(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013679
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】スクエアパネル連結金具、スクエアパネルを用いた建築構造、及び、スクエアパネルを用いた建築工法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/02 20060101AFI20240125BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20240125BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20240125BHJP
E04C 2/14 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
E04B1/02 E
E04B1/61 503B
E04B2/56 604F
E04C2/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115951
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】516020938
【氏名又は名称】海野建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197734
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】海野 洋光
【テーマコード(参考)】
2E002
2E125
2E162
【Fターム(参考)】
2E002FB07
2E002GA01
2E125AA53
2E125AE16
2E125AG03
2E125BB13
2E125BC02
2E125CA05
2E162CC01
(57)【要約】
【課題】直角方向に配置されたスクエアパネル同士を、簡単に連結・固定することができ、しかも、連結部の強度が充分に維持できるスクエアパネル連結金具、建築構造、及び、建築工法を提供することを目的とする。
【解決手段】直角方向に配置されたスクエアパネルを角材を介して連結するスクエアパネル連結金具であって、断面コ字状に形成され、平板状の第1側板と、該第1側板の両側端から対向して延びる平板状の第2側板及び第3側板とを備え、前記第2側板及び前記第3側板は、前記第1側板に対して直角であり、前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板のそれぞれの中央部には開孔部が形成され、前記第1側板と前記第2側板と前記第3側板とで、断面コ字状の凹部が形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直角方向に配置されたスクエアパネル同士を角材を介して連結するスクエアパネル連結金具であって、
断面コ字状に形成され、平板状の第1側板と、該第1側板の両側端から対向して延びる平板状の第2側板及び第3側板とを備え、
前記第2側板及び前記第3側板は、前記第1側板に対して直角であり、
前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板のそれぞれの中央部には開孔部が形成され、
前記第1側板と前記第2側板と前記第3側板とで、断面コ字状の凹部が形成されている
ことを特徴とするスクエアパネル連結金具。
【請求項2】
スクエアパネルを用いた建築構造であって、
第1のスクエアパネルと、該第1のスクエアパネルに対して直角方向に配された第2のスクエアパネルとを備え、
前記第1のスクエアパネルと前記第2のスクエアパネルとは、角材を介して、請求項1に記載のスクエアパネル連結金具で連結・固定されている
ことを特徴とする建築構造。
【請求項3】
前記第1のスクエアパネルは、前記第1側板の前記第1のボルト孔に挿通された螺着手段によって、前記スクエアパネル連結金具と連結・固定され、
前記第2のスクエアパネルは、前記第2側板の開孔部、及び、前記凹部に嵌装された前記角材に形成されている開孔部に挿通された螺着手段によって、前記スクエアパネル連結金具に連結・固定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の建築構造。
【請求項4】
前記スクエアパネルは、複数の桁と、前記桁と略直交する方向に並列され、前記桁に固定された第1板材及び第2板材と、を有し、前記第1板材と前記第2板材とで、複数の前記桁を挟み込んで固定されており、前記桁が略垂直になるように配置されている
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の建築構造。
【請求項5】
請求項1に記載のスクエアパネル連結金具及びスクエアパネルを用いた建築工法であって、
第1のスクエアパネルを、前記スクエアパネル連結金具に連結・固定するステップと、
前記第1のスクエアパネルに対し直角方向に配された第2のスクエアパネルを、前記スクエアパネル連結金具、及び、該スクエアパネル連結金具に嵌装された角材に連結・固定するステップと
