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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136755
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】カッターヘッド及び掘削機
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/32 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E21B10/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047982
(22)【出願日】2023-03-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社エステックYoutubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCGGG5Pe585255cPIh1Oopsw 令和4年6月20日 〔刊行物等〕 公開先 ジャパンパイル株式会社広島支店,令和4年12月15日 〔刊行物等〕 株式会社エステックホームページ http://www.k-estech.co.jp/ja-jp/機械紹介/,令和4年12月16日 〔刊行物等〕 公開先 オオタニ設計事務所,令和4年12月22日
(71)【出願人】
【識別番号】522345087
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】鈴江 秀吉
(72)【発明者】
【氏名】鈴江 寿礼
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA03
2D129DA21
2D129EB25
2D129GA34
(57)【要約】
【課題】効率的また安定的に掘削可能であり使い勝手のよいカッターヘッド及び掘削機を提供する。
【解決手段】掘削機本体の先端に取付けられ地盤を掘削するカッターヘッド1であって、ケーシング11に地盤を掘削する複数個の固定ビット20が取付けられた固定ビット部10と、ベースフランジ38に出没可能に収容され、該カッターヘッド1の回転方向に応じて出没する地盤を掘削する拡縮ビット31を有する拡縮ビット部30と、掘削機本体と連結する連結部50と、を有し、前記固定ビット部10が最先端に、前記固定ビット部10と前記連結部50との間に前記拡縮ビット部30が配されてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削機本体の先端に取付けられ地盤を掘削するカッターヘッドであって、
ケーシングに地盤を掘削する複数個の固定ビットが取付けられた固定ビット部と、
ベースフランジに出没可能に収容され、該カッターヘッドの回転方向に応じて出没する地盤を掘削する拡縮ビットを有する拡縮ビット部と、
掘削機本体と連結する連結部と、
を有し、
前記固定ビット部が最先端に、前記固定ビット部と前記連結部との間に前記拡縮ビット部が配されてなることを特徴とするカッターヘッド。
【請求項2】
前記固定ビットは、超硬チップと、前記超硬チップが固定される台座と、前記台座に取付けられ前記ケーシングに挿通、固定される取付ボルトと、を有し、前記ケーシングに対し着脱可能なことを特徴とする請求項1に記載のカッターヘッド。
【請求項3】
前記固定ビットは、超硬チップが台座にろう付けされており、
前記拡縮ビットは、超硬チップがビット本体にろう付けされていることを特徴とする請求項1に記載のカッターヘッド。
【請求項4】
前記拡縮ビットは、複数個の拡縮ビットが前記ベースフランジに放射状に収容されてなり、
各拡縮ビットが前記ベースフランジの外周面から径方向に突出し拡径状態となることを特徴とする請求項1に記載のカッターヘッド。
【請求項5】
先端部にテーパ面を有し、反先端部にねじ部を有し、軸線方向にスライドし前記拡縮ビットを出没させるスライド部材と、
前記スライド部材のねじ部に螺合し前記スライド部材を軸線方向に移動させる、前記連結部と連結するねじ部材と、
を有する拡縮手段を備え、
前記拡縮ビットは、先端部に超硬チップを有し、反先端部にテーパ面を有し、該テーパ面を前記スライド部材のテーパ面と摺動自在に接し、前記拡縮手段を介して拡縮することを特徴とする請求項1に記載のカッターヘッド。
【請求項6】
請求項1から5に記載のいずれか1項に記載のカッターヘッドを備える掘削機。
【請求項7】
連結する前記カッターヘッドを回転させつつ上下動させ地盤を掘削することを特徴とする請求項6に記載の掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩盤層など硬い地盤を掘削する掘削機及び該掘削機のカッターヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
岩盤層など硬い地盤を掘削する装置の1つにダウンザホールハンマーがある。代表的なダウンザホールハンマーは、ハンマーピストン及びハンマービットを備え、地上から供給される圧縮空気によりハンマーピストンを進退させ、先端部のハンマービットに打撃力を与える。ハンマービットは、先端部に掘削チップが取付けられ地盤を掘削する。なおハンマービットは、ビット、カッターヘッド、掘削工具とも呼ばれる。
【0003】
ダウンザホールハンマーのハンマービットには、先端面に掘削チップが固定された固定タイプのハンマービットと、掘削機の回転に伴い拡径する拡径ビットを先端面に備えた拡縮タイプのハンマービットがある。拡径ビットは、拡縮ビットとも呼ばれる。
【0004】
拡縮タイプのハンマービットは、代表的には3個の略扇状の拡径ビットが先端面に自転可能に取付けられ、掘削方向に回転すると掘削抵抗により自転して拡径し、互いの側面が当接することで拡径状態が維持される。一方、掘削時とは反対方向に回転すると縮径する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-15020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のハンマービットにおいては、次のような課題がある。従来の固定タイプのハンマービットは、掘削チップが本体に圧着されている。このため掘削チップが摩耗しても掘削チップのみを交換することができずハンマービット全体を交換する必要がある。
【0007】
従来の拡径ビットは、互いの側面が当接することで拡径状態が維持されるが、掘削時の回転力やハンマーの衝撃力が当接する側面に加わるため、長期の使用により当接部が摩耗し、拡径状態の位置決めができなくなり、また縮径できなくなることが指摘されている。また従来の拡径ビットは、拡径位置から数十°程度回転すると縮径状態となる。このため掘削抵抗などにより拡径ビットの回転方向が僅かに変化するだけで拡径状態が維持されなくなるなど拡径状態が不安定になり易い。
【0008】
本発明の目的は、効率的また安定的に掘削可能であり使い勝手のよいカッターヘッド及び掘削機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、掘削機本体の先端に取付けられ地盤を掘削するカッターヘッドであって、ケーシングに地盤を掘削する複数個の固定ビットが取付けられた固定ビット部と、ベースフランジに出没可能に収容され、該カッターヘッドの回転方向に応じて出没する地盤を掘削する拡縮ビットを有する拡縮ビット部と、掘削機本体と連結する連結部と、を有し、前記固定ビット部が最先端に、前記固定ビット部と前記連結部との間に前記拡縮ビット部が配されてなることを特徴とするカッターヘッドである。
