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特開2024-136787画像投影装置、画像投影方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136787
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像投影装置、画像投影方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240927BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240927BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09G5/00 510B
G09G5/36 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048033
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】勝田 寛志
【テーマコード(参考)】
2H199
5C182
【Fターム(参考)】
2H199CA07
2H199CA29
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA63
2H199CA66
2H199CA69
2H199CA70
2H199CA75
2H199CA86
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA06
5C182AA31
5C182AB35
5C182AC43
5C182DA66
(57)【要約】
【課題】網膜に投影される画像の明るさを維持しつつ、消費電力を低減させる。
【解決手段】出射制御部112は、第1期間に画像データに基づいて出射部からレーザ光を出射させ、第2期間に出射部からレーザ光を出射させない制御であって、第1期間と第2期間とが交互に繰り返される制御である間欠出射制御を実行する。減衰率調整部115は、間欠出射制御が実行されない場合に、減衰部におけるレーザ光の減衰率を第1減衰率に調整し、間欠出射制御が実行される場合に、上記減衰率を第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する出射部と、
前記出射部から出射された前記レーザ光を走査する走査部と、
前記走査部により走査された前記レーザ光をユーザの眼球内に導き、前記ユーザの網膜に画像を投影する導光部と、
前記ユーザの眼球内に導かれる前記レーザ光を減衰させる減衰部と、
前記画像を表す画像データに基づいて、前記出射部による前記レーザ光の出射を制御する出射制御部と、
前記減衰部における前記レーザ光の減衰率を調整する減衰率調整部と、を備え、
前記出射制御部は、第1期間に前記画像データに基づいて前記出射部から前記レーザ光を出射させ、第2期間に前記出射部から前記レーザ光を出射させない制御であって、前記第1期間と前記第2期間とが交互に繰り返される制御である間欠出射制御を実行し、
前記減衰率調整部は、前記間欠出射制御が実行されない場合に、前記減衰率を第1減衰率に調整し、前記間欠出射制御が実行される場合に、前記減衰率を前記第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整する、
画像投影装置。
【請求項2】
前記画像は、複数のフレームを備える動画像であり、
前記レーザ光を主走査方向における両端間で前記主走査方向に走査する主走査処理と前記レーザ光を前記主走査方向と直交する副走査方向にシフトさせるシフト処理とを前記レーザ光が前記副走査方向における一端から他端に至るまで繰り返す二次元走査処理を繰り返して実行するように前記走査部を制御する走査制御部を備え、
前記出射制御部は、前記間欠出射制御において、前記第1期間の長さを前記二次元走査処理に要する時間の長さとし、前記第2期間の長さを前記第1期間の長さの倍数とし、前記第1期間の先頭のタイミングを前記走査制御部が前記二次元走査処理を開始するタイミングとして、前記第1期間に前記複数のフレームのうち1つのフレーム分のレーザ光を前記出射部から出射させる、
請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記画像は、複数のフレームを備える動画像であり、
前記レーザ光を主走査方向における両端間で前記主走査方向に走査する主走査処理と前記レーザ光を前記主走査方向と直交する副走査方向にシフトさせるシフト処理とを前記レーザ光が前記副走査方向における一端から他端に至るまで繰り返す二次元走査処理を繰り返して実行するように前記走査部を制御する走査制御部を備え、
前記出射制御部は、前記間欠出射制御において、前記第1期間の長さを前記主走査処理に要する時間の長さとし、前記第2期間の長さを前記第1期間の長さの倍数とし、前記第1期間の先頭のタイミングを前記走査制御部が前記主走査処理を開始するタイミングとして、前記第1期間に前記複数のフレームのうち1つのフレームにおける1行分のレーザ光を前記出射部から出射させる、
請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記出射制御部は、前記間欠出射制御において、前記第2期間の長さを前記第1期間の長さとして、前記複数のフレームのうち奇数番目のフレームである奇数フレームと前記複数のフレームのうち偶数番目のフレームである偶数フレームとのうち一方のフレームについては、前記第1期間に前記一方のフレームにおける奇数番目の行である奇数行に対応するレーザ光を前記出射部から出射させ、前記奇数フレームと前記偶数フレームとのうち他方のフレームについては、前記第1期間に前記他方のフレームにおける偶数番目の行である偶数行に対応するレーザ光を前記出射部から出射させる、
請求項3に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記画像投影装置の動作モードを第1動作モードと第2動作モードとから選択して設定する設定部を備え、
前記出射制御部は、前記動作モードが前記第1動作モードである場合に、前記画像データに基づいて前記出射部から前記レーザ光を出射させる制御である通常出射制御を実行し、前記動作モードが前記第2動作モードである場合に、前記間欠出射制御を実行し、
前記減衰率調整部は、前記動作モードが前記第1動作モードである場合に、前記減衰率を前記第1減衰率に調整し、前記動作モードが前記第2動作モードである場合に、前記減衰率を前記第2減衰率に調整する、
請求項1から4の何れか1項に記載の画像投影装置。
【請求項6】
バッテリーを備え、
前記設定部は、前記バッテリーの残量が残量閾値以下の場合に、前記動作モードを前記第2動作モードに設定する、
請求項5に記載の画像投影装置。
【請求項7】
画像投影装置が実行する画像投影方法であって、
画像を表す画像データに基づいて、レーザ光を出射し、
出射した前記レーザ光を走査し、
走査した前記レーザ光をユーザの眼球内に導き、前記ユーザの網膜に前記画像を投影し、
第1期間に前記画像データに基づいて前記レーザ光を出射し、第2期間に前記レーザ光を出射しない制御であって、前記第1期間と前記第2期間とが交互に繰り返される制御である間欠出射制御を実行し、
前記間欠出射制御が実行されない場合に、前記ユーザの眼球内に導かれる前記レーザ光を第1減衰率で減衰させ、前記間欠出射制御が実行される場合に、前記レーザ光を前記第1減衰率よりも低い第2減衰率で減衰させる、
画像投影方法。
【請求項8】
レーザ光を出射する出射部と、前記出射部から出射された前記レーザ光を走査する走査部と、前記走査部により走査された前記レーザ光をユーザの眼球内に導き、前記ユーザの網膜に画像を投影する導光部と、前記ユーザの眼球内に導かれる前記レーザ光を減衰させる減衰部と、を備えるコンピュータを、
前記画像を表す画像データに基づいて、前記出射部による前記レーザ光の出射を制御する出射制御部、
前記減衰部における前記レーザ光の減衰率を調整する減衰率調整部、として機能させるプログラムであって、
前記出射制御部は、第1期間に前記画像データに基づいて前記出射部から前記レーザ光を出射させ、第2期間に前記出射部から前記レーザ光を出射させない制御であって、前記第1期間と前記第2期間とが交互に繰り返される制御である間欠出射制御を実行し、
前記減衰率調整部は、前記間欠出射制御が実行されない場合に、前記減衰率を第1減衰率に調整し、前記間欠出射制御が実行される場合に、前記減衰率を前記第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像投影装置、画像投影方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、網膜投影方式により網膜に画像を投影してユーザに画像を視認させる画像投影装置が知られている。網膜投影方式では、レーザ発振器が出射したレーザ光を用いて網膜に画像を投影することが多い。ここで、安定した発振状態を維持するためのエネルギーは大きく、レーザ発振器が出射するレーザ光の光量が多いことが一般的である。一方、眼を保護するという観点からは、網膜に到達するレーザ光の光量は多過ぎないことが望まれる。
【0003】
そこで、現在、レーザ光がレーザ発振器から出射されてから網膜に到達するまでの経路上に、レーザ光を減衰させる減光フィルタを設ける技術が採用されている。例えば、特許文献1には、レーザ光源部と光走査部との間の光路上にレーザ光を減衰させる光減衰部が設けられたヘッドマウントディスプレイが記載されている。このような、画像投影装置は、可搬型であることが多く、消費電力を低減させたいという要望が強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-56795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたヘッドマウントディスプレイでは、消費電力を低減させることは困難である。また、安定した発振状態を維持することを考慮すると、レーザ光の出射時におけるレーザ発振器の消費電力を低減することは困難である。一方、レーザ発振器の消費電力を低減するために、単に、レーザ発振器がレーザ光を出射しない期間を設ける方法では、網膜に投影される画像の明るさを維持できないと考えられる。このため、網膜に投影される画像の明るさを維持しつつ、消費電力を低減させる技術が望まれている。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、網膜に投影される画像の明るさを維持しつつ、消費電力を低減させる画像投影装置、画像投影方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る画像投影装置は、
