(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136722
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】歯科用ハンドピース
(51)【国際特許分類】
A61C 1/08 20060101AFI20240927BHJP
A61C 1/12 20060101ALI20240927BHJP
A61C 1/05 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61C1/08 F
A61C1/12
A61C1/05 A
A61C1/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047932
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】502080704
【氏名又は名称】長田電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 彰人
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA10
4C052BB03
4C052CC02
4C052CC21
4C052CC30
4C052EE03
4C052EE04
4C052GG09
(57)【要約】
【課題】逆止弁を有する軸受に軸支された羽根車付きチャックとハウジングとの間に侵入した口腔内異物が残留しにくい歯科用ハンドピースを提供すること。
【解決手段】圧縮空気用通気路140から供給される駆動用圧縮空気DAを羽根車付きチャック132の羽根車132bに噴射して切削工具Bを回転させて患者の歯質を切削する歯科用ハンドピース100であって、ヘッド部130が、ハウジング131に内蔵されて羽根車付きチャック132のチャック132aを囲繞すると共に軸受133よりも下流側に配置される流路部材136を有し、給水路160からヘッド部130に供給される気液混合水MWが、流路部材136を通過して円環状隙間138から切削工具Bの外方突出側に向けて円筒状に噴出される。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削工具の基端部を内挿して把持する円筒状チャックおよび該円筒状チャックの胴体部分に外嵌された羽根車を有する羽根車付きチャックと前記羽根車付きチャックの羽根車の上下に配置されて前記羽根車付きチャックの円筒状チャックを回転自在に軸支する軸受と該軸受を内蔵するハウジングとを有するハンドピース先端側のヘッド部と、該ヘッド部に連結されて術者が把持する把持部とを備え、
前記軸受が、前記羽根車付きチャックを内挿する内輪と、該内輪の外方に配置される外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置されて前記内輪を前記外輪に対して回動自在とする転動体と、前記内輪と前記外輪との間に配置されて前記ハウジングと前記羽根車付きチャックとの間に形成された空気室内への異物の混入を防ぐ逆止弁とを有し、
前記把持部の内部には、歯科治療ユニット本体から供給される駆動用圧縮空気を前記ヘッド部に供給する圧縮空気用通気路および前記歯科治療ユニット本体から供給される洗浄水を前記ヘッド部に供給する給水路が通っており、
前記圧縮空気用通気路から供給される前記駆動用圧縮空気を前記羽根車付きチャックの羽根車に噴射して前記切削工具を回転させて患者の歯質を切削する歯科用ハンドピースであって、
前記ヘッド部が、前記ハウジングに内蔵されて前記羽根車付きチャックの円筒状チャックを囲繞すると共に前記軸受よりも下流側に配置される流路部材を有し、
前記給水路から前記ヘッド部に供給される洗浄水が、前記流路部材を通過して前記流路部材と前記羽根車付きチャックの円筒状チャックとの間に形成された円環状隙間から前記切削工具の外方突出側に向けて円筒状に噴出されることを特徴とする歯科用ハンドピース。
【請求項2】
前記流路部材が、前記給水路と連通して前記洗浄水の流れる洗浄水流路を有し、
前記洗浄水流路から前記円環状隙間に向けて放出される洗浄水の旋回方向が、前記駆動用圧縮空気の噴射による前記羽根車付きチャックの回転方向と逆方向であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
【請求項3】
前記把持部の内部には、前記歯科治療ユニット本体から供給される補助空気を前記ヘッド部に供給する補助空気用通気路が通っており、
前記流路部材が、前記補助空気用通気路と連通して前記補助空気の流れる補助空気流路を有し、
前記補助空気用通気路から前記流路部材の補助空気流路に供給される前記補助空気が、前記流路部材内で前記洗浄水と混合して前記円環状隙間から気液混合水として前記切削工具の外方突出側に向けて円筒状に噴出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯科用ハンドピース。
