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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136749
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電力システム及び移動体
(51)【国際特許分類】
   B64D 27/24 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
B64D27/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047970
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】三谷 学
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コストを抑制し、良好に配線を行いうる電力システム及び移動体を提供する。
【解決手段】移動体12の電力システム10Aは、第1多相回転電機34a、第2多相回転電機34b、第1多相端子部58a、第2多相端子部58b、第1多相ケーブル40a及び第2多相ケーブル40bを備える。多相端子部58は、第1相端子62と、第2相端子64と、第3相端子66とを有する。第1距離L1は第2距離L2よりも小さく、第2距離L2は第3距離L3よりも小さい。第4距離L4は第5距離L5よりも小さく、第5距離L5は第6距離L6よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1多相回転電機と第2多相回転電機とを含む回転電機部と、
前記回転電機部に対して第1方向に位置する領域の両側に、前記第1方向に交差する第2方向において互いに離間するように配された一対の多相端子部と、
前記一対の多相端子部のうちの第1多相端子部と、前記第1多相回転電機とを接続する第1多相ケーブルと、
前記一対の多相端子部のうちの第2多相端子部と、前記第2多相回転電機とを接続する第2多相ケーブルと、
を備え、
前記多相端子部は、第1相端子と、第2相端子と、第3相端子とを備え、
前記第1相端子と、前記第2相端子と、前記第3相端子とは、前記第1方向に沿うように配置されており、
前記第1多相端子部に備えられた前記第1相端子から前記第1多相回転電機までの第1距離は、前記第1多相端子部に備えられた前記第2相端子から前記第1多相回転電機までの第2距離よりも小さく、
前記第2距離は、前記第1多相端子部に備えられた前記第3相端子から前記第1多相回転電機までの第3距離よりも小さく、
前記第2多相端子部に備えられた前記第3相端子から前記第2多相回転電機までの第4距離は、前記第2多相端子部に備えられた前記第2相端子から前記第2多相回転電機までの第5距離よりも小さく、
前記第5距離は、前記第2多相端子部に備えられた前記第1相端子から前記第2多相回転電機までの第6距離より小さい、電力システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力システムであって、
前記第1方向と前記第2方向とに交差する方向が第3方向であり、
前記第3方向における前記第1多相回転電機の電力端子部の位置と、前記第3方向における前記第1多相端子部の位置とは、互いに略等しく、
前記第3方向における前記第2多相回転電機の電力端子部の位置と、前記第3方向における前記第2多相端子部の位置とは、互いに略等しい、電力システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電力システムであって、
交流電流を直流電流に変換する一対の電力変換装置を備え、
前記一対の電力変換装置のうちの第1電力変換装置には、前記第1多相端子部が設けられ、
前記一対の電力変換装置のうちの第2電力変換装置には、前記第2多相端子部が設けられている、電力システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電力システムであって、
前記領域には、前記第1電力変換装置及び前記第2電力変換装置に電気的に接続されたジャンクションボックスが配置されている、電力システム。
【請求項5】
請求項3に記載の電力システムであって、
前記第1電力変換装置と前記第2電力変換装置とは、互いに同一の構成を備え、
前記第2多相端子部は、前記第1方向に前記第1電力変換装置を180°反転させたような構成を備える、電力システム。
【請求項6】
第1回転電機と第2回転電機とを含む回転電機部と、
前記回転電機部に対して第1方向に位置する領域の両側に、前記第1方向に交差する第2方向において互いに離間するように配された一対の端子部と、
