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特開2024-13674伸縮継手装置および伸縮継手装置の組み立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013674
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】伸縮継手装置および伸縮継手装置の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20240125BHJP
   F16L 21/00 20060101ALI20240125BHJP
   F16L 23/032 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F16L27/12 E
F16L21/00 D
F16L23/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115943
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000230526
【氏名又は名称】日本ヴィクトリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】森川 幸典
【テーマコード(参考)】
3H016
3H104
【Fターム(参考)】
3H016AA01
3H016AB06
3H016AC01
3H104JA08
3H104JB05
3H104JC09
3H104JD01
(57)【要約】
【課題】第1管路フランジと第2管路フランジとの間の軸線方向および半径方向のずれを吸収する。
【解決手段】伸縮継手装置10は第1継手配管11と、第2継手配管21とを備える。第2継手配管21は第2継手配管本体22と、偏心フランジ23とを有する。偏心フランジ23外周に複数のボルト穴35が偏心状に形成された調心フランジ30が回転方向に摺動可能に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管路フランジと、第2管路フランジとを接続する伸縮継手装置において、
前記第1管路フランジに接続される固定フランジと、第1継手配管本体とを有する第1継手配管と、
前記第2管路フランジに接続されるとともに偏心状外周面を含む偏心フランジと、第2継手配管本体とを有し、前記第1継手配管に対して軸線方向に摺動可能に取り付けられた第2継手配管と、
前記偏心フランジの前記偏心状外周面に円周方向に沿って摺動自在に取り付けられた円盤状の調心フランジとを備え、
前記調心フランジは前記偏心状外周面に当接する当接内周面を有するとともに、前記第2管路フランジに接続され、
前記調心フランジに複数のボルト穴を前記当接内周面に対して偏心状に形成し、前記調心フランジを前記偏心フランジの前記偏心状外周面上で円周方向に沿って摺動させることにより、前記調心フランジの複数のボルト穴の中心を前記第2継手配管の前記第2継手配管本体の中心に対して離接させた伸縮継手装置。
【請求項2】
前記調心フランジの前記複数のボルト穴の前記当接内周面に対する偏心方向と、前記偏心フランジの前記偏心状外周面の前記第2継手配管本体に対する偏心方向を逆方向に向けたとき、前記調心フランジの複数のボルト穴の中心が前記第2継手配管の前記第2継手配管本体の中心に一致する、請求項1記載の伸縮継手装置。
【請求項3】
前記調心フランジの前記複数のボルト穴の前記当接内周面に対する偏心方向と、前記偏心フランジの前記偏心状外周面の前記第2継手配管本体に対する偏心方向を同一方向に向けたとき、前記調心フランジの複数のボルト穴の中心が前記第2継手配管の前記第2継手配管本体の中心から最も離れる、請求項1または2記載の伸縮継手装置。
【請求項4】
前記第1継手配管本体は、前記第2継手配管本体外面に軸線方向に摺動可能に取り付けられ、前記第1継手配管本体と前記第2継手配管本体との間にパッキンが介在される、請求項1記載の伸縮継手装置。
【請求項5】
前記第1継手配管本体または前記第2継手配管本体に、前記パッキンを保持するパッキン保持部が設けられている、請求項4記載の伸縮継手装置。
【請求項6】
前記調心フランジは前記当接内周面に対して偏心する偏心状外周面を有し、前記調心フランジの前記複数のボルト穴の中心は前記調心フランジの前記偏心状外周面の中心に一致する、請求項1記載の伸縮継手装置。
【請求項7】
前記調心フランジは前記当接内周面に隣接して設けられ、前記偏心フランジを前記第2管路フランジとの間で保持する保持部を有する、請求項1記載の伸縮継手装置。
【請求項8】