レーザ光を出射する出射部と、
前記出射部から出射された前記レーザ光を走査する走査部と、
前記走査部により走査された前記レーザ光をユーザの眼球内に導き、前記ユーザの網膜に画像を投影する導光部と、
前記ユーザの眼球内に導かれる前記レーザ光を減衰させる減衰部と、
前記画像を表す画像データに基づいて、前記出射部による前記レーザ光の出射を制御する出射制御部と、
前記減衰部における前記レーザ光の減衰率を調整する減衰率調整部と、を備え、
前記出射制御部は、第1期間に前記画像データに基づいて前記出射部から前記レーザ光を出射させ、第2期間に前記出射部から前記レーザ光を出射させない制御であって、前記第1期間と前記第2期間とが交互に繰り返される制御である間欠出射制御を実行し、
前記減衰率調整部は、前記間欠出射制御が実行されない場合に、前記減衰率を第1減衰率に調整し、前記間欠出射制御が実行される場合に、前記減衰率を前記第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、網膜に投影される画像の明るさを維持しつつ、消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る画像投影装置の外観図
図2】実施の形態1に係る画像投影装置におけるレーザ光の光路を示す図
図3】実施の形態1に係る画像投影装置の制御ユニットの構成図
図4】二次元走査処理の説明図
図5】実施の形態1に係る画像投影装置が通常モードで扱う画像の説明図
図6】実施の形態1に係る画像投影装置が省電力モードで扱う画像の説明図
図7】実施の形態1に係る画像投影装置が実行する間欠出射制御処理を示すフローチャート
図8】実施の形態1に係る画像投影装置が実行する減衰率調整処理を示すフローチャート
図9】実施の形態1に係る画像投影装置が実行する動作モード切替処理を示すフローチャート
図10】実施の形態2に係る画像投影装置が省電力モードで扱う画像の説明図
図11】実施の形態2に係る画像投影装置が実行する間欠出射制御処理を示すフローチャート
図12】実施の形態3に係る画像投影装置が第2省電力モードで扱う画像の説明図
図13】各動作モードの特徴の説明図
図14】実施の形態4に係る画像投影装置が第2省電力モードで扱う画像の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る画像投影装置100の構成を示す図である。画像投影装置100は、網膜投影方式の表示装置であり、ユーザの眼球内の網膜に画像を投影する装置である。画像投影装置100は、マクスウェル視を利用して網膜に画像を投影することで、静止画像又は動画像をユーザに視認させる。画像投影装置100は、スマートグラス、網膜走査ディスプレイ等とも呼ばれる。
【0012】
図1に、画像投影装置100の外観を示す。また、図2に、画像投影装置100におけるレーザ光の光路を示す。図1に示すように、画像投影装置100は、制御ユニット10と、投影ユニット20と、複合ケーブル60とを備える。図1図2等において、ユーザから見て前方向がY軸の正の方向であり、ユーザから見て右方向がX軸の正の方向であり、ユーザから見て上方向がZ軸の正の方向である。
【0013】
制御ユニット10は、画像投影装置100を制御するユニットである。制御ユニット10は、画像投影装置100がユーザにより使用される際、例えば、ユーザの衣服のポケットに入れられる。制御ユニット10は、画像データに基づいて強度変調されたレーザ光を出射して、このレーザ光を、複合ケーブル60を介して投影ユニット20に出力する。制御ユニット10の詳細な説明については後述する。
【0014】
投影ユニット20は、ユーザの眼球600にレーザ光を入射させて、ユーザの網膜620上に画像を投影するユニットである。投影ユニット20は、レーザモジュール17から出射されたレーザ光を走査する走査部30と、走査部30により走査されたレーザ光を眼球600に導く導光部40と、導光部40の機械強度を補強する補強部50とを備える。
【0015】
投影ユニット20は、例えば、ユーザが着用するメガネフレーム500に取り付けられて使用される。この場合、走査部30は、例えば、メガネフレーム500の側部に配置される。また、導光部40は、例えば、眼球600の真正面に位置するように、メガネフレーム500のレンズの内側に配置される。このような状態において、投影ユニット20は、制御ユニット10から出射されたレーザ光を走査部30により走査し、走査したレーザ光を、導光部40を介して眼球600に対して正面から入射させる。
【0016】
図2に示すように、走査部30は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー31と、MEMSドライバIC(Integrated Circuit)32と、反射ミラー33と、可変減光フィルタ34と、フィルタ制御IC35と、ハーフミラー36と、フォトダイオード37とを備える。
【0017】
MEMSミラー31は、制御ユニット10から出射されたレーザ光を走査する。具体的には、MEMSミラー31は、制御ユニット10が備えるレーザモジュール17から出射され、ハーフミラー36と可変減光フィルタ34とを通過したレーザ光を受光し、受光したレーザ光を反射ミラー33に向けて反射する。MEMSミラー31は、反射面の角度を変化させることで、反射するレーザ光を二次元の方向に走査する。
【0018】
MEMSミラー31は、MEMS加工により形成されたミラーである。MEMSミラー31は、例えば、反射面を備えるミラー(図示せず)と、ミラーの下方に配置された磁石(図示せず)と、ミラーの周辺に配置されたコイル(図示せず)とを備える。MEMSミラー31は、コイルに電流を流すことで発生するローレンツ力によりミラーの角度を変化させて、ミラーに入射したレーザ光の光路を変化させる。MEMSミラー31は、MEMSドライバIC32により駆動される。
【0019】
MEMSドライバIC32は、MEMSミラー31を駆動するICである。図3に示すように、MEMSドライバIC32は、複合ケーブル60を介して、走査制御部113から制御信号を受信する。MEMSドライバIC32は、受信した制御信号に従ってMEMSミラー31に駆動信号を供給することにより、MEMSミラー31の傾きを変化させる。このようにして、MEMSドライバIC32は、MEMSミラー31がレーザ光を走査する方向、つまり、MEMSミラー31がレーザ光を反射する方向を制御する。
【0020】
MEMSミラー31は、MEMSドライバIC32から受信した駆動信号に従って、複合ケーブル60により伝送される平行光化されたレーザ光を、2次元の方向に走査する。2次元の方向への走査は、主走査方向への走査と、主走査方向と直交する副走査方向への走査とを含む。例えば、投影対象の画像が1280×720個の画素を有する場合、MEMSミラー31は、1280×720通りの異なる方向にレーザ光を反射する。
【0021】
反射ミラー33は、凹状の鏡面を備え、MEMSミラー31により走査されたレーザ光を反射及び集光する。反射ミラー33は、レーザ光の光路におけるMEMSミラー31の後段に配置される。反射ミラー33により反射されたレーザ光は、導光部40に入射され、眼球600の水晶体610付近で集束して、網膜620上に投射される。
【0022】
可変減光フィルタ34は、レーザ光の光量を減衰させる減光フィルタであって、レーザ光の減衰率が可変である減光フィルタである。可変減光フィルタ34は、レーザ光の光路における、ハーフミラー36の後段且つMEMSミラー31の前段に配置される。可変減光フィルタ34は、ハーフミラー36からMEMSミラー31に向かうレーザ光の光量を減衰させる。可変減光フィルタ34は、例えば、互いに重ねられた2枚の偏光板(図示せず)と、一方の偏光板を他方の偏光板に対して相対的に回転させるアクチュエータ(図示せず)とを備える。
【0023】
可変減光フィルタ34の減衰率は、可変減光フィルタ34に入射したレーザ光の光量に対する、可変減光フィルタ34で吸収され又は散乱したレーザ光の光量の比率である。以下、適宜、可変減光フィルタ34の減衰率を、単に、減衰率という。減衰率は、1から透過率を減じた値である。透過率は、可変減光フィルタ34に入射したレーザ光の光量に対する、可変減光フィルタ34を通過したレーザ光の光量の比率である。可変減光フィルタ34は、フィルタ制御IC35による制御に従って、減衰率を切り替える。
【0024】
フィルタ制御IC35は、可変減光フィルタ34の減衰率を調整するICである。図3に示すように、フィルタ制御IC35は、複合ケーブル60を介して、減衰率調整部115から制御信号を受信する。フィルタ制御IC35は、受信した制御信号に従って可変減光フィルタ34に駆動信号を供給することにより、可変減光フィルタ34の減衰率を変化させる。
【0025】
ハーフミラー36は、入射したレーザ光の一部を反射させ、入射したレーザ光の残部を通過させるミラーである。ハーフミラー36は、レーザ光の光路における可変減光フィルタ34の前段に配置される。ハーフミラー36は、複合ケーブル60から可変減光フィルタ34に向かうレーザ光の一部を反射し、複合ケーブル60から可変減光フィルタ34に向かうレーザ光の残部を通過させる。
【0026】
フォトダイオード37は、レーザ光を検出するダイオードである。フォトダイオード37は、ハーフミラー36が反射したレーザ光を検出可能な位置に配置され、ハーフミラー36が反射したレーザ光を検出する。フォトダイオード37は、ハーフミラー36が反射したレーザ光の光量が光量閾値以上である場合、レーザ光が検出されていることを示す検出結果信号である検出中信号を出力する。フォトダイオード37は、ハーフミラー36が反射したレーザ光の光量が光量閾値未満である場合、レーザ光が検出されていないことを示す検出結果信号である非検出中信号を出力する。図3に示すように、フォトダイオード37は、複合ケーブル60を介して、減衰率調整部115に検出結果信号を送信する。
