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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136806
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20240927BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240927BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240927BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240927BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240927BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6568
H01M50/204 401H
H01M50/249
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048060
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 諒
(72)【発明者】
【氏名】安井 健
(72)【発明者】
【氏名】立脇 正章
【テーマコード(参考)】
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB04
3D235BB19
3D235BB36
3D235BB43
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF12
5H031AA09
5H031KK02
5H031KK08
5H040AA28
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY08
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】バッテリの下方に配置されたウォータジャケットの保護と、部品点数の削減や車両の軽量化とを両立できるバッテリパックを提供する。
【解決手段】バッテリパック1は、車両Vの床下に取り付けられ、バッテリ10と、ボトムプレート31を有するバッテリケース20と、バッテリ10を冷却する冷媒が流れるウォータジャケット70と、を備える。ウォータジャケット70は、ボトムプレート31と、ボトムプレート31の下方に設けられたウォータジャケットプレート32と、により区画された流路によって構成される。ウォータジャケットプレート32には、前後方向に延出し、下方に突出した突出部320が一体に設けられ、突出部320は、車幅方向においてウォータジャケット70の外側に配置され、ウォータジャケット70よりも下方に突出する外側突出部321を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリが搭載されたボトムプレートを有するバッテリケースと、
前記バッテリを冷却する冷媒が流れるウォータジャケットと、を備え、車両の床下に取り付けられるバッテリパックであって、
前記ウォータジャケットは、前記ボトムプレートと、該ボトムプレートの下方に設けられたウォータジャケットプレートと、により区画された流路によって構成され、
前記ウォータジャケットプレートには、前記車両の前後方向に延出し、下方に突出した突出部が一体に設けられ、
前記突出部は、車幅方向において前記ウォータジャケットの外側に配置され、前記ウォータジャケットよりも下方に突出する第1突出部を含む、
バッテリパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリは、前記第1突出部の前記前後方向における両端部よりも内側に設けられる、
バッテリパック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
前記ウォータジャケットを下方から覆う断熱材をさらに備える、
バッテリパック。
【請求項4】
請求項3に記載のバッテリパックであって、
前記断熱材は、前記ウォータジャケット及び前記突出部を下方から覆う、
バッテリパック。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリケースは、
前記ボトムプレートに接合され、前記車幅方向に対向する一対のサイドフレームと、
前記車幅方向に延在し、前記一対のサイドフレームを連結する少なくとも1つのクロスメンバと、を有し、
前記サイドフレームは、車体に接続され、
前記突出部は、前記第1突出部よりも前記車幅方向の内側に配置され、前記ウォータジャケットよりも下方に突出する第2突出部をさらに含み、
前記第1突出部及び前記第2突出部は、上面視で、前記少なくとも1つのクロスメンバと直交する、
バッテリパック。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
前記ウォータジャケットは、前記前後方向に延在する複数の流路を備え、
前記突出部は、隣り合う前記流路の間に配置され、前記ウォータジャケットよりも下方に突出する第2突出部をさらに含む、
バッテリパック。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
