(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136696
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置のためのコンピュータプログラム、及び、画像処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20240927BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240927BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240927BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20240927BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06F21/62 345
H04N1/00 838
H04N1/00 912
B41J29/00 Z
G06F21/31
B41J29/38 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047890
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 健太郎
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061CL08
2C061CL10
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA31
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC23
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF01
5C062AF06
5C062AF12
5C062AF14
(57)【要約】
【課題】 画像処理装置の譲渡を円滑に行うための技術を提供する。
【解決手段】 画像処理装置は、個人情報を記憶するメモリと、前記画像処理装置の利用を開始するための開始指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記画像処理装置が現在利用されている環境を特定する第1の特定部と、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記開始指示が前記画像処理装置に入力される前に所定の記憶領域に予め登録されていた登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する削除部であって、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致する場合に、前記個人情報は前記メモリから削除されない、前記削除部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
個人情報を記憶するメモリと、
前記画像処理装置の利用を開始するための開始指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記画像処理装置が現在利用されている環境を特定する第1の特定部と、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記開始指示が前記画像処理装置に入力される前に所定の記憶領域に予め登録されていた登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する削除部であって、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致する場合に、前記個人情報は前記メモリから削除されない、前記削除部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致しない場合であっても、前記画像処理装置のユーザの認証が成功するときに、前記個人情報を削除することなく、前記画像処理装置の利用を許可する許可部を備える、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、さらに、
前記登録環境情報を前記所定の記憶領域に登録する登録指示を入力するための登録画面を表示部に表示させる第1の表示制御部と、
前記登録画面において前記登録指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記登録環境情報を前記所定の記憶領域に登録する第1の登録部と、
を備える、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記登録画面は、前記画像処理装置が利用されている環境を示す複数個の項目の中から1個以上の項目を選択する選択欄を含み、
前記第1の登録部は、前記選択欄において選択された前記1個以上の項目に対応する1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に記憶させる、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が利用されている環境を示す複数個の情報のうちの1個以上の情報が所定期間に亘って変化しない場合に、前記1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に登録する第2の登録部を備える、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置のユーザが設定した所定のタイミングが到来した場合に、前記所定期間に亘って変化しない前記1個以上の情報を特定する第2の特定部を備える、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が利用されている環境を示す前記1個以上の情報が前記所定期間に亘って変化しない場合に、前記1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に登録することを確認する登録確認画面を表示部に表示させる第2の表示制御部を備え、
前記第2の登録部は、前記登録確認画面において所定の指示が入力される場合に、前記1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に登録する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理装置は、さらに、
前記所定の記憶領域に前記登録環境情報が登録されていない場合に、前記画像処理装置が利用されている環境を示す複数個の情報の中から、所定期間に亘って変化しない1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に登録することを案内する案内画面を表示部に表示させる第3の表示制御部を備える、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除することを確認する削除確認画面を表示部に表示させる第4の表示制御部を備え、