を備えたことを特徴とする建築工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スクエアパネル連結金具、スクエアパネルを用いた建築構造、及び、スクエアパネルを用いた建築工法に関するものであり、特に、スクエアパネルを建築物の壁又は屋根等の構造体として用いる技術において、スクエアパネルを連結するための連結金具、スクエアパネルを用いた建築構造、及び、スクエアパネルを用いた建築工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、令和2年7月29日発行の「特許公報」(特許文献1参照。)において、「従来、穴のある並列する複数の桁2とこの桁とほぼ直交する方向に並列する複数の天板および底板とからなり、桁を上下からの天板と底板とで挟み込み、固定して形成される建築資材用正方形木製パネルが知られている。この建築資材用正方形木製パネルによれば、建築部材として使用後、解体すれば、運送・梱包用木製パレットとして再利用ができる」(段落「0002」参照。)、「ところで、建築資材用正方形木製パネルを、解体後、運送・梱包用のパレットとして、汎用的に再利用するためには、1枚の大きさを、例えば、天板および底板の板厚を9mm~30mm、上記桁の板厚を15mm~150mmとし、長さを、全て1100mm程度に形成する必要がある。」(段落「0004」参照。)、「このため、後にパレットとして使用可能に形成されたパネルを立てて、建築物における壁の構造体として使用する場合、高さ方向の寸法が足りないので、上下方向に複数配列する必要がある。また、壁の構造体として使用した場合、上下方向に複数配列されたパネルの天板や底板の外表面に、内装や外装が施される。よって、例えば、複数のパネルを上下方向に連結するための金具が、天板や底板の外表面より突出すると、構造体であるパネルに取り付けられる外装や内装に影響が出るため問題となる」(段落「0005」参照。)といった背景技術や従来技術の問題点を述べ、これらの問題点を解決するために「運送・梱包用のパレットとして再利用可能なパネルを、壁の構造体として使用可能な建築構造を提供することを目的」として、「複数の桁と、前記桁と略直交する方向に並列され、前記桁に固定された第1板材及び第2板材と、を有し、前記第1板材と前記第2板材とで、複数の前記桁を挟み込んで固定することで、矩形に形成されたパネルを複数用いた建築構造であって 複数の前記パネルのうち第1パネル及び第2パネルを、前記桁が略垂直になるように配置した状態で、上下方向に配列し、前記第1パネルの前記桁と、前記第1パネルの上に配置された前記第2パネルの前記桁とを連結金具で連結することで、壁を形成し、前記桁に沿って配置され、前記第1パネルの前記桁と、前記第2パネルの前記桁とにまたがって配置され、前記第1パネルの複数の前記桁にそれぞれ固定されると共に、前記第2パネルの複数の前記桁にもそれぞれ固定される補助材を、さらに備える建築構造」(「請求項1」参照)という技術を提案した。
【0003】
ここで、上述したように特許文献1に記載の「建築資材用正方形木製パネル」は、「建築部材として使用後、解体すれば、運送・梱包用木製パレットとして再利用ができる」ものであり、サイズ(幅,長さ,厚さ)、形状(平面視で矩形。)が共通化されており、「天板および底板の板厚を9mm~30mm、上記桁の板厚を15mm~150mmとし、長さを、全て1100mm程度に形成」されている。本願発明の「スクエアパネル」も、この「建築資材用正方形木製パネル」及び「運送・梱包用木製パレット」と同様のサイズ、形状に共通化されている。なお、「建築資材用正方形木製パネル」は、本願出願人が実用新案権者である実用新案登録公報(特許文献4参照。)にも開示されている。また、「運送・梱包用木製パレット」は、市販されており、上述の「長さを、全て1100mm」(正方形であるので、幅も1100mmである。)の製品は、国際規格・JIS規格で定められた標準パレットT11型である。以下、本願明細書・請求の範囲に記載された「スクエアパネル」と、特許文献1に記載された「建築資材用正方形木製パネル」は、表現は異なるものの、サイズ、形状、構造、用途等は同じであるので、技術的意味は同じである。また、「運送・梱包用木製パレット」は、建築物の構成部品として使用された「スクエアパネル」、「建築資材用正方形木製パネル」を、建築物の解体後、再利用したものであり、用途が変わっただけであるので、「運送・梱包用木製パレット」のサイズ、形状、構造は、「スクエアパネル」及び「建築資材用正方形木製パネル」と同じである。なお、「運送・梱包用木製パレット」を、単に、「木製パレット」ということがある。
【0004】
ところで、特許文献1の技術によれば、複数の「建築資材用正方形木製パネル」を「連結金具」で連結して「建築構造」を構成するのであるが、従来の連結金具では直交する「建築資材用正方形木製パネル」の端部(隅部、又は、角部ともいう。)同士を連結することができず、
図15に示すように、一方の「建築資材用正方形木製パネル」(スクエアパネル10b)の端部を他方の「建築資材用正方形木製パネル」(スクエアパネル10a)の端部より内側の面に直交して連結しなければならない。つまり、