請求項1記載の伸縮継手装置の組み立て方法において、
前記第1管路フランジの中心と前記第2管路フランジの中心との間の半径方向のずれ量を求める工程と、
前記第1管路フランジの中心と前記第2管路フランジの中心との間の半径方向のずれ量に基づいて、前記調心フランジを前記偏心フランジの前記偏心状外周面上で円周方向に沿って摺動させて、前記調心フランジの複数のボルト穴の中心と、前記第2継手配管の前記第2継手配管本体の中心との間の距離を定める工程と、
前記伸縮継手装置を前記第1管路フランジと前記第2管路フランジ内に挿入する工程と、
前記第1管路フランジに前記固定フランジを接続し、かつ前記第2管路フランジに前記偏心フランジと前記調心フランジを接続する工程とを備えた、伸縮継手装置の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は第1管路フランジおよび第2管路フランジを接続する伸縮継手装置および伸縮継手装置の組み立て方法に係り、とりわけ第1管路フランジと第2管路フランジとの軸線方向および半径方向ずれを確実に吸収する伸縮継手装置および伸縮継手装置の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より第1管路フランジおよび第2管路フランジを接続する伸縮継手装置が知られている。
【0003】
第1管路フランジおよび第2管路フランジは、例えば既設配管の端部、あるいはポンプ又はバルブの端部に設けられ、伸縮継手装置は配管同士、あるいは配管とポンプ又はバルブを接続するために用いられる。
【0004】
従来から既設配管同士、あるいは配管とポンプ又はバルブを接続するため、配管同士の端部、配管とポンプ又はバルブの端部に設けられた第1管路フランジと第2管路フランジとの間に伸縮継手装置が取り付けられている。
【0005】
しかしながら第1管路フランジと第2管路フランジとの間に軸線方向および半径方向のずれが生じた際、このようなずれを確実に吸収することができる伸縮継手装置は開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3-285137号公報
【特許文献2】特開2005-91215号公報
【特許文献3】特開2004-53317号公報
【特許文献4】特開2004-10355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、第1管路フランジと第2管路フランジとの間に生じる軸線方向および半径方向のずれ量を吸収して第1管路と第2管路とを確実に接続することができる伸縮継手装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、第1管路フランジと、第2管路フランジとを接続する伸縮継手装置において、前記第1管路フランジに接続される固定フランジと、第1継手配管本体とを有する第1継手配管と、前記第2管路フランジに接続されるとともに偏心状外周面を含む偏心フランジと、第2継手配管本体とを有し、前記第1継手配管に対して軸線方向に摺動可能に取り付けられた第2継手配管と、前記偏心フランジの前記偏心状外周面に円周方向に沿って摺動自在に取り付けられた円盤状の調心フランジとを備え、前記調心フランジは前記偏心状外周面に当接する当接内周面を有するとともに、前記第2管路フランジに接続され、前記調心フランジに複数のボルト穴を前記当接内周面に対して偏心状に形成し、前記調心フランジを前記偏心フランジの前記偏心状外周面上で円周方向に沿って摺動させることにより、前記調心フランジの複数のボルト穴の中心を前記第2継手配管の前記第2継手配管本体の中心に対して離接させた伸縮継手装置である。
【0009】
本開示は、前記調心フランジの前記複数のボルト穴の前記当接内周面に対する偏心方向と、前記偏心フランジの前記偏心状外周面の前記第2継手配管本体に対する偏心方向を逆方向に向けたとき、前記調心フランジの複数のボルト穴の中心が前記第2継手配管の前記第2継手配管本体の中心に一致する、伸縮継手装置である。
【0010】
本開示は、前記調心フランジの前記複数のボルト穴の前記当接内周面に対する偏心方向と、前記偏心フランジの前記偏心状外周面の前記第2継手配管本体に対する偏心方向を同一方向に向けたとき、前記調心フランジの複数のボルト穴の中心が前記第2継手配管の前記第2継手配管本体の中心から最も離れる、伸縮継手装置である。
【0011】
本開示は、前記第1継手配管本体は、前記第2継手配管本体外面に軸線方向に摺動可能に取り付けられ、前記第1継手配管本体と前記第2継手配管本体との間にパッキンが介在される、伸縮継手装置である。
【0012】
