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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136770
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 39/32 20230101AFI20240927BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240927BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H10K39/32
H04N25/70
H01L27/146 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048006
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 正浩
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA14
4M118CA24
4M118CB20
4M118DD09
4M118FB03
5C024GX02
5C024GX07
5C024HX40
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】検出精度を向上させることが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、基板と、基板の上に、第1下部電極及び第2下部電極、下部バッファ層、活性層、上部バッファ層、上部電極の順に積層された複数の光センサと、を有し、第1下部電極は、複数の光センサごとに離隔して配置され、第2下部電極は、複数の第1下部電極のそれぞれを囲んで設けられ、下部バッファ層、活性層、上部バッファ層及び上部電極は、複数の第1下部電極及び複数の第2下部電極を覆って、複数の光センサに亘って連続して設けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に、第1下部電極及び第2下部電極、下部バッファ層、活性層、上部バッファ層、上部電極の順に積層された複数の光センサと、を有し、
前記第1下部電極は、複数の前記光センサごとに離隔して配置され、
前記第2下部電極は、複数の前記第1下部電極のそれぞれを囲んで設けられ、
前記下部バッファ層、前記活性層、前記上部バッファ層及び前記上部電極は、複数の前記第1下部電極及び複数の前記第2下部電極を覆って、複数の前記光センサに亘って連続して設けられる
検出装置。
【請求項2】
複数の光センサは、前記基板にマトリクス状に配置され、
前記光センサの前記第1下部電極に接続された第1トランジスタと、
前記第1トランジスタに接続されたゲート線及び信号線と、を有する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1トランジスタ及び前記信号線を介して前記光センサの前記第1下部電極と接続される検出回路を有し、
前記上部電極には共通電位が印加される
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1下部電極と前記第2下部電極との間の接続と非接続とを切り替える第2トランジスタを有する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2下部電極に所定電位を供給する電位供給配線と、
前記第2下部電極と前記電位供給配線との間の、接続と非接続とを切り替える第3トランジスタを有する
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記光センサは、前記第2トランジスタがオフ、かつ、前記第3トランジスタがオンとなる第1検出モードを有し、
前記第1検出モードで、前記第1下部電極と前記第2下部電極とは前記第2トランジスタにより非接続となり、前記第2下部電極と前記電位供給配線とは前記第3トランジスタを介して接続される
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記光センサは、前記第2トランジスタがオン、かつ、前記第3トランジスタがオフとなる第2検出モードを有し、
前記第2検出モードで、前記第1下部電極と前記第2下部電極とは前記第2トランジスタを介して接続され、前記第2下部電極と前記電位供給配線とは前記第3トランジスタにより非接続となる
請求項5に記載の検出装置。
【請求項8】
前記光センサは、
前記第2トランジスタがオフ、かつ、前記第3トランジスタがオンとなる第1検出モードと、
前記第2トランジスタがオン、かつ、前記第3トランジスタがオフとなる第2検出モードと、を有し、
前記第1検出モードと前記第2検出モードとの切り替えは、外部スイッチからの入力に基づいて行われる
請求項5に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋パターンや静脈パターンを検出可能な光センサが知られている(例えば、特許文献1)。このような光センサは、活性層として有機半導体材料が用いられた複数のフォトダイオード(OPD:Organic Photodiode)を有する。特許文献2に記載されるように、フォトダイオードは、例えば、下部電極、電子輸送層、活性層、正孔輸送層、上部電極の順に積層される。
【0003】
特許文献3には、撮像素子として、入射光を光電変換する有機感光層を備え、高解像度画像撮像領域と低解像度画像撮像領域の少なくとも2領域を備えるX線撮像装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-32005号公報