図16に示すように、直交する二つの「建築資材用正方形木製パネル」同士の横断面がT字型をなすように連結する必要がある。
図16は、
図15のスクエアパネル10aとスクエアパネル10bとの連結部の様子を示す概略断面図である。なお、連結金具は不図示である。直交する二つの「建築資材用正方形木製パネル」の端部同士を連結するためには、隅柱を用いればよいのであるが、従来技術では、直交する二つの「建築資材用正方形木製パネル」の端部と隅柱とを、簡単な構成で連結作業が簡単で、しかも、連結部の強度が充分に維持できることを実現する連結金具がなかった。
【0005】
例えば、特許文献2には、「木造建築の角通柱、梁、柱、土台、筋交い等を互いに簡単且つ確実に連結することができるようにするばかりでなく、木造建築の角通柱、梁、柱、土台、筋交い等の連結部分の強度を著しく補強することができるような木造建築用連結金具を提供する」(段落「0003」参照。)ことを目的とした「垂直な固定板の上下端に、連結すべき一方の角通柱の適宜位置に適宜固定手段にて固定する固定片を相反する上下向きに突設し、且つ固定板の下端には、連結すべき他方の梁の一端部を載置する載置板を水平に設け、この載置板の先端には、前記梁の一端部近傍に凹設された係止溝を係止する係止片を上向きに突設し、更に、この載置板の左右両端と前記固定板の左右両端との相隣接部分には、中心部に前記梁の一端部に穿設された連結孔を介して一側方から連結ボルトを挿入して他側方にて連結ナットにて連結する連結孔を有する一対の連結板を設けたことを特徴とする木造建築用連結金具」(「請求項1」参照。)が記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、「無垢の杉などのように繊維方向に沿って割れやすい木材を、ドリフトピンの打ち込みなどによるヒビ割れの発生を防止して、強度が必要とされる木造建築物の構造材などに使用するための部材締結具の提供を目的」(段落「0006」参照。)として、「一の木材と他の木材とが金具により連結された仕口構造において、一の木材と他の木材との連結部に双方に固定された金物(11)を介在し、前記一の木材又は前記他の木材に前記金物(11)をボルト(12)又はドリフトピン(13)で固定し、前記一の木材又は他の木材における、当該一の木材又は他の木材に埋め込まれたボルト(12)又はドリフトピン(13)からそれらの直径長以内の位置へ、当該木材の繊維に引っ掛かる螺旋凸条を備えた補強軸(14)を、当該ボルト(12)又はドリフトピン(13)の長手方向と直角に交差し、且つ前記一の木材又は他の木材の長手方向と直角に交差する様に捩じ込んでなり、前記補強軸(14)は、相互に干渉しないよう位置を変えて前記一の木材又は他の木材の両方から打ち込まれている木造建造物の仕口構造」(「請求項1」参照。)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6731467号公報
【特許文献2】特開平09-032125号公報
【特許文献3】特許第4948934号公報
【特許文献4】実用新案登録第3210079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された発明の「建築構造」を用いた建築物の販売量が増加していくとともに、「建築資材用正方形木製パネル」の端部同士を連結した構造の建築物を要求するユーザーが増加するようになった。また、柱、特に隅柱のある建築物を要求するユーザーも増えるようになった。ところが、上述したように、「建築資材用正方形木製パネル」の端部同士を連結した構造の「建築物」にするには、直交して連結される「建築資材用正方形木製パネル」の端部同士の間に柱(特に、建築物の隅部にある「隅柱」。)を設け、「建築資材用正方形木製パネル」の端部と「隅柱」を連結する金具が必要である。
なお、建築物の棟木を有する屋根として「建築資材用正方形木製パネル」を用いるときには、棟木を介して「建築資材用正方形木製パネル」を連結する金具も必要となる。
【0009】
しかしながら、特許文献1には、「建築資材用正方形木製パネル」の端部(角部)同士の間に「隅柱」を設けた建築構造の構成についても、「建築資材用正方形木製パネル」の端部と「隅柱」を連結する金具についても記載されていない。
【0010】
また、特許文献2に記載の「木造建築用連結金具」は、「角通柱」と「梁」とを連結するために発明されたものであり、本願発明の目的とする「建築資材用正方形木製パネル」の端部(角部)と「隅柱」とを連結することは困難であり、仮に、特許文献2に記載の「木造建築用連結金具」を用いて「建築資材用正方形木製パネル」と「隅柱」とを無理に連結したとしても建築構造の強度が充分に維持できない虞がある。
【0011】
また、特許文献3に記載の「部材連結具」は、「柱」と「梁」又は「横木」等の「丁字状の結合部」に使用されるものであり、「建築資材用正方形木製パネル」同士の連結に使用することはできないものと推量される。なぜならば、「柱」と「梁」又は「横木」は、「棒状の木材」つまり角材であり、木製パネルの構造とは異なっているからである。
【0012】