前記一対の端子部のうちの第1端子部と、前記第1回転電機とを接続する第1電力ケーブルと、
前記一対の端子部のうちの第2端子部と、前記第2回転電機とを接続する第2電力ケーブルと、
を備え、
前記端子部は、接地側端子と、非接地側端子とを備え、
前記接地側端子と、前記非接地側端子とは、前記第1方向に沿うように配置されており、
前記第1端子部に備えられた前記接地側端子から前記第1回転電機までの距離は、前記第1端子部に備えられた前記非接地側端子から前記第1回転電機までの距離よりも小さく、
前記第2端子部に備えられた前記非接地側端子から前記第2回転電機までの距離は、前記第2端子部に備えられた前記接地側端子から前記第2回転電機までの距離よりも小さい、電力システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の電力システムを備える、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力システム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する電力システムの研究開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、航空機が開示されている。当該航空機は、発電機により発電された電力によりロータを駆動して推力を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0115045号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、ケーブルを含めた部品のレイアウトについて具体的な記載がない。コストを抑制しつつ良好に配線を行い得る電力システム及び移動体が求められている。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、第1多相回転電機と第2多相回転電機とを含む回転電機部と、前記回転電機部に対して第1方向に位置する領域の両側に、前記第1方向に交差する第2方向において互いに離間するように配された一対の多相端子部と、前記一対の多相端子部のうちの第1多相端子部と、前記第1多相回転電機とを接続する第1多相ケーブルと、前記一対の多相端子部のうちの第2多相端子部と、前記第2多相回転電機とを接続する第2多相ケーブルと、を備え、前記多相端子部は、第1相端子と、第2相端子と、第3相端子とを備え、前記第1相端子と、前記第2相端子と、前記第3相端子とは、前記第1方向に沿うように配置されており、前記第1多相端子部に備えられた前記第1相端子から前記第1多相回転電機までの第1距離は、前記第1多相端子部に備えられた前記第2相端子から前記第1多相回転電機までの第2距離よりも小さく、前記第2距離は、前記第1多相端子部に備えられた前記第3相端子から前記第1多相回転電機までの第3距離よりも小さく、前記第2多相端子部に備えられた前記第3相端子から前記第2多相回転電機までの第4距離は、前記第2多相端子部に備えられた前記第2相端子から前記第2多相回転電機までの第5距離よりも小さく、前記第5距離は、前記第2多相端子部に備えられた前記第1相端子から前記第2多相回転電機までの第6距離より小さい、電力システムである。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1回転電機と第2回転電機とを含む回転電機部と、前記回転電機部に対して第1方向に位置する領域の両側に、前記第1方向に交差する第2方向において互いに離間するように配された一対の端子部と、前記一対の端子部のうちの第1端子部と、前記第1回転電機とを接続する第1電力ケーブルと、前記一対の端子部のうちの第2端子部と、前記第2回転電機とを接続する第2電力ケーブルと、を備え、前記端子部は、接地側端子と、非接地側端子とを備え、前記接地側端子と、前記非接地側端子とは、前記第1方向に沿うように配置されており、前記第1端子部に備えられた前記接地側端子から前記第1回転電機までの距離は、前記第1端子部に備えられた前記非接地側端子から前記第1回転電機までの距離よりも小さく、前記第2端子部に備えられた前記非接地側端子から前記第2回転電機までの距離は、前記第2端子部に備えられた前記接地側端子から前記第2回転電機までの距離よりも小さい、電力システムである。
【0009】
本発明の第3の態様は、上述した電力システムを備えた移動体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コストを抑制しつつ良好に配線を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、移動体の模式図である。
