特開 2024-136811 コネクタ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024136811

(43)【公開日】2024-10-04

(54)【発明の名称】コネクタ

(51)【国際特許分類】

   H01R 13/639 20060101AFI20240927BHJP

   H01R 13/629 20060101ALI20240927BHJP

【ＦＩ】

H01R13/639 Z

H01R13/629

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023048068

(22)【出願日】2023-03-24

(71)【出願人】

【識別番号】000183406

【氏名又は名称】住友電装株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000497

【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】宮▲崎▼ 怜

【テーマコード（参考）】

5E021

【Ｆターム（参考）】

5E021FA05

5E021FA09

5E021FA16

5E021FB07

5E021FC09

5E021FC32

5E021HB02

5E021HB05

5E021HC09

(57)【要約】

【課題】ロックアームが嵌合過程で相手コネクタと接触する高さ位置を十分に低くすることが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】ロックアーム１３は、コネクタ１０と相手コネクタ９０とを嵌合状態に保持する。ロックアーム１３は、本体部２８から片持ち状に延びている。嵌合過程で相手コネクタ９０と接触して下方に弾性変形する。ロックアーム１３は、下面に、基端３１側から自由端３２側に向けて延びるように配置される基準面３６と、自由端３２側において、ロックアーム１３が弾性変形していない状態で、段差部３７を介して基準面３６よりも上方に配置される凹面３８と、を有する。本体部２８は、下方に変位した凹面３８を含む自由端３２側の端部と接触する干渉部４５を有する。自由端３２側の端部が干渉部４５と接触したときに、基準面３６の一部は、自由端３２側の端部と干渉部４５との接触位置よりも下方に位置するように設定されている。
【選択図】図６

【特許請求の範囲】

【請求項1】

コネクタと相手コネクタとを嵌合状態に保持するロックアームと、前記ロックアームが連結される本体部と、を備え、
前記ロックアームは、前記本体部から片持ち状に延びており、
前記ロックアームが前記コネクタと前記相手コネクタとの嵌合過程で前記相手コネクタと接触して下方に弾性変形した場合に、
前記ロックアームは、下面に、基端側から自由端側に向けて延びるように配置される基準面と、前記自由端側において、前記ロックアームが弾性変形していない状態で、段差部を介して前記基準面よりも上方に配置される凹面と、を有し、
前記本体部は、下方に変位した前記凹面を含む前記自由端側の端部と接触する干渉部を有し、
前記自由端側の端部が前記干渉部と接触したときに、前記基準面の一部は、前記自由端側の端部と前記干渉部との接触位置よりも下方に位置するように設定されている、コネクタ。

【請求項2】

前記コネクタと前記相手コネクタとの嵌合を進めるレバーを備え、
前記本体部は、前記レバーにおける板状のカム部の主要部分を構成し、前記ロックアームは、前記カム部における前記主要部分以外の部分によって構成され、
前記カム部は、板厚方向に貫通する開放空間を有し、
前記基準面の一部は、前記自由端側の端部が前記干渉部と接触したときに、前記開放空間に入り込む、請求項１に記載のコネクタ。

【請求項3】

前記ロックアームは、上面の前記自由端側に、突部を有している、請求項１または請求項２に記載のコネクタ。

【請求項4】

前記ロックアームは、前記基端側から前記自由端側に向けて延びるアーム部と、前記自由端側の端部で前記アーム部よりも上方に配置される押圧部と、前記アーム部および前記押圧部をつなぐ連結部と、を有し、
前記突部および前記凹面は、前記連結部に形成されている、請求項３に記載のコネクタ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、コネクタに関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１に開示されたコネクタは、互いに嵌合可能な雌側ハウジングおよび雄側ハウジングを備える。雌側ハウジングは、相手コネクタの雄側ハウジングのロック受け部を係止し、コネクタおよび相手コネクタを嵌合状態に保持するロックアームを有している。ロックアームは、雌側ハウジングおよび雄側ハウジングの嵌合過程で雄側ハウジングと干渉して押し下げられる。このとき、ロックアームは、雌側ハウジングの本体の上方に形成された撓み空間に、本体と接触することなく、弾性変形する。ロックアームを備えたコネクタは、特許文献２および特許文献３にも開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００６－４０６９１号公報