【請求項4】
前記軸受の外輪と前記ハウジングとの間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯科用ハンドピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用ハンドピースに関するものであって、特に、切削工具を圧縮空気で高速回転させる歯科用ハンドピースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、「バー」とよばれる切削工具が装着されるヘッド部と術者が把持する把持部とからなり、患者の歯質を削る歯科用ハンドピースとして、バーを歯科治療ユニット本体から供給される圧縮空気で高速回転させて患者の歯質を切削する「エアタービン」と呼ばれる歯科用ハンドピースが存在している(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の歯科用ハンドピースは、バーをローター(羽根車)と一体になったチャックに保持し、ローターに直接圧縮空気を噴射することでローターを高速回転させてバーを高速回転させている。
このバーを保持したチャックは歯科用ハンドピースのハウジングに固定されたボールベアリングにより自転自在に支持されているため、ローターに噴射される圧縮空気の一部がボールベアリングの内輪と外輪との間を通ってヘッド部から外部に漏出する。
このような歯科用ハンドピースにおいて、ローターへの圧縮空気の噴射を中止した後もローターの慣性によりバーが惰性で回転し続けてしまうため、患者の口腔内を傷つけたり、ヘッド部の内部が負圧になってヘッド部周辺の口腔内異物がヘッド部内に吸い込まれるサックバック現象が発生したりしてしまう虞がある。
【0004】
そこで、ボールベアリングの内輪と外輪とのあいだにゴムシール(逆止弁)を内蔵した歯科用ハンドピースであって、ローターへ圧縮空気が噴射されている間は圧縮空気によってゴムシールが内輪から離間して内輪(すなわち、チャック)が回転するが、ローターへの圧縮空気の噴射が中止させるとゴムシールが内輪に当接して内輪(すなわち、チャック)の回転が停止する歯科用ハンドピースが知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】https://www.nsk.com/jp/company/news/2022/1018a.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した逆止弁を有するボールベアリングを備えた歯科用ハンドピースによれば、ローターへの圧縮空気の噴射を中止するとゴムシールが内輪に当接してバーの回転が止まるため、患者の口腔内への損傷やサックバック現象の発生やローターへの口腔内異物の付着を抑制できるものの、ゴムシールより下流側の流路に口腔内異物が侵入して残留する虞があった。
【0008】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、逆止弁を有する軸受に軸支された羽根車付きチャックとハウジングとの間に侵入した口腔内異物が残留しにくい歯科用ハンドピースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、切削工具の基端部を内挿して把持する円筒状チャックおよび該円筒状チャックの胴体部分に外嵌された羽根車を有する羽根車付きチャックと前記羽根車付きチャックの羽根車の上下に配置されて前記羽根車付きチャックの円筒状チャックを回転自在に軸支する軸受と該軸受を内蔵するハウジングとを有するハンドピース先端側のヘッド部と、該ヘッド部に連結されて術者が把持する把持部とを備え、前記軸受が、前記羽根車付きチャックを内挿する内輪と、該内輪の外方に配置される外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置されて前記内輪を前記外輪に対して回動自在とする転動体と、前記内輪と前記外輪との間に配置されて前記ハウジングと前記羽根車付きチャックとの間に形成された空気室内への異物の混入を防ぐ逆止弁とを有し、前記把持部の内部には、歯科治療ユニット本体から供給される駆動用圧縮空気を前記ヘッド部に供給する圧縮空気用通気路および前記歯科治療ユニット本体から供給される洗浄水を前記ヘッド部に供給する給水路が通っており、前記圧縮空気用通気路から供給される前記駆動用圧縮空気を前記羽根車付きチャックの羽根車に噴射して前記切削工具を回転させて患者の歯質を切削する歯科用ハンドピースであって、前記ヘッド部が、前記ハウジングに内蔵されて前記羽根車付きチャックの円筒状チャックを囲繞すると共に前記軸受よりも下流側に配置される流路部材を有し、前記給水路から前記ヘッド部に供給される洗浄水が、前記流路部材を通過して前記流路部材と前記羽根車付きチャックの円筒状チャックとの間に形成された円環状隙間から前記切削工具の外方突出側に向けて円筒状に噴出されることにより、前述した課題を解決するものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された歯科用ハンドピースの構成に加えて、前記流路部材が、前記給水路と連通して前記洗浄水の流れる洗浄水流路を有し、前記洗浄水流路から前記円環状隙間に向けて放出される洗浄水の旋回方向が、前記駆動用圧縮空気の噴射による前記羽根車付きチャックの回転方向と逆方向であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された歯科用ハンドピースの構成に加えて、前記把持部の内部には、前記歯科治療ユニット本体から供給される補助空気を前記ヘッド部に供給する補助空気用通気路が通っており、前記流路部材が、前記補助空気用通気路と連通して前記補助空気の流れる補助空気流路を有し、前記補助空気用通気路から前記流路部材の補助空気流路に供給される前記補助空気が、前記流路部材内で前記洗浄水と混合して前記円環状隙間から気液混合水として前記切削工具の外方突出側に向けて円筒状に噴出されることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1または請求項2に記載された歯科用ハンドピースの構成に加えて、前記軸受の外輪と前記ハウジングとの間に隙間が形成されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明の歯科用ハンドピースによれば、ヘッド部が、ハウジングに内蔵されて羽根車付きチャックの円筒状チャックを囲繞すると共に軸受よりも下流側に配置される流路部材を有し、給水路からヘッド部に供給される洗浄水が、流路部材を通過して流路部材と羽根車付きチャックの円筒状チャックとの間に形成された円環状隙間から切削工具の外方突出側に向けて円筒状に噴出されることにより、軸受よりも下流側に配置された流路部材から洗浄水が円環状隙間の全周域に亘って供給されるため、軸受よりも下流側の円環状隙間が洗浄水で満たされて、逆止弁を有する軸受に軸支されたチャックとハウジングとの間に侵入した口腔内異物が残留しにくくなるだけでなく、ヘッド部から洗浄水が円環状に噴出されるため、切削工具のどこで患者の歯質と接触したとしても、切削面を確実に冷却することができる。
【0014】
請求項2に係る発明の歯科用ハンドピースによれば、請求項1に係る発明の歯科用ハンドピースが奏する効果に加えて、洗浄水流路から円環状隙間に向けて放出される洗浄水の旋回方向が、駆動用圧縮空気の噴射による羽根車付きチャックの回転方向と逆方向であることにより、円環状隙間に流入した洗浄水の旋回速度が羽根車付きチャックの回転により減速されるため、円環状隙間から噴出された洗浄水が患者の患部に着水するまでの間に洗浄水の拡散を抑制することできる。
【0015】
請求項3に係る発明の歯科用ハンドピースによれば、請求項1または請求項2に係る発明の歯科用ハンドピースが奏する効果に加えて、補助空気用通気路から流路部材の補助空気流路に供給される補助空気が、流路部材内で洗浄水と混合して円環状隙間から気液混合水として切削工具の外方突出側に向けて円筒状に噴出されることにより、円環状隙間から洗浄水のみ噴出する場合に比べて、円環状隙間から噴出される流体の流速が早くなるため、円環状隙間から噴出された流体が患者の患部に着水するまでの間に流体の拡散を抑制することできる。
【0016】
請求項4に係る発明の歯科用ハンドピースによれば、請求項1または請求項2に係る発明の歯科用ハンドピースが奏する効果に加えて、軸受の外輪とハウジングとの間に隙間が形成されていることにより、患者の歯質等の切削対象物に切削工具が当接した際の切削対象物から加わる反力で羽根車付きチャックが移動して切削対象物と切削工具とが当接する領域付近の円環状隙間の幅が大きくなり、円環状隙間における切削対象物と切削工具とが当接する領域付近から噴出される洗浄水の量が円環状隙間における他の領域からよりから噴出される洗浄水の量も多くなるため、切削面近辺に効率よく洗浄水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例である歯科用ハンドピースを有する歯科治療ユニットの斜視図。
【
図8】補助空気および洗浄水の流れを示す
図2の部分断面図。
【
図14】洗浄水および補助空気の流動を示す
図5の要部拡大図。
【
図15】混合室における洗浄水と補助空気との混合を説明する部分断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、切削工具の基端部を内挿して把持する円筒状チャックおよびこの円筒状チャックの胴体部分に外嵌された羽根車を有する羽根車付きチャックと羽根車付きチャックの羽根車の上下に配置されて羽根車付きチャックの円筒状チャックを回転自在に軸支する軸受とこの軸受を内蔵するハウジングとを有するハンドピース先端側のヘッド部と、このヘッド部に連結されて術者が把持する把持部とを備え、軸受が、羽根車付きチャックを内挿する内輪と、この内輪の外方に配置される外輪と、内輪と外輪との間に配置されて内輪を外輪に対して回動自在とする転動体と、内