(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136823
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】立体回路基板装置および車両用のドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20240927BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H05K1/14 A
B60J5/10 M
B60J5/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048095
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 聡
(72)【発明者】
【氏名】相澤 浩一
(72)【発明者】
【氏名】粟田 康裕
(72)【発明者】
【氏名】林 航平
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA07
5E344AA28
5E344BB01
5E344BB04
5E344DD02
5E344EE12
(57)【要約】
【課題】小型化を図りつつ電子部品等を実装できる領域の面積を大きくできる立体回路基板装置を提供する。
【解決手段】パワーバックドアECU17は、複数の回路基板31,33,34,35を備え複数の回路基板31,33,34,35が互いに接合されることにより立体形状に形成される立体回路基板装置であって、複数の回路基板31,33,34,35には、可撓性を有するフレキ部(第一連結部314および第二連結部315)およびフレキ部よりも剛性が高く前記フレキ部により一体に連結される複数のリジッド部(第一側板部311、第二側板部312、および端板部313)を備えるリジッドフレキシブル回路基板である第一回路基板31が含まれ、フレキ部は所定の曲率半径で湾曲している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回路基板を備え、前記複数の回路基板が互いに接合されることにより内部に空間を有する略多面体状の立体形状に形成される立体回路基板装置であって、
前記複数の回路基板には、可撓性があるフレキシブル部および前記フレキシブル部を介して繋がっており前記フレキシブル部よりも剛性が高い略平板状の少なくとも2つのリジッド部を含むリジッドフレキシブル回路基板が含まれ、
前記フレキシブル部を介して繋がっている前記2つのリジッド部は前記略多面体形状に含まれる平面部をそれぞれ形成するように互いに異なる向きで配置されており、前記フレキシブル部は所定の曲率半径で湾曲している、
立体回路基板装置。
【請求項2】
請求項1に記載の立体回路基板装置において、
前記リジッドフレキシブル回路基板の前記リジッド部は、ハンダにより互いに接合される、
立体回路基板装置。
【請求項3】
請求項1に記載の立体回路基板装置であって、
前記複数の回路基板には前記リジッドフレキシブル回路基板とは別体のリジッド回路基板が含まれ、
前記リジッドフレキシブル回路基板の前記リジッド部と前記リジッド回路基板とはハンダにより互いに接合される、
立体回路基板装置。
【請求項4】
請求項1に記載の立体回路基板装置において、
前記フレキシブル部は、前記2つのリジッド部の互いに略平行な外辺どうしを繋ぐように設けられ、
前記フレキシブル部の幅は、前記外辺の長さよりも小さい、
立体回路基板装置。
【請求項5】
請求項1に記載の立体回路基板装置であって、
前記複数のリジッド部の少なくとも1つには集積回路が実装される、
立体回路基板装置。
【請求項6】
請求項1に記載の立体回路基板装置であって、
前記略多面体形状は略直方体形状である、
立体回路基板装置。
【請求項7】
軸線方向の一方の端部が前記車体と車両ドアの一方に連結される第一筒部材と、
前記第一筒部材に対して前記軸線方向に移動可能に収容され、軸線方向の一方の端部が前記車体と前記車両ドアの他方に連結される第二筒部材と、
駆動力源の駆動力により前記第一筒部材を前記第二筒部材に対して軸線方向に移動させるように構成される駆動機構と、
前記第二筒部材の内部に収容され、前記駆動力源を制御する回路が構築された立体回路基板装置と、を備え、
前記立体回路基板装置は、複数の回路基板を備え、前記複数の回路基板が互いに接合されることにより内部に空間を有する略多面体状の立体形状を備え、
前記複数の回路基板には、可撓性があるフレキシブル部および前記フレキシブル部を介して繋がっており前記フレキシブル部よりも剛性が高い略平板状の2つのリジッド部を含むリジッドフレキシブル回路基板が含まれ、
前記フレキシブル部を介して繋がっている前記2つのリジッド部は前記略多面体形状に含まれる平面部のそれぞれを形成するように互いに異なる向きで配置されており、前記フレキシブル部は所定の曲率半径で湾曲している、
車両用のドア開閉装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用のドア開閉装置であって、
前記立体回路基板装置は、前記軸線方向に長い略直方体形状を備え、
前記駆動力源に前記軸線方向に隣接して配置される、