このため、本発明では、直角方向に配置されたスクエアパネル(「建築資材用正方形木製パネル」)同士を、簡単に連結・固定することができ、しかも、連結部の強度が充分に維持できるスクエアパネル連結金具、建築構造、及び、建築工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、直角方向に配置されたスクエアパネル同士を角材を介して連結するスクエアパネル連結金具であって、断面コ字状に形成され、平板状の第1側板と、該第1側板の両側端から対向して延びる平板状の第2側板及び第3側板とを備え、前記第2側板及び前記第3側板は、前記第1側板に対して直角であり、前記第1側板、前記第2側板、前記第3側板のそれぞれの中央部には開孔部が形成され、前記第1側板と前記第2側板と前記第3側板とで、断面コ字状の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、スクエアパネルを用いた建築構造であって、第1のスクエアパネルと、該第1のスクエアパネルに対して直角方向に配された第2のスクエアパネルとを備え、前記第1のスクエアパネルと前記第2のスクエアパネルとは、角材を介して、請求項1に記載のスクエアパネル連結金具で連結・固定されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の建築構造であって、前記第1のスクエアパネルは、前記第1側板の前記第1のボルト孔に挿通された螺着手段によって、前記スクエアパネル連結金具と連結・固定され、前記第2のスクエアパネルは、前記第2側板の開孔部、及び、前記凹部に嵌装された前記角材に形成されている開孔部に挿通された螺着手段によって、前記スクエアパネル連結金具に連結・固定されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の建築構造であって、前記スクエアパネルは、複数の桁と、前記桁と略直交する方向に並列され、前記桁に固定された第1板材及び第2板材と、を有し、前記第1板材と前記第2板材とで、複数の前記桁を挟み込んで固定されており、前記桁が略垂直になるように配置されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のスクエアパネル連結金具及びスクエアパネルを用いた建築工法であって、第1のスクエアパネルを、前記スクエアパネル連結金具に連結・固定するステップと、前記第1のスクエアパネルに対し直角方向に配された第2のスクエアパネルを、前記スクエアパネル連結金具、及び、該スクエアパネル連結金具に嵌装された角材に連結・固定するステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、隅柱や棟木のような正四角柱の角材を介してスクエアパネル同士を簡単に連結することができ、しかも、連結部に突出部を形成することなくスクエアパネル同士を連結することができるので、美観に優れているという顕著な効果を奏する。
【0019】
また、本発明のスクエアパネル連結金具は、構造が極めて簡単なので、製造コストも抑えられ、スクエアパネルの連結作業の工数も短時間でできるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のスクエアパネル連結金具の外観斜視図である。
【
図2】本発明のスクエアパネル連結金具の正面図である。
【
図3】本発明のスクエアパネル連結金具の右側面図である。
【
図4】本発明のスクエアパネル連結金具の平面図である。
【
図5】本発明のスクエアパネル連結金具の水平断面図である。
【
図6】本発明のスクエアパネルを表面側から見た外観斜視図である。
【
図7】本発明のスクエアパネルを裏面側から見た外観斜視図である。
【
図8】本発明のスクエアパネル連結金具とスクエアパネルとの連結部の水平断面を説明する図である。
【
図9】本発明のスクエアパネル連結金具とスクエアパネルとの連結部の垂直部分断面を説明する図である。
【
図10】本発明のスクエアパネルを壁構造体として用いた建築物の建築途中の外観斜視図である。
【
図11】本発明のスクエアパネルを壁構造体として用いた建築物の建築完成後の外観斜視図である。
【
図12】三角屋根頂部の連結部に本発明のスクエアパネル連結金具を使用した状態を説明する建築物の概略外観図である。
【
図15】従来技術のスクエアパネルを壁構造体として用いた建築物の建築途中の外観斜視図である。
【
図16】
図15のスクエアパネル同士の連結部の様子を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書で示す上,下,左,右,前,後の方向は、説明の便宜上示したものであり、図示に限定するものではない。また、本明細書で示す上,下,左,右,前,後の方向は、図中で示す矢印の上,下,左,右,前,後の方向と対応するものとする。
【0022】
(第1実施形態)
(スクエアパネル連結金具)
まず、第1実施形態に係る発明のスクエアパネル連結金具1について説明する。
図1は、スクエアパネル連結金具1の外観斜視図であり、
図2は、スクエアパネル連結金具1の正面図であり、
図3は、スクエアパネル連結金具1の右側面図であり、
図4は、スクエアパネル連結金具1の平面図であり、
図5は、スクエアパネル連結金具1の水平断面図である。
