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特開2024-136706気象観測システム、測量用標識、及び解析装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136706
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】気象観測システム、測量用標識、及び解析装置
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/14 20060101AFI20240927BHJP
   G01C 15/06 20060101ALI20240927BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01W1/14 B
G01C15/06 T
G01W1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047909
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】500149555
【氏名又は名称】株式会社サイバーエージェント
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】浦野 收司
(57)【要約】
【課題】設置コストや保守点検に掛かるコストを低減しつつ、積雪量や水位を測定する。
【解決手段】カメラ2、深度標識部(31,132)の先端に設置長Lの情報を示すマーカー33が表示されて深度標識部の延長方向が鉛直方向となるように測定地点Pに設置される測量用標識(3,103)、及び解析装置4によって構成され、カメラは測量用標識を被写体として含んだ画像データを出力し、解析装置はマーカーの上下高Hを記憶し、画像データに基づいて、撮影画像におけるマーカーの上下高H1とマーカーのコードから特定される設置長Lとを取得して深度標識部の露出端位置(31c,132b)を特定し、設置長L、及び上下高Hと上下高H1との比に基づいて、撮影画像における深度標識部の基端位置(31b,132a)を特定するとともに基端位置と露出端位置との距離H3を測定地点における深度Dに換算して出力する気象観測システムとしている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定地点に設置されたカメラ及び測量用標識と、画像認識機能を備えたコンピューターからなる解析装置とによって構成されて、前記測定地点において気象状況を観測する気象観測システムであって、
前記測量用標識は、前記測定地点において、鉛直上方に延長するように設置された深度標識部と、当該深度標識部の上方に配置されたマーカーとからなり、
前記マーカーは、上下方向と直交する方向に法線を有する面に表示され、上下方向のサイズが一定で、図案によって所定の情報を記述するコードであり、
前記マーカーの所定の位置を上端位置として、前記深度標識部は、当該上端位置から下方に設置長Lにある位置を基端位置として設置され、
前記カメラは、前記マーカー、及び設置状態にある前記測量用標識の全体が視角に入るように設置されて前記測量用標識を被写体として含んだ撮影画像の画像データを出力し、
前記解析装置は、
前記マーカーの上下方向のサイズである上下高Hを記憶し、
前記カメラが出力した画像データに基づいて、前記マーカーのコードを読み取って前記設置長Lを特定するとともに、前記撮影画像における前記マーカーの鉛直方向の上下高H1と、前記深度標識部が露出している領域の下端となる露出端位置とを特定し、
前記設置長L、及び前記上下高Hと前記上下高H1との比に基づいて、前記撮影画像における前記基端位置を特定するとともに、前記撮影画像における前記基端位置と前記露出端位置との距離H3を前記測定地点における深度Dに換算し、
前記深度Dに関する情報を出力する、
気象観測システム。
【請求項2】
前記気象状況として前記測定地点における積雪量又は水位を測定するための気象観測システムであって、
前記測量用標識は、棒状のポールからなる前記深度標識部と、前記ポールの先端に取り付けられた平板状の標識板とで構成されて、前記測定地点において前記ポールの延長方向が鉛直方向となるように設置され、
前記マーカーは、前記標識板の一主面に表示され、
前記解析装置は、
鉛直方向における前記マーカーの所定の位置からポールにおいて地面又は水底より上の領域の下端となる基端位置までのポール長を前記設置長Lとし、
前記ポールにおいて、雪面又は水面から上に露出している領域の下端となる位置を前記露出端位置とし、
前記地面又は水底から前記露出端位置までの距離を積雪量又は水深を前記深度Dとする、
請求項1に記載の気象観測システム。
【請求項3】
前記気象状況として前記測定地点における水位を測定するための気象観測システムであって、
前記測量用標識は、水位の測定地点における鉛直な壁面に設置され、当該壁面における所定の高さ位置を基端位置として当該基端位置から上端まで鉛直上方に向かって延長して配置された前記深度標識部と、当該深度標識部の先端側に配置されたマーカーとで構成され、
前記解析装置は、
鉛直方向における前記マーカーの所定の位置から前記基端位置までの長さを前記設置長Lとし、
前記深度標識部において、水面から上に露出している領域の下端となる位置を前記露出端位置とし、
前記基端位置から前記水面までの距離を前記深度Dとする、
請求項1に記載の気象観測システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の気象観測システムであって、
前記解析装置は、
前記カメラのキャリブレーションデータを記憶し、
前記画像データと前記キャリブレーションデータとに基づいて、前記カメラの姿勢を検出し、
検出した前記カメラの姿勢に基づいて前記撮影画像における鉛直方向を特定する、
積雪量測定システム。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の気象観測システムであって、
複数の測定地点のそれぞれに前記測量用標識が設置され、
各測定地点に設置された測量用標識のそれぞれに対応する複数台のカメラを備え、
前記解析装置は、
カメラの識別情報と測定地点との対応付けを記憶し、
複数台の前記カメラのそれぞれから画像データを入力するとともに、それぞれのカメラの識別情報を取得し、
前記カメラが出力する画像データに基づいて計算した深度Dと、特定した当該カメラの識別情報に基づく測定地点と対応付けして出力する、
気象観測システム。
【請求項6】
請求項5に記載の気象観測システムであって、前記解析装置は、前記カメラから前記画像データと識別情報とを取得する、気象観測システム。
【請求項7】
請求項5に記載の気象観測システムであって、
前記マーカーに記述されたコードには、設置場所に関わる測定地点情報が記述され、
前記解析装置は、前記画像データに基づいて認識したマーカーのコードに記述された測定地点情報をカメラの識別情報として取得する、
気象観測システム。
【請求項8】
請求項2に記載の気象観測システムであって、
前記気象状況として前記測定地点における積雪量積雪量を測定し、
前記カメラは、道路交通状況を監視するためのカメラであり、前記測量用標識と道路の路面とを被写体として撮影するように設置されているとともに、前記測定地点又は前記測定地点の周辺で測定された温度の情報を出力し、
