理量に対して予め定めた処理を行う、
請求項3から請求項10のうちいずれか1項に記載の医用解析装置。
【請求項12】
被検体に向けて超音波信号を送信し、前記超音波信号が前記被検体の体内で反射された反射波信号を検出するとともに、前記超音波信号の送信および前記反射波信号の検出を行う際に、前記被検体に対して圧迫状態および開放状態とされているときの圧力を測定する超音波プローブと、
前記反射波信号に基づいて生成された超音波画像と、前記超音波画像を撮像する際に前記超音波プローブにより測定された前記圧力を表す圧力情報とに基づいて、前記超音波画像に写されている前記被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する処理部と、
前記解析の結果を表す情報の表示装置への表示を制御する表示制御部と、
を備え、
前記処理部は、
前記超音波画像に基づいて前記測定対象の組織の変位および歪みを求め、求めた歪みと前記圧力と対応付けた圧力-歪み曲線を生成する歪み処理部と、
前記圧力-歪み曲線の傾きを表す近似関数を求め、求めた前記近似関数に基づいて前記圧力-歪み曲線に線形性があるか否かを判定する線形判定部と、
前記圧力-歪み曲線と、前記圧力-歪み曲線の線形性の判定結果とに基づいて、前記測定対象の組織の硬さを表す物理量を算出する物理量算出部と、
を備える、
超音波診断装置。
【請求項13】
コンピュータが、被検体の体内の組織の硬さを解析する医用解析方法であって、
前記被検体に向けて送信された超音波信号が前記被検体の体内で反射された反射波信号に基づいて生成された超音波画像と、前記超音波画像を撮像する際に前記超音波信号の送信および前記反射波信号の検出を行う超音波プローブが前記被検体に対して圧迫状態および開放状態とされているときの圧力を表す圧力情報とに基づいて、前記超音波画像に写されている前記被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する、
医用解析方法。
【請求項14】
コンピュータに、被検体の体内の組織の硬さを解析させるプログラムであって、
前記被検体に向けて送信された超音波信号が前記被検体の体内で反射された反射波信号に基づいて生成された超音波画像と、前記超音波画像を撮像する際に前記超音波信号の送信および前記反射波信号の検出を行う超音波プローブが前記被検体に対して圧迫状態および開放状態とされているときの圧力を表す圧力情報とに基づいて、前記超音波画像に写されている前記被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用解析装置、超音波診断装置、医用解析方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において、被検体の体内の組織の硬さを測定するための技術として、超音波エラストグラフィ(Shear Wave Elastography)といわれる技術が利用されている。超音波エラストグラフィは、超音波信号を用いて、例えば、肝臓などの組織の硬さ分布を画像で表す技術である。しかしながら、超音波エラストグラフィは、全ての医療領域で利用することができる技術ではなく、安全性の観点からの制約や、性能の観点からの限界などがある。例えば、産科の領域においては、妊娠中の子宮(つまり、胎児)に対して超音波エラストグラフィを利用することは禁忌となっている。例えば、測定対象の病変や部位が被検体の体表面に存在するなど、極めて近距離に存在する組織の測定を行う領域では、超音波プローブから送信(発信)させる超音波信号のビームを測定対象の組織に対して絞り込む開口制御を十分に行うことができないため、プッシュパルスのエネルギーを十分に測定対象の組織に照射することができず、測定の精度が低下してしまうことが懸念される。
【0003】
これに関して、従来から、超音波プローブを被検体に押し付けた際の押し付け力の測定結果と、超音波プローブから送信した超音波信号が測定対象の組織で反射されて戻ってきた超音波信号(反射波信号)を超音波プローブで検出することにより得た測定対象の組織の厚さの変化とに基づいて、測定対象の組織の弾性指標を算出する超音波生体組織測定装置に関する技術が提案されている。この技術を採用することによって、超音波エラストグラフィを利用することができない医療領域において、組織の硬さを測定することができる。しかしながら、従来の技術では、弾性指標と、組織の厚さの変化量と、組織に対する押し付け力と、組織が層構造であるときにどこの層かを表す層情報と、組織の種類を示す情報との関係を示す関係情報(テーブル)を予め準備しておき、測定された測定対象の組織の厚さの変化量、および測定された超音波プローブの押し付け力と、入力された測定対象の組織の種類および層情報とに基づいて、測定対象の組織の弾性指標を算出している。このため、従来の技術では、測定対象の組織の弾性指標を算出するために予め準備しておくテーブルの作成に非常に多くの知見やデータが必要であり、テーブルが未確定である間は、算出された弾性指標に含まれる誤差が多くなってしまうこと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-086002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、被検体の体内の測定対象の組織における硬さに関する解析を行えるようにさせることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の医用解析装置は、被検体の体内の組織の硬さを解析する医用解析装置であって、処理部を持つ。処理部は、前記被検体に向けて送信された超音波信号が前記被検体の体内で反射された反射波信号に基づいて生成された超音波画像と、前記超音波画像を撮像する際に前記超音波信号の送信および前記反射波信号の検出を行う超音波プローブが前記被検体に対して圧迫状態および開放状態とされているときの圧力を表す圧力情報とに基づいて、前記超音波画像に写されている前記被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る医用解析装置の機能構成と、実施形態の医用解析装置が適用された超音波診断装置の機能構成および使用環境の一例を示す図。
図2】実施形態に係る超音波診断装置において歪み処理機能が生成する圧力-歪み曲線の一例を示す図。
図3】実施形態に係る超音波診断装置において線形判定機能が行う線形性の判定の一例を模式的に示す図。
図4】実施形態に係る超音波診断装置において物理量算出機能が算出する物理量と圧力-歪み曲線との関係の一例を模式的に示す図。
図5】実施形態に係る超音波診断装置における処理の流れの一例を示すフローチャート。
図6】実施形態に係る超音波診断装置において歪み処理機能が生成した圧力-歪み曲線の一例を示す図。