【0023】
図示するように、本実施形態のスクエアパネル連結金具1は、鋼板等によって断面コ字状に形成され、正方形平板状の第1側板2Lと、第1側板2Lの前後両側端から対向して右方向に延びる正方形平板状の第2側板2F及び正方形平板状の第3側板2Bとを備えている。第2側板2F及び第3側板2Bは、第1側板2Lに対して直角である。また、第1側板2Lと第2側板2Fと第3側板2Bとは同一サイズである。第1側板2L、第2側板2F、第3側板2Bは、連設されて一体的に形成されており、例えば、長方形の鋼板を長手方向の所定の2箇所で折曲げることで形成されてもよい。本願発明の建築構造を用いて建築物を構築したときに、後述する隅柱(正四角柱の角材)の3つの側面が、この第1側板2Lと第2側板2Fと第3側板2Bとで形成される断面コ字状の凹部4に嵌設される。第1側板2L、第2側板2F、第3側板2Bのそれぞれの中央部には、円形の第1ボルト孔3L、円形の第2ボルト孔3F、円形の第3のボルト孔3Bが開孔されており、ボルト・ナット等の螺着手段により隅柱を介してスクエアパネル同士が連結固定される。本実施形態では、第1側板2L、第2側板2F、および、第3側板2Bは、正方形平板状に形成されている、表現を変えれば、第1側板2Lは左側面視において、第2側板2Fは正面視において、第3側板2Bは背面視において、それぞれ正方形に形成されているが、必要に応じて、例えば、第1側板2L、第2側板2F、第3側板2Bのうち少なくともいずれか一つを長方形にする等、適宜形状を変更してよい。このとき、凹部4の幅Wと深さDのサイズは、嵌設される隅柱の幅に対応して決められてよい。
図4では、凹部4の幅Wと奥行Dは同一サイズであるが、後述の
図10及び
図11では、水平断面が長方形の角柱が用いられているので、これに対応させてスクエアパネル連結金具1の幅Wのサイズが奥行Dのサイズよりも大きくされている。
【0024】
本願発明の実施形態に係るスクエアパネル1は、木造建築の接合部に用いられる金物の技術分野に属する。建築工程において、金物の部品点数ができるだけ少ない方が経済的で、且つ、作業が単純化するので、スクエアパネル1に用いる螺着手段としてのボルト,ナットも共通部品を用いた方が好適である。したがって、ボルト径は同一サイズのものを用いた方がよいので、第1ボルト孔3L、第2ボルト孔3F、第3ボルト孔3Bは、全て同径であり、各径の大きさは、挿通されるボルトの軸の径以上に拡径されている。また、第2ボルト孔3Fと第3ボルト孔3Bは、ボルトの軸が第2側板2F及び第3側板2Bそれぞれに直角に交差して挿通可能なように対向して配設されている。
【0025】
ここで、本願発明の建築構造に用いるスクエアパネルについて、
図6、
図7を参照しながら説明する。なお、必要に応じて他の図面を参照してもよい。本願発明のスクエアパネル10は、基本的には、上述の特許文献1に記載の「パネル10」、及び、特許文献4に記載の「正方形をした木製建築資材パネル」と同様である。
【0026】
スクエアパネル10は、所定間隔で略並行に配列された複数の桁11と、桁11と略直交する方向に並列され、桁11の上側に隣接して配設・固定された第1板材12及び桁11の下側に所定間隔で配設・固定された第2板材13と、を有し、第1板材12と第2板材13とで、桁11を挟み込んで、釘15で固定することで、矩形状に形成されている。釘15の代わりに、例えば、螺子、ビス等の螺着手段を用いてもよい。スクエアパネル10の両端に配設されている二つの桁11の両端部近傍には、スクエアパネル連結金具1の第2ボルト孔3F、第3ボルト孔3Bに対応した位置に円筒形の桁連通孔14が貫通して形成されている。桁連通孔14の内径は、挿通されるボルトの軸径以上の大きさに形成されている。
【0027】
スクエアパネル10は、第1板材12及び第2板材13の板厚を9mm~30mmとし、桁11の板厚を15mm~150mmとし、桁11、第1板材12及び第2板材13の長さを、全て1100mmとすることが好ましい。これにより、建築物200(
図11参照。)を解体後、スクエアパネル10を、運送・梱包用木製パレットとして、容易に再利用することができる。
【0028】
(スクエアパネルとスクエアパネル連結金具の連結部の構造)
次に、スクエアパネル連結金具1を用いて、スクエアパネル10を連結する方法及びその連結部の構造について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。なお、必要に応じて、適宜他の図面を参照してよい。
図8は、スクエアパネル連結金具1とスクエアパネル10との連結部の水平断面を説明する図であり、
図9は、スクエアパネル連結金具1とスクエアパネル10との連結部の垂直部分断面を説明する図である。
【0029】
図8及び
図9では、スクエアパネル10aとスクエアパネル10bとの端部同士を隅柱P1及びスクエアパネル金具1を用いて連結した建築構造における連結部を示す。図では、隅柱P1は正四角柱の正角材であり、隅柱P1の幅・厚さは、スクエアパネル連結金具1の幅W・奥行Dと同一サイズである。スクエアパネル10a及びスクエアパネル10bは、識別のため符号を異ならせているが、スクエアパネル10と同一の構造である。
【0030】