図2図2は、電力システムを模式的に示す平面図である。
図3図3は、電力システムの一部省略平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、電力システムを模式的に示す正面図である。
図6図6は、電力システムを模式的に示す側面図である。
図7図7は、電力システムを模式的に示す側面図である。
図8図8は、変形例に係る電力システムを模式的に示す平面図である。
図9図9は、変形例に係る電力システムを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係る電力システム10A及び移動体12について図面を用いて以下に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る移動体12は、例えば、航空機(飛行体)である。航空機は、例えば電動垂直離着陸機(eVTOL:Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)であるが、これに限定されない。なお、例えば、移動体12が、船舶、車両等であってもよい。ここでは、電力システム10Aが移動体12に搭載される場合を例に説明するが、これに限定されない。
【0013】
移動体12には機体14が備えられる。機体14の前後方向と機体14の左右方向とは、互いに直交する。機体14の前後方向は、本発明の第1方向に相当する。機体14の左右方向は、本発明の第2方向に相当する。機体14の上下方向は、本発明の第3方向に相当する。
【0014】
移動体12は、8つのVTOLロータ16を有する。VTOLロータ16は、機体14に対して上方向に推力を発生する。移動体12は、2つのクルーズロータ18を有する。クルーズロータ18は、機体14に対して機体14の前方向に推力を発生する。
【0015】
移動体12は、電力システム10Aを備える。電力システム10Aは、機体14に配置される。図2に示すように、機体14は、図示しないキャビンよりも機体14の後ろ方向にシステム配置部20を有する。システム配置部20は、第1収容室22と、第2収容室24とを含む。
【0016】
第1収容室22と第2収容室24とは、機体14の前後方向に並んでいる。第1収容室22は、第2収容室24よりも機体14の前方向に位置する。第1収容室22と第2収容室24との間には、仕切壁26が設けられている。第2収容室24は、隔壁28によって第1分室30と第2分室32とに仕切られている。第1分室30と第2分室32とは、機体14の左右方向に並んでいる。隔壁28は、機体14の左右方向の中心線L0上に位置する。
【0017】
電力システム10Aは、第1多相回転電機34aと、第2多相回転電機34bと、第1パワーコントロールユニット(第1電力変換装置)36aと、第2パワーコントロールユニット(第2電力変換装置)36bと、メインジャンクションボックス38とを有する。以下では、第1パワーコントロールユニット36aを第1PCU36aと称呼し、第2パワーコントロールユニット36bを第2PCU36bと称呼することがある。また、メインジャンクションボックス38をMJB38と称呼することがある。
【0018】
第1多相回転電機34aは、三相交流の回転電機である。第1多相回転電機34aには、図示しない第1のエンジンが接続されている。第1のエンジンは、例えば、ガスタービンエンジンであるがこれに限定されない。第1多相回転電機34aは、第1のエンジンによって駆動されることにより電力を発電する発電機として機能する。また、第1多相回転電機34aは、第1のエンジンのコンプレッサを駆動させるためのモータとしても機能し得る。
【0019】
第1PCU36aと第1多相回転電機34aとは、第1多相ケーブル40aによって電気的に接続されている。第1PCU36aは、第1多相回転電機34aから第1多相ケーブル40aを介して送られてきた三相の交流電流を直流電流に変換する第1電力変換装置である。第1PCU36aによって直流に変換された電力は、MJB38に送られる。MJB38には、例えば、図示しないバッテリが電気的に接続される。また、MJB38には、VTOLロータ16、クルーズロータ18等の負荷装置が電気的に接続される。
【0020】
第2多相回転電機34bには、図示しない第2のエンジンが接続されている。第2のエンジンは、第1のエンジンと同一の構成を有し得る。第2多相回転電機34bは、第2のエンジンによって駆動されることにより電力を発電する発電機として機能する。また、第2多相回転電機34bは、第2のエンジンのコンプレッサを駆動させるためのモータとしても機能し得る。
