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  • 特開-災害時対応型自動販売機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013680
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】災害時対応型自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/00 20060101AFI20240125BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240125BHJP
   G07F 5/22 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G07F9/00 Q
H02J9/06 120
G07F9/00 107A
G07F5/22 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115952
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】500090637
【氏名又は名称】株式会社クレス名古屋
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】竹内 久祥
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紀仁
(72)【発明者】
【氏名】濱本 伸吾
【テーマコード(参考)】
3E044
5G015
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044DD06
3E044DE01
3E044DE10
3E044FB15
5G015FA03
5G015FA04
5G015GA01
5G015JA21
5G015JA34
5G015JA36
5G015JA55
5G015JA59
5G015KA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハイブリッド畜電池(廃車になったハイブリッド車に搭載されていた畜電池)を活用した給電システムを電源として組み込むことで、省エネルギー社会に貢献することができ、さらに、災害時において飲料の提供のみならず、非常用電源の提供、更には、Wi-Fi(登録商標)環境の提供をすることができる災害時対応型自動販売機を提供すること。
【解決手段】給電システム2と、自動販売機本体3からなり、給電システム2は、複数のセルからなる複数のモジュールを配置したハイブリッド蓄電池4と、ハイブリッド蓄電池4に充電するための充電器5と、ハイブリッド蓄電池4から発生した直流電流を交流電流に変換するインバータ6と、ハイブリット畜電池4が過充電状態、及び過放電状態にならないように制御機器を備えることを特徴とする災害時対応型自動販売機1とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄されたハイブリッド車用蓄電池の再利用を図ると共に、災害時において飲料水の提供のみならず非常用電源の提供、更には、Wi-Fi(登録商標)環境の提供をすることができる給電システムを電源とする災害時対応型自動販売機であって、
給電システムと、自動販売機本体からなり、
前記給電システムは、
複数のモジュールを配置したハイブリッド廃蓄電池と、
前記ハイブリッド廃蓄電器に充電するための充電器と、
前記ハイブリッド廃蓄電池から発生した直流電流を交流電流に変換するインバータと、
前記ハイブリット廃畜電池が過充電状態、及び過放電状態にならないように制御機器を備えることを特徴とする災害時対応型自動販売機。
【請求項2】
前記自動販売機本体には、非常電源用コンセント差し込み口、Wi-Fi(登録商標)ルーターを備えることを特徴とする請求項1に記載の災害時対応型自動販売機。
【請求項3】
前記複数のモジュールは、いずれも同数のモジュールから構成されるユニットに分割されることを特徴とする請求項1に記載の災害時対応型自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド廃畜電池(廃車になったハイブリッド車に搭載されていた畜電池)を活用した給電システムを電源として組み込みシステム化することで、環境に優しく、省エネルギー社会に貢献することができ、さらに、災害時において飲料の提供のみならず、非常用電源の提供、更には、Wi-Fi(登録商標)環境の提供をすることができる災害時対応型自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年地球温暖化が叫ばれ、カーボンニュートラル(二酸化炭素の放出と吸収が相殺されている状態を目指した二酸化炭素排出量削減への取り組み)、SDGs(持続可能な開発目標)等が官民一体となって取り組むべきテーマとなっている。(二酸化炭素の排出量がガソリン車よりも少ないとされる)ハイブリッド車の販売台数が急増し(主要メーカ1社の販売台数でも70万台/年レベル)、ハイブリッド車の耐用年数である10年~15年後を目途にハイブリッド車の廃車台数も急増することが容易に予想され、それに伴い、廃棄されるハイブリッド車に搭載されたハイブリッド廃畜電池の処理が問題となる。自動車販売店等から回収されるハイブリッド廃蓄電池は、(ごく一部は)検査、選別され再利用されるものもあるが、大半は(再利用できるのにもかかわらず)リサイクル(原料化)されるという現状がある。