図7】実施形態に係る超音波診断装置における処理の別の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用解析装置、超音波診断装置、医用解析方法、およびプログラムについて説明する。医用解析装置は、被検体の体内の組織の硬さに関連する情報を解析する。以下の説明においては、医用解析装置が、実施形態の超音波診断装置に適用された場合を例に挙げて説明する。超音波診断装置は、例えば、超音波プローブから超音波信号を送信し、この超音波信号が被検体(患者)の体内で反射されて戻ってきた超音波信号(反射波信号:エコー信号)を超音波プローブで検出することにより被検体の超音波検査を行う。超音波診断装置は、超音波プローブで検出された反射波信号に対して画像処理を施して、反射波信号の大きさなどに基づく超音波画像を生成し、生成した超音波画像を表示装置に表示させることにより超音波検査の検査者(医師など)に提示する。これにより、検査者は、被検体の体内の組織の状態を目視で確認することができる。医用解析装置は、超音波診断装置が生成した超音波画像と、超音波画像を生成する際に超音波信号を被検体の体内に送信する超音波プローブにより得られた情報とに基づいて、被検体の体内の組織の硬さに関連する情報を解析する。
【0009】
図1は、実施形態に係る医用解析装置の機能構成と、実施形態の医用解析装置が適用された超音波診断装置の機能構成および使用環境の一例を示す図である。図1には、被検体の体内の組織の硬さの解析に関連する機能を実現するための超音波診断装置1の機能構成およびその使用環境の一例を示している。
【0010】
一方、図1では、超音波診断装置1において被検体の体内の組織の硬さの解析に関連しない機能を実現するその他の構成要素や機能構成の図示は省略している。例えば、図1では、超音波プローブ200に超音波信号を送信(発信)させるための制御信号を出力し、超音波プローブ200により出力された反射波信号を受け取る入出力回路や、超音波診断装置1や本体装置100の全体を制御する制御回路(制御機能)の図示を省略している。これら省略している構成要素や機能構成の構成や動作は、既存の超音波診断装置が備える構成要素や機能構成の構成や動作と等価なものであればよい。従って、省略している構成要素や機能構成の構成や動作に関する詳細な説明は省略する。
【0011】
超音波診断装置1は、例えば、本体装置100と、超音波プローブ200と、入力装置300と、表示装置400と、を備える。図1では、入力装置300と表示装置400とが本体装置100に接続されている構成を示しているが、入力装置300および表示装置400は、本体装置100に組み込まれた構成であってもよい。
【0012】
超音波プローブ200は、被検体の体表面に当接させた状態で使用される。超音波プローブ200は、本体装置100からの制御に応じて、被検体の身体に指向性を有する超音波信号を送信(発信)し、被検体の体内で反射された反射波信号を検出して本体装置100に出力する。超音波プローブ200は、複数の超音波振動子を備える。超音波振動子は、例えば、圧電セラミックスなどの圧電素子である。超音波プローブ200は、さらに、超音波振動子のそれぞれに設けられる整合層、および超音波振動子の後方(被検体と反対側)への超音波信号の伝播を防止するバッキング材などを備える。複数の超音波振動子は、一列、あるいは二次元配列など、任意の配列方法で超音波プローブ200内に配列される。超音波プローブ200は、本体装置100に対して着脱可能であってよい。超音波プローブ200と本体装置100とは、専用のケーブルによって接続されてもよいし、無線通信機能によって接続されてもよい。
【0013】
さらに、超音波プローブ200は、圧力センサ210を備える。圧力センサ210は、被検体の体表面に当接されている超音波プローブ200に対して印加された圧力を測定する。つまり、圧力センサ210は、超音波プローブ200が超音波信号を被検体の体内に送信(発信)するとき、および被検体からの反射波信号を検出するときに、検査者が超音波プローブ200を被検体に押し付けている強さを測定する。超音波プローブ200は、圧力センサ210が測定した圧力を表す情報(以下、「圧力情報」という)を、反射波信号とともに本体装置100に出力する。
【0014】
入力装置300は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、マイクなどにより実現される。入力装置300がタッチパネルである場合、入力装置300は、端末装置やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいは本体装置100に接続された表示装置400などの表示装置と一体として形成されてよい。入力装置300は、端末装置やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいは本体装置100と無線通信可能な表示装置(例えば、タブレット端末)により実現されてもよい。本明細書において入力装置300は、上述したマウスやキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、端末装置やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいは本体装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を端末装置やパーソナルコンピュータ(PC)、あるいは本体装置100へ出力する電気信号の処理回路も入力装置300の例に含まれる。
【0015】
表示装置400は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどである。表示装置400は、検査者に提示する超音波画像を含めた各種の情報を表示する。これにより、検査者は、表示装置400に表示された超音波画像を見ることによって、被検体の体内の組織の状態を目視で確認することができる。表示装置400が表示する各種の情報には、検査者による超音波診断装置1、つまり、入力装置300に対する各種の入力操作(例えば、超音波画像の取得開始の指示)を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)の情報(GUI画像)なども含まれる。
【0016】
本体装置100は、超音波プローブ200に超音波信号を送信(発信)させ、超音波プローブ200が検出して出力した反射波信号に基づいて、超音波画像(エコー画像)を生成する。さらに、本体装置100は、超音波プローブ200により反射波信号とともに出力された圧力情報に基づいて、被検体の体内の組織の硬さに関する解析を行う。本体装置100は、生成した超音波画像や、解析した被検体の体内の組織の硬さに関連する情報を表示装置400に出力して表示させることにより、検査者に提示する。
【0017】
[本体装置の構成]