車両用のドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体回路基板装置および車両用のドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の平板状の回路基板を備え、これら複数の回路基板が互いに接合されることにより箱状(立体形状)に形成される立体回路基板装置(特許文献1では回路基板組立体と記される)が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示される立体回路基板装置においては、複数の回路基板を互いに接合することにより箱状に形成されるため、組み立てに手間を要するという問題がある。また、特許文献1に開示される立体回路基板装置では、回路基板どうしを電気的に接続するためには、これら回路基板と別体のケーブルが必要であるとともに、ケーブルを接続するためのコネクタが各回路基板に実装される必要がある。このため、部品点数および組付け工数が増加する。また、このような構成では、回路基板にコネクタを実装するための領域が必要であるため、立体回路基板装置の小型化を図ることが困難である。
【0003】
特許文献2には、フレキシブル領域とリジッド領域とを備えるリジッドフレキシブル回路基板において、フレキ部が湾曲されることによりリジッド部が積層される立体回路基板装置が開示されている。しかしながら、特許文献2に開示される立体回路基板装置では、立体回路基板装置の形状を保持するために保持部材が別途必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-197493号公報
【特許文献2】特開2006-253570号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、車両用のドア開閉装置には、軸線方向の一方の端部が車体に連結され、他方の端部が車両ドアの他方に連結され、駆動力源の駆動力によって軸線方向に伸縮することで、車両ドアを開閉するように構成されるものがある。このような車両用のドア開閉装置は略筒状の形状を備えるため内部空間が狭い。このため、車両用のドア開閉装置の内部空間に、駆動力源を制御するための回路が構築された立体回路基板装置を収容するためには、小型で電子部品等を実装できる領域の面積が大きい立体回路基板装置が求められる。
【0006】
(発明が解決しようとする課題)
上記実情に鑑み、本発明の目的の1つは、電子部品等を実装できる領域の面積を大きくしつつ、小型化を図ることまたは大型化の抑制を図ることができる立体回路基板装置、およびこの立体回路基板装置を備える車両用のドア開閉装置を提供することである。
【0007】
(課題を解決するための手段)
前記目的を達成するため、本発明に係る立体回路基板装置は、
複数の回路基板を備え、前記複数の回路基板が互いに接合されることにより内部に空間を有する略多面体状の立体形状に形成される立体回路基板装置であって、
前記複数の回路基板には、可撓性があるフレキシブル部および前記フレキシブル部を介して繋がっており前記フレキシブル部よりも剛性が高い略平板状の少なくとも2つのリジッド部を含むリジッドフレキシブル回路基板が含まれ、
前記フレキシブル部を介して繋がっている前記2つのリジッド部は前記略多面体形状に含まれる平面部のそれぞれを形成するように互いに異なる向きで配置されており、前記フレキシブル部は所定の曲率半径で湾曲している。
【0008】
「可撓性があるフレキシブル部および前記フレキシブル部を介して繋がっており前記フレキシブル部よりも剛性が高い略平板状の少なくとも2つのリジッド部を含むリジッドフレキシブル回路基板が含まれ」るとは、リジッドフレキシブル回路基板は複数の(少なくとも2以上の)リジッド部が含まれ、かつ、複数のリジッド部には「フレキシブル部によって繋がっている2つのリジッド部」が含まれることを意味する。したがって、リジッドフレキシブル回路基板が、「1つのフレキシブル部を介して繋がる2つのリジッド部の組」を1組備えていてもよく、複数組備えていてもよい。また、したがって、「ある所定のリジッド部」が「他の所定のリジッド部」と「ある所定のフレキシブル部」を介して繋がっているとともに、当該「ある所定のリジッド部」が前記「他の所定のリジッド部」とは異なる「さらに他の所定のリジッド部」と「他の所定のフレキシブル部」を介して繋がっていてもよい。
【0009】
本発明によれば、立体回路基板装置を複数の回路基板からなる立体形状とすることにより、小型化を図りつつ(または大型化の抑制を図りつつ)、電子部品等を実装できる面積を大きくすることができる。また、立体回路基板装置を形成する複数の回路基板にリジッドフレキシブル回路基板が含まれ、リジッドフレキシブル回路基板のリジッド部が多面体形状の平面部のそれぞれを形成し、フレキシブル部が所定の曲率半径で湾曲することにより、1つのフレキシブル回路基板により多面体形状の複数の平面部を形成できる。このため、多面体形状の1つの平面部が1つの回路基板により形成される構成に比較して、立体回路基板装置の製造の手間を低減できる。
【0010】
また、本発明によれば、多面体形状の平面部を形成するリジッド部どうしをフレキシブル部に設けられる配線によって電気的に接続できる。このような構成であると、リジッド部どうしの接続のために別体のケーブルが不要であるとともに、リジッド部にケーブルを接続するためのコネクタを実装しなくてもよい。このため、部品点数の削減を図ることができるとともに、電子部品等を実装するスペースを大きくできる(または、電子部品等を実装するスペースを縮小することなく、立体回路基板装置の小型化を図ることができる)。
【0011】
前記リジッドフレキシブル回路基板の前記リジッド部は、ハンダにより互いに接合される、という構成であってもよい。
【0012】
また、前記複数の回路基板には前記リジッドフレキシブル回路基板とは別体のリジッド回路基板が含まれ、
前記リジッドフレキシブル回路基板の前記リジッド部と前記リジッド回路基板とはハンダにより互いに接合される、という構成であってもよい。
【0013】