【0027】
導光部40は、走査部30により走査されたレーザ光を眼球600に導くことにより、眼球600内の網膜620に画像を投影する。導光部40は、レーザ光の光路における反射ミラー33の後段に配置される。導光部40は、レーザ光が通過可能な光学材料により形成される。画像投影装置100がユーザに装着されたとき、導光部40は眼球600の真正面に配置され、画像投影装置100は網膜620に画像を投影可能な状態になる。なお、画像投影装置100がユーザに装着されることは、画像投影装置100が備える投影ユニット20が取り付けられたメガネフレーム500がユーザに装着されることを意味する。導光部40は、伝搬面41と、伝搬面42と、反射面43とを備える。
【0028】
伝搬面41は、Y軸方向と直交する面であって、眼球600に近い方の面である。伝搬面42は、Y軸方向と直交する面であって、眼球600から遠い方の面である。MEMSミラー31により走査されたレーザ光は、反射ミラー33により反射された後、導光部40内において伝搬面41と伝搬面42との間で複数回反射しながら、X軸の正の方向に進行する。これにより、レーザ光は、導光部40内において眼球600内に入射可能な位置まで導かれる。
【0029】
反射面43は、画像投影装置100がユーザに装着されたとき、眼球600に対向する位置に配置される。反射面43は、例えば、2つの光学材料を貼り合わせることにより、2つの光学材料の間の界面として形成される。反射面43は、眼球600に対向する方向であるY軸方向に対して、走査部30側の方向であるX軸の負の方向に向けて斜めに傾いている。反射面43は、伝搬面41と伝搬面42との間をX軸の正の方向に伝搬されたレーザ光をY軸の負の方向に反射し、導光部40から出射させて眼球600内に入射させる。
【0030】
眼球600内に入射したレーザ光は、水晶体610の中心付近で集束して網膜620に投射される。これにより、網膜620に画像が結像され、ユーザは、結像された画像を視認することができる。このようにして、導光部40は、走査部30により走査されたレーザ光を眼球600内に導き、網膜620に画像を投影する。
【0031】
補強部50は、導光部40の機械強度を補強する役割を担う。導光部40はレーザ光を透過する光学材料により形成されるため、導光部40の機械強度は弱いことが多い。また、導光部40の一部は露出しているため、ユーザ、物体等の接触により破損しやすいと考えられる。そこで、投影ユニット20は、導光部40の破損を防止するための補強部50を備える。
【0032】
複合ケーブル60は、レーザモジュール17から出射されたレーザ光を伝送し、投影ユニット20に出射するケーブルである。複合ケーブル60は、制御ユニット10と投影ユニット20とを光学的に接続する。複合ケーブル60により伝送されたレーザ光は、コリメートレンズ(図示せず)により平行光化され、投影ユニット20の走査部30に出射される。また、複合ケーブル60は、制御ユニット10と投影ユニット20との間で各種の信号を伝送する。例えば、複合ケーブル60は、走査制御部113からMEMSドライバIC32に供給される制御信号、減衰率調整部115からフィルタ制御IC35に供給される制御信号、フォトダイオード37から減衰率調整部115に供給される検出結果信号等を伝送する。
【0033】
次に、図3を参照して、制御ユニット10の構成について説明する。図3に示すように、制御ユニット10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作受付部14と、入出力インターフェース15と、レーザドライバIC16と、レーザモジュール17とを備える。
【0034】
制御部11は、制御ユニット10の全体の動作を制御する。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、制御ユニット10の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部11において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、画像投影装置100を統括制御する。RTCは、例えば、計時機能を有する集積回路である。制御部11は、CPUに代えて、Soc(System-on-a-Chip)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路を備えていてもよい。
【0035】
記憶部12は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置としての役割を担う。記憶部12は、制御部11が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部11が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0036】
表示部13は、制御部11による制御に従って、各種の画像を表示する。例えば、表示部13は、ユーザから各種の操作を受け付けるための画面を表示する。表示部13は、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を備える。操作受付部14は、ユーザから各種の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を示す情報を制御部11に供給する。操作受付部14は、タッチスクリーン、ボタン、レバー等を備える。
【0037】
入出力インターフェース15は、外部装置との間でデータを入出力するためのインターフェースである。外部装置は、例えば、カメラ、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、SD(Secure Digital)カード等である。入出力インターフェース15は、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、USB(Universal Serial Bus)等の規格の端子を備え、外部装置と電気的に接続される。本実施の形態では、外部装置は、撮像装置700である。
【0038】
入出力インターフェース15は、投影対象の画像を表す画像データを受信し、この画像データを制御部11に供給する。本実施の形態では、投影対象の画像は、撮像装置700による撮像により生成された画像である。投影対象の画像は、例えば、主走査方向である横方向に1280個の画素を有し、副走査方向である縦方向に720個の画素を有する。投影対象の画像は、静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。本実施の形態では、投影対象の画像は、予め定められたフレームレートでの撮像により得られた複数のフレームを備える動画像である。
【0039】
本実施の形態では、画像投影装置100の動作モードが通常モードであるとき、撮像時のフレームレートは60fpsであり、画像投影装置100の動作モードが省電力モードであるとき、撮像時のフレームレートは30fpsである。通常モードは、通常の消費電力で、画像の投影処理が実行される動作モードである。省電力モードは、通常の消費電力よりも低い消費電力で、画像の投影処理が実行される動作モードである。以下、適宜、画像投影装置100の動作モードのことを、単に、動作モードという。
【0040】
動作モードが通常モードであるとき、レーザ光が継続的に出射される。一方、動作モードが省電力モードであるとき、レーザ光が間欠的に出射される。つまり、動作モードが省電力モードであるとき、レーザ光が出射されない期間が設けられる。また、動作モードが通常モードであるとき、入出力インターフェース15は、60フレームの画像で1秒分の動画像を表す画像データを撮像装置700から取得する。また、動作モードが省電力モードであるとき、入出力インターフェース15は、30フレームの画像で1秒分の動画像を表す画像データを撮像装置700から取得する。
【0041】
レーザドライバIC16は、制御部11から受信した画像信号に基づいて、レーザモジュール17を駆動するICである。具体的には、レーザドライバIC16は、受信した画像信号に対応する輝度で、Rレーザ光源、Gレーザ光源及びBレーザ光源のそれぞれを発光させる。これにより、レーザドライバIC16は、受信した画像信号に対応する色のレーザ光をレーザモジュール17から出射させる。
【0042】
レーザモジュール17は、ユーザの眼球600に入射されるレーザ光を出射する。レーザモジュール17は、赤色のレーザ光を出射するRレーザ光源(図示せず)と、緑色のレーザ光を出射するGレーザ光源(図示せず)と、青色のレーザ光を出射するBレーザ光源(図示せず)とを備える。Rレーザ光源とGレーザ光源とBレーザ光源とは、それぞれ、レーザドライバIC16から供給された画像信号に応じて強度変調されたレーザ光を出射する。各レーザ光源は、半導体レーザ、固体レーザ等である。
【0043】
各レーザ光源から出射されたレーザ光は、ダイクロイックミラー(図示せず)に代表される光学系により合波され、コリメートレンズ(図示せず)に代表される光学系により平行光化され、集光レンズ(図示せず)に代表される光学系により集光されて、複合ケーブル60に出射される。
【0044】
バッテリー18は、画像投影装置100を動作させるための電力を蓄える蓄電池である。バッテリー18は、例えば、充電回路(図示せず)による制御に従って、商用電源から供給された電力を蓄える。バッテリー18は、蓄えた電力を画像投影装置100が備える各部に供給する。
【0045】
次に、図3を参照して、制御部11の機能について説明する。制御部11は、機能的には、画像処理部111と、出射制御部112と、走査制御部113と、モード設定部114と、減衰率調整部115を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部12に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0046】
画像処理部111は、入出力インターフェース15を介して撮像装置700から受信した画像データに対して画像処理を実行する。画像処理部111は、画像処理により、レーザモジュール17から出射されるレーザ光のもとになる画像データを生成し、生成した画像データを出射制御部112に送信する。
【0047】
