(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136798
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】配電システム及び配電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20240927BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240927BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240927BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240927BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240927BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240927BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 180
H02J3/38 160
H02J3/38 130
H02J3/38 110
H02J3/46
H02J3/00 170
H02J7/35 K
H02J7/34 J
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048048
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】石田 一郎
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB08
5G064DA05
5G064DA07
5G064DA11
5G066AA02
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5G066AE01
5G066AE05
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5G066HA15
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA05
5G503DA07
5G503DA08
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】完全なオフグリッド環境にある住宅等の無停電化を実現する配電システムを提供する。
【解決手段】配電システムは、電力系統に接続されていない個別住宅、共通発電設備、移動体を備え、個別住宅は、再生可能エネルギー発電装置、再生可能エネルギー発電装置が発電した電力を蓄電する住宅用蓄電池、前記住宅用蓄電池の充電率を共通発電設備へ送信する住宅用コントローラを備え、共通発電設備は、発電装置、発電装置が発電した電力を蓄える大容量蓄電池、住宅用蓄電池の充電率を取得し、充電率が閾値以下となった個別住宅を特定し、その個別住宅への配電計画を作成する共通用コントローラ、を備え、移動体は、バッテリと充放電装置とを備え、配電計画に基づいて、特定された個別住宅へ配電する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続されていない1軒又は複数軒の個別住宅と、共通発電設備と、移動体と、を備え、
前記個別住宅は、
再生可能エネルギー発電装置と、
前記再生可能エネルギー発電装置が発電した電力を蓄電する住宅用蓄電池と、
前記住宅用蓄電池の充電率を取得して、前記共通発電設備へ送信する住宅用コントローラと、を備え、
前記共通発電設備は、
再生可能エネルギー発電以外の方法で発電を行う発電装置と、
前記発電装置が発電した電力を蓄える大容量蓄電池と、
前記住宅用蓄電池の充電率を取得し、前記充電率が閾値以下となった前記住宅用蓄電池を備える前記個別住宅を特定し、特定した前記個別住宅への配電計画を作成する共通用コントローラと、を備え、
前記移動体は、バッテリと充放電装置とを備え、前記大容量蓄電池から受電して前記バッテリを充電し、前記配電計画に基づいて、特定された前記個別住宅へ移動して前記バッテリから当該個別住宅の前記住宅用蓄電池へ給電する、
配電システム。
【請求項2】
前記発電装置は、前記大容量蓄電池の充電率を監視し、当該充電率が閾値を下回ると、発電を行い、発電した電力を供給して前記大容量蓄電池を充電する、
請求項1に記載の配電システム。
【請求項3】
前記移動体は、前記個別住宅へ移動するときを除き、前記大容量蓄電池に接続され、前記大容量蓄電池は、前記移動体へ電力を供給して当該移動体の前記バッテリを充電する、
請求項1又は請求項2に記載の配電システム。
【請求項4】
前記住宅用コントローラは、さらに前記住宅用コントローラから前記再生可能エネルギー発電装置が発電する電力と前記個別住宅で消費される電気使用量の時刻歴データを前記共通発電設備へ送信し、