【0010】
本発明に係るカッターヘッドにおいて、前記固定ビットは、超硬チップと、前記超硬チップが固定される台座と、前記台座に取付けられ前記ケーシングに挿通、固定される取付ボルトと、を有し、前記ケーシングに対し着脱可能なことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るカッターヘッドにおいて、前記固定ビットは、超硬チップが台座にろう付けされており、前記拡縮ビットは、超硬チップがビット本体にろう付けされていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るカッターヘッドにおいて、前記拡縮ビットは、複数個の拡縮ビットが前記ベースフランジに放射状に収容されてなり、各拡縮ビットが前記ベースフランジの外周面から径方向に突出し拡径状態となることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るカッターヘッドは、先端部にテーパ面を有し、反先端部にねじ部を有し、軸線方向にスライドし前記拡縮ビットを出没させるスライド部材と、前記スライド部材のねじ部に螺合し前記スライド部材を軸線方向に移動させる、前記連結部と連結するねじ部材と、を有する拡縮手段を備え、前記拡縮ビットは、先端部に超硬チップを有し、反先端部にテーパ面を有し、該テーパ面を前記スライド部材のテーパ面と摺動自在に接し、前記拡縮手段を介して拡縮することを特徴とする。
【0014】
本発明は、前記カッターヘッドを備える掘削機である。
【0015】
本発明に係る掘削機は、連結する前記カッターヘッドを回転させつつ上下動させ地盤を掘削することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、効率的また安定的に掘削可能であり使い勝手のよいカッターヘッド及び掘削機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の固定ビット部10の分解構成図である。
図3】本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の固定ビット20の変形例である。
図4】本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の拡径状態を示す図である。
図5】本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の拡径状態の断面図である。
図6】本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の縮径状態を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の縮径状態の断面図である。
図8】本発明の第2実施形態の掘削機101の縦断面図及びカッターヘッド1の拡径状態の正面図である。
図9図8において切断線A-Aで切断した掘削機101の断面図及び切断線B-Bで切断した掘削機101の断面図である。
図10】本発明の第2実施形態の掘削機101の縦断面図である。
図11】本発明の第2実施形態の掘削機101の回転振り子130の動きを説明するための図である。
図12】本発明の第2実施形態の掘削機101の緩衝手段140の構成を説明するための図である。
図13】本発明の第2実施形態の掘削機101の減速機170の構造図である。
図14】本発明の第2実施形態の掘削機101の減速機170の断面図である。
図15】本発明の第2実施形態の掘削機101の使用例を示す図である。
図16】本発明の第2実施形態の掘削機101の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の斜視図、図2は、本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の固定ビット部10の分解構成図である。図3は、本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の固定ビット20の変形例である。図4(A)は、本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の拡径状態を示す正面図、図4(B)は、拡径状態における拡縮ビット部30の横断面図である。図5(A)は、本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の拡径状態における縦断面図、図5(B)は、図5(A)とは異なる位置の縦断面図である。図6(A)は、本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の縮径状態を示す正面図、図6(B)は、縮径状態における拡縮ビット部30の横断面図である。図7(A)は、本発明の第1実施形態のカッターヘッド1の縮径状態における縦断面図、図7(B)は、図7(A)とは異なる位置の縦断面図である。
【0019】
以下の説明においてカッターヘッド1の下方は、固定ビット部10側であり、図1では左側である。またカッターヘッド1の下方は、カッターヘッド1の前側、先端側でもある。カッターヘッド1の軸方向、軸線方向は、中心軸線Mに平行な方向であり上下方向である。径方向は中心軸線Mに直交する方向、周方向は中心軸線Mを中心に円弧に沿う方向、内側は中心軸線側をいう。
【0020】
本発明の第1実施形態のカッターヘッド1は、掘削機本体の先端に取付けられ掘削するカッターヘッドであり、固定ビット部10と、拡縮ビット部30と、掘削機本体と連結する連結部50とを備え、下から上に向かって固定ビット部10、拡縮ビット部30、連結部50の順に配され、これらが連結されてなる。
【0021】
固定ビット部10は、肉厚の有底円筒状のケーシング11を有し、ここに地盤を掘削する固定ビット20が固定されてなる。ケーシング11は、有底円筒状の底に該当する部分が前面12となるように配される。
【0022】
ケーシング11は、前面12が平面であり、前面12と側面13との境界は傾斜面14となっている。前面12、側面13及び傾斜面14にはそれぞれ固定ビット20を取付けるため取付座15が設けられている。
【0023】
取付座15は、固定ビット20の台座22が嵌り込む凹部16と、固定ビット20の取付ボルト25が挿通する挿通孔17とを備える。凹部16は、台座22の下部がほぼ隙間なく嵌り込む大きさを有する。挿通孔17は、凹部16に連通し、ケーシンング11に直交するように穿設されている。これにより固定ビット20をケーシング11にしっかりと固定することができる。
【0024】
固定ビット20は、超硬チップ21と、超硬チップ21が固定される台座22と、台座22に直交するように台座22の底面に取付けられた取付ボルト25とで構成される。固定ビット20は、ケーシング11に設けられた挿通孔17に取付ボルト25が挿通され、凹部16に台座22が嵌り込み、振動等で緩まないようにケーシンング11に堅固にボルト止めされる。
【0025】
台座22は、細長い略長方体形状を有し、上面23に長手方向に平行な凹溝24が設けられている。超硬チップ21は、凹溝24と略同一の大きさを有する基部の上に先端が細い山型部が配された形状を有し、山型部が台座22の上面23から突出するように凹溝24にろう付けし固定されている。本実施形態では、台座22が細長い略長方体形状を有し、超硬チップ21が上部に山型部を有するが、台座22及び超硬チップ21の形状は特に限定されるものではない。
