(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136808
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/10 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
H04N23/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048064
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶村 佳弘
(57)【要約】
【課題】本発明では、撮影した映像に部分的な明暗の差が発生する場合であってもフリッカを適正に抑制することができる装置を提供することを目的とする。
【解決手段】代表的な本発明の撮像装置の一つは、撮像画面上に、複数の検出子を設け、各検出子の信号レベルを算出する検出部と、前記各検出子の信号レベルから、補正値の算出に利用する検出子の信号レベルを選択する選択部と、前記選択部で選択された信号レベルを記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたフリッカ周期分の信号レベルから平均値を算出する平均値算出部と、前記記憶部に記憶された信号レベルと、前記平均値算出部で算出された平均値と、に基づいて、映像信号を補正する補正係数を演算する補正係数演算部と、前記映像信号を前記補正係数に基づき補正する可変利得制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画面の面上に、複数の検出子を設け、各検出子の信号レベルを算出する検出部と、
前記各検出子の信号レベルから、補正値の算出に利用する検出子の信号レベルを選択する選択部と、
前記選択部で選択された信号レベルを記憶する記憶部と、
記憶部に記憶されたフリッカ周期分の信号レベルから平均値を算出する平均値算出部と、
前記記憶部に記憶された信号レベルと、前記平均値算出部で算出された平均値と、に基づいて、映像信号を補正する補正係数を演算する補正係数演算部と、
前記映像信号を前記補正係数に基づき補正する可変利得制御部と、を備える
撮像装置。
【請求項2】
前記選択部が、前記各検出子の信号レベルの内、特定の信号レベルの範囲から外れた信号レベルを除外する、請求項1の撮像装置。
【請求項3】
前記選択部が、前記各検出子の信号レベルの内、中央値となる検出子の信号レべルを、補正値の算出に利用する検出子の信号レベルに選択する、請求項1または請求項2の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像画面の被写体の動き量を算出する動き量算出部と、を備え、
前記選択部が、前記動き量算出部で算出された被写体の動き量に基づいて、前記各検出子の信号レベルの内、動き量が最小のものを選択する、請求項1または請求項2の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像装置として様々なハイスピードカメラが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「高速度映像信号を簡易に複数の標準速度の映像信号とすることにより標準速度の映像と同じ画質を得ることができる映像信号伝送装置、映像信号伝送方法、映像信号撮像装置および映像信号処理装置、ビデオカメラシステムは、被写体を高速度により撮像した映像信号を出力するビデオカメラ1と、映像信号を伝送する伝送路23と、伝送された映像信号を信号処理するCCU2とを備え、ビデオカメラ1により高速度映像信号を直接にまたは付加期間としてのブランクフィールドを設けて複数の標準速度映像信号に分解し、伝送路23により複数の標準速度映像信号を伝送し、CCU2により単位期間T毎に複数の標準速度映像信号を揃えて出力するようにしたので、複数本の標準信号で信号処理して、簡易に高速度撮影ビデオカメラシステムを構築する」発明が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、「スローモーション再生のためには高速撮影する特殊な装置では、撮像部1においては、例えば3倍速で撮像素子を駆動し、その撮像信号をA/D変換器2によりディジタル映像信号に変換し、カメラ信号処理回路3においてガンマ変換や輪郭補正などの処理を行う。その3倍速出力信号を、圧縮回路5によりデータ圧縮を行いメモリ6に記録する。またカメラ信号処理回路3の出力は、速度変換回路4においてフィールド間引き等により、通常速度の映像信号に変換し、セレクタ9を介して出力端子10より通常速度のモニタ信号として出力する。記録した高速映像の再生時には、メモリ6に記録されたデータを通常速度に対応する速度で読み出し、伸張回路7によりデータを復元し、セレクタ9を介して出力端子10よりスロー再生信号として出力する。特殊な外部機器を必要とせず、スロー再生画像を得ることができる。」発明が開示されている