前記共通用コントローラは、前記時刻歴データを取得し、前記時刻歴データに基づいて、前記住宅用蓄電池の充電率が閾値以下となることが予測される前記個別住宅を特定する、
請求項1又は請求項2に記載の配電システム。
【請求項5】
前記共通用コントローラは、前記再生可能エネルギー発電装置が利用するエネルギー源の予測情報を取得し、前記予測情報と前記時刻歴データに基づいて、前記住宅用蓄電池の充電率が閾値以下となることが予測される前記個別住宅を特定する、
請求項4に記載の配電システム。
【請求項6】
前記移動体は、自動運転機能を備え、
前記配電計画に含まれる配電先の前記個別住宅のリストに基づいて、給電すべき前記住宅用蓄電池を備える前記個別住宅を巡回する、
請求項1又は請求項2に記載の配電システム。
【請求項7】
前記共通発電設備は、搬送可能である、
請求項1又は請求項2に記載の配電システム。
【請求項8】
再生可能エネルギー発電装置と、前記再生可能エネルギー発電装置が発電した電力を蓄電する住宅用蓄電池と、を備える、電力系統に接続されていない個別住宅への配電方法であって、
再生可能エネルギー発電以外の方法で発電を行う発電装置と、前記発電装置が発電した電力を蓄える大容量蓄電池と、を備える共通発電設備と、
前記大容量蓄電池から受電して充電されたバッテリと充放電装置を備える移動体と、
を設け、
複数の前記個別住宅それぞれが備える前記住宅用蓄電池の充電率が閾値以下となると、前記移動体を前記個別住宅へ移動させ、前記バッテリから前記住宅用蓄電池へ給電する、
配電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、完全なオフグリッド環境にて配電を行い、無停電を実現する配電システム及び配電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅に太陽光パネルや風車などの再生可能エネルギー発電を導入する場合、蓄電池を併設して発電した電力を蓄電池に蓄え、再生可能エネルギーによる発電が低下した場合には、蓄電池に蓄えた電力を利用できる構成とすることが多い。しかし、再生可能エネルギー発電は不安定であることから、無停電を実現するために、グリッドと接続することが一般的である。このほかにも、再生可能エネルギーの不安定さを補償するためにガス発電設備や大容量の蓄電池を導入する事例も出てきている。関連する技術として、特許文献1には、大規模発電所からの電力供給に依存することなく、コミュニティ内でエネルギーの供給源と消費設備とを有するマイクログリッドについて、災害時などに複数のマイクログリッドの間でエネルギーを融通し合う制御について開示がある。
【0003】
グリッドと接続することができない位置にある住宅(一般住宅や、別荘、ホテルなど)の場合、無停電実現のためにグリッドと接続しようとすると、配線の敷設にコストがかかる。ガス発電設備を導入する場合にも、ガス配管を敷設する必要がある。大容量の蓄電池を導入する場合、例えば、太陽光パネルの発電が著しく低下する悪天候が何日も続く状況にも対応しようとすると、大容量な蓄電池が必要となり、個々の住宅に導入することは現実的ではない。また、特許文献1の技術の場合、他のマイクログリッドから電力供給を受けられるような設備が存在することが前提となっており、完全なオフグリッド環境にある住宅等の無停電を実現する為の技術には適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
完全なオフグリッド環境にある住宅等を無停電化するシステムを提供する。
【0006】
本開示は、上記課題を解決することができる配電システム及び配電方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配電システムは、電力系統に接続されていない1軒又は複数軒の個別住宅と、共通発電設備と、移動体と、を備え、前記個別住宅は、再生可能エネルギー発電装置と、前記再生可能エネルギー発電装置が発電した電力を蓄電する住宅用蓄電池と、前記住宅用蓄電池の充電率を取得して、前記共通発電設備へ送信する住宅用コントローラと、を備え、前記共通発電設備は、再生可能エネルギー発電以外の方法で発電を行う発電装置と、前記発電装置が発電した電力を蓄える大容量蓄電池と、前記住宅用蓄電池の充電率を取得し、前記充電率が閾値以下となった前記住宅用蓄電池を備える前記個別住宅を特定し、特定した前記個別住宅への配電計画を作成する共通用コントローラと、を備え、前記移動体は、バッテリと充放電装置とを備え、前記大容量蓄電池から受電して前記バッテリを充電し、前記配電計画に基づいて、特定された前記個別住宅へ移動して前記バッテリから当該個別住宅の前記住宅用蓄電池へ給電する。
【0008】