【0021】
第2PCU36bと第2多相回転電機34bとは、第2多相ケーブル40bによって電気的に接続されている。第2PCU36bは、第2多相回転電機34bから第2多相ケーブル40bを介して送られてきた三相の交流電流を直流電流に変換する第2電力変換装置である。第2PCU36bによって直流に変換された電力は、MJB38に送られる。
【0022】
第1多相回転電機34aは、第1分室30に配置される。第2多相回転電機34bは、第2分室32に配置される。第1多相回転電機34a及び第2多相回転電機34bは、隔壁28に近接している。第1多相回転電機34aと第2多相回転電機34bとは、機体14の左右方向に隔壁28を挟むように配置されている。第1多相回転電機34aと第2多相回転電機34bとは、隔壁28によって互いに電気的に分離されている。
【0023】
第1多相回転電機34aは、三相の電力端子部42を有する。電力端子部42は、第1相電力端子44と、第2相電力端子46と、第3相電力端子48とを含む。第1相電力端子44、第2相電力端子46及び第3相電力端子48は、機体14の左右方向(第2方向)に配列されている。第1相電力端子44、第2相電力端子46及び第3相電力端子48は、機体14の右側から機体14の左側に向かってこの順に並んでいる。
【0024】
第2多相回転電機34bは、第1多相回転電機34aと同一の構成を有する。これにより、電力システム10Aの部品の種類を少なくできるため、電力システム10Aの製造コストを抑えることができる。第2多相回転電機34bにおいて、第1多相回転電機34aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な構成の説明を省略する。
【0025】
第1PCU36a及び第2PCU36bは、第1収容室22に配置されている。第1PCU36a及び第2PCU36bは、第1多相回転電機34aと第2多相回転電機34bとを含む回転電機部34に対して機体14の前方向に位置する領域50の両側に配置されている。第1PCU36a及び第2PCU36bは、左右方向(第2方向)に互いに離間する。
【0026】
第1PCU36aは、第1多相回転電機34aよりも機体14の前方向且つ第2多相回転電機34bよりも機体14の右方向に位置する。換言すれば、第1PCU36aは、機体14の左右方向の中心線L0よりも機体14の右方向に位置する。第1PCU36aは、機体14の右側壁部52に近接している。
【0027】
第2PCU36bは、第2多相回転電機34bよりも機体14の前方向且つ第1多相回転電機34aよりも機体14の左方向に位置する。換言すれば、第2PCU36bは、機体14の左右方向の中心線L0よりも機体14の左方向に位置する。第2PCU36bは、機体14の左側壁部54に近接している。
【0028】
図5及び図6に示すように、第1PCU36aは、筐体56と、多相端子部58と、直流端子部60とを有する。筐体56は、直方体形状に形成されている。筐体56の上面56aには、多相端子部58が設けられている。筐体56の下面56bには、直流端子部60が設けられている。
【0029】
図2図3及び図6に示すように、多相端子部58は、第1相端子62と、第2相端子64と、第3相端子66とを含む。第1相端子62、第2相端子64及び第3相端子66は、互いに離間している。第1相端子62、第2相端子64及び第3相端子66は、機体14の前後方向(第1方向)に沿って間隔を空けて配列されている。
【0030】
第1PCU36aの多相端子部58である第1多相端子部58aにおいて、第1相端子62、第2相端子64及び第3相端子66は、機体14の前方向に向かってこの順に並んでいる。第1多相端子部58aにおいて、第2相端子64は、第1相端子62よりも機体14の前方向に位置し、第3相端子66は、第2相端子64よりも機体14の前方向に位置する。
【0031】
図2に示すように、第1多相端子部58aの第1相端子62から第1多相回転電機34aまでの最短距離である第1距離L1は、第1多相端子部58aの第2相端子64から第1多相回転電機34aまでの最短距離である第2距離L2よりも小さい。第2距離L2は、第1多相端子部58aの第3相端子66から第1多相回転電機34aまでの最短距離である第3距離L3よりも小さい。機体14の上下方向(第3方向)における第1多相端子部58aの位置と、機体14の上下方向における第1多相回転電機34aの電力端子部42の位置とは、互いに略等しい(図6参照)。
【0032】