【0005】
さらに、ハイスピードカメラで撮影した場合の映像に発生しがちなフリッカを抑制する装置も提案されている。
【0006】
例えば、特許文献3には、「高速撮影時の映像フリッカーを抑える撮影装置では、照明の明滅周期より短い畜光時間で高速撮影可能な撮影装置において、それによって撮影画像の信号レベルが変動するフリッカー現象の周期の整数倍に略一致させて該信号レベルの変動パターンを抽出するフィルタ手段と、抽出した変動パターンを記憶する手段と、記憶した変動パターンをもとに画像の信号レベルを一定に補正する手段と、を備えた。フィルタ手段は、フィールド単位で取得した該信号レベル(1フィールド積算値)を、M回前の自己の出力とを所定の重みで合成して出力するリカーシブフィルタであり、整数Mは、撮影時のフィールド周波数を、フィールド周波数と光源フリッカー周波数の公約数で割った数に設定する。異なる光源フリッカー周波数を取りうるときは、フィールド周波数とそれら複数の光源フリッカー周波数の最大公約数で割った数をMとする」発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-188703号公報
【特許文献2】特開2005-295423号公報
【特許文献3】特開2013-187603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1、2のようなハイスピードカメラで撮影した場合には、映像に周期的なフリッカが発生しやすい傾向があるため、特許文献3のようにハイスピードカメラで撮影した映像のフリッカを抑制するための技術が提案されている。
しかし、特許文献3の技術では、撮影した映像の中に部分的に明暗の差が発生している場合や、移動体が重なる場合などに、適切にフリッカを抑制することは考慮されていない。
【0009】
そこで、本発明では、撮影した映像に部分的な明暗の差が発生する場合であってもフリッカを適正に抑制することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の撮像装置の一つは、撮像画面上に、複数の検出子を設け、各検出子の信号レベルを算出する検出部と、前記各検出子の信号レベルから、補正値の算出に利用する検出子の信号レベルを選択する選択部と、前記選択部で選択された信号レベルを記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたフリッカ周期分の信号レベルから平均値を算出する平均値算出部と、前記記憶部に記憶された信号レベルと、前記平均値算出部で算出された平均値と、に基づいて、映像信号を補正する補正係数を演算する補正係数演算部と、前記映像信号を前記補正係数に基づき補正する可変利得制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影した映像に部分的な明暗の差が発生する場合であってもフリッカを適正に抑制することができる装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の発明を実施をするための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態の撮像装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、撮像装置の撮像画面に配置した検知子の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のフリッカ補正処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2実施形態の撮像装置の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の撮像装置のフリッカ補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0014】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して、第1実施形態の撮像装置について説明する。
図1は、撮像装置の一例を示す図である。
撮像装置100は、グローバルシャッター方式で被写体を撮像し、映像信号を出力する装置である。