前記解析装置は、
所定の温度を凍結温度として記憶し、
前記カメラからの前記画像データに基づいて前記路面の状態を認識し、
前記カメラが出力した前記温度の情報に基づいて特定した温度が前記凍結温度以下で、かつ認識した前記路面の状態が所定の状態である場合に路面の凍結情報を出力する、
気象観測システム。
【請求項9】
積雪量又は水位の測定地点に設置される測量用標識であって、
前記測定地点の地面又は水底を基端位置として、当該基端位置から鉛直上方に延長するように設置されるポールからなる深度標識部と、当該ポールの上端に取り付けられた平板状の標識板とからなり、
前記標識板は、上下方向と直交する方向に法線を有し、図案によってコードを記述したマーカーが一主面に表示されてなり、
前記マーカーは、上下方向のサイズが所定の上下高Hであり、
前記マーカーの所定の位置を上端位置として、前記コードには、当該上端位置から前記基端位置までの設置長Lを特定するための情報が含まれている、
測量用標識。
【請求項10】
水位の測定地点に設置される測量用標識であって、
前記測定地点における鉛直な壁面に設置され、
前記壁面における所定の高さ位置を基端位置として、当該基端位置から上端まで鉛直上方に向かって延長して配置された深度標識部と、当該深度標識部の先端側に配置されたマーカーとで構成され、
前記マーカーは、図案によってコードを記述し、上下方向のサイズが所定の上下高Hであり
前記マーカーの所定の位置を上端位置として、前記コードには、当該上端位置から前記基端位置までの設置長Lを特定するための情報が含まれている、
測量用標識。
【請求項11】
カメラが、積雪量又は水位の測定地点に設置された請求項9又は請求項10に記載の前記測量用標識を撮影して生成した画像データを入力して積雪量又は水位を計算する解析装置であって、
画像認識機能を備えたコンピューターにより構成され、
前記測量用標識における前記マーカーの上下方向のサイズである上下高Hを記憶し、
前記画像データに基づいて、前記カメラの撮影画像における前記マーカーの鉛直方向の上下高H1を特定し、
前記マーカーのコードを読み取って前記設置長Lを特定し、
前記撮影画像における前記マーカーの鉛直方向の上下高H1を特定し、
前記深度標識部が露出している領域の下端となる露出端位置を特定し、
前記設置長L、及び前記上下高Hと前記上下高H1との比に基づいて、前記撮影画像における前記基端位置を特定するとともに、前記撮影画像における前記基端位置と前記露出端位置との距離H3を前記測定地点における深度Dに換算し、
前記深度Dを積雪量又は水位として出力する、
解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気象観測システム、測量用標識、及び解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
豪雪地帯、又は増水時に氾濫の可能性がある河川や貯水池等には、積雪量、又は水位を測定する専用の装置が設置されている場合がある。積雪量を測定するための装置としては、以下の非特許文献1に記載されているような、雪面に照射したレーザー光が雪面から反射して戻ってくるまでの時間差によって地面から雪面までの高さを測定するものがある。レーザー光に変えて電波や超音波を雪面に照射するものもある。また、以下の非特許文献2に記載されている水位監視センサーのように、積雪量と同様にして超音波を用いて水位を測定する装置もある。池の底に設置した水圧計により測定した水圧に基づいて貯水池の水位を測定する装置もある。
【0003】
専用の装置を用いずに積雪量や水位を測定する方法もある。例えば、積雪量を測定するために地面に目盛付きのポールを立設したり、水位を測定するために橋脚や堤防の壁面、あるいは河川敷等に水位標(例えば、以下の非特許文献3参照)を設置したりする方法である。そして、この方法では、人が直接、あるいは監視カメラの撮影画像を通して目視したポールや水位標の目盛から積雪量や水位を確認する。なお、以下の非特許文献4には、水位の測定方法等が記載されている。
【0004】
なお、本発明に関連して、以下の非特許文献4にはAIカメラの概略について記載され、以下の非特許文献5、6にはカメラキャリブレーションについて記載されている。また、非特許文献7には表面にコードが記述されたマーカーの撮影画像とカメラキャリブレーションデータとに基づいて被写体の姿勢を推定する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】気象庁札幌管区気象台、”積雪計(レーザー式)”、[online]、[令和4年12月30日検索]、インターネット<URL:https://www.data.jma.go.jp/sapporo/bosai/bosaikyoiku/snow/s02_lasersikisekisetukei.html>
【非特許文献2】株式会社 電信、” IoT超音波式河川等水位監視センサー”、[online]、[令和5年2月15日検索]、インターネット<URL:https://www.densin.co.jp/product_iot/3486/>
【非特許文献3】知多市、”水位標”、[online]、[令和5年2月15日検索]、インターネット<URL:https://www.city.chita.lg.jp/docs/2020081400061/>
【非特許文献4】国土交通省、”河川の水位”、[online]、[令和5年2月15日検索]、インターネット<URL:https://city.river.go.jp/kawabou/reference/index02.html#:~:text=%E6%B0%B4%E4%BD%8D%E6%A8%99%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E9%8B%BC,%E3%81%AB%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82>
【非特許文献4】株式会社フューチャースタンダード、”AIカメラとはどのようなもの?何ができるかチェックして自社でも活用しよう”、[online]、[令和4年12月30日検索]、インターネット<URL:https://www.scorer.jp/blog/check-what-ai-camera-is-and-what-it-can-do-and-use-it-in-your-company#a5>
【非特許文献5】Global Walkers株式会社、” 意外と知らないカメラキャリブレーション”、[online]、[平成4年12月30日検索]、インターネット<URL:https://www.globalwalkers.co.jp/blog/2022/04/08/n0015/#:~:text=カメラキャリブレーションとは,最も用いられています。>
【非特許文献6】Qoosky、” カメラキャリブレーションについて簡単なまとめ”、[online]、[令和4年12月30日検索]、インターネット<URL:https://www.qoosky.io/techs/67a3d876c4>