輪と外輪との間に配置されてハウジングと羽根車付きチャックとの間に形成された空気室内への異物の混入を防ぐ逆止弁とを有し、把持部の内部には、歯科治療ユニット本体から供給される駆動用圧縮空気をヘッド部に供給する圧縮空気用通気路および歯科治療ユニット本体から供給される洗浄水をヘッド部に供給する給水路が通っており、圧縮空気用通気路から供給される駆動用圧縮空気を羽根車付きチャックの羽根車に噴射して切削工具を回転させて患者の歯質を切削する歯科用ハンドピースであって、ヘッド部が、ハウジングに内蔵されて羽根車付きチャックの円筒状チャックを囲繞すると共に軸受よりも下流側に配置される流路部材を有し、給水路から前記ヘッド部に供給される洗浄水が、流路部材を通過して流路部材と羽根車付きチャックの円筒状チャックとの間に形成された円環状隙間から切削工具の外方突出側に向けて円筒状に噴出され、逆止弁を有する軸受に軸支された羽根車付きチャックとハウジングとの間に侵入した口腔内異物が残留しにくいものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【実施例0019】
以下、
図1乃至
図15に基づいて、本発明の一実施例である歯科用ハンドピース100を説明する。
【0020】
<1.歯科治療ユニットの概要>
まず、本発明の一実施例である歯科用ハンドピースを有する歯科治療ユニットの斜視図である
図1に基づいて、本発明の一実施例である歯科用ハンドピース100を有する歯科治療ユニット1の概要を説明する。
【0021】
歯科治療ユニット1は、
図1に示すように、患者が着座すると共に着座した患者に処置を施す術者(歯科医師、歯科衛生士等)が使用する歯科治療ユニット本体10と、この歯科治療ユニット本体10に保持された歯科用ハンドピース100とを備えている。
歯科治療ユニット本体10は、患者が着座する歯科治療椅子11と、この歯科治療椅子11の側方に隣接配置されたスピットン12と、このスピットン12に取り付けられたワークテーブル13および無影灯14と、これらの機器の動作を制御する制御装置15とを備えている。
【0022】
歯科治療椅子11は、スピットン12に対して昇降自在となっている。
スピットン12は、患者がうがい等をする際に必要な水を供給するものであり、歯科治療ユニット本体10に供給された商用電源からの電力で駆動する。
また、このスピットン12は、電源、給水源や圧縮空気源等を内蔵するスピットン本体12aと、スピットン本体12aの上部に設けられた給水装置12bと、患者がうがいした水を受ける鉢12cと、スピットン本体12aの上部に設けられて鉛直方向に伸びる支柱12dとを有している。
【0023】
ワークテーブル13は、支柱12dに取り付けられたワークテーブル用アーム12d1に取り付けられており、歯科用ハンドピース100や種々の歯科用インスツルメントを保持している。
無影灯14は、歯科治療椅子11に向けて光を照射するものであり、制御装置15により点滅が制御されている。
制御装置15は、一例として、
図1に示すようにワークテーブル13に組み込まれている。
【0024】
<2.歯科用ハンドピース100>
次に、
図2乃至
図13に基づいて、本発明の一実施例である歯科用ハンドピース100について説明する。
図2は
図1に示す歯科用ハンドピースの側面図であり、
図3は
図2に示す歯科用ハンドピースの底面図であり、
図4は
図3の要部拡大図であり、
図5は
図3のV-V断面図であり、
図6は
図5の要部拡大図であり、
図7は
図2のVII-VII断面図であり、
図8は補助空気および洗浄水の流れを示す
図2の部分断面図であり、
図9は
図8の要部拡大図であり、
図10は
図5に示す流路部材の斜視図であり、
図11は
図10に示す流路部材の断面図であり、
図12は
図11のXII-XII断面図であり、
図13は
図11のXIII-XIII断面図である。
なお、説明のために、
図2では、把持部120および連結部材Hを仮想線(二点鎖線)で示し、
図5では、切削工具Bを仮想線で示している。
【0025】
<2.1.歯科用ハンドピース100の概要>
歯科用ハンドピース100は、歯科治療ユニット本体10から供給される圧縮空気でバーと呼ばれる切削工具を高速回転させて患者の歯質を切削するエアタービンと呼ばれる歯科用ハンドピースであり、
図1に示すように、歯科治療ユニット本体10から伸びる連結部材Hに接続されている。
この連結部材Hの内部は、圧縮空気が流れる圧縮空気ホース、歯科用ハンドピース100から戻ってくる圧縮空気が流れる排気ホース、補助空気が流れる補助空気ホース、洗浄水が流れる洗浄水ホースが配設されていたり、電力線が通されていたりする。
【0026】
そして、この歯科用ハンドピース100は、連結部材Hと後端側が接続される基部110と、この基部110の前端側に連結されて術者が把持する把持部120と、この把持部120の前端側に連結されて歯科用ハンドピース100の外観を形成するハンドピース先端側のヘッド部130とを備えている。
【0027】
<2.2.各部の構造>