本体装置100は、例えば、処理回路110を備える。処理回路110は、画像取得機能120や、圧力取得機能140、解析処理機能160、表示制御機能180などの処理を実行する。解析処理機能160は、歪み処理機能162や、線形判定機能164、物理量算出機能166などの処理を実行する。処理回路110は、例えば、ハードウェアプロセッサが不図示のメモリに記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより、これらの機能を実現するものである。不図示のメモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、光ディスクなどにより実現される。
【0018】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))などの回路(circuitry)を意味する。不図示のメモリにプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで各機能を実現する。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。複数の構成要素を1つの専用のLSIに組み込んで各機能を実現するようにしてもよい。ここで、プログラム(ソフトウェア)は、予めROMやRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスクドライブなどの記憶装置を構成する記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が本体装置100に備えるドライブ装置に装着されることで、本体装置100に備える記憶装置(不図示)にインストールされてもよい。プログラム(ソフトウェア)は、他のコンピュータ装置からネットワーク(不図示)を介して予めダウンロードされて、本体装置100に備える記憶装置(不図示)にインストールされてもよい。本体装置100に備える記憶装置(不図示)にインストールされたプログラム(ソフトウェア)は、処理回路110が備える記憶装置(不図示)に転送されて実行されてもよい。
【0019】
画像取得機能120は、超音波プローブ200により出力された反射波信号を取得する。画像取得機能120は、取得した反射波信号に基づく超音波画像を生成する。画像取得機能120は、生成した超音波画像を、解析処理機能160に出力する。画像取得機能120は、取得した反射波信号を、不図示の画像処理回路(画像処理機能)に出力してもよい。この場合、本体装置100では、不図示の画像処理回路(画像処理機能)によって、超音波プローブ200により出力された反射波信号に基づく超音波画像が生成される。本体装置100においては、画像取得機能120、あるいは本体装置100が備える不図示の画像処理回路(画像処理機能)によって生成された超音波画像は、表示制御機能180に出力され、表示装置400に表示される。
【0020】
圧力取得機能140は、超音波プローブ200(より具体的には、超音波プローブ200が備える圧力センサ210)により出力された圧力情報を取得する。圧力取得機能140は、取得した圧力情報を、解析処理機能160に出力する。
【0021】
解析処理機能160は、画像取得機能120あるいは不図示の画像処理機能によって生成された超音波画像と、圧力取得機能140により出力された圧力情報が表す、超音波プローブ200が被検体に押し付けられているときの圧力とに基づいて、超音波画像に写されている被検体の体内の組織の硬さに関する解析を行う。解析処理機能160は、解析した被検体の体内の組織の硬さに関連する情報(以下、「硬さ情報」という)を表示制御機能180に出力して、表示装置400に表示させる。硬さ情報には、例えば、圧力と歪みとの関係を表す圧力-歪み曲線や、ヤング率、ヒステリシス損、仕事量などの物理量のうちの一部または全部が含まれる。
【0022】
歪み処理機能162は、超音波画像に基づいて、硬さを測定する対象の組織(測定対象の組織)の歪みを求める。より具体的には、歪み処理機能162は、超音波プローブ200が押し付けられたことによって測定対象の組織に均一の力が伝わったものと仮定し、この力によって測定対象の組織において起こった体内の方向への歪み(axial方向への歪み)を求める。測定対象の組織の歪みは、例えば、ドプラ法やブロックマッチングなど、既存の手法を用いて行うことができる。ドプラ法は、超音波画像を撮像する際の超音波信号の特性に基づいて測定対象の組織の歪みを求める手法であり、ブロックマッチングは、超音波画像に写された測定対象の組織の像の変化に基づいて歪みを求める手法である。
【0023】
例えば、ドプラ法を用いて歪みを求める場合、歪み処理機能162は、まず、下式(1)によって測定対象の組織の変位dを求める。
【0024】
d=(C/4πf)×Δθ ・・・(1)
【0025】
上式(1)において、Cは、超音波信号の速度(1540m/秒)、4πfは、超音波信号の送信から受信までの間の時間(つまり、超音波信号が往復する時間)、Δθは、超音波信号の位相差である。
【0026】
歪み処理機能162は、連続する二枚の超音波画像から位相差Δθを求めることによって、上式(1)から測定対象の組織の変位dを求め、求めた変位dに基づいて歪みσを求める。
【0027】
例えば、ブロックマッチングを用いて歪みを求める場合、歪み処理機能162は、まず、下式(2)によって測定対象の組織の変位dを求める。
【0028】
d=Lperpixel×Δn ・・・(2)
【0029】
上式(2)において、Lperpixelは、超音波画像を構成する一つの画素が表す被検体の体内の距離、Δnは、二枚の超音波画像に写された測定対象の組織における同じ位置の画素の移動量(つまり、同じ測定対象の組織のずれ量)である。
【0030】
歪み処理機能162は、連続した撮像された二枚の超音波画像のうち、例えば、先に撮像された超音波画像に写された測定対象の組織の範囲を基準とし、次に撮像された超音波画像に写された測定対象の組織の範囲との差に基づいて、例えば、上式(3)から測定対象の組織の歪みσを求める。
【0031】
σ=(L-L)/L ・・・(3)
【0032】
上式(3)において、Lは、基準とした測定対象の組織の範囲の距離(先に撮像された超音波画像に写された測定対象の組織の範囲の長さ)、Lは、歪みを求める測定対象の組織の範囲の距離(次に撮像された超音波画像に写された同じ測定対象の組織の範囲の長さ)である。測定対象の組織の範囲における長さLは、例えば、同じ一次元の方向で考えた場合、下式(4)で表されるように、上式(2)によって求めた一方の変位dと、他方の変位dとの差である。
【0033】
=(d-d) ・・・(4)
【0034】
歪み処理機能162において測定対象の組織の歪みを求める方法は、上述したドプラ法やブロックマッチングによる方法に限定されず、測定対象の組織の歪みを求めることができる方法であれば、いかなる方法であってもよい。
【0035】
