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  • 特開-構造体および投影装置 図1
  • 特開-構造体および投影装置 図2
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  • 特開-構造体および投影装置 図4
  • 特開-構造体および投影装置 図4A
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  • 特開-構造体および投影装置 図5A
  • 特開-構造体および投影装置 図6
  • 特開-構造体および投影装置 図6A
  • 特開-構造体および投影装置 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136707
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】構造体および投影装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20240927BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240927BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240927BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E04H1/02
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047910
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】粟田 恵吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 幹基
【テーマコード(参考)】
2E025
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2E025AA03
2E025AA22
2K203FA74
2K203FA75
2K203GA44
2K203GA46
2K203GA52
2K203GA59
2K203GB33
2K203GB38
2K203GB62
2K203GB69
2K203KA42
2K203KA43
5C058BA35
5C058EA02
(57)【要約】
【課題】 部屋の形状を利用した演出を可能とする構造体を提供する。
【解決手段】 交通に関する情報を取得する情報取得部と、情報取得部により取得された情報に応じて、所定の場所で歩行者が車道を横断可能な状態とする状態制御部と、車道が横断可能な状態となっていることを交通に係る対象に通知する状態通知部と、を備える。情報は、所定の場所の近傍にいる歩行者に関する歩行者情報を含んでもよい。歩行者情報は、所定の場所の近傍の端末から情報取得部が取得する情報であってもよい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面が既定の形状を有する居住可能な箱体と、
前記内面に映像を投影する投影装置と、
を備える構造体であって、
前記投影装置は、前記形状に適合するようにあらかじめ設計された投影パターンで前記内面に光を照射することにより、意図された前記映像を前記内面に投影する、構造体。
【請求項2】
前記映像は、前記内面の位置よりも外側に位置する仮想物体を表現する、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記映像は、前記内面の位置よりも内側に位置する仮想物体を表現する、請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
前記映像は、前記内面の位置の物体の質感または模様を表現する、請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
前記投影装置は、複数の前記映像のうちの一つを選択的に投影する、請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記箱体の使用状況を検出する検出部を備え、
前記投影装置は、前記検出部により検知される前記使用状況に応じて、前記映像の投影の有無または前記映像の投影状態を切り換える、請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
前記検出部は、前記構造体の内部に位置する人や物体の存在を検知し、
前記投影装置は、前記検出部における検知結果に基づいて、前記構造体の内部にいる人や物体の影の有無を制御する、請求項6に記載の構造体。
【請求項8】
物体に光を照射する照射部と、