<2.2.1.基部>
基部110は、連結部材H内を通っている圧縮空気ホースと接続される圧縮空気用継手(不図示)と、連結部材H内を通っている排気ホースと接続される排気用継手(不図示)と、連結部材H内を通っている補助空気ホースと接続される補助空気用継手(不図示)と、連結部材H内を通っている洗浄水ホースと接続される洗浄水用継手(不図示)と、連結部材H内を通っている電力線に接続され発光自在な発光素子(不図示)とを有している。
【0028】
さらに、この基部110には、
図2に示すように、歯科治療ユニット本体10から供給される駆動用圧縮空気をヘッド部130に供給する圧縮空気用通気路140、歯科治療ユニット本体10から供給される補助空気をヘッド部130に供給する補助空気用通気路150、歯科治療ユニット本体10から供給される洗浄水をヘッド部130に供給する給水路160、導光部材170が接続されている。
圧縮空気用通気路140は、管状の部材であり、後端が基部110の圧縮空気用継手に接続されている。
補助空気用通気路150は、管状の部材であり、後端が基部110の補助空気用継手に接続されている。
給水路160は、管状の部材であり、後端が基部110の洗浄水用継手に接続されている。
導光部材170は、棒状の部材であり、後端が基部110の発光素子と対向しており、発光素子の発光を前端に伝達する。
【0029】
<2.2.2.把持部>
把持部120の内部には、
図2に示すように、圧縮空気用通気路140、補助空気用通気路150、給水路160、導光部材170が通っている。
さらに、把持部120の内部は、歯科治療ユニット本体10から供給されて切削工具Bを高速回転させた後の圧縮空気(排気EA)の排気流路となっている。
【0030】
<2.2.3.ヘッド部>
ヘッド部130は、
図5に示すように、外観を形成するハウジング131と、切削工具Bを着脱自在に把持しつつ自転自在な羽根車付きチャック132と、ハウジング131に内蔵されて羽根車付きチャック132のラジアル荷重を支持する軸受133と、ハウジング131に対する軸受133の位置決めを行うOリング(弾性部材)134と、羽根車付きチャック132による切削工具Bの把持を解除する把持解除部材135と、ハウジング131に内蔵されて気液混合水MWを生成する円環状の流路部材136とを有している。
【0031】
ハウジング131は、
図2および
図4に示すように、後端側が把持部120と接続される円柱状の軸部分131aと、この軸部分131aの先端に形成されて軸部分131aと直交する方向に延びる円筒状の部材収容部分131bとから形成されている。
【0032】
軸部分131aには、
図7に示すような駆動用圧縮空気DAが流れる給気路131a1、
図5に示すような排気EAが流れる排気路131a2、
図8に示すような補助空気SAが流れる補助空気路131a3および洗浄水Wが流れる水路131a4が形成されている。
【0033】
給気路131a1は、
図7に示すように、前端が部材収容部分131bに形成された後述の空気室137と連通し後端が圧縮空気用通気路140の先端と連通している。
排気路131a2は、
図5に示すように、前端が空気室137と連通し後端が把持部120と連通している。
補助空気路131a3は、
図8に示すように、前端が部材収容部分131bに挿入された流路部材136と連通し後端が補助空気用通気路150の先端と連通している。
水路131a4は、
図8に示すように、前端が流路部材136と連通し後端が給水路160の先端と連通している。
【0034】
羽根車付きチャック132は、
図5に示すように、切削工具Bの基端部(切削歯が形成されていない部分)を内挿して把持する有底円筒状のチャック(円筒状チャック)132aと、このチャック132aの外周面の胴体部分に外嵌されてチャック132aと一体となる羽根車132bとを有している。
【0035】
チャック132aは、羽根車132bが取り付けられると共に2つの軸受133により支持される有底円筒状の外側スリーブ132a1と、この外側スリーブ132a1に内挿されて先端の開口から切削工具Bが内挿されると共に後端側(上方)が拡開自在な内側スリーブ132a2と、この内側スリーブ132a2の先端側(下方)に設けられて内側スリーブ132a2が外側スリーブ132a1から抜け出ることを防ぐ抜け止め部材132a3と、外側スリーブ132a1に内挿される共に内側スリーブ132a2の後端側に設けられて内側スリーブ132a2の拡開状態を調整する拡開量調整部材132a4と、内側スリーブ132a2の先端に形成された鍔部分と拡開量調整部材132a4との間に介在し内側スリーブ132a2と拡開量調整部材132a4とを付勢する付勢部材132a5とを有している。
拡開量調整部材132a4は、
図5に示すように、一部が外側スリーブ132a1の上面から突出している。
【0036】
羽根車132bは、ハウジング131の給気路131a1から供給される駆動用圧縮空気DAによって自転軸C回りに自転自在となっている。
【0037】
軸受133は、