【特許文献2】特開２００６－３１８８４４号公報

【特許文献3】特開２００９－２８３３４３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

相手コネクタの雄側ハウジングの低背化等を目的として、ロックアームが嵌合過程で雄側ハウジングと接触する高さ位置を低くすることが求められることがある。これに対し、上記のように、ロックアームが雌側ハウジングの本体の上方に形成された撓み空間に弾性変形する構成であると、ロックアームの高さ位置を十分に低くできないという問題があった。

【0005】

そこで、本開示は、ロックアームが嵌合過程で相手コネクタと接触する高さ位置を十分に低くすることが可能なコネクタを提供する。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示のコネクタは、コネクタと相手コネクタとを嵌合状態に保持するロックアームと、前記ロックアームが連結される本体部と、を備え、前記ロックアームは、前記本体部から片持ち状に延びており、前記ロックアームが前記コネクタと前記相手コネクタとの嵌合過程で前記相手コネクタと接触して下方に弾性変形した場合に、前記ロックアームは、下面に、基端側から自由端側に向けて延びるように配置される基準面と、前記自由端側において、前記ロックアームが弾性変形していない状態で、段差部を介して前記基準面よりも上方に配置される凹面と、を有し、前記本体部は、下方に変位した前記凹面を含む前記自由端側の端部と接触する干渉部を有し、前記自由端側の端部が前記干渉部と接触したときに、前記基準面の一部は、前記自由端側の端部と前記干渉部との接触位置よりも下方に位置するように設定されている、コネクタである。

【発明の効果】

【0007】

本開示によれば、ロックアームが嵌合過程で相手コネクタと接触する高さ位置を十分に低くすることが可能なコネクタを提供する。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、実施形態１において、コネクタが相手コネクタと嵌合された状態を示す側断面図である。

【図2】図２は、実施形態１において、コネクタが相手コネクタと嵌合された状態を示す平面図である。

【図3】図３は、実施形態１において、レバーの斜視図である。

【図4】図４は、実施形態１において、レバーにおけるロックアームと干渉部とを含む部分の拡大側断面図である。

【図5】図５は、実施形態１において、レバーにおけるロックアームを含む部分の拡大背面図である。

【図6】図６は、実施形態１において、ロックアームの自由端側が最も下方に変位して凹面が干渉部と干渉した状態を示す拡大側断面図である。

【図7】図７は、実施形態１において、ロックアームのロック突起がロック受け部に係止された状態を示す拡大側断面図である

【発明を実施するための形態】

【0009】

［本開示の実施形態の説明］
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
（１）コネクタと相手コネクタとを嵌合状態に保持するロックアームと、前記ロックアームが連結される本体部と、を備え、前記ロックアームは、前記本体部から片持ち状に延びており、前記ロックアームが前記コネクタと前記相手コネクタとの嵌合過程で前記相手コネクタと接触して下方に弾性変形した場合に、前記ロックアームは、下面に、基端側から自由端側に向けて延びるように配置される基準面と、前記自由端側において、前記ロックアームが弾性変形していない状態で、段差部を介して前記基準面よりも上方に配置される凹面と、を有し、前記本体部は、下方に変位した前記凹面を含む前記自由端側の端部と接触する干渉部を有し、前記自由端側の端部が前記干渉部と接触したときに、前記基準面の一部は、前記自由端側の端部と前記干渉部との接触位置よりも下方に位置するように設定されている。
上記構成は、コネクタの嵌合過程で基準面の一部が自由端側の端部と干渉部との接触位置よりも下方に位置できるため、ロックアームが嵌合過程で相手コネクタと接触する高さ位置を低くすることができる。結果として、相手コネクタの低背化を図ることができる。