本開示は、前記第1継手配管本体または前記第2継手配管本体に、前記パッキンを保持するパッキン保持部が設けられている、伸縮継手装置である。
【0013】
本開示は、前記調心フランジは前記当接内周面に対して偏心する偏心状外周面を有し、前記調心フランジの前記複数のボルト穴の中心は前記調心フランジの前記偏心状外周面の中心に一致する、伸縮継手装置である。
【0014】
本開示は、前記調心フランジは前記当接内周面に隣接して設けられ、前記偏心フランジを前記第2管路フランジとの間で保持する保持部を有する、伸縮継手装置である。
【0015】
本開示は、上記記載の伸縮継手装置の組み立て方法において、前記第1管路フランジの中心と前記第2管路フランジの中心との間の半径方向のずれ量を求める工程と、前記第1管路フランジの中心と前記第2管路フランジの中心との間の半径方向のずれ量に基づいて、前記調心フランジを前記偏心フランジの前記偏心状外周面上で円周方向に沿って摺動させて、前記調心フランジの複数のボルト穴の中心と、前記第2継手配管の前記第2継手配管本体の中心との間の距離を定める工程と、前記伸縮継手装置を前記第1管路フランジと前記第2管路フランジ内に挿入する工程と、前記第1管路フランジに前記固定フランジを接続し、かつ前記第2管路フランジに前記偏心フランジと前記調心フランジを接続する工程とを備えた、伸縮継手装置の組み立て方法である。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本開示によれば、第1管路フランジと第2管路フランジとの間に生じる軸線方向および半径方向のずれ量を確実に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は伸縮継手装置の一実施の形態を示す断面図。
図2図2図1の概略断面図。
図3図3は伸縮継手装置の一部破断した側面図。
図4図4図3のIV線方向矢視図。
図5図5は伸縮継手装置を示す断面図。
図6図6図5の概略断面図。
図7図7は半径方向の調整量が0の場合における第2継手配管の偏心フランジと調心フランジを示す正面図。
図8図8は半径方向の調整量が最大の場合における第2継手配管の偏心フランジと調心フランジを示す正面図。
図9図9は伸縮継手装置の組み立て方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<本発明の実施の形態>
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
ここで図1乃至図9は本開示の実施の形態を示す図である。
【0020】
このうち図1は伸縮継手装置の断面図、図2図1の概略断面図、図3は一部破断した側面図、図4図3のIV線方向矢視図、図5は伸縮継手装置の断面図、図6図5の概略断面図、図7および図8は偏心フランジと調心フランジを示す正面図、図9は伸縮継手装置の組み立て方法を示すフローチャートである。
【0021】
図1乃至図4に示すように、本開示による伸縮継手装置10は第1配管1の第1管路フランジ1Aと、第2配管2の第2管路フランジ2Aとを接続するものである。
【0022】
本実施の形態において、第1配管1と第2配管2は既設の配管であって、通常互いに軸線方向および半径方向に沿って基準の設計値に対してずれが生じていることが多い。本実施の形態による伸縮継手装置10は、この第1配管1の第1管路フランジ1Aと第2配管2の第2管路フランジ2Aとの間の軸線方向および半径方向のずれを吸収して、第1管路フランジ1Aと第2管路フランジ2Aを確実に接続するものである。
【0023】
なお、第1管路フランジ1Aおよび第2管路フランジ2Aは、いずれも第1配管1と第2配管2の端部に固着されているが、第1管路フランジ1Aと第2管路フランジ2Aは必ずしも第1配管1と第2配管2の端部に固着されているものに限らず、例えば第1配管1に固着された第1管路フランジ1Aと、ポンプに設けられた第2管路フランジ2Aとの間を伸縮継手装置10により接続してもよい。また第1配管1に固着された第1管路フランジ1Aとバルブに設けられた第2管路フランジ2Aとの間を伸縮継手装置10により接続してもよい。更にポンプに設けられた第1管路フランジ1Aとバルブに設けられた第2管路フランジ2Aとの間を伸縮継手装置10により接続してもよい。
【0024】
このような伸縮継手装置10は第1管路フランジ1Aに接続される固定フランジ13と、第1継手配管本体12とを有する第1継手配管11と、第2管路フランジ2Aに接続される偏心フランジ23と、第2継手配管本体22とを有する第2継手配管21と、偏心フランジ23外周に取り付けられた円盤状の調心フランジ30とを備えている。
【0025】