図5に示すように、羽根車付きチャック132の羽根車132bの上下にそれぞれ配置され、羽根車付きチャック132のチャック132aを回転自在に軸支している。
そして、羽根車132bの上方に配置された軸受133は、
図5に示すように、ハウジング131の部材収容部分131bとの間に隙間(上部隙間ug)が形成されている。
また、羽根車132bの下方に配置された軸受133についても、
図6に示すように、ハウジング131との間で隙間(すなわち、流路部材136との間で下部隙間dg)が形成されている。
したがって、軸受133は、ハウジング131内を径方向に移動自在となっている。
なお、上部隙間ugの大きさは、下部隙間dgの大きさと等しくなっている。
【0038】
各軸受133は、
図6に示すように、羽根車付きチャック132のチャック132aを内挿する内側の内輪133aと、この内輪133aの外方に配置される外輪133bと、内輪133aと外輪133bとの間に配置されて内輪133aを外輪133bに対して回動自在とする転動体133cと、内輪133aと外輪133bとの間に配置されてハウジング131と羽根車付きチャック132との間に形成された空気室137内への異物の混入を防ぐ逆止弁133dと、この逆止弁133dが内輪133aと外輪133bとの間から脱落することを防ぐストッパー133eとを有している。
逆止弁133dは、
図6に示すように、外輪133b側に固定されており、歯科用ハンドピース100に駆動用圧縮空気DAを供給しない状態では、内輪133aと当接している。
そして、空気室137の内圧が高まると、逆止弁133dと内輪133aとの当接状態が解除され、空気室137内の駆動用圧縮空気DAが内輪133aと外輪133bとの間の隙間から軸受133の外方に漏れ出る。
【0039】
Oリング134は、
図6に示すように、軸受133の外輪133bにおける外側面133b1とハウジング131の上部内周面131b1との間に介在され、軸受133の外側面133b1とハウジング131の上部内周面131b1とに当接している。
したがって、切削工具Bに力が加わって羽根車付きチャック132(すなわち、軸受133)が径方向に移動したとしても、Oリング134の反力により切削工具Bの径方向における初期位置に戻る。
【0040】
把持解除部材135は、
図5に示すように、ハウジング131の部材収容部分131bに嵌め込まれる円筒状のリング状部材135aと、このリング状部材135a内を上下動自在な押下蓋135bと、リング状部材135aに係止され押下蓋135bがリング状部材135aから脱落することを防ぐストッパー135cと、押下蓋135bとストッパー135cとの間に設けられて押下蓋135bを羽根車付きチャック132の拡開量調整部材132a4から遠ざける方向に付勢する板バネ135dとを有している。
このように構成された把持解除部材135において、押下蓋135bを押し下げると、押下蓋135bが羽根車付きチャック132の拡開量調整部材132a4と当接して、拡開量調整部材132a4を押し下げることで内側スリーブ132a2が大きく開き、羽根車付きチャック132による切削工具Bの把持が解除される。
【0041】
流路部材136は、
図5に示すように、ハウジング131の部材収容部分131bに嵌め込まれている。
したがって、流路部材136は、羽根車付きチャック132の羽根車132bの下方に設けた軸受133よりも下流側に配置されている。
【0042】
そして、この流路部材136は、
図10に示すように、円環状の上流側リング136aと、この上流側リング136aを内挿する円環状の下流側リング136bとから構成されている。
このように構成された流路部材136は、羽根車付きチャック132のチャック132aを囲繞している。
【0043】
上流側リング136aは、
図11に示すように、大径の鍔付き大径部分136a1と、この鍔付き大径部分136a1より外径が小径な小径部分136a2と、この小径部分136a2の下部に設けられたテーパ部分136a3とから形成されている。
【0044】
鍔付き大径部分136a1は、直径φoがハウジング131の下部内周面131b2の直径よりもやや大きく、
図6等に示すように、ハウジング131の部材収容部分131bに嵌め込まれている。
したがって、
図6に示すように、流路部材136をハウジング131の下部内周面131b2に嵌め込んだ際に、
図9に示す洗浄水Wが軸受133側に漏れ出すことがない。
【0045】
小径部分136a2は、
図11に示すように、底面に半円状の溝が形成されている。
この溝は、
図12に示すように、平面視において、後述する下流側リング136bの補助空気流路136cと重畳する位置まで延びている。
【0046】
テーパ部分136a3は、
図11に示すように、外径が下方に向かって徐々に小さくなり、内径φiが上下方向に亘って一定となっている。
このテーパ部分136a3の内径φiは、
図5に示すように、羽根車付きチャック132の外側スリーブ132a1の直径より大きくなっている。
【0047】
下流側リング136bは、