【特許文献2】国際公開第2020/188959号
【特許文献3】特開2007-97693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなOPDを有する光センサは、検出精度の向上が要求されている。
【0006】
本発明は、検出精度を向上させることが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の検出装置は、基板と、前記基板の上に、第1下部電極及び第2下部電極、下部バッファ層、活性層、上部バッファ層、上部電極の順に積層された複数の光センサと、を有し、前記第1下部電極は、複数の前記光センサごとに離隔して配置され、前記第2下部電極は、複数の前記第1下部電極のそれぞれを囲んで設けられ、前記下部バッファ層、前記活性層、前記上部バッファ層及び前記上部電極は、複数の前記第1下部電極及び複数の前記第2下部電極を覆って、複数の前記光センサに亘って連続して設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る検出装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る検出装置を示す回路図である。
図4図4は、センサ部が有する複数の光センサを示す平面図である。
図5図5は、図4のV-V’断面図である。
図6図6は、光センサの第1検出モードを説明するための説明図である。
図7図7は、光センサの第2検出モードを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る検出装置を示す平面図である。図1に示すように、検出装置1は、基板21と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路122と、電源回路123と、第1光源基材51と、第2光源基材52と、光源53、54と、を有する。第1光源基材51には、複数の光源53が設けられる。第2光源基材52には複数の光源54が設けられる。
【0012】
基板21には、配線基板71を介して制御基板121が電気的に接続される。配線基板71は、例えばフレキシブルプリント基板やリジット基板である。配線基板71には、検出回路48が設けられている。制御基板121には、制御回路122及び電源回路123が設けられている。制御回路122は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路122は、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。また、制御回路122は、光源53、54に制御信号を供給して、光源53、54の点灯又は非点灯を制御する。電源回路123は、プリチャージ電位Vpr、共通電位Vcom、シールド電位Vsh(図3参照)等の電圧信号をセンサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。また、電源回路123は、電源電圧を光源53、54に供給する。
【0013】
基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、センサ部10が有する複数の光センサPD(図4参照)が設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、基板21の外縁部との間の領域であり、複数の光センサPDが設けられない領域である。
【0014】
ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。具体的には、ゲート線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。
【0015】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板21の主面の法線方向である。また、「平面視」とは、基板21と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0016】
複数の光源53は、第1光源基材51に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。複数の光源54は、第2光源基材52に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。第1光源基材51及び第2光源基材52は、それぞれ、制御基板121に設けられた端子部124、125を介して、制御回路122及び電源回路123と電気的に接続される。
【0017】
複数の光源53及び複数の光源54は、例えば、無機LED(Light Emitting Diode)や、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)等が用いられる。複数の光源53及び複数の光源54は、それぞれ異なる波長の光を出射する。
【0018】
光源53から出射された第1光は、主に指等の被検出体の表面で反射されセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指等の表面の凹凸の形状を検出することで指紋を検出することができる。光源54から出射された第2光は、主に指等の内部で反射し又は指等を透過してセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指等の内部の生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報とは、例えば、指や掌の脈波、脈拍、血管像等である。すなわち、検出装置1は、指紋を検出する指紋検出装置や、静脈などの血管パターンを検出する静脈検出装置として構成されてもよい。