これらの構成によれば、リジッドフレキシブル回路基板のリジッド部どうしまたはリジッドフレキシブル回路基板のリジッド部とリジッド回路基板とがハンダにより接合されるため、ハンダによって立体回路基板装置の立体形状を保持できる。したがって、立体回路基板装置の立体形状を保持するための保持部材が不要である。
【0014】
前記フレキシブル部は、前記2つのリジッド部の互いに略平行な外辺どうしを繋ぐように設けられ、
前記フレキシブル部の幅は、前記外辺の長さよりも小さい、という構成であってもよい。
【0015】
このように、フレキシブル部をリジッド部の一部に設けることにより、リジッド部の面積、すなわち電子部品等を実装できる領域の面積を大きくできる(または面積の縮小を抑制できる)。
【0016】
前記複数のリジッド部の少なくとも1つには集積回路が実装される、という構成であってもよい。
【0017】
このような構成であると、1つのリジッド部に実装される集積回路と他のリジッド部に設けられる配線とを、フレキシブル部に設けられる配線によって接続できる。したがって、このような構成によれば、1つのリジッド部に実装される集積回路と他のリジッド部に設けられる配線とを接続するためのケーブルおよびコネクタが不要である。
【0018】
前記略多面体形状は略直方体形状である、という構成が適用できる。
【0019】
本発明に係る車両用のドア開閉装置は、
軸線方向の一方の端部が前記車体と車両ドアの一方に連結される第一筒部材と、
前記第一筒部材に対して前記軸線方向に移動可能に収容され、軸線方向の一方の端部が前記車体と前記車両ドアの他方に連結される第二筒部材と、
駆動力源の駆動力により前記第一筒部材を前記第二筒部材に対して軸線方向に移動させるように構成される駆動機構と、
前記第二筒部材の内部に収容され、前記駆動力源を制御する回路が構築された立体回路基板装置と、を備え、
前記立体回路基板装置は、複数の回路基板を備え、前記複数の回路基板が互いに接合されることにより内部に空間を有する略多面体状の立体形状を備え、
前記複数の回路基板には、可撓性があるフレキシブル部および前記フレキシブル部を介して繋がっており前記フレキシブル部よりも剛性が高い略平板状の2つのリジッド部を含むリジッドフレキシブル回路基板が含まれ、
前記フレキシブル部を介して繋がっている前記2つのリジッド部は前記略多面体形状に含まれる平面部のそれぞれを形成するように互いに異なる向きで配置されており、前記フレキシブル部は所定の曲率半径で湾曲している。
【0020】
本発明によれば、車両用のドア開閉装置を大型化することなく(または大型化を抑制しつつ)、車両用のドア開閉装置に立体回路基板装置を収納できる。
【0021】
前記立体回路基板装置は、前記軸線方向に長い略直方体形状を備え、
前記駆動力源に前記軸線方向に隣接して配置される、という構成が適用できる。
【0022】
このような構成によれば、車両用のドア開閉装置の軸線方向の寸法の小型化を図る(または大型化を抑制する)効果を高めることができる。また、立体回路基板装置と駆動力源とを接続するための配線を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、バックドアの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、パワーバックドア装置の構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、パワーバックドアECUの構成を示す斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、第一ECU回路基板の構成を示す平面図である。
【
図4B】
図4Bは、第一ECU回路基板の構成を示すIVB-IVB矢視断面図である。
【
図4C】
図4Cは、第一ECU回路基板の構成を示すIVC-IVC矢視断面図である。
【
図5】
図5は、第二ECU回路基板の構成を示す平面図である。
【
図6】
図6は、第三ECU回路基板の構成を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第一ECU回路基板の構成を示す平面図である。
【
図9】
図9は、第一回路基板と第三回路基板との接合構造を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、車両ドアとして車両のバックドアを示し、車両用のドア開閉装置としてパワーバックドア装置を示し、立体回路基板装置としてパワーバックドア装置を制御するパワーバックドアECUを示す。
【0025】
<車両ドアおよびパワーバックドア装置>
パワーバックドア装置10は、車両90のバックドア92を駆動力源の駆動力によって開閉するように構成される装置である。
図1は、バックドア92の構成を示す模式図である。
図1に示すように、バックドア92は、上端部(上辺)を中心として車体91に対して回転可能に(振り子状に揺動可能に)連結されており、車体91に対して回転することにより開閉可能に構成される。なお、
図1においては、閉位置のバックドア92を実線で示し、開位置のバックドア92を二点鎖線で示す。パワーバックドア装置10は
図1に示すように長尺状に形成され、その軸線方向(長尺方向)の一方の端部が車体91に連結され、他方の端部がバックドア92に連結される。パワーバックドア装置10は、軸線方向に伸縮することにより、バックドア92を開閉するように構成される。なお、車体91およびバックドア92の構成は特に限定されるものではなく、従来公知の構成が適用できる。
【0026】