また、本開示の配電方法は、再生可能エネルギー発電装置と、前記再生可能エネルギー発電装置が発電した電力を蓄電する住宅用蓄電池と、を備える、電力系統に接続されていない個別住宅への配電方法であって、再生可能エネルギー発電以外の方法で発電を行う発電装置と、前記発電設備が発電した電力を蓄える大容量蓄電池と、を備える共通発電設備と、前記大容量蓄電池から受電して充電されたバッテリと充放電装置を備える移動体と、を設け、複数の前記個別住宅それぞれが備える前記住宅用蓄電池の充電率が閾値以下となると、前記移動体を前記個別住宅へ移動させ、前記バッテリから前記住宅用蓄電池へ給電する。
【発明の効果】
【0009】
上述の配電システム及び配電方法によれば、完全なオフグリッド環境にある住宅等の無停電化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る配電システムの概略図である。
【
図2】実施形態に係る配電システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る共通発電設備の発電制御の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る配電計画の作成処理の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、本開示の配電システム1およびその制御について、
図1~
図5を参照して説明する。
(配電システムの構成)
図1に示すように、配電システム1は、共通発電設備10、個別住宅20a~20p、電気自動車30a~30c等を含む。個別住宅20a~20pは、電力系統(グリッド)が届いていない、完全なオフグリッド環境に存在する建物、例えば、山奥の住宅、別荘、ホテル、被災地の避難所などである。個別住宅20a~20pは、太陽光パネルや小型風車などの再生可能エネルギー発電装置21と住宅用蓄電池22を備えている(
図2)。共通発電設備10は、環境に左右されずに安定的に発電が可能な発電装置11と大容量蓄電池12を備える。共通発電設備10では、個別住宅20a~20pでの電力不足に備えて、発電装置11による発電を行い、発電した電力を大容量蓄電池12に蓄えておくことができる。また、共通発電設備10は、オフグリッド環境への搬送および設置が容易であることが好ましい。例えば、共通発電設備10は、各種サイズ(例えば、12フィート、20フィート、40フィート)の貨物用のコンテナ等に発電機や大容量の蓄電池を収納し、トラック等で移動できるように一体的なユニットとして構成されていてもよいし、発電機と大容量の蓄電池とが別々にコンテナ等に収納されていてもよい。電気自動車30a~30cは、共通発電設備10にて蓄えた電力を自身が元々備えるバッテリを利用して搬送し、個別住宅20a~20pが電力不足になる前に、個別住宅20a~20pの住宅用蓄電池22を充電する。オフグリッド環境では、送電線など配電のための設備が敷設されていない。配電システム1では、電気自動車30a~30cによって配電を行う。配電の手段は、電気自動車に限らず、バッテリと充放電システムを搭載した他の移動体であってもよい。
【0012】
以下、個別住宅20a~20pの区別が必要ない場合には、単に個別住宅20のように記載する場合がある。また、次に
図2に示す個別住宅20aが有する各構成、例えば、再生可能エネルギー発電装置21aについても他の再生可能エネルギー発電装置21b等との区別が必要ない場合には、単に再生可能エネルギー発電装置21のように記載する。他の構成22a、23a、231a、232a、233aについても同様である。電気自動車30a~30cについても、電気自動車30a~30cの区別が必要ない場合には、単に電気自動車30のように記載する場合がある。また、
図1に示す共通発電設備10、個別住宅20、電気自動車30の数は一例であって、図示した数に限定されない。例えば、共通発電設備10が2台設けられていてもよいし、個別住宅20は1軒でも16軒以上設けられていてもよいし、電気自動車30が4台以上設けられていてもよい。
【0013】
(システム構成)
図2に配電システム1の機能、構成を示す。配電システム1は、共通発電設備10と、個別住宅20と、電気自動車30と、ユーザ端末装置40と、を備える。共通発電設備10は、発電装置11と、大容量蓄電池12と、共通用コントローラ13と、を備えている。個別住宅20aは、再生可能エネルギー発電装置21aと、住宅用蓄電池22aと、住宅用コントローラ23aと、を備えている。個別住宅20b~20pについても同様である。共通発電設備10の共通用コントローラ13と個別住宅20の住宅用コントローラ23とはWifi(登録商標)等の無線通信やキャリア網などによって通信可能に接続されている。共通発電設備10とユーザ端末装置40とはWifi(登録商標)等の無線通信やキャリア網などによって通信可能に接続されている。
【0014】
(共通発電設備10の機能と構成)
共通発電設備10の機能について説明する。