【0019】
なお、図1に示す光源53、54の配置は、あくまで一例であり適宜変更することができる。検出装置1は、光源として複数種類の光源53、54が設けられている。ただし、これに限定されず、光源は1種類であってもよい。例えば、第1光源基材51及び第2光源基材52のそれぞれに、複数の光源53及び複数の光源54が配置されていてもよい。また、光源53及び光源54が設けられる光源基材は1つ又は3つ以上であってもよい。あるいは、光源は、少なくとも1つ以上配置されていればよい。
【0020】
図2は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、検出装置1は、さらに検出制御回路11と検出部40と、有する。検出制御回路11の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。
【0021】
センサ部10は、複数の光センサPDを有する。センサ部10が有する光センサPDは、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGLにしたがって検出を行う。
【0022】
検出制御回路11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する。検出制御回路11は、スタート信号STV、クロック信号CK等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御回路11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。また、検出制御回路11は、各種制御信号を光源53、54に供給して、それぞれの点灯及び非点灯を制御する。
【0023】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GL(図3参照)を駆動する。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GLにゲート駆動信号VGLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GLに接続された複数の光センサPDを選択する。
【0024】
信号線選択回路16は、複数の信号線SL(図3参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路を有する。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御回路11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、光センサPDの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0025】
検出部40は、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、記憶回路46と、検出タイミング制御回路47と、を備える。検出タイミング制御回路47は、検出制御回路11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、が同期して動作するように制御する。
【0026】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE、Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅回路42及びA/D変換回路43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅回路42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換回路43は、検出信号増幅回路42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0027】
信号処理回路44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する。信号処理回路44は、論理回路である。信号処理回路44は、指が検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指や掌の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理回路44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報は、例えば、指や掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等である。
【0028】
記憶回路46は、信号処理回路44で演算された信号を一時的に保存する。記憶回路46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0029】
座標抽出回路45は、信号処理回路44において指の接触又は近接が検出されたときに、指等の表面の凹凸の検出座標を求める。また、座標抽出回路45は、指や掌の血管の検出座標を求める。座標抽出回路45は、論理回路である。座標抽出回路45は、センサ部10の各光センサPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報及び指や掌の血管の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出回路45は、検出座標を算出せずにセンサ出力電圧Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0030】