図2は、パワーバックドア装置10の構成を示す断面図である。パワーバックドア装置10は、長尺棒状の外形を備える。パワーバックドア装置10は、カバー管11、ハウジング管12、第一継ぎ手13、モータ14、伝達機構15、ネジスピンドル16、パワーバックドアECU17、ガイド管18、圧縮コイルバネ19、スピンドル管20、スピンドルナット21、および第二継ぎ手22を備える。
【0027】
カバー管11およびハウジング管12は、略円筒状の部材である。なお、カバー管11が本発明の第一筒部材の例であり、ハウジング管12が本発明の第二筒部材の例である。ハウジング管12はカバー管11に収容される。なお、ハウジング管12は、カバー管11に対して軸線方向に相対移動可能であるが、カバー管11に対して回転できない。ハウジング管12の一端部はカバー管11の端部から突出しており、ハウジング管12がカバー管11に対して軸線方向に移動することにより、ハウジング管12のカバー管11からの突出長さ(すなわち、パワーバックドア装置10の全体の軸線方向寸法)が変化する。ハウジング管12のカバー管11から突出する側の端部には、第一継ぎ手13が設けられる。そして、ハウジング管12は、第一継ぎ手13を介して、バックドア92に対して振り子状に揺動可能に連結される。
【0028】
モータ14、伝達機構15、およびパワーバックドアECU17は、ハウジング管12の内部に収容される。モータ14は、パワーバックドア装置10の駆動力源である。モータ14には、正逆の回転動力を出力可能な従来公知の電動モータが適用される。伝達機構15は、モータ14が出力する回転動力を後述するネジスピンドル16に伝達するように構成される。伝達機構15には、公知の各種減速機構が適用できる。パワーバックドアECU17は、モータ14を制御する回路(換言するとパワーバックドア装置10を制御する回路)が構築された立体回路基板装置である。パワーバックドアECU17は、モータ14を制御できるように、図略のケーブル等によってモータ14と接続されている。なお、パワーバックドアECU17の構成については後述する。
図1に示すように、モータ14とパワーバックドアECU17とは、ハウジング管12の軸線方向に互いに隣接して設けられる。
【0029】
ガイド管18は、略円筒状の部材である。ガイド管18は、カバー管11の内部に収容される。ガイド管18はハウジング管12に係合しており、ハウジング管12に対して回転できないように構成される。圧縮コイルバネ19は、カバー管11とガイド管18の間に配置される。圧縮コイルバネ19は、軸線方向の一端がカバー管11の軸線方向の端部の内周面に当接し、軸線方向の他端がガイド管18に当接するように配置される。そして、圧縮コイルバネ19は、ハウジング管12を、ガイド管18を介してカバー管11から突出する方向に付勢するように構成される。
【0030】
スピンドル管20は、略円筒状の部材である。スピンドル管20は、ガイド管18の内部に収容される。そして、スピンドル管20は、ガイド管18に対して軸線方向に移動可能であるがガイド管18に対して回転できないように構成される。スピンドル管20の軸線方向の一方の端部にはスピンドルナット21が固定される。スピンドル管20の軸線方向の他方の端部は、カバー管11とともに、第二継ぎ手22を介して車体91に対して回転可能に(振り子状に揺動可能に)連結される。
【0031】
ネジスピンドル16は、外周面にネジ山が設けられた棒状の部材(雄ネジ)である。ネジスピンドル16は、モータ14の回転軸と同軸に配置されており、伝達機構15を介して伝達されるモータ14の回転動力により回転するように構成される。ネジスピンドル16は、スピンドル管20の内部に収容されるとともにスピンドル管20に固定されるスピンドルナット21と螺合している。
【0032】
パワーバックドアECU17の制御によってモータ14が動作すると、モータ14の回転動力が伝達機構15を介してネジスピンドル16に伝達され、ネジスピンドル16が回転する。そして、ネジスピンドル16が回転すると、ネジスピンドル16と螺合しているスピンドルナット21が、ネジスピンドル16の軸線方向に直線移動する。そして、スピンドルナット21の直線移動に伴って、スピンドル管20およびカバー管11が、ハウジング管12に対して直線移動する。パワーバックドア装置10の軸線方向寸法が大きくなるようにスピンドル管20およびカバー管11がハウジング管12に対して移動することにより、バックドア92が閉位置から開位置に向かって移動する。反対に、パワーバックドア装置10の軸線方向寸法が小さくなるようにスピンドル管20およびカバー管11がハウジング管12に対して移動することにより、バックドア92が開位置から閉位置に向かって移動する。
【0033】
このように、パワーバックドア装置10は、駆動力源であるモータ14が動作することにより、バックドア92を開閉するように構成される。なお、パワーバックドア装置10は、パワーバックドアECU17の物理的な構造および配置位置を除いては、従来公知の構成が適用できる。例えば、パワーバックドア装置10として、特開2013-23866号公報や特開2013-23866号公報に開示される構成が適用できる。
【0034】
<パワーバックドアECU>
図3は、パワーバックドアECU17の構成を示す斜視図である。パワーバックドアECU17は、複数の回路基板を有し、略多面体の立体形状である略直方体状に形成される立体回路基板装置である。本実施形態では、パワーバックドアECU17が互いに別体の4枚の回路基板31,33,34,35を備える構成を示す。説明の便宜上、これらの回路基板31,33,34,35を、第一回路基板31、第二回路基板33、第三回路基板34、および第四回路基板35と記して区別する。そして、これらの複数の回路基板31,33,34,35が互いに接合されることによりパワーバックドアECU17が構築される。また、本実施形態では、パワーバックドアECU17が、長尺方向に直角な平面で切断した断面形状が略正方形である直方体形状を備える例を示す。