前記第1突出部は、前記車幅方向において、前記バッテリよりも外側に設けられている、
バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の床下に取り付けられるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池(以下、バッテリとも称する)に関する研究開発が行われている。
【0003】
バッテリ式電気自動車などの電動車両には、大容量のバッテリが搭載される。バッテリはバッテリケースに収容された状態で例えば車両の床下に取り付けられるが、走行中に縁石や飛び石等がバッテリケースに衝突した場合に、衝突による荷重入力からバッテリを保護する構造が求められる。
【0004】
これに対し、例えば特許文献1に記載される車体下部構造では、電池ケースの下に保護板が配置され、且つ、電池スタックの中間プレートの下の位置において電池ケースの底板又は保護板に突起が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-138187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、電池ケースの底板に冷却液が流れる流路が設けられている。特許文献1の突起は車幅方向中央部に設けられているので、車両の側方且つ下方から縁石等が電池ケースに接触したとき、流路を適切に保護できない虞がある。また、特許文献1では、電池ケースを保護するために保護板を電池ケースの下方に配置しているものの、その分部品点数が増加したり車両の重量が大きくなったりする。
【0007】
本発明は、バッテリの下方に配置されたウォータジャケットの保護と、部品点数の削減や車両の軽量化とを両立できるバッテリパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
バッテリと、
前記バッテリが搭載されたボトムプレートを有するバッテリケースと、
前記バッテリを冷却する冷媒が流れるウォータジャケットと、を備え、車両の床下に取り付けられるバッテリパックであって、
前記ウォータジャケットは、前記ボトムプレートと、該ボトムプレートの下方に設けられたウォータジャケットプレートと、により区画された流路によって構成され、
前記ウォータジャケットプレートには、前記車両の前後方向に延出し、下方に突出した突出部が一体に設けられ、
前記突出部は、車幅方向において前記ウォータジャケットの外側に配置され、前記ウォータジャケットよりも下方に突出する第1突出部を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バッテリの下方に配置されたウォータジャケットの保護と、部品点数の削減や車両の軽量化とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】バッテリパック1、及びバッテリパック1を搭載する車両Vの斜視図である。
図2】バッテリパック1の分解斜視図である。
図3】バッテリパック1の内部構造を示す上面図である。
図4】ベースプレート30の下面図である。
図5図3のA-A線断面図である。
図6図3のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態のバッテリパックを、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載する。図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。また、左右方向を車幅方向とも称する。
【0012】
(バッテリパック)
図1に示すように、本発明の一実施形態のバッテリパック1は、車両Vに搭載される。車両Vは、例えばバッテリ式電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車などの電動車両である。バッテリパック1は、車両Vの床下に取り付けられる。
【0013】
図2及び図3に示すように、バッテリパック1は、4つのバッテリモジュール11と、バッテリモジュール11を収容するバッテリケース20と、バッテリモジュール11を冷却するウォータジャケット70と、を備える。
【0014】
4つのバッテリモジュール11は、前後方向に2列、且つ左右方向に2列並べて配置されている。4つのバッテリモジュール11は、不図示の電気接続部材(例えばバスバー)を介して互いに電気的に接続されている。バッテリモジュール11は、車両Vの駆動源となるモータ等に供給する電力を蓄電する。なお、バッテリモジュール11の数は任意に設定することができ、配置も特に限定されるものではない。
【0015】
図5に示すように、各バッテリモジュール11は、複数のバッテリセル12を有する。バッテリセル12は、例えば角型セルやラミネート型セル、筒型セルである。本実施形態では、複数のバッテリセル12は車幅方向に積層されており、積層された複数のバッテリセル12の車幅方向中央部には中間プレート13が設けられている。ここで、以下の説明では、4つのバッテリモジュール11をまとめてバッテリ10と称することもある。
【0016】
図2及び図3に戻り、バッテリケース20は、バッテリ10が載置されるベースプレート30と、バッテリケース20の外枠を構成するフレーム部材40と、バッテリ10を覆うカバー50と、を備える。
【0017】