発電装置11は、ディーゼルエンジン発電機、ガスエンジン発電機、ガスタービン発電機など、太陽光や風などの自然条件の影響を受けずに、意図したとおりに発電することができる発電機とその制御装置とを備える。発電装置11は、発電した電力を大容量蓄電池12に蓄電する。発電装置11は、大容量蓄電池12の充電率を監視し、ある閾値(例えば、30%)を下回ったら、発電装置11を自動起動して、充電を開始し、大容量蓄電池12の充電率がある閾値(例えば、90%)以上となると、発電を自動停止するように構成されている。
【0015】
大容量蓄電池12は、大容量の蓄電池と充放電装置とを備える。大容量蓄電池12は、発電装置11の発電出力を充電することができる。上記のように発電装置11と連携することにより、大容量蓄電池12の充電率は常に十分な値を維持することができる。また、大容量蓄電池12は、外部へ給電できるように構成されている。例えば、大容量蓄電池12は、蓄えた電力を複数の電気自動車30へ同時に供給することができる。複数の電気自動車30を、個別住宅20に配電に出ている間以外は大容量蓄電池12に接続したままとすることで、常にフル充電となるようにしておくことができる。大容量蓄電池12は、例えば、数軒の個別住宅20で使用する数日分の電力が蓄電できるような容量を備えていてもよい。発電装置11の発電能力と大容量蓄電池12の容量は、例えば、全ての個別住宅20で再生可能エネルギー発電装置による発電ができなくなる日が数日続いても、全ての個別住宅20に十分な電力を供給できるように設計される。
【0016】
共通用コントローラ13は、コンピュータを用いて構成される。共通用コントローラ13は、個別住宅20から定期的に送信される各時間帯の電気使用量、再生可能エネルギー発電装置21による発電状況、住宅用蓄電池22の充電率を受信し、全ての個別住宅20のこれらの情報を集約して持っている。共通用コントローラ13は、住宅用蓄電池22の充電率の低下を監視し、充電率が閾値を下回ると、あるいは近い将来に閾値を下回ることが予測されると、配電時刻、配電のための走行ルートや配電する件数、配電量(どの個別住宅20にどのくらい充電するか)などを決定し、これらの情報を含む配電計画を作成し、配電担当者のユーザ端末装置40に送信する。共通用コントローラ13は、データ取得部131と、計画部132と、記憶部133と、通信部134と、を備える。
【0017】
データ取得部131は、通信部134を通じて様々な情報を取得する。例えば、データ取得部131は、インターネット等から近い将来の天候、風量などの予測値を取得したり、過去の天候、気温、風量などの実績値を取得したりする。また、データ取得部131は、個別住宅20の住宅用コントローラ23から送信される発電状況の時刻歴データ、電力使用量の時刻歴データ、充電率の時刻歴データを取得する。
【0018】
計画部132は、個別住宅20から定期的に送信されてくる住宅用蓄電池22の充電率が所定の閾値を下回ると、あるいは近い将来に閾値を下回ることが予測されると、配電計画を作成する。例えば、閾値を40%とした場合、個別住宅20cの住宅用蓄電池22cの充電率が40%になると給電が必要と判断し、個別住宅20cへの配電計画を作成する。この場合、計画部132は、比較的近い位置に存在する個別住宅20dや搬送途中の経路に存在する個別住宅20a、20bへの配電計画を同時に作成するようにしてもよい。また、計画部132は、過去の天候(太陽光発電の場合)、風量(風力発電の場合)の実績値、同時間帯の過去の個別住宅20a~20p各々の発電状況に基づいて、各個別住宅20における時間帯ごとの自然条件と発電状況(どれぐらい発電できるか)の関係を解析して、発電予測モデルを作成してもよい。あるいは、計画部132は、過去の個別住宅20a~20p各々の発電状況に基づいて、各個別住宅20における時間帯ごとの発電状況を予測する発電予測モデルを作成してもよい。計画部132は、作成した発電予測モデルと近い将来の天候、風量の予測値とに基づいて、又は、天候や風量を考慮しない発電予測モデルに基づいて、各個別住宅20における時間帯ごとの発電状況を予測する。また、計画部132は、過去の気候の実績値と過去の個別住宅20a~20p各々の電力使用量に基づいて、各個別住宅20における時間帯ごとの電気使用量の傾向(例えば、気候(例えば、気温)と時間帯と電気使用量の関係、又は、時間帯と電気使用量の関係など)を解析して、電気使用量予測モデルを作成してもよい。計画部132は、作成した電気使用量予測と近い将来の天候の予測値とに基づいて、又は、天候を考慮しない電気使用量予測モデルに基づいて、各個別住宅20における時間帯ごとの電力使用量を予測する。計画部132は、予測した近い将来の時間帯ごとの発電状況の予測値と電気使用量の予測値とに基づいて、各個別住宅20の住宅用蓄電池22の充電率が閾値を下回る時刻を予測し、その時刻に間に合うように給電できるような配電計画を作成する。
【0019】