さらに、歪み処理機能162は、圧力取得機能140により出力された圧力情報が表す超音波プローブ200を押し付けた際の圧力を、超音波画像に基づいて求めた測定対象の組織の歪みσに対応付けた圧力-歪み曲線を生成する。より具体的には、歪み処理機能162は、超音波画像に基づいて求めた測定対象の組織の歪みσと、この歪みσが求められた超音波画像を撮像するときに超音波プローブ200によって被検体の体表面にかけられた圧力(一定にかけられたものとして仮定した圧力)とを関連付けた圧力-歪み曲線を生成する。歪み処理機能162は、圧力[N/m]を応力[Pa]に変換して、応力-歪み曲線を生成してもよい。
【0036】
図2は、実施形態に係る超音波診断装置1において歪み処理機能162が生成する圧力-歪み曲線の一例を示す図である。図2に示したように、歪み処理機能162が生成する圧力-歪み曲線は、超音波プローブ200が被検体の体表面に押し付けられているとき(以下、「プローブ圧迫状態」という)の変化と、超音波プローブ200の押しつけが緩められているとき(以下、「プローブ開放状態」という)の変化とが異なるものである。つまり、歪み処理機能162が生成する圧力-歪み曲線は、図2に示したように、ヒステリシス特性を有する。これは、被検体、すなわち、人体は、粘性を有しない完全弾性体ではなく、粘性を有する粘弾性体であることによるものである。つまり、完全弾性体では、プローブ圧迫状態からプローブ開放状態に超音波プローブ200の押しつけの状態が反転した場合、超音波プローブ200によって起こる歪みはプローブ圧迫状態のときと同じ直線あるいは曲線上の経路で値が変化するが、粘弾性体である人体では、その粘性によって、歪みの変化の度合いがプローブ圧迫状態とプローブ開放状態とで値が辿る経路が異なるからである。プローブ圧迫状態は、「圧迫状態」の一例であり、プローブ開放状態は、「開放状態」の一例である。
【0037】
歪み処理機能162は、生成した圧力-歪み曲線を表す情報を、線形判定機能164と物理量算出機能166とのそれぞれに出力する。歪み処理機能162は、生成した圧力-歪み曲線を表す硬さ情報を表示制御機能180に出力して、表示装置400に表示させる。
【0038】
歪み処理機能162は、「歪み処理部」の一例である。
【0039】
線形判定機能164は、歪み処理機能162により出力された圧力-歪み曲線に対して、線形性の判定を行う。より具体的には、線形判定機能164は、歪み処理機能162により出力された圧力-歪み曲線の傾きを弾性率として算出し、算出した弾性率の線形性を判定する。ここで、圧力-歪み曲線は、上述したように、ヒステリシス特性を有するため、プローブ圧迫状態とプローブ開放状態とで異なる特性の曲線となっている。このため、線形判定機能164は、例えば、圧力-歪み曲線のプローブ圧迫状態の曲線とプローブ開放状態の曲線とのいずれか一方または両方、あるいはプローブ圧迫状態の曲線とプローブ開放状態の曲線とに基づいて得られる曲線(例えば、プローブ圧迫状態の曲線とプローブ開放状態の曲線との間の値の中央値や平均値を結ぶことによって得られる曲線)の傾きを弾性率として算出する。このとき、線形判定機能164は、圧力-歪み曲線を予め定めた複数の範囲に分割し、それぞれの範囲ごとに弾性率を算出する。
【0040】
図3は、実施形態に係る超音波診断装置1において線形判定機能164が行う線形性の判定の一例を模式的に示す図である。図3では、歪み処理機能162が、圧力-歪み曲線を予め定めた六つの範囲R(範囲R1~範囲R6)に分割し、それぞれの範囲Rごとに、弾性率を求めるための近似直線L(近似直線L1~近似直線L6)を設定している状態を模式的に示している。図3では、圧力-歪み曲線を分割したそれぞれの範囲Rが重複していない場合を示しているが、歪み処理機能162は、隣接する範囲Rと一部が重複するように、圧力-歪み曲線を分割してもよい。
【0041】
線形判定機能164は、例えば、分割した範囲Rの両側の端点を結んで得られる近似直線Lの傾きを弾性率として算出する。線形判定機能164は、例えば、分割した範囲Rに含まれる複数の値から最小二乗法による一次近似関数を求め、この一次近似関数の傾きを弾性率として算出してもよい。線形判定機能164は、例えば、分割した範囲Rに含まれる複数の値から多項式近似によって多項次関数(例えば、二次近似関数)を求め、この多項次関数の接線(微分係数)の傾きを弾性率として算出してもよい。線形判定機能164は、圧力-歪み曲線を予め定めた複数の範囲に分割せずに、つまり、圧力-歪み曲線の全ての情報を用いて、例えば、最小二乗法によって、圧力-歪み曲線の傾きを弾性率として算出してもよい。
【0042】
線形判定機能164は、算出した弾性率が、所定の線形関数から逸脱しているか否かによって、圧力-歪み曲線に線形性があるか否かを判定する。線形判定機能164は、例えば、圧力-歪み曲線と弾性率との相関関係を表す所定の閾値を用いて、算出した弾性率が所定の線形関数から逸脱しているか否かを判定する。圧力-歪み曲線と弾性率との相関関係を表す閾値は、例えば、相関係数や絶対係数である。例えば、閾値が相関係数である場合、線形判定機能164は、相関係数が0.75以上(より具体的には、0.75~1.0の間)である場合には、圧力-歪み曲線に線形性があると判定し、相関係数が0.75未満である場合には、圧力-歪み曲線に線形性がないと判定する。例えば、閾値が絶対係数である場合、線形判定機能164は、絶対係数が0.6以上(≒0.75以上、より具体的には、0.6~1.0の間)である場合には、圧力-歪み曲線に線形性があると判定し、相関係数が0.6未満である場合には、圧力-歪み曲線に線形性がないと判定する。
【0043】
線形判定機能164は、圧力-歪み曲線の線形性を判定した結果を表す情報を、物理量算出機能166に出力する。線形判定機能164が物理量算出機能166に出力する圧力-歪み曲線の線形性の判定結果には、分割した範囲Rを表す情報と、その範囲Rにおける弾性率と、その範囲Rにおける線形性の判定結果とが含まれる。ここで、線形判定機能164によって線形性がないと判定された範囲Rの圧力-歪み曲線は、物理量算出機能166において物理量の算出を行わないようにする。このため、線形判定機能164は、圧力-歪み曲線に線形性がないと判定した範囲Rを表す情報と、その範囲Rにおける弾性率と、その範囲Rにおける線形性の判定結果とを、物理量算出機能166に出力しないようにしてもよい。つまり、線形判定機能164は、圧力-歪み曲線に線形性がないと判定した結果を表す情報を除いた(削除した)圧力-歪み曲線の線形性の判定結果を、物理量算出機能166に出力するようにしてもよい。線形判定機能164は、圧力-歪み曲線に線形性がないと判定した場合、このことを検査者に通知して、超音波プローブ200による超音波画像と圧力情報との再度の取得を促すようにしてもよい。この場合、線形判定機能164は、圧力-歪み曲線に線形性がないと判定した結果を表す情報を表示制御機能180に出力して、通知内容や判定結果を表す表示画像を表示装置400に表示させることによって行ってもよいし、本体装置100が備えるランプなどを点灯させることによって行ってもよい。