撮像装置100は、検出部110と、入力された映像信号を補正する補正係数を演算する補正係数演算部106と、前記映像信号を前記補正係数に基づき補正する可変利得制御部107と、演算値選択部108と、を備える。
【0015】
以下、
図1を参照して、撮像装置100の構成要素について、順次説明する。
<検出部>
検出部110は、横方向にm列および縦方向にn列ずつのm×n個の検出子111を、撮影画面に均等に配置して設けており(
図2参照)、検出子111ごとに映像信号の信号レベルを出力する。
【0016】
検出部110は、検出子111ごとに、以下に示す構成要素を有し、それぞれで信号レベルを出力する。
【0017】
検出子111は、1フィールド積算部101と、リカーシブフィルタ処理をするリカーシブフィルタ演算部102と、リカーシブフィルタ演算部102の出力を記憶するM段レジスタ103と、M段レジスタ103が保持している積算値の平均値を算出する平均値算出部104と、補正係数演算部106に出力する入力値を選択する切り替えSW105と、を有する。
また、検出子111は、異常な信号レベルを排除する演算値選択部108に接続されている。
【0018】
以下の説明では、基準となる期間が1フィールドである場合について説明するが、その他の期間を基準にしてもよい。例えば、基準となる期間が1フレームであってもよい。
【0019】
1フィールド積算部101は、1フィールドの映像信号を累積加算し、その積算値をリカーシブフィルタ演算部102と演算値選択部108へ出力する。
【0020】
リカーシブフィルタ演算部102は、1フィールド積算値と、M段レジスタ103に保存された1フィールド積算値から、リカーシブフィルタ処理をする。これにより、フリッカによって生じる明暗の変化を正確に検出できる。
具体的には、リカーシブフィルタ演算部102は、1フィールド積算部101から入力された最新の1フィールド積算値と、M段レジスタ103からフィードバックされたMフィールド前の1フィールド積算値とを、所定の比率(K)で加算することで、平滑化された1フィールド積算値を算出する。その後、平滑化された1フィールド積算値をM段レジスタ103へ出力する。
【0021】
リカーシブフィルタ演算部102の出力は、フリッカパターンの位相が同じフィールドで平滑化された信号レベルを表す。
本開示の技術のようにグローバルシャッター方式で撮像する場合、フリッカによる映像信号の明滅は、撮影周期の1フィールド期間内では一定となり、MフィールドでN回変動するという周期性を持つ。つまり、Mフィールド毎に同じパターンの明滅が生じている。この同じパターンの明滅が生じる周期を以後フリッカ周期と呼ぶ。
ここで、M、Nはカメラのフィールド周波数と照明変動周波数(光源フリッカー周波数)を、それらの最大公約数でそれぞれを割った数で求められる。
例えば、フィールド周波数180Hz、照明変動周波数100Hzであれば、最大公約数は20となり、M=180÷20=9、N=100÷20=5となる。
【0022】
よって、M個のレジスタにMフィールド分の信号レベルを記憶すれば、フリッカ周期分の映像信号の信号レベルの平均値を求めることができる。その平均値と、現在の映像信号と同じパターンの明滅が生じていた過去の映像信号の信号レベルと、の乖離を求めて、現在の映像信号の信号レベルに逆補正をかければ、フリッカを抑圧することができる。
信号レベルをレジスタに記憶させる際には、現在の入力信号とM周期前の信号とをリカーシブフィルタへ入力し、フリッカ以外の信号レベルの変化を省くことで、補正値の精度を上げることができる。
【0023】
M段レジスタ103は、M個の映像信号の信号レベルを記憶する第1記憶部である。
具体的には、M段レジスタ103は、遅延素子を直列にM段以上つないで構成したレジスタ群であり、1フィールド周期でシフト動作することで、リカーシブフィルタ演算部102から入力された、平滑化された1フィールド積算値を、M個(最新フィールドの1つ前からM個前まで)保持し、Mフィールド前の保持値をリカーシブフィルタ演算部102と切り替えSW(スイッチ)105へ出力する。
また、M段レジスタ103は、保持しているM個の1フィールド積算値を平均値算出部104へ出力する。
【0024】
平均値算出部104は、M段レジスタ103に記憶されたM個の1フィールド積算値の
平均値(Mフィールド平均値)を求める。
【0025】
切り替えSW105は、M段レジスタ103からの保持値または、平均値算出部104からのMフィールド平均値の一方を選択して、補正係数演算部106に出力するための切り替え部である。
【0026】
<補正係数演算部>
補正係数演算部106は、M段レジスタ103からのMフィールド前(照明変動ではN周期前に相当)の平滑化された1フィールド積算値または、平均値算出部104から入力されたMフィールド平均値に基づき、補正係数を演算する。