【0035】
第一回路基板31は、少なくとも2以上の硬質なリジッド部(リジッド回路基板状の部分)および弾性曲げ変形可能な可撓性を有するフレキシブル部(フレキシブル回路基板状の部分。以下、「フレキ部」と記す)を備えるリジッドフレキシブル回路基板である。
図4Aは、第一回路基板31の構成を示す平面図である。
図4Bは、
図4AのIVB-IVB矢視断面図であり、
図4Cは
図4AのIVC-IVC矢視断面図である。こられの図に示すように、第一回路基板31は、第一側板部311、第二側板部312、端板部313、第一連結部314、および第二連結部315を備える。第一側板部311、第二側板部312および端板部313は、リジッド部である。第一連結部314および第二連結部315はフレキ部である。
【0036】
図4Bおよび
図4Cに示すように、フレキ部である第一連結部314および第二連結部315は、リジッド部である第一側板部311、第二側板部312、および端板部313よりも薄く、第一側板部311、第二側板部312、および端板部313に比較して剛性が低い(弾性変形しやすい)。第一側板部311および第二側板部312は、それぞれ略長方形の形状を備える。第一側板部311および第二側板部312は、一方の長辺どうしが略平行に近接するように配置され、第一連結部314を介して互いに一体に繋がっている。本実施形態では、フレキ部である第一連結部314の幅方向寸法(
図4A中左右方向寸法)は、第一側板部311および第二側板部312の長辺(互いに略平行に対向する辺)方向寸法よりも小さい。第一側板部311と第二側板部312とは、互いに対向する辺どうしが第一連結部314により一体に繋がっている。
【0037】
このように、本実施形態では、第一回路基板31は、フレキ部を介して繋がっている2つのリジッド部として、第一連結部314を介して繋がっている第一側板部311および第二側板部312と、第二連結部315を介して繋がっている第一側板部311および端板部313とを備える。要は、第一回路基板31は、複数の(少なくとも2以上の)リジッド部を備え、複数のリジッド部のうちの2つのリジッド部がフレキ部により互いに繋がっている構成であればよい。
【0038】
第一側板部311、第二側板部312、および端板部313の実装面(すなわち、各部の厚さ方向に直角な両面)には所定の導体パターンが設けられる。第二側板部312の実装面に設けられる導体パターンには、集積回路40を実装可能な(集積回路40が備える複数の端子41(足)のそれぞれをハンダ付け可能に構成される、ということもできる)複数のパッド326、および複数のパッド326の少なくとも1つに繋がる配線327が含まれる。このほか、第一側板部311の実装面に設けられる導体パターンには第一端部導体膜321αが含まれ、第二側板部312の実装面に設けられる導体パターンには第二端部導体膜321βが含まれる。端板部313に設けられる導体パターンには、接合部導体膜325が含まれる。
【0039】
なお、集積回路40を実装可能な複数のパッド326、および複数のパッド326の少なくとも1つに繋がる配線327は、第一側板部311に設けられてもよく、第一側板部311および第二側板部312の両方に設けられてもよい。要は、フレキ部を介して他のリジッド部と繋がっているリジッド部の少なくとも1つに集積回路40を実装可能な複数のパッド326、および複数のパッド326の少なくとも1つに繋がる配線327が設けられる構成であればよい。
【0040】
第一連結部314および第二連結部315には、所定の導体パターンが設けられる。第一連結部314に設けられる導体パターンには、前記の集積回路40を実装可能な複数のパッド326の少なくとも1つに繋がる配線328が含まれる。第二連結部315に設けられる導体パターンは特に限定されないが、第一連結部314と同様に、前記の集積回路を実装可能な複数のパッド326の少なくとも1つに繋がる配線が含まれてもよい。
【0041】
略長方形である第一側板部311の一方の短辺(第二連結部315が設けられる側とは反対側の短辺)の近傍には、この短辺に略平行な方向に長い長孔である接合孔318が設けられる。接合孔318は、後述する第四回路基板35の接合部352を挿通可能に構成される貫通孔である。接合孔318の内周面のうちの長孔の長辺に相当する部分には、厚さ方向に延伸する溝部が設けられる。さらに、第一側板部311の実装面であって接合孔318の近傍には、平面視において接合孔318の2つの長辺のそれぞれに沿うように、ハンダ付け可能な2つの接合孔部導体膜319が設けられる。なお、これら2つの接合孔部導体膜319は、実装面に設けられる他の導体パターンと繋がっていてもよく、繋がっていなくてもよい。
【0042】
第二側板部312の短辺のうちの端板部313に近い側の短辺に対応する端部には、凹部322が設けられる。凹部322は、端板部313の接合部324と係合可能に構成される。より具体的には、凹部322の端面は端板部313の実装面に面接触可能に構成される。凹部322には厚さ方向に延伸する溝部が設けられる。そして、実装面のうちの凹部322の近傍の部分には、平面視においてこの凹部322に沿うように、ハンダ付け可能な導体膜である凹部導体膜323が設けられる。
【0043】
略長方形である第一側板部311の長辺のうちの第二側板部312から遠い側の長辺に相当する端部(以下、「第一端部316」と記すことがある)には、複数(