図4に示すように、第1多相ケーブル40aは、第1相線(第1相配線)68と、第2相線(第2相配線)70と、第3相線(第3相配線)72と、シース部材74とを有する。第1相線68は、第1相導体68aと、当該第1相導体68aを被覆する絶縁体68bとを含む。第2相線70は、第2相導体70aと、当該第2相導体70aを被覆する絶縁体70bとを含む。第3相線72は、第3相導体72aと、当該第3相導体72aを被覆する絶縁体72bとを含む。
【0033】
図2に示すように、第1相線68は、第1相電力端子44と第1相端子62とを互いに接続する。第2相線70は、第2相電力端子46と第2相端子64とを互いに接続する。第3相線72は、第3相電力端子48と第3相端子66とを互いに接続する。シース部材74は、第1相線68、第2相線70及び第3相線72を1つに束ねるための筒状部材である。シース部材74は、仕切壁26を貫通する。
【0034】
第1多相回転電機34aにおいて、第1相電力端子44、第2相電力端子46及び第3相電力端子48は、機体14の右方向から左方向に向かってこの順に並んでいる。そのため、第1多相ケーブル40aにおいて、第1相線68、第2相線70及び第3相線72は、機体14の右方向から左方向に向かってこの順に配置される。また、第1多相端子部58aでは、第1距離L1が第2距離L2よりも小さく、第2距離L2が第3距離L3よりも小さい。これにより、第1多相ケーブル40aにおいて、第1相線68、第2相線70及び第3相線72を立体交差させることを要しない。
【0035】
第1多相端子部58aにおいて、第1相端子62、第2相端子64及び第3相端子66は、第1相線68、第2相線70及び第3相線72の立体交差を要しない範囲において、機体14の左右方向に互いにオフセットしてもよい。
【0036】
図6に示すように、直流端子部60は、正極端子78と負極端子80とを含む。正極端子78と負極端子80とは、機体14の前後方向(第1方向)に間隔を空けて配列されている。正極端子78及び負極端子80は、図示しないケーブル等を介してMJB38の下部に電気的に接続されている。MJB38の上部には、バッテリ及び負荷装置に電気的に接続された図示しないケーブル等が電気的に接続されている。すなわち、第1PCU36aによって直流に変換された電力は、正極端子78及び負極端子80からMJB38の下部に入力された後、MJB38の上部からバッテリ及び負荷装置に出力される。
【0037】
図2図3図5及び図7に示すように、第2PCU36bは、第1PCU36aと同一の構成を有する。これにより、電力システム10Aの部品の種類を少なくできるため、電力システム10Aのコストを抑えることができる。第2PCU36bにおいて、第1PCU36aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
図2及び図3に示すように、第2PCU36bは、機体14の前後方向に第1PCU36aを180°反転させたような構成を備える。
【0039】
図2図3及び図7に示すように、第2PCU36bの多相端子部58である第2多相端子部58bにおいて、第1相端子62、第2相端子64及び第3相端子66は、機体14の後ろ方向に向かってこの順に並んでいる。第2多相端子部58bにおいて、第2相端子64は第3相端子66よりも機体14の前方向に位置し、第1相端子62は、第2相端子64よりも機体14の前方向に位置する。第2多相端子部58bの端子の並び順は、第1多相端子部58aの端子の並び順と反対方向になっている。
【0040】
図2に示すように、第2多相端子部58bの第3相端子66から第2多相回転電機34bまでの最短距離である第4距離L4は、第2多相端子部58bの第2相端子64から第2多相回転電機34bまでの最短距離である第5距離L5よりも小さい。第5距離L5は、第2多相端子部58bの第1相端子62から第2多相回転電機34bまでの最短距離である第6距離L6よりも小さい。
【0041】
第2多相ケーブル40bは、第1多相ケーブル40aと同一の構成を有する。第2多相ケーブル40bのシース部材74は、仕切壁26を貫通する。
【0042】
第2多相回転電機34bにおいて、第1相電力端子44、第2相電力端子46及び第3相電力端子48は、機体14の右方向から左方向に向かってこの順に並んでいる。そのため、第2多相ケーブル40bにおいて、第1相線68、第2相線70及び第3相線72は、機体14の右方向から左方向に向かってこの順に配置される。また、第2多相端子部58bでは、第4距離L4が第5距離L5よりも小さく、第5距離L5が第6距離L6よりも小さい。これにより、第2多相ケーブル40bにおいて、第1相線68、第2相線70及び第3相線72を立体交差させることを要しない。
【0043】
第2多相端子部58bにおいて、第1相端子62、第2相端子64及び第3相端子66は、第1相線68、第2相線70及び第3相線72の立体交差を要しない範囲において、機体14の左右方向に互いにオフセットしてもよい。