図3は、実施形態に係る検出装置を示す回路図である。なお、図3では、検出回路48の回路構成も併せて示している。図3に示すように、センサ画素PXは、光センサPDと、容量素子Ca、Cbと、第1トランジスタTr1と、第2トランジスタTr2と、第3トランジスタTr3と、を含む。
【0031】
本実施形態の光センサPDは、活性層31(図5参照)として有機半導体が用いられたフォトダイオード(OPD:Organic Photodiode)である。光センサPDは、メインフォトダイオードPDaと、サブフォトダイオードPDbと、を有する。なお、以下の説明では、メインフォトダイオードPDaとサブフォトダイオードPDbとを区別して説明する必要が無い場合には、単に光センサPDと表す。
【0032】
センサ画素PXにおいて、メインフォトダイオードPDaと、サブフォトダイオードPDbとは、並列に配置される。具体的には、メインフォトダイオードPDaのアノードと、サブフォトダイオードPDbのアノードとは、共通の上部電極24により接続される。メインフォトダイオードPDaのカソード(第1下部電極22)と、サブフォトダイオードPDbのカソード(第2下部電極23)とは、第2トランジスタTr2を間に挟んで接続可能に配置される。
【0033】
容量素子Ca、Cbは、光センサPDに形成される容量(センサ容量)である。容量素子Caは、等価的にメインフォトダイオードPDaと並列に接続される。容量素子Cbは、等価的にサブフォトダイオードPDbと並列に接続される。
【0034】
第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2及び第3トランジスタTr3は、複数の光センサPD(センサ画素PX)のそれぞれに対応して設けられる。なお、以下の説明では、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2及び第3トランジスタTr3を区別して説明する必要が無い場合には、単にトランジスタTrと表す。
【0035】
トランジスタTrは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0036】
図3では、複数のゲート線GLのうち、第2方向Dyに並ぶ2つのゲート線GL(m)、GL(m+1)を示す。また、複数の信号線SLのうち、第1方向Dxに並ぶ2つの信号線SL(n)、SL(n+1)を示す。
【0037】
複数のゲート線GLは、それぞれ第1方向Dxに延在し、第2方向Dyに間隔を有して配列される。複数の信号線SLは、それぞれ第2方向Dyに延在し、第1方向Dxに間隔を有して配列される。複数の光センサPD(センサ画素PX)は、2つのゲート線GLと2つの信号線SLとで囲まれた領域に設けられる。
【0038】
複数のゲート線GLのそれぞれは、第1方向Dxに配列された複数の第1トランジスタTr1のゲートに接続される。複数の信号線SLのそれぞれは、第2方向Dyに配列された複数の第1トランジスタTr1のソース及びドレインの一方に接続される。複数の第1トランジスタTr1のソース及びドレインの他方は、メインフォトダイオードPDaのカソード(第1下部電極22)及び容量素子Caに接続される。
【0039】
第2トランジスタTr2のゲートは、第1制御配線36に接続される。本実施形態では、複数のセンサ画素PXにおいて、複数の第2トランジスタTr2のゲートは、共通の第1制御配線36に接続される。第1制御配線36は、複数の第2トランジスタTr2のゲートに検出モード制御信号Vmcを供給する。
【0040】
メインフォトダイオードPDaのカソード(第1下部電極22)は、第2トランジスタTr2のソース及びドレインの一方に接続される。サブフォトダイオードPDbのカソード(第2下部電極23)は、第2トランジスタTr2のソース及びドレインの他方に接続される。すなわち、第2トランジスタTr2は、第1下部電極22と第2下部電極23との間の、接続と非接続とを切り替えるスイッチ素子である。
【0041】
第2制御配線37は、第3トランジスタTr3のゲートに接続される。本実施形態では、複数のセンサ画素PXにおいて、複数の第3トランジスタTr3のゲートは、共通の第2制御配線37に接続される。第2制御配線37は、複数の第3トランジスタTr3のゲートにシールド制御信号Vscを供給する。
【0042】
サブフォトダイオードPDbのカソード(第2下部電極23)は、第3トランジスタTr3のソース及びドレインの一方に接続される。シールド電位供給配線35は、第3トランジスタTr3のソース及びドレインの他方に接続される。すなわち、第3トランジスタTr3は、第2下部電極23とシールド電位供給配線35(電位供給配線)との間の、接続と非接続とを切り替えるスイッチ素子である。また、シールド電位供給配線35は、第3トランジスタTr3を介して、サブフォトダイオードPDbのカソード(第2下部電極23)に所定電位としてシールド電位Vshを供給する。
【0043】
光センサPDのアノード(上部電極24)には、電源回路123から共通電位Vcomが供給される。また、信号線SL及び容量素子Caには、電源回路123からリセットトランジスタTrR及び第1トランジスタTr1を介して、信号線SL及び容量素子Caの初期電位となるプリチャージ電位Vprが供給される。リセットトランジスタTrRは、リセット制御信号RSTに基づいてオンオフが制御される。光センサPDは、共通電位Vcom及びプリチャージ電位Vprにより逆バイアス駆動される。例えば、共通電位Vcomは0Vであり、プリチャージ電位Vprは0.75Vに設定される。