【0044】
線形判定機能164は、「線形判定部」の一例である。弾性率は、「近似関数」や「近似関数の傾き」の一例である。
【0045】
物理量算出機能166は、歪み処理機能162により出力された圧力-歪み曲線と、線形判定機能164により出力された圧力-歪み曲線の線形性の判定結果とに基づいて、測定対象の組織の硬さを表す物理量(ヤング率、ヒステリシス損、仕事量など)を算出する。
【0046】
図4は、実施形態に係る超音波診断装置1において物理量算出機能166が算出する物理量と圧力-歪み曲線との関係の一例を模式的に示す図である。物理量算出機能166が算出するヤング率は、圧力-歪み曲線の傾きである。物理量算出機能166は、線形判定機能164が圧力-歪み曲線の線形性を判定するために算出した近似直線L(一次近似関数や、多項次関数の接線であってもよい)の傾き、つまり、線形判定機能164が分割したそれぞれの範囲ごとに算出した弾性率(図3参照)をヤング率としてもよい。物理量算出機能166が算出するヒステリシス損は、圧力-歪み曲線が表すヒステリシス特性のループ(ヒステリシスループ)内の面積(図4に示したヒステリシスループHLの領域内の面積)である。物理量算出機能166が算出する仕事量は、圧力-歪み曲線が表すヒステリシスループにおける圧力の最大値から歪みの軸側(図4ではX軸側)に下ろした線によって形成される略三角形の領域の面積(ヒステリシスループを斜辺に相当する線とした略直角三角形の領域の面積)である。このときの略直角三角形の斜辺に相当する線は、ヒステリシスループの上側の線(つまり、プローブ圧迫状態の特性)であってもよいし、ヒステリシスループの下側の線(つまり、プローブ開放状態の特性)であってもよい。略直角三角形の斜辺に相当する線は、ヒステリシスループを表すものであれば、ヒステリシスループの上側の線や下側の線に限定されない。例えば、線形判定機能164が圧力-歪み曲線の線形性を判定するための弾性率の算出に用いた曲線(つまり、ヒステリシスループを近似した曲線)を略直角三角形の斜辺に相当する線としてもよい。図4では、物理量算出機能166が算出する仕事量を、圧力-歪み曲線が表すヒステリシスループの下側に存在する略三角形の領域の面積(図4に示した略三角形領域TLの領域内の面積)とした場合を示している。
【0047】
物理量算出機能166は、算出したそれぞれの物理量を表す硬さ情報を表示制御機能180に出力して、表示装置400に表示させる。
【0048】
物理量算出機能166は、「物理量算出部」の一例である。
【0049】
このようにして解析処理機能160は、画像取得機能120により出力された超音波画像と、圧力取得機能140により出力された圧力情報とに基づいて、超音波画像に写されている被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する。解析処理機能160は、解析した測定対象の組織の硬さを表す硬さ情報(圧力-歪み曲線、ヤング率、ヒステリシス損、および仕事量)を表示制御機能180に出力して、表示装置400に表示させる。これにより、超音波診断装置1では、超音波プローブ200によって撮像した超音波画像とともに、解析した測定対象の組織の硬さの情報が、検査者に提示される。
【0050】
解析処理機能160は、「医用解析装置」および「処理部」の一例である。
【0051】
表示制御機能180は、表示装置400への表示画像の表示を制御する。より具体的には、表示制御機能180は、画像取得機能120あるいは不図示の画像処理機能によって生成された超音波画像を表示装置400に表示させるための表示画像を生成し、生成した表示画像を、表示装置400に表示させる。このとき、表示制御機能180は、解析処理機能160により出力されたそれぞれの硬さ情報(圧力-歪み曲線、ヤング率、ヒステリシス損、および仕事量)を、表示画像に重畳させて、表示装置400に表示させる。
【0052】
表示制御機能180は、「表示制御部」の一例である。
【0053】
[超音波診断装置の処理]
次に、超音波診断装置1において、超音波画像の撮像と、測定対象の組織の硬さの解析とを行って、超音波画像と解析した硬さ情報のそれぞれとを表示装置400に表示させる動作について説明する。ところで、超音波診断装置1において被検体の超音波画像を撮像する超音波検査モードには、例えば、輝度(Brightness)モード(以下、「Bモード」という)や、カラー(Color)モード(以下、「Cモード」という)などがある。Bモードは、超音波プローブ200による超音波信号の走査によって得られた反射波信号の振幅を輝度に変換して、超音波信号を走査した面における反射波信号の輝度の明るさ(強弱)を表す二次元の超音波画像を表示させる検査モードである。Cモードは、超音波信号の走査によって得られた反射波信号が表す血流の情報を色によって表す超音波画像を表示させる検査モードである。このため、Cモードでは、Bモードに比べてより多くの回数の超音波信号が超音波プローブ200から送信(発信)される。例えば、Bモードでは1/30[秒]位の時間間隔(周期)で超音波信号が送信(発信)されるのに対して、Cモードでは、1/6000[秒]位の時間間隔(周期)で超音波信号が送信(発信)される。言い換えれば、Bモードのサンプリング周波数は30[Hz]位であるのに対して、Cモードのサンプリング周波数は6000[Hz]位である。このため、超音波診断装置1では、超音波信号を送信(発信)する周期が短い(サンプリング周波数が高い)Cモードの方が、超音波プローブ200から反射波信号や圧力情報をより多く取得することができるため、測定対象の組織の歪みをより詳細に確認することができる。しかしながら、Cモードでは、被検体の体表面に大きな圧力をかけると、求める測定対象の組織の変位や歪みに対してノイズ(いわゆる、エリアシングノイズ)を誘発してしまうことも考えられるため、このような場合には、Bモードでの確認の方が好適であると考えられる。このため、超音波診断装置1では、被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する際に、測定対象の組織や、超音波プローブ200を押し付ける際の強さ(圧力)などの状況に応じて超音波検査モードを変更する(BモードとCモードとを適宜変更する)ようにしてもよい。
【0054】
以下の説明においては、超音波診断装置1においてCモードでの超音波検査を行う場合の動作を最初に説明し、Bモードでの超音波検査を行う場合の動作を次に説明する。ただし、説明を容易にするため、超音波診断装置1において超音波画像を検査者に提示する動作に関しての説明は省略する。
【0055】