【0026】
図3に固定ビット20の変形例を示す。図3(A)の固定ビット20aは、球形の超硬チップ21aが台座22の凹溝24に4個ジグザグに取付けられている。図3(B)の固定ビット20bは、球形の超硬チップ21aが台座22の凹溝24に3個間隔を開けて一直線上に取付けられている。
【0027】
図3(C)の固定ビット20cは、台座22に長手方向に交差するように3個の凹溝24cが設けられ、それぞれ凹溝24cに上部が山型の超硬チップ21が取付けられている。図3(D)の固定ビット20dは、台座22に長手方向に直交するように3個の凹溝24dが設けられ、それぞれ凹溝24dに上部が山型の超硬チップ21が取付けられている。
【0028】
本実施形態の固定ビット部10は、前面12に10個、側面13及び傾斜面14にそれぞれ6個の固定ビット20が放射状に取付けられている。固定ビット部10における固定ビット20の個数、配置は特に限定されるものではないが、本実施形態のように多数の固定ビット20をケーシング11全体に配置するのがよい。本実施形態のように多数の固定ビット20をケーシング11全体に配置すれば各固定ビット20にかかる負荷が低減される。
【0029】
従来のダウンザホールハンマーのハンマービットが、ハンマー本体の前面にのみ掘削ビットを配置しているのに対して、本実施形態の固定ビット部10は、ケーシング11の前面12のみならず側面13及び傾斜面14にも固定ビット20を配置しているので、拡縮ビット部30の負担が軽減される。
【0030】
固定ビット部10で使用する固定ビット20の形態は、全て同じでなくてもよい。例えば前面12に配置する固定ビット20と、側面13又は傾斜面14に配置する固定ビット20とが異なっていてもよい。一方、固定ビット部10で使用する固定ビット20の形態を統一すれば、作製が容易で低コストで作製できる利点がある。
【0031】
拡縮ビット部30は、地盤を掘削する拡縮ビット31と、拡縮ビット31を出没可能に収容するベースフランジ38と、ベースフランジ38に連結する固定側フランジ45とを主に構成される。
【0032】
拡縮ビット31は、細長い略長方体形状の本体32を有し、本体32の先端面33に超硬チップ36が取付けられている。本体32の反先端部は、上下方向に傾斜した傾斜面35となっている。本実施形態においては、拡縮ビット部30に同一形状・構造の拡縮ビット31が6個配置されている。
【0033】
本体32の先端面33には、軸線方向に平行な3つの凹溝34が設けられている。超硬チップ36は、凹溝34と略同一の大きさを有する基部の上に先端が細い山型部が設けられた形状を有し、山型部が先端面33から突出するように各凹溝34にろう付けし固定されている。本体32の先端面33及び凹溝34、さらには超硬チップ36の形状は特に限定されるものではない。
【0034】
ベースフランジ38は、肉厚の円筒部39と円筒部39につながるフランジ部43を有する。円筒部39の外径は、ケーシング11の外径と略同一である。円筒部39の内径は、外径と内径との差の半分の長さが拡縮ビット31の本体32の長さよりも大きく設定されている。円筒部39には拡縮ビット32を収容する6個の凹部41が60°ピッチで放射状に設けられている。円筒部39の上面40は、固定側フランジ45と連結する面となっている。
【0035】
凹部41は、円筒部39の外周面42、内周面及び上面40につながるように形成されている。凹部41の形状及び大きさは、拡縮ビット31の本体32の形状及び大きさと略同一であり、拡縮ビット31は、凹部41にほぼ隙間なく摺動自在に嵌り込むことができる。
【0036】
フランジ部43は、円筒部39の下方に設けられている。フランジ部43の外径は、円筒部39の内径よりも大きく、またフランジ部43の内径は円筒部39の内径よりも小さく設定されている。
【0037】
固定側フランジ45は、肉厚のフランジ部46とフランジ部46につながる円筒部48を有する。フランジ部46の外径は、ベースフランジ38の円筒部39の外径よりも僅かに大きく設定されている。フランジ部46の内径は、ベースフランジ38の円筒部39の外径と内径との略中間の大きさである。フランジ部46の下面47は、ベースフランジ38と連結するフランジ面となっている。
【0038】
円筒部48は、フランジ部46の上方に軸線が中心軸線Mと平行になるように設けられている。円筒部48の外径及び内径は、フランジ部46の外径と内径との中間の大きさであり、円筒部48は、フランジ部46の上面から上方に突出している。
【0039】
以上からなる拡縮ビット部30は、ベースフランジ38の凹部41に拡縮ビット31が嵌め込まれ、ベースフランジ38の上面40に固定側フランジ45のフランジ部46の下面47が接するように配され、これらが締結ボルト62を介してケーシング11の上端に連結される。固定ビット部10と縮径ビット部30とは、連結された状態で互いの軸線は一致する。
【0040】
連結部50は、掘削機本体に連結する回転側フランジ51と、固定側フランジ45を回転自在に支持する軸受フランジ56とを有する。
【0041】
回転側フランジ51は、肉厚のリング形状を有し、外径はケーシング11の外径と略同一である。回転側フランジ51の内径は、ベースフランジ38のフランジ部43の内径と略同一である。回転側フランジ51の上面52には、掘削機本体を連結するためのねじ孔53が設けられ、下面側には固定側フランジ45の円筒部48が嵌り込む凹部55が設けられている。
【0042】
軸受フランジ56は、肉厚のリング形状を有し、外径は固定側フランジ45のフランジ部46の内径と略同一である。軸受フランジ56の内径は、ベースフランジ38のフランジ部43の外径と内径との中間の大きさである。軸受フランジ56は、軸受60が嵌まり込む凹部57を有し、回転側フランジ51と締結ボルト59を介して連結される。
【0043】
以上からなる連結部50は、回転側フランジ51の凹部55に固定側フランジ45の円筒部48が嵌り込むように、さらに軸受フランジ56の凹部57と固体側フランジ45の円筒部48の内周面49とが対向するように配置され、軸受フランジ56の凹部57と固定側フランジ45の円筒部48との間に軸受60が装着され、軸受60を介して拡縮ビット部30と連結部50とが互いに回転自在に連結される。
【0044】
さらにカッターヘッド1は、縮径ビット31をベースフランジ38の外周面42から径方向に突出させ、又は突出した縮径ビット31を引っ込め元の位置に戻す拡縮手段70を有する。
【0045】
拡縮手段70は、軸方向にスライドし、係合する縮径ビット31を出没させるスライド部材71と、スライド部材71を軸方向にスライドさせるねじ部材80とを備える。
【0046】
スライド部材71は、肉厚のリング部72の外周面に60°ピッチで径方向に放射状に突出した突出部73が一体的に設けられている。リング部72の内径は、ベースフランジ38のフランジ部43の内径よりも大きく設定され、リング部72の外径は、ベースフランジ38の円筒部39の内径よりも小さく、突出部73は、中央から先端部がベースフランジ38の円筒部39の凹部41に嵌り込む大きさを有する。リング部72の内周面には、ねじ部材80のねじ部82に螺合するねじ部76が設けられている。
【0047】
突出部73の個数及びピッチは、ベースフランジ38の円筒部39の凹部41の個数及びピッチに対応するように設けられている。突出部73の先端面は、上下方向に傾斜する傾斜面74となっており、この傾斜面74は、拡縮ビット31の傾斜面35と平行である。
【0048】