図11に示すように、大径の鍔付き大径部分136b1と、この鍔付き大径部分136b1より小径な流路形成部分136b2とから形成されている。
【0048】
鍔付き大径部分136b1は、直径が上流側リング136aの鍔付き大径部分136a1の直径φoと同じであると共にハウジング131の下部内周面131b2の外径より大きくなっており、
図6等に示すように、ハウジング131の部材収容部分131bに嵌め込まれている。
したがって、
図6に示すように、流路部材136をハウジング131の下部内周面131b2に嵌め込んだ際に、
図9に示す補助空気SAが上流側リング136a側に漏れ出すことがない。
【0049】
流路形成部分136b2は、
図11に示すように、内周面が中心に向かって縮経するように傾斜している。
そして、下流側リング136bの流路形成部分136b2の内周面と上流側リング136aのテーパ部分136a3の外周面とのあいだの距離dは、
図11に示すように、下方に向かって徐々に小さくなっている。
また、流路形成部分136b2の下端の内径は、上流側リング136aのテーパ部分136a3の内径φiと同じである。
したがって、
図6に示すように、下流側リング136b(流路部材136)と羽根車付きチャック132との間には円環状の隙間(円環状隙間)138が形成される。
【0050】
さらに、流路形成部分136b2は、
図11および
図13に示すように、外周側から中心に向かってほぼ水平に伸びる貫通孔であり、補助空気用通気路150と連通して補助空気SAの流れる補助空気流路136cを有している。
この補助空気流路136cは、流路形成部分136b2に4つ均等に設けられている。
【0051】
このように構成された流路部材136において、上流側リング136aの小径部分136a2に形成された溝と下流側リング136bの鍔付き大径部分136b1の上面との間で
図9に示すような給水路160と連通して洗浄水Wの流れる洗浄水流路136dが形成される。
【0052】
<3.歯科用ハンドピースの動作>
続いて、
図2、
図5乃至
図15に基づき、歯科用ハンドピース100の動作を説明する。
【0053】
<3.1.切削工具の回転>
まず、
図5乃至
図7に基づいて、切削工具の回転について説明する。
【0054】
歯科治療ユニット本体10から供給される駆動用圧縮空気DAは、
図7に示すように、圧縮空気用通気路140およびハウジング131の給気路131a1を通って羽根車付きチャック132の羽根車132bに噴射される。
羽根車付きチャック132は、この駆動用圧縮空気DAにより
図5に示すように自転軸Cを中心に自転する。
すなわち、羽根車付きチャック132に把持される切削工具Bは、
図7に示すように、時計回りである切削工具Bの回転方向BRに回転する。
【0055】
羽根車付きチャック132を自転させた駆動用圧縮空気DAは、空気室137内に充満される。
この駆動用圧縮空気DAの大半は、
図5に示すように、ハウジング131の排気路131a2を通って把持部120、連結部材Hを経て歯科治療ユニット本体10に還流する。
また、駆動用圧縮空気DAの一部は、空気室137の内圧の高まりによって開いた軸受133の逆止弁133dから流路部材136に向けて排出され、羽根車付きチャック132の外側スリーブ132a1と流路部材136との間の円環状隙間138を通ってヘッド部130から切削工具Bの外方突出側に向けて放出される。
【0056】
<3.2.気液混合水の噴射>
次に、
図5、
図8、
図9、
図14、
図15に基づいて、ヘッド部130から噴出される気液混合水MWについて説明する。
図14は洗浄水および補助空気の流動を示す
図5の要部拡大図であり、
図15は混合室における洗浄水と補助空気との混合を説明する部分断面斜視図である。
【0057】
歯科治療ユニット本体10から供給される洗浄水Wは、
図8に示すように給水路160およびハウジング131の水路131a4を通って、
図9に示すように流路部材136に流入する。
流路部材136に流入した洗浄水Wは、
図9に示すように、ハウジング131、上流側リング136a、下流側リング136bにより形成される上部環状流路136eを通り、
図12に示すように上部環状流路136eと連通する洗浄水流路136dに流入する。
洗浄水流路136dに流入した洗浄水Wは、
図14に示すように、上流側リング136aと下流側リング136bとの間に形成される混合室136fに流入する。
【0058】
歯科治療ユニット本体10から供給される補助空気SAは、
図8に示すように補助空気用通気路150およびハウジング131の補助空気路131a3を通って、
図9に示すように流路部材136に流入する。
流路部材136に流入した補助空気SAは、
図9に示すように、ハウジング131および下流側リング136bにより形成される下部環状流路136gを通り、
図14に示すように下部環状流路136gと連通する補助空気流路136cに流入する。
補助空気流路136cに流入した補助空気SAは、
図14に示すように、混合室136fに流入する。
【0059】