【0044】
光センサPDは、第1検出モードM1と、第2検出モードM2と、を有する。第1検出モードM1では、第2トランジスタTr2がオフ(非導通状態)、かつ、第3トランジスタTr3がオン(導通状態)となる。具体的には、電源回路123は、複数の第2トランジスタTr2のゲートに、低レベル電圧の検出モード制御信号Vmcを供給する。これにより、第2トランジスタTr2がオフとなる。また、電源回路123は、複数の第3トランジスタTr3のゲートに、高レベル電圧のシールド制御信号Vscを供給する。これにより、第3トランジスタTr3がオンとなる。
【0045】
第1検出モードM1では、メインフォトダイオードPDaのカソード(第1下部電極22)と、サブフォトダイオードPDbのカソード(第2下部電極23)とは、第2トランジスタTr2により非接続となる。また、第2下部電極23は、第3トランジスタTr3を介してシールド電位供給配線35と接続される。これにより、第2下部電極23にはシールド電位Vshが供給される。
【0046】
第1検出モードM1において、露光期間でセンサ画素PXに光が照射されると、光センサPDのメインフォトダイオードPDaには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。読み出し期間で第1トランジスタTr1がオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SLに電流が流れる。信号線SLは、信号線選択回路16の出力トランジスタTrSを介して検出回路48に接続される。出力トランジスタTrSは、選択信号ASWに基づいて信号線SLごとにオン、オフが制御される。これにより、検出装置1は、センサ画素PXごとに光センサPDのメインフォトダイオードPDaに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0047】
上述したように、第2トランジスタTr2がオフであり、サブフォトダイオードPDbの第2下部電極23は信号線SL及び検出回路48には接続されない。すなわち、第1検出モードM1では、サブフォトダイオードPDbは光センサとして機能しない。第2下部電極23は、シールド電位Vshが供給され、隣接するセンサ画素PX(メインフォトダイオードPDa)の間のシールド電極となる。
【0048】
第2検出モードM2では、第2トランジスタTr2がオン(導通状態)、かつ、第3トランジスタTr3がオフ(非導通状態)となる。具体的には、電源回路123は、複数の第2トランジスタTr2のゲートに、高レベル電圧の検出モード制御信号Vmcを供給し、第2トランジスタTr2がオンとなる。また、電源回路123は、複数の第3トランジスタTr3のゲートに、低レベル電圧のシールド制御信号Vscを供給し、第3トランジスタTr3がオフとなる。
【0049】
第2検出モードM2では、メインフォトダイオードPDaのカソード(第1下部電極22)と、サブフォトダイオードPDbのカソード(第2下部電極23)とは、第2トランジスタTr2を介して接続される。また、第2下部電極23は、第3トランジスタTr3によりシールド電位供給配線35と非接続となる。これにより、第2下部電極23にはシールド電位Vshは供給されない。
【0050】
第2検出モードM2において、露光期間でセンサ画素PXに光が照射されると、光センサPDのメインフォトダイオードPDa及びサブフォトダイオードPDbには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Ca、Cbに電荷が蓄積される。読み出し期間で第1トランジスタTr1がオンになると、容量素子Ca、Cbに蓄積された電荷に応じて、信号線SLに電流が流れる。信号線SLは、信号線選択回路16の出力トランジスタTrSを介して検出回路48に接続される。これにより、検出装置1は、センサ画素PXごとに光センサPDのメインフォトダイオードPDa及びサブフォトダイオードPDbに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0051】
検出回路48は、読み出し期間にスイッチSSWがオンになり、信号線SLと接続される。検出回路48の検出信号増幅回路42は、信号線SLから供給された電流または電荷に応じた電圧に変換する。検出信号増幅回路42の非反転入力部(+)には、固定された電位を有する基準電位(Vref)が入力され、反転入力部(-)には、信号線SLが接続される。実施形態では、基準電位(Vref)としてプリチャージ電位Vprと同じ電圧信号が入力される。制御回路122(図1参照)は、光が照射された場合の検出信号Vdetと、光が照射されていない場合の検出信号Vdetとの差分をセンサ出力電圧Voとして演算する。また、検出信号増幅回路42は、容量素子Cc及びリセットスイッチRSWを有する。リセット期間においてリセットスイッチRSWがオンになり、容量素子Ccの電荷がリセットされる。
【0052】
なお、第1検出モードM1及び第2検出モードM2での、光センサPDの詳細な動作については、図6、7にて後述する。また、トランジスタTrは、n型TFTに限定されず、p型TFTで構成されてもよい。また、図3に示すセンサ画素PXの画素回路はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、1つのセンサ画素PXが有するトランジスタTrは3つに限定されず、4つ以上の複数のトランジスタTrが設けられていてもよい。
【0053】