前記削除部は、前記削除確認画面において所定の指示が入力される場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像処理装置は、前記表示部を備え、
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除することを確認するメッセージを前記画像処理装置とは異なる外部装置に表示させる第5の表示制御部を備え、
前記削除部は、前記削除確認画面に入力される前記所定の指示に従って前記個人情報を前記メモリから削除する第1の削除処理と、前記メッセージが表示された前記外部装置からの要求に従って前記個人情報を前記メモリから削除する第2の削除処理と、を実行可能に構成されており、
前記第1の削除処理と前記第2の削除処理とのうちの一方の処理が実行された後に、前記第1の削除処理と前記第2の削除処理とのうちの他方の処理は実行されない、請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記削除部は、前記画像処理装置を初期化することによって、前記個人情報を前記メモリから削除する、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像処理装置は、印刷機能及びスキャン機能のうちの少なくとも一方の機能を有する装置である、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記登録環境情報は、
前記画像処理装置が所属していたネットワークを示すネットワーク情報と、
前記画像処理装置と同じネットワークに所属していたネットワーク装置を示すネットワーク装置情報と、
前記画像処理装置に接続されていた接続装置を示す接続装置情報と、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
画像処理装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記画像処理装置は、
個人情報を記憶するメモリと、
コンピュータと、
を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、以下の各部、即ち、
前記画像処理装置の利用を開始するための開始指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記画像処理装置が現在利用されている環境を特定する第1の特定部と、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記開始指示が前記画像処理装置に入力される前に所定の記憶領域に予め登録されていた登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する削除部であって、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致する場合に、前記個人情報は前記メモリから削除されない、前記削除部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
画像処理装置の制御方法であって、
前記画像処理装置は、
個人情報を記憶するメモリを備え、
前記制御方法は、
前記画像処理装置の利用を開始するための開始指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記画像処理装置が現在利用されている環境を特定する第1の特定工程と、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記開始指示が前記画像処理装置に入力される前に所定の記憶領域に予め登録されていた登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する削除工程であって、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致する場合に、前記個人情報は前記メモリから削除されない、前記削除工程と、
を備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、個人情報を記憶する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ノートPC等のコンピュータが通常と異なる環境に持ち出された場合に、コンピュータの動作を禁止して、コンピュータ内の個人情報を保護する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表2005/111825号公報
【特許文献2】特開2003-125444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、頻繁な持ち出しが行われるノートPC等のコンピュータ内の個人情報の保護を目的とする。ここで、頻繁な持ち出しが行われるノートPC等のコンピュータだけでなく、プリンタ等の画像処理装置も個人情報を記憶する。例えば、画像処理装置が譲渡される場合がある。画像処理装置に対して特許文献1の技術を採用すると、画像処理装置が譲渡された場合でも、画像処理装置の動作が禁止される。この場合、画像処理装置内の個人情報は保護されるものの、画像処理装置の譲受人は画像処理装置を利用することができない。本明細書では、画像処理装置の譲渡を円滑に行うための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する画像処理装置は、個人情報を記憶するメモリと、前記画像処理装置の利用を開始するための開始指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記画像処理装置が現在利用されている環境を特定する第1の特定部と、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記開始指示が前記画像処理装置に入力される前に所定の記憶領域に予め登録されていた登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する削除部であって、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致する場合に、前記個人情報は前記メモリから削除されない、前記削除部と、を備える。
【0006】
画像処理装置が現在利用されている環境が登録環境情報によって示される環境と一致しないことにより、画像処理装置の譲渡が推定される。上記の構成では、画像処理装置の譲渡が推定される場合に、画像処理装置内の個人情報が削除される。画像処理装置内の個人情報の削除により、画像処理装置の譲渡人の個人情報が保護される。また、個人情報が削除されたとしても、譲受人は画像処理装置を利用することができる。画像処理装置の譲渡を円滑に行うことができる。
