特開 2024-136757 閉塞具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024136757

(43)【公開日】2024-10-04

(54)【発明の名称】閉塞具

(51)【国際特許分類】

   E03F 5/04 20060101AFI20240927BHJP

   H02G 9/04 20060101ALI20240927BHJP

【ＦＩ】

E03F5/04 A

H02G9/04

E03F5/04 D

E03F5/04 F

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023047988

(22)【出願日】2023-03-24

(71)【出願人】

【識別番号】591287222

【氏名又は名称】株式会社サンレック

(74)【代理人】

【識別番号】100121706

【弁理士】

【氏名又は名称】中尾 直樹

(74)【代理人】

【識別番号】100128705

【弁理士】

【氏名又は名称】中村 幸雄

(74)【代理人】

【識別番号】100147773

【弁理士】

【氏名又は名称】義村 宗洋

(72)【発明者】

【氏名】狗巻 慎二

(72)【発明者】

【氏名】野田 修平

(72)【発明者】

【氏名】原 信政

【テーマコード（参考）】

2D063

5G369

【Ｆターム（参考）】

2D063CA03

2D063CA41

2D063CB01

2D063CB12

2D063CB22

2D063CB26

5G369BA03

5G369DB05

5G369DB07

5G369DD04

(57)【要約】

【課題】道路に設置するような蓋をボルトで固定する際に必要な隙間を塞ぐ。
【解決手段】本発明の閉塞具は、頭部側面が多角形のボルトの頭部側面を覆うための閉塞具である。本発明の閉塞具は、第１の穴を有する円形の板であるワッシャ部と、第２の穴を有する円形の板である保護部と、第３の穴を有する円形の弾性材である圧縮部とを有する。第１の穴の径は、ボルトのネジ部の径より大きく、ボルトの頭部の最大径より小さい。第２の穴の径は、ボルトの頭部の最大径より大きい。第３の穴の径は、第２の穴の径以下である。圧縮部は、少なくとも第２の穴の中心と第３の穴の中心が一致するようにワッシャ部と保護部に挟まれている。保護部の板の厚さと、圧縮部に力を加えていない状態での弾性材の厚さの合計は、ボルトの頭部の長さと同じである。
【選択図】図７

【特許請求の範囲】

【請求項1】

頭部側面が多角形のボルトの頭部側面を覆うための閉塞具であって、
第１の穴を有する円形の板であるワッシャ部と、
第２の穴を有する円形の板である保護部と、
第３の穴を有する円形の弾性材である圧縮部と
を有し、
前記第１の穴の径は、前記ボルトのネジ部の径より大きく、前記ボルトの頭部の最大径より小さく、
前記第２の穴の径は、前記ボルトの頭部の最大径より大きく、
前記第３の穴の径は、前記第２の穴の径以下であり、
前記圧縮部は、少なくとも前記第２の穴の中心と前記第３の穴の中心が一致するように前記ワッシャ部と前記保護部に挟まれており、
前記保護部の板の厚さと、前記圧縮部に力を加えていない状態での前記弾性材の厚さの合計は、前記ボルトの頭部の長さと同じである
ことを特徴とする閉塞具。

【請求項2】

請求項１記載の閉塞具であって、
前記弾性材は、スポンジ状である
ことを特徴とする閉塞具。

【請求項3】

請求項１記載の閉塞具であって、
前記弾性材は、クロロプレンスポンジゴムである
ことを特徴とする閉塞具。

【請求項4】

請求項２または３記載の閉塞具であって、
前記保護部の板の外径と、前記圧縮部に力を加えていない状態での前記弾性材の外径は同じである
ことを特徴とする閉塞具。

【請求項5】

請求項２または３記載の閉塞具であって、
前記保護部の板の外径と、前記圧縮部に力を加えていない状態での前記弾性材の外径は同じであり、
前記第３の穴の径は、前記ボルトの頭部の最大径よりも小さい
ことを特徴とする閉塞具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ボルトの頭部周辺の隙間を閉塞するための閉塞具に関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、ボルトの頭部の穴を閉塞するキャップが示されている。また、特許文献２には、砂防ダムや橋脚等のコンクリート構造物の穴に挿入されたボルトの頭部をゴム部材で被覆する技術が示されている。また、特許文献３，４には、電柱をなくした街づくり（無電柱化事業）を推進するための技術が示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１０－１７５０６８号公報