【0010】

（２）上記（１）に記載のコネクタにおいて、前記コネクタと前記相手コネクタとの嵌合を進めるレバーを備え、前記本体部は、前記レバーにおける板状のカム部の主要部分を構成し、前記ロックアームは、前記カム部における前記主要部分以外の部分によって構成され、前記カム部は、板厚方向に貫通する開放空間を有し、前記基準面の一部は、前記自由端側の端部が前記干渉部と接触したときに、前記開放空間に入り込むことが好ましい。
上記構成は、ロックアームが相手コネクタと接触する高さ位置をより低くすることができる。また、上記構成は、デッドスペースになり得る開放空間を有効に利用することができる。

【0011】

（３）上記（１）または（２）に記載のコネクタにおいて、前記ロックアームは、上面の前記自由端側に、突部を有していることが好ましい。
上記構成は、段差部と凹面の形成に起因し、ロックアームの自由端側が部分的に薄肉になるのを防止でき、ロックアームを成形する際の樹脂の流動性および成形性を向上させることができる。

【0012】

（４）上記（３）に記載のコネクタにおいて、前記ロックアームは、前記基端側から前記自由端側に向けて延びるアーム部と、前記自由端側の端部で前記アーム部よりも上方に配置される押圧部と、前記アーム部および前記押圧部をつなぐ連結部と、を有し、前記突部および前記凹面は、前記連結部に形成されていることが好ましい。
上記構成は、押圧部を押圧したときに、連結部に作用する応力を、段差部に加えて突部にも分散させることができ、段差部に応力が集中するのを回避できる。よって、上記構成は、連結部の剛性を確保し易くなる。

【0013】

［本開示の実施形態の詳細］
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【0014】

＜実施形態１＞
実施形態１に係るコネクタ１０は、図１に示すように、相手コネクタ９０に嵌合可能なハウジング１１と、ハウジング１１に収容される端子金具８０と、ハウジング１１に対して回動可能に配置されるレバー１２と、を備えている。レバー１２には、相手コネクタ９０を係止する弾性変形可能なロックアーム１３が形成されている。なお、以下の説明において、前後方向については、コネクタ１０および相手コネクタ９０が嵌合開始時に互いに向き合う側を前側とする。コネクタ１０から見た場合、図１の矢印Ｘが前側になる。また、図１において、符号Ｙが右側になり、矢印Ｚが上側になる。本明細書において、上下方向および左右方向は、それぞれ高さ方向および幅方向と同義である。これらの方向の基準は、コネクタ１０が図示しない車両等に搭載された状態における方向の基準とは必ずしも一致しない。よって、本明細書において、下側は、重力方向下側に限定されない。

【0015】

（相手コネクタ９０）
相手コネクタ９０は、図１に示すように、相手ハウジング９１と、相手ハウジング９１に装着される複数の相手端子金具９５と、を備えている。相手コネクタ９０は、回路基板１００に形成された基板用コネクタとして構成される。相手ハウジング９１は合成樹脂製であって、前方に開放される角筒状のフード部９２を有している。フード部９２は、上壁および下壁の各々の内面における左右中央部に、円柱状のカムピン９３（図２を参照）を突設させている。フード部９２は、図２に示すように、上壁の左右一側（図２の右側）にロック受け部９４を有している。ロック受け部９４は、図１に示すように、フード部９２の上壁を上下方向（厚み方向）に貫通している。

【0016】

相手端子金具９５は、ピン状に細長く延びる形状をなしている。相手端子金具９５は、前後方向に延びてフード部９２の後壁を貫通する端子接続部９６と、端子接続部９６の後端から下方に延びる基板接続部９７と、を有している。端子接続部９６は、フード部９２の内側に突出する部分を有し、コネクタ１０と相手コネクタ９０との嵌合時に、端子金具８０に電気的に接続される。基板接続部９７は、下端部を回路基板１００の導電部に半田付けして電気的に接続される。