図5は、実施形態に係る超音波診断装置1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明においては、検査者が超音波診断装置1を起動し、入力装置300を操作して超音波検査モードをCモードに設定して、被検体の測定対象の組織の超音波画像を撮像するとともに、測定対象の組織の硬さを解析するものとする。ここで、本フローチャートの処理では、検査者が、測定対象の組織の硬さを解析するための一連の超音波プローブ200の操作(超音波プローブ200を押し付けることによって被検体、つまり、測定対象の組織を圧迫状態と開放状態とにする一つのサイクルを単位とした操作)を、2回行うものとする。従って、超音波診断装置1には、検査者によって、測定対象の組織の硬さを解析するために行う超音波プローブ200の操作のサイクル数として「2サイクル」が設定されているものとする。本フローチャートの処理は、検査者が入力装置300を操作することによって入力さした測定対象の組織の硬さの解析を行う指示に従って、超音波検査を行う際の動作とともに、本体装置100においてそれぞれの機能の処理が繰り返し実行される。
【0056】
検査者が超音波診断装置1による超音波検査および測定対象の組織の硬さの検査を開始すると、不図示の制御回路(制御機能)は、超音波プローブ200に、Cモードの超音波信号を送信(発信)させる(ステップS100)。さらに、不図示の制御回路(制御機能)は、超音波プローブ200が備える圧力センサ210に、超音波プローブ200が被検体に押し付けている強さを測定させる(ステップS102)。これにより、超音波プローブ200は、被検体の体内で反射されたCモードの反射波信号を検出して本体装置100に出力するとともに、圧力センサ210が測定した圧力情報を本体装置100に出力する。
【0057】
画像取得機能120は、超音波プローブ200により出力された反射波信号を取得し、取得した反射波信号に基づく超音波画像を生成する(ステップS200)。画像取得機能120は、生成した超音波画像を、解析処理機能160に出力する。圧力取得機能140は、超音波プローブ200(圧力センサ210)により出力された圧力情報を取得する(ステップS202)。圧力取得機能140は、取得した圧力情報を、解析処理機能160に出力する。ここで、画像取得機能120におけるステップS200の処理と、圧力取得機能140におけるステップS202の処理とは、図5に示した順番に限定されず、同時であってもよいし、順番が逆であってもよいし、連続して行わなくてもよい。
【0058】
解析処理機能160が備える歪み処理機能162は、画像取得機能120により出力された超音波画像と、圧力取得機能140により出力された圧力情報とに基づいて、圧力-歪み曲線を生成する(ステップS300)。このとき、歪み処理機能162は、超音波診断装置1における超音波検査モードがCモードであるため、ドプラ法を用いて、上式(1)によって超音波画像から測定対象の組織の変位dを求めて歪みσを求め、圧力情報が表す超音波プローブ200を押し付けた際の圧力を対応付けた圧力-歪み曲線を生成する。歪み処理機能162は、生成した圧力-歪み曲線を表す情報を、線形判定機能164と物理量算出機能166とのそれぞれに出力する。さらに、歪み処理機能162は、生成した圧力-歪み曲線を表す硬さ情報を表示制御機能180に出力して、表示装置400に表示させる。
【0059】
その後、不図示の制御回路(制御機能)は、設定されたサイクル数の超音波プローブ200の操作(ここでは、「2サイクル」)が完了したか否かを確認する(ステップS400)。ステップS400において、設定されたサイクル数の超音波プローブ200の操作が完了していないことが確認された場合、不図示の制御回路(制御機能)は、検査者に超音波プローブ200の操作を促すための通知を行う。この通知は、例えば、表示装置400に超音波プローブ200の操作を促す表示画像を表示させることによって行ってもよいし、本体装置100が備えるランプなどを点灯させることによって行ってもよい。そして、不図示の制御回路(制御機能)は、処理をステップS100に戻して、二回目の超音波プローブ200の操作に応じたステップS100の処理~ステップS400の処理を繰り返す。一方、ステップS400において、設定されたサイクル数の超音波プローブ200の操作が完了したことが確認された場合、不図示の制御回路(制御機能)は、処理をステップS500に進める。
【0060】
ここで、設定されたサイクル数の超音波画像の撮像が完了したことが確認された場合の圧力-歪み曲線の一例について説明する。図6は、実施形態に係る超音波診断装置1において歪み処理機能162が生成した圧力-歪み曲線の一例を示す図である。歪み処理機能162は、ステップS300の処理において、超音波プローブ200を操作するそれぞれのサイクルごとに、圧力-歪み曲線を生成する。図6には、歪み処理機能162によって2サイクル分の圧力-歪み曲線が生成された場合の一例を示している。より具体的には、歪み処理機能162が、1サイクル目に画像取得機能120により出力された超音波画像に基づいて求めた測定対象の組織の歪みσ1と、1サイクル目に圧力取得機能140により出力された圧力情報が表す超音波プローブ200を押し付けた際の圧力P1とから、圧力-歪み曲線C1を生成した場合の一例を示している。さらに、歪み処理機能162が、2サイクル目に画像取得機能120により出力された超音波画像に基づいて求めた測定対象の組織の歪みσ2と、2サイクル目に圧力取得機能140により出力された圧力情報が表す超音波プローブ200を押し付けた際の圧力P2とから、圧力-歪み曲線C2を生成した場合の一例を示している。
【0061】
解析処理機能160が備える線形判定機能164は、歪み処理機能162により出力されたそれぞれの圧力-歪み曲線の線形性を判定する(ステップS500)。線形判定機能164は、それぞれの圧力-歪み曲線の線形性を判定した結果を表す情報を、物理量算出機能166に出力する。ここで、線形判定機能164は、いずれかの圧力-歪み曲線において、いずれかの範囲に線形性がないと判定した場合、この判定結果を表す情報を除いた(削除した)圧力-歪み曲線に対する線形性の判定結果のそれぞれを、物理量算出機能166に出力する。
【0062】
解析処理機能160が備える物理量算出機能166は、歪み処理機能162により出力されたそれぞれの圧力-歪み曲線と、線形判定機能164により出力されたそれぞれの圧力-歪み曲線の線形性の判定結果とに基づいて、測定対象の組織の硬さを表す物理量を算出する(ステップS600)。このとき、物理量算出機能166は、それぞれの圧力-歪み曲線からそれぞれの物理量を算出してもよいし、例えば、それぞれの圧力-歪み曲線から算出した同じ項目の物理量同士で処理を行った結果を、算出した物理量としてもよい。この場合に同じ項目の物理量同士で行う処理は、例えば、物理量を平均化する処理であってもよいし、最大または/および最小の物理量を選択する処理であってもよい。物理量算出機能166は、線形判定機能164により出力されたそれぞれの圧力-歪み曲線の線形性の判定結果を用いずに、それぞれの圧力-歪み曲線の全ての情報を用いて、例えば、最小二乗法によって、それぞれの物理量を算出してもよい。この場合、線形判定機能164によるそれぞれの圧力-歪み曲線の線形性の判定、つまり、ステップS500の処理は省略されてもよい。物理量算出機能166は、算出したそれぞれの物理量や処理を行った物理量を表す硬さ情報を表示制御機能180に出力する。