このうち第1継手配管11の第1継手配管本体12は円筒体からなり、固定フランジ13は円盤状となっている。そして固定フランジ13を第1管路フランジ1Aに当接させる。そして、固定フランジ13と第1管路フランジ1Aは、固定フランジ13のボルト穴13aと第1管路フランジ1Aのボルト穴1aに締結ボルト4を挿入し、この締結ボルト4を締結ナット5により締め付けることにより互いに接続されている。
【0026】
また第2継手配管21の第2継手配管本体22は円筒体からなり、偏心フランジ23は第2継手配管本体22の中心C1に対して偏心する偏心状外周面25を有する。
【0027】
すなわち図1図5および図7乃至図8において、第2継手配管本体22の中心C1が示されており、偏心フランジ23の偏心状外周面25は第2継手配管本体22の中心C1からわずかに偏心する円形形状をもち、偏心状外周面25の中心はC2で示されている。
【0028】
また調心フランジ30は上述のように偏心フランジ23外周に取り付けられた円盤状をなす。また、調心フランジ30は偏心フランジ23の円形形状をもつ偏心状外周面25に当接する当接内周面31と、この当接内周面31に対して偏心する偏心状外周面32とを有する。
【0029】
また調心フランジ30は当接内周面31に対して軸線方向に隣接して設けられた保持部33を有し、この保持部33は、第2継手配管21の偏心フランジ23を第2管路フランジ2Aとの間で挟持する。
【0030】
次に調心フランジ30について更に述べる。
【0031】
調心フランジ30は上記のように偏心フランジ23の円形形状をもつ偏心状外周面25に当接する当接内周面31を有する。この当接内周面31は偏心フランジ23の偏心状外周面25に当接して円周方向に摺動するものであり、偏心フランジ23の偏心状外周面25と同様に同一の中心C2をもつとともに円形形状をもつ。
【0032】
また調心フランジ30の偏心状外周面32は当接内周面31に対して偏心し、当接内周面31の中心C2と異なる中心C3をもつとともに円形状をなす。
【0033】
さらに調心フランジ30には、後述のように第2管路フランジ2Aと接続するための複数、例えば16個のボルト穴35が設けられている。そして各ボルト穴35と第2管路フランジ2Aのボルト穴2a内に締結ボルト6を挿入し、締結ボルト6を締結ナット7により締め付けることにより、調心フランジ30が第2管路フランジ2Aに接続される。
【0034】
本実施の形態において、複数のボルト穴35は調心フランジ30に円周方向に沿って円形状に配置され、複数のボルト穴35は調心フランジ30の偏心状外周面32と同軸状に設けられている。このため複数のボルト穴35は、偏心状外周面32と同一の中心C3をもち、ボルト穴35の中心C3は当接内周面31の中心C2と異なる。このように調心フランジ30の偏心状外周面32および複数のボルト穴35は、当接内周面31に対して偏心している。
【0035】
なお、本実施の形態において、第2継手配管21の第2継手配管本体22の中心C1と、調心フランジ30の当接内周面31の中心C2と、調心フランジ30の偏心状外周面32および複数のボルト穴35の中心C3との関係は、
C2とC1との間の距離t1=C3とC2との間の距離t2
となっている。
【0036】
ところで第1継手配管11の第1継手配管本体12は、第2継手配管21の第2継手配管本体22の外側に位置し、第1継手配管本体12は第2継手配管本体22外面において、軸線方向に摺動可能となっている。
【0037】
また第1継手配管本体12の端部と、第2継手配管本体22外面との間には、円周方向に延びるパッキン17が介在され、このパッキン17は、第1継手配管本体12の第2管路フランジ2A側端部に設けられた固定部16と、固定部16に取付ボルト19により取り付けられた保持体18により保持される。
【0038】
第1継手配管本体12は、第2継手配管本体22の外面に軸線方向に沿って移動可能となっている。
【0039】
このため第1管路フランジ1Aと第2管路フランジ2Aとの間の距離が設計値に比べて増減する場合、第1継手配管11の第1継手配管本体12を第2継手配管21の第2継手配管本体22の外面に沿って軸線方向に移動させて、このようにして第1管路フランジ1Aと第2管路フランジ2Aとの間を伸縮継手装置10により確実に接続することができる。
【0040】
なお、第1継手配管11の第1継手配管本体12は、第2継手配管21の第2継手配管本体22の外側に位置し、第1継手配管本体12は第2継手配管本体22外面において、軸線方向に摺動可能となっている例を示したが、これに限らず、第1継手配管11の第1継手配管本体12を、第2継手配管21の第2継手配管本体22の内側に配置し、第1継手配管本体12を第2継手配管本体22内面において、軸線方向に摺動可能としてもよい。
【0041】