【0003】
一方で、自然災害(台風、地震、津波等)の際、水、ガス、電気等のライフラインの壊滅状態は避けられないこともあるが、地域に分散して設置された自動販売機の自然災害時における価値が見直されている。即ち、自動販売機に搭載された電光掲示板に災害情報を流す、自動販売機本体に貯蔵された(本来は売り物の)飲料缶等を無償で被災者に提供する等、災害時において自動販売機の機能を活用した支援を行うことで、地域社会に貢献する試みも始まっている。
【0004】
特許文献1には、「被災状況に応じて、自動販売機の稼動状態を切り換えることができるとともに、必要に応じて無停電電源装置側に切り換えることができる自動販売機を提供すること(特許文献1:要約)」を課題とし、「商用電源からの給電の他に、無停電電源装置を備え、常時は、商用電源側からの給電により商品の販売を行うとともに無停電電源装置への充電を行うようにした自動販売機において、停電による商用電源停止時に、商用電源側から無停電電源装置側へ切り換えるための手動の操作手段と、該操作手段の操作により無停電電源装置側に切り換えられたことを検知して、無料販売モードに切り換える制御手段を備えたことを特徴とする自動販売機(特許文献1:要約)」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-195950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る自動販売機(特許文献1:発明の名称)は、「常時は、商用電源側からの給電により商品の販売を行うとともに無停電電源装置への充電を行うようにした自動販売機」との記載より、無停電電源装置を使用するのは非常時のみである。非常時のみの使用では、無停電電源装置(本発明における給電システムに相当すると思われる)が有効活用されているとは言い難い。発明者らは、かかる現状を鑑みて、ハイブリッド廃蓄電池を活用できる給電システムを自動販売機の電源とすることで、(大量に廃棄されてしまうと考えられる)ハイブリッド廃蓄電池の有効利用による省エネルギーに貢献でき、しかも、災害時において飲料の提供、非常用電源の提供、更に、Wi-Fi(登録商標)環境の提供をすることができる災害時対応型自動販売機を実現できると考えて、鋭意研究開発を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0007】
本発明の目的は、ハイブリッド廃畜電池(廃車になったハイブリッド車に搭載されていた畜電池)を活用した給電システムを電源として組み込むことで、省エネルギー社会に貢献することができ、さらに、災害時において飲料の提供のみならず、非常用電源の提供、更には、Wi-Fi(登録商標)環境の提供をすることができる災害時対応型自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、廃棄されたハイブリッド車用蓄電池の再利用を図ると共に、災害時において飲料水の提供のみならず非常用電源の提供、更には、Wi-Fi(登録商標)環境の提供をすることができる給電システムを電源とする災害時対応型自動販売機であって、
給電システムと、自動販売機本体からなり、
前記給電システムは、
複数のモジュールを配置したハイブリッド廃蓄電池と、
前記ハイブリッド廃蓄電器に充電するための充電器と、
前記ハイブリッド廃蓄電池から発生した直流電流を交流電流に変換するインバータと、
前記ハイブリット廃畜電池が過充電状態、及び過放電状態にならないように制御機器を備える災害時対応型自動販売機であることを特徴とするものである。尚、本明細書において「ハイブリッド廃蓄電池」とは、廃車になったハイブリッド車に搭載されていた畜電池のことを指すが、本発明において実際に使用する「ハイブリット廃蓄電池」は、これに限定されることは無いものとする。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載した発明において、前記自動販売機本体には、非常電源用コンセント差し込み口、Wi-Fi(登録商標)ルーターを備える災害時対応型自動販売機であることを特徴とするものである。尚、Wi-Fi(登録商標)とは、wi-fi Alliance(アメリカ合衆国に本拠を置く業界団体)によって、国際標準規格(無線LANに関する規格)であるIEEE 802.11規格を使用したデバイス間の相互接続が認められたことを示す名称である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載した発明において、前記複数のモジュールは、いずれも同数のモジュールから構成されるユニットに分割される災害時対応型自動販売機であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明はハイブリッド廃畜電池(廃車になったハイブリッド車に搭載されていた畜電池)を再利用した給電システムを電源とする災害時対応型自動販売機である。今後、(ハイブリッド車の)廃車の大量発生が見込まれることから、それに伴い、大量のハイブリッド廃蓄電池が廃棄されることが懸念される。従来の鉛バッテリーのように海外に大量に輸出され環境問題を引き起こす可能性もある。本発明により、(大量に廃棄されるであろう)ハイブリッド廃蓄電池が給電システムとして活用されるので、ハイブリッド廃畜電池が大量廃棄されずに国内での活用の拡大を図ることができる。