【0007】
上記の画像処理装置を実現するためのコンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体も新規で有用である。また、上記の画像処理装置のための制御方法も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、登録処理を示すシーケンス図である。
【
図3】
図3は、初期化判断処理を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、登録処理を示す他のシーケンス図である。
【
図5】
図5は、登録処理を示す他のシーケンス図である。
【
図6】
図6は、初期化判断処理を示す他のシーケンス図である。
【
図7】
図7は、初期化判断処理を示す他のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
(通信システム2の構成;
図1)
通信システム2は、アクセスポイント4と、多機能機10と、ネットワーク装置100と、BT装置200と、USB装置300と、を備える。通信システム2は、所定の領域500内に設置される。領域500は、例えば、事務所である。なお、以下では、「アクセスポイント」を「AP」と記載し、「多機能機」をMFPと記載する。また、「BT」は、Bluetooth(登録商標)の略である。
【0010】
AP4は、無線LAN8を形成する。MFP10及びネットワーク装置100は、無線LAN8に参加している。MFP10は、印刷機能及びスキャナ機能を含む多機能を実行可能な装置である。ネットワーク装置100は、無線LAN8を介した通信を実行可能な装置であり、例えば、テレビ、エアコン、他のMFP、プリンタ、PC等である。
【0011】
BT装置200は、BT方式に従って無線通信を実行可能な装置である。BT装置200は、例えば、スマートフォンである。USB装置300は、USBケーブルを介した通信を実行可能な装置である。USB装置300は、例えば、ユーザを認証する認証装置である。認証装置は、例えば、生体認証装置、カードリーダー等である。
【0012】
(MFP10の構成;
図1)
MFP10は、操作部12と、表示部14と、LANインターフェイス20と、BTインターフェイス22と、USBインターフェイス24と、制御部30と、を備える。また、MFP10には、シリアル番号SN1が割り当てられている。なお、以下では、「インターフェイス」を「I/F」と記載する。
【0013】
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をMFP10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示させるディスプレイである。表示部14は、タッチスクリーン、即ち、ユーザの操作を受け付ける操作部12として機能してもよい。
【0014】
LANI/F20は、無線LAN8を介した通信を実行するためのI/Fであり、無線LAN8に接続されている。BTI/F22は、BT方式の無線通信を実行するためのI/Fである。BTI/F22は、BT装置200との間にBT方式に従った無線接続を確立する。USBI/F24は、USBケーブルを介した通信を実行するためのI/Fである。USBI/F24は、USBケーブルを介して、USB装置300に接続される。
【0015】
制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40に従って、様々な処理を実行する。メモリ34は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。
【0016】
メモリ34は、プログラム40に加えて、個人情報42と、パスワード44と、登録環境情報50と、を記憶する。個人情報42は、個人を特定可能な秘匿の情報である。個人情報42は、例えば、電話帳、メールアドレス、スキャンデータ、印刷データ、所定のサービス(例えば、クラウド保存)の提供を受けるためのクレデンシャル情報等である。パスワード44は、MFP10を利用するユーザを認証するための情報である。パスワード44は、例えば、MFP10の管理者によってメモリ34に登録される。
【0017】
登録環境情報50は、MFP10が利用されている環境を示す情報である。例えば、本実施例では、MFP10は、領域500に設置される。当該環境は、領域500の特徴である。登録環境情報50は、
図2で後述する登録処理を利用してメモリ34に登録される。
【0018】
(登録処理;
図2)
図2を参照して、登録環境情報50をメモリ34に登録する処理について説明する。なお、以下では、理解の容易化のために、MFP10のCPU32が実行する動作を、各CPU32を主体として記載せずに、MFP10を主体として記載する。
【0019】
T10では、ユーザは、MFP10の操作部12に登録開始指示を実行する。登録開始指示は、登録環境情報50の登録を開始する指示である。
【0020】
MFP10は、T10において、操作部12に登録開始指示が入力されたことを検知すると、T12において、登録画面SC1を表示部14に表示させる。登録画面SC1は、MFP10が利用されている環境を示す複数個の項目の中から1個以上の項目を選択するための複数個のチェックボックスB1と、登録ボタンB2と、を含む。複数個の項目は、ネットワーク情報と、ネットワーク装置の情報と、BT装置の情報と、USB装置の情報と、を含む。
【0021】
ネットワーク情報は、MFP10が利用されている環境、即ち、領域500内に形成されている無線ネットワークに関する情報である。ネットワーク情報は、例えば、無線LAN8を識別するService Set Identifier(SSID)、Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)サーバによってMFP10に割り当てられるIPアドレスである。
【0022】
ネットワーク装置の情報は、MFP10と同じ環境、即ち、領域500で利用されているネットワーク装置を示す情報である。例えば、ネットワーク装置の情報は、ネットワーク装置100を示すモデル名、MACアドレスである。
【0023】
BT装置の情報は、BTI/F22との間に無線接続を確立した実績を有するBT装置に関する情報である。例えば、BT装置の情報は、BT装置200に含まれるBTI/Fを示すデバイス名である。
【0024】
USB装置の情報は、USBI/F24に接続した実績を有するUSB装置に関する情報である。例えば、USB装置の情報は、USB装置300を示すモデル名である。
【0025】
ユーザは、複数個のチェックボックスB1の中から、登録環境情報50として利用したい項目に対応する1個以上のチェックボックスB1を選択する。そして、ユーザは、T14において、登録画面SC1内の登録ボタンB2を選択する。このような構成によれば、ユーザは、登録開始指示を入力した任意のタイミングで登録環境情報50を登録することができる。また、ユーザは、複数個の情報の中から、登録環境情報50として利用したい情報を選択することができる。ユーザの利便性が向上する。