まず、スクエアパネル連結金具1とスクエアパネル10aとを連結・固定する方法及び連結部の構造について説明する。スクエアパネル連結金具1の第1側板2Lは、フランジ付ボルトBF1とフランジ付ナットNF1によって、スクエアパネル10aに連結固定されている。具体的には、スクエアパネル連結金具1の第1側板2Lを、第1ボルト孔3Lと、桁11の桁連通孔14とが対応するようにスクエアパネル10aの右端部に当接させ、第1側板2L側から第1ボルト孔3Lと桁連通孔14とにフランジ付ボルトBF1の軸部を挿通し、桁11の第1側板2Lと反対側に配設されたフランジ付ナットNF1に螺着することで、第1側板2Lと桁11とを螺着固定することで、スクエアパネル連結金具1とスクエアパネル10aとを連結・固定することができる。ここで、隅柱P1左側面の前述したフランジ付ボルトBF1が対応する部分には、図示を省略するが、フランジ付ボルトBF1の頭部やフランジと緩衝しないように凹部が形成されている。
【0031】
次に隅柱P1をスクエアパネル連結金具1でスクエアパネル10bに連結固定する方法及びその連結構造について説明する。隅柱P1は、前述したように、スクエアパネル連結金具1の第1側板2L、第2側板2F、第3側板2Bで形成される凹部4に嵌設される。スクエアパネル連結金具1の第3側板2Bは、第3ボルト孔3Bがスクエアパネル10bの桁11に形成された桁連通孔14と対応するように、スクエアパネル10bの前端部に当接されている。ここで、凹部4に嵌設された隅柱P1には、フランジ付ボルトBF2を挿通するための隅柱連通孔16が貫通して開孔されており、フランジ付ボルトBF2の軸部を、スクエアパネル連結金具1の第2ボルト孔3F、隅柱P1の隅柱連通孔16、第3側板2Bの第3ボルト孔3B、及び、桁11の桁連通孔14の順に、第2側板2F側から挿通させ、桁11の第3側板2Bの反対側に配設されたフランジ付ナットNF2に螺着することで、スクエアパネル連結金具1と隅柱P1とスクエアパネル10bとを連結・固定することができる。さらに、スクエアパネル連結金具1は上述したようにスクエアパネル10aにも連結・固定されているので、この構造により、二つのスクエアパネル10a及びスクエアパネル10bは、隅柱P1を介して、スクエアパネル連結金具1によって連結・固定することができる。
【0032】
(スクエアパネル工法及び建築構造)
次に、
図8~
図11を参照しながら、本願発明のスクエアパネル連結金具及びスクエアパネルを用いた建築工法、及び、建築構造について説明する。必要に応じて、適宜、他の図面を参照してよい。
図10は、建築途中の建築物の外観斜視図であり、
図11は、建築完成後の外観斜視図である。スクエアパネル連結金具については、上述した通りである。建築工法については、一部上述した説明と重複する。
【0033】
本願発明の建築工法(以下、「スクエアパネル工法」ともいう。)では、スクエアパネルを桁が略垂直、第1板材及び第2板材が略水平になるような状態で配置し、このように配置したスクエアパネルを上下左右方向に複数配列・連結して建築構造を製造する工法であり、特に建築構造の端部(隅部、あるいは、角部ともいう。)に直角に配設される2枚のスクエアパネル同士を、スクエアパネル連結金具によって、四角柱状の隅柱を介して連結・固定する工法に特徴がある。なお、「隅」は、建築構造の内側から見た場合の表現であり、「角」は、建築構造の外側から見た場合の表現である。
【0034】
本願発明のスクエアパネル工法を用いて建築した建築物の形状が、例えば、略箱形である場合には四隅部を有し、四隅部で連結されるスクエアパネル同士は、隅柱を介し直角になるように配置される。従来のスクエアパネル工法(特許文献1の「建築構造」を建築する方法。)では、上述したように、直交するスクエアパネルの端部同士を連結することができず、
図15に示すように、建築物400を構成する一方のスクエアパネル10bの端部を他方のスクエアパネルの10aの端部より内側の面に直交して連結しなければならない。つまり、直交する二つのスクエアパネル10a,10b同士の横断面が
図16に示すようにT字型をなすように連結する必要があり、一方のスクエアパネルの端部が他方のスクエアパネルの端部より外方に突出した突出部410を形成してしまう。直交する二つのスクエアパネルの端部同士を連結するためには、隅柱を用いればよいのであるが、従来技術では、直交する二つのスクエアパネルの端部と隅柱とを、簡単な構成で連結作業が簡単で、しかも、連結部の強度が充分に維持できることを実現する連結金具がなかった。しかしながら、本願発明のスクエアパネル建築工法では、本願発明のスクエアパネル連結金具を用いることで、直角に配置されるスクエアパネルの端部同士を隅柱を介して、前述の突出部を形成することなく、連結・固定することができる。
【0035】
本願発明のスクエアパネル工法で建築された建築物においては、例えば、従来の在来軸組構法と同様に、基礎、土台、床組、小屋組等も備えているが、これらの従来技術と共通の構造及び構法については周知であるので、説明を極力省略する。本願発明のスクエアパネル工法の特徴は、在来軸組構法の軸組や耐力壁に代えて、スクエアパネルを用いる点である。
【0036】
(スクエアパネルとスクエアパネル連結金具との連結・固定)