【特許文献2】特開２０１０－０２４６７６号公報

【特許文献3】特開２００８－１０９７９１号公報

【特許文献4】特開２０１０－２００４８９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

無電柱化事業は国の重要施策の１つであり、国土交通省主管で推進されている。しかし、現在の無電柱化事業は地中管路にケーブルを配線する方式であり、電柱を用いた配線に比べ建設費が膨大である。そこで、地中管路を、側溝に蓋をした構成である小型ボックス方式に変更することで、建設費の削減を検討している。図１に小型ボックス方式の場合の配線システムの様子を示す。図１では、歩道８１０と車道８３０とは、縁石８４０で区切られている。ただし、ガードレールなどの他の設備で区切られていても構わない。また、歩道は民地８２０と接している。図１では、歩道８１０の一部に側溝２１０が形成され、側溝２１０の上部には蓋２２０が配置されている。側溝２１０と蓋２２０で小型ボックス２００を構成している。例えば、通信ケーブル９１０と電力ケーブル９２０が側溝２１０内に収納される。

【0005】

図２は側溝２１０に蓋２２０を固定するための構造を説明する断面図、図３は側溝２１０に蓋２２０を固定した様子を示す断面図である。蓋２２０には、ボルト頭部穴２２５、ボルト円筒部穴２２６が形成されている。側溝２１０には、インサートナット２１５が形成されている。図３に示すように、ワッシャ３５０を配置した上でボルト３００をボルト頭部穴２２５から挿入し、インサートナット２１５に締め付けることで、蓋２２０は側溝２１０に固定される。ボルト３００は、頭部３１０、円筒部３２０、ネジ部３３０で構成されている。

【0006】

ボルト頭部穴２２５は、ボルト３００の頭部３１０が蓋２２０から突出することを避けるために形成されており、深さは頭部３１０の長さとワッシャの厚さとの合計とほぼ同じである。ボルト３００には六角ボルトなどが用いられる。このような構成の場合、頭部３１０の外側をインパクトレンチなどの中に挿入してボルト３００を回転させるので、ボルト頭部穴２２５と頭部３１０との間には隙間３９０が存在することになる。隙間３９０には、泥、砂、埃などが堆積してしまうので、隙間３９０を塞ぐ必要がある。

【0007】

特許文献１のキャップは、穴付きボルトのレンチ挿入穴を塞ぐためのカバーであるが、外れる可能性がある。特許文献２のゴム部材は、ゴム製の保護板本体をコンクリート製構造物に固定する際に用いる物であり、岩石や流木の衝突から構造物を守るためにボルトの頭部全体を覆っている。特許文献２のゴム部材は、岩石や流木の衝突から構造物を守るための部材であり、隙間３９０を塞ぐために使用する部材ではない。本発明は、道路に設置するような蓋をボルトで固定する際に必要な隙間を塞ぐための、閉塞具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明の閉塞具は、頭部側面が多角形のボルトの頭部側面を覆うための閉塞具である。本発明の閉塞具は、第１の穴を有する円形の板であるワッシャ部と、第２の穴を有する円形の板である保護部と、第３の穴を有する円形の弾性材である圧縮部とを有する。第１の穴の径は、ボルトのネジ部の径より大きく、ボルトの頭部の最大径より小さい。第２の穴の径は、ボルトの頭部の最大径より大きい。第３の穴の径は、第２の穴の径以下である。圧縮部は、少なくとも第２の穴の中心と第３の穴の中心が一致するようにワッシャ部と保護部に挟まれている。保護部の板の厚さと、圧縮部に力を加えていない状態での弾性材の厚さの合計は、ボルトの頭部の長さと同じである。