【非特許文献7】Qiita株式会社、”pythonでARマーカーの姿勢推定”、[online]、[令和4年12月30日検索]、インターネット<URL:https://qiita.com/ReoNagai/items/a8fdee89b1686ec31d10>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1や2に記載されたような従来の積雪測定装置や水位監視センサー(以下、総称して「気象観測装置」と言うことがある)は、電磁波(電波、レーザー光)や超音波による無線信号の送受信器、及び無線信号の送受信時間を測定するための電子回路等の能動的なセンサーを備えた専用の装置である。そのため、従来の気象観測装置は、設置コストや経年劣化等による故障に備えた保守点検に掛かるコストが自ずと高いものとなる。能動的なセンサーではない水圧計を用いた水位計についても、水圧計が池の底にあるため、保守や点検に係るコストが嵩む。したがって、より多くの地点での積雪量や水位を測定しようとすれば、そのコストは極めて膨大なものとなってしまう。
【0007】
また、従来の能動的なセンサーを備えた気象観測装置は、電磁波や超音波等による無線信号を雪面や水面に照射するため、気象状況(暴風雪、豪雨等)によっては、照射した無線信号が雪面や水面までに介在する降雪や雨滴によって反射され、正確に深度を測定できない可能性もある。
【0008】
人が目視で深度を測定する場合には気象状況に左右されずに深度を測定することができるが、目盛付きのポールや水位標は、積雪量や水位の測定地点において想定される積雪量や増水時の水位に応じて目盛を変える必要がある。また、経年劣化によって目盛が読み取れなくなる可能性もある。そのため、より多くの地点での深度を測定しようとすれば、設置コストや保守点検に掛かるコストが嵩む。
【0009】
そこで本発明は、設置コストや保守点検に掛かるコストを低減でき、気象状況に左右されずに積雪量や水位等の気象状況に関わる情報を観測できる気象観測システム、当該システムを構成する測量用標識、及び解析装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、測定地点に設置されたカメラ及び測量用標識と、画像認識機能を備えたコンピューターからなる解析装置とによって構成されて、前記測定地点において気象状況を観測する気象観測システムであって、
【0011】
前記測量用標識は、前記測定地点において、鉛直上方に延長するように設置された深度標識部と、当該深度標識部の上方に配置されたマーカーとからなり、
【0012】
前記マーカーは、上下方向と直交する方向に法線を有する面に表示され、上下方向のサイズが一定で、図案によって所定の情報を記述するコードであり、
前記マーカーの所定の位置を上端位置として、前記深度標識部は、当該上端位置から下方に設置長Lにある位置を基端位置として設置され、
前記カメラは、前記マーカー、及び設置状態にある前記測量用標識の全体が視角に入るように設置されて前記測量用標識を被写体として含んだ撮影画像の画像データを出力し、
前記解析装置は、
前記マーカーの上下方向のサイズである上下高Hを記憶し、
前記カメラが出力した画像データに基づいて、前記マーカーのコードを読み取って前記設置長Lを特定するとともに、前記撮影画像における前記マーカーの鉛直方向の上下高H1と、前記深度標識部が露出している領域の下端となる露出端位置とを特定し、
前記設置長L、及び前記上下高Hと前記上下高H1との比に基づいて、前記撮影画像における前記基端位置を特定するとともに、前記撮影画像における前記基端位置と前記露出端位置との距離H3を前記測定地点における深度Dに換算し、
前記深度Dに関する情報を出力する、
気象観測システムである。
【0013】
前記気象状況として前記測定地点における積雪量又は水位を測定するための気象観測システムであって、
前記測量用標識は、棒状のポールからなる前記深度標識部と、前記ポールの先端に取り付けられた平板状の標識板とで構成されて、前記測定地点において前記ポールの延長方向が鉛直方向となるように設置され、
前記マーカーは、前記標識板の一主面に表示され、
前記解析装置は、
鉛直方向における前記マーカーの所定の位置からポールにおいて地面又は水底より上の領域の下端となる基端位置までのポール長を前記設置長Lとし、
前記ポールにおいて、雪面又は水面から上に露出している領域の下端となる位置を前記露出端位置とし、
前記地面又は水底から前記露出端位置までの距離を積雪量又は水深を前記深度Dとする気象観測システムとすることもできる。
【0014】
前記気象状況として前記測定地点における水位を測定するための気象観測システムであって、
前記測量用標識は、水位の測定地点における鉛直な壁面に設置され、当該壁面における所定の高さ位置を基端位置として当該基端位置から上端まで鉛直上方に向かって延長して配置された前記深度標識部と、当該深度標識部の先端側に配置されたマーカーとで構成され、
前記解析装置は、
鉛直方向における前記マーカーの所定の位置から前記基端位置までの長さを前記設置長Lとし、
前記深度標識部において、水面から上に露出している領域の下端となる位置を前記露出端位置とし、
前記基端位置から前記水面までの距離を前記深度Dとする、
気象観測システムとすることもできる。
【0015】
前記解析装置は、
前記カメラのキャリブレーションデータを記憶し、
前記画像データと前記キャリブレーションデータとに基づいて、前記カメラの姿勢を検出し、
検出した前記カメラの姿勢に基づいて前記撮影画像における鉛直方向を特定する、
積雪量測定システムとしてもよい。
【0016】
複数の測定地点のそれぞれに前記測量用標識が設置され、
各測定地点に設置された測量用標識のそれぞれに対応する複数台のカメラを備え、
前記解析装置は、
カメラの識別情報と測定地点との対応付けを記憶し、
複数台の前記カメラのそれぞれから画像データを入力するとともに、それぞれのカメラの識別情報を取得し、
前記カメラが出力する画像データに基づいて計算した深度Dと、特定した当該カメラの識別情報に基づく測定地点と対応付けして出力する、気象観測システムとすることもできる。前記解析装置が、前記カメラから前記画像データと識別情報とを取得してもよい。あるいは、前記マーカーに記述されたコードには、設置場所に関わる測定地点情報が記述され、前記解析装置が、前記画像データに基づいて認識したマーカーのコードに記述された測定地点情報をカメラの識別情報として取得する、気象観測システムとすることもできる。
【0017】
前記気象状況として前記測定地点における積雪量積雪量を測定し、
前記カメラは、道路交通状況を監視するためのカメラであり、前記測量用標識と道路の路面とを被写体として撮影するように設置されているとともに、前記測定地点又は前記測定地点の周辺で測定された温度の情報を出力し、
前記解析装置は、
所定の温度を凍結温度として記憶し、
前記カメラからの前記画像データに基づいて前記路面の状態を認識し、
前記カメラが出力した前記温度の情報に基づいて特定した温度が前記凍結温度以下で、かつ認識した前記路面の状態が所定の状態である場合に路面の凍結情報を出力する、
気象観測システムとすることもできる。
【0018】
積雪量の測定地点に設置される測量用標識も本発明の範囲であって、当該測量用標識は、
積雪量又は水位の測定地点に設置される測量用標識であって、
前記測定地点の地面又は水底を基端位置として、当該基端位置から鉛直上方に延長するように設置されるポールからなる深度標識部と、当該ポールの上端に取り付けられた平板状の標識板とからなり、
前記標識板は、上下方向と直交する方向に法線を有し、図案によってコードを記述したマーカーが一主面に表示されてなり、