記憶部133は、個別住宅20a~20pの発電状況、電気使用量、住宅用蓄電池22a~22pそれぞれの充電率などの情報を記憶する。
通信部134は、個別住宅20の住宅用コントローラ23と通信を行う。例えば、通信部134は、住宅用コントローラ23aから個別住宅20aの再生可能エネルギー発電装置21aの発電状況、個別住宅20aの電気使用量、住宅用蓄電池22aの充電率の各情報を定期的に受信する。通信部134は、他の個別住宅20b~20pからも同様の情報を受信する。通信部134は、受信した情報を記憶部133に保存する。
【0020】
(個別住宅20の機能と構成)
再生可能エネルギー発電装置21は、例えば、太陽光発電装置、小型風力発電装置などである。オフグリッド環境の個別住宅20には、何らかの再生可能エネルギー発電装置が設けられていることがあるが、再生可能エネルギー発電装置21は、元々、個別住宅20に設けられているものであってもよいし、配電システム1の導入時に設置されたものであってもよい。個別住宅20では、再生可能エネルギー発電装置21による発電出力が得られる場合にはその電力を使用し、余剰分(発電電力-使用電力)は住宅用蓄電池22に蓄える。そして、夜間等の再生可能エネルギー発電装置21による発電出力が得られない(もしくは不足する)時間帯は住宅用蓄電池22の電力を使用する。
【0021】
住宅用蓄電池22は、再生可能エネルギー発電装置21が発電した電力のうちの余剰分を蓄電するための蓄電池と充放電装置とを備える。住宅用蓄電池22は、外部からの給電が可能なように構成されている。例えば、住宅用蓄電池22は、電気自動車30から供給される電力を充電することができる。配電システム1では、電気自動車30を巡回させ、電気自動車30から住宅用蓄電池22へ充電することにより、住宅用蓄電池22の充電率を維持するように制御する。
【0022】
住宅用コントローラ23は、コンピュータによって構成される。個別住宅20では、各時間帯の電気使用量、再生可能エネルギー発電装置21の発電状況、住宅用蓄電池22の充電率を計測できるように不図示のセンサが設けられており、各センサは、計測した値を住宅用コントローラ23へ送信するように構成されている。住宅用コントローラ23は、データ取得部231と、記憶部232と、通信部233と、を備える。
データ取得部231は、不図示のセンサが計測した各時刻の再生可能エネルギー発電装置21の発電電力、個別住宅20の電気使用量、住宅用蓄電池22の充電率を取得する。
記憶部232は、データ取得部231によって取得された情報を記憶する。例えば、記憶部232は、発電状況を示す発電電力の時刻歴データ、電気使用量の時刻歴データ、充電率の時刻歴データを記憶する。
通信部233は、共通発電設備10の共通用コントローラ13と通信を行う。例えば、通信部233は、記憶部232が記憶する発電電力、消費電力、充電率の時刻歴データを定期的に共通用コントローラ13へ送信する。また、通信部233は、住宅用蓄電池22の充電率が所定の閾値(例えば、30%)を下回った場合には、共通用コントローラ13へ速やかに警報を送信する。
【0023】
(電気自動車の機能と構成)
電気自動車30は、自車両の走行に用いる電力を蓄電するためのバッテリを備えている。電気自動車30は、共通発電設備10にて、大容量蓄電池12から受電し、自車両のバッテリを充電し、個別住宅20を巡回する。電気自動車30は、巡回先にて住宅用蓄電池22へ給電し、住宅用蓄電池22を充電する。
【0024】
(ユーザ端末装置の機能と構成)
ユーザ端末装置40は、コンピュータによって構成される。ユーザ端末装置40は、電気自動車30の運転手に利用されるPC(personal computer)やタブレット端末などである。ユーザ端末装置40は、計画部132が作成した電力の配電計画を共通用コントローラ13から受信し、受信した配電計画を表示する。
【0025】
運転手は、ユーザ端末装置40のディスプレイに表示された配電計画を参照して、電力不足が懸念される個別住宅20を巡回し、巡回先の住宅用蓄電池22へ電気自動車30から給電する。例えば、配電計画に、個別住宅20aにX1(kWh)、個別住宅20dにX2(kWh)、個別住宅20pにX3(kWh)の各電力量を充電するような計画が含まれている場合、運転手は、電気自動車30aを運転して、個別住宅20a、個別住宅20d、個別住宅20pを巡回し、各所で指定された電力量を給電し、共通発電設備10へ戻る。共通発電設備10へ戻ると、運転手は、電気自動車30aを大容量蓄電池12へ接続し、大容量蓄電池12から電気自動車30aのバッテリを充電するよう操作する。他の電気自動車30b、30cも普段は大容量蓄電池12へ接続し、大容量蓄電池12から受電する。これにより、電気自動車30a~30cのバッテリを常にフル充電に近い状態に維持する。
【0026】
(動作)
次に配電システム1の動作について、
図3、
図4を用いて説明する。
図3に共通発電設備10における発電制御の一例を示す。