【0017】

（ハウジング１１および端子金具８０等）
ハウジング１１は合成樹脂製であって、図１に示すように、各相手端子金具９５と対応する位置に、複数のキャビティ１４を有し、各キャビティ１４の内壁に、ランス１５を突設させている。端子金具８０は、キャビティ１４に後方から挿入され、ランス１５に係止されて、ハウジング１１に一次的に抜け止めされる。端子金具８０は導電金属製であって、角筒状の接続部８１と、接続部８１の後方において電線Ｗの端末部に電気的および機械的に接続されるバレル部８２と、を有している。相手端子金具９５は、接続部８１の内側に挿入されて電気的に接続される。ハウジング１１は、端子金具８０の抜け出しを二次的に規制するリテーナ１６が装着されている。ハウジング１１は、上面および下面の各々に、対をなす軸部１７（図２を参照）を突設させている。

【0018】

（レバー１２）
レバー１２は合成樹脂製であって、図３に示すように、上下方向に延びる操作部１８と、操作部１８の上下方向の端部から互いに平行に突出する一対のカム部１９と、を有している。各カム部１９は、板状をなし、軸部１７を受ける軸孔２１を有している。レバー１２は、図２に示すように、ハウジング１１に対し、軸孔２１に嵌合した軸部１７を中心として、初期位置と嵌合位置とに回動可能に支持される。なお、以下の説明において、レバー１２の前後方向は、レバー１２がハウジング１１に対して嵌合位置にあるときの前後方向を基準とする。

【0019】

操作部１８は、レバー１２を回動操作する際に作業者によって把持される部分であり、階段状（段差状）の滑り止め部２２を有している。滑り止め部２２は、初期位置ではハウジング１１の後面から後方に離れて配置され（図２の二点鎖線を参照）、嵌合位置ではハウジング１１の後面に接近して配置される（図２の実線を参照）。

【0020】

各カム部１９は、軸孔２１を中心とする同心状の位置に、円弧状に湾曲したガイド溝２３を有している。ガイド溝２３には、ハウジング１１に形成された円弧状のガイドリブ２４が挿入される。レバー１２の回動操作は、ガイド溝２３に挿入されたガイドリブ２４に沿ってガイドされる。

【0021】

各カム部１９は、図２および図３に示すように、軸孔２１の近くからカム部１９の外周縁にかけて曲状に延びるカム溝２５を有している。レバー１２が初期位置にあるときに、カム溝２５の入り口は、前方を向いて配置される。相手コネクタ９０のカムピン９３がカム溝２５の入り口に進入した状態で、レバー１２が初期位置から嵌合位置に向けて回動される。このレバー１２の回動過程で、カムピン９３がカム溝２５の溝面を摺動し、ハウジング１１がフード部９２に徐々に深く挿入される。これにより、コネクタ１０と相手コネクタ９０との嵌合が進行する。レバー１２が嵌合位置に至ると、カムピン９３がカム溝２５の奥端側に至り、ハウジング１１がフード部９２に正規（所定）の深さで挿入される。

【0022】

各カム部１９のうち、上側のカム部１９は、ロックアーム１３を含むロック構造部２６（図３の点線内に示す部分）と、ロック構造部２６以外の本体部２８と、によって構成される。ロック構造部２６は、下側のカム部１９には設けられていない。言い換えれば、本体部２８は、各カム部１９の主要部分（大部分）を構成し、ロックアーム１３は、各カム部１９における主要部分以外の部分によって構成される。

【0023】

ロック構造部２６は、図３に示すように、上側のカム部１９のうち、左右方向に関してガイド溝２３、軸孔２１およびカム溝２５を有する側とは反対側（図３の右側）に配置され、且つ前後方向に関してカム部１９の後部に配置されている。