ねじ部材80は、円筒部81と円筒部81の上端に設けられたフランジ部85とを有し、上下方向の長さは、拡縮ビット部30の長さと略同一である。円筒部81の外径は、スライド部材71のリング部72の内径と略同一であり、円筒部81の外周面にはスライド部材71のねじ部76に螺合するねじ部82が設けられている。ねじ部82の長さは、拡縮ビット31を拡径位置及び縮径位置にすべく設定されている。円筒部81の先端には、ベースフランジ38のフランジ部43の内周面44が摺動自在に嵌り込む切欠き部83が設けられている。
【0049】
フランジ部85の外径は、円筒部81の外径よりも大きく設定されており、フランジ部85には、ねじ部材80を連結部50に連結するためのボルト挿通孔が穿設されている。
【0050】
拡縮手段70は、以下の要領でカッターヘッド1に組み込まれる。ねじ部材80のねじ部82とリング部材71のねじ部76とを螺合させ、ねじ部材80の切欠き部83にベースフランジ38のフランジ部43の内周面44が接した状態で、フランジ部85が、連結部50の軸受フランジ56と回転側フランジ51とに挟み込まれ、これらが締結ボルト59で連結される。この状態で拡縮ビット31の傾斜面35とスライド部材71の傾斜面74とが摺動自在に接する。
【0051】
上記構成からなるカッターヘッド1は、外観が略円柱形状を有し、ケーシング11の前面12が先端面を形成し、ケーシング11、ベースフランジ38、固定側フランジ45及び回転側フランジ51の外周面がカッターヘッド1の側面を形成する。またカッターヘッド1は、固定ビット部10と拡縮ビット部30が一体的に連結され、これらが連結部50に対して自転可能に連結される。カッターヘッド1の内部の一部、特に中心軸線M廻りは、空洞となっている。
【0052】
カッターヘッド1の拡縮ビット31の拡径、縮径要領は以下のとおりである。固定ビット部10及び拡縮ビット部30は、連結部50に対して自転可能に連結されているため、固定ビット部10及び拡縮ビット部30に掘削抵抗が加わると、固定ビット部10及び拡縮ビット部30が連結部50に対して相対的に回転する。これにより連結部50に連結するねじ部材80も固定ビット部10及び拡縮ビット部30に対して相対的に回転する。
【0053】
カッターヘッド1が掘削方向に回転するとスライド部材71がねじ部材80に沿って上方に移動する。これに伴い拡縮ビット31は、摺動自在に接するスライド部材71の突出部73により径方向外側に押し出され漸次拡径する。拡縮ビット31の拡径は、スライド部材71がねじ部材80のねじ部82の上端まで移動した時点で終了する。拡縮ビット31の拡径が終了しても、カッターヘッド1の回転に起因しスライド部材71には上方へ移動する力が作用するので拡縮ビット31の拡径状態は維持される。
【0054】
拡縮ビット31が拡径した状態でカッターヘッド1に対して逆方向の回転を加えると、スライド部材71は、ねじ部材80に沿って下方に移動する。スライド部材71の下方への移動に伴い拡縮ビット31は、摺動自在に接するスライド部材71の突出部73の傾斜面74の位置との関係で漸次縮径する。スライド部材71の縮径は、スライド部材71がねじ部材80のねじ部82の下端まで移動した時点で終了する。
【0055】
拡縮ビット31の拡径時におけるベースフランジ38の外周面42からの突出量、拡縮ビット31の縮径時におけるベースフランジ38の外周面42からの突出量は、特に限定されるものではなく適宜設定すればよい。縮径時において、拡縮ビット31の超硬チップ38の最先端の位置がベースフランジ38の外周面42と同一であってもよく、拡縮ビット31の超硬チップ38の最先端がベースフランジ38の外周面42よりも内側(中心軸線側)に入り込んでいてもよい。
【0056】
カッターヘッド1の動き及び作用効果を説明する。ここではカッターヘッド1が連結部50を介して掘削機本体に連結され、カッターヘッド1が回転しつつ上下動するものとする。ここでカッターヘッド1の正回転方向は、拡縮ビット31が拡径する方向であり、この方向を掘削方向とする。
【0057】
カッターヘッド1が掘削方向に回転しつつ上下動すると、固定ビット部10に設けられた固定ビット20が地盤を掘削する。このときカッターヘッド1が上下動することで地盤に対し打撃力を与え、岩盤など硬い地盤も掘削することができる。固定ビット部10には、先端面12のみならず側面13及び傾斜面14にも固定ビット20が取付けられているため掘削能力に優れる。
【0058】
カッターヘッド1が掘削方向に回転することで、固定ビット部10に掘削抵抗が加わる。これにより拡縮ビット31がスライド部材71により径方向外側に押し出され拡径し、拡縮ビット31も地盤を掘削する。本実施形態のカッターヘッド1は、前面に固定ビット20が配され、その後方に拡縮ビット31が配されている。このため拡縮ビット31が掘削する前に、既に固定ビット部10の横断面積と同じ大きさの地盤は既に掘削されているため拡縮ビット31が掘削する地盤は僅かである。このため拡縮ビット31の負担は少ないと言える。所定の掘削が完了すればカッターヘッド1を逆回転させることで、拡縮ビット31を縮径させることができる。
【0059】
以上のように第1実施形態のカッターヘッド1は、複数の固定ビット20と縮径ビット31とを有し、これらが協働して地盤を掘削するので迅速に地盤を掘削することができる。また第1実施形態のカッターヘッド1は、縮径ビット31が固定ビット20の後方に配置されているので縮径ビット31の負担が軽減され、地盤を効率的に掘削することができる。
【0060】
また第1実施形態のカッターヘッド1は、固定ビット20がケーシング11に着脱可能に取付けられているので、固定ビット20の交換が容易であり固定ビット20の配置の自由度も高い。拡縮ビット31の交換も可能である。また固定ビット20は超硬チップ21が台座22に、拡縮ビット31は超硬チップ36が本体32にろう付けされているので、超硬チップ21、36が摩耗しても超硬チップ21、36を交換可能であり経済的である。また超硬チップ21、36がろう付けされているので超硬チップ21、36の配列の自由度も高い。
【0061】
また第1実施形態のカッターヘッド1は、所定の長さを有するねじ機構を用いた拡縮手段70を用いて拡縮ビット31を出没させるので、拡縮ビット31はカッターヘッド1が正回転方向に大きく回転しなければ拡径状態とならず、同様に拡縮ビット31はカッターヘッド1が逆方向に大きく回転しなければ縮径状態とはならない。
【0062】
拡縮手段70を構成するねじ機構の所定の長さは、連結部50に対し拡縮ビット部30が300°程度回転したときに相当する。このためカッターヘッド1が地盤に引っ掛かり回転方向が僅かに変化しても、拡径状態から縮径状態、縮径状態から拡径状態にならないため安定した掘削を行うことができる。
【0063】
以上、第1実施形態のカッターヘッド1を用いて説明のとおり、本発明に係るカッターヘッドを使用することで効率的にまた安定的に地盤を掘削可能である。また本発明に係るカッターヘッドは、固定ビット、拡縮ビットさらには超硬チップの交換も可能であるなど使い勝手がよい。
【0064】
本発明に係るカッターヘッドは、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。たとえば拡縮ビット31の拡径を、スライド部材71の上面77が軸受フランジ56の下面58に接するまでとしてもよい。同様に拡縮ビット31の縮径を、スライド部材71の下面78がベースフランジ38の第2円筒部43の上面に接するまでとしてもよい。
【0065】