【0026】
なお、T10の変形例では、MFP10は、MFP10の周囲に存在する複数個のLANを検索し、検索された複数個のLANの中から1個以上のLANを選択するためのLAN選択画面を表示してもよい。LAN選択画面は、検索された複数個のLANに対応する複数個のSSIDを含む。ユーザは、LAN選択画面に含まれる複数個のSSIDの中から、登録環境情報50として利用したい1個以上のSSIDを選択してもよい。また、他の変形例では、MFP10は、MFP10の周囲に存在する複数個のBT装置を検索し、検索された複数個のBT装置の中から1個以上のBT装置を検索するためのBT選択画面を表示してもよい。BT選択画面は、検索された複数個のBT装置に対応する複数個のデバイス名を含む。ユーザは、BT選択画面に含まれる複数個のデバイス名の中から、登録環境情報50として利用したい1個以上のデバイス名を選択してもよい。
【0027】
MFP10は、T14において、登録ボタンB2の選択を検知すると、T16において、MFP10が利用されている現在の環境を特定する。例えば、ネットワーク情報に対応するチェックボックスB1が選択される場合には、MFP10は、メモリ34からMFP10が現在参加している無線LAN8のSSID「xxxx」を取得する。また、MFP10は、DHCPサーバに問い合わせて、MFP10に割り当てられているIPアドレス「192.168.0.1」を取得する。なお、変形例では、MFP10は、LANI/F20を介してMFP10の周囲に存在するAP(例えば、AP4、及び、他のAP)を検索して、周囲のAPによって形成されている無線LANのSSIDを取得してもよい。
【0028】
また、例えば、ネットワーク装置の情報に対応するチェックボックスB1が選択される場合には、MFP10は、LANI/F20を介してネットワーク装置100からモデル名「nd1」を受信する。また、例えば、BT装置の情報に対応するチェックボックスB1が選択される場合には、MFP10は、BTI/F22を介してMFP10の周囲に存在するBT装置200を検索して、BT装置200からデバイス名「bd1」を受信する。また、例えば、USB装置の情報に対応するチェックボックスB1が選択される場合には、MFP10は、USBI/F24を介してUSB装置300からモデル名「ud1」を受信する。
【0029】
続くT18では、MFP10は、T16で特定された現在の利用環境を示す情報、例えば、ネットワーク情報等を登録環境情報50としてメモリ34に記憶する。T18が終了すると、
図2の処理が終了する。
【0030】
(初期化判断処理;
図3)
図3を参照して、MFP10を初期化するのか否かを判断する初期化判断処理について説明する。ユーザは、T30において、MFP10の電源ボタンを操作して、MFP10を起動する起動指示を操作部12に入力する。
【0031】
MFP10は、T30において、操作部12に起動指示が入力されたことを検知すると、MFP10を起動するための起動処理を開始する。起動処理は、例えば、MFP10を無線LANに接続するための処理を含む。起動処理が完了すると、MFP10は、T32以降の処理を実行する。なお、変形例では、起動処理の完了後に所定の指示がMFP10に入力される場合に、T32以降の処理が実行されてもよい。
【0032】
T32では、MFP10は、メモリ34から登録環境情報50を取得する。T34では、MFP10は、MFP10が利用されている現在の環境を特定する。具体的には、MFP10は、T32で取得した登録環境情報50によって示される1個以上の項目を特定する。そして、MFP10は、特定済みの1個以上の項目のそれぞれについて、当該項目に対応する情報を特定する。当該情報の特定方法は、
図2のT16と同様である。
【0033】
T40では、MFP10は、T34によって特定された現在の利用環境が、登録環境情報50によって示される利用環境と一致するのか否かを判断する。例えば、MFP10が領域500において継続的に利用されている場合には、T34によって特定された現在の利用環境が、登録環境情報50によって示される利用環境と一致する。一方、MFP10が第三者に譲渡される場合が想定される。例えば、MFP10が、領域500とは異なる領域に設置される。この場合、例えば、T34によって特定されたネットワーク情報が、登録環境情報50に含まれるネットワーク情報と異なる。また、異なる領域内に存在するネットワーク装置、BT装置、及び、USB装置も、領域500内に存在するネットワーク装置、BT装置、及び、USB装置と異なる。この結果、T34によって特定された現在の利用環境が、登録環境情報50によって示される利用環境と一致しないと判断される。本実施例では、登録環境情報50内の全ての情報が、T34で特定された情報のいずれかと一致する場合に、T40でYESと判断される。なお、変形例では、登録環境情報50内の少なくとも一つの情報が、T34で特定された情報のいずれかと一致する場合に、T40でYESと判断されてもよい。また、ネットワーク情報であるIPアドレスの一致は、完全一致に限らず、部分一致でもよい。
【0034】
MFP10は、現在の利用環境が登録環境情報50によって示される利用環境と一致すると判断する場合(T40でYES)に、T42に進む。T42では、MFP10は、MFP10を操作するための操作画面を表示部14に表示される。これにより、MFP10の利用がユーザに許可される。
【0035】
また、MFP10は、現在の利用環境が登録環境情報50によって示される利用環境と一致しないと判断する場合(T40でNO)に、初期化確認画面SC2を表示部14に表示させる。初期化確認画面SC2は、MFP10の初期化を実行することを確認するための画面である。初期化確認画面SC2は、YESボタンB3と、NOボタンB4と、パスワードボタンB5と、を含む。MFP10の初期化は、MFP10のメモリ34の状態をMFP10の出荷段階に戻すことである。MFP10の初期化は、個人情報42をメモリ34から削除することを含む。初期化確認画面SC2を見て、ユーザは、MFP10を初期化するのか否かを選択することができる。
【0036】
ケースC1では、ユーザは、T46において、初期化確認画面SC2内のYESボタンB3を選択する。MFP10は、T46において、YESボタンB3の選択を検知すると、T48において、MFP10の初期化を実行する。これにより、メモリ34から個人情報42が削除される。
【0037】
また、ケースC2では、ユーザは、T60において、初期化確認画面SC2内のパスワードボタンB5を選択する。MFP10は、T60において、パスワードボタンB5の選択を検知すると、T62において、入力画面SC3を表示部14に表示させる。入力画面SC3は、パスワードを入力する入力欄を含む。
【0038】