補正係数演算部106が演算する補正係数は、例えば、(Mフィールド平均値÷Mフィールド前の1フィールド積算値)により算出される。
【0027】
補正係数演算部106は、補正係数を求める際、リカーシブフィルタにより処理された1フィールド積算値が小さくなる、つまり0に近似すると、除算回路で演算エラーを起こす場合がある。
このため、補正係数演算部106に入力される1フィールド積算値がある閾値を下回る場合には演算を停止する、または除算回路の除数を被除数と同じにする、または、切り替えSW105を切り替えて、平均値算出部104からのMフィールド平均値を入力することで、エラーを回避する。
【0028】
<可変利得制御部>
可変利得制御部107は、映像信号に、補正係数演算部106で求めた補正係数による
補正(映像信号の信号レベル×補正係数)を行い、フリッカによるフィールド間の信号変動、つまり明暗を抑圧させる。
【0029】
可変利得制御部107は、演算値選択部108により、映像信号の信号レベルが小さい(光量不足、レンズ絞り等)領域を排除して補正係数を取得し、これにより補正をする。
このため、可変利得制御部107は、アナログノイズの影響や、量子化ノイズの影響でフリッカパターンの推定誤差が大きくなるといった影響も受けることがない。
【0030】
<演算値選択部>
演算値選択部108は、m×n個の検出子の1フィールド積算値およびMフィールド平均値の中から、補正係数演算部106へ入力する値を選択する。
具体的には、演算値選択部108は、各検出子の1フィールド積算部101からの1フィールド積算値を受け取り、特定の値の積算値、例えば、映像信号の信号レベルが定格の80%以上、20%以下となる1フィールド積算値を除去し、残りの積算値をメディアンフィルタ等の順列並び替え回路を使用して、映像信号の信号レベル順に並べ替え、その中央値を算出する。
演算値選択部108は、中央値から特定の範囲より外れた1フィールド積算値を映像信号の信号レベルの検出に不適であるとして、リカーシブフィルタ演算部102の演算から除外する。
【0031】
これにより、演算値選択部108は、フリッカ補正の補正値の算出に不適な1フィールド積算値を除外させることができる。
【0032】
利用する1フィールド積算値は、例えば、照明に照らされて、動きの少ない被写体が撮影された部分のものが最適である。
利用する1フィールド積算値が、例えば、撮影画面が白潰れ、黒潰れしている部分、または、動きの早い移動体を撮影した部分の値である場合、補正係数の算出に適さないおそれがある。
【0033】
演算値選択部108は、このように、補正係数の算出に利用する1フィールド積算値を算出するため、中央値を利用したが、それ以外の値でもよい。
【0034】
例えば、1フィールド積算値を、映像信号の信号レベル順に並べた際に特定の基準に基づいて算出した値であるならばその他の値であってもよい。
【0035】
演算値選択部108は、求めた中央値を有する領域における、1フィールド積算値とM個の積算値から算出された平均値が補正係数演算部106に入力されるように、切り替えSW105の制御を行う。
【0036】
また、演算値選択部108は、1フィールド積算部101から送られる積算値のうち、映像信号の信号レベルが定格の80~20%に収まる値が極端に少ない場合(例えば、1フィールド積算部101から出力された1フィールド積算値のうち、上記条件に適した値が2個以下となる場合)、すなわち、補正係数の演算に適した領域が少ない場合、撮影している被写体において、大きな物体が横切る等が生じていると判断する。
【0037】
そこで、演算値選択部108は、フリッカ周期の信号レベルの平均値の精度劣化や、補正係数演算部の演算結果が発散することを防ぐために、リカーシブフィルタ演算部102のフィルタ係数Kを“0”に設定し、リカーシブフィルタの係数更新を停止する。これにより、リカーシブフィルタ演算部102の出力は、M段レジスタ103から入力された、Mフィールド前の1フィールド積算値と同じになる。
【0038】
<撮像画面の検出子の配置>
次に、
図2を参照して撮像装置100の撮像画面112の例について説明する。
図2は、撮像画面112の左側領域に映像信号の信号レベルが80%以上、中央領域に映像信号の信号レベルが80~20%、右側領域に映像信号の信号レベルが20%以下となる被写体を撮像した撮像画面の一例を示す図である。
更に、
図2は、斜線でハッチングした1フィールド積算部101の積算値から中央値を算出するイメージを示している。
【0039】
撮像画面112は、横方向にm列および縦方向にn列ずつのm×n個の検出子111を均等に配置している。