ベースプレート30は、例えばアルミニウム等の金属材料をプレス加工することにより形成される。ベースプレート30は、バッテリ10が載置されるボトムプレート31と、ボトムプレート31の下方に設けられるウォータジャケットプレート32と、を有し、上下方向で重なる2枚のプレートにより構成される。ボトムプレート31とウォータジャケットプレート32とは、外縁部が例えばロウ付けにより接合される。また、ボトムプレート31とウォータジャケットプレート32との間には、ウォータジャケット70が形成される。ウォータジャケット70及びウォータジャケットプレート32の詳細については後述する。
【0018】
また、ベースプレート30には、例えば発泡ポリプロピレンで形成された断熱材34が下方から取り付けられ、ウォータジャケット70を下方から覆う。さらに、ベースプレート30には、断熱材34の下方から下カバー35が取り付けられる。下カバー35は、例えば樹脂により形成される。
【0019】
フレーム部材40は、ベースプレート30の外縁部に接合され、バッテリケース20の外枠(すなわち、後壁、前壁、左壁、及び右壁)を構成する。フレーム部材40は、例えば、アルミニウムの鋳物である。フレーム部材40は、ベースプレート30の後縁部に設けられた後クロスメンバ41と、ベースプレート30の前縁部に設けられた前クロスメンバ42と、ベースプレート30の左右縁部に設けられた一対のサイドフレーム43、44(左サイドフレーム43、右サイドフレーム44とも称する)と、を有する。後クロスメンバ41及び前クロスメンバ42は、左右方向に延設されており、一対のサイドフレーム43、44は、前後方向に延設されている。また、後クロスメンバ41及び前クロスメンバ42は、溶接等により一対のサイドフレーム43、44に連結される。
【0020】
後クロスメンバ41及び前クロスメンバ42には、バッテリ10をベースプレート30及びフレーム部材40に固定する固定部47が設けられている。また、後クロスメンバ41、前クロスメンバ42、及び一対のサイドフレーム43、44には、ボルト等により車体に締結される締結部が設けられている。
【0021】
また、フレーム部材40は、前後方向におけるベースプレート30の中央部に設けられ、左右方向に延設された中央クロスメンバ45をさらに有する。中央クロスメンバ45は、前側に配置された2つのバッテリモジュール11と後側に配置された2つのバッテリモジュール11との間に配置される。後クロスメンバ41及び前クロスメンバ42と同様に、中央クロスメンバ45には、バッテリ10が固定される固定部47が設けられている。また、中央クロスメンバ45は、溶接等により一対のサイドフレーム43、44に連結される。
【0022】
カバー50は、フレーム部材40に取り付けられる。フレーム部材40の上面40aとカバー50の外縁部51との間にはシール部材が設けられ、カバー50がフレーム部材40の上面40aに取り付けられることで、バッテリケース20の内部がシールされる。フレーム部材40に対するカバー50の取り付けは、例えばボルト等により行われる。
【0023】
(ウォータジャケット)
続いて、ウォータジャケット70の詳細について説明する。図4は、ベースプレート30の下面図であり、ウォータジャケット70を破線で示す。
【0024】
ウォータジャケット70は、ボトムプレート31とウォータジャケットプレート32とにより区画形成された流路によって構成され、内部にはバッテリ10を冷却する冷媒(例えば冷却水)が流れる。ウォータジャケット70は、バッテリケース20の左側に設けられた左側のウォータジャケット70Lと、バッテリケース20の右側に設けられた右側のウォータジャケット70Rと、を有する。左側のウォータジャケット70L及び右側のウォータジャケット70Rは、左右対称の形状を有する。
【0025】
各ウォータジャケット70L、70Rの前端部には、供給口70a及び排出口70bが設けられている。供給口70a及び排出口70bには不図示のホースが接続され、供給口70aから冷媒が各ウォータジャケット70L、70Rに供給され、排出口70bから冷媒が外部に排出される。
【0026】
各ウォータジャケット70L、70Rは、前後方向に延在する複数の流路71、73、75、77と、左右方向に延在する複数の流路72、74、76と、を有する。流路71は、前端に供給口70aを有し、供給口70aからベースプレート30の左縁部又は右縁部に沿って延在する。流路73は、流路71のベースプレート30の中央部において延在する。流路71及び流路73は、後端において流路72により接続される。流路75及び流路77は、流路71と流路73との間に設けられ、流路75は流路73の隣に設けられ、流路77は流路71の隣に設けられる。流路73及び流路75は、前端において流路74により接続される。流路75及び流路77は、後端において流路76により接続される。また、流路77は、前端に排出口70bを有する。
【0027】
図3及び図4に示すように、ウォータジャケットプレート32には、下方に突出した突出部320が一体に設けられている。突出部320は、前後方向に延出し、車幅方向においてウォータジャケット70の外側に配置される外側突出部321と、前後方向に延出し、外側突出部321よりも車幅方向の内側に配置される内側突出部323と、車幅方向に延出し、ウォータジャケットプレート32の前端部に配置される前端突出部325と、を含む。
【0028】