第1検出モードM1と第2検出モードM2との切り替えは、外部スイッチ130からの入力に基づいて行われる。外部スイッチ130はどのようなものであってもよいが、例えば、検出装置1が収納される筐体に設けられた押しボタンスイッチ等である。外部スイッチ130からの入力に基づいて制御回路122が有するレジスタが設定される。制御回路122からの制御信号に基づいて、検出モード制御信号Vmcが第2トランジスタTr2に供給され、第2トランジスタTr2のオン、オフが制御される。また、制御回路122からの制御信号に基づいて、シールド制御信号Vscが第3トランジスタTr3に供給され、第3トランジスタTr3のオン、オフが制御される。
【0054】
なお、第1検出モードM1と第2検出モードM2との切り替えは、外部スイッチ130の入力に限定されない。例えば、制御回路122が有するレジスタをあらかじめ設定することで、第1検出モードM1と第2検出モードM2との切り替えが行われてもよい。この場合、制御回路122が有するレジスタは、例えば被検出体の種類や、検出する生体情報の種類に応じて、あらかじめ検出装置1の出荷前に設定される。
【0055】
次に、光センサPDの構成について説明する。図4は、センサ部が有する複数の光センサを示す平面図である。図4では、図面を見やすくするために、第1下部電極22及び第2下部電極23にそれぞれハッチングを付けて示している。
【0056】
図4に示すように、複数の光センサPDは、基板21の検出領域AAにマトリクス状に配置される。光センサPDは、第1下部電極22、第2下部電極23及び上部電極24を有する。第1下部電極22及び第2下部電極23は、複数の光センサPDごとに離隔して配置される。第1下部電極22は、基板21の検出領域AAに島状に設けられる。第2下部電極23は、複数の第1下部電極22のそれぞれを囲んで設けられる。上部電極24は、複数の第1下部電極22及び複数の第2下部電極23を覆って、複数の光センサPDに亘って連続して設けられる。
【0057】
より具体的には、第1下部電極22は、四角形状である。第2下部電極23は、第1下部電極22の4辺を囲む環状である。第2下部電極23は、第1下部電極22の外周と離隔して配置される。言い換えると、第2下部電極23に設けられた開口部と重なる領域に第1下部電極22が配置される。また、隣接する2つの光センサPDで、一方の光センサPDの第2下部電極23と、他方の光センサPDの第2下部電極23とは、間隔を有して隣り合う。
【0058】
複数の光センサPDのそれぞれにおいて、第1下部電極22と重なる領域が図3にて説明したメインフォトダイオードPDaに対応する。また、第2下部電極23と重なる領域が図3にて説明したサブフォトダイオードPDbに対応する。
【0059】
なお、第1下部電極22は、四角形状に限定されず、円形状、多角形状等、他の形状であってもよい。第2下部電極23の形状も、第1下部電極22の形状に応じて適宜変更できる。なお、第2下部電極23は連続して設けられているが、これに限定されない。例えば、第2下部電極23の一部にスリットが設けられていてもよいし、第2下部電極23が複数の部分に分離されていてもよい。
【0060】
図5は、図4のV-V’断面図である。図5に示すように、検出装置1は、基板21の上に、回路形成層29、有機絶縁膜27、無機絶縁膜28、光センサPD、封止膜90の順に積層される。
【0061】
なお、以下の説明において、基板21の表面に垂直な方向において、基板21から封止膜90に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、封止膜90から基板21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0062】
基板21は絶縁基板であり、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板が用いられる。基板21は、平板状に限定されず、曲面を有していてもよい。この場合、基板21は、フィルム状の樹脂材料であってもよい。
【0063】
回路形成層29は、基板21上に設けられる。図示は省略するが、回路形成層29には、図3に示す各トランジスタTr、ゲート線GL、信号線SL等の各種配線が形成される。有機絶縁膜27は、回路形成層29の上に設けられ、回路形成層29の各トランジスタTr及び各種配線を覆う。有機絶縁膜27は、有機絶縁材料で形成された有機平坦化膜である。
【0064】
無機絶縁膜28は、有機絶縁膜27の上に設けられる。無機絶縁膜28は、例えばシリコン窒化膜(SiN)等の無機絶縁材料で形成されたバリア膜である。
【0065】
光センサPDは、無機絶縁膜28の上に設けられる。より詳細には、光センサPDは、第1下部電極22と、第2下部電極23と、下部バッファ層32と、活性層31と、上部バッファ層33と、上部電極24と、を有する。光センサPDは、基板21に垂直な方向で、第1下部電極22及び第2下部電極23、下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33、上部電極24の順に積層される。
【0066】
第1下部電極22及び第2下部電極23は、無機絶縁膜28の上に同層に設けられる。第1下部電極22は、メインフォトダイオードPDaのカソード電極である。第2下部電極23は、サブフォトダイオードPDbのカソード電極である。第1下部電極22及び第2下部電極23は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透光性を有する導電材料で形成される。
【0067】