前記マーカーは、上下方向のサイズが所定の上下高Hであり、
前記マーカーの所定の位置を上端位置として、前記コードには、当該上端位置から前記基端位置までの設置長Lを特定するための情報が含まれている、
測量用標識である。
【0019】
あるいは、水位の測定地点に設置される測量用標識であって、
前記測定地点における鉛直な壁面に設置され、
前記壁面における所定の高さ位置を基端位置として、当該基端位置から上端まで鉛直上方に向かって延長して配置された深度標識部と、当該深度標識部の先端側に配置されたマーカーとで構成され、 前記マーカーは、図案によってコードを記述し、上下方向のサイズが所定の上下高Hであり
前記マーカーの所定の位置を上端位置として、前記コードには、当該上端位置から前記基端位置までの設置長Lを特定するための情報が含まれている、
測量用標識であってもよい。
【0020】
本発明の範囲には、カメラが、積雪量又は水位の測定地点に設置された測量用標識を撮影して生成した画像データを入力して積雪量又は水位を計算する解析装置も含まれており、当該解析装置は、
画像認識機能を備えたコンピューターにより構成され、
前記測量用標識における前記マーカーの上下方向のサイズである上下高Hを記憶し、
前記画像データに基づいて、前記カメラの撮影画像における前記マーカーの鉛直方向の上下高H1を特定し、
前記マーカーのコードを読み取って前記設置長Lを特定し、
前記撮影画像における前記マーカーの鉛直方向の上下高H1を特定し、
前記深度標識部が露出している領域の下端となる露出端位置を特定し、
前記設置長L、及び前記上下高Hと前記上下高H1との比に基づいて、前記撮影画像における前記基端位置を特定するとともに、前記撮影画像における前記基端位置と前記露出端位置との距離H3を前記測定地点における深度Dに換算し、
前記深度Dを積雪量又は水位として出力する、
解析装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、設置コストや保守点検に掛かるコストを低減でき、気象状況に左右されずに積雪量や水位等の気象状況に関わる情報を観測できる気象観測システム、当該システムを構成する測量用標識、及び解析装置が提供される。その他の効果については以下の記載で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の気象観測システムの実施例である積雪量測定システムを含むネットワーク構成を示す図である。
図2】実施例に係る積雪量測定システムを構成する測量用標識を示す図である。
図3A】実施例に係る積雪量測定システムを構成するカメラと上記測量用標識との位置関係を示す図である。
図3B】実施例に係る積雪量測定システムを構成するカメラと上記測量用標識との位置関係を示す図である。
図3C】実施例に係る積雪量測定システムを構成するカメラと上記測量用標識との位置関係を示す図である。
図4】実施例に係る積雪量測定システムによる積雪量の測定原理を説明するための図である。
図5】上記カメラによる撮影画像を示す図である。
図6】実施例に係る積雪量測定システムを構成する解析装置による積雪量の算出処理の流れを示す図である。
図7】実施例に係る積雪量測定システムを用いた積雪量の測定実験の実施状態を示す図である。
図8】上記解析装置による積雪量の算出処理のその他の例を示す図であり、上記撮影画像の二次元の画像座標系から変換される三次元のワールド座標系の概略を示している。
図9】本発明の気象観測システムの実施例である水位測定システムを構成する測量用標識を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面において、同一又は類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。
【0024】
===気象観測システム===
実施例に係る気象観測システムは、鉛直方向において基準となる位置から雪面や水面までの距離を「深度」として測定する。深度は積雪量や水位等に相当する指標であり、積雪量であれば、地面を基準の位置とし、その位置から雪面までの距離となる。水位であれば、河川敷の地面、川底や池の底(以下、「水底」と言うことがある。)、あるいは平時の平均的な水面の位置等、鉛直方向の任意の位置を基準の位置に設定することができる。すなわち、積雪量には明確な基準の位置として地面が存在するが、水位には基準の位置が様々である。そして、その基準の位置から水面までの距離を水位とすることができる。
【0025】
以下では、具体的な実施例として、測定地点における積雪量を測定するための気象観測システム(以下、「積雪量測定システム」と言うことがある)と、河川や貯水池の水位を測定するための気象観測システム(以下、「水位測定システム」と言うことがある)とを挙げる。
【0026】
===積雪量測定システム===
<積雪量測定システムの構成と基本的な動作>
【0027】
図1に実施例に係る積雪量測定システム1を含むネットワーク構成の概略を示した。積雪量測定システム1は、カメラ2と、カメラ2の被写体として積雪量の測定地点に設置される測量用標識3、及びカメラ2が撮影した動画や静止画(以下、「画像」と言うことがある)のデータ(以下、「画像データ」と言うことがある。)を画像認識技術により解析して積雪量を計算する解析装置4とで構成される。図示した構成では、カメラ2と解析装置4は、通信ネットワーク5に互いに通信可能に接続されている。
【0028】
図1に例示した積雪量測定システム1において、カメラ2は、所謂「IPカメラ」等と称される定点監視用のカメラ2であり、カメラ2と解析装置4とが接続される通信ネットワーク5はインターネットである。カメラ2は、アクセス権限を有するコンピューターが、通信ネットワーク5を介してアクセスしてくると、画像データを当該コンピューターに送信するように構成されている。あるいは、所定のコンピューターに向けてストリーミング形式の動画による画像データをリアルタイムで送信し続けるように構成されている。なお、通信ネットワーク5には、積雪量測定システム1により測定された積雪量を表示出力したり、積雪量のデータを二次利用したりするための情報処理装置(以下、「外部コンピューター10」と言うことがある。)も接続されている。
【0029】
測量用標識3は、カメラ2の被写体として積雪量の測定地点Pに設置された標識であり、測定地点において、鉛直上方に延長するように設置された深度標識部と、当該深度標識部の上方に配置されたマーカーとからなる。図2に測量用標識3の外観及び設置状態を示した。図2に示したように、積雪量測定システム1における測量用標識3は、深度標識部であるポール31と、ポール31の先端に取り付けられた平板状の標識板32とからなり、マーカー33が標識板32の一主面に表示されている。
【0030】
ポール31は、積雪によって屈曲しない強度を有する円柱状の部材であり、例えば、防錆塗装された直径が5cm程度の鉄製パイプ等からなる。測量用標識3は、ポール31の延長方向が鉛直方向となるように、ポール31の末端31a側が地下に埋設されることで測定地点Pに設置される。なお、ポール31は、解析装置4による画像認識処理に際し、白い雪面101と区別し易いように、黒等の濃度の高い色で塗装されている。
【0031】