本願発明のスクエアパネル工法では、まず、所定のスクエアパネルとスクエアパネル連結金具を連結する。
図8、
図9では、スクエアパネル10aの右端部にスクエアパネル連結金具1の第1側板2Lを当接し、第1側板2Lの第1ボルト孔3L及び対応する桁11の桁連通孔14に第1のフランジ付ボルトBF1を挿通し、この第1のフランジ付ボルトBF1を、桁11の第1側板2Lと反対側に設けられた第1のフランジ付ナットNF1に螺着することで、スクエアパネル10aとスクエアパネル連結金具1とが連結・固定される。
【0037】
(スクエアパネル連結金具への隅柱の嵌設)
スクエアパネル連結金具1には断面コ字状の凹部4が形成されているので、この凹部4に隅柱P1が嵌装されるようにスクエアパネル連結金具1を取り付ける。この状態では、隅柱P1は、スクエアパネル10aには固定されていない。また、隅柱P1の左側面は、スクエアパネル10aの右端部の桁11の右側面に当接している。
【0038】
(スクエアパネル連結金具と隅柱と別のスクエアパネルとの連結・固定)
次に、スクエアパネル10aに対して直角方向に配置されるスクエアパネル10bの前端部をスクエアパネル連結金具1の第3側板2Bに当接させる。そして、スクエアパネル連結金具1の第2側板2Fの第2ボルト孔3Fから、第2のフランジ付ボルトBF2の軸部を、隅柱連結孔16、第3ボルト孔3B、スクエアパネル10bの前端部の桁11の桁連通孔14の順に挿通させ、桁11の第3ボルト孔3Bと反対側に設けられた第2のフランジ付ナットNF2に螺着させることで、スクエアパネル連結金具1と隅柱P1とスクエアパネル10bとを連結・固定することができる。さらに、スクエアパネル10aとスクエアパネル連結金具10aは、すでに連結・固定されているので、スクエアパネル10aとスクエアパネル10bとが、隅柱P1を介して、スクエアパネル連結金具1により連結・固定されることになる。
【0039】
なお、第1のフランジ付ボルトBF1、第1のフランジ付ナットNF1、第2のフランジ付ボルトBF2、第2のフランジ付ナットNF2は、螺着手段として用いたものであり、螺着手段の種類、形状、サイズ等は、必要に応じて適宜変更されてよい。
【0040】
(スクエアパネル工法を用いた建築構造)
以上説明したスクエアパネル工法を壁構造体に用いて建築した建築物を
図10、
図11に示す。
図10は、建築途中の建築物100の外観斜視図、
図11は、建築完成後の建築物200の外観斜視図である。本実施形態の建築物100,200は、箱形状の建築物であり、土台部の四隅にそれぞれ隅柱P1が立設されており、隅柱P1と隅柱P1との間には複数のスクエアパネル10a,10bが配置されている。本実施形態のスクエアパネルは第1板材12が12枚で1つのスクエアパネルを構成するので、建築物100,200の前面、背面に、それぞれ複数枚のスクエアパネル10aが配設され、左面、右面に複数枚のスクエアパネル10bが配設されている。スクエアパネル10aとスクエアパネル10bとは直角方向に配設されている。
【0041】
スクエアパネル10aとスクエアパネル10bとは、端部同士がスクエアパネル1と隅柱P1とを介して直角に連結・固定されている。スクエアパネル10a同士の直線的連結構造、スクエアパネル10b同士の直線的連結構造は、従来のスクエアパネルの建築構造と同じ技術を用いればよい。
【0042】
図10、
図11に示すように、本願発明のスクエアパネル工法及び建築構造によれば、直角方向に連結されるスクエアパネル10aとスクエアパネル10bとにおいて、一方のスクエアパネル10aの端部が他方のスクエアパネル10bの端部より外方に突出した突出部を形成することなく、ユーザーの要望に応じた外観上の美観を有する建築物を建築することができる。しかも、建築物の連結部の強度は、充分に維持することができる。
また、完成した建築物200(
図11参照。)を解体後、スクエアパネル10(10a,10b)を、運送・梱包用木製パレットとして、容易に再利用することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、建築物の形状が略箱形である場合を例としたので、建築物の四隅に配設される隅柱とスクエアパネルとの連結について説明したが、建築物が箱形以外の形状であっても、スクエアパネル同士が直角方向に配されて連結・固定するような構造であれば、本願発明が適用可能なことはいうまでもない。
【0044】
(応用例)
【0045】
図12は、屋根頂部の連結部に本発明のスクエアパネル連結金具を使用した状態を説明する建築物の概略外観図である。
図13は、
図12の概略断面図であり、特に屋根頂部のスクエアパネルの連結部を示すものである。屋根頂部以外の連結部(例えば、外壁のスクエアパネルの連結部等。)の詳細構造は、図示していないが、従来工法で連結されているものとする。
図14は、
図13の屋根頂部の連結部を拡大した断面図である。
【0046】
第1実施形態においては、
図10、
図11に示すように、建築物100および建築物200の屋根として、平面上に連結して配設されたスクエアパネルを用いている。一方、
図12、