下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33及び上部電極24は、第1下部電極22及び第2下部電極23を覆って、複数の光センサPDに亘って連続して設けられる。具体的には、下部バッファ層32、活性層31、上部バッファ層33及び上部電極24は、第1下部電極22及び第2下部電極23と重なる領域に設けられるとともに、隣り合う第1下部電極22と第2下部電極23との間の領域、及び、隣り合う光センサPDの第2下部電極23と第2下部電極23との間の領域にも設けられる。
【0068】
活性層31は、照射される光に応じて特性(例えば、電圧電流特性や抵抗値)が変化する。活性層31の材料として、有機材料が用いられる。具体的には、活性層31は、p型有機半導体と、n型有機半導体であるn型フラーレン誘導体(PCBM)とが混在するバルクヘテロ構造である。活性層31として、例えば、低分子有機材料であるC60(フラーレン)、PCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル:Phenyl C61-butyric acid methyl ester)、CuPc(銅フタロシアニン:Copper Phthalocyanine)、F16CuPc(フッ素化銅フタロシアニン)、rubrene(ルブレン:5,6,11,12-tetraphenyltetracene)、PDI(Perylene(ペリレン)の誘導体)等を用いることができる。
【0069】
活性層31は、これらの低分子有機材料を用いて蒸着型(Dry Process)で形成することができる。この場合、活性層31は、例えば、CuPcとF16CuPcとの積層膜、又はrubreneとC60との積層膜であってもよい。活性層31は、塗布型(Wet Process)で形成することもできる。この場合、活性層31は、上述した低分子有機材料と高分子有機材料とを組み合わせた材料が用いられる。高分子有機材料として、例えばP3HT(poly(3-hexylthiophene))、F8BT(F8-alt-benzothiadiazole)等を用いることができる。活性層31は、P3HTとPCBMとが混合した状態の膜、又はF8BTとPDIとが混合した状態の膜とすることができる。なお、活性層31は、バルクヘテロ構造に限定されずPIN型であってもよい。
【0070】
下部バッファ層32及び上部バッファ層33は、活性層31で発生した正孔及び電子が第1下部電極22、第2下部電極23又は上部電極24に到達しやすくするために設けられる。下部バッファ層32は、第1下部電極22及び第2下部電極23の上に直接接し、隣り合う第1下部電極22と第2下部電極23との間、及び、隣り合う光センサPDの第2下部電極23と第2下部電極23との間で無機絶縁膜28を覆って設けられる。
【0071】
上部バッファ層33は、活性層31の上に直接接する。本実施形態では、下部バッファ層32は電子輸送層であり、上部バッファ層33は正孔輸送層である。電子輸送層の材料は、エトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)が用いられる。正孔輸送層の材料は、酸化金属層とされる。酸化金属層として、酸化タングステン(WO)、酸化モリブデン等が用いられる。
【0072】
上部電極24は、上部バッファ層33の上に設けられる。上部電極24は、光センサPDのアノード電極であり、検出領域AAの全体に亘って連続して形成される。言い換えると、上部電極24は複数の光センサPDの上に連続して設けられる。上部電極24は、下部バッファ層32、活性層31及び上部バッファ層33を挟んで、複数の第1下部電極22及び複数の第2下部電極23と対向する。上部電極24は、例えば、ITOやIZO等の透光性を有する導電材料で形成される。上部電極24は、複数の透光性を有する導電材料の積層膜であってもよい。
【0073】
封止膜90は、上部電極24の上に設けられる。封止膜90は、シリコン窒化膜や酸化アルミニウム膜などの無機膜、あるいはアクリルなどの樹脂膜が用いられる。封止膜90は、単層に限定されず、上記の無機膜及び樹脂膜を組み合わせた2層以上の積層膜であってもよい。封止膜90により光センサPDは良好に封止され、上面側からの水分の侵入を抑制することができる。
【0074】
次に、図3及び図6、7を参照して、光センサPDの、第1検出モードM1及び第2検出モードM2での動作について説明する。図6は、光センサの第1検出モードを説明するための説明図である。
【0075】
図3にて上述したように、第1検出モードM1では、第2トランジスタTr2がオフ、かつ、第3トランジスタTr3がオンとなる。すなわち、第1検出モードM1では、第1下部電極22と第2下部電極23とは第2トランジスタTr2により非接続となる。また、第2下部電極23とシールド電位供給配線35とは第3トランジスタTr3を介して接続される。第2下部電極23には、シールド電位供給配線35を介してシールド電位Vshが供給される。シールド電位Vshは、固定された所定の電位である。より好ましくは、シールド電位Vshは、第1下部電極22に供給されるプリチャージ電位Vprと等しい電位である。
【0076】
図6に示すように、第1検出モードM1では、第1下部電極22を含むメインフォトダイオードPDaが光センサPDとして機能し、第2下部電極23を含むサブフォトダイオードPDbは実質的に光センサPDとして機能しない。第1検出モードM1において、隣り合う第1下部電極22間の領域を画素間領域PAとする。画素間領域PAは、実質的に光センサPDとして機能しない領域である。
【0077】
光源53、54(図1参照)から出射された光は、被検出体で反射又は透過して光センサPDの活性層31に入射する。活性層31には、照射された光に応じたキャリア101が発生する。活性層31のうち、第1下部電極22と重なる領域(メインフォトダイオードPDa)の活性層31で生じたキャリア101は下部バッファ層32を通って第1下部電極22に流れる。第1下部電極22は、第1トランジスタTr1、信号線SL、出力トランジスタTrS(図3参照)を介して検出回路48に接続される。