T64では、MFP10は、入力画面SC3に入力されたパスワードの認証を実行する。MFP10は、入力画面SC3に入力されたパスワードがメモリ34内のパスワード44と一致して、認証が成功する場合(T64でYES)に、T66に進む。T66は、T42と同様である。一方、MFP10は、入力画面SC3に入力されたパスワードがメモリ34内のパスワード44と一致せずに、認証が失敗した場合(T64でNO)に、T68に進む。
【0039】
T68では、MFP10は、操作画面を表示することなく、ユーザの認証が失敗したことを示す失敗画面を表示部14に表示させる。即ち、MFP10の利用がユーザに許可されない。
【0040】
(本実施例の効果)
図3のT40において、現在の利用環境が登録環境情報50によって示される利用環境と一致しないと判断されることにより、MFP10の譲渡が推定される。本実施例の構成では、MFP10の譲渡が推定される場合(T40でNO)に、初期化によってメモリ34から個人情報42が削除される(T48)。個人情報42の削除により、MFP10の譲渡人の個人情報42が保護される。また、個人情報42の削除は、MFP10の初期化によって実行される。MFP10の譲受人は、初期化後もMFP10を利用することができる。MFP10の譲渡を円滑に行うことができる。特に、MFP10の譲渡人が個人情報42を削除し忘れてMFP10を譲渡する際に、個人情報42が譲受人に誤って知られることを抑制することができる。
【0041】
また、本実施例の構成によれば、現在の利用環境が登録環境情報50によって示される利用環境と一致しなくとも、ユーザの認証が成功する場合(T64でYES)に、MFP10の利用がユーザに許可される(T66)。例えば、登録環境情報50の登録後に、AP4の交換等により、領域500の特徴が変化することが想定される。この場合には、
図3のT40でNOと判断されるものの、ユーザの認証の成功により、ユーザは、MFP10の利用を継続することができる。また、ユーザは、MFP10を操作して、登録環境情報50を登録し直すことができる。
【0042】
(対応関係)
MFP10、表示部14が、それぞれ、「画像処理装置」、「表示部」の一例である。メモリ34が、「メモリ」及び「所定の記憶領域」の一例である。個人情報42、登録環境情報50が、それぞれ、「個人情報」、「登録環境情報」の一例である。
図3のT30の起動指示が、「開始指示」の一例である。
図3のT12の登録画面SC1、チェックボックスB1が、それぞれ、「登録画面」、「選択欄」の一例である。
図3のT44の初期化確認画面が、「削除確認画面」の一例である。ネットワーク装置100が、「ネットワーク装置」の一例である。BT装置200又はUSB装置300が、「接続装置」の一例である。
【0043】
図3のT34、T48が、それぞれ、「第1の特定部」、「削除部」によって実現される処理の一例である。
【0044】
(第2実施例)
本実施例は、メモリ34にタイミング情報52が記憶されている点と、登録処理の内容が異なる点と、を除いて、第1実施例と同様である。
【0045】
(MFP10の構成;
図1)
タイミング情報52は、
図4の登録処理を実行するタイミングを示す情報である。タイミング情報52は、毎日の所定の時間、毎週の所定の曜日、毎月の所定の日等の周期的なタイミングを示す。タイミング情報52は、ユーザによって設定される。ユーザは、登録処理を実行するタイミングを決めることができる。
【0046】
(登録処理;
図4)
T100では、MFP10は、タイミング情報52によって示されるタイミングが到来したのか否かを判断する。MFP10は、当該タイミングが到来したと判断する場合に、T102以降の処理を実行する。一方、当該タイミングが到来していない場合には、T102以降の処理は実行されない。
【0047】
T102は、特定すべき情報に対応する項目がデフォルトで決まっている点を除いて、
図2のT16と同様である。本実施例では、ネットワーク情報、ネットワーク装置の情報、BT装置の情報、USB装置の情報に対応する4つの項目がデフォルトで決まっている。なお、変形例では、1個の項目、例えば、ネットワーク情報に対応する項目がデフォルトで決まっていてもよい。また、他の変形例では、特定すべき情報に対応する項目が予めユーザによって選択されていてもよい。
【0048】
T104では、MFP10は、T102で特定した全ての情報の中に、所定の期間に亘って変化していない情報が存在するのか否かを判断する。所定の期間は、例えば、1週間、1月、半年である。MFP10は、T102で特定した情報の全てが所定の期間に亘って変化していると判断する場合(T104でNO)に、
図4の処理を終了する。
【0049】
また、MFP10は、T102で特定した情報の中に、所定の期間に亘って変化していない情報が存在すると判断する場合(T104でYES)に、T106以降の処理に進む。例えば、ネットワーク情報としてSSID「xxxx」が所定の期間に亘って連続で特定される場合には、MFP10は、T104でYESと判断する。
【0050】
T106では、MFP10は、登録確認画面SC4を表示部14に表示させる。登録確認画面SC4は、T104において所定の期間に亘って変化していないと判断された情報を登録環境情報50として登録することを確認するための画面である。登録確認画面SC4は、例えば、登録環境情報50としてSSID「xxxx」を登録することを示すメッセージを含む。ユーザは、登録確認画面SC4を見て、SSID「xxxx」を登録環境情報50として登録するのか否かを選択することができる。登録確認画面SC4は、YESボタンB6と、NOボタンB7と、を含む。NOボタンB7が選択される場合には、MFP10は、
図4の処理を終了する。
【0051】
MFP10は、T108において、登録確認画面SC4のYESボタンB6が選択されたことを検知すると、T110において、T104において所定の期間に亘って変化していないと判断された情報を登録環境情報50として登録する。T110が終了すると、
図4の処理が終了する。
【0052】
(本実施例の効果)
所定の期間に亘って変化しない情報は、頻繁に変化する情報と比較して、MFP10の利用環境を正確に示している。本実施例の構成によれば、MFP10の利用環境を正確に示す情報を登録環境情報50として登録することができる。また、第1実施例では、ユーザは、登録画面SC1において、登録環境情報50として利用する情報を選択するが、本実施例では、ユーザは、当該情報を選択しなくてもよい。MFP10が利用されている環境に対する知識が乏しいユーザでも、登録環境情報50を正確に登録することができる。
図4のT106の登録確認画面SC4が、「登録確認画面」の一例である。
【0053】
(第3実施例)
(登録処理;
図5)
本実施例は、登録処理の内容が異なる点を除いて、第2実施例と同様である。本実施例のMFP10は、
図2の登録処理に加えて、
図5の登録処理を実行可能に構成されている。
【0054】
図5のT120は、
図4のT100と同様である。T122では、MFP10は、登録環境情報50が既に登録されているのか否かを判断する。MFP10は、