図8(A)は、本発明の第2実施形態の掘削機101の縦断面図、図8(B)は、カッターヘッド1の正面図である。図9は、図8において切断線A-Aで切断した掘削機101の断面図及び切断線B-Bで切断した掘削機101の断面図である。図10は、本発明の第2実施形態の掘削機101の縦断面図であり、図8の縦断面図と直交する方向の縦断面図である。図11及び図12は、本発明の第2実施形態の掘削機101の回転振り子130の動き及び緩衝手段140の構成を説明するための図である。図13及び図14は、本発明の第2実施形態の掘削機101の減速機170の構造図及び断面図である。
【0066】
以下の説明において掘削機101の下方は、カッターヘッド1側であり、図8では左側である。また掘削機101の下方は、掘削機101の前側、先端側でもある。掘削機101の軸方向、軸線方向は、中心軸線Mに平行な方向であり上下方向である。径方向は、中心軸線Mに直交する方向、周方向は、中心軸線Mを中心に円弧に沿う方向、内側は中心軸線側をいう。
【0067】
本発明の第2実施形態の掘削機101は、岩盤層など硬い地盤の掘削に好適な掘削機であって、本発明の第1実施形態のカッターヘッド1と、カッターヘッド1に打撃力を付与する起振機構120と、カッターヘッド1を回転させる回転機構155と、起振機構120及び回転機構155を駆動する、モーター167及び減速機170を備える駆動装置165と、それらが搭載されるパイプ状のケーシング200と、を主に構成される。
【0068】
起振機構120は、カッターヘッド1に付与する打撃力を発生させる起振手段121と、起振手段121に連結し衝撃を吸収する緩衝手段140と、回転機構155に係合する係合手段150とを備える。
【0069】
起振手段121は、打撃力の源泉となる遠心力を発生させる回転振り子130(130a、130b)と、回転振り子130を支持する支持台であるホイールケース122と、回転振り子130を回転させる駆動軸135とを含み、カッターヘッド1に地盤を掘削するための打撃力を付与する。
【0070】
ホイールケース122は、前部にカッターヘッド取付部124、中央から後部に回転振り子取付部125を有する本体123と、回転振り子取付部125を覆うように本体123に取付けられた円筒状のケース129とを備える。カッターヘッド取付部124は、前部がケーシング200の先端部201から突出するように設けられている。本実施形態ではケース129が本体123にボルト止めされているが、ケース129を本体123と一体的に設けてもよい。
【0071】
回転振り子取付部125には、中心軸線Mに直交する支軸127が取付けられ、支軸127に回転振り子130が回転自在に取付けられている。また回転振り子取付部125には、駆動軸135が挿通する挿通孔126が上下方向に設けられている。挿通孔126の上端には駆動軸135を回転自在に支持する軸受128が取り付けられている。
【0072】
ホイールケース122は、ケーシング200内に配置され、連結するカッターヘッド1及び支持する回転振り子130と一体的に回転しつつ上下動する。これについての詳細は後述する。
【0073】
回転振り子130は、一対の回転振り子130a、130bからなる。回転振り子130aと回転振り子130bとは同一形状、同一構造からなる。以下、回転振り子130aを用いて形状、構造を説明する。
【0074】
回転振り子130aは、肉厚板状の部材であり扇形状を有する(図11参照)。回転振り子130aは、扇の中心点から離れるに従って体積が大きくなり、中心点から離れた扇部分がウエイトとして機能し、回転することで大きな遠心力を生み出す。このような回転振り子130は、偏心ロータ、偏心重錘、フライホイールと言い換えることができる。
【0075】
回転振り子130aは、扇の中心点近傍に支軸127に挿通する挿通孔を備え、挿通孔にボールベアリング133aが装着され、回転振り子130aは、ボールベアリング133aを介し支軸127に回転自在に取り付けられている。また回転振り子130aには、支軸127に挿通可能な傘歯車132aが取り付けられている。この傘歯車132aは、駆動軸135の先端に取り付けられた傘歯車136と噛み合う。
【0076】
一対の回転振り子130a、130bの回転方向、位相は以下のとおりである。一対の回転振り子130a、130bは、中心軸線Mを挟み相反する位置に配置され、駆動軸135の回転に伴い支軸127を中心に中心軸線Mに平行に回転する。一対の回転振り子130a、130bは、1つの傘歯車136と噛み合うため回転方向は逆向きとなる。また一対の回転振り子130a、130bは、同位相で回転するように支軸127に取り付けられている。このため一対の回転振り子130a、130bは、下死点及び上死点が一致する(図11(A),(C)参照)。
【0077】
このように構成される一対の回転振り子130a、130bが回転することで上下方向に大きな遠心力が発生し、これがカッターヘッド1の打撃力の源泉となる。回転振り子130a、130bの回転により生じる水平方向の荷重は、回転振り子130a、130bの回転が逆向きゆえ相殺される。
【0078】
回転振り子130は、カッターヘッド1に付与する打撃力の源泉となる遠心力を生み出すことができればよく、形態は本実施形態に限定されるものではない。例えばアームの先端に重りを取り付けた回転振り子、円板の周縁部近傍に重りを取り付け、支軸127への挿通孔131を中心点から偏心させた偏心ロータなどであってもよい。
【0079】
駆動軸135は、減速機170の第1出力軸171の回転を回転振り子130に伝達する部材であり、前端に傘歯車136を備え、後端に軸継手137が設けられ、第1出力軸171と連結する。駆動軸135は、中間部が軸受128で回転自在に支持され、傘歯車136が回転振り子130の傘歯車132(132a、132b)と噛み合う。
【0080】
軸継手137は、第1出力軸171に対して駆動軸135を軸方向に移動自在に接続する継手であり、本実施形態ではボールスプライン継手である。軸継手137は、第1出力軸171の回転を確実に駆動軸135に伝達可能で、かつ第1出力軸171に対して駆動軸135を軸方向に移動自在に接続できれば他の形態、構造であってもよい。
【0081】
緩衝手段140は、起振手段121及び回転機構155に連結するスプリングホルダー141と、スプリングホルダー141に装着される圧縮ばね147とを含み、起振手段121が移動規制手段に衝突する際の衝撃を吸収する。緩衝手段140は、回転機構155に対し、係合手段150を介して連結する。
【0082】
スプリングホルダー141は、円筒状の本体の前部にフランジ部142、中央から後部にかけて圧縮ばね147を収容するばね収容部143を有する。スプリングホルダー141は、フランジ部142がホイールケース122の後端にボルト止めされ、ホイールケース122と連結する。駆動軸135は、スプリングホルダー141の本体内に位置する。
【0083】
ばね収容部143は、本体の外側に位置し、ここに圧縮ばね147を収容する収容孔144が設けられている。収容孔144は、ばね収容部143を軸方向に貫通する孔であり、下端に内側に突出する段部を備える。収容孔144は、ばね収容部143の周方向に等間隔で複数個設けられている。本実施形態において、収容孔144の数は8であるが、個数はこれに限定されるものではない。
【0084】
圧縮ばね147は、両端に段部を有する円柱状のガイドシャフト148に挿通された状態で収容孔144に装着されている。ガイドシャフト148に挿通された圧縮ばね147は、ガイドシャフト148の両端の段部の間に位置する。圧縮ばね147の外径は、ガイドシャフト148の段部の外径よりも大きく、収容孔144の内径よりも小さく設定されている。