発電装置11は、大容量蓄電池12の充電率を監視し、充電率が下限閾値を下回るかどうかを判定する(ステップS1)。発電装置11の制御装置は、大容量蓄電池12の充電率が、例えば、30%を下回るかどうかを判定する。30%を下回る場合、制御装置は、充電率が下限閾値を下回ると判定し、そうでない場合、充電率が下限閾値以上と判定する。充電率が下限閾値以上の場合(ステップS1;No)、発電装置11は、所定の制御周期でステップS1の判定を繰り返し行う。
【0027】
充電率が下限閾値を下回ると(ステップS1;Yes)、発電装置11が起動する(ステップS2)。発電装置11の制御装置は、発電装置11が備える発電機(ディーゼルエンジン発電機、ガスエンジン発電機など)を起動し、発電を開始させる。発電装置11は、発電した電力を大容量蓄電池12へ供給する。これにより、大容量蓄電池12が充電され、充電率が上昇する。
【0028】
発電装置11は、大容量蓄電池12の充電率を監視し、充電率が十分かどうかを判定する(ステップS3)。発電装置11の制御装置は、大容量蓄電池12の充電率が、例えば、90%以上かどうかを判定する。90%以上の場合、制御装置は、充電率が十分と判定し、そうでない場合、充電率が十分ではないと判定する。充電率が十分ではない場合(ステップS3;No)、発電装置11は、発電を継続する。大容量蓄電池12の充電率が十分となると(ステップS3;Yes)、発電装置11を停止する(ステップS4)。発電装置11の制御装置は、ディーゼルエンジン発電機などを停止する。
【0029】
図3に例示する発電装置11の自動制御により、大容量蓄電池12の充電率は常に一定以上に保たれ、個別住宅20にて再生可能エネルギー発電ができない日が続いても、電気自動車30を通じて給電することができる。また、配電中以外の電気自動車30は、大容量蓄電池12に接続し、充電させる。これにより、電気自動車30のバッテリをフル充電の状態に維持し、個別住宅20にて電力が足りなくなった際には、速やかに個別住宅20へ給電することができる。また、発電装置11は、再生可能エネルギー発電とは異なる方式の意図通りに発電可能な発電機を備えるため、完全オフグリッド環境においても、自然環境の影響を受けずに、安定して大容量蓄電池12を充電することができる。
【0030】
図4に実施形態に係る配電計画の作成処理の一例を示す。
データ取得部131が、定期的に個別住宅20から発電状況、電気使用量、充電率を取得する(ステップS11)。計画部132は、充電率が閾値を下回りそうな個別住宅20を抽出する(ステップS12)。例えば、住宅用蓄電池22dの充電率が40%であれば、計画部132は、個別住宅20dを配電対象として抽出する。また、例えば、住宅用コントローラ23gから警報(つまり、住宅用蓄電池22gの充電率が30%未満)を受信した場合、計画部132は、個別住宅20gを緊急の配電対象として抽出する。また、例えば、個別住宅20kの電気使用量が普段より増加していて、このまま使用すると、数時間後に住宅用蓄電池22kの充電率が40%未満に低下することが予測できる場合や、過去の個別住宅20kの発電状況および電気使用量の実績値から今後の住宅用蓄電池22kの充電率の低下が予測できるような場合、計画部132は、個別住宅20kを配電対象として抽出する。また、天候の実績値および予測値から、前日が曇りで太陽光発電がほとんどできず、今後数日にわたって同様の天候が予測される場合、計画部132は、住宅用蓄電池22の充電率に関係なく、全ての個別住宅20を配電対象として抽出してもよい。
【0031】
次に計画部132は、ステップS12で抽出した個別住宅20を対象として、各個別住宅20に供給する電力量、時刻(許容できる最終時刻)を算出する(ステップS13)。例えば、住宅用蓄電池22dの充電率が40%の場合、計画部132は、充電率を90%にするために必要な電力量を計算し、計算した値を個別住宅20に配電すべき電力量として設定する。また、例えば、計画部132は、個別住宅20dの発電状況と電気使用量から、住宅用蓄電池22dの充電率が40%から30%未満に低下するまでの時刻を予測し、予測した時刻までに配電を行うよう設定する。警報が送信された個別住宅20gについては、計画部132は、緊急で配電を行うよう配電すべき時刻(例えば、現在時刻から共通発電設備10から個別住宅20gまでの移動に要する時間だけ経過した時刻)を設定する。また、例えば、過去の実績値や天候などの予測値に基づいて、3時間後に住宅用蓄電池22kの充電率が40%に低下すると予測される場合、計画部132は、3時間後までに住宅用蓄電池22kを充電できるように時刻の設定を行う。
【0032】
次に計画部132は、配電に使用する電気自動車30とその走行ルートを算出する(ステップS14)。例えば、個別住宅20が存在するエリアごとに配電を担当する電気自動車30が決まっている場合、計画部132は、ステップS12で抽出した個別住宅20が存在するエリアに応じて、配電に使用する電気自動車30を特定する。例えば、