前記照射部から照射される光を制御することにより、前記物体に映像を投影させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記映像が前記物体の位置よりも手前側に位置する仮想物体を表現するように、前記照射部を制御する、投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構造体および投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、宿泊施設においてプロジェクションマッピング装置によって部屋の壁部、天井などに選択されたコンテンツが投影されるコンテンツ提供システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-026492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、部屋の形状に適合するようにあらかじめ設計された投影パターンを投影することを意図していない。このため、部屋の形状を利用した演出を行うことはできない。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、部屋の形状を利用した演出を可能とする構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、
内面が既定の形状を有する居住可能な箱体と、
前記内面に映像を投影する投影装置と、
を備える構造体であって、
前記投影装置は、前記形状に適合するようにあらかじめ設計された投影パターンで前記内面に光を照射することにより、意図された前記映像を前記内面に投影する、構造体が提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本発明によれば、部屋の形状を利用した演出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施例の構造体を上方から視た図である。
図2】第1の実施例の構造体を図1のII-II線方向から視た図である。
図3】投影装置の制御に係る制御系の構成を示す図である。
図4】箱体の内面に形成された凹凸面に映像を投影する例を示す図である。
図4A】箱体に仮想窓を設ける例を示す図である。
図5】仮想窓Wに投影される風景の要素の投影像を例示する図である。
図5A】箱体の内部にいる人、仮想物体および窓の位置関係を示す図である。
図6】実際の物体よりも手前側に仮想物体を出現させる例を示す図である。
図6A】実際の物体よりも手前側に仮想物体を出現させる例を示す図である。
図6B】実際の物体よりも手前側に仮想物体を出現させる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0010】
以下、構造体および投影装置の実施例について説明する。
【0011】
本開示による構造体および投影装置は、例えば、頻繁な引っ越しを伴う生活を送る人にとって、好適な居住空間を提供することができる。例えば、特定の場所やオフィスを持たずに仕事をするノマド生活に代表されるようなワークスタイルの者にとって、引っ越しの手間は負担となりがちであり、また、慣れた居住空間を手放すことに対する抵抗感も生じがちである。
【0012】
このような場合に、自分が好む居住空間を居住地と無関係に容易に構築することができれば、非常に便利であり、負担の少ない快適な生活を実現できる。例えば、部屋の内装や照明器具などの家具、窓から見える景色などを自由に選択することができれば、快適な生活を送ることができる。例えば、引っ越し後も自分の好きな内装などを継続的に選択することができ、あるいは、その日の気分に応じて、内装などを切り替えることもできる。また、対象の空間はキャンピングカーの様に移動式のものであっても良い。その他、適する空間としては、災害時の仮設住宅、カプセルホテル、病室、介護施設の部屋、等も例示できる。住み慣れた空間を演出することで良い心理的な効果が期待できる。
【0013】
また、引っ越しに関係する手間や抵抗感などの解消にとどまらず、居住空間や宿泊施設の部屋において、仮想空間を自由に演出することができれば、居住者や宿泊者に快適性や楽しさを提供することができる。
【0014】
以下、本開示に係る構造体および投影装置について、具体的な実施例について説明する。
【0015】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例の構造体を上方から視た図、図2は、第1の実施例の構造体を図1のII-II線方向から視た図、図3は、投影装置の制御に係る制御系の構成を示す図である。
【0016】
図1図3に示すように、本実施例の構造体100(図1および図2)は、内面10Aが規定のサイズの直方体形状を有する居住可能な箱体10と、その内面10Aに映像を投影する投影装置50(図3)と、を備える。箱体10は、内部の人90にとっての部屋としての機能を有する。
【0017】
投影装置50は、箱体10の内面10Aの形状に適合するようにあらかじめ設計された投影パターンで内面10Aに光を照射することにより、意図された映像を内面10Aに投影する。内面10Aは、映像が投影されるスクリーンとして機能するため、白色など、比較的、明るい色彩を有する反射性の材料で形成される。
【0018】