この場合、第2継手配管本体22の端部と、第1継手配管本体12外面との間には、円周方向に延びるパッキン17が介在される。そしてこのパッキン17は、第2継手配管本体22の第1管路フランジ1A側端部に設けられた固定部16と、固定部16に取付ボルト19により取り付けられた保持体18により保持される。
【0042】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について、以下図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず第1管路フランジ1Aの中心と第2管路フランジ2Aの中心との間の半径方向のずれ量を求める。
【0044】
次に工場又は現場において、第1管路フランジ1Aの中心と第2管路フランジ2Aの中心との間の半径方向のずれ量に基づいて、調心フランジ30を第2継手配管21の偏心フランジ23上で円周方向に沿って摺動させ、第1管路フランジ1Aの中心と第2管路フランジ2Aの中心との間の半径方向のずれ量に一致するよう複数のボルト穴35の中心C3と第2継手配管21の第2継手配管本体22の中心C1との間の距離を定める。
【0045】
次に複数のボルト穴35の中心C3と第2継手配管21の第2継手配管本体22の中心C1との間の距離を定める方法を以下説明する。
【0046】
まず図1および図2により、第2継手配管21の第2継手配管本体22の中心C1に対して、複数のボルト穴35の中心C3が同一の場合、すなわち伸縮継手装置10により半径方向の調整量が0の場合について説明する。
【0047】
図1および図2に示すように第2継手配管本体22の中心C1に対して、偏心フランジ23の偏心状外周面25および調心フランジ30の当接内周面31の中心C2は半径方向上方に距離t1だけずれている。
【0048】
このとき図1に示す伸縮継手装置10の上方部では偏心フランジ23の高さHsは最大となり、伸縮継手装置10の下方部では偏心フランジ23の高さHsは最小となる。
【0049】
また図1および図2に示すように、調心フランジ30の複数のボルト穴35および偏心状外周面32の中心C3は、調心フランジ30の当接内周面31および偏心フランジ23の偏心状外周面25の中心C2に対して半径方向下方に距離t2だけずれている。
【0050】
このとき、伸縮継手装置10の上方部では調心フランジ30の当接内周面31と偏心状外周面32との間の長さHfは最小となり、伸縮継手装置10の下方部では調心フランジ30の当接内周面31と偏心状外周面32との間の長さHfは最大となる。
【0051】
上述のようにC2とC1との間の距離t1とC3とC2との間の距離t2は同一となっている。
【0052】
このため偏心フランジ23の偏心状外周面25および調心フランジ30の当接内周面31の中心C2が第2継手配管本体22の中心C1に対して半径方向上方へ距離t1だけずれ、かつ調心フランジ30の複数のボルト穴35および偏心状外周面32の中心C3が調心フランジ30の当接内周面31および偏心フランジ23の偏心状外周面25の中心C2に対して半径方向下方へ距離t2だけずれる。このことにより、結局、ボルト穴35の中心C3は第2継手配管本体22の中心C1に一致する。すなわち伸縮継手装置10の半径方向の調整量は0となる(図1図2および図7参照)。
【0053】
次に図5および図6により、第2継手配管21の第2継手配管本体22の中心C1に対して、複数のボルト穴35の中心C3との間の距離が最大の場合、すなわち伸縮継手装置10により半径方向の調整量を最大とする場合について説明する。
【0054】
図5および図6に示すように第2継手配管本体22の中心C1に対して、偏心フランジ23の偏心状外周面25および調心フランジ30の当接内周面31の中心C2は半径方向下方に距離t1だけずれている。
【0055】
このとき図5に示す伸縮継手装置10の上方部では偏心フランジ23の高さHsは最小となり、伸縮継手装置10の下方部では偏心フランジ23の高さHsは最大となる。
【0056】
また図1および図2に示すように、調心フランジ30の複数のボルト穴35および偏心状外周面32の中心C3は、調心フランジ30の当接内周面31および偏心フランジ23の偏心状外周面25の中心C2に対して半径方向下方に距離t2だけずれている。
【0057】
このとき、伸縮継手装置10の上方部では調心フランジ30の当接内周面31と偏心状外周面32との間の長さHfは最小となり、伸縮継手装置10の下方部では調心フランジ30の当接内周面31と偏心状外周面32との間の長さHfは最大となる。
【0058】
上述のようにC2とC1との間の距離t1とC3とC2との間の距離t2は同一となっている。
【0059】