図2の処理が実行されたことに起因して、登録環境情報50が既に登録されていると判断する場合(T122でYES)に、
図5の処理を終了する。
【0055】
一方、MFP10は、
図2の処理が実行されていないことに起因して、登録環境情報50が登録されていないと判断する場合(T122でNO)に、T132に進む。T132~T140は、
図4のT102~T110と同様である。
【0056】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、MFP10は、
図2の処理が実行されていない場合に、登録確認画面SC4を表示する。そして、MFP10は、所定の期間に亘って変化していない情報を登録環境情報50として登録することをユーザに案内することができる。ユーザが登録環境情報50を登録し忘れることを抑制することができる。
図5のT136の登録確認画面SC4が、「案内画面」の一例である。
【0057】
(第4実施例)
本実施例は、通信システム2の構成が異なる点と、初期化判断処理の内容が異なる点と、を除いて、第1実施例と同様である。
【0058】
(通信システム2の構成;
図1)
本実施例の通信システム2は、さらに、インターネット6に設置されたサーバ400を備える。サーバ400は、MFP10を利用するユーザにサービスを提供する。当該サービスは、例えば、インクカートリッジ等の消耗品の自動発注である。サーバ400は、当該サービスを提供するための情報として、MFP10のシリアル番号SN1と、MFP10のユーザによって利用されているメールアドレスMA1と、を関連付けて記憶する。MFP10は、LANI/F20及びインターネット6を介して、サーバ400と通信可能である。
【0059】
(初期化判断処理;
図6)
T230~T242は、
図3のT30~T42と同様である。MFP10は、現在の利用環境が登録環境情報50によって示される利用環境と一致しないと判断する場合(T240でNO)に、T250に進む。
【0060】
T250では、MFP10は、LANI/F20及びインターネット6を介して、メール送信要求をサーバ400に送信する。メール送信要求は、電子メールの送信を要求するコマンドである。メール送信要求は、MFP10のシリアル番号SN1を含む。なお、MFP10が第三者に譲渡される場合には、T230の指示に従った起動処理の中で、インターネット6に接続する処理が実行される。メール送信要求は、起動処理によって接続されたインターネット6を介してサーバ400に送信される。
【0061】
サーバ400は、T250において、MFP10からメール送信要求を受信すると、T252において、メール送信処理を実行する。メール送信処理では、MFP10は、メール送信要求に含まれるシリアル番号SN1に関連付けて記憶されているメールアドレスMA1を特定する。MFP10は、確認メールEMをメールアドレスMA1によって示される宛先に送信する。確認メールEMの本文は、MFP10の初期化をMFP10の譲渡人に確認するためのメッセージと、譲渡人からの指示を受けるためのURLと、を含む。確認メールEMは、譲渡人が利用する端末装置に表示される。譲渡人は、MFP10の初期化に同意する場合に、確認メールEMのURLを選択する。
【0062】
譲渡人が確認メールEMのURLを選択した場合に、サーバ400は、T254において、譲渡人が利用する端末装置から初期化要求を受信する。初期化要求は、MFP10の初期化を要求するコマンドである。T256では、サーバ400は、初期化要求をMFP10に送信する。T262は、
図3のT48と同様である。
【0063】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、譲渡人は、MFP10を第三者に譲渡した後でも、MFP10を遠隔で初期化することができる。譲渡人の個人情報42を保護することができる。また、MFP10を譲渡しても、譲渡人のサービスを利用するための情報がサーバ400に残る状況が想定される。本実施例では、この状況を利用して、譲渡人の個人情報42の保護を実現することができる。
【0064】
(対応関係)
確認メールEM、譲渡人が利用する端末装置が、「削除確認画面」、「表示部」の一例である。
【0065】
(第5実施例)
(初期化判断処理;
図7)
本実施例は、初期化判断処理の内容が異なる点を除いて、第4実施例と同様である。
図7のT330~T342は、
図6のT230~T242と同様である。MFP10は、現在の利用環境が登録環境情報50によって示される利用環境と一致しないと判断する場合(T340でNO)に、T344に進む。T344は、
図3のT44と同様である。T346では、MFP10は、初期化確認画面SC2を表示するイベントを識別するイベントID「iv1」を生成する。T350は、メール送信要求がイベントID「iv1」を含む点を除いて、
図6のT250と同様である。T352は、確認メールEMの本文内のURLがイベントID「iv1」を含む点を除いて、
図6のT252と同様である。
【0066】
本実施例では、初期化確認画面SC2を利用した譲受人による初期化だけでなく、確認メールEMを利用した譲渡人による初期化も可能である。
【0067】
ケースC3は、初期化確認画面SC2を利用した初期化が実行される前に、確認メールEM内を利用した初期化が実行されるケースである。T354、T356は、初期化要求がURL内のイベントID「iv1」を含む点を除いて、
図6のT254、T256と同様である。
【0068】
T358では、MFP10は、初期化要求に含まれるイベントID「iv1」によって識別されるイベント、即ち、初期化確認画面SC2を利用した初期化が完了しているのか否かを判断する。本ケースでは、MFP10は、初期化確認画面SC2を利用した初期化が完了していないと判断して、T360及びT362の処理を実行する。
【0069】
T360では、MFP10は、表示部14から初期化確認画面SC2を消去する。初期化確認画面SC2を消去することにより、譲受人により初期化確認画面SC2を利用した初期化が実行されない。T362は、
図6のT262と同様である。
【0070】
また、ケースC4は、初期化確認画面SC2を利用した初期化が実行された後に、譲渡人が確認メールEM内のURLを選択するケースである。T370、T372は、
図2のT46、T48と同様である。T374は、T360と同様である。
【0071】
T384及びT386は、T354及びT356と同様である。T388では、MFP10は、初期化要求に含まれるイベントID「iv1」によって識別されるイベントが完了していると判断する。この場合、MFP10は、初期化を実行することなく、
図7の処理を終了する。