【0063】
表示制御機能180は、物理量算出機能166により算出された物理量(歪み処理機能162により生成された圧力-歪み曲線を含む)を表示装置400に表示させるための表示画像を生成する。そして、表示制御機能180は、生成した表示画像を表示装置400に出力して表示させる。これにより、検査者に表示画像が提示される(ステップS700)。つまり、超音波検査を行っている被検体の測定対象の組織の硬さを表す圧力-歪み曲線や、ヤング率、ヒステリシス損、仕事量などの硬さ情報が、超音波画像とともに検査者に提示される。
【0064】
次に、超音波診断装置1においてBモードで超音波検査を行う場合の動作をについて説明する。図7は、実施形態に係る超音波診断装置1における処理の別の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明においては、検査者が超音波診断装置1を起動し、入力装置300を操作して超音波検査モードをBモードに設定して、被検体の測定対象の組織の超音波画像を撮像するとともに、測定対象の組織の硬さを解析するものとする。本フローチャートの処理でも、検査者が、測定対象の組織の硬さを解析するための超音波プローブ200の操作を2回行う(超音波プローブ200の操作のサイクル数として「2サイクル」が設定されている)ものとする。図7に示したフローチャートには、図5に示したフローチャートの処理と同様の処理を含んでいる。従って、以下の説明においては、図5に示したフローチャートの処理と同様の処理には同一のステップ番号を付与し、同じ処理内容に関する再度の詳細な説明は省略する。本フローチャートの処理も、検査者が入力装置300を操作することによって入力さした測定対象の組織の硬さの解析を行う指示に従って、超音波検査を行う際の動作とともに、本体装置100においてそれぞれの機能の処理が繰り返し実行される。
【0065】
検査者が超音波診断装置1による超音波検査および測定対象の組織の硬さの検査を開始すると、不図示の制御回路(制御機能)は、超音波プローブ200に、Bモードの超音波信号を送信(発信)させる(ステップS110)。さらに、不図示の制御回路(制御機能)は、超音波プローブ200が備える圧力センサ210に、超音波プローブ200が被検体に押し付けている強さを測定させる(ステップS112)。ここで、不図示の制御回路(制御機能)におけるステップS110の処理およびステップS112の処理は、図5に示したステップS100の処理およびステップS102の処理と同様であるが、超音波信号を送信(発信)させる周期や圧力を測定させる周期が異なるものである。これにより、超音波プローブ200は、被検体の体内で反射されたBモードの反射波信号を検出して本体装置100に出力するとともに、圧力センサ210が測定した圧力情報を本体装置100に出力する。
【0066】
画像取得機能120は、超音波プローブ200により出力された反射波信号を取得し、取得した反射波信号に基づく超音波画像を生成する(ステップS210)。画像取得機能120は、生成した超音波画像を、解析処理機能160に出力する。圧力取得機能140は、超音波プローブ200(圧力センサ210)により出力された圧力情報を取得する(ステップS212)。圧力取得機能140は、取得した圧力情報を、解析処理機能160に出力する。ここで、画像取得機能120におけるステップS200の処理と、圧力取得機能140におけるステップS202の処理とも、図7に示した順番に限定されず、同時であってもよいし、順番が逆であってもよいし、連続して行わなくてもよい。
【0067】
解析処理機能160が備える歪み処理機能162は、画像取得機能120により出力された超音波画像と、圧力取得機能140により出力された圧力情報とに基づいて、圧力-歪み曲線を生成する(ステップS310)。このとき、歪み処理機能162は、超音波診断装置1における超音波検査モードがBモードであるため、ブロックマッチングを用いて、上式(2)~上式(4)によって超音波画像から測定対象の組織の変位dを求めて歪みσを求め、圧力情報が表す超音波プローブ200を押し付けた際の圧力を対応付けた圧力-歪み曲線を生成する。歪み処理機能162は、生成した圧力-歪み曲線を表す情報を、線形判定機能164と物理量算出機能166とのそれぞれに出力する。さらに、歪み処理機能162は、生成した圧力-歪み曲線を表す硬さ情報を表示制御機能180に出力して、表示装置400に表示させる。
【0068】
その後、不図示の制御回路(制御機能)は、ステップS400の処理において、設定されたサイクル数の超音波プローブ200の操作(ここでは、「2サイクル」)が完了したか否かを確認し、確認結果に応じて、検査者に超音波プローブ200の操作を促すための通知を行った後に処理をステップS110に戻す、あるいは処理をステップS500に進める。不図示の制御回路(制御機能)によって設定されたサイクル数の超音波画像の撮像が完了したことが確認された場合、歪み処理機能162において生成される圧力-歪み曲線は、図6に示した圧力-歪み曲線の一例と等価である。ただし、Bモードでは、サンプリング周波数がCモードよりも低いため、圧力-歪み曲線、つまりヒステリシスループを構成する値(サンプリング値)の数は、サンプリング周波数の差に応じた数となっている。つまり、超音波診断装置1の超音波検査モードがBモードである場合に歪み処理機能162が生成する圧力-歪み曲線は、Cモードである場合の圧力-歪み曲線と同様の形(ヒステリシスループ)であるが、Cモードのときよりも少ない数の値でヒステリシスループが形成されている。
【0069】
その後、図5に示したフローチャートと同様に、線形判定機能164がそれぞれの圧力-歪み曲線の線形性を判定し(ステップS500)、物理量算出機能166が測定対象の組織の硬さを表す物理量を算出し(ステップS600)、表示制御機能180が物理量(圧力-歪み曲線を含む)の表示画像を生成して表示装置400に出力して表示させることにより、検査者に表示画像が提示される(ステップS700)。
【0070】
このような構成および処理によって、超音波診断装置1では、本体装置100が備える処理回路110内の解析処理機能160(医用解析装置)が、撮像した超音波画像と、超音波プローブ200が備える圧力センサ210が測定した、超音波プローブ200が被検体に押し付けられているときの圧力とに基づいて、超音波画像に写されている被検体の体内の組織の硬さに関する解析を行う。そして、超音波診断装置1では、表示制御機能180が、解析処理機能160が解析した被検体の体内の組織の硬さに関連する硬さ情報を、表示画像として表示装置400に表示させる。これにより、超音波診断装置1を利用する検査者は、測定対象の組織の硬さを確認して、被検体の超音波検査を行うことができる。