出射制御部112は、レーザモジュール17によるレーザ光の出射を制御する。出射制御部112は、画像処理部111から供給された画像データを画像信号に変換し、レーザドライバIC16を介してこの画像信号をレーザモジュール17に供給する。具体的には、出射制御部112は、画像処理部111から供給された画像データの各画素の画素値を1画素ずつ順に読み出し、読み出した画素値に対応する画像信号を生成する。出射制御部112は、画素毎に生成した画像信号を、順にレーザドライバIC16に供給する。なお、各画素の画素値は、赤色の画素値と緑色の画素値と青色の画素値とを含む。
【0048】
走査制御部113は、MEMSミラー31を用いたレーザ光の走査を制御する。走査制御部113は、複合ケーブル60を介してMEMSドライバIC32に制御信号を送信する。この制御信号は、レーザ光を主走査方向又は副走査方向に走査するための信号である。一方、MEMSドライバIC32は、この制御信号に基づいて、MEMSミラー31に駆動信号を送信する。そして、MEMSミラー31は、この駆動信号に基づいてミラーの傾きを変更し、レーザ光を走査する。
【0049】
出射制御部112と走査制御部113とは、レーザ光の出射とレーザ光の走査とを同期させる。具体的には、出射制御部112と走査制御部113とは、投影対象の画像における各画素の画素値に対応するレーザ光が、網膜620上の対応する位置に投射されるように、レーザモジュール17がレーザ光を出射するタイミングと、このタイミングにおいてMEMSミラー31がこのレーザ光を走査する方向とを制御する。
【0050】
モード設定部114は、画像投影装置100の動作モードを設定する。本実施の形態では、モード設定部114は、画像投影装置100の動作モードを、通常モードと省電力モードとのうち何れか一方に設定する。モード設定部114が動作モードを設定する方法は、適宜、調整することができる。例えば、モード設定部114は、操作受付部14がユーザから受け付けた操作に基づいて、動作モードを切り替えてもよい。例えば、操作受付部14がボタンである場合、モード設定部114は、ボタンが押圧される毎に、動作モードを通常モードと省電力モードとの間で切り替えてもよい。
【0051】
また、モード設定部114は、画像投影装置100が内蔵するバッテリー18の残量が残量閾値以下になったときに、動作モードを通常モードから省電力モードに切り替えてもよい。モード設定部114は、バッテリー18の残量を検出する機能を備えていてもよいし、バッテリー18の残量を検出するセンサ(図示せず)からバッテリー18の残量を示す情報を取得してもよい。通常モードは、第1動作モードの一例である。省電力モードは、第2動作モードの一例である。
【0052】
減衰率調整部115は、可変減光フィルタ34の減衰率を調整する。減衰率調整部115は、複合ケーブル60を介してフィルタ制御IC35に制御信号を送信する。この制御信号は、可変減光フィルタ34の減衰率を制御するための信号である。一方、フィルタ制御IC35は、この制御信号に基づいて可変減光フィルタ34に駆動信号を供給することにより、可変減光フィルタ34の減衰率を変化させる。
【0053】
減衰率調整部115は、画像投影装置100の動作モードに応じて、可変減光フィルタ34の減衰率を決定する。例えば、減衰率調整部115は、画像投影装置100の動作モードに対応した出射期間割合に応じて、可変減光フィルタ34の減衰率を決定する。具体的には、減衰率調整部115は、出射期間割合が大きい程、可変減光フィルタ34の減衰率を高くする。出射期間割合は、レーザ光が出射される第1期間の長さとレーザ光が出射されない第2期間の長さとの和に対する第1期間の長さの割合である。
【0054】
動作モードが通常モードである場合、基本的に、レーザモジュール17は継続的にレーザ光を出射する。一方、動作モードが省電力モードである場合、レーザモジュール17は間欠的にレーザ光を出射する。従って、可変減光フィルタ34の減衰率が固定値である場合、単位時間に網膜620に投射されるレーザ光の光量の総和は、動作モードが通常モードである場合よりも動作モードが省電力モードである場合の方が少ない。そこで、減衰率調整部115は、動作モードが省電力モードである場合、動作モードが通常モードである場合に比べて、可変減光フィルタ34の減衰率を低くする。
【0055】
本実施の形態では、減衰率調整部115は、フォトダイオード37によるレーザ光の検出結果から動作モードを推定し、推定した動作モードに対応する減衰率を設定する。動作モードが通常モードである場合、フォトダイオード37は、検出中信号を継続的に出力する。一方、動作モードが省電力モードである場合、フォトダイオード37は、検出中信号を断続的に出力する。
【0056】
そこで、減衰率調整部115は、規定時間の間、フォトダイオード37が出力する検出結果信号を監視し、規定時間に対するフォトダイオード37が検出中信号を出力した時間の割合である検出時間割合を求める。減衰率調整部115は、検出時間割合が検出時間割合閾値以上である場合、動作モードが通常モードであると推定し、検出時間割合が検出時間割合閾値未満である場合、動作モードが省電力モードであると推定する。なお、検出時間割合は、出射期間割合と同程度である。
【0057】
以上説明したように、レーザモジュール17は、レーザ光を出射する。また、MEMSミラー31は、レーザモジュール17から出射されたレーザ光を走査する。また、導光部40は、MEMSミラー31により走査されたレーザ光をユーザの眼球600内に導き、ユーザの網膜620に画像を投影する。また、可変減光フィルタ34は、ユーザの眼球600内に導かれるレーザ光を減衰させる。
【0058】
また、出射制御部112は、画像を表す画像データに基づいて、レーザモジュール17によるレーザ光の出射を制御する。また、減衰率調整部115は、可変減光フィルタ34におけるレーザ光の減衰率を調整する。レーザモジュール17は、出射部の一例である。MEMSミラー31は、走査部の一例である。導光部40は、導光部の一例である。可変減光フィルタ34は、減衰部の一例である。出射制御部112は、出射制御部の一例である。減衰率調整部115は、減衰率調整部の一例である。
【0059】
ここで、出射制御部112は、レーザモジュール17からレーザ光を間欠的に出射させる間欠出射制御を実行する。間欠出射制御は、第1期間に画像データに基づいてレーザモジュール17からレーザ光を出射させ、第2期間にレーザモジュール17からレーザ光を出射させない制御であって、第1期間と第2期間とが交互に繰り返される制御である。第2期間におけるレーザモジュール17の消費電力は、極めて低いと考えられる。従って、画像投影装置100が間欠出射制御を実行することにより、画像投影装置100の消費電力が低減される。
【0060】
出射制御部112は、画像投影装置100の動作モードが通常モードである場合、画像データに基づいてレーザモジュール17からレーザ光を出射させる制御である通常出射制御を実行する。また、出射制御部112は、動作モードが省電力モードである場合、間欠出射制御を実行する。なお、モード設定部114は、バッテリー18の残量が残量閾値以下の場合に、動作モードを省電力モードに設定する。モード設定部114は、設定部の一例である。
【0061】
減衰率調整部115は、間欠出射制御が実行されない場合に、減衰率を第1減衰率に調整する。減衰率調整部115は、間欠出射制御が実行される場合に、減衰率を第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整する。つまり、減衰率調整部115は、動作モードが通常モードである場合、減衰率を第1減衰率に調整する。また、減衰率調整部115は、動作モードが省電力モードである場合、減衰率を第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整する。例えば、減衰率調整部115は、第1期間の長さに対する第2期間の長さの割合である出射期間割合に応じて、可変減光フィルタ34におけるレーザ光の減衰率を調整する。例えば、減衰率は、出射期間割合が小さいほど小さくなるように調整される。この減衰率の調整により、間欠出射制御があっても、網膜620に投影される画像の明るさが維持される。
【0062】
例えば、減衰率調整部115は、動作モードが切り替えられても、網膜620にレーザ光が投射される時間と網膜620に投射されるレーザ光の光量との積があまり変化しないように、減衰率を調整することが好適である。具体的には、第1減衰率が75%であり、出射期間割合が50%である場合、第2減衰率は50%であることが好適である。なお、出射期間割合が50%である場合は、第1期間の長さと第2期間の長さとが等しい場合である。
【0063】
また、ハーフミラー36は、レーザ光がレーザモジュール17から眼球600に至るまでの経路上に配置される。ハーフミラー36は、レーザモジュール17から眼球600に向かうレーザ光の一部を反射させる。そして、フォトダイオード37は、ハーフミラー36が反射したレーザ光の一部の光量を規定時間に亘って検出する。ハーフミラー36は、ハーフミラーの一例である。フォトダイオード37は、光量検出部の一例である。
【0064】
減衰率調整部115は、検出時間割合が検出時間割合閾値以上である場合、動作モードが通常モードであると判別して、減衰率を第1減衰率に調整する。検出時間割合は、上記規定時間に対するフォトダイオード37が検出した光量が光量閾値以上である時間の割合である。つまり、検出時間割合は、上記規定時間に対するフォトダイオード37が検出中信号を出力する時間の割合である。一方、減衰率調整部115は、検出時間割合が検出時間割合閾値未満である場合、動作モードが省電力モードであると判別して、減衰率を第2減衰率に調整する。
【0065】
また、本実施の形態では、画像投影装置100が扱う画像は、複数のフレームを備える動画像である。走査制御部113は、二次元走査処理を繰り返して実行するようにMEMSミラー31を制御する。二次元走査処理は、主走査処理とシフト処理とをレーザ光が副走査方向における一端から他端に至るまで繰り返す処理である。主走査処理は、レーザ光を主走査方向における両端間で主走査方向に走査する処理である。シフト処理は、レーザ光を主走査方向と直交する副走査方向にシフトさせる処理である。
【0066】