図1および図2に示すように、箱体10の内面10Aは、4つの壁面11~14と、天井面15と、床面16とを含んで構成される。
【0019】
また、箱体10には、人90が通るための開口を形成することができる。図1の例では、壁面13に開口100Aが、壁面14に開口100Bが、それぞれ形成されている。開口100Aおよび開口100Bは、人90の出入り口として機能する。箱体10は、他の箱体(箱体10と異なる箱体を含む)と連結することができ、この場合、開口100Aまたは開口100Bを介して、当該他の箱体との間で人90が行き来することができる。また、開口100Aおよび開口100Bには、ドアを設置することができる。
【0020】
図1および図2に示すように、箱体10の各部には、箱体10の内面10Aに映像を投影するための投影装置50の照射部51a、51b、・・・が取り付けられている。例えば、図1および図2において、天井面15には、壁面11に映像を投影するための照射部51aおよび照射部51bが取り付けられている。また、天井面15に映像を投影するための照射部51cおよび照射部51dが、それぞれ壁面13および壁面11に取り付けられている。なお、図1および図2の例では、照射部51aからの投影と、照射部51bからの投影は、それぞれ壁面11の全面における映像をカバーしている。
【0021】
図1および図2には示していないが、箱体10の各部には、壁面12、壁面13および壁面14に映像を投影するための照射部(不図示)が取り付けられる。さらに、箱体10の各部に、床面16に映像を投影するための照射部が設置(不図示)されてもよい。
【0022】
図1および図2に示すように、天井面15の四隅の近傍には、箱体10の内部の状態を検出するための検出部としてのセンサ40(図3)が取り付けられている。センサ40の種類は任意であるが、例えば、センサ40は可視光または赤外線を捉えるカメラであり、箱体10の内部にいる人90(図2)の有無、およびその人90の位置、姿勢を検知するために使用される。箱体10に取り付けられるセンサ40の個数は任意である。
【0023】
図3に示すように、投影装置50は、照射部51a、51b、・・・と、映像の投影に必要な画像データを格納する画像データ格納部53と、投影装置50における投影動作を制御する投影制御部55と、を備える。画像データ格納部53の画像データは、テンプレート化され、画像データ格納部53に格納された画像データを選択し、組み合わせ、あるいは編集することで、箱体10の内部を様々な部屋として演出することができる。例えば、部屋(箱体10)によって異なる画像データの組み合わせを適用することにより、部屋ごとに異なる投影状態を獲得することができる。また、画像データの組み合わせを保存しておけば、例えば、引越後の新たな部屋(箱体10)においてその画像データを適用することにより、同一の投影状態を容易に得ることができる。このため、転居前の慣れた居住空間を、転居後の部屋にそのまま維持することも可能となる。画像データ格納部53に格納される画像データは、逐次、追加、更新することができる。
【0024】
本実施例では、箱体10の各部には、照射部51a、51b、・・・を取り付けるための取付部(不図示)が設けられる。この取付部は、映像が正しい位置に投影されるという意味で、照射部51a、51b、・・・の取付位置および取付角度に要求される精度が担保されるように形成することができる。この場合、取付部に照射部51a、51b、・・・を取り付けることにより、照射部51a、51b、・・・の位置および角度が自動的に正しく規定される。したがって、現場における照射部51a、51b、・・・の位置調整等の作業を行うことなく、あるいは簡単な調整作業により、あらかじめ設計された投影パターンが正しく内面10Aに投影される。例えば、壁面11のための映像が、壁面11からずれた位置に投影されることなく、無調整で、あるいは簡単な調整で、正しい位置に、正しい投影像が投影される。
【0025】
また、センサ40の取付位置および取付角度も、照射部51a、51b、・・・と同様に管理することができる。この場合、センサ40を箱体10の取付部(不図示)に取り付けるだけで、例えば、センサ40を介して検知される人90の位置(座標)に対し、要求される検知精度を担保できるようにしてもよい。
【0026】
図3に示すように、投影装置50は、投影制御部55に制御指令を与えるメイン制御部60により制御される。メイン制御部60には、上記のセンサ40と、センサ40により取得される画像を認識する画像認識部41と、端末30(図2)との間での通信を行う通信部61と、各種の操作を受け付ける操作部62と、メイン制御部60における制御状態等を表示する表示部63と、映像の投影に用いられるデータが保存される記憶部64と、が接続される。
【0027】
後述するように、操作部62や通信部61を介する設定内容は、記憶部64に保存され、投影される映像に反映される。また、センサ40により取得された画像は、画像認識部41により分析される。また、その分析結果に応じて、メイン制御部60および投影制御部55による制御に従い、映像の投影の有無や投影状態が切り替えられる。
【0028】