【0085】
ガイドシャフト148の長さは、収容孔144よりも長く、収容孔144に装着されたガイドシャフト148の両端部は、収容孔144から突出している。一方、圧縮ばね147の長さは、収容孔144の長さよりも短く、収容孔144に装着された圧縮ばね147は、収容孔144内に位置する。
【0086】
ガイドシャフト148に挿通された圧縮ばね147が装着された各収容孔144の上端には、ストッパーフランジ149が取付けられる。ストッパーフランジ149の外径は、収容孔144の内径よりも大きく、ストッパーフランジ149の内径は、ガイドシャフト148の段部の外径よりも僅かに大きい。このためガイドシャフト148は、ストッパーフランジ149を挿通可能である。
【0087】
ばね収容部143には、係合手段150を構成する伝達シャフト151を取付けるための取付座146が設けられている。取付座146は、ばね収容部143の半径方向に設けられた凹溝であり、ばね収容部143の周方向に等間隔で複数個、ばね収容部143の横断面において隣り合う収容孔144の間に設けられている。
【0088】
係合手段150は、回転機構155と起振機構120とに係合し、回転機構155の回転を起振機構120に伝達する。また係合手段150は、起振機構120の軸方向の移動をサポートする手段としても機能する。係合手段150は、円柱状の伝達シャフト151と、伝達シャフト151の上部に取り付けられる軸受152と、カラー153とを備える。
【0089】
伝達シャフト151は、ばね収容部143の取付座146に下半分が嵌め込まれ、上半分はばね収容部143から突出するように取り付けられている。ばね収容部143から突出する伝達シャフト151には、軸受152を介してカラー153が回転自在に取付けられている。伝達シャフト151を含む軸受152及びカラー153は、ローラーガイド156のガイド溝160に嵌り込む。
【0090】
回転機構155は、駆動装置165を構成する減速機170の第2出力軸172に固定されたローラーガイド156を備え、ローラーガイド156と係合手段150とを係合させ、起振機構120及びカッターヘッド1を回転させる。また回転機構155は、ローラーガイド156の下端に取付けられたばね受けフランジ162を備える。ばね受けフランジ162は、ローラーガイド156のフランジ部158とで起振機構120の軸方向の移動距離を規制する移動規制手段を構成する。
【0091】
ローラーガイド156は、円筒状の本体157の後端にフランジ部158を有し、本体157の中央から前端にかけて本体157の外側に設けられたガイド部159を有する。ローラーガイド156は、フランジ部158が減速機170の第2出力軸172にボルト止めされ、本体157がスプリングホルダー141のばね収容部143を覆うように配置されている。
【0092】
ガイド部159は、本体157の外側に位置し、ここにカラー153が取付けられた伝達シャフト151が摺動自在に嵌り込むガイド溝160が設けられている。ガイド溝160は、ガイド部159の内周面に臨む軸方向(上下方向)に伸びる凹溝である。ガイド溝160は、ガイド部159の周方向に各伝達シャフト151がそれぞれ嵌り込むように複数個、本実施形態では8個設けられている。
【0093】
駆動装置165は、起振機構120及び回転機構155を駆動する装置であり、モーター167及び減速機170を主に構成され、ケーシング200内に固定されている。本実施形態の掘削機101では、運搬する際の大きさ(寸法)を考慮し、起振機構120及び回転機構155を格納するケーシング200aと、駆動装置165を格納するケーシング200bとが分割可能に構成されている。これにより大型の掘削機101であっても運搬が容易となる。但し、起振機構120及び回転機構155と駆動装置165とが1つのケーシング200に格納されていてもよい。
【0094】
モーター167は、特に限定されるものではなく、公知のモーターを使用することができる。モーター167及び減速機170は、ケーシング200の内側に設けられた冷却装置(図示省略)で冷却される。冷却装置には、モーター167及び減速機170の外周面を覆うように配置されたコイル状の冷却管、又はジャケットに冷却水を流通させ冷却する間接式の冷却装置を使用することができる。
【0095】
減速機170は、モーター167の出力軸に直結しモーター167の出力軸168と同じ回転数で回転する第1出力軸171と、第1出力軸171に比較して低速で回転する第2出力軸172とを備える。第1出力軸171の回転数をN、第2出力軸172の回転数をNとすると、N>Nである。第1出力軸171は、モーター167の出力軸と直結するため高速で回転する。第1出力軸171の先端部には駆動軸135の軸継手137に係合する軸継手173を備える。
【0096】
減速機170は、第1出力軸171と、第1出力軸171と比較して減速された第2出力軸172とを備えれば特に限定されるものではないが、減速機170は、ケーシング200内に固定し使用されるためコンパクトであり、さらにカッターヘッド1を回転駆動するものであるから高トルクのものが好ましい。好適な減速機170を図13及び図14に示す。図14は、図13のA-A断面図である。
【0097】
図13に示す減速機170は、偏心揺動型の減速機であり、入力回転体175と、入力回転体175の外周面に固定された偏心カム176と、複数の外歯歯車177と、複数の伝達棒178と、複数の出力フランジ179と、複数のキャリアピン180と、内歯歯車181と、出力回転体172と、ケーシング182とを主に構成される。
【0098】
入力回転体175は、軸受を介してケーシング182の中心に回転自在に取り付けられている。入力回転体175は、モーター167の出力軸168と連結し、入力回転数Nで回転する。本実施形態では、入力回転体175の一部をケーシング182から突出させ、これを第1出力軸171としている。第1出力軸171は、入力回転体175と別体であってもよく、軸部材を入力回転体175と連結させこれを第1出力軸171としてもよい。
【0099】
偏心カム176は、入力回転体175の回転軸から偏心した回転軸を有し、入力回転体175と一体的に回転し、伝達棒178を介して外歯歯車177を揺動回転させる。外歯歯車177は、円環状の部材であり、軸受及び伝達棒178を介して偏心カム176と回転自在に連結する。外歯歯車177は、内周面が円形であり、外周面に外歯が設けられている。外歯歯車177の歯数は、Mである。
【0100】
伝達棒178は、偏心カム176の動きを外歯歯車177に伝達するための部材であり、一端が偏心カム176に取付けられた軸受の外周面に、他端が外歯歯車177の内周面に接するように、放射状に配置される。出力フランジ179は、隣り合う外歯歯車177の間に配置され、キャリアピン180と連結する。出力フランジ179は、円環状の部材であり、スプライン継手を介して出力回転体172に連結し、キャリアピン180を介して伝達される動力を出力回転体172に伝達する。
【0101】
内歯歯車181は、円筒状のケーシング本体182の内周面に設けられている。内歯歯車181の歯数は、Mである。
【0102】
出力回転体172は、円筒状の本体を有し、入力回転体175を覆うように配置され、軸受を介してケーシング182に回転自在に取り付けられている。出力回転体172には、伝達棒178を挿通する挿通孔が設けられ、外周面には、スプライン継手のキーが設けられている。本実施形態では、出力回転体172が第2出力軸172であり、第2出力軸172と第1出力軸171の回転軸は一致する。