図1の例において、個別住宅20d、20gが抽出された場合、計画部132は、電気自動車30a、30bを使用することを決定する。計画部132は、電気自動車30aについて、例えば、地図情報に基づく個別住宅20dへの最短ルートを走行ルートとして算出する。また、個別住宅20dへのルート上に個別住宅20a~20dが存在し、個別住宅20dの近くに個別住宅20fが存在する場合、計画部132は、共通発電設備10を出発して、個別住宅20a~20fを経由して、共通発電設備10へ戻るルートを走行ルートとして算出してもよい。この場合には、計画部132は、個別住宅20a~20d、20fについて、ステップS13の処理を追加で実行する。計画部132は、走行ルートと、走行ルートに含まれる配電先の個別住宅20と、その個別住宅20の住宅用蓄電池22に給電する電力量と、給電の制限時刻と、が含まれた配電計画を作成し、配電計画をユーザ端末装置40へ送信する(ステップS15)。運転手は、ユーザ端末装置40を用いて配電計画を参照する。運転手は、電気自動車30を運転して、走行ルートに沿って、配電計画にて設定された制限時刻までに各個別住宅20を巡回し、住宅用蓄電池22を充電する。
【0033】
なお、上記の実施形態では、共通用コントローラ13(計画部132)が作成した走行ルートに沿って、運転手が電気自動車30を運転することとしたが、自動運転機能を備える電気自動車30に計画部132が作成した配電計画を送信し、電気自動車30が、自動運転によって配電計画の走行ルートに沿って個別住宅20を巡回し、各個別住宅20では、自律的に配電計画にて設定された電力量を住宅用蓄電池22に充電してくるようにしてもよい。
【0034】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、完全オフグリッド環境の個別住宅20について、各個別住宅20に設置された再生可能エネルギー発電装置21と住宅用蓄電池22から電力を供給する。そして、悪天候が続き、再生可能エネルギー発電装置21で発電できず、住宅用蓄電池22の容量が少なくなってきた場合には、共通発電設備10で発電した電力の配電を受ける。これにより、完全オフグリッド環境の個別住宅20の無停電化を実現することができる。共通発電設備10からの配電を受けることができるので、住宅用蓄電池22を最低限の容量にすることができる。電気自動車30によって配電を行うことで、点在する個別住宅20に対して、電源配線、配管等を敷設する必要がなくなり、工事費用やメンテナンス費用を節約することができる。共通発電設備10には、再生可能エネルギーに依存しない発電機と大容量の蓄電池を設けることで、天候に依存せずに電力を蓄えておくことができる。共通発電設備10を搬送可能にすることで、例えば、コンテナ1個分を設置するスペースがあり、その場所まで共通発電設備10を搬送する道路などが通っていれば、どのような場所でも比較的容易に無停電化を実現することができる。
【0035】
図5は、実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、インタフェース94を備える。上述の共通用コントローラ13、住宅用コントローラ23およびユーザ端末装置40の各々は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。プロセッサ91の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0036】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ90は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ91によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路もプロセッサの一例に含まれる。
【0037】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0038】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ93に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0039】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0040】
<付記>
各実施形態に記載の配電システム及び制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0041】