図4Aにおいては7カ所)のハーフスルーホール320αが設けられる。ハーフスルーホール320αは、第一回路基板31の第一側板部311の両実装面を電気的に導通するように構成される。具体的には、ハーフスルーホール320αは、第一側板部311の厚さ方向に延伸する断面略半円形の溝部と、この溝部の内周面に設けられる導体膜と、を備える。そして、第一端部316には、ハーフスルーホール320αの導体膜に一体に繋がる導体膜である第一端部導体膜321αが設けられる。第一端部導体膜321αは、第一側板部311の実装面に第一端部316の端面に沿うように設けられる導体膜である、ということもできる。
【0044】
第二側板部312の長辺のうちの第一側板部311から遠い側の長辺に相当する端部(以下、「第二端部317」と記すことがある)には、複数(
図4Aにおいては7カ所)のハーフスルーホール320βが設けられる。そして、第二端部317には、ハーフスルーホール320βの導体膜に一体に繋がる導体膜である第二端部導体膜321βが設けられる。第二端部導体膜321βは、第二側板部312の実装面に第二端部317の端面に沿うように設けられる導体膜である、ということもできる。
【0045】
端板部313は略四辺形状の構成を備える。端板部313は、第一側板部311の一方の短辺に近接するように配置され、第二連結部315を介して第一側板部311と一体に繋がっている。端板部313の4辺のうちの第二連結部315に繋がっている1辺以外の3辺のそれぞれには、平面視において外側に延出する接合部324が設けられる。各接合部324には、ハンダ付け可能な導体膜である接合部導体膜325が設けられる。
【0046】
図5は第二回路基板33の構成を示す平面図であり、
図6は第三回路基板34の構成を示す平面図である。
図5および
図6に示すように、第二回路基板33および第三回路基板34は、いずれも略長方形の形状を備える。第二回路基板33および第三回路基板34は、いずれも全体が第一回路基板31の第一側板部311および第二側板部312と同様の構成を備えるリジッド回路基板である。第二回路基板33および第三回路基板34のそれぞれの実装面には、所定の導体パターンが設けられる。第二回路基板33の実装面に設けられる導体パターンには、接合孔部導体膜332、第三端部導体膜338α、および第四端部導体膜338βが含まれる。第三回路基板34の実装面に設けられる導体パターンには、接合孔部導体膜342、第五端部導体膜348α、および第六端部導体膜348βが含まれる。
【0047】
第二回路基板33と第三回路基板34のそれぞれの一方の短辺近傍には、当該短辺に略平行な長孔である接合孔331,341が設けられる。これらの接合孔331,341は、後述する第四回路基板35の接合部352を挿通可能に構成される貫通孔である。接合孔331,341の内周面には、厚さ方向に延伸する溝部が設けられる。なお、これらの溝部に代えて、内周面に導体膜を有するハーフスルーホールが設けられてもよい。さらに、第二回路基板33および第三回路基板34のそれぞれの実装面における接合孔331,341の近傍には、平面視において接合孔331,341の2つの長辺のそれぞれに沿うように、ハンダ付け可能な2つの導体膜である接合孔部導体膜332,342が設けられる。なお、接合孔部導体膜332,342は、実装面に設けられる他の導体パターンと繋がっていてもよく、繋がっていなくてもよい。ただし、接合孔331,341の内周面にハーフスルーホールが設けられる場合には、これらの接合孔部導体膜332,342は、ハーフスルーホールの導体膜に一体に繋がっていることが好ましい。
【0048】
第二回路基板33と第三回路基板34のそれぞれの接合孔331,341から遠い側の短辺に対応する端面には、凹部333,343が設けられる。凹部333,343は、第一回路基板31の端板部313の接合部324が係合可能に(換言すると嵌め込み可能に)構成される。そして、第二回路基板33および第三回路基板34のそれぞれの実装面における凹部333,343の近傍には、平面視において凹部333,343に沿うように、ハンダ付け可能な導体膜である凹部導体膜334,344が設けられる。
【0049】
略長方形である第二回路基板33の2つの長辺に相当する端部(以下、それぞれ「第三端部335」、「第四端部336」と記すことがある)には、それぞれ複数(
図5においては7カ所ずつ)のハーフスルーホール337α,337βが設けられる。そして、第三端部導体膜338αは、第三端部335に位置しハーフスルーホール337αの導体膜と一体に繋がっている。第四端部導体膜338βは、第四端部336に位置しハーフスルーホール337βの導体膜と一体に繋がっている。
【0050】
略長方形である第三回路基板34の2つの長辺に相当する端部(以下、それぞれ「第五端部345」、「第六端部346」と記すことがある)には、それぞれ複数(
図6においては7カ所ずつ)のハーフスルーホール347α,347βが設けられる。そして、第五端部導体膜348αは、第五端部345に位置しハーフスルーホール347αの導体膜と一体に繋がっている。第六端部導体膜348βは、第六端部346に位置しハーフスルーホール347βの導体膜と一体に繋がっている。
【0051】
図7は第四回路基板35の構成を示す平面図である。
図7に示すように、第四回路基板35は、略正方形の本体部351と、本体部351の外周の4辺のうちの3辺のそれぞれから実装面の面方向外側に延出する接合部352とを備える。第四回路基板35は、接合部352を含め全体が硬質のリジッド回路基板である。各接合部352の実装面にはハンダ付け可能な導体膜である接合部導体膜353が設けられる。
【0052】