ここで、ポール31の延長方向を測量用標識3の上下方向とし、ポール31の上端に標識板32が取り付けられていることとして上下の各方向を規定すると、標識板32は、上下方向と直交する方向(紙面、奥行き方向)に法線を有し、その一主面に、図案によってコードを記述するマーカー33が印刷、あるいは描画(ペイント)等によって表示されている。もちろん、前後両面にマーカー33が表示されていてもよい。標識板32の素材は、着雪や経年劣化による腐食等を考慮して選択することが好ましい。本実施例における標識板32はアクリル樹脂からなる。
【0032】
本実施例において、マーカー33は、二次元コードであるArUcoマーカーである。周知のごとく、ArUcoマーカーは、バイナリの正方形の基準マーカーであり、黒塗りの正方形の区画内に、当該区画に対して縦横のサイズがそれぞれ1/9の白抜きの複数の矩形が配置されてなる。ArUcoマーカーは、この白抜きの矩形の配置パターンによって数値をコードしている。ArUcoマーカーはカメラ2の姿勢を迅速かつ簡単に検出できる等の利点がある。
【0033】
ここでさらに、標識板32の法線方向を前後方向、上下前後の各方向と直交する方向を左右方向とすると、マーカー33の区画は、上下方向と左右方向とに辺を有する正方形で、当該区画は、規定のサイズを有し、実施例では、左右の幅Wと、上下の幅H(以下、「上下高H」と言うことがある。)がそれぞれ15cmとなっている。そして、この区画内にポール31の長さを特定するための情報が記述されている。本実施例では、測量用標識3が設置された際に、地面100からマーカー33を上下に二分する高さ位置34までの長さ(以下、「ポール長L」と言うことがある。」が記述されている。図2に示した測量用標識3では、前後方向から見ると、ポール31の筒軸50がマーカー33の中心33oを通って上下方向に延長する直線となっている。したがって、ポール長Lはマーカー33の中心33oを上端位置とし、当該上端位置からポール31の基端位置31bまでの長さとなる。もちろん、ポール31の筒軸50は必ずしもマーカー33の中心33oを通る直線でなくてもよい。すなわち、筒軸50がマーカー33の中心33oに対して左右いずれかの方向にずれていてもよい。また、マーカー33の中心33oの高さ位置をポール長Lの上端位置としなくてもよい。いずれにしても、マーカー33が表示されている矩形領域内の所定の位置がポール長Lの上端位置として設定されていればよい。そして、ポール31の筒軸50がその上端位置を通る上下方向に延長していればよい。
【0034】
ここで、測量用標識3が設置された際にポール長Lの上端側の起点となるマーカー33の中心33oから雪面101までの領域を露出領域と称することとする。また、ポール31において、露出領域の下端の位置を雪面位置31c、地面100の位置を基端位置31b、と称することとする。したがって、測量用標識3が設置されて、測定地点Pに積雪があると、ポール長Lは、ポール31の露出領域の長さL1に積雪量Dを加算したものとなる。
【0035】
測量用標識3は、積雪がない状態で地上にある領域全体がカメラ2の視角内に収まるように測定地点Pに設置される。また、上方から見ると、標識板32においてマーカー33が表示されている面の法線がカメラ2の方向を向くように設置される。図3A図3Cに、カメラ2と測量用標識3との相対的な位置関係をいくつか例示した。図3Aは、左右方向から見たときのカメラ2と測量用標識3との位置関係を示している。なお、図3Aでは、カメラ2の鉛直方向の視角をφとし、カメラ2のレンズの光軸21を鎖線で示し、測量用標識3の標識板32の法線35を一点鎖線で示している。そして、図3Aに示したように、カメラ2は、視角φの中に測量用標識3の全体が入るように設置されている。また、カメラ2は、一般的には、図示したように、測量用標識3を俯瞰して撮影するように設置される。
【0036】
図3B図3Cは、上下方向から見たときのカメラ2と測量用標識3との位置関係の例を示している。図3Bに示した例では、カメラ2の光軸21の先に測量用標識3が設置されている。測定地点Pにおいて、カメラ2や測量用標識3の設置に制限があるような場合では、図3Cに示した例のように、カメラ2の視角θ内であれば、カメラ2の光軸21から外れた位置に測量用標識3を設置してもよい。なお、図3Cに示したように、光軸21から外れた位置に測量用標識3を設置する場合には、カメラ2のレンズから標識板32に向けた直線が標識板32の法線35に一致するようにした方が好ましい。いずれにしても、測量用標識3は、ポール31が鉛直に立設された状態で、その全体がカメラ2の視角(φ、θ)内に入り、かつマーカー33がカメラ2によって撮影できるように設置されていればよい。
【0037】
解析装置4は、例えばパーソナルコンピューター(PC)等の汎用のコンピューターで構成することができる。図1に示したように、解析装置4は、PCと同様に、例えば、CPU、RAM、ROMを含んで構成されたコンピューター本体である制御部41、所定の規格(IEEE 802.11規格等)に準拠した通信インタフェースを備えてカメラや外部コンピューターと制御部41とのデータ通信を仲介する通信部42、外部記憶装置(HDD、SSD等)からなる記憶部43、キーボードやマウス等の入力装置44、及びディスプレイやスピーカー等の出力装置45を含んで構成されている。なお、記憶部43には、カメラ2から入力される画像データ、制御部41により実行されて画像認識処理や積雪量の計算処理を行うプログラム、及びマーカー33の上下高H等、制御部41がプログラムの実行に際して使用する設定データ等を記憶する。
【0038】
そして、解析装置4は、制御部41が所定のプログラムを実行することで、通信部42を介して入力したカメラ2からの画像データを記憶部43に記憶するとともに、その画像データと記憶部43に格納された設定データとを用いて測定地点Pの積雪量を計算する。なお、計算した積雪量については、適宜に出力することができる。例えば、通信部42を介して外部コンピューター10等に向けて積雪量を出力することができる。外部コンピューター10としては、カメラの管理者が操作するPC(以下、「管理者端末」と言うことがある。)、一般ユーザが操作するスマートフォンやPC等(以下、「ユーザ端末」と言うことがある。)、あるいはカメラ2の撮影画像を、所謂「ライブカメラ」としてインターネット上に公開するWebサーバーとなるコンピューター等である。解析装置4が管理者端末やWebサーバーを兼ねたコンピューターであってもよい。もちろん、計算した積雪量をプリンターに印刷出力したり、解析装置4自体が備えるディスプレイに表示出力したりしてもよい。あるいは積雪量測定システム1を運用する所轄(国、都道府県、市町村等)や公共団体が管理する気象災害用の警報システムや、路面情報等を表示する屋外の電光掲示板等に向けて出力したりしてもよい。記憶部43を積雪量の出力先とすることで、積雪量を読み出し可能に記憶部43に記憶することとしてもよい。
【0039】
<積雪量の測定原理>
図4に積雪量測定システム1による積雪量の測定原理を示した。図4はカメラ2による撮影画像200を示している。図4では、撮影画像200の領域を太線の矩形枠で示しており、図4に示した撮影画像200は、撮影条件として、上方から見たときのカメラ2と測量用標識3との位置関係が図3Bに示した関係にあり、かつ、カメラ2と測量用標識3との距離が充分にあるか、光軸21と標識板の法線35とが平行で、カメラ2がマーカー33と正対している場合を想定している。さらに、カメラ2は、光軸21周り回転しておらず、矩形の撮影画像200の縦方向が鉛直方向に一致するように設置されているものとしている。