図13に示す建築物300の屋根20は、いわゆる三角屋根(「切妻屋根」ともいう。)であり、屋根の部材としてスクエアパネル10c,10dが用いられている。
【0047】
図12、
図13に示すように三角屋根をスクエアパネルを用いて構成した場合には、スクエアパネル10cとスクエアパネル10dとは直角方向に配置され、正四角柱の角材である棟木21を介して、スクエアパネル連結金具1によってスクエアパネル10cとスクエアパネル10dとが連結・固定されている。
図14は、
図13の屋根20の頂部を拡大したものである。
図14に示すように、屋根20頂部の連結部の構造は、
図8を反時計回りに135度回転したものとなっており、構成部品の接続関係は、
図8と
図14は同じである。
図14の棟木21は、
図8の隅柱P1に対応し、
図14のスクエアパネル10c,10dは、それぞれ、
図8のスクエアパネル10a,10bに対応する。
図14におけるその他の構成は、
図8の構成と同一符号としている。
【0048】
ここで、
図14を参照して、スクエアパネル連結金具1を用いて、スクエアパネル10c,10dを連結する方法及びその連結部の構造について説明する。
図14は、スクエアパネル連結金具1と、屋根20に用いられているスクエアパネル10c,10dとの連結部の垂直断面を説明する図である。
【0049】
図14では、スクエアパネル10cとスクエアパネル10dとの端部同士を棟木21及びスクエアパネル金具1を用いて連結した建築構造の屋根頂部における連結部を示す。図では、棟木21は正四角柱の角材であり、棟木21の幅・厚さは、スクエアパネル連結金具1の幅W・奥行Dと同一サイズである。スクエアパネル10c及びスクエアパネル10dは、識別のため符号を異ならせているが、スクエアパネル10と同一の構造である。
【0050】
まず、スクエアパネル連結金具1とスクエアパネル10cとを連結・固定する方法及び連結部の構造について説明する。スクエアパネル連結金具1の第1側板2Lは、フランジ付ボルトBF1とフランジ付ナットNF1によって、スクエアパネル10cに連結固定されている。具体的には、スクエアパネル連結金具1の第1側板2Lを、第1ボルト孔3Lと、桁11の桁連通孔14とが対応するようにスクエアパネル10cの屋根頂部側端部に当接させ、第1側板2L側から第1ボルト孔3Lと桁連通孔14とにフランジ付ボルトBF1の軸部を挿通し、桁11の第1側板2Lと反対側に配設されたフランジ付ナットNF1に螺着することで、第1側板2Lと桁11とを螺着固定することで、スクエアパネル連結金具1とスクエアパネル10cとを連結・固定することができる。ここで、棟木21右斜め下側端面の前述したフランジ付ボルトBF1が対応する部分には、図示を省略するが、フランジ付ボルトBF1の頭部やフランジと緩衝しないように凹部が形成されている。
【0051】
次に棟木21をスクエアパネル連結金具1でスクエアパネル10dに連結固定する方法及びその連結構造について説明する。棟木21は、前述したように、スクエアパネル連結金具1の第1側板2L、第2側板2F、第3側板2Bで形成される凹部4に嵌設される。スクエアパネル連結金具1の第3側板2Bは、第3ボルト孔3Bがスクエアパネル10dの桁11に形成された桁連通孔14と対応するように、スクエアパネル10dの屋根頂部側端部に当接されている。ここで、凹部4に嵌設された棟木21には、フランジ付ボルトBF2を挿通するための棟木連通孔22が貫通して開孔されており、フランジ付ボルトBF2の軸部を、スクエアパネル連結金具1の第2ボルト孔3F、棟木21の棟木連通孔22、第3側板2Bの第3ボルト孔3B、及び、桁11の桁連通孔14の順に、第2側板2F側から挿通させ、桁11の第3側板2Bの反対側に配設されたフランジ付ナットNF2に螺着することで、スクエアパネル連結金具1と棟木21とスクエアパネル10dとを連結・固定することができる。さらに、スクエアパネル連結金具1は上述したようにスクエアパネル10cにも連結・固定されているので、この構造により、二つのスクエアパネル10c及びスクエアパネル10dは、棟木21を介して、スクエアパネル連結金具1によって連結・固定することができる。
その余の点については、上述の
図1~
図11の説明で十分に理解できるので、詳細説明は省略する。
【0052】
本応用例においても、直角に配置されるスクエアパネルの端部同士を棟木を介してスクエアパネル連結金具によって連結・固定することができ、屋根頂部に突出部を形成することはない。
【符号の説明】
【0053】
1 スクエアパネル連結金具
2L 第1側板
2F 第2側板
2B 第3側板
3L 第1ボルト孔
3F 第2ボルト孔
3B 第3ボルト孔
4 凹部
10,10a,10b 10c,10d スクエアパネル
11 桁
12 第1板材
13 第2板材
14 桁連通孔
15 釘
16 隅柱連通孔
20 屋根
21 棟木
22 棟木連通項
100 建築物(建築途中の建築物)
200 建築物(建築完成後の建築物)
300 建築物(三角屋根を有する建築物)
400 建築物(特許文献1に記載の建築物)
410 突出部
BF1 第1のフランジ付ボルト
BF2 第2のフランジ付ボルト
NF1 第1のフランジ付ナット
NF2 第2のフランジ付ナット
P1 隅柱
W 凹部の幅
D 凹部の奥行
FD 土台部