これにより、撮像画面112の信号レベルが小さすぎる領域や信号レベルが大きすぎる領域を除外し、フリッカの影響が出やすい領域だけを判別できる。
また、撮像画面112は、検出子111を均等に配置しているが、分散しているならばその他の方法で配置してもよい。
【0040】
また、検出子111は、縦a×横bの大きさで撮像画面112の映像信号の明暗を検出するが、その他の大きさであってもよい。
【0041】
<撮像装置のフリッカ補正処理>
次に、
図3を参照して、撮像装置100のフリッカ補正処理について説明する。
図3は、撮像装置100がフリッカを抑制するフリッカ補正処理を示すフローチャートである。
以下の説明においては、STARTの状態では、撮像装置100は、被写体の撮像を開始していることを前提とする。
【0042】
まず、検出子111ごとに1フィールドの信号レベルを取得する(S101)。
具体的には、検出部110が、m×n個の検出子111からm×n系統の1フィールド積算値を算出する。
【0043】
次に、取得した複数の信号レべルの中から、補正係数の算出に適した信号レベルを選択する(S102)。
具体的には、演算値選択部108が、m×n個の1フィールド積算値の中から、信号レベルの定格の80~20%に収まる値にある1フィールド積算値を選択する。
【0044】
次に、選択された信号レベルから、1フィールドの信号レベルを算出する(S103)。
具体的には、演算値選択部108が、選択された1フィールド積算値から中央値を算出する。
【0045】
次に、算出した1フィールドの信号レベルを記憶する(S104)。
具体的には、算出された中央値をM段レジスタ103に記憶する。
【0046】
次に、フリッカ周期分の記憶した信号レベルの平均値を算出する(S105)。
具体的には、平均値算出部104が、M段レジスタ103に記憶された、フリッカ周期分の信号レベルから平均値を算出する。
【0047】
次に、記憶した1フィールドの信号レベルと、算出したフリッカ周期分の平均値から補正係数を決定する(S106)。
具体的には、補正係数演算部106が、M段レジスタに記憶された1フィールド積算値とフリッカ周期分の1フィールド積算値の平均値との乖離から映像信号のフリッカを発生させないように利得制御する補正値を決定する。
【0048】
以上、第1実施形態に係る撮像装置100について説明した。本開示の撮像装置100は、撮像画面の中でフリッカの影響が大きい領域だけで、フリッカを抑止する補正値を算出できる。これにより、被写体に大きな輝度変化が生じる場合でも、画面全体(もしくは、画面の中で最も信号レベルが高い領域)から補正値を算出する従来技術より、適切な補正値を算出できる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、
図4、
図5を参照して、第2実施形態について説明する。
第2実施形態の撮像装置200は、被写体の動き量が最小のものを選択するための構成要素を備える点で第1実施形態等と異なる。
図4は、撮像装置200の構成の一例を示す図である。
以下の説明において、上述の第1実施形態等と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0050】
<撮像装置>
撮像装置200は、被写体の動き量を算出し、被写体の動きが大きい領域を補正値の算出に用いる領域から除外することで、フリッカ補正の精度を向上させる。
撮像装置200は、1画面に複数の検出子111を設けた検出部110と、入力された映像信号を補正する補正係数を演算する補正係数演算部106と、前記映像信号を前記補正係数に基づき補正する可変利得制御部107と、演算値選択部108と、動き量を算出する動き量算出部109と、輝度信号を算出する輝度信号算出部114と、メモリ113と、を備える。
【0051】
<輝度信号算出部>
輝度信号算出部114は、映像信号から輝度信号を算出する。また、算出された輝度信号を、動き量算出部109とメモリ113へ送信する。
【0052】
<メモリ>
メモリ113は、輝度信号算出部114から受信した輝度信号を保存する。
【0053】
<動き量算出部>
動き量算出部109は、輝度信号算出部114で算出した輝度信号およびメモリ113に保存された輝度信号から被写体の動き量を算出する。また、算出された動き量を、演算値選択部108へ送信する。
なお、動き量の算出については、輝度信号の時間変化から算出する手法を用いているが、その他の方法であってもよい。
【0054】
<演算値選択部>