【0024】

ロック構造部２６は、左右のスリット２７を有している。ロックアーム１３は、スリット２７の内側に配置されている。ロックアーム１３は、本体部２８におけるスリット２７の前端間の部位から後方へ一定の幅寸法で片持ち状に延びている。ロックアーム１３の前端は、本体部２８に連なる基端３１として構成される。ロックアーム１３の後端は、図４に示すように、自由端３２として構成される。

【0025】

ロックアーム１３は、基端３１を支点とし、自由端３２を上下方向に変位させる方向に弾性変形可能となっている。ロックアーム１３は、図４に示すように、基端３１から自由端３２側に向けて延びるアーム部２９と、アーム部２９の上面から突出するロック突起３３と、自由端３２側の端部でアーム部２９よりも一段高く配置される押圧部３４と、アーム部２９および押圧部３４をつなぐ連結部３５と、を有している。

【0026】

アーム部２９の上面は、本体部２８の上面に段差無く連続している。アーム部２９の上面は、ロックアーム１３が弾性変形していない状態（以下、自然状態と称する）で、前後方向に沿って配置されている。なお、以下の説明において、ロックアーム１３の高さ位置（上下位置）の基準は、特に断りがない限り、ロックアーム１３が自然状態にあるときを基準とする。
アーム部２９の下面は、後述する凹面３８の位置等を規定する基準となる基準面３６として構成される。アーム部２９の基準面３６は、基端３１から自由端３２側へ向けて上方に傾斜しつつ延びるように配置されている。アーム部２９の後面は、上下方向に沿って配置され、凹面３８との間に段差を形成する段差部３７として構成される。基準面３６および段差部３７は、図５に示すように、アーム部２９の左右方向の全幅にわたって形成されている。

【0027】

ロック突起３３は、図４に示すように、爪状をなし、アーム部２９の前後中央部またはアーム部２９の前側（基端３１側）に配置されている。図１および図７に示すように、ロック突起３３は、嵌合位置において、ロック受け部９４に嵌合されて係止可能に配置される。

【0028】

押圧部３４は、前後方向に沿った板状をなしている。押圧部３４の上面は、ロック突起３３よりも上方に配置され、左右方向および前後方向に沿って平坦に形成されている。押圧部３４の上面を押圧することで、ロック突起３３がロック受け部９４から抜け出てロック受け部９４との係止を解除できるようになっている。

【0029】

連結部３５は、アーム部２９の上面の後端部における左右両側の端部から斜め上後方に起立し、上端が押圧部３４に連なる形状になっている。連結部３５は、図５に示すように、ロックアーム１３の左右両側の端部に対をなして配置されている。対をなす連結部３５の間で且つ押圧部３４より下方の空間は、ロック突起３３を成形する図示しない金型の引き抜きに伴って形成される。

【0030】

連結部３５は、板状をなし、板面を左右方向を向け、板厚面を上下方向を向けて配置されている。図４に示すように、連結部３５の下面（下側の板厚面）は、後述する干渉部４５と接触可能な凹面３８として構成される。凹面３８は、段差部３７の上端から後方へ上向きに傾斜して配置されている。

【0031】

アーム部２９の自由端側の端部は、凹面３８の後端に連なり、押圧部３４の後端部の下面と平行して水平に配置されるストレート面３９と、ストレート面３９から押圧部３４の後端にかけて湾曲して延びるアーム端部４９と、によって構成される。
凹面３８は、基準面３６の後端とアーム端部４９の前端との間をつなぐ仮想面ＶＦ１よりも上方に配置されている。ロックアーム１３の下面のうち、段差部３７、凹面３８およびストレート面３９と連なる部分は、仮想面ＶＦ１に対して凹状に形成されている。