【0044】
図6及び図7に示すように、第2PCU36bでは、機体14の前後方向における正極端子78と負極端子80の位置が第1PCU36aの機体14の前後方向における正極端子78と負極端子80の位置と反対である。
【0045】
図2図3及び図5に示すように、MJB38は、第1PCU36aと第2PCU36bとの間の領域50に配置されている。機体14の左右方向におけるMJB38の中心線は、機体14の左右方向の中心線L0上に位置する。MJB38の右側面には、第1PCU36aが取り付けられている。MJB38の左側面には、第2PCU36bが取り付けられている。
【0046】
図5に示すように、MJB38と第1PCU36aとの間には、第1冷却部82aが設けられている。MJB38と第2PCU36bとの間には、第2冷却部82bが設けられている。第1冷却部82a及び第2冷却部82bの各々には、冷却水が流れる。第1PCU36a及び第2PCU36bの各々は、内部にスイッチング素子を有しており、スイッチング素子等から熱が発生する。第1冷却部82aにより第1PCU36aが冷却される。第2冷却部82bにより第2PCU36bが冷却される。
【0047】
このように、本実施形態によれば、第1多相ケーブル40aに備えられた三相配線を立体交差させることを要さず、また、第2多相ケーブル40bに備えられた三相配線を立体交差させることを要しない。このため、第1多相ケーブル40a及び第2多相ケーブル40bに備えられた三相配線に比較的太い導線が用いられている場合であっても、良好に配線することができる。しかも、互いに同じ構成の第1PCU36aと第2PCU36bとを互いに180°反転するように配置すればよいため、電力システム10Aのコストを抑えることができる。
【0048】
(変形例)
次に、変形例に係る電力システム10Bについて説明する。なお、本変形例において、上述した電力システム10Aと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
図8に示すように、電力システム10Bは、第1回転電機90aと、第2回転電機90bと、第1PCU92aと、第2PCU92bと、MJB38とを有する。第1回転電機90aは、例えば単相交流の回転電機である以外、上述した第1多相回転電機34aと同様に構成される。第2回転電機90bは、第1回転電機90aと同一の構成を有する。第1回転電機90a及び第2回転電機90bの各々の電力端子部96は、接地側電力端子98と、非接地側電力端子100とを含む。
【0050】
第1PCU92aと第2PCU92bとは、第1回転電機90aと第2回転電機90bとを含む回転電機部90に対して機体14の前方向に位置する領域50の両側に位置する。第1PCU92aは、多相端子部58に代えて端子部102が設けられること以外、上述した第1PCU92aと同様に構成される。第1PCU92aの端子部102である第1端子部102aは、接地側端子104と、非接地側端子106とを含む。
【0051】
第1端子部102aの接地側端子104から第1回転電機90aまでの最短距離である第7距離L7は、第1端子部102aの非接地側端子106から第1回転電機90aまでの最短距離である第8距離L8よりも小さい。第1端子部102aは、第1電力ケーブル108aを介して第1回転電機90aの電力端子部96に電気的に接続される。
【0052】
第1電力ケーブル108aは、接地側線110と、非接地側線112と、シース部材74とを有する。接地側線110は、不図示の接地側導体と、当該接地側導体を被覆する不図示の絶縁体とを含む。非接地側線112は、不図示の非接地側導体と、当該非接地側導体を被覆する不図示の絶縁体とを含む。接地側線110は、接地側電力端子98と接地側端子104とを互いに接続する。非接地側線112は、非接地側電力端子100と非接地側端子106とを互いに接続する。
【0053】
第2PCU92bは、第1PCU92aと同一の構成を有する。第2PCU92bは、機体14の前後方向に第1PCU92aを180°反転させたような構成を備える。第2PCU92bは、端子部102である第2端子部102bを有する。第2端子部102bの端子の並び順は、第1端子部102aの端子の並び順と反対方向になっている。
【0054】
第2端子部102bの非接地側端子106から第2回転電機90bまでの最短距離である第9距離L9は、第2端子部102bの接地側端子104から第2回転電機90bまでの最短距離である第10距離L10よりも小さい。第2端子部102bは、第2電力ケーブル108bを介して第1回転電機90aの電力端子部96に電気的に接続される。第2電力ケーブル108bは、第1電力ケーブル108aと同様に構成される。