図4を参照して、二次元走査処理について説明する。図4に示すように、二次元走査処理は、走査領域800内において走査点P1を走査する処理である。走査領域800は、レーザ光が走査される二次元の領域である。走査点P1は、レーザ光が走査される点、つまり、レーザ光が照射される点である。走査領域800は、投影対象の画像が投影される領域に対応し、網膜620におけるレーザ光が投射される領域に対応する。図4に示す例では、投影対象の画像は、N行×M列個の画素を有する。つまり、投影対象の画像は、主走査方向である行方向にM個の画素を有し、副走査方向である列方向にN個の画素を有する。
【0067】
主走査処理は、走査点P1を主走査方向における両端間で主走査方向に走査する処理である。つまり、主走査処理は、1列目の地点からM列目の地点まで、又は、M列目の地点から1列目の地点まで、走査点P1を主走査方向に走査する処理である。シフト処理は、走査点P1を副走査方向に1行分シフトさせる処理である。二次元走査処理は、主走査処理とシフト処理とを繰り返しながら走査点P1を走査開始点P0から走査終了点P10まで走査する処理である。二次元走査処理に、走査点P1を走査終了点P10から走査開始点P0まで戻す処理を含めてもよい。
【0068】
走査開始点P0は、二次元走査処理が開始される地点であり、1行目且つ1列目の画素に対応する地点である。走査終了点P10は、二次元走査処理が終了する地点であり、N行目且つM列目の画素に対応する地点である。1フレーム分の画像の投影のために、基本的に、1回の二次元走査処理が必要である。本実施の形態では、走査制御部113が二次元走査処理を実行する周期は一定である。例えば、走査制御部113は、1/60秒の周期で二次元走査処理を実行する。走査制御部113は、走査制御部の一例である。
【0069】
出射制御部112は、間欠出射制御において、第1期間の長さを二次元走査処理に要する時間の長さとし、第2期間の長さを第1期間の長さの倍数とする。そして、出射制御部112は、間欠出射制御において、第1期間の先頭のタイミングをMEMSミラー31が二次元走査処理を開始するタイミングとして、第1期間に複数のフレームのうち1つのフレーム分のレーザ光をレーザモジュール17から出射させる。つまり、出射制御部112は、動画像に含まれるフレーム単位で、レーザ光を間欠的に出射させる。
【0070】
以下、図5図6とを参照して、出射制御部112によるレーザ光の出射制御について説明する。図5に、通常モードにおける撮像画像及び投影画像を示す。図6に、省電力モードにおける撮像画像及び投影画像を示す。撮像画像は、撮像装置700が撮像した動画像であり、複数のフレームを備える画像である。投影画像は、網膜620に投影される画像であり、複数のフレームを備える画像である。
【0071】
図5に示すように、通常モードでは、撮像装置700が撮像した撮像画像が、そのまま、投影画像として網膜620に投影される。つまり、通常モードでは、1回の二次元走査処理に合わせて、撮像画像に含まれる1つのフレーム分のレーザ光の照射が実行される。例えば、撮像装置700における撮像時のフレームレートが60fpsである場合、撮像装置70は1/60秒毎に1つのフレームを生成する。
【0072】
この場合、走査制御部113は、1/60秒毎に二次元走査処理を実行し、出射制御部112は、1/60秒毎に1つのフレーム分のレーザ光の出射を実行する。図5において、T1は、1つのフレームが生成される周期であり、T2は、1回の二次元走査処理の実行に要する時間である。
【0073】
図6に示すように、省電力モードでは、撮像装置700が撮像した撮像画像が、間欠的に、投影画像として網膜620に投影される。つまり、省電力モードでは、1回の二次元走査処理に合わせて、撮像画像に含まれる1つのフレーム分のレーザ光が照射される処理と、次の二次元走査処理の間にレーザ光が出射されない処理とが繰り返して実行される。本実施の形態では、動作モードが省電力モードである場合、撮像装置70における撮像時のフレームレートが30fpsであり、撮像装置70は1/30秒毎に1つのフレームを生成する。
【0074】
この場合、走査制御部113は、1/60秒毎に二次元走査処理を実行する。一方、出射制御部112は、1/60秒毎に、1つのフレーム分のレーザ光の出射を実行する処理と、レーザ光を出射させない処理とを切り替えながら実行する。図6において、T3は、1つのフレームが生成される周期であり、T4は、1回の二次元走査処理の実行に要する時間である。図6において、明るい色で描かれた投影画像は、撮像画像に対応する画像であり、減衰率が低く設定された可変減光フィルタ34を通過したレーザ光により網膜620に投影された画像を示す。図6において、暗い色で描かれた投影画像は、レーザ光が出射されない期間において網膜620に投影された真っ暗な画像を示す。
【0075】
次に、図7のフローチャートを参照して、画像投影装置100が実行する間欠出射制御処理について説明する。間欠出射制御処理は、間欠的にレーザ光が出射されるようにレーザモジュール17を制御する処理である。間欠出射制御処理は、動作モードが省電力モードであるときに、主に出射制御部112が実行する処理である。なお、画像投影装置100は、二次元走査処理と並行して、間欠出射制御処理を実行する。
【0076】
まず、画像投影装置100が備える制御部11は、撮像装置700から1フレーム分の画像を取得する(ステップS101)。例えば、制御部11は、入出力インターフェース15を介して、撮像装置700から1フレーム分の画像を取得する。制御部11は、ステップS101の処理を完了すると、二次元走査処理の開始タイミングであるか否かを判別する(ステップS102)。二次元走査処理の開始タイミングは、走査点P1が走査開始点P0に走査されたタイミングである。
【0077】
制御部11は、二次元走査処理の開始タイミングでないと判別すると(ステップS102:NO)、ステップS102に処理を戻す。つまり、制御部11は、二次元走査処理の開始タイミングが到来するまで待機する。制御部11は、二次元走査処理の開始タイミングであると判別すると(ステップS102:YES)、二次元走査処理に合わせて、1フレーム分の画素に対応するレーザ光を順次出射させる(ステップS103)。つまり、制御部11は、1フレーム分の画素の各画素値に対応する画像信号を、レーザドライバIC16を介してレーザモジュール17に順次供給する。
【0078】
制御部11は、ステップS103の処理を完了すると、二次元走査処理の開始タイミングであるか否かを判別する(ステップS104)。制御部11は、二次元走査処理の開始タイミングでないと判別すると(ステップS104:NO)、ステップS104に処理を戻す。つまり、制御部11は、次の二次元走査処理の開始タイミングが到来するまで待機する。
【0079】
制御部11は、二次元走査処理の開始タイミングであると判別すると(ステップS104:YES)、この二次元走査処理の実行中、レーザ光の出射を停止する(ステップS105)。例えば、制御部11は、輝度値が0であることを示す画像信号を、レーザドライバIC16を介してレーザモジュール17に供給することにより、レーザモジュール17からのレーザ光の出射を停止させる。制御部11は、ステップS105の処理を完了すると、ステップS101に処理を戻す。このように、間欠出射制御処理では、制御部11は、二次元走査処理に合わせて、フレーム単位でレーザ光の出射の許否を制御する。
【0080】
次に、図8のフローチャートを参照して、画像投影装置100が実行する減衰率調整処理について説明する。減衰率調整処理は、可変減光フィルタ34におけるレーザ光の減衰率を調整する処理である。減衰率調整処理は、減衰率調整部115が実行する処理である。なお、画像投影装置100は、二次元走査処理、間欠出射制御処理等と並行して、減衰率調整処理を実行する。
【0081】
まず、制御部11は、規定時間に亘る光量の検出結果を取得する(ステップS201)。例えば、制御部11は、規定時間に亘ってフォトダイオード37が出力する検出結果信号を取得する。規定時間は、レーザ光の出射の許否が繰り替えられる周期よりも長い時間である。規定時間は、例えば、1回の二次元走査処理に要する時間の数倍程度の時間である。制御部11は、ステップS201の処理を完了すると、検出時間割合が検出時間割合閾値以上であるか否かを判別する(ステップS202)。
【0082】
例えば、制御部11は、規定時間に対する、検出結果信号として検出中信号が取得されていた時間の割合である検出時間割合を算出する。制御部11は、算出した検出時間割合が検出時間割合の閾値である検出時間割合閾値以上であるか否かを判別する。例えば、第1期間の長さと第2期間の長さとが等しい場合、検出時間割合閾値は、1/2よりも大きく1よりも小さい値である。検出時間割合が検出時間割合閾値以上であることは、動作モードが通常モードであることを意味する。また、検出時間割合が検出時間割合閾値未満であることは、動作モードが省電力モードであることを意味する。
【0083】
制御部11は、検出時間割合が時間割合閾値以上であると判別すると(ステップS202:YES)、減衰率を第1減衰率に調整する(ステップS203)。例えば、制御部11は、フィルタ制御IC35に制御信号を送信して、可変減光フィルタ34の減衰率を第1減衰率にする。制御部11は、検出時間割合が検出時間割合閾値以上でないと判別すると(ステップS202:NO)、減衰率を第2減衰率に調整する(ステップS204)。例えば、制御部11は、フィルタ制御IC35に制御信号を送信して、可変減光フィルタ34の減衰率を第1減衰率よりも低い第2減衰率にする。制御部11は、ステップS203の処理又はステップS204の処理を完了すると、減衰率調整処理を完了する。
【0084】
次に、図9のフローチャートを参照して、画像投影装置100が実行する動作モード切替処理について説明する。動作モード切替処理は、画像投影装置100の動作モードを切り替える処理である。動作モード切替処理は、モード設定部114が実行する処理である。なお、画像投影装置100は、二次元走査処理、間欠出射制御処理、減衰率調整処理等と並行して、減衰率調整処理を実行する。
【0085】
まず、制御部11は、省電力モードへの切り替え要因が発生したか否かを判別する(ステップS301)。省電力モードへの切り替え要因としては、動作モードが通常モードであるときにモード切替指示操作がなされること、画像投影装置100のバッテリー18の残量が残量閾値以下になること等が考えられる。モード切替指示操作は、操作受付部14に対するユーザの操作であり、モードの切替を指示する操作である。