なお、第一回路基板31、第二回路基板33、第三回路基板34、および第四回路基板35の実装面には、前記した導体パターン以外の導体パターンが設けられてもよい。例えば、各回路基板31,33,34,35の実装面には、集積回路以外の所定の電子部品の端子をハンダ付け可能に構成される複数のパッド、スルーホールのランド、およびパッドどうしまたはパッドとスルーホールのランドとを電気的に接続する配線が含まれてもよい。
【0053】
第一回路基板31、第二回路基板33、第三回路基板34、および第四回路基板35のそれぞれの実装面には所定の電子部品等が実装される。なお、第一回路基板31の第二側板部312には集積回路が実装される。そして、
図3に示すように、第一回路基板31、第二回路基板33、第三回路基板34、および第四回路基板35が互いに接合されることにより略直方体形状を備えるパワーバックドアECU17が形成される。
【0054】
図8は、
図3のVIII矢視図である。
図8に示すように、第一回路基板31の第一連結部314が「0」より大きい所定の曲率半径を有する円弧状に曲げられることにより、第一回路基板31の第一側板部311と第二側板部312とが互いに略直角な向きにされる。また、
図3に示すように、第二連結部315が「0」より大きい所定の曲率を有する円弧状に曲げられることにより、第一回路基板31の第一側板部311および第二側板部312と端板部313とが互いに略直角な向きにされる。なお、「互いに略直角な向き」が本発明の「互いに異なる向き」の例である。
【0055】
第二回路基板33は、第三端部335の端面が、第一回路基板31の第一側板部311の第一端部316(すなわち、実装面の外周部近傍の部分)に近接して対向するように配置される。また、第二回路基板33は、第一回路基板31の第一側板部311に略直角となるように配置される。
【0056】
第三回路基板34は、第五端部345の端面が第一回路基板31の第二側板部312の第二端部317(すなわち、実装面の外周部近傍の部分)に近接して対向し、第六端部346の端面が第二回路基板33の第四端部336(すなわち、実装面の外周部の近傍の部分)に近接して対向するように配置される。また、第三回路基板34は、第一回路基板31の第二側板部312および第二回路基板33に略直角な向きで配置される。
【0057】
図3に示すように、第一回路基板31の端板部313の3つの接合部324は、それぞれ第一回路基板31の第二側板部312、第二回路基板33、および第三回路基板34のそれぞれの凹部322,333,334に嵌め込まれる(または係合される)。第四回路基板35は、その本体部351が第一回路基板31、第二回路基板33および第三回路基板34に囲まれる領域に配置され、3つの接合部352のそれぞれが第一回路基板31、第二回路基板33および第三回路基板34のそれぞれの接合孔318,331,341に挿通される。
【0058】
そして、回路基板31,33,34,35どうしがハンダにより接合される。具体的には、「第一回路基板31の第一側板部311の第一端部316のハーフスルーホール320αの導体膜および第一端部導体膜321α」と「第二回路基板33の第三端部335のハーフスルーホール337αの導体膜および第三端部導体膜338α」とがハンダにより接合される。これにより、第一回路基板31の第一側板部311と第二回路基板33とが物理的に接合されるとともに、第一回路基板31の第一側板部311と第二回路基板33の導体パターンどうしが電気的に接続される。
【0059】
「第一回路基板31の第二側板部312の第二端部317のハーフスルーホール320βの導体膜および第二端部導体膜321β」と、「第三回路基板34の第五端部345のハーフスルーホール347αの導体膜および第五端部導体膜348α」とがハンダにより接合される。これにより、第一回路基板31の第二側板部312と第三回路基板34とが物理的に接合されるとともに、第一回路基板31の第二側板部312と第三回路基板34の導体パターンどうしが電気的に接続される。
【0060】
「第二回路基板33の第四端部336のハーフスルーホール337βの導体膜および第四端部導体膜338β」と、「第三回路基板34の第六端部346のハーフスルーホール347βの導体膜および第六端部導体膜348β」とがハンダにより接合される。これにより、第二回路基板33と第三回路基板34とが物理的に接合されるとともに、第二回路基板33と第三回路基板34の導体パターンどうしが電気的に接続される。
【0061】
第一回路基板31の端板部313の3つの接合部324のそれぞれの接合部導体膜325と、第一回路基板31の第二側板部312、第二回路基板33、および第三回路基板34のそれぞれの凹部322,333,334に近接して設けられる凹部導体膜323,334,344のそれぞれとが、ハンダにより接合される。また、第四回路基板35の3つの接合部352のそれぞれが、第一回路基板31の第一側板部311、第二回路基板33、および第三回路基板34のそれぞれの接合孔318,331,341のそれぞれに挿通される。そして、第四回路基板35の3つの接合部352のそれぞれに設けられる接合部導体膜353と、第一回路基板31の第一側板部311、第二回路基板33、および第三回路基板34の接合孔318,331,341のそれぞれに近接して設けられる接合孔部導体膜319,332,342とがハンダにより接合される。
【0062】
ここで、ハンダによる回路基板31,33,34,35どうしの接合構造について説明する。
図9は、第一回路基板31の第二側板部312と第三回路基板34との接合構造を示す断面模式図である。