【0055】
このような変形例によれば、第1電力ケーブル108aに備えられた複数の配線を立体交差させることを要さず、また、第2電力ケーブル108bに備えられた複数の配線を立体交差させることを要しない。このため、第1電力ケーブル108a及び第2電力ケーブル108bに備えられた配線に比較的太い導線が用いられている場合であっても、良好に配線することができる。しかも、互いに同じ構成の第1PCU92aと第2PCU92bとを互いに180°反転するように配置すればよいため、電力システム10Bのコストを抑えることができる。
【0056】
上述した電力システム10Aは、図9に示すように、MJB38に代えて、第1MJB38aと第2MJB38bとを有してもよい。第1MJB38aは、第1PCU36aに電気的に接続されている。第2MJB38bは、第2PCU36bに電気的に接続されている。第1MJB38aの筐体と第2MJB38bの筐体とは、互いに独立している。第1MJB38aと第2MJB38bとは、機体14の左右方向に互いに離間した状態で配置されている。これと同様に、電力システム10Bは、MJB38に代えて、第1MJB38aと第2MJB38bとを有してもよい。
【0057】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。電力システム10Aは、4相以上の交流に対応した構成を備えていてもよい。
【0058】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0059】
(付記1)
電力システム(10A)は、第1多相回転電機(34a)と第2多相回転電機(34b)とを含む回転電機部(34)と、前記回転電機部に対して第1方向に位置する領域(50)の両側に、前記第1方向に交差する第2方向において互いに離間するように配された一対の多相端子部(58)と、前記一対の多相端子部のうちの第1多相端子部(58a)と、前記第1多相回転電機とを接続する第1多相ケーブル(40a)と、前記一対の多相端子部のうちの第2多相端子部(58b)と、前記第2多相回転電機とを接続する第2多相ケーブル(40b)と、を備え、前記多相端子部は、第1相端子(62)と、第2相端子(64)と、第3相端子(66)とを備え、前記第1相端子と、前記第2相端子と、前記第3相端子とは、前記第1方向に沿うように配置されており、前記第1多相端子部に備えられた前記第1相端子から前記第1多相回転電機までの第1距離(L1)は、前記第1多相端子部に備えられた前記第2相端子から前記第1多相回転電機までの第2距離(L2)よりも小さく、前記第2距離は、前記第1多相端子部に備えられた前記第3相端子から前記第1多相回転電機までの第3距離(L3)よりも小さく、前記第2多相端子部に備えられた前記第3相端子から前記第2多相回転電機までの第4距離(L4)は、前記第2多相端子部に備えられた前記第2相端子から前記第2多相回転電機までの第5距離(L5)よりも小さく、前記第5距離は、前記第2多相端子部に備えられた前記第1相端子から前記第2多相回転電機までの第6距離(L6)より小さい。
【0060】
このような構成によれば、回転電機部に対して第1方向に位置する領域の両側に、第1方向と交差する第2方向において互いに離間するように一対の多相端子部を配しているため、一対の多相端子部を互いに電気的に分離させることができる。また、多相端子部において、第1相端子、第2相端子及び第3相端子が第1方向に沿うように配列されているため、電力システムの第2方向(一対の多相端子部が並ぶ方向)の寸法を比較的短くできる。
【0061】
さらに、このような電力システムでは、第1多相回転電機と第1多相ケーブルとの接続構造と第2多相回転電機と第2多相ケーブルとの接続構造とを互いに同じ構造にすることにより、電力システムの製造コストの抑えることができる。上記の構成によれば、第1多相端子部において、第1距離が第2距離よりも小さく、第2距離が第3距離よりも小さい。また、第2多相端子部において、第4距離が第5距離よりも小さく、第5距離が第6距離よりも小さい。そのため、電力システムが上記の接続構造を備えている場合であっても、第1多相ケーブルと第2多相ケーブルの各々において、配線を立体交差させることを要しない。このため、このような構成によれば、これらの多相ケーブルに備えられた多相配線に比較的太い導線が用いられている場合であっても、良好に配線することができる。
【0062】
(付記2)
付記1に記載の電力システムにおいて、前記第1方向と前記第2方向とに交差する方向が第3方向であり、前記第3方向における前記第1多相回転電機の電力端子部(42)の位置と、前記第3方向における前記第1多相端子部の位置とは、互いに略等しく、前記第3方向における前記第2多相回転電機の電力端子部の位置と、前記第3方向における前記第2多相端子部の位置とは、互いに略等しくてもよい。