【0032】

連結部３５の上面（上側の板厚面）は、図４に示すように、段差部３７と対応する反対側の位置に、突部４１を有している。突部４１は、突出先端側の頂部４２と、アーム部２９の上面から頂部４２にかけて上向きに傾斜する前稜線部４３と、頂部４２から後方へ前後方向に沿って延び、押圧部３４の前面の下端部に段付き状に連なる後稜線部４４と、を有している。前稜線部４３および頂部４２は、アーム部２９の上面と押圧部３４の前面の下端部との間を直線状につなぐ仮想面ＶＦ２よりも上方に配置されている。連結部３５の左右面（左右両側の板面）は、突部４１によって、アーム部２９から押圧部３４にかけて前後方向の幅寸法を徐々に大きくしている。

【0033】

本体部２８（上側のカム部１９におけるロックアーム１３以外の部分）は、図４に示すように、凹面３８、ストレート面３９およびアーム端部４９よりも下方でこれら凹面３８等と対向する位置に、干渉部４５を有している。本体部２８は、ロックアーム１３の基端３１と干渉部４５との間に、本体部２８を上下方向に貫通する開放空間４６を形成している。干渉部４５は、左右方向に一定の前後幅で延びる板状をなし、図５に示すように、上下の板面が前後方向および左右方向に沿って配置されている。

【0034】

また、上側のカム部１９は、図５に示すように、本体部２８の上面から突出し、押圧部３４および連結部３５を左右両側から覆う、一対の脚部４７と、各脚部４７の上端に連なり、押圧部３４を上方から覆う覆い部４８と、を有している。押圧部３４を含むロックアーム１３の後端部（自由端３２側の端部）は、上下方向に関して、覆い部４８と干渉部４５との間に配置されている。覆い部４８は、図３に示すように、左右方向に延び、左右方向の一端部で操作部１８の滑り止め部２２に連結されている。干渉部４５は、図５に示すように、本体部２８における各脚部４７の下端側の間に架設されている。

【0035】

（コネクタ１０の作用）
上述したように、レバー１２が初期位置から嵌合位置へ向けて回動され、相手ハウジング９１のカムピン９３がレバー１２のカム溝２５の溝面を摺動することにより、コネクタ１０と相手コネクタ９０との嵌合が進行する。嵌合過程で、図６に示すように、ハウジング１１およびレバー１２がフード部９２の内側に挿入され、ロック突起３３がフード部９２の上壁と干渉し、ロックアーム１３が基端３１側を支点として下向きに弾性変形させられる。ロック突起３３がフード部９２の上壁の内面を摺動し、自由端３２側が下方に変位する。自由端３２側が最大限下方に変位したところで、自由端３２側の端部であるアーム端部４９および凹面３８が干渉部４５と接触する。具体的には、干渉部４５の前端上角部が仮想面ＶＦ１（図４を参照）に対して凹状に形成された空間に進入して凹面３８と接触し、干渉部４５の上面がアーム端部４９と接触する。これにより、自由端３２側の下方への変位が規制される。アーム部２９は、基端３１側の部分と、干渉部４５に支持された連結部３５との間に、下向きに弾性変形し、基準面３６の後側下部および段差部３７を開放空間４６に進入させる。

【0036】

上記のとおり、アーム端部４９および凹面３８が干渉部４５と接触した状態で、アーム部２９の一部は、カム部１９（本体部２８）の厚み範囲内に配置される。基準面３６の後側下部は、アーム端部４９および凹面３８と干渉部４５との接触位置よりも下方に配置される。また、このようにロックアーム１３が最も弾性変形した状態では、連結部３５の一部も開放空間４６に入り込む。もっとも、ロックアーム１３がハウジング１１と接触することはない。

【0037】

レバー１２が嵌合位置に至ると、ロックアーム１３が自然状態に弾性復帰する方向に変位し、図１および図７に示すように、ロック突起３３がロック受け部９４に下方から嵌まり込む。これにより、コネクタ１０と相手コネクタ９０とが嵌合状態に保持される。