【0012】
自動販売機本体は、非常電源用コンセント差し込み口、Wi-Fi(登録商標)ルーターを備えているので、停電ブラックアウト時であっても飲料提供のみならず、携帯等の充電が可能となり、さらに、Wi-Fi(登録商標)基地局としての機能(Wi-Fi(登録商標)電波が届く範囲であればネット環境を構築することができる)も備わっており、非常時における貴重な社会インフラとなるものである。
【0013】
(ハイブリッド車に搭載されていた)廃棄されたハイブリッド廃蓄電池は、28個のモジュールを直列配置し、200Vの電圧を発生させていたのであるが、本発明に係る災害時対応型自動販売機1では、複数(28個)のモジュールを、(ユニット毎の性能を揃えるために)、いずれも同数(7個)のモジュール(を直列配置する)から構成される4ユニットに分割して再利用している。即ち、28個のモジュールからなるハイブリッド廃蓄電池を(4分割して4ユニットとするために)7個のモジュール毎に直列配置して(安価な市販機器を使用できる)48Vの電圧をユニット毎に発生させる構成を採用している。このような構成であれば、一部のユニットの一部のモジュールが経時劣化しても、他のユニットがその影響をカバーすることで、そのダメージを軽減することができる。尚、経時劣化が(品質を維持できない程度まで)進んだモジュールは、ユニット毎交換しても良いし、経時劣化が進んだモジュールのみを交換しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る災害時対応型自動販売機の概略図、及び給電システムの詳細図である。
図2】ハイブリッド廃蓄電池の構造を説明するための図である。
図3】給電システムを説明するための図である。
図4】ハイブリッド蓄電池の経時劣化品交換を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<ハイブリッド廃蓄電池を活用した災害時対応型自動販売機の構成>
以下、本発明に係る災害時対応型自動販売機1の一実施形態について、図1図4に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る災害時対応型自動販売機1の概略図、及び給電システム2の詳細図である。図2は、ハイブリッド廃蓄電池4の構造を説明するための図である。
【0016】
災害時対応型自動販売機1は、図1に記載したように、自動販売機本体3の上に設置できるようにコンパクトに纏めた給電システム2を備えている。(注:自動販売機本体3の上に収まるようなコンパクトサイズでありつつも、6時間程度給電可能という優れた性能を備えた給電システム2である。)
【0017】
災害時対応型自動販売機1の中核をなす給電システム2の構成は、(複数のセルからなる)複数のモジュールを配置したハイブリッド廃蓄電池4(ハイブリッド廃蓄電池4の詳細については図2参照)と、ハイブリッド廃蓄電池4に充電するための充電器5と、ハイブリッド廃蓄電池4から発生した直流電流を交流電流に変換するインバータ6と、ハイブリット廃畜電池4が過充電状態、及び過放電状態にならないように電圧を制御するシーケンサ7を備えている。さらに、自動販売機本体3は、非常電源用コンセント差し込み口8、Wi-Fi(登録商標)ルーター(図示しない)を備えている。尚、給電システム2に関わる初期設定、及びハイブリッド廃蓄電池4の蓄電量(電池容量の%表示)、電流、電圧、温度等や、充電時間・放電時間等の給電システム2の状況の確認は、インバータ6の液晶画面(メイン画面、駆動状況モニター画面、設定画面等)にて行う(タッチパネルに触れることにより操作できる)ことができる(図1参照)。
【0018】
ハイブリッド車に搭載されていた状態(本発明に係る災害時対応型自動販売機1に活用する前の状態)のハイブリッド廃蓄電池4は、図2に記載したように、28個のモジュールを直列配置することにより構成されており、さらに、1個のモジュールは1.2Vのセル(電池の1単位)6個(1.2V×6セル=7.2V)から構成されている。
【0019】
ハイブリッド廃蓄電池4を災害時対応型自動販売機1に活用する際、(ハイブリッド車に搭載されていた状態の)ハイブリッド廃蓄電池4に対して細工することになる。具体的には、(ハイブリッド廃蓄電池4の)28個のモジュールを7個のモジュール毎に纏めて直列配置し、即ち、28個のモジュールを4分割し、4ユニットとして活用している。かかる細工により、災害時対応型自動販売機1のハイブリッド廃蓄電池4を構成する、複数のモジュールは、いずれも同数のモジュールから構成されていることになる。
【0020】
<給電システムの仕組み>