【0078】
第1検出モードM1では、上述したように、第2下部電極23は、第1下部電極22と非接続とされ、かつ、固定電位であるシールド電位Vshが供給される。これにより、画素間領域PAの活性層31で発生したキャリア101aは、下部バッファ層32を通って第2下部電極23に流れる。これにより、画素間領域PAの活性層31で発生したキャリア101aは、第1下部電極22側に流れることが抑制される。
【0079】
ここで、仮に第2下部電極23が設けられていない場合、画素間領域PAの活性層31で発生したキャリア101aは、第1下部電極22と重なる領域(メインフォトダイオードPDa)の活性層31で発生したキャリア101に比べて、第1下部電極22に到達するまでの応答に遅延が生じる可能性がある。
【0080】
第1検出モードM1では、第2下部電極23が設けられているので、第1下部電極22と重なる領域(メインフォトダイオードPDa)での応答速度を向上させることができ、かつ、隣り合うセンサ画素PX(光センサPD)の第1下部電極22間でのキャリア101のリークが抑制される。また、第2下部電極23に供給されるシールド電位Vshを、第1下部電極22に供給されるプリチャージ電位Vprと等しい電位とすることで、隣り合う第1下部電極22と第2下部電極23との間のキャリア101のリークを抑制できる。これにより、第1検出モードM1では、光センサPDの解像度を向上させることができる。
【0081】
図7は、光センサの第2検出モードを説明するための説明図である。図3にて上述したように、第2検出モードM2では、第2トランジスタTr2がオン、かつ、第3トランジスタTr3がオフとなる。すなわち、第2検出モードM2では、第1下部電極22と第2下部電極23とは第2トランジスタTr2を介して接続され、第2下部電極23とシールド電位供給配線35とは第3トランジスタTr3により非接続となる。
【0082】
図7に示すように、第2検出モードM2では、第1下部電極22を含むメインフォトダイオードPDa及び第2下部電極23を含むサブフォトダイオードPDbの両方が光センサPDとして機能する。第2検出モードM2において、隣り合うセンサ画素PX(光センサPD)の、第2下部電極23間の領域が画素間領域PAとなる。
【0083】
活性層31のうち、第1下部電極22と重なる領域(メインフォトダイオードPDa)の活性層31で生じたキャリア101は、下部バッファ層32を通って第1下部電極22に流れる。第2下部電極23と重なる領域(サブフォトダイオードPDb)の活性層31で生じたキャリア101は、下部バッファ層32を通って第2下部電極23に流れる。また、第1下部電極22と第2下部電極23との間の領域の活性層31で生じたキャリア101は、下部バッファ層32を通って第1下部電極22又は第2下部電極23に流れる。第1下部電極22及び第2下部電極23は、第1トランジスタTr1、信号線SL、出力トランジスタTrS(図3参照)を介して検出回路48に接続される。
【0084】
第2検出モードM2では、第1検出モードM1に比べて実効的な光センサPDの幅(面積)が大きくなり、光感度を向上させることができる。また、第2検出モードM2では、第1検出モードM1に比べて、光センサPDとして機能しない画素間領域PAの幅(面積)が小さくなり、画素間領域PAの活性層31で生じるキャリア101aの量が少なくなる。これにより、第2検出モードM2では、光センサPDの光応答速度を向上させることができる。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る検出装置1は、解像度が要求される場合(第1検出モードM1)と、光応答速度が要求される場合(第2検出モードM2)の、いずれにも対応可能である。なお、解像度が要求される場合とは、例えば検出装置1により指紋や血管像等の画像を検出する場合が挙げられる。また、光応答速度が要求される場合とは、例えば検出装置1により脈波、脈拍、心拍等を検出する場合が挙げられる。
【0086】
なお、図4から図7に示す光センサPDの構成はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、下部バッファ層32、活性層31及び上部バッファ層33の材料、製法はあくまで一例であり、他の材料、製法であってもよい。例えば、下部バッファ層32及び上部バッファ層33は、それぞれ単層膜に限定されず、電子ブロック層や、正孔ブロック層を含んで積層膜として形成されていてもよい。例えば、上部電極24が光センサPDのカソード電極であり、第1下部電極22及び第2下部電極23が光センサPDのアノード電極であってもよい。この場合、下部バッファ層32は正孔輸送層であり、上部バッファ層33は電子輸送層である。
【0087】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1 検出装置
10 センサ部
21 基板
22 第1下部電極
23 第2下部電極
24 上部電極
31 活性層
32 下部バッファ層
33 上部バッファ層
35 シールド電位供給配線
90 封止膜
130 外部スイッチ
M1 第1検出モード
M2 第2検出モード
PD 光センサ
PDa メインフォトダイオード
PDb サブフォトダイオード
Tr1 第1トランジスタ
Tr2 第2トランジスタ
Tr3 第3トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7