演算値選択部108は、動き量算出部109で算出された動き量に基づいて、m×n個の検出子の1フィールド積算値およびMフィールド平均値の中から、補正係数演算部106へ入力する値を選択する。例えば、算出された動き量を用いて各検出子の動き量を算出し、中央値及びその近辺j系統(j=1,2,3、…)のうち、動き量が最小のものを選択する。
これにより、信号レベルが閾値内にあるが、被写体が動くことで信号レベルが変化する場合でも、フリッカ補正の精度を向上できる。
【0055】
<第2実施形態の撮像装置のフリッカ補正処理>
次に、
図5を参照して、撮像装置200がフリッカを抑制するフリッカ補正処理について説明する。
図5は、撮像装置200がフリッカを抑制するフリッカ補正処理を示すフローチャートである。
以下の説明においては、STARTの状態では、撮像装置200は、被写体の撮像を開始していることを前提とする。
【0056】
まず、検出子111ごとに1フィールドの信号レベルを取得する。また、被写体の動き量を取得する(S301)。
具体的には、検出部110が、m×n個の検出子111からm×n系統の1フィールド積算値を算出する。また、動き量算出部109が、輝度信号算出部114で算出された輝度信号と、メモリ113に保存された輝度信号と、から被写体の動き量を算出する。
【0057】
次に、取得した複数の信号レべルの中から、補正係数の算出に適した信号レベルを選択する(S302)。
具体的には、演算値選択部108が、m×n個の1フィールド積算値の中から、信号レベルの定格の80~20%に収まる値にある1フィールド積算値を選択する。
【0058】
次に、選択された信号レベルから、1フィールドの信号レベルを算出する(S303)。
具体的には、演算値選択部108が、選択された1フィールド積算値から中央値を算出する。また、算出された動き量に基づいて、中央値及びその近辺j系統(j=1,2,3、…)のうち、動き量が最小のものを選択する。
【0059】
次に、算出した1フィールドの信号レベルを記憶する(S304)。
具体的には、動き量が最小のものとして選択された信号レベルをM段レジスタ103に記憶する。
次に、フリッカ周期分の記憶した信号レベルの平均値を算出する(S305)。
具体的には、平均値算出部104が、M段レジスタ103に記憶されたフリッカ周期分の信号レベルから平均値を算出する)。
【0060】
次に、記憶した1フィールドの信号レベルと、算出したフリッカ周期分の平均値から補正係数を決定する(S306)。
具体的には、補正係数演算部106が、M段レジスタに記憶された1フィールド積算値とフリッカ周期分の1フィールド積算値の平均値との乖離から映像信号のフリッカを発生させないように利得制御する補正値を決定する。
【0061】
以上、第2実施形態に係る撮像装置200について説明した。本開示の撮像装置200は、撮像画面に動きのある被写体を撮像した場合、動きのある被写体について検知できる。
このように、本開示の撮像装置200は、演算値選択部108が、フリッカ周期推定精度を低下させる動きのある被写体の映像信号の信号レベルを排除することで、フリッカ補正の精度を向上することができる。
【0062】
また、本発明は以下のような態様をとることもできる。
(態様1)
撮像画面の面上に、複数の検出子を設け、各検出子の信号レベルを算出する検出部と、
前記各検出子の信号レベルから、補正値の算出に利用する検出子の信号レベルを選択する選択部と、
前記選択部で選択された信号レベルを記憶する記憶部と、
記憶部に記憶されたフリッカ周期分の信号レベルから平均値を算出する平均値算出部と、
前記記憶部に記憶された信号レベルと、前記平均値算出部で算出された平均値と、に基づいて、映像信号を補正する補正係数を演算する補正係数演算部と、
前記映像信号を前記補正係数に基づき補正する可変利得制御部と、を備える
撮像装置。
(態様2)
前記選択部が、前記各検出子の信号レベルの内、特定の信号レベルの範囲から外れた信号レベルを除外する、態様1の撮像装置。
(態様3)
前記選択部が、前記各検出子の信号レベルの内、中央値となる検出子の信号レべルを、補正値の算出に利用する検出子の信号レベルに選択する、態様1または態様2の撮像装置。
(態様4)
前記撮像画面の被写体の動き量を算出する動き量算出部と、を備え、
前記選択部が、前記動き量算出部で算出された被写体の動き量に基づいて、前記各検出子の信号レベルの内、動き量が最小のものを選択する、態様1または態様2の撮像装置。
【符号の説明】
【0063】
100、200 撮像装置
110 検出部
111 検出子
112 撮像画面
101 1フィールド積算部
102 リカーシブフィルタ演算部
103 M段レジスタ
104 平均値算出部
105 切り替えSW
106 補正係数演算部
107 可変利得制御部
108 演算値選択部
109 動き量算出部
113 メモリ
114 輝度信号算出部