【0063】
このような構成によれば、第3方向における第1多相回転電機の電力端子部の位置と第3方向における第1多相端子部の位置とが略等しいあるため、第1多相ケーブルの長さを比較的短くできる。また、第3方向における第2多相回転電機の電力端子部の位置と第3方向における第2多相端子部の位置とが略等しいため、第2多相ケーブルの長さを比較的短くできる。
【0064】
(付記3)
付記1又は2に記載の電力システムにおいて、交流電流を直流電流に変換する一対の電力変換装置(36a、36b)を備え、前記一対の電力変換装置のうちの第1電力変換装置(36a)には、前記第1多相端子部が設けられ、前記一対の電力変換装置のうちの第2電力変換装置(36b)には、前記第2多相端子部が設けられてもよい。
【0065】
(付記4)
付記3に記載の電力システムにおいて、前記領域には、前記第1電力変換装置及び前記第2電力変換装置に電気的に接続されたジャンクションボックス(38)が配置されてもよい。
【0066】
このような構成によれば、電力システムをコンパクトにしつつジャンクションボックスによって第1電力変換装置と第2電力変換装置とが互いに電気的に接続されることを防止できる。
【0067】
(付記5)
付記3又は4に記載の電力システムにおいて、前記第1電力変換装置と前記第2電力変換装置とは、互いに同一の構成を備え、前記第2多相端子部は、前記第1方向に前記第1電力変換装置を180°反転させたような構成を備えてもよい。
【0068】
このような構成によれば、第1電力変換装置と第2電力変換装置との構成が互いに同一であるため、電力システムの製造コストを一層抑えることができる。
【0069】
(付記6)
電力システム(10B)は、第1回転電機(90a)と第2回転電機(90b)とを含む回転電機部(90)と、前記回転電機部に対して第1方向に位置する領域の両側に、前記第1方向に交差する第2方向において互いに離間するように配された一対の端子部(102)と、前記一対の端子部のうちの第1端子部(102a)と、前記第1回転電機とを接続する第1電力ケーブル(108a)と、前記一対の端子部のうちの第2端子部(102b)と、前記第2回転電機とを接続する第2電力ケーブル(108b)と、を備え、前記端子部は、接地側端子(104)と、非接地側端子(106)とを備え、前記接地側端子と、前記非接地側端子とは、前記第1方向に沿うように配置されており、前記第1端子部に備えられた前記接地側端子から前記第1回転電機までの距離(L7)は、前記第1端子部に備えられた前記非接地側端子から前記第1回転電機までの距離(L8)よりも小さく、前記第2端子部に備えられた前記非接地側端子から前記第2回転電機までの距離(L9)は、前記第2端子部に備えられた前記接地側端子から前記第2回転電機までの距離(L10)よりも小さい。
【0070】
(付記7)
移動体(12)は、付記1~6のいずれか1つに記載の電力システムを備える。
【0071】
このような構成によれば、立体交差させることなく配線することができ且つ製造コストを抑えることができる移動体を得ることができる。
【0072】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々
の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0073】
10A、10B…電力システム 12…移動体
34、90…回転電機部 34a…第1多相回転電機
34b…第2多相回転電機
36a、92a…第1パワーコントロールユニット(第1電力変換装置)
36b、92b…第2パワーコントロールユニット(第2電力変換装置)
38…メインジャンクションボックス(ジャンクションボックス)
40a…第1多相ケーブル 40b…第2多相ケーブル
42…電力端子部 50…領域
58…多相端子部 58a…第1多相端子部
58b…第2多相端子部 62…第1相端子
64…第2相端子 66…第3相端子
90a…第1回転電機 90b…第2回転電機
96…電力端子部 102…端子部
102a…第1端子部 102b…第2端子部
104…接地側端子 106…非接地側端子
108a…第1電力ケーブル 108b…第2電力ケーブル
L1…第1距離 L2…第2距離
L3…第3距離 L4…第4距離
L5…第5距離 L6…第6距離
L7…第7距離 L8…第8距離
L9…第9距離 L10…第10距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9