図3は、給電システム2を説明するための図である。図3に記載したように、給電システム2は、電灯線(AC100V)から供給された交流電力を、充電器5(交流を直流に変換する整流回路、例えば、ダイオード・ブリッジを使用した全波整流回路等を備える)にてハイブリッド廃蓄電池4に直流充電する。ハイブリッド廃蓄電池4に充電された直流電力(DC48V)をインバータ6にて交流電力に変換し(AC100V)、(災害時対応型自動販売機1の)自動販売機本体3の電力として使用する。ハイブリッド廃蓄電池4は、7個のモジュールを1単位として4ユニットに分割されているので、分割されたそれぞれのユニットから直流で供給することができるようになっている(図3参照:電力が4箇所から供給されている)
【0021】
尚、給電システム2は、電灯線(AC100V)から供給された交流電力を、ハイブリッド廃蓄電池4を経由せず、そのままダイレクトに(災害時対応型自動販売機1の)自動販売機本体3に供給することもできるように回路設計されている(図3参照)。(交流と直流を切り替えることができる)切り替え式インバータを採用することで、電灯線(AC100V)からの交流電力をそのままダイレクトに(災害時対応型自動販売機1の)自動販売機本体3に供給する際は、電灯線からの交流電力のまま自動販売機本体3に供給することもできる。
【0022】
給電システム2は、割安な深夜電力にて充電し、昼間に放電することになる。即ち、ハイブリッド廃蓄電池4は、割安な(時間帯である)深夜電力(例えば、23時から4時)の時間帯に充電され、放電は昼間(例えば、10時から16時)の時間帯に行われることになる。従って、使用電力の多いピーク時の使用電力を「カット」し、電力の使用量そのものを低減させ、電力の需要を平準化し(電力ピークカット)、需要電力の低減によって、(災害時対応型自動販売機1の)自動販売機本体3のランニングコストを低減することで電気代の削減に貢献することができる。
【0023】
給電システム2は、制御機器であるシーケンサ7(入力機器の信号の状態により、あらかじめ決められた条件(プログラム)に従い、出力回路をコントロールする事ができる)で制御されることに特徴がある。具体的には、シーケンサ7にてハイブリッド廃蓄電池4の蓄電量(電池容量の%表示:図1参照)を監視し、インバータ6に指示(図3参照)を出す(電気信号を送る)ことで、ハイブリッド廃蓄電池4の過充電・過放電による経時劣化を防止することができる。
【0024】
ハイブリッド廃蓄電池4の過充電・過放電による経時劣化を防止するために(設定された)蓄電量上限値の10%~20%下方値、及び(設定された)蓄電量下限値の10%~20%上方値の間になるようにハイブリッド廃蓄電池4の蓄電量を制御することになる。但し、(設定された)蓄電量上限値と(設定された)蓄電量下限値の差を100%と定義する。蓄電量上限値、及び蓄電量下限値は、任意に設定(ハイブリッド廃蓄電池4の経時劣化状況を考慮して)することができる。
【0025】
ハイブリッド廃蓄電池4の過充電・過放電による経時劣化を防止する仕組みについて、もう少し詳細に説明する。例えば、(設定された)蓄電量上限値が9WH,(設定された)蓄電量下限値が6WHであれば、(設定された)蓄電量上限値と(設定された)蓄電量下限値の差(3WH)を100%と定義するので、蓄電量上限値の10%~20%下方値=8.4WH~8.7WH、蓄電量下限値の10%~20%上方値=6.3WH~6.6WHになる。
【0026】
さらに、夏場の高温対策(シーケンサ7は、ハイブリッド廃蓄電池4の(電圧のみならず)温度を監視する)として、ハイブリッド廃蓄電池4を冷却するための(シーケンサ7と連動させた)冷却ブローを給電システム2に組み込むことになる。さらに、給電システム2を設置したボックス内に、熱が篭らないようにするための(シーケンサ7と連動させた)換気扇を設置することもできる。
【0027】
図4は、ハイブリッド廃蓄電池4の経時劣化品交換を説明するための図である。ハイブリッド廃蓄電池4は、28個のモジュールを7個毎に纏めて直列配置し、即ち、28個のモジュールを4分割し、4ユニットとして活用している。(ハイブリッド車に搭載されていた時の)電圧200Vを4分割し、電圧48Vとして活用している。図4に記載したように、経時劣化品(モジュール)を良品(モジュール)に交換することで給電システム2の品質を向上させることができる。
【0028】
ハイブリッド廃蓄電池4は、28個のモジュールを4分割し、4ユニットとして活用しているので、一部(4ユニットの中の1つ)のユニットが経時劣化しても、他のユニット4ユニットの中の3つ)がその分をカバーできるような構造になっている。即ち、高電圧リスクを低減し、さらにユニット相互が自律的に補完し合い電圧を均一に保ち、安定した充電・放電を実現することができる。(経時劣化が品質を維持できない程度まで進んでしまって)ユニット相互が自律的に補完し合い電圧を均一に保ち、安定した充電・放電を実現することができる状態では無くなった際は、経時劣化品を良品に交換(図4参照)することで品質を維持向上することができる。
【0029】