【0038】

以上説明したように、本実施形態１によれば、ロックアーム１３が最も弾性変形した状態で、凹面３８等の自由端３２側の端部が干渉部４５と接触し、アーム部２９の基準面３６の一部が段差部３７を介して干渉部４５の上面よりも低い位置に配置される。また、アーム部２９の基準面３６の一部は開放空間４６に入り込む。このため、本実施形態１の構成は、ロックアーム１３の必要な撓み量を確保しつつもロックアーム１３が嵌合過程で相手コネクタ９０と接触する高さ位置を低くすることができる。結果として、相手コネクタ９０とコネクタ１０の低背化を図ることができる。

【0039】

また、本実施形態１の構成は、レバー１２のカム部１９において、デッドスペースになり得る開放空間４６を有効に利用することができる。
さらに、ロックアーム１３の上面には段差部３７と対応する反対側の位置に突部４１が形成されているため、ロックアーム１３が段差部３７と対応する位置で部分的に薄肉になるのを防止でき、ロックアーム１３を成形する際の樹脂の流動性および成形性を向上させることができる。例えば、ロックアーム１３は、突部４１および段差部３７を有する部分を含め、前後方向に一定または一定に近い上下寸法で延びるように形成できる。

【0040】

さらに、本実施形態１の場合、突部４１および凹面３８が連結部３５に形成され、凹面３８が段差部３７に連なる形状になっている。このため、ロックアーム１３とロック受け部９４との係止を解除する際、押圧部３４が押圧され、連結部３５に応力が作用したときに、段差部３７に加えて突部４１にも応力を分散させることができる。このため、本実施形態１の構成は、連結部３５の剛性を確保し易い。

【0041】

［本開示の他の実施形態］
今回開示された上記実施形態１はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態１の場合、ロックアーム１３および本体部２８は、レバー１２のカム部１９に形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、ロックアームおよび本体部は、通常のハウジングに形成されていても良い。
上記実施形態１の場合、凹面３８および突部４１はロックアーム１３の連結部３５に形成されていた。これに対し、凹面および突部は、アーム部の自由端側の端部に形成されていても良い。また、凹面は、ロックアームの押圧部の下面に形成されていても良い。
上記実施形態１の場合、干渉部４５は、嵌合過程でロックアーム１３の凹面３８と接触する位置に配置されていた。これに対し、干渉部は、嵌合過程でロックアームの凹面と接触せず、凹面との間に隙間を形成していても良い。例えば、干渉部は、ロックアームの自由端側の端部における凹面以外の部分と接触し、凹面と段差部との間の凹みに入り込む構成になっていれば良い。また、干渉部は、嵌合過程でロックアームの凹面のみと接触し、アーム端部とは接触しない構成であっても良い。

【符号の説明】

【0042】

１０…コネクタ
１１…ハウジング
１２…レバー
１３…ロックアーム
１４…キャビティ
１５…ランス
１６…リテーナ
１７…軸部
１８…操作部
１９…カム部
２１…軸孔
２２…滑り止め部
２３…ガイド溝
２４…ガイドリブ
２５…カム溝
２６…ロック構造部
２７…スリット
２８…本体部
２９…アーム部
３１…基端
３２…自由端
３３…ロック突起
３４…押圧部
３５…連結部
３６…基準面
３７…段差部
３８…凹面
３９…ストレート面
４１…突部
４２…頂部
４３…前稜線部
４４…後稜線部
４５…干渉部
４６…開放空間
４７…脚部
４８…覆い部
４９…アーム端部
８０…端子金具
８１…接続部
８２…バレル部
９０…相手コネクタ
９１…相手ハウジング
９２…フード部
９３…カムピン
９４…ロック受け部
９５…相手端子金具
９６…端子接続部
９７…基板接続部
１００…回路基板１００
ＶＦ１，ＶＦ２…仮想面
Ｗ…電線

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】