箱体10の内面10Aに投影される映像の内容は任意であるが、例えば、壁紙、材質、構造などを模した質感や模様を映像により演出することができる。このような質感や模様は、操作部62(図3)に対する操作により、例えば、壁面(壁面11、壁面12、・・・)、天井面15、床面16ごとに選択することができる。
【0029】
図4は、箱体の内面に形成された凹凸面に映像を投影する例を示す図である。
【0030】
図4に示すように、例えば、壁面11などから箱体10の内側に向けて突出する突出部76や突出部77を箱体10の内面10Aの一部として設け、凹凸面を有する突出部76や突出部77に映像を投影してもよい。なお、突出部76や突出部77は、例えば、3Dプリンターなどを用いて形成することも可能である。
【0031】
図4の例では、突出部76は、絵画を納めた額縁を模した形状とされ、投影される映像により、領域76aには絵画を、領域76bには額縁を、それぞれ表現することができる。また、図4の例では、突出部77は、床置きの照明器具(スタンド)を模した形状とされ、投影される映像(光)により、照明光により浮かび上がる傘などを表現することができる。
【0032】
これらの場合、突出部76や突出部77の位置、突出部76や突出部77に投影すべき映像は、例えば、操作部62(図3)に対する操作により設定できる。突出部76や突出部77の位置が設定される場合、壁面11に投影される模様は、突出部76や突出部77の部分についてはブランクとなり、絵画や照明器具を表現する映像に置換される。
【0033】
同様の方法により、例えば、天井面15に取り付けられるシャンデリアなどの照明器具を演出することもできる。なお、これらの照明器具に係る演出として、点灯時だけでなく消灯時の照明器具を表現可能とし、所定操作、例えば端末30に対する操作により、通信部61を介して演出状態(点灯・消灯)を設定することにより、演出状態を切り替え可能としてもよい。
【0034】
図4Aは、箱体に仮想窓を設ける例を示す図である。
【0035】
図4Aに示すように、例えば、壁面11などの内面10Aに映像を投影することにより、仮想窓Wを演出することができる。例えば、仮想窓Wの位置とサイズを操作部62に対する操作により設定すると、仮想窓Wの領域に窓枠と、窓を通して見える箱体10の外側にある物体(景色など)などが、映像として演出される。映像は、動画を含んでいてもよい。この場合も、壁面11に投影される模様などは、仮想窓Wの部分についてはブランクとなり、窓枠と景色等を表現する映像に置換される。窓枠の種類や、窓から見える景色なども操作部62等に対する操作により選択、設定することができる。
【0036】
このような仮想窓Wが演出されている場合、仮想窓Wの領域に照射部(不図示)を設置してもよい。この場合、照射部から箱体10の内部に向けて光を照射することにより、太陽光などを演出できる。例えば、仮想窓Wから差し込む朝日、夕日、月光などを演出してもよい。
【0037】
仮想窓Wのサイズを拡大し、例えば、壁面11、壁面12、壁面13、壁面14および天井面15に及ぶ領域に仮想窓Wを設けることにより、屋外にいる状態、あるいは全面ガラス張りの家にいる状態を演出することもできる。
【0038】
本実施例では、センサ40により取得された箱体10内の画像は、画像認識部41により分析され、箱体10の内部における人90や物体の有無および人90や物体の位置など、箱体10の使用状況が検知される。なお、複数のセンサ40により人90や物体が同時に撮影されることにより、それらの位置は3次元の座標として検知され、姿勢や形状の検知も可能となる。
【0039】
箱体10の内部に人90がいないことが検知されている場合、箱体10における映像の投影を停止することができる。これにより、映像の投影に要する消費電力を抑制できる。
【0040】
また、センサ40により取得された画像に基づく分析結果に応じて、箱体10における映像の投影を切り替えることができる。例えば、箱体10の内部にいる人90や物体の位置によっては、照射部51aから照射される光がそれらに当たり、人90や物体の影が壁面11に形成される。本実施例では、そのような影が不都合であれば、照射部51aから照射される光が当たる位置に人90や物体が入った場合、あるいはその位置に人90や物体が接近した場合に、照射部51aからの照射を停止させ、照射部51bからの照射に切り替えることができる(図1図2)。この場合、照射部51aからの光の照射により得られる映像と、照射部51bからの光の照射により得られる映像とが同じであれば、壁面11の投影像は、照射状態を切り替えてもそのまま維持される。
【0041】
また、センサ40により取得された画像に基づき、開口100Aまたは開口100Bに設置されたドアの開閉状態を検知し、検知結果に応じて映像の投影を切り替えてもよい。例えば、ドアが完全に閉じられている場合のみ、開口100Aまたは開口100Bの領域に映像を投影し、ドアが開かれたときには、開口100Aまたは開口100Bの領域の映像をブランクとしてもよい。このように、箱体10の使用状況に応じて、映像の投影状態を切り替えることができる。なお、ドアの開閉を検出する手段は任意であり、センサ40以外の任意のセンサを使用できる。