【0072】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、譲受人による初期化確認画面SC2を利用した初期化と譲渡人による確認メールEMを利用した初期化とのうちの一方の初期化が実行された後に、他方の初期化が実行されない。例えば、譲受人により初期化確認画面SC2を利用した初期化が実行された後に、譲受人によって個人情報42が登録される状況が想定される。このような状況において、譲渡人が確認メールEM内のURLを選択すると、サーバ400から初期化要求が受信される。この初期化要求に従って初期化が実行されると、譲受人によって登録された個人情報42が誤って削除される。本実施例の構成によれば、譲受人の意図に反した初期化が実行されることを抑制することができる。
【0073】
(対応関係)
表示部14、
図7のT344の初期化確認画面SC2が、それぞれ、「表示部」、「削除確認画面」の一例である。譲渡人が利用する端末装置、確認メールEMの本文が、それぞれ、「外部装置」、「外部装置」の一例である。
図7のT372、T362が、それぞれ、「第1の削除処理」、「第2の削除処理」の一例である。
【0074】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0075】
(変形例1) 「画像処理装置」は、MFP10に限らず、例えば、プリンタ、スキャナ、FAX装置であってもよい。
【0076】
(変形例2) 「所定の記憶領域」は、MFP10内のメモリ34に限らず、例えば、MFP10と通信可能な別体の記憶媒体であってもよい。
【0077】
(変形例3) 初期化確認画面SC2は、パスワードボタンB5を含まなくてもよい。
図3のT60~T66の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「許可部」を省略可能である。
【0078】
(変形例4)
図2において、登録画面SC1は表示されなくてもよい。例えば、登録環境情報50が自動的に登録されてもよい。本変形例では、「登録画面」を省略可能である。
【0079】
(変形例5)
図2において、登録画面SC1はチェックボックスB1を含まなくてもよい。例えば、登録画面SC1は登録環境情報50として登録される情報の内容を示すメッセージを含んでもよい。本変形例では、「選択欄」を省略可能である。
【0080】
(変形例6)
図2の登録画面SC1、
図3の初期化確認画面SC2、及び、
図4及び
図5の登録確認画面SC4は、表示部14に代えて、MFP10と通信可能な他の装置、例えば、PC等の端末装置に表示されてもよい。本変形例では、MFP10と通信可能な他の装置が、「表示部」の一例である。
【0081】
(変形例7)
図1のタイミング情報52は、ユーザによって決定されなくてもよい。例えば、タイミング情報52は、MFP10の出荷段階から不変であってよい。また、MFP10は、タイミング情報52を記憶していなくてもよい。この場合、
図4の登録処理は、MFP10の起動時に実行されてもよい。
【0082】
(変形例8)
図4及び
図5において、登録確認画面SC4は表示されなくてもよい。例えば、登録環境情報50が自動的に登録されてもよい。本変形例では、「登録確認画面」及び「案内画面」を省略可能である。
【0083】
(変形例9)
図3において、初期化確認画面SC2は表示されなくてもよい。例えば、初期化が自動的に実行されてもよい。本変形例では、「削除確認画面」を省略可能である。
【0084】
(変形例10)
図3のT48等では、初期化されず、個人情報42のみが削除されてもよい。本変形例では、「初期化」を省略可能である。
【0085】
(変形例11)
図6及び
図7の確認メールEMに代えて、Short Message Service(SMS)に従ったメッセージ、Social networking service(SNS)に従ったメッセージが送信されてもよい。本変形例では、SMS又はSNSに従ったメッセージが、「メッセージ」の一例である。
【0086】
(変形例12) 「登録環境情報」は、ネットワーク情報等に限らず、例えば、MFP10が設置されている領域500の位置情報、例えば、GPS情報であってもよい。
【0087】
(変形例13) 上記の実施例では、CPU32がプログラム40を実行することによって、
図2~
図7の各処理が実現される。これに代えて、いずれかの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0088】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0089】
本特許出願時の特許請求の範囲において、各請求項が一部の請求項のみに従属している場合であっても、各請求項が当該一部の請求項のみに従属可能であることに限定されない。技術的に矛盾しない範囲において、各請求項は、出願時に従属していない他の請求項にも従属可能である。即ち、各請求項の技術は以下のように様々に組み合わせることができる。
(項目1)
画像処理装置であって、
個人情報を記憶するメモリと、
前記画像処理装置の利用を開始するための開始指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記画像処理装置が現在利用されている環境を特定する第1の特定部と、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記開始指示が前記画像処理装置に入力される前に所定の記憶領域に予め登録されていた登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する削除部であって、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致する場合に、前記個人情報は前記メモリから削除されない、前記削除部と、
を備える、画像処理装置。
(項目2)
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致しない場合であっても、前記画像処理装置のユーザの認証が成功するときに、前記個人情報を削除することなく、前記画像処理装置の利用を許可する許可部を備える、項目1に記載の画像処理装置。
(項目3)
前記画像処理装置は、さらに、
前記登録環境情報を前記所定の記憶領域に登録する登録指示を入力するための登録画面を表示部に表示させる第1の表示制御部と、
前記登録画面において前記登録指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記登録環境情報を前記所定の記憶領域に登録する第1の登録部と、
を備える、項目1又は2に記載の画像処理装置。
(項目4)
前記登録画面は、前記画像処理装置が利用されている環境を示す複数個の項目の中から1個以上の項目を選択する選択欄を含み、
前記第1の登録部は、前記選択欄において選択された前記1個以上の項目に対応する1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に記憶させる、項目3に記載の画像処理装置。
(項目5)