電圧48Vは、パワーデバイス(電気エネルギーの制御や供給に用いられる機器)が安価であることや、電源の電圧48V化による回路電流の低減からのワイヤーハーネスの軽量化等、採用される技術の容易さや部品コスト面を考慮すれば、導入し易い技術であると言える。尚、充電放電試験によりハイブリッド廃蓄電池4を構成する各モジュールの電圧などを測定し、経時劣化したモジュールを交換するとともに、ユニット毎の電圧性能も揃えるように組み換えを行うことで、ハイブリッド廃蓄電池4の充電放電時の電圧のバラツキが非常に少なく安定した品質を得ることができる。
【0030】
ハイブリッド廃蓄電池4の蓄電能力の増加させることもできる。具体的には、ハイブリッド廃蓄電池4を4個(1個の容量はハイブリッド車1台分に相当)搭載することにより達成することができる。(低コスト電池である)ハイブリッド廃蓄電池4のメリットを生かし、搭載個数を増加させ、自動販売機のみならず、事務所(AC100V:照明・エアコン・パーソナルコンピュータ)の非常用電源としても活用することができる。更には、工場電力(工場用補助電源:AC200V)として(安価で信頼性のある電源としての)活用も視野に入れている。
【0031】
<災害時対応型自動販売機の効果>
ハイブリッド車の急速な普及で廃棄されるハイブリッド廃蓄電池4が急増するのに、再利用は車両補給用の一部に留まっているという現状がある。ハイブリッド車の廃車が大量に発生することで、(搭載された)ハイブリッド廃蓄電池4も大量に廃棄させることが見込まれる。さらに、鉛バッテリーのように海外に大量に輸出され、環境問題を引き起こすことも考えられる。
【0032】
本発明により、ハイブリッド廃蓄電池4の再利用を加速させることができるのみならず、給電システム2として活用することで、自動販売機等を始めとする種々の電気製品の省エネルギーにも貢献するものである。更には、事務所用電源、工場用補助電源として活用することもできる。
【0033】
災害時対応型自動販売機1は、停電時(ブラックアウト時)には飲料缶提供、携帯電話等の充電が可能で、Wi-Fi(登録商標)ルーターを備えており携帯基地局として機能する。従って、非常時における貴重なインフラとして機能するので社会的な意義も大きい。災害時対応型自動販売機1は、昼間の電力ピークカットや省エネルギーに拠る費用削減を可能とし、停電ブラックアウト時の非常用電源としても活用できる。給電システム2は、ハイブリッド廃蓄電池4の電圧をシーケンサ7で制御し、(ハイブリッド廃蓄電池4の)過充電・過放電による経時劣化を防止することができる仕組みを備えているのでハイブリッド廃蓄電池4の寿命を延ばすことができる。
【0034】
蓄電能力は、ハイブリッド廃蓄電池4の搭載個数に比例するので、搭載個数を増やせば増やすほど、低コストハイブリッド廃畜電池4のメリットを生かすことができる。例えば、搭載個数を増やし、ハイブリッド廃蓄電池4を4個(1個の容量はハイブリッド車1台分に相当)搭載させることで、(28モジュール×4台分)事務所などの非常電源としての活用することができるようになる。更には、工場電力(AC200V)としての活用も視野に入れている。
【0035】
(ハイブリッド車に搭載されていた)ハイブリッド廃蓄電池4は、複数(28個)のモジュールを直列に繋ぎ200Vの電圧を発生させていた。直列配置であるので、モジュールが1つ経時劣化しても蓄電池そのものが使用できなくなっていたが、本発明では(ハイブリッド車に搭載されていた)1台分の電池を50Vユニットに4分割したので、その分、高電圧リスクを低減することができる。さらに、ユニット相互が自律的に補完し合い電圧を均一に保ち安定した充電放電を可能にすることができる。
【0036】
<災害時対応型自動販売機の変更例>
本発明に係る災害時対応型自動販売機は、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、給電システム、自動販売機本体、ハイブリッド廃蓄電池、充電器、インバータ、シーケンサ、非常電源用コンセント差し込み口、Wi-Fi(登録商標)ルーター等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。例えば、給電システムの制御方式をシーケンサによる制御方式に代えてマイコンによる制御方式も考えられる。エネルギーの効率化を考慮して更に細かな制御が必要であればAI(人工知能)技術を採用することもできる。尚、給電システムにおいては、ハイブリッド車に搭載されていたハイブリッド廃蓄電池に限定されず、電気自動車(EV:Electric・Vehicle)に搭載されていた蓄電池(バッテリー)を活用することもできることは言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る災害時対応型自動販売機は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、環境に優しく、省エネルギー社会に貢献することができ、災害時において飲料水の提供のみならず、電源の提供、更には、Wi-Fi(登録商標)環境の提供をすることができる災害時対応型自動販売機として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1・・災害時対応型自動販売機
2・・給電システム
3・・自動販売機本体
4・・ハイブリッド廃蓄電池
5・・充電器
6・・インバータ
7・・シーケンサ
8・・非常電源用コンセント差し込み口
図1
図2
図3
図4