混合室136fに流入した洗浄水Wおよび補助空気SAは、
図14および
図15に示すように、混合室136fで混ざり合って気液混合水MWとなり、混合室136f内を流下りして円環状隙間138から円筒状に噴出される。
すなわち、給水路160からヘッド部130に供給される洗浄水Wと補助空気用通気路150から流路部材136の補助空気流路136cに供給される補助空気SAとが、流路部材136の混合室136fで混合されて円環状隙間138から気液混合水MWとして混合室136f内などに残留した口腔内異物を洗い落としつつ切削工具Bの外方突出側に向けて円筒状に噴出される。
【0060】
なお、
図12に示すように洗浄水流路136dがテーパ部分136a3の内周に対して接線方向に延びているため、
図15に示すように混合室136fに流入する洗浄水Wは旋回流となる。
この旋回流の旋回方向WRは、
図15に示すように、反時計回りである。
したがって、流路部材136の洗浄水流路136dから円環状隙間138に向けて放出される気液混合水MW(すなわち、洗浄水W)の旋回方向WRは、駆動用圧縮空気DAの噴射による切削工具B(すなわち、羽根車付きチャック132)の回転方向BRと逆方向になっている。
【0061】
また、羽根車付きチャック132がハウジング131内で径方向に移動自在となっているため、切削対象物(患者の歯質、詰め物など)を切削している際に、反力で羽根車付きチャック132が自転軸Cから偏心すると、切削対象物と接触している側の円環状隙間138の大きさが患者の歯質と接触している側と反対側の円環状隙間138の大きさよりも小さくなる。
そして、隙間が大きい部分(患者の歯質と接触している側)から噴出される気液混合水MWの量は、隙間が小さい部分(患者の歯質と接触している側と反対側)から噴出される気液混合水MWの量よりも大きくなる。
【0062】
<4.歯科用ハンドピース100が奏する効果>
以上説明した本実施例の歯科用ハンドピース100によれば、ヘッド部130が、ハウジング131に内蔵されて羽根車付きチャック132の円筒状チャックであるチャック132aを囲繞すると共に軸受133よりも下流側に配置される流路部材136を有し、補助空気用通気路150から流路部材136の補助空気流路136cに供給される補助空気SAが、流路部材136内で洗浄水Wと混合して円環状隙間138から気液混合水MWとして切削工具Bの外方突出側に向けて円筒状に噴出されることにより、軸受133よりも下流側に配置された流路部材136から気液混合水MWが円環状隙間138の全周域に亘って供給されるため、軸受133よりも下流側の円環状隙間138が気液混合水MWで満たされて、逆止弁を有する軸受133に軸支されたチャック132aとハウジング131との間に侵入した口腔内異物が残留しにくくなるだけでなく、ヘッド部130から気液混合水MWが円環状に噴出されるため、切削工具Bのどこで患者の歯質と接触したとしても、切削面を確実に冷却することができる。
さらに円環状隙間138から洗浄水Wのみ噴出する場合に比べて、円環状隙間138から噴出される流体の流速が早くなるため、円環状隙間138から噴出された流体である気液混合水MWが患者の患部に着水するまでの間に気液混合水MWの拡散を抑制することできる。
【0063】
また、洗浄水流路136dから円環状隙間138に向けて放出される気液混合水MWの旋回方向WRが、駆動用圧縮空気DAの噴射による羽根車付きチャック132の回転方向(すなわち、切削工具Bの回転方向BR)と逆方向であることにより、円環状隙間138に流入した気液混合水MWの旋回速度が羽根車付きチャック132の回転により減速されるため、円環状隙間138から噴出された気液混合水MWが患者の患部に着水するまでの間に気液混合水MWの拡散を抑制することできる。
【0064】
さらに、軸受133の外輪133bとハウジング131との間に隙間(上部隙間ug、下部隙間dg)が形成されていることにより、患者の歯質等の切削対象物に切削工具Bが当接した際の切削対象物から加わる反力で羽根車付きチャック132が移動して切削対象物と切削工具Bとが当接する領域付近の円環状隙間138の幅が大きくなり、円環状隙間138における切削対象物と切削工具Bとが当接する領域付近から噴出される気液混合水MWの量が円環状隙間138における他の領域からよりから噴出される気液混合水MWの量も多くなるため、切削面近辺に効率よく気液混合水MWを供給することができる。
【0065】
<変形例>
以上、本発明の一実施例である歯科用ハンドピース100について説明したが、本発明の歯科用ハンドピースは、上述した実施例の歯科用ハンドピース100に限定されるものではない。
【0066】
例えば、上述した実施例では、節水や円環状隙間から噴出される流体の流速を早くするために、補助空気SAを歯科用ハンドピース100に供給していたが、補助空気を歯科用ハンドピース100に供給しなくてもよい。
すなわち、ヘッド部130に洗浄水Wのみを供給し、この洗浄水Wを円環状隙間138から切削工具Bの外方突出側に向けて円筒状に噴出してもよい。