【0086】
制御部11は、省電力モードへの切り替え要因が発生したと判別すると(ステップS301:YES)、動作モードを省電力モードに変更する(ステップS302)。例えば、制御部11は、記憶部12に動作モードを示す動作モード情報が記憶されている場合、省電力モードを示すように動作モード情報を更新する。
【0087】
制御部11は、ステップS302の処理を完了すると、撮像装置700に30fpsでの撮像を指示する(ステップS303)。例えば、制御部11は、入出力インターフェース15を介して、撮像装置700に撮像時のフレームレートを30fpsに変更することを指示する指示情報を送信する。一方、撮像装置700は、この指示情報を受信したことに応答して、撮像時のフレームレートを30fpsに変更する。
【0088】
制御部11は、省電力モードへの切り替え要因が発生していないと判別した場合(ステップS301:NO)、又は、ステップS303の処理を完了した場合、通常モードへの切り替え要因が発生したか否かを判別する(ステップS304)。通常モードへの切り替え要因としては、動作モードの初期値が通常モードである場合に画像投影装置100の電源が投入されること、動作モードが省電力モードであるときにモード切替指示操作がなされること等が考えられる。
【0089】
制御部11は、通常モードへの切り替え要因が発生したと判別すると(ステップS304:YES)、動作モードを通常モードに変更する(ステップS305)。例えば、制御部11は、記憶部12に動作モードを示す動作モード情報が記憶されている場合、通常モードを示すように動作モード情報を更新する。
【0090】
制御部11は、ステップS305の処理を完了すると、撮像装置700に60fpsでの撮像を指示する(ステップS306)。例えば、制御部11は、入出力インターフェース15を介して、撮像装置700に撮像時のフレームレートを60fpsに変更することを指示する指示情報を送信する。一方、撮像装置700は、この指示情報を受信したことに応答して、撮像時のフレームレートを60fpsに変更する。制御部11は、通常モードへの切り替え要因が発生していないと判別した場合(ステップS304:NO)、又は、ステップS306の処理を完了した場合、動作モード切替処理を完了する。
【0091】
本実施の形態では、レーザ光が出射される第1期間とレーザ光が出射されない第2期間とが交互に繰り返される間欠出射制御が実行され、間欠出射制御が実行されない場合に、減衰率が第1減衰率に調整され、間欠出射制御が実行される場合に、減衰率が第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整される。ここで、第2期間におけるレーザモジュール17の消費電力は極めて低い。また、第2期間には網膜620にレーザ光が投射されないが、第1期間において網膜620に投射されるレーザ光の光量は多い。従って、本実施の形態によれば、網膜620に投影される画像の明るさを維持しつつ、消費電力を低減させることができる。
【0092】
また、本実施の形態では、間欠出射制御において、フレーム単位でレーザ光の出射の許否が切り替えられる。従って、本実施の形態では、第1期間においては、1つのフレームに対応する画像が完全に投影される。従って、本実施の形態によれば、視認性の低下を抑制しつつ、消費電力を低減させることができる。
【0093】
また、本実施の形態では、間欠出射制御において、二次元走査処理の周期を低下させずに、撮像時のフレームレートを低下させることができる。従って、本実施の形態によれば、撮像装置700の消費電力も低減させることができる。
【0094】
また、本実施の形態では、動作モードが通常モードである場合、通常出射制御が実行され、レーザ光の減衰率が第1減衰率に調整され、動作モードが省電力モードである場合、間欠出射制御が実行され、レーザ光の減衰率が第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整される。動作モードが通常モードである場合、鮮明な画像の投射が期待でき、視認性の向上が期待できる。動作モードが省電力モードである場合、消費電力の抑制が期待できる。従って、本実施の形態によれば、視認性の向上と消費電力の抑制とのうち何れか一方を優先することができる。例えば、画像投影装置100のバッテリー18の残量が少ない場合に、動作モードが省電力モードに変更されると、画像投影装置100の使用可能時間を長くすることができる。また、例えば、ユーザがより鮮明な画像を所望する場合に、動作モードが通常モードに変更されると、ユーザにより鮮明な画像を提示することができる。
【0095】
また、本実施の形態では、バッテリー18の残量が残量閾値以下の場合に、動作モードが第2動作モードに設定される。従って、本実施の形態によれば、画像投影装置100の使用可能時間を自動で長くすることができる。
【0096】
また、本実施の形態では、ハーフミラー36とフォトダイオード37とを用いて上述した検出時間割合に基づいて動作モードが判別され、動作モードに応じてレーザ光の減衰率が調整される。従って、本実施の形態によれば、動作モードを適切に判断して、画像を適切な明るさで投影することができる。
【0097】
(実施の形態2)
実施の形態1では、間欠出射制御において、動画像に含まれるフレーム単位でレーザ光の出射の許否が切り替えられる例について説明した。本実施の形態では、間欠出射制御において、動画像に含まれるフレームに含まれる行単位でレーザ光の出射の許否が切り替えられる例について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0098】
本実施の形態においても、画像投影装置100が扱う画像は、複数のフレームを備える動画像である。また、本実施の形態における走査制御部113の動作は、実施の形態1における走査制御部113の動作と同様である。つまり、走査制御部113は、図4を参照して説明した二次元走査処理を繰り返して実行するようにMEMSミラー31を制御する。
【0099】
一方、本実施の形態では、出射制御部112は、間欠出射制御において、第1期間の長さを主走査処理に要する時間の長さとし、第2期間の長さを第1期間の長さの倍数とする。そして、出射制御部112は、間欠出射制御において、第1期間の先頭のタイミングを走査制御部113が主走査処理を開始するタイミングとして、第1期間に複数のフレームのうち1つのフレームにおける1行分のレーザ光をレーザモジュール17から出射させる。つまり、出射制御部112は、動画像に含まれるフレームに含まれる行単位で、レーザ光を間欠的に出射させる。
【0100】
より詳細には、出射制御部112は、間欠出射制御において、第2期間の長さを第1期間の長さとする。そして、出射制御部112は、間欠出射制御において、奇数フレームと偶数フレームとのうち一方のフレームについては、第1期間に一方のフレームにおける奇数行に対応するレーザ光をレーザモジュール17から出射させる。一方、出射制御部112は、間欠出射制御において、奇数フレームと偶数フレームとのうち他方のフレームについては、第1期間に他方のフレームにおける偶数行に対応するレーザ光をレーザモジュール17から出射させる。
【0101】
奇数フレームは、動画像に含まれる複数のフレームのうち奇数番目のフレームである。偶数フレームは、動画像に含まれる複数のフレームのうち偶数番目のフレームである。奇数行は、各フレームにおける奇数番目の行である。偶数行は、各フレームにおける偶数番目の行である。なお、本実施の形態では、一方のフレームが奇数フレームであり、他方のフレームが偶数フレームである。
【0102】
以下、図10を参照して、省電力モードにおけるレーザ光の出射制御について説明する。なお、通常モードにおけるレーザ光の出射制御は、実施の形態1において図5を参照して説明した通りである。図10に、省電力モードにおける撮像画像及び投影画像を示す。
【0103】
本実施の形態では、図10に示すように、省電力モードでは、撮像装置700が撮像した撮像画像が、偶数行又は奇数行の画素が間引きされて、投影画像として網膜620に投影される。つまり、省電力モードでは、奇数フレームについては、1回の主走査処理に合わせて、1つの奇数行分のレーザ光の照射が実行される処理と、次の主走査処理の間、レーザ光が出射されない処理とが繰り返して実行される。また、省電力モードでは、偶数フレームについては、1回の主走査処理に合わせて、1つの偶数行分のレーザ光の照射が実行される処理と、次の主走査処理の間、レーザ光が出射されない処理とが繰り返して実行される。
【0104】
本実施の形態では、撮像装置70における撮像時のフレームレートが60fpsであり、撮像装置70は1/60秒毎に1つのフレームを生成する。この場合、走査制御部113は、1/60秒毎に二次元走査処理を実行する。一方、出射制御部112は、1/60秒毎に、奇数フレームの奇数行のみに対してレーザ光を出射させる処理と、偶数フレームの偶数行のみに対してレーザ光を出射させる処理とを切り替えながら実行する。
【0105】
図10において、T5は、1つのフレームが生成される周期であり、T6は、1回の二次元走査処理の実行に要する時間である。図10において、投影画像のうち明るい色で描かれた画像部分は、撮像画像に対応する画像部分であり、減衰率が低く設定された可変減光フィルタ34を通過したレーザ光により網膜620に投影された画像部分を示す。図10において、投影画像のうち暗い色で描かれた画像部分は、レーザ光が出射されない期間において網膜620に投影された真っ暗な画像部分を示す。
【0106】
次に、図11のフローチャートを参照して、画像投影装置100が実行する間欠出射制御処理について説明する。
【0107】
まず、画像投影装置100が備える制御部11は、撮像装置700から1フレーム分の画像を取得する(ステップS401)。制御部11は、ステップS401の処理を完了すると、二次元走査処理の開始タイミングであるか否かを判別する(ステップS402)。制御部11は、二次元走査処理の開始タイミングでないと判別すると(ステップS402:NO)、ステップS402に処理を戻す。制御部11は、二次元走査処理の開始タイミングであると判別すると(ステップS402:YES)、取得したフレームが奇数フレームであるか否かを判別する(ステップS403)。
【0108】