(1)第1の態様に係る配電システムは、電力系統に接続されていない1軒又は複数軒の個別住宅と、共通発電設備と、移動体と、を備え、前記個別住宅は、再生可能エネルギー発電装置と、前記再生可能エネルギー発電設備が発電した電力を蓄電する住宅用蓄電池と、前記住宅用蓄電池の充電率を取得して、前記共通発電設備へ送信する住宅用コントローラと、を備え、前記共通発電設備は、再生可能エネルギー発電以外の方法で発電を行う発電装置と、前記発電設備が発電した電力を蓄える大容量蓄電池と、前記住宅用蓄電池の充電率を取得し、前記充電率が閾値以下となった前記住宅用蓄電池を備える前記個別住宅を特定し、特定した前記個別住宅への配電計画を作成する共通用コントローラと、を備え、前記移動体は、バッテリと充放電装置とを備え、前記大容量蓄電池から受電して前記バッテリを充電し、前記配電計画に基づいて、特定された前記個別住宅へ移動して前記バッテリから当該個別住宅の前記住宅用蓄電池へ給電する。
これにより、完全なオフグリッド環境にある住宅等の無停電化を実現することができる。
【0042】
(2)第2の態様に係る配電システムは、(1)の配電システムであって、前記発電装置は、前記大容量蓄電池の充電率を監視し、当該充電率が閾値を下回ると、発電を行い、発電した電力を供給して前記大容量蓄電池を充電する。
大容量蓄電池のバッテリをフル充電にして準備しておくことで速やかに各個別住宅20へ配電を行うことができる。
【0043】
(3)第3の態様に係る配電システムは、(1)~(2)の配電システムであって、前記移動体は、前記個別住宅へ移動するときを除き、前記大容量蓄電池に接続され、前記大容量蓄電池は、前記移動体へ電力を供給して当該移動体の前記バッテリを充電する。
移動体のバッテリをフル充電にして準備しておくことで速やかに各個別住宅20へ配電を行うことができる。
【0044】
(4)第4の態様に係る配電システムは、(1)~(3)の配電システムであって、前記住宅用コントローラは、さらに前記住宅用コントローラから前記再生可能エネルギー発電装置が発電する電力と前記個別住宅で消費される電気使用量の時刻歴データを前記共通発電設備へ送信し、前記共通用コントローラは、前記時刻歴データを取得し、前記時刻歴データに基づいて、前記住宅用蓄電池の充電率が閾値以下となることが予測される前記個別住宅を特定する。
これにより、個別住宅20ごとの発電状況や電気使用量のトレンドに応じて、どの個別住宅20の住宅用蓄電池22の充電率が低下するかを予測することができ、充電率が早く低下すると予測される個別住宅20への配電を前もって計画することができる。
【0045】
(5)第5の態様に係る配電システムは、(1)~(4)の配電システムであって、前記共通用コントローラは、前記再生可能エネルギー発電装置が利用するエネルギー源の予測情報を取得し、前記予測情報と前記時刻歴データに基づいて、前記住宅用蓄電池の充電率が閾値以下となることが予測される前記個別住宅を特定する。
これにより、個別住宅20にて再生可能エネルギー発電ができなくなることを予測し、その場合には、前もって配電を計画することができる。
【0046】
(6)第6の態様に係る配電システムは、(1)~(5)の配電システムであって、前記移動体は、自動運転機能を備え、前記配電計画に含まれる配電先の前記個別住宅のリストに基づいて、給電すべき前記住宅用蓄電池を備える前記個別住宅を巡回する。
これにより、配電を自動化することができる。
【0047】
(7)第7の態様に係る配電システムは、(1)~(6)の配電システムであって、前記共通発電設備は、搬送可能である。
これにより、共通発電設備を搬入し、設置できれば、どのような場所でも配電を行うことができる。
【0048】
(8)第8の態様に係る配電方法は、再生可能エネルギー発電装置と、前記再生可能エネルギー発電装置が発電した電力を蓄電する住宅用蓄電池と、を備える、電力系統に接続されていない個別住宅への配電方法であって、再生可能エネルギー発電以外の方法で発電を行う発電装置と、前記発電設備が発電した電力を蓄える大容量蓄電池と、を備える共通発電設備と、前記大容量蓄電池から受電して充電されたバッテリと充放電装置を備える移動体と、を設け、複数の前記個別住宅それぞれが備える前記住宅用蓄電池の充電率が閾値以下となると、前記移動体を前記個別住宅へ移動させ、前記バッテリから前記住宅用蓄電池へ給電する配電方法である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・配電システム
10・・・共通発電設備
11・・・発電装置
12・・・大容量蓄電池
13・・・共通用コントローラ
131・・・データ取得部
132・・・計画部
133・・・記憶部
134・・・通信部
20、20a~20p・・・個別住宅
21、21a・・・再生可能エネルギー発電装置
22、22a・・・住宅用蓄電池
23、23a・・・住宅用コントローラ
231、231a・・・データ取得部
232、232a・・・記憶部
233、233a・・・通信部
30、30a~30c・・・電気自動車
40・・・ユーザ端末装置
90・・・コンピュータ
91・・・プロセッサ
92・・・メインメモリ
93・・・ストレージ
94・・・インタフェース