【0103】
入力回転体175が回転すると、外歯歯車177は、内歯歯車181に噛み合いながら揺動回転する。内歯歯車181の歯数Mが外歯歯車177の歯数Mよりも多いため、外歯歯車177は、入力回転体175の回転数Nに対して入力回転体175の回転方向とは逆方向に(M-M)/Mの割合で回転する。つまり減速機170の減速比はM/(M-M)となる。
【0104】
外歯歯車177の回転は、当該動力がキャリアピン180に伝達され、出力フランジ179を介して出力回転体172に伝達される。この結果、第2出力軸172の回転数Nは、第1出力軸171の回転数Nに(M-M)/Mを乗じた値となる。図13に示す減速機170の詳細構造は、特許第7191353号公報参照のこと。
【0105】
以上からなる駆動装置165は、第1出力軸171が軸継手173を介して駆動軸135と連結し、駆動軸135を回転数Nで回転させる。また駆動装置165は、減速機170の第2出力軸172がローラーガイド156と連結し、回転機構155さらには起振機構120及びカッターヘッド1を回転数Nで回転させる。
【0106】
掘削機101は、さらにカッターヘッド1が掘削した掘削土を搬送するスクリューケーシング186を備える。スクリューケーシング186は、掘削土の搬送手段であり、掘削土をスクリューケーシング186の上部まで持ち上げる。スクリューケーシング186は、円筒状の本体187を備え、本体187の下端部には内側に突出するフランジ部188を有する。また本体187の外壁面には、掘削土を搬送するスクリュー189が設けられている。
【0107】
スクリューケーシング186は、本体187の上端部がリングキー190を介してローラーガイド156と連結する。これによりスクリューケーシング186は、ローラーガイド156と一体的に回転数Nで回転する。
【0108】
本体187の内径は、ホイールケース122のケース129の外径よりも僅かに大きく、ホイールケース122は、本体187の内側に位置する。また本体187の内径は、ローラーガイド156のガイド部159の外径よりも大きく、ローラーガイド156は、本体187の内側に位置する。
【0109】
スクリュー189の外径は、ケーシング200aの内径と略同一であり、スクリュー189の外周面がケーシング200の内面に摺動自在に接する。スクリュー189の外径をケーシング200aの内径よりも僅かに小さく設定し、スクリュー189の外周面をケーシング200の内面に接触させることなく近接した状態としてもよい。これらによりケーシング200の内周面と本体187の外周面との間に掘削土の搬送路が形成され、スクリューケーシング186を回転させることで掘削土を減速機170側に搬送することができる。
【0110】
スクリューケーシング186は、ローラーガイド156に連結した状態でフランジ部188の先端面がケーシング200aの先端部201と同じ高さにある。フランジ部188は、中央部にホイールケース122のカッターヘッド取付部124が挿通する円孔が設けられ、円孔の内周面にはブッシュ191が嵌め込まれている。ブッシュ191は、カッターヘッド取付部124の外周面に摺動自在に接し、ホイールケース122の回転及び上下動をガイドする。
【0111】
スクリューケーシング186が搬送する掘削土は、真空排土装置250により吸引される。これについては後述する。
【0112】
本実施形態の掘削機101は、掘削深度に応じて継ぎ足し使用する延長用のケーシング210及び各種配管を集合させたジョイント管215を接続可能に構成されている。掘削機101は、掘削機101に配置された送気管などの各種配管と新たに接続されるジョイント管215とを接続するための配管室205を備える。配管室205は、モーター167及び減速機170が収納されたケーシング200bの上端に設けられている。
【0113】
配管室205は、ケーシング200と同じ外径のパイプ状のケーシングを有する。配管室205のケーシングの上端には、延長用のケーシング210を連結するための連結部212、ジョイント管215を連結するための連結部217が設けられ、この連結部212、217により延長用のケーシング210及びジョイント管215を容易に連結し、また取外すことができる。
【0114】
延長用のケーシング210は、ケーシング200と同じ外径を有する所定の長さを有する円筒状の部材であり、順次延長用のケーシング210を継ぎ足し可能に構成されている。ジョイント管215は、吸引パイプ、送泥管、送気管、電線などをコンパクトにまとめた延長管であり、順次ジョイント管215を継ぎ足し可能に構成されている。ジョイント管215の外径は、延長用のケーシング210の内径よりも小さくケーシング210内に配置される。
【0115】
掘削機101の使用方法を説明する。図15は、掘削機101を用いた乾式真空工法である。乾式真空工法は、カッターヘッド1に泥水を供給することなく掘削する工法であり、地盤が盛土など比較的柔らかい土壌の掘削に適している。
【0116】
掘削機101は、ケーシング200又は延長用のケーシング210が地上300に設置された反力装置230に把持される。反力装置230は、操作盤232及び油圧ユニット234と接続し、ケーシング200又は延長用のケーシング210を回転不能にかつ上下方向に移動可能に支持する。
【0117】
掘削機101には連結されたジョイント管215に送気管242が接続され、地上に設置されたコンプレッサ240からシール用の空気が供給される。このシール用空気は、ケーシングパイプ200a内に供給され、起振機構120及び回転機構155に掘削土が入り込まないようにケーシング200a内をシールし、カッターヘッド取付部124の先端に取付けられた逆止弁114からカッターヘッド1側に出る。
【0118】
また掘削機101には連結されたジョイント管215に吸引パイプ254が接続される。吸引パイプ254は、地上300に設置された真空タンク252及び真空排土装置250と接続し、スクリューケーシング186が搬送する掘削土を吸引する。
【0119】
掘削機101は、適宜延長用のケーシング210及びジョイント管215が接続され、掘削機101を先導体とし、先端に位置するカッターヘッド1が低速(回転数N)で回転しつつ上下動し地盤を掘削する。具体的な動作は次のとおりである。
【0120】
モーター167を稼動させると、第1出力軸171に連結する駆動軸135が高速(回転数N)で回転し、一対の回転振り子130a、130bを回転させる。回転振り子130a、130bの回転に伴い、回転振り子130a、130bを支持するホイールケース122が上下動する。このときホイールケース122と連結するスプリングホルダー141に装着された伝達シャフト151が、ローラーガイド156のガイド溝160に嵌り込み、起振機構120は、ガイド溝160に案内され上下動する。
【0121】
ホイールケース122が上下動すると、ホイールケース122と連結するスプリングホルダー141に装着されたガイドシャフト148の下端がばね受けフランジ162に衝突し、またガイドシャフト148の上端がローラーガイド156のフランジ部158に衝突し、装着された圧縮ばね147が衝撃を吸収する。圧縮ばね147は、圧縮状態から伸長することで起振機構120の上下動を付勢する。
【0122】
上記の動作により起振機構120は、連結されたカッターヘッド1と一体的に上下動しカッターヘッド1に打撃力を付与する。
【0123】