【発明の効果】

【0009】

本発明の閉塞具によれば、弾性材である圧縮部があり、第２の穴の径はボルトの頭部の最大径より大きい。よって、保護部をレンチなどでワッシャ部側に押さえつければ保護部がワッシャ部側に近づき、ボルトの頭部の一部をレンチ内に挿入できる。第１の穴の径は、ボルトのネジ部の径より大きく、ボルトの頭部の最大径より小さいので、ボルトを側溝に締め付ければ閉塞具は外れない。また、第３の穴の径は、第２の穴の径以下なので、ボルトの頭部と閉塞具との隙間を小さくできる。したがって、本発明の閉塞具によれば、道路に設置するような蓋をボルトで固定する際に必要な隙間を塞ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】小型ボックス方式の場合の配線システムの様子を示す図。

【図2】側溝２１０に蓋２２０を固定するための構造を説明する断面図。

【図3】側溝２１０に蓋２２０を固定した様子を示す断面図。

【図4】閉塞具１００を利用して側溝２１０に蓋２２０を固定した様子を示す断面図。

【図5】閉塞具１００のみの断面図。

【図6】閉塞具１００を保護部側から見た平面図。

【図7】閉塞具１００の斜視図。

【図8】保護部１２０をレンチ４００でワッシャ部１１０側に押さえつけたときの様子を示す断面図。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。

【実施例0012】

図４は、閉塞具１００を利用して側溝２１０に蓋２２０を固定した様子を示す断面図である。図５は、閉塞具１００のみの断面図である。図６は閉塞具１００を保護部側から見た平面図、図７は閉塞具１００の斜視図である。図８は保護部１２０をレンチ４００でワッシャ部１１０側に押さえつけたときの様子を示す断面図である。図６には、ボルト３００の頭部３１０も点線で示している。

【0013】

閉塞具１００は、頭部側面が多角形のボルト３００の頭部３１０側面を覆うための閉塞具である。閉塞具１００は、第１の穴１１１を有する円形の板であるワッシャ部１１０と、第２の穴１２１を有する円形の板である保護部１２０と、第３の穴１３１を有する円形の弾性材である圧縮部１３０とを有する。ワッシャ部１１０と保護部１２０には、通常のワッシャなどと同様の金属製の材料を用いればよい。弾性材としては、スポンジ状の弾性材が好ましい。スポンジ状であれば弾性材の内部に存在する中空のスペースが小さくなることによって縮む。よって、圧縮部１３０の形状を、隙間３９０ができるだけ埋めるような形状にしても、レンチなどで押して圧縮させやすいからである。スポンジ状の弾性材としては、例えば、クロロプレンスポンジゴムを用いればよいが、他の材質を用いてもよい。スポンジ状の弾性材の中空のスペースは、泥、砂、埃が入り込みにくい程度に小さい方がよい。ただし、スポンジ状であれば、外部に近い部分の中空のスペースに泥、砂、埃が入り込んでも中心部分の中空スペースには泥、砂、埃が入り込みにくい。

【0014】

第１の穴１１１の径Ｄ_１は、ボルト３００のネジ部３３０の径Ｄ_Ｎおよびボルト３００の円筒部３２０の径Ｄ_Ｅより大きく、ボルト３００の頭部３１０の最小径Ｄ_ＭＩＮより小さくすればよい。ただし、少なくとも第１の穴１１１の径Ｄ_１は、ボルト３００の頭部３１０の最大径Ｄ_ＭＡＸより小さければ、ボルト３００を側溝２１０に締め付ければ閉塞具１００は外れないようにできる。