【0042】
構造体100の外周面に投影像を投影する照射部(照射部51a、51b、・・・と同様の照射部)を設置してもよい。この場合には、箱体10の内面10Aと同様、構造体100の外周面に投影像を投影することにより、仮想の建物を出現させることができる。投影像に応じて、自由な外観の仮想の建物をデザインし、出現させることができる。
【0043】
(第2の実施例)
次に、図5および図5Aを参照して、第2の実施例について説明する。
【0044】
図5は、仮想窓Wに投影される風景の要素の投影像を例示する図、図5Aは、箱体の内部にいる人、仮想物体および窓の位置関係を示す図である。
【0045】
図5Aに示すように、箱体10の内部で人90の頭が地点P0から地点P1まで移動した場合、図5に示すように、仮想窓Wに投影される風景内の仮想物体74の位置を移動させてもよい。図5において実線で示す仮想物体74の位置は、人90の頭が地点P0にある場合に相当する。また、図5において点線で示す仮想物体74の位置は、人90の頭が地点P1にある場合に相当する。
【0046】
本実施例では、箱体10の内にいる人90の頭の座標は、センサ40を介して検知される。そして、図5Aに示す仮想物体74の位置と検知される人90の頭の位置とを結ぶ線と、仮想窓Wとが交差する位置が、仮想物体74の投影位置としてメイン制御部60または投影制御部55において算出される。このように算出される仮想物体74の投影位置を仮想窓Wの中でリアルタイムに移動させることにより、人90の頭(視点)の移動に合わせて、仮想物体74の投影位置を適切に制御できる。したがって、仮想窓Wに投影される風景を、あたかも実際の窓から見える風景のように、視点に応じてリアルに変化させることができる。例えば、仮想窓Wに投影される風景を、その座標が特定された仮想物体(仮想物体74などの仮想物体)の集合としての仮想モデル(3次元モデル)として構築されている場合には、すべての仮想物体の投影位置を正確に制御できる。すなわち、視点の移動に応じて、仮想窓Wの近くにある仮想物体はゆっくりと移動し、仮想窓Wの遠くにある仮想物体は速く移動するように投影像が制御される。
【0047】
なお、仮想窓Wに投影される風景を構成する仮想物体のすべてが仮想窓から離れた位置に存在するものについては、投影される風景の全体を仮想窓Wに対してシフトしてもよい。すなわち、個々の仮想物体ごとに、シフト量を算出する必要はない。この場合には、仮想モデルの存在しない、例えば、写真や動画等に基づく画像を仮想窓Wに投影する場合であっても、人90(視点)の移動に合わせて、風景の投影位置を移動させることが可能となる。
【0048】
(第3の実施例)
次に、図6図6Bを参照して、第3の実施例について説明する。
【0049】
図6図6Bは、実際の物体よりも手前側に仮想物体を出現させる例を示す図である。
【0050】
図6では、例えば、開口100Aまたは開口100B(図1)に相当する開口70にドアが設置される例を示している。この例では、ドアが開いた状態において、ドアの縦枠71の内側表面71aよりも内側に、縦枠71の仮想表面71bが位置づけられるように、縦枠71および床面16に映像が投影される。このような投影像は、メイン制御部60および投影制御部55の制御に基づき、画像データ格納部53に格納された所定の画像データを選択し、照射部(不図示)による投影を行うことで得られる。
【0051】
図6Aでは、ドアが開いた状態において、ドアの下枠72および床面16に映像を投影することにより、実際よりも縦横方向に拡大された仮想の下枠72aが表現される。
【0052】
また、図6Bでは、ドアが開いた状態において、ドアの下枠72および床面16に映像を投影することにより、実際よりも縦方向に拡大された仮想の下枠72bが表現される。
【0053】
このように、実際の物体よりも手前側に仮想物体を出現させることにより、歩いている人90が足指などを物体(縦枠71、下枠72)に接触させることを効果的に抑制できる。例えば、人間は自分の足の小指の位置を正しく認識していないなどと言われており、意図せず足の小指を物体にぶつけて痛い思いをすることがある。しかし、視覚的な錯覚を利用して仮想物体を実際の物体よりも手前側に設定することにより、このようなことがなく、快適に生活することができる。
【0054】
以上説明したように、上記実施例によれば、部屋(箱体)の形状を利用した様々な演出を行うことができる。
【0055】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素の全部または複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 箱体
10A 内面
11~14 壁面
15 天井面
16 床面
30 端末
40 センサ
50 投影装置
51a~51d 照射部
55 投影制御部
60 メイン制御部
100 構造体
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図5A
図6
図6A
図6B