制御部11は、取得したフレームが奇数フレームであると判別すると(ステップS403:YES)、主走査処理の開始タイミングであるか否かを判別する(ステップS404)。例えば、制御部11は、操作点P1が1列目又はM列目に配置されているか否かを判別する。制御部11は、主走査処理の開始タイミングでないと判別すると(ステップS404:NO)、ステップS404に処理を戻す。つまり、制御部11は、主走査処理の開始タイミングが到来するまで待機する。
【0109】
制御部11は、主走査処理の開始タイミングであると判別すると(ステップS404:YES)、走査対象の行が奇数行であるか否かを判別する(ステップS405)。制御部11は、走査対象の行が奇数行であると判別すると(ステップS405:YES)、主走査処理に合わせて、1行分の画素に対応するレーザ光を順次出射させる(ステップS406)。つまり、制御部11は、1行分の画素の各画素値に対応する画像信号を、レーザドライバIC16を介してレーザモジュール17に順次供給する。
【0110】
制御部11は、走査対象の行が奇数行でないと判別すると(ステップS405:NO)、主走査処理の実行中、レーザ光の出射を停止する(ステップS407)。制御部11は、ステップS406又はステップS407の処理を完了すると、1フレーム分の二次元走査処理が完了したか否かを判別する(ステップS408)。例えば、制御部11は、走査対象の行が最終行であるN行目であるか否かを判別する。
【0111】
制御部11は、1フレーム分の二次元走査処理が完了していないと判別すると(ステップS408:NO)、ステップS404に処理を戻す。制御部11は、1フレーム分の二次元走査処理が完了したと判別すると(ステップS408:YES)、ステップS401に処理を戻す。
【0112】
制御部11は、取得したフレームが奇数フレームでないと判別すると(ステップS403:NO)、主走査処理の開始タイミングであるか否かを判別する(ステップS409)。制御部11は、主走査処理の開始タイミングでないと判別すると(ステップS409:NO)、ステップS409に処理を戻す。つまり、制御部11は、主走査処理の開始タイミングが到来するまで待機する。
【0113】
制御部11は、主走査処理の開始タイミングであると判別すると(ステップS409:YES)、走査対象の行が偶数行であるか否かを判別する(ステップS410)。制御部11は、走査対象の行が偶数行であると判別すると(ステップS410:YES)、主走査処理に合わせて、1行分の画素に対応するレーザ光を順次出射させる(ステップS411)。
【0114】
制御部11は、走査対象の行が偶数行でないと判別すると(ステップS410:NO)、主走査処理の実行中、レーザ光の出射を停止する(ステップS412)。制御部11は、ステップS411又はステップS412の処理を完了すると、1フレーム分の二次元走査処理が完了したか否かを判別する(ステップS413)。
【0115】
制御部11は、1フレーム分の二次元走査処理が完了していないと判別すると(ステップS413:NO)、ステップS409に処理を戻す。制御部11は、1フレーム分の二次元走査処理が完了したと判別すると(ステップS413:YES)、ステップS401に処理を戻す。このように、間欠出射制御処理では、制御部11は、主走査処理に合わせて、行単位でレーザ光の出射の許否を制御する。
【0116】
なお、本実施の形態における減衰率調整処理は、実施の形態1における減衰率調整処理と同様である。また、本実施の形態における動作モード切替処理は、実施の形態1における動作モード切替処理からステップS303及びステップS306の処理を除外した処理である。
【0117】
本実施の形態においても、レーザ光が出射される第1期間とレーザ光が出射されない第2期間とが交互に繰り返される間欠出射制御が実行され、間欠出射制御が実行されない場合に、減衰率が第1減衰率に調整され、間欠出射制御が実行される場合に、減衰率が第1減衰率よりも低い第2減衰率に調整される。従って、本実施の形態によれば、網膜620に投影される画像の明るさを維持しつつ、消費電力を低減させることができる。
【0118】
また、本実施の形態では、間欠出射制御において、行単位でレーザ光の出射の許否が切り替えられる。従って、本実施の形態では、各二次元走査処理に合わせて少なくとも一部の画像が投影される。従って、本実施の形態によれば、視認性の低下を抑制しつつ、消費電力を低減させることができる。
【0119】
また、本実施の形態では、奇数フレームと偶数フレームとのうち一方のフレームでは、奇数行の画像が投影され、奇数フレームと偶数フレームとのうち他方のフレームでは、偶数行の画像が投影される。従って、本実施の形態によれば、視認性の低下を更に抑制しつつ、消費電力を低減させることができる。
【0120】
(実施の形態3)
実施の形態1では、動作モードとして通常モードと省電力モードとが用意される例について説明した。本実施の形態では、動作モードとして通常モードと複数の省電力モードとが用意される例について説明する。なお、実施の形態1,2と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0121】
本実施の形態では、動作モードとして、通常モードと、通常モードよりも消費電力が小さい第1省電力モードと、第1省電力モードよりも消費電力が小さい第2省電力モードとが用意される。なお、第1省電力モードは、実施の形態1における省電力モードに対応する。通常モードは、第1動作モードの一例である。第1省電力モードと第2省電力モードとは、第2動作モードの一例である。
【0122】
出射制御部112は、動作モードが第1省電力モードである場合、出射期間割合を第1出射期間割合として間欠出射制御を実行する。出射制御部112は、動作モードが第2省電力モードである場合、出射期間割合を第1出射期間割合よりも小さい第2出射期間割合として間欠出射制御を実行する。つまり、第2省電力モードは、第1省電力モードに比べて、レーザ光が出射される期間の割合が小さい。
【0123】
また、減衰率調整部115は、動作モードが第1省電力モードである場合、第1出射期間割合に基づいて、減衰率を第2減衰率に調整する。また、減衰率調整部115は、動作モードが第2省電力モードである場合、第2出射期間割合に基づいて、減衰率を第2減衰率よりも低い第3減衰率に調整する。つまり、第2省電力モードは、第1省電力モードに比べて、可変減光フィルタ34におけるレーザ光の減衰率が低い。
【0124】
従って、第2省電力モードは、第1省電力モードに比べて、網膜620にレーザ光が投射される時間は少ないが、網膜620に投射されるレーザ光の光量は多い。また、第1省電力モードは、通常モードに比べて、網膜620にレーザ光が投射される時間は少ないが、網膜620に投射されるレーザ光の光量は多い。従って、ユーザに提示される画像の明るさは、動作モードに拘わらず同程度である。
【0125】
なお、モード設定部114は、操作受付部14がユーザから受け付けたモード切替操作、画像投影装置100のバッテリー18の残量等に基づいて、動作モードを設定することができる。例えば、モード設定部114は、バッテリー18の残量が第1残量閾値を超えるときに動作モードを通常モードに設定する。また、モード設定部114は、バッテリー18の残量が第1残量閾値以下且つ第1残量閾値よりも小さい第2残量閾値を超えるときに動作モードを第1省電力モードに設定する。また、モード設定部114は、バッテリー18の残量が第2残量閾値以下であるときに動作モードを第2省電力モードに設定する。また、モード設定部114は、操作受付部14に対してモード切替操作がなされる毎に、動作モードを順に切り替えてもよい。
【0126】
以下、図12を参照して、第2省電力モードにおけるレーザ光の出射制御について説明する。なお、通常モードにおけるレーザ光の出射制御は、実施の形態1において図5を参照して説明した通りである。また、第1省電力モードにおけるレーザ光の出射制御は、実施の形態1において図6を参照して説明した通りである。図12に、省電力モードにおける撮像画像及び投影画像を示す。
【0127】
図12に示すように、第2省電力モードでは、撮像装置700が撮像した撮像画像が、間欠的に、投影画像として網膜620に投影される。つまり、第2省電力モードでは、1回の二次元走査処理に合わせて、撮像画像に含まれる1つのフレーム分のレーザ光の照射が実行される処理と、次の2回の二次元走査処理の間、レーザ光が出射されない処理とが切り替えられながら実行される。
【0128】
本実施の形態では、動作モードが第2省電力モードである場合、撮像装置700における撮像時のフレームレートが20fpsであり、撮像装置700は1/20秒毎に1つのフレームを生成する。この場合、走査制御部113は、1/60秒毎に二次元走査処理を実行する。一方、出射制御部112は、1/60秒毎に、1つのフレーム分のレーザ光の出射を実行する処理と、レーザ光を出射させない処理と、レーザ光を出射させない処理とを切替ながら実行する。つまり、出射制御部112は、連続して実行される3回の二次元走査処理のうち1回の二次元走査処理に合わせて、1フレーム分のレーザー光を出射する処理を実行する。
【0129】
図12において、T7は、1つのフレームが生成される周期であり、T8は、1回の二次元走査処理の実行に要する時間である。図12において、極めて明るい色で描かれた投影画像は、撮像画像に対応する画像であり、減衰率が極めて低く設定された可変減光フィルタ34を通過したレーザ光により網膜620に投影された画像を示す。図12において、暗い色で描かれた投影画像は、レーザ光が出射されない期間において網膜620に投影された真っ暗な画像を示す。
【0130】
図13を参照して、各動作モードの特徴について説明する。図13に、通常モードと第1省電力モードと第2省電力モードとのそれぞれについて、撮像時のフレームレートと、出射期間割合と、減衰率と、消費電力とを示す。
【0131】
図13に示すように、動作モードが通常モードである場合、撮像時のフレームレートが大きく、出射期間割合が大きく、減衰率が大きく、消費電力が大きい。また、動作モードが第1省電力モードである場合、撮像時のフレームレートが中程度であり、出射期間割合が中程度であり、減衰率が中程度であり、消費電力が中程度である。また、動作モードが第2省電力モードである場合、撮像時のフレームレートが小さく、出射期間割合が小さく、減衰率が小さく、消費電力が小さい。
【0132】