【0071】
上述した超音波診断装置1の処理、つまり、図5および図7に示したフローチャートでは、検査者が、測定対象の組織の硬さを解析するための超音波プローブ200の操作を2回(2サイクル)行う場合を例に挙げて説明した。しかし、これはあくまで一例であり、検査者が測定対象の組織の硬さを解析するために行う超音波プローブ200の操作の回数(サイクル数)は、2回(2サイクル)に限定されない。例えば、検査者は、1回(1サイクル)、あるいは3回(3サイクル)以上、被検体に対して超音波プローブ200を押し付ける操作(圧迫と開放との操作)を行ってもよい。
【0072】
さらに、図5に示したフローチャートでは、超音波診断装置1の超音波検査モードがCモードであり、図7に示したフローチャートでは、超音波診断装置1の超音波検査モードがBモードである、つまり、上述した超音波診断装置1の処理において超音波検査モードが固定である場合について説明した。しかし、上述したように、超音波診断装置1では、測定対象の組織や、超音波プローブ200を押し付ける際の強さ(圧力)などの状況に応じて、被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する際の超音波検査モードを適宜変更するようにしてもよい。この場合の超音波診断装置1の処理や、それぞれの構成要素の動作、処理などは、上述した超音波診断装置1の処理や、それぞれの構成要素の動作、処理などと等価なものになるようにすればよく、容易に考えることができる。従って、この場合の超音波診断装置1の処理や、それぞれの構成要素の動作、処理などに関する詳細な説明は省略する。
【0073】
上記に述べたとおり、実施形態の超音波診断装置では、撮像した超音波画像と、超音波プローブが備える圧力センサが測定した、超音波プローブが被検体に押し付けられているときの圧力とに基づいて、超音波画像に写されている被検体の体内の組織の硬さに関する解析を行う。そして、実施形態の超音波診断装置では、解析した被検体の体内の組織の硬さに関連する硬さ情報を表示装置に表示して、実施形態の超音波診断装置を利用して超音波検査を行う検査者に提示する。これにより、実施形態の超音波診断装置を利用して超音波検査を行う検査者は、表示装置に表示された測定対象の組織の硬さを確認しながら、好適に被検体の超音波検査を行うことができる。
【0074】
しかも、実施形態の超音波診断装置では、超音波画像と、超音波プローブが備える圧力センサが測定した圧力情報とに基づいて、被検体の体内の組織の硬さを解析するため、安全性の観点からの制約や、性能の観点からの限界などがある医療領域(例えば、産科、眼科など)においても、測定対象の組織や部位(例えば、骨、眼球など)の硬さの測定が行えるようになる。これにより、実施形態の超音波診断装置を利用して超音波検査を行う検査者は、被検体に対する診断を、より円滑に行うことができる。
【0075】
上述した実施形態では、実施形態の医用解析装置が、実施形態の超音波診断装置に適用された場合を例に挙げて説明したが、これはあくまで一例である。実施形態の医用解析装置は、例えば、パーソナルコンピュータや、ネットワークやクラウドコンピューティングシステムなどに組み込まれたサーバー装置などのコンピュータ装置によって、独立の装置として実現されてもよい。この場合、独立の装置として実現された医用解析装置は、撮像する際に被検体に押し付けられた超音波プローブの圧力が関連付けられた超音波画像を取得することにより、上述した実施形態の超音波診断装置と同様に、超音波画像に写されている被検体の体内の組織の硬さに関する解析を行うことができる。このときに取得する、被検体に押し付けられた超音波プローブの圧力が関連付けられた超音波画像は、例えば、独立の装置として実現された医用解析装置とは異なる他の装置や機器によって構成されたシステムに記憶されている情報であってもよい。独立の装置として実現された医用解析装置とは異なる他の装置や機器によって構成されたシステムは、例えば、各種の医用画像のデータを管理する医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)や、過去に行った超音波検査において撮像した超音波画像などが情報として添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムなどのデータベースシステムであってもよい。この場合における独立の装置として実現された医用解析装置の機能構成や、動作、処理は、上述した実施形態の超音波診断装置に適用された実施形態の医用解析装置の機能構成や、動作、処理と等価なものになるようにすればよい。従って、医用解析装置が独立の装置として実現された場合の機能構成や、動作、処理に関する詳細な説明は省略する。
【0076】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
被検体の体内の組織の硬さを解析する医用解析装置に処理回路(processing circuitry)を備え、
前記処理回路は、
前記被検体に向けて送信された超音波信号が前記被検体の体内で反射された反射波信号に基づいて生成された超音波画像と、前記超音波画像を撮像する際に前記超音波信号の送信および前記反射波信号の検出を行う超音波プローブが前記被検体に対して圧迫状態および開放状態とされているときの圧力を表す圧力情報とに基づいて、前記超音波画像に写されている前記被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する、
医用解析装置。
【0077】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、被検体の体内の組織の硬さを解析する医用解析装置であって、前記被検体に向けて送信された超音波信号が前記被検体の体内で反射された反射波信号に基づいて生成された超音波画像と、前記超音波画像を撮像する際に前記超音波信号の送信および前記反射波信号の検出を行う超音波プローブ(例えば、200)が前記被検体に対して圧迫状態および開放状態とされているときの圧力を表す圧力情報とに基づいて、前記超音波画像に写されている前記被検体の体内の測定対象の組織の硬さを解析する処理部(160)、を備えることにより、被検体の体内の測定対象の組織における硬さに関する解析を行えるようにさせることができる。
【0078】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
1・・・超音波診断装置、100・・・本体装置、110・・・処理回路、120・・・画像取得機能、140・・・圧力取得機能、160・・・解析処理機能、162・・・歪み処理機能、164・・・線形判定機能、166・・・物理量算出機能、180・・・表示制御機能、200・・・超音波プローブ、300・・・入力装置、400・・・表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7