またモーター167を稼動させると、第1出力軸171と一緒に第2出力軸172も回転数Nで回転する。第2出力軸172が回転することで第2出力軸172に連結されたローラーガイド156も一体的に回転数Nで回転する。ローラーガイド156と起振機構120とは直接的には連結されていないが、スプリングホルダー141に取付けられた伝達シャフト151がローラーガイド156のガイド溝160に嵌り込んでいるため、ローラーガイド156の回転が伝達シャフト151を介して起振機構120に伝達される。
【0124】
これにより回転機構155が回転数Nで回転すると、起振機構120及びそれに連結されたカッターヘッド1も一体的に回転数Nで回転する。回転機構155は、ローラーガイド156が減速機170の第2出力軸172に連結され、伝達シャフト151がガイド溝160に上下動可能に係合するため起振機構120が上下動しても上下動しない。
【0125】
以上により起振機構120及びカッターヘッド1が一体的に回転数Nで回転しつつ上下動する。これにより固定ビット20が地盤を掘削する。さらに固定ビット部10が回転しつつ地盤を掘削することで固定ビット部10に掘削抵抗が加わる。これにより固定ビット部10及び拡縮ビット部30が連結部50に対して相対的に回転し、スライド部材71がねじ部材80に沿って上方に移動する。これに伴い拡縮ビット31は、スライド部材71の突出部73により径方向外側に押し出され拡径し、地盤を掘削する。
【0126】
カッターヘッド1が掘削する掘削土は、以下の要領で地上に排出される。スクリューケーシング186は、リングキー190を介してローラーガイト156と連結する。このためモーター167を稼動させると、スクリューケーシング186は回転数Nで回転し、掘削土を減速機170側に搬送する。この掘削土は、さらに吸引パイプ254に吸引され地上300に運ばれる。
【0127】
掘削深度に応じて延長用のケーシング210及びジョイント管215を順次継ぎ足し、掘削する。掘削が完了するとカッターヘッド1を逆転させ、拡縮ビット31を縮径させた後、反力装置230を介して延長用のケーシング210、ジョイント管215及び掘削機101を地上に引き上げ回収する。
【0128】
掘削機101の他の使用方法を説明する。図16は、掘削機101を用いた泥水還流工法である。泥水還流工法は、カッターヘッド1に泥水を供給しつつ、泥水を掘削土と共に回収し、掘削土と分離した泥水を循環使用し掘削する工法であり、岩盤など硬質の地盤の掘削に適している。図15の掘削機101を用いた乾式真空工法と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
泥水還流工法では、地上300に泥水循環装置260が設置される。泥水循環装置260は、泥水送水ポンプ262を備え、送泥管264がジョイント管215に接続され、カッターヘッド1に泥水が送られる。カッターヘッド1には先端面に泥水を送るノズル18が設けられ、ここから泥水が排出する。また泥水循環装置260は、サンドポンプ270から送られる掘削土を含む泥水から掘削土を分離する分離機266を備え、ここで掘削土が分離され、泥水は循環使用される。
【0130】
泥水還流工法では、地上300に設置したサンドポンプ270を介して掘削土を含む泥水を回収する。
【0131】
泥水還流工法における掘削機101の起振機構120、カッターヘッド1などの動きは、図15に示す乾式真空工法と基本同じであるが、泥水を供給しつつ掘削し、掘削した掘削土及び泥水をケーシング200、延長用のケーシング210の外側から回収する点で乾式真空工法と異なる。泥水還流工法で使用する掘削機101の場合には、スクリューケーシング186、又はスクリュー189を省略してもよい。
【0132】
以上からなる第2実施形態の掘削機101の特徴をダウンザホールハンマーと比較しつつ説明する。第2実施形態の掘削機101は、先端部のカッターヘッド1を回転させつつ上下動させることができるため岩盤層などの硬い地盤も掘削できる点でダウンザホールハンマーと共通する。一方、以下に説明のとおり、装置構造の違いに起因しダウンザホールハンマーとは作用効果が異なる。
【0133】
ダウンザホールハンマーは、打撃のための駆動源(コンプレッサ)が地上にあり、動作媒体である圧縮空気は、パイプを介してハンマーピストンに供給される。このため掘削深度が深くなると圧縮空気を供給するための圧力損失も大きくなり、エネルギーロスが増大しエネルギー効率が悪くなる。また圧縮空気を供給するパイプの取り回しも容易ではない。
【0134】
これに対して掘削機101は、同じケーシング200にカッターヘッド1と、カッターヘッド1の駆動装置165が組み込まれているので、カッターヘッド1と駆動装置165とが常に一体となって移動する。このため駆動装置165の駆動力がカッターヘッド1に効率的に伝達され、掘削深度が深くなってもエネルギーの伝達効率が低下しない。このため掘削機101は、エネルギー効率に優れ、省エネルギーである。
【0135】
また掘削機101は、1つのモーター167でカッターヘッド1の回転と打撃を実現させるので装置をコンパクト化することができる。また掘削機101は、ダウンザホールハンマーとは異なり、ケーシング(掘削パイプに相当)が回転しないため装置本体を回転させるための回転装置を地上に設置する必要がなく省スペース化を実現できる。また掘削機1は、ケーシングが回転しないため安全である。
【0136】
ダウンザホールハンマーは、通常、ハンマーピストンを駆動させた後の圧縮空気を利用して掘削土等を地上に噴出させるため周辺環境が悪化する。これに対して掘削機101は、吸引パイプ又は排泥管を通じて掘削土等を地上に排出するので周辺環境に悪影響を与えない。また掘削機101は、図15及び図16に示すように施工場所・土質によって掘削方法を選択することができるので使い勝手がよい。
【0137】
ダウンザホールハンマーは、通常、ハンマーの打撃に圧縮空気を使用するため振動、騒音が発生するなど周辺環境に悪影響を及ぼす。これに対して掘削機101は、回転振り子130を用い機械的に上下動を発生させる起振機構120がケーシング200に組み込まれ、これがカッターヘッド1を上下動させるため地上での振動、騒音は非常に小さい。
【0138】
また掘削機101は、回転振り子130を用い機械的に上下動を発生させるので、ピストンに比較して大きな打撃力が得られる。
【0139】
以上、第2実施形態の掘削機101を用いて説明のとおり、本発明に係る掘削機は効率的また安定的に掘削可能であり使い勝手がよい。また本発明に係る掘削機は、従来の掘削機とは異なる新規な構造を有しエネルギー効率に優れる。本発明に係る掘削機は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更して使用することができる。
【0140】
図面を参照しながら好適なカッターヘッド及び掘削機について説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0141】
1 カッターヘッド
10 固定ビット部
11 ケーシング
20,20a、20b,20c,20d 固定ビット
21,21a 超硬チップ
22 台座
25 取付ボルト
30 拡縮ビット部
31 拡縮ビット
32 本体
35 傾斜面
36 超硬チップ
38 ベースフランジ
42 外周面
50 連結部
70 拡縮手段
71 スライド部材
74 傾斜面
76 ねじ部
80 ねじ部材
82 ねじ部
101 掘削機
120 起振機構
155 回転機構
165 駆動装置
167 モーター
170 減速機
200、200a、200b ケーシング
M 中心軸線
図1
図2
図3
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図16