【0040】
実施例に係る積雪量測定システム1は、解析装置4がカメラ2から出力された画像データを学習モデルに基づいて解析するAIカメラの機能を有している。AIカメラは、撮影画像に含まれる測量用標識3のマーカー33をオブジェクト検出により抽出し、マーカー33をセグメンテーションにより画素単位で識別する。また、マーカー33に記述されたコードをポール長Lとして認識する。
【0041】
解析装置4は、二次元の撮影画像200を構成する画素の位置で画像上の座標(以下、「画像座標」と言うことがある。)を管理し、撮影画像200上でのマーカー33の上下高H1やポール長H2を特定する。また、撮影画像200上でのポール長H2に基づいて撮影画像200上でのポール31の基端位置31bの画像座標を特定し、この基端位置31bと画像認識処理によって検出した雪面位置31cまでの撮影画像200上での積雪量H3を特定する。そして、実際のマーカー33の上下高Hやポール長Lが、撮影画像200上では、上下高H1やポール長H2に対応していることから、撮影画像200上での積雪量H3から実際の積雪量Dを計算する。以下では、実施例に係る積雪量測定システム1を用いた積雪量の測定手順の具体例を説明する。
【0042】
<具体的な積雪量の測定手順>
上記の積雪量の測定原理をそのまま適用して積雪量を測定する場合には、矩形の撮影画像200の縦方向が鉛直方向であり、かつ、カメラ2の光軸21が標識板32の法線35方向と平行であるか、図3Bに示した位置関係で斜め方向から正方形の被写体を撮影したときに発生する台形変形が積雪量の計算において無視できる程度にカメラ2と測量用標識3とが離隔していることが前提となる。
【0043】
しかし、カメラ2は、測定地点Pにおいて想定される積雪量Dよりも上方に設置する必要があることから、カメラ2と測量用標識3とは、普通、図3Aに示した位置関係となるように設置される可能性が高く、カメラ2は、光軸21が前後方向と交差するように、測量用標識3を斜め上方から俯瞰するような姿勢で設置される。また、カメラ2による矩形の撮影画像200の上下方向が正確に鉛直方向に一致しているとは限らない。すなわち、カメラ2と測量用標識3とが図3Cに示した位置関係にある場合や、カメラ2が光軸21周りに回転して矩形の撮影画像200の縦方向が鉛直方向に対して傾いている場合等では、図5に示したように、実際の撮影画像201が、測量用標識3を斜め上方から見た状態となり、鉛直方向と撮影画像201の縦方向とがずれたものとなる。
【0044】
このように、カメラ2の姿勢によって撮影画像200における縦方向と鉛直方向とが大きくずれた状態で上記の測定原理をそのまま適用して積雪量を計算すれば、計算による積雪量と実際の積雪量との間に少なくない誤差が発生する可能性がある。そこで実施例に係る積雪量測定システム1では、上記非特許文献3や4に記載されているカメラ2のキャリブレーションデータを用いることで、カメラ2の姿勢に依らず、積雪量をより正確に測定できるようにしている。
【0045】
周知のごとく、キャリブレーションデータは、カメラ2のレンズの歪曲収差を補正したり、上記非特許文献5に記載されているようにカメラ2の姿勢を検出したりするために用いられる。そして、実施例に係る積雪量測定システム1を用いた積雪量の測定方法では、カメラキャリブレーションによってカメラ2のキャリブレーションデータが事前に求められており、解析装置4の記憶部43には、そのキャリブレーションデータが記憶されている。なお、キャリブレーションデータは、上記非特許文献3にも記載されているように、スクエアグリッドやサークルグリッド等の既知の平面パターンを複数方向からカメラ2で撮影したときの画像データから事前に作成することができる。例えば、測定地点Pに既に設置済みのカメラ2に対して異なる方向から既知の平面パターンを撮影させてカメラキャリブレーションを行ってもよいし、設置前にカメラキャリブレーションを行ってもよい。あるいはキャリブレーションデータが既知のカメラ2を用いてもよい。いずれにしても、キャリブレーションデータが記憶部43に記憶されている。
【0046】
図6に解析装置4がカメラキャリブレーションデータを用いて積雪量Dを算出する手順の一例を示した。以下、図5図6とを参照しつつ、解析装置4がキャリブレーションデータを用いて積雪量を算出する手順について説明する。まず、解析装置4は、カメラ2が出力する画像データを入力するとともに、キャリブレーションデータを取得する(s1,s2)。次いで、上記のAIカメラ機能によりマーカー33を検出することで、画像座標上でのマーカー33の存在領域を特定する(s3,s4)。また、マーカー33に記述されているコードからポール長Lを特定するとともに、記憶部43からマーカーの上下高Hを取得する(s5,s6)。
【0047】
そして、解析装置4は、画像データをキャリブレーションデータ用いて解析することでカメラ2の視点、すなわち測量用標識3に対するカメラ2の姿勢を検出する(s7)。それにより、撮影画像201上でのポール31の延長方向、すなわち鉛直方向が特定される。なお、必要に応じ、キャリブレーションデータを用いて歪曲収差を補正した上で、カメラ2の姿勢を検出してもよい。
【0048】
ここで、図5に示したように、雪面101の下に隠れている地面100におけるポールの基端位置31bが、マーカー33の中心33oから鉛直方向下方に延長した方向にあるものとして、画像座標上でマーカー33の中心33oからポール長Lに相当する位置、すなわち、ポール31の基端位置31bの画像座標を特定する(s8)。具体的には、撮影画像201上でのマーカー33の上下高H1と実際の上下高Hとの比H1/Hが撮影画像201上でのポール長H2と実際のポール長Lとの比H2/Lに等しいものとして、撮影画像201上でのポール長H2をH2=H1×L/Hの計算式により求め、画像座標上でマーカー33の中心33oの座標から鉛直下方に長さH2だけ移動した画像座標を撮影画像200上でのポール31の基端位置31bとして特定する。
【0049】
次に解析装置4は、基端位置31bの画像座標から鉛直上方に向かって撮影画像201における明度を順次取得していく(s9)。撮影画像201において、ポール31の基端位置31bは雪によって隠れていることから、画像座標上での基端位置31bの明度は白い雪面に対応して高くなる。一方、ポール31の露出領域では当該ポール31の濃色によって明度が低くなる。解析装置4の記憶部43には、所定の明度の差や比を閾値として記憶しており、解析装置4は、撮影画像201からポール31に沿った明度を順次取得していく過程で、ある位置で取得した明度と次の位置で取得した明度との差や比が上記の閾値を越えると、その閾値を超えたときの位置の画像座標を、ポール31の雪面位置31cの画像座標として特定し(s10)、ポール31の基端位置31bの画像座標と雪面位置31cの画像座標との間の距離を撮影画像201上での積雪量H3として特定する(s11)。そして、撮影画像201上での積雪量H3に基づいて実際の積雪量DをD=L×H3/H2、あるいはD=H×H3/H1の計算式により計算し(s12)、この積雪量Dを適宜に出力する(s13)
【0050】
<積雪量測定実験>