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が利用されている環境を示す複数個の情報のうちの1個以上の情報が所定期間に亘って変化しない場合に、前記1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に登録する第2の登録部を備える、項目1に記載の画像処理装置。
(項目6)
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置のユーザが設定した所定のタイミングが到来した場合に、前記所定期間に亘って変化しない前記1個以上の情報を特定する第2の特定部を備える、項目5に記載の画像処理装置。
(項目7)
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が利用されている環境を示す前記1個以上の情報が前記所定期間に亘って変化しない場合に、前記1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に登録することを確認する登録確認画面を表示部に表示させる第2の表示制御部を備え、
前記第2の登録部は、前記登録確認画面において所定の指示が入力される場合に、前記1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に登録する、項目5又は6に記載の画像処理装置。
(項目8)
前記画像処理装置は、さらに、
前記所定の記憶領域に前記登録環境情報が登録されていない場合に、前記画像処理装置が利用されている環境を示す複数個の情報の中から、所定期間に亘って変化しない1個以上の情報を前記登録環境情報として前記所定の記憶領域に登録することを案内する案内画面を表示部に表示させる第3の表示制御部を備える、項目1に記載の画像処理装置。
(項目9)
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除することを確認する削除確認画面を表示部に表示させる第4の表示制御部を備え、
前記削除部は、前記削除確認画面において所定の指示が入力される場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する、項目1から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
(項目10)
前記画像処理装置は、前記表示部を備え、
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除することを確認するメッセージを前記画像処理装置とは異なる外部装置に表示させる第5の表示制御部を備え、
前記削除部は、前記削除確認画面に入力される前記所定の指示に従って前記個人情報を前記メモリから削除する第1の削除処理と、前記メッセージが表示された前記外部装置からの要求に従って前記個人情報を前記メモリから削除する第2の削除処理と、を実行可能に構成されており、
前記第1の削除処理と前記第2の削除処理とのうちの一方の処理が実行された後に、前記第1の削除処理と前記第2の削除処理とのうちの他方の処理は実行されない、項目9に記載の画像処理装置。
(項目11)
前記削除部は、前記画像処理装置を初期化することによって、前記個人情報を前記メモリから削除する、項目1から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
(項目12)
前記画像処理装置は、印刷機能及びスキャン機能のうちの少なくとも一方の機能を有する装置である、項目1から11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
(項目13)
前記登録環境情報は、
前記画像処理装置が所属していたネットワークを示すネットワーク情報と、
前記画像処理装置と同じネットワークに所属していたネットワーク装置を示すネットワーク装置情報と、
前記画像処理装置に接続されていた接続装置を示す接続装置情報と、
のうちの少なくとも1つを含む、項目1から12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
(項目14)
画像処理装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記画像処理装置は、
個人情報を記憶するメモリと、
コンピュータと、
を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、以下の各部、即ち、
前記画像処理装置の利用を開始するための開始指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記画像処理装置が現在利用されている環境を特定する第1の特定部と、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記開始指示が前記画像処理装置に入力される前に所定の記憶領域に予め登録されていた登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する削除部であって、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致する場合に、前記個人情報は前記メモリから削除されない、前記削除部と、
として機能させる、コンピュータプログラム。
(項目15)
画像処理装置の制御方法であって、
前記画像処理装置は、
個人情報を記憶するメモリを備え、
前記制御方法は、
前記画像処理装置の利用を開始するための開始指示が前記画像処理装置に入力される場合に、前記画像処理装置が現在利用されている環境を特定する第1の特定工程と、
前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記開始指示が前記画像処理装置に入力される前に所定の記憶領域に予め登録されていた登録環境情報によって示される環境と一致しない場合に、前記メモリから前記個人情報を削除する削除工程であって、前記画像処理装置が現在利用されている環境が、前記登録環境情報によって示される環境と一致する場合に、前記個人情報は前記メモリから削除されない、前記削除工程と、
を備える、制御方法。
【符号の説明】
【0090】
2 :通信システム
4 :AP
6 :インターネット
8 :無線LAN
10 :MFP
12 :操作部
14 :表示部
16 :LANI/F
22 :BTI/F
24 :USBI/F
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :プログラム
42 :個人情報
44 :パスワード
50 :登録環境情報
52 :タイミング情報
100 :ネットワーク装置
200 :BT装置
300 :USB装置
400 :サーバ
500 :領域
B1 :チェックボックス
B2 :登録ボタン
B3 :YESボタン
B4 :NOボタン
B5 :パスワードボタン
B6 :YESボタン
B7 :NOボタン
EM :確認メール
SC1 :登録画面
SC2 :初期化確認画面
SC3 :入力画面
SC4 :登録確認画面
MA1 :メールアドレス
SN1 :シリアル番号