このため偏心フランジ23の偏心状外周面25および調心フランジ30の当接内周面31の中心C2が第2継手配管本体22の中心C1に対して半径方向下方へ距離t1だけずれ、かつ調心フランジ30の複数のボルト穴35および偏心状外周面32の中心C3が調心フランジ30の当接内周面31および偏心フランジ23の偏心状外周面25の中心C2に対して半径方向下方へ同様に距離t2だけずれる。このことにより、結局、ボルト穴35の中心C3は第2継手配管本体22の中心C1に対してt1+t2だけずれる。すなわち伸縮継手装置10の半径方向の調整量は、最大値のt1+t2となる(図5図6および図8参照)。
【0060】
このように調心フランジ30を第2継手配管21の偏心フランジ23上で円周方向に沿って摺動させ、複数のボルト穴35の中心C3と第2継手配管21の第2継手配管本体22の中心C1との間の距離を定める。
【0061】
この場合、第1継手配管11の第1継手配管本体12は予め第2継手配管21の第2継手配管本体22外面上に摺動し、伸縮継手装置10は軸線方向に沿って縮んだ状態となっている。
【0062】
次に軸線方向に沿って縮んだ状態の伸縮継手装置10を第1管路フランジ1Aと第2管路フランジ2Aとの間に挿入する。この場合、複数のボルト穴35の中心C3と第2継手配管21の第2継手配管本体22の中心C1との間のずれ方向を、第1管路フランジ1Aの中心と、第2管路フランジ2Aの中心との間のずれ方向に合わせる。
【0063】
その後、第1継手配管11の第1継手配管本体12を第2継手配管21の第2継手配管本体22外面上で摺動させ、伸縮継手装置10を軸線方向に沿って引き伸ばす。
【0064】
その後、固定フランジ13のボルト穴13aと第1管路フランジ1Aのボルト穴1aに締結ボルト4を挿入し、この締結ボルト4を締結ナット5により締め付けることにより第1管路フランジ1Aと固定フランジ13を接続する。
【0065】
同様にして第2継手配管21の偏心フランジ23と調心フランジ30を第2管路フランジ2Aに当接させ、調心フランジ30のボルト穴35と第2管路フランジ2Aのボルト穴2aに締結ボルト6を挿入し、この締結ボルト6を締結ナット7により締め付ける。このことにより第2管路フランジ2Aと調心フランジ30を接続することができる。この場合、第2継手配管21の偏心フランジ23は調心フランジ30の保持部33と第2管路フランジ2Aとの間で挟持されて保持される。
【0066】
以上のように本実施の形態によれば、予め、第1管路フランジ1Aの中心と第2管路フランジ2Aの中心との間の半径方向のずれ量を求めておく。次に工場又は現地において第1管路フランジ1Aの中心と第2管路フランジ2Aの中心との間の半径方向のずれ量に基づいて、調心フランジ30を第2継手配管21の偏心フランジ23上で円周方向に沿って摺動させ、複数のボルト穴35の中心C3と第2継手配管21の第2継手配管本体22の中心C1との間の距離を第1管路フランジ1Aの中心と第2管路フランジ2Aの中心との間のずれ量に一致させる。その後、第1管路フランジ1Aに第1継手配管11の固定フランジ13を接続し、第2管路フランジ2Aに偏心フランジ23および調心フランジ30を接続する。
【0067】
このように本実施の形態によれば、第1管路フランジ1Aと第2管路フランジ2Aとの間で軸線方向のずれが生じても、第1継手配管11の第1継手配管本体12を第2継手配管21の第2継手配管本体22の外面上で軸線方向に沿って摺動させることにより伸縮継手装置10により軸線方向のずれを吸収することができる。
【0068】
また第1管路フランジ1Aと第2管路フランジ2Aとの間で半径方向のずれ量が生じても、調心フランジ30を第2継手配管21の偏心フランジ23上で円周方向に沿って摺動させ、複数のボルト穴35の中心C3と第2継手配管21の第2継手配管本体C1との間の距離を調製する。このことにより、伸縮継手装置10によって半径方向のずれ量を吸収することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 第1配管
1A 第1管路フランジ
2 第2配管
2A 第2管路フランジ
4 締結ボルト
5 締結ナット
6 締結ボルト
7 締結ナット
10 伸縮継手装置
11 第1継手配管
12 第1継手配管本体
13 固定フランジ
16 固定部
17 パッキン
18 保持体
19 取付ボルト
21 第2継手配管
22 第2継手配管本体
23 偏心フランジ
25 偏心状外周面
30 調心フランジ
31 当接内周面
32 偏心状外周面
35 ボルト穴
C1 中心
C2 中心
C3 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9