上記の積雪量測定システム1の実用性を確認するために、降雪及び積雪環境を再現できる実験施設に測量用標識3とカメラ2を設置するとともに、解析装置4として機能するPCをカメラ2と通信可能に接続した。具体的には、以下の条件で実験を実施した。ポール長L=60cmの測量用標識3を積雪量25cmとなるように実験施設内に設置するとともに、その測量用標識3に対してカメラ2を図2A、及び図2Bの位置関係で設置した。また、カメラ2の設置位置を地上から71cmの高さとし、上方から見たときのカメラ2とマーカー33までの距離を実際の設置状態(例えば10m)よりも短い2.4mとした。
【0051】
図7に積雪量測定実験を実施しているときに解析装置4のディスプレイに表示される画像202を示した。当該画像202には、カメラ2の撮影画像に、解析装置4が認識した撮影画像上での鉛直方向とポール長H2とを示す目盛203がオーバーレイ表示されている。なお、図7に示したように、実験に用いた測量用標識3では、前後方向から見ると、ポール31の筒軸50が図中でマーカー33の左方の辺33rの延長方向に一致している。そして、上記の条件にて積雪量を測定したところ、積雪量測定システム1は、積雪量Dとして、実測値に対して誤差2.4cmの22.6cmを出力し、実用上問題がないことを確認した。なお、実際の測定地点Pでは、カメラ2と測量用標識3までの距離がより長いため、誤差はより小さくなることから、実際の誤差はさらに小さくなることが容易に予想される。
【0052】
このように、実施例に係る積雪量測定システムは、電波やレーザー光、超音波などの無線信号を送受信するための機構が不要なカメラをセンサーとして用いて積雪量を測定することができ、高い信頼性や耐久性を有している。また、設置コストを低減することもできる。
【0053】
実施例に係る積雪量測定システム1は、道路交通状況の監視用等、既設のカメラ2を用いることができ、そのカメラ2の視角内に測量用標識3を設置するとともに、カメラ2に解析装置4を接続するだけで実現することができる。解析装置4も新たに設置する必要はなく、既設のカメラ2による画像データの出力先として接続されているコンピューターに上述した設定データやプログラムを実装するだけでよい。それにより、実施例に係る積雪量測定システム1では、設置コストをさらに低減させることも可能となる。
【0054】
実施例に係る積雪量測定システム1で用いる測量用標識3は、ポール31の上端にそのポール長Lをコードとして記述したマーカー33が表示された標識板32が取り付けられたものであり、ポール31の表面に目盛を印す必要がなく、ポール長Lを柔軟に変更することができる。当然のことながら、経年劣化によって目盛が読み取れなくなることもない。すなわち、実施例に係る積雪量測定システム1では、測量用標識3も高い信頼性と耐久性を有している。そして、測量用標識3は、目盛を書き直す等の保守が不要で、保守に掛かるコストも低減できるものとなっている。
【0055】
<三次元座標変換>
実施例に係る積雪量測定システム1は、上述した積雪量測定実験の結果から、充分に実用的である。しかしその一方で、極めて精密に積雪量を測定する必要がある場合も考えられる。あるいは、カメラ2と測量用標識3との位置関係によっては、積雪量の算出に際し、撮影画像における台形変形が無視できなくなる場合も考えられる。すなわち、カメラ2と測量用標識3との前後方向の距離が短く、かつカメラ2と測量用標識3との上下方向の距離が大きい場合、正方形である標識板32やマーカー33の台形変形の度合いが大きくなったり、ポール31の径方向と延長方向のサイズの比が小さくなったりする。それにより、画像座標上での距離(H1、H2)と実際の距離(H、L)との比が撮影画像201の上端側と下端側とで異なり、積雪量の計算値と実際の積雪量との誤差が大きくなる可能性がある。
【0056】
さらに、カメラ2が測量用標識3だけではなく、測定地点Pの周囲の状況(例えば、道路交通状況等)も監視対象として設置されたものであれば、カメラ2は自ずと広角レンズを備えたものとなり、無視できない歪曲収差が発生する可能性もある。そして、歪曲収差を伴う撮影画像200では、正方形である標識板32やマーカー33の輪郭、柱状のポール31の側面が湾曲したものとなる。特に、図3Cに示したように、カメラ2の水平方向の視角θの端の方に測量用標識3が設置されている場合には、測量用標識3の外形が大きく歪んだ撮影画像200となる。そこで、キャリブレーションデータを用い、必要に応じて歪曲収差を補正した上で、二次元の画像座標を三次元のワールド座標に変換することが考えられる。なお、画像座標からワールド座標への変換手法については、例えば、https://web.wakayama-u.ac.jp/~wuhy/CV09.pdf等に記載されている。
【0057】
図8にワールド座標系に配置された測量用標識3を模式的に示した。図8に示した例では、測量用標識3が、マーカー33の中心33oを原点oとしたワールド座標系に配置されている。図8に示したワールド座標系は、互いに直交するx、y、zの三つの軸を有する直交座標系であり、マーカー33の表示面をzx面としている。解析装置4は、このようなワールド座標系におけるマーカーの上下高H1やポール31の基端位置31bや雪面位置31cの座標と、記憶部43に記憶されているマーカー33の実際の上下高Hやマーカー33に記述されているコードから取得されるポール長Lとに基づいて、積雪量Dを計算する。
【0058】
<変形例>
上述したように、積雪量測定システム1では、交通状況の監視カメラを流用してもよい。そこで、積雪量測定システム1に、路面が凍結しているか否かを判定する機能を付加することが考えられる。概略的には、解析装置がカメラの撮影画像から路面状況(ウエット、ドライ、着雪等)を判別する。路面状況の判別については、AIカメラにより、撮影画像から路面の領域や路面状況を学習させておく。そして、測定地点で測定した温度と路面状況とに基づいて路面が凍結しているか否かを判断する。
【0059】
なお、測定地点において温度を測定する方法としては、標識板に温度計を設置しておくとともに、事前にAIカメラに撮影画像における温度計と温度計が指示する温度とを認識するように学習させておく、そして解析装置に、AIカメラが認識した路面状況と温度との組み合わせに応じて路面の凍結の有無を判別するプログラムを実装させておく。そして、解析装置が積雪量とともに路面が凍結しているか否かの情報を出力する。なお、温度計としては、一般的なガラス温度計のように、液体の膨張原理を用いたものであってもよいし、温度に応じて異なる色に発色するコレステリック液晶を用いた液晶温度計であってもよい。もちろん、温度計としてカメラやその近傍に設置した温度センサーを用いてもよい。そして解析装置は、カメラからの画像データを解析して温度計の指針や発色を画像認識したり、温度センサーが出力する温度データをカメラの識別情報とともに受信したりすることで、測定地点の温度を特定すればよい。
【0060】
===水位測定システム===
上述したように、気象観測システムの一実施例として、水位測定システムが考えられる。水位測定システムの基本的な構成や水位の計算処理は、積雪量測定システムの構成や積雪量の計算処理とほぼ同様である。例えば、図2に示した測量用標識3を、水底や河川敷に設置し、水底や河川敷の地面を基端位置31bとすれば、水深を水位として測定することができる。
【0061】