【0015】

第２の穴１２１の径Ｄ_２は、ボルト３００の頭部３１０の最大径Ｄ_ＭＡＸより大きい。よって、保護部１２０は押さえることで隙間３９０の中に入り込む。第３の穴１３１の径Ｄ_３は、第２の穴１２１の径Ｄ_２以下である。ここでの「以下」は「同程度」も含む意味である。つまり、第３の穴１３１の径Ｄ_３は、第２の穴１２１の径Ｄ_２と同程度としてもよいし、第２の穴１２１の径Ｄ_２よりも小さくしてもよい。また、第３の穴１３１の径Ｄ_３は、できるだけ頭部３１０の最小径Ｄ_ＭＩＮに近い径とすれば、隙間３９０を埋めやすくなる。したがって、第３の穴１３１の径Ｄ_３は、頭部３１０の最大径Ｄ_ＭＡＸ以下にすればよい。圧縮部１３０は、保護部側から見たときに少なくとも第２の穴１２１の中心と第３の穴１３１の中心が一致するように、ワッシャ部１１０と保護部１２０に挟まれている。圧縮部１３０とワッシャ部１１０，保護部１２０とは両面テープなどの接着性の材料を用いて接着すればよい。また、保護部１２０の板の外径Ｄ_ＯＵＴと、圧縮部１３０に力を加えていない状態での弾性材の外径Ｄ_ＯＵＴは同じとすればよい。隙間３９０を埋めることができるからである。なお、隙間３９０を埋めるという目的だけを考慮すると必要性は低いが、ワッシャ部１１０の板の外径も、Ｄ_ＯＵＴとすればよい。また、図６に示しているように、第１の穴１１１の中心も、保護部側から見たときに第２の穴１２１の中心と第３の穴１３１の中心と一致するようにしてもよい。

【0016】

保護部１２０の板の厚さＴ_１２０と、圧縮部１３０に力を加えていない状態での弾性材の厚さＴ_１３０の合計は、ボルト３００の頭部３１０の長さＬ_３１０と同じである。また、ボルト頭部穴２２５の深さＤ_２２５は、ボルト３００の頭部３１０の長さＬ_３１０とワッシャ部１１０の厚さＴ１１０との合計と同じになるようにすればよい。そのような寸法にすれば、蓋２２０の表面、ボルト３００の頭部３１０の上面、保護部１２０の上面を一致させることができ、歩行者が歩きやすい。

【0017】

閉塞具１００によれば、弾性材である圧縮部１３０があり、第２の穴１２１の径はボルト３００の頭部３１０の最大径Ｄ_ＭＡＸより大きい。よって、図８のように保護部１２０をレンチ４００などでワッシャ部１１０側に押さえつければ保護部１２０がワッシャ部１１０側に近づき、ボルト３００の頭部３１０の一部をレンチ４００内に挿入できる。したがって、レンチ４００などでボルト３００を回転させることができるので、ボルト３００を締め付けることも緩めることも可能である。また、第１の穴１１１の径は、ボルト３００のネジ部３３０の径より大きく、ボルト３００の頭部３１０の最大径Ｄ_ＭＡＸより小さいので、ボルト３００を側溝２１０に締め付ければ閉塞具１００は外れない。また、第３の穴１３１の径は、第２の穴１２１の径以下なので、ボルト３００の頭部３１０と閉塞具１００との隙間を小さくできる。したがって、閉塞具１００によれば、道路に設置するような蓋２２０をボルト３００で固定する際に必要な隙間３９０を塞ぐことができる。

【符号の説明】

【0018】

１００ 閉塞具 １１０ ワッシャ部
１１１ 第１の穴 １２０ 保護部
１２１ 第２の穴 １３０ 圧縮部
１３１ 第３の穴 ２００ 小型ボックス
２１０ 側溝 ２１５ インサートナット
２２０ 蓋 ２２５ ボルト頭部穴
２２６ ボルト円筒部穴 ３００ ボルト
３１０ 頭部 ３２０ 円筒部
３３０ ネジ部 ３５０ ワッシャ
３９０ 隙間 ４００ レンチ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】