本実施の形態では、動作モードとして、通常モードと、通常モードよりも消費電力が小さい第1省電力モードと、第1省電力モードよりも消費電力が小さい第2省電力モードとが用意されている。第1省電力モードは、通常モードに比べて、レーザ光が出射される時間が短いが、レーザ光の減衰率が低い。また、第2省電力モードは、第1省電力モードに比べて、レーザ光が出射される時間が短いが、レーザ光の減衰率が低い。従って、本実施の形態によれば、網膜620に投影される画像の明るさを維持しつつ、消費電力を低減させることができる。また、本実施の形態によれば、視認性の向上、消費電力の抑制等を考慮して、3つの動作モードから適切な動作モードを選択することができる。
【0133】
(実施の形態4)
実施の形態3では、フレーム単位でレーザ光の出射の許否が制御される例について説明した。本実施の形態では、フレームに含まれる行単位でレーザ光の出射の許否が制御される例について説明する。なお、実施の形態1-3と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0134】
本実施の形態では、動作モードとして、通常モードと、通常モードよりも消費電力が小さい第1省電力モードと、第1省電力モードよりも消費電力が小さい第2省電力モードとが用意される。なお、第1省電力モードは、実施の形態2における省電力モードに対応する。第2省電力モードは、第1省電力モードに比べて、出射期間割合が小さい。第2省電力モードは、第1省電力モードに比べて、可変減光フィルタ34におけるレーザ光の減衰率が低い。
【0135】
従って、第2省電力モードは、第1省電力モードに比べて、網膜620にレーザ光が投射される時間は少ないが、網膜620に投射されるレーザ光の光量は多い。また、第1省電力モードは、通常モードに比べて、網膜620にレーザ光が投射される時間は少ないが、網膜620に投射されるレーザ光の光量は多い。従って、ユーザに提示される画像の明るさは、動作モードに拘わらず同程度である。
【0136】
以下、図14を参照して、第2省電力モードにおけるレーザ光の出射制御について説明する。なお、通常モードにおけるレーザ光の出射制御は、実施の形態1において図5を参照して説明した通りである。また、第1省電力モードにおけるレーザ光の出射制御は、実施の形態2において図10を参照して説明した通りである。図14に、第2省電力モードにおける撮像画像及び投影画像を示す。
【0137】
図14に示すように、第2省電力モードでは、撮像装置700が撮像した撮像画像が、連続する3つの行のうち2つの行が間引きされて、投影画像として網膜620に投影される。ここで、動画像に含まれる複数のフレームのうち(3の倍数+1)番目のフレームを、第1種別フレームとする。また、動画像に含まれる複数のフレームのうち(3の倍数+2)番目のフレームを、第2種別フレームとする。動画像に含まれる複数のフレームのうち3の倍数番目のフレームを、第3種別フレームとする。また、各フレームにおける(3の倍数+1)番目の行を、第1種別行とする。また、各フレームにおける(3の倍数+2)番目の行を、第2種別行とする。また、各フレームにおける3の倍数番目の行を、第3種別行とする。
【0138】
この場合、第2省電力モードでは、第1種別フレームについては、1回の主走査処理に合わせて、1つの第1種別行分のレーザ光の照射が実行される処理と、次の2回の主走査処理の間、レーザ光が出射されない処理とが繰り返して実行される。また、第2省電力モードでは、第2種別フレームについては、1回の主走査処理に合わせて、1つの第2種別行分のレーザ光の照射が実行される処理と、次の2回の主走査処理の間、レーザ光が出射されない処理とが繰り返して実行される。また、第2省電力モードでは、第3種別フレームについては、1回の主走査処理に合わせて、1つの第3種別行分のレーザ光の照射が実行される処理と、次の2回の主走査処理の間、レーザ光が出射されない処理とが繰り返して実行される。
【0139】
本実施の形態では、撮像装置700における撮像時のフレームレートが60fpsであり、撮像装置700は1/60秒毎に1つのフレームを生成する。この場合、走査制御部113は、1/60秒毎に二次元走査処理を実行する。一方、出射制御部112は、1/60秒毎に、第1種別フレームの第1種別行のみに対してレーザ光を出射させる処理と、第2種別フレームの第2種別行のみに対してレーザ光を出射させる処理と、第3種別フレームの第3種別行のみに対してレーザ光を出射させる処理とを切り替えながら実行する。
【0140】
図14において、T9は、1つのフレームが生成される周期であり、T10は、1回の二次元走査処理の実行に要する時間である。図14において、投影画像のうち極めて明るい色で描かれた画像部分は、撮像画像に対応する画像部分であり、減衰率が極めて低く設定された可変減光フィルタ34を通過したレーザ光により網膜620に投影された画像部分を示す。図14において、投影画像のうち暗い色で描かれた画像部分は、レーザ光が出射されない期間において網膜620に投影された真っ暗な画像部分を示す。
【0141】
本実施の形態では、動作モードとして、通常モードと、通常モードよりも消費電力が小さい第1省電力モードと、第1省電力モードよりも消費電力が小さい第2省電力モードとが用意されている。従って、本実施の形態によれば、網膜620に投影される画像の明るさを維持しつつ、消費電力を低減させることができる。また、本実施の形態によれば、視認性の向上、消費電力の抑制等を考慮して、3つの動作モードから適切な動作モードを選択することができる。
【0142】
(変形例)
以上、実施の形態を説明したが、種々の形態による変形及び応用が可能である。上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
【0143】
実施の形態1,2では、動作モードとして通常モードと省電力モードとが用意される例について説明した。また、実施の形態3,4では、動作モードとして通常モードと第1省電力モードと第2省電力モードとが用意される例について説明した。動作モードをどのようにするのかは、適宜、調整することができる。例えば、動作モードとして、通常モードが用意されなくてもよい。また、動作モードとして、3つ以上の省電力モードが用意されていてもよい。なお、減衰率調整部115は、動作モードに応じた出射期間割合に基づいて、可変減光フィルタ34におけるレーザ光の減衰率を調整することができる。具体的には、減衰率調整部115は、出射期間割合が小さい程、減衰率を小さくすることが好適である。
【0144】
実施の形態3,4では、第1省電力モードにおける出射期間割合が1/2であり、第2省電力モードにおける出射期間割合が1/3である例について説明した。各省電力モードにおける出射期間割合は、この例に限定されない。
【0145】
実施の形態1では、減衰率調整部115は、ハーフミラー36とフォトダイオード37とを用いて求めた検出時間割合から動作モードを推定し、動作モードに対応する減衰率を設定する例について説明した。減衰率調整部115は、モード設定部114から動作モードを示す情報を取得して、動作モードに対応する減衰率を設定してもよい。また、減衰率調整部115は、検出時間割合に基づいて、減衰率を設定してもよい。例えば、減衰率調整部115は、検出時間割合が大きい程、減衰率を大きくすることが好適である。
【0146】
実施の形態1では、MEMSミラー31の前段に可変減光フィルタ34が配置され、可変減光フィルタ34の前段にハーフミラー36が配置される例について説明した。これらの構成要素の配置関係は、適宜、調整することができる。例えば、MEMSミラー31の後段に可変減光フィルタ34が配置されてもよいし、可変減光フィルタ34の後段にハーフミラー36が配置されてもよい。
【0147】
実施の形態2では、間欠出射制御において、行単位でレーザ光の出射の許否が切り替えられる例について説明した。間欠出射制御において、列単位でレーザ光の出射の許否が切り替えられてもよい。例えば、奇数フレームでは奇数列の画像が投影され、偶数フレームでは偶数列の画像が投影されてもよい。また、間欠出射制御において、行及び列単位でレーザ光の出射の許否が切り替えられてもよい。例えば、奇数フレームでは奇数行且つ奇数列の画像と偶数行且つ偶数列の画像とが投影され、偶数フレームでは奇数行且つ偶数列の画像と偶数行且つ奇数列の画像とが投影されてもよい。
【0148】
上記実施の形態では、制御部11において、CPUがROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、図3に示した各部として機能した。しかしながら、本開示において、制御部11は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部11が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部11は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0149】
本開示に係る画像投影装置100の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、本開示に係る画像投影装置100として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0150】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0151】
10 制御ユニット、11 制御部、12 記憶部、13 表示部、14 操作受付部、15 入出力インターフェース、16 レーザドライバIC、17 レーザモジュール、18 バッテリー、20 投影ユニット、30 走査部、31 MEMSミラー、32 MEMSドライバIC、33 反射ミラー、34 可変減光フィルタ、35 フィルタ制御IC、36 ハーフミラー、37 フォトダイオード、40 導光部、41,42 伝搬面、43 反射面、50 補強部、60 複合ケーブル、100 画像投影装置、111 画像処理部、112 出射制御部、113 走査制御部、114 モード設定部、115 減衰率調整部、500 メガネフレーム、600 眼球、610 水晶体、620 網膜、700 撮像装置、800 走査領域
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