あるいは、図9に示したように、水位の測定地点Pにある橋脚や堤防等の構造物130が鉛直面からなる壁面131を有していれば、その壁面131に、鉛直方向を長手方向とする帯状の平板を深度標識部132として配置し、その深度標識部132の上端側にマーカー33を表示した標識板32を設置する等して測量用標識103を構成することができる。深度標識部132やマーカー33を壁面131にペイントすることで測量用標識103を設置してもよい。そして、積雪量測定システム1における測量用標識3と同様に、マーカー33の表示領域における所定の高さ位置から深度標識部132の基端132aまでの長さ(以下、「設置長L」と言うことがある。)を特定するためのコードをそのマーカー33に記述しておけばよい。それにより、測定地点Pの水深に応じて長さが異なる深度標識部132を用意する必要がなくなる。なお、この水位を測定するために壁面131に設置された測量用標識103では、深度標識部132の基端132aは水底133まで延長していなくてもよい。すなわち、増水時には、水面134の下方に基端132aが隠れ、渇水時には水面134の上方に基端132aが露出する。
【0062】
水位測定システムにおける解析装置4は、積雪量と同様にして、水位を測定する。すなわち、解析装置4は、カメラ2からの画像データ、予め記憶されているマーカー33の上下高H、及び撮影画像中のマーカー33に記述されたコードによって特定されるマーカー33における所定の位置(例えば、マーカー33の中心33o)から深度標識部132の基端132aまでの設置長Lに基づいて、深度標識部132における基端132aと水面134から上の露出領域の下端位置(以下、「水面位置132b」と言うことがある。」との距離を水位Dとして計算する。
【0063】
===その他の実施例===
上記積雪量測定システム1や水位測定システム等、実施例に係る気象観測システムでは、構成や動作が理解し易いように、測定地点Pが一つの場合を挙げていたが、もちろん、測定地点Pを複数とし、各測定地点Pにカメラ2を設置してもよい。なお、複数のカメラ2を設置する場合には、解析装置4が、それぞれのカメラ2を識別し、カメラ2と、そのカメラ2が出力した画像データとを対応付けて管理すればよい。複数台のカメラ2のそれぞれを識別するためには、例えば、上記の積雪量測定システム1では、カメラ2としてIPカメラを用いていたことから、カメラ2毎に割り当てられたIPアドレスをカメラ2の識別情報として利用することができる。解析装置4は、記憶部43にカメラのIPアドレスと測定地点Pに関する情報(地名、緯度経度等)とを対応付けしたデータテーブルを事前に記憶し、通信ネットワーク5を介して画像データを入力すると、その画像データにカメラ2のIPアドレスを対応付けして管理する。なお、カメラ2のIPアドレスが固定されていない場合には、周知のダイナミックDNSサービスを用いてデータテーブルにおける各カメラのIPアドレスを随時更新すればよい。カメラ2の識別情報としてIPアドレスを用いず、カメラ2が撮像データとともに自身の識別情報を解析装置4に送付することとしてもよい。
【0064】
マーカー33はArUcoに限らない。例えばQRコード(登録商標)など、ArUcoよりも多くの情報を記述することができるマーカー33を用いれば、コードに測定地点Pに関する情報を含ませることができる。解析装置4は、その情報を読み取ることで、複数台のカメラ2を識別することができるようになる。測定地点Pに関する情報として経度緯度を採用すれば、例えば、Webページ上に測定地点Pが示された地図を表示することが可能となる。また、地図上の各測定地点Pに積雪量や水位を掲載するWebページへのリンクを設定しておいてもよい。Webページ上に、各測定地点Pにおけるカメラ2からの画像データから再生される撮影画像(200,201)と、各測定地点Pにおける積雪量や水位とを一覧にして表示してもよい。もちろん上下高Hが規定されているのであれば、マーカー33としてバーコードを用いてもよい。
【0065】
マーカー33に記述されているコードは、ポール長Lや設置長L(以下、総称して「設置長L」と言うことがある。)を特定するための情報であればよく、設置長Lを表す数値が記述されていなくてもよい。例えば、コードによって表現できる数値範囲が測定地点Pの数よりも少なければ、測量用標識3に識別符号となる番号を付与し、その番号をコードとして記述しておき、実際に測量用標識(3,103)が設置されている状態で設置長Lを測定する。そして、解析装置4側に測量用標識3の番号と測定した設置長Lとを対応付けした情報を記憶させておく。それにより、測量用標識(3,103)の設置に際し、ポール31の末端31a側を地中に埋設するときの深さや、壁面131に設置する深度標識部132の長さを厳密に調整するする必要がなくなり、測量用標識(3,103)の設置コストを低減させることができる。
【0066】
解析装置4とカメラ2は、インターネット等の通信ネットワーク5を介して接続されていなくてもよい。解析装置4がカメラ2の近傍に設置されて、カメラ2と所定の通信インタフェース(USB等)を介して接続されていてもよい。臨時に単体のカメラ2を設置する場合等、リアルタイムで積雪量Dや水位Dの測定ができない場合、あるいはリアルタイムでの積雪量Dや水位Dの測定が不要である場合では、着脱可能な外部記憶(メモリーカード等)に画像データを記録するカメラ2を用いてもよい。そして、カメラ2による一定期間の測量用標識3の撮影終了後に、カメラ2から取り外した外部記憶に記録された画像データを解析装置4に読み込ませて積雪量Dや水位Dを計算させてもよい。
【0067】
上記積雪量測定システム1では、ポール31における雪面位置31cを、撮影画像(200,201)におけるポール31の延長方向に沿う明度の変化によって検出していた。水位測定システムにおいても、同様にして水面位置132bを検出することができる。また、雪面位置31cや水面位置132bを明度の変化に基づいて検出せず、例えば、事前の機械学習により解析装置4が、マーカー33に加え、ポール31や深度標識部132の露出領域を認識することとしてもよい。いずれにしても、解析装置4は、画像データに基づいて撮影画像(200,201)におけるポール31の雪面位置31cや深度標識部132における水面位置132bを特定できればよい。
【0068】
なお、当然のことながら、周囲に街灯などの照明がなく、夜間における撮影画像が不鮮明となる可能性がある場合には、測量用標識(3,103)を照らすための照明を測定地点Pに設置することができる。
【0069】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例や応用例が含まれる。また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 気象観測システム(積雪量測定システム)、2 カメラ、
3,103 測量用標識、4 解析装置、5 通信ネットワーク(インターネット)、
31 ポール(深度標識部)、31a ポールの末端、31b ポールの基端位置、
31c ポールの雪面位置、32 標識板、33 マーカー、
33o マーカーの中心、41 制御部、42 通信部、43 記憶部、
44 入力装置、45 出力装置、100 地面、101 雪面、131 壁面、
132 深度標識部、132a 深度標識部の基端、132b 水面位置、
133 水底、134 水面、D 積雪量又は水位、H マーカーの上下高、
H1 撮影画像上でのマーカーの上下高、H2 撮影画像上でのポール長、
H3 撮影画像上での積雪量、
L ポール長又は設置長、L1 ポール又は深度標識部の露出領域の長さ、
P 測定地点
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9