外側突出部321は、車幅方向において、ウォータジャケット70と左サイドフレーム43との間、及びウォータジャケット70と右サイドフレーム44との間に設けられている。より詳細には、外側突出部321は、車幅方向において、バッテリ10と左サイドフレーム43との間、及びバッテリ10と右サイドフレーム44との間に設けられている。外側突出部321は、ウォータジャケットプレート32の前端部から後端部まで延出し、バッテリ10は、前後方向において外側突出部321の前端部321fと後端部321rとの間に配置される。
【0029】
内側突出部323は、左右の外側突出部321の間に3つ設けられており、前後方向に延在する。3つの内側突出部323はそれぞれ、隣り合う流路の間、具体的には、左側のウォータジャケット70Lの流路75と流路77との間、左側のウォータジャケット70Lの流路73と右側のウォータジャケット70Rの流路73との間、及び、右側のウォータジャケット70Rの流路75と流路77との間に配置されている。
【0030】
外側突出部321及び内側突出部323は、後クロスメンバ41、前クロスメンバ42、及び中央クロスメンバ45と直交して配置されている。具体的に説明すると、本実施形態では、外側突出部321は、前クロスメンバ42及び中央クロスメンバ45と直交して配置されている。また、内側突出部323のうち中央の内側突出部323は、後クロスメンバ41、前クロスメンバ42、及び中央クロスメンバ45と直交して配置されており、残りの内側突出部323は、前クロスメンバ42及び中央クロスメンバ45と直交して配置されている。このような構成により、バッテリケース20の剛性が高くなるので、車両Vの走行中、バッテリ10の振動を抑制することができる。
【0031】
前端突出部325は、外側突出部321及び内側突出部323の前方に3つ設けられている。前端突出部325を設けることにより、バッテリケース20の剛性を高くすることができる。
【0032】
図5は、図3のA-A線断面図である。なお、断熱材34及び下カバー35については図示を省略している。図5に示すように、外側突出部321及び内側突出部323は、ウォータジャケット70よりも下方に突出する。このような構成によると、例えば縁石等の物体100が下方からバッテリパック1に衝突して荷重が入力されたとき、ウォータジャケット70に荷重が入力される前に、外側突出部321及び/又は内側突出部323に荷重が入力される。これにより、バッテリパック1の下方から加わる荷重に対してウォータジャケット70を保護することができる。特に、外側突出部321は、車幅方向においてウォータジャケット70よりも外側に配置されているので、物体100が側方且つ下方からバッテリパック1に衝突して荷重が入力された場合にも、ウォータジャケット70を保護することができる。ひいては、ウォータジャケット70の上方に配置されるバッテリ10を保護することができる。
【0033】
また、図3に示すように、バッテリ10は、前後方向において外側突出部321の前端部321fと後端部321rとの間に配置されるので、車両Vの側方且つ下方から荷重が入力されたときであっても、バッテリ10への入力をより低減することができる。
【0034】
また、図5に示すように、外側突出部321は、車幅方向においてバッテリ10の外側に設けられており、換言すると、外側突出部321の真上にはバッテリ10が設けられていない。よって、物体100が下方からバッテリパック1に衝突し、外側突出部321に対して上方に向かう荷重が加わるときであっても、バッテリ10への入力をより低減することができる。
【0035】
また、内側突出部323は、バッテリモジュール11の中間プレート13の真下に配置されている。よって、物体100が下方からバッテリパック1に衝突し、内側突出部323に対して上方に向かう荷重が加わるときであっても、耐荷重の大きい中間プレート13で荷重を受け止めることができるので、バッテリセル12を保護できる。
【0036】
また、突出部320は、ウォータジャケットプレート32に一体に設けられているので、ウォータジャケット70を保護するために例えばウォータジャケットプレート32の下方に高強度の金属製の保護プレートを設ける必要はなく、部品点数の削減を図ることができる。また、ウォータジャケットプレート32を肉厚に形成したり、下カバー35を高強度の金属製にしたりする必要はなく、軽量化を図ることができる。
【0037】
図6は、図3のB-B線断面図である。図6に示すように、断熱材34は、ウォータジャケット70及び突出部320を下方から覆うように設けられている。断熱材34は、例えば飛び石等が衝突することによりバッテリパック1の真下から入力される局所的な荷重を、ウォータジャケット70及び突出部320に入力される前に受け、荷重を分散させる機能を有する。このように、断熱材34に対して、ウォータジャケット70の断熱機能のみならず、荷重分散機能を持たせることで、部品点数の削減や軽量化を図ることができる。また、断熱材34は突出部320も下方から覆っているので、突出部320に入力される荷重も分散され、荷重入力による突出部320の変形を抑制できる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0039】
例えば、前述した実施形態では、断熱材34は、ウォータジャケット70及び突出部320を下方から覆うように設けられたが、これに限られない。例えば、断熱材34は、ウォータジャケット70のみを下方から覆い、突出部320を下方から覆わない構成であってもよい。このような構成によっても、断熱材34は、バッテリパック1の真下から入力される局所的な荷重を、ウォータジャケット70に入力される前に受け、荷重を分散させることができる。
【0040】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0041】
(1) バッテリ(バッテリ10)と、
前記バッテリが搭載されたボトムプレート(ボトムプレート31)を有するバッテリケース(バッテリケース20)と、
前記バッテリを冷却する冷媒が流れるウォータジャケット(ウォータジャケット70)と、を備え、車両(車両V)の床下に取り付けられるバッテリパック(バッテリパック1)であって、
前記ウォータジャケットは、前記ボトムプレートと、該ボトムプレートの下方に設けられたウォータジャケットプレート(ウォータジャケットプレート32)と、により区画された流路によって構成され、
前記ウォータジャケットプレートには、前記車両の前後方向に延出し、下方に突出した突出部(突出部320)が一体に設けられ、
前記突出部は、車幅方向において前記ウォータジャケットの外側に配置され、前記ウォータジャケットよりも下方に突出する第1突出部(外側突出部321)を含む、
バッテリパック。
【0042】
(1)によれば、バッテリパックに対して車両側方且つ下方からの荷重入力があったとき、ウォータジャケットの外側に配置された第1突出部で荷重を受けるので、ウォータジャケットを保護することができる。結果として、ウォータジャケットの上方に配置されたバッテリも保護できる。さらに、突出部はウォータジャケットプレートに一体に設けられているので、ウォータジャケット及びバッテリの保護と、部品点数の削減や軽量化とを両立できる。
【0043】
(2) (1)に記載のバッテリパックであって、
前記バッテリは、前記第1突出部の前記前後方向における両端部(前端部321f、後端部321r)よりも内側に設けられる、
バッテリパック。
【0044】
(2)によれば、車両側方からの荷重入力に対してバッテリの保護性能を向上させることができる。
【0045】
(3) (1)又は(2)に記載のバッテリパックであって、
前記ウォータジャケットを下方から覆う断熱材(断熱材34)をさらに備える、
バッテリパック。
【0046】
(3)によれば、ウォータジャケットの真下から入力される局所的な荷重は断熱材内で分散される。よって、ウォータジャケットへの荷重入力をより抑制できる。また、断熱材は断熱機能及び荷重分散機能の両方を有するので、部品点数の削減や軽量化を図ることができる。
【0047】
(4) (3)に記載のバッテリパックであって、
前記断熱材は、前記ウォータジャケット及び前記突出部を下方から覆う、
バッテリパック。
【0048】
(4)によれば、突出部の真下から入力される局所的な荷重は断熱材内で分散されるので、突出部の変形を抑制できる。
【0049】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記バッテリケースは、
前記ボトムプレートに接合され、前記車幅方向に対向する一対のサイドフレーム(一対のサイドフレーム43、44)と、
前記車幅方向に延在し、前記一対のサイドフレームを連結する少なくとも1つのクロスメンバ(後クロスメンバ41、前クロスメンバ42、中央クロスメンバ45)と、を有し、
前記サイドフレームは、車体に接続され、
前記突出部は、前記第1突出部よりも前記車幅方向の内側に配置され、前記ウォータジャケットよりも下方に突出する第2突出部(内側突出部323)をさらに含み、
前記第1突出部及び前記第2突出部は、上面視で、前記少なくとも1つのクロスメンバと直交する、
バッテリパック。
【0050】
(5)によれば、第1突出部及び第2突出部がクロスメンバと直交するので、車両の走行中、バッテリの振動を抑制することができる。
【0051】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記ウォータジャケットは、前記前後方向に延在する複数の流路(流路71、73、75、77)を備え、
前記突出部は、隣り合う前記流路の間に配置され、前記ウォータジャケットよりも下方に突出する第2突出部(内側突出部323)をさらに含む、
バッテリパック。
【0052】
(6)によれば、バッテリパックに対して車両下方からの荷重入力があったとき、第1突出部に加えて第2突出部においても荷重を受けるので、ウォータジャケットの保護性能を向上させることができる。
【0053】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載のバッテリパックであって、
前記第1突出部は、前記車幅方向において、前記バッテリよりも外側に設けられている、
バッテリパック。
【0054】
(7)によれば、第1突出部に対して車両下方から荷重入力があったとき、バッテリへ加わる荷重を低減できる。
【符号の説明】
【0055】
1 バッテリパック
10 バッテリ
20 バッテリケース
31 ボトムプレート
32 ウォータジャケットプレート
320 突出部
321 外側突出部(第1突出部)
321f 前端部
321r 後端部
323 内側突出部(第2突出部)
34 断熱材
41 後クロスメンバ(クロスメンバ)
42 前クロスメンバ(クロスメンバ)
43、44 一対のサイドフレーム
45 中央クロスメンバ(クロスメンバ)
70 ウォータジャケット
71、73、75、77 流路
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6