図9に示すように、第一回路基板31の第二側板部312と第三回路基板34は、第一回路基板31の第二側板部312の第二端部317の実装面(実装面のうちの外周部の近傍に位置する部分)と第三回路基板34の第五端部345の端面(実装面に直角な面)とが接触するように(または略平行に近接して対向するように)配置される。そして、第一回路基板31の第二側板部312の第二端部317の「ハーフスルーホール320βの導体膜および第二端部導体膜321β」と、第三回路基板34の第五端部345の「ハーフスルーホール347αの導体膜および第五端部導体膜348α」とが、ハンダSにより接合される。
【0063】
なお、第一回路基板31の第二側板部312の第二端部317および第三回路基板34の第五端部345のそれぞれに複数のハーフスルーホール320β,347αが設けられる構成であると、第一回路基板31の第二側板部312の第二端部317の複数のハーフスルーホール320βの導体膜それぞれと、第三回路基板34の第五端部345の複数のハーフスルーホール347αの導体膜のそれぞれとが、一対一で互いにハンダSにより接合される。
【0064】
このような構成によれば、第一回路基板31の第二側板部312の第二端部317(実装面)と第三回路基板34の第五端部345の端面との隙間にハンダSが流れやすくなるから(換言すると、ハーフスルーホール320β,347αによりハンダSが流れる空間が形成されるから)、第三回路基板34の端面の厚さ方向の全域にわたってハンダSが接合される。このため、第一回路基板31の第二側板部312と第三回路基板34の接合強度の向上を図ることができる。また、第一回路基板31の第二側板部312の第二端部導体膜321βと第三回路基板34の第五端部345の第五端部導体膜348αとがハンダSにより接合されることにより、第一回路基板31の第二側板部312の実装面に設けられる導体パターンと第三回路基板34の実装面に設けられる導体パターンとが電気的に導通する。したがって、第一回路基板31と第二回路基板33とに跨る配線を構築できる。
【0065】
なお、図示および説明は省略するが、第一回路基板31の第一側板部311の第一端部316と第二回路基板33の第三端部335との接続構造、および第二回路基板33の第四端部336と第三回路基板34の第六端部346との接続構造も、前記構造と略同じである。
【0066】
このように、本実施形態によれば、パワーバックドアECU17を複数の回路基板31,33,34,35からなる立体形状とすることにより、小型化を図りつつ(または大型化の抑制を図りつつ)、電子部品等を実装できる面積を大きくすることができる。また、パワーバックドアECU17を形成する複数の回路基板31,33,34,35にリジッドフレキシブル回路基板である第一回路基板31が含まれ、第一回路基板31のリジッド部である第一側板部311、第二側板部312および端板部313が多面体形状の平面部のそれぞれを形成し、フレキシブル部である第一連結部314および第二連結部314が「0」ではない所定の曲率半径で湾曲することにより、1つのフレキシブル回路基板により多面体形状の複数の平面部を形成できる。このため、多面体形状の1つの平面部が1つの回路基板により形成される構成に比較して、パワーバックドアECU17の製造の手間を低減できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、多面体形状の平面部どうしを形成するリジッド部(第一側板部311、第二側板部312、および端板部313)どうしをフレキ部(第一連結部314および第二連結315)に設けられる配線によって電気的に接続できる。このような構成であると、リジッド部どうしの接続のために別体のケーブルが不要であるとともに、リジッド部にケーブルを接続するためのコネクタを実装しなくてもよい。このため、部品点数の削減を図ることができるとともに、電子部品等を実装するスペースを大きくできる(または、電子部品等を実装するスペースを縮小することなく、パワーバックドアECU17の小型化を図ることができる)。
【0068】
特に、本実施形態では、集積回路40に繋がる配線がフレキ部に内装される。集積回路40は一般的に複数の端子41(足)を備える。そして、回路基板に設けられる複数の配線が集積回路41に繋がる。このため、集積回路40に繋がる配線がフレキ部に内装されない構成(すなわち、リジッド部をコネクタおよびケーブルを用いて接続する構成)では、リジッド部どうしを接続するケーブルおよびコネクタが大型化する。これに対して、本実施形態によれば、別体のケーブルおよびコネクタが不要であるから、パワーバックドアECU17の大型化を招かない。
【0069】
また、本実施形態では、第一回路基板31の第一側板部311、第二側板部312および端板部313と、第二回路基板33と、第三回路基板34と、第四回路基板35とが、それらの端部どうしにおいてハンダSにより互いに接合される。すなわち、フレキシブル回路基板のリジッド部どうし、フレキシブル回路基板のリジッド部とリジッド回路基板、およびリジッド回路基板どうしは、ハンダSにより接合されことにより、立体形状を備えるパワーバックドアECU17が形成される。なお、本実施形態では、立体形状として、複数の平面部を有し内部に空間が形成される殻状の略多面体形状を示す。より具体的には、立体形状として、6面の平面部を備える略直方体を示す。なお、このような多面体形状は、複数の平面部が互いに接合されることにより形成される立体形状である、ということもできる。このような構成であると、パワーバックドアECU17の小型化を図りつつ、または大型化の抑制を図りつつ、電子部品等を実装できる面積(実装面の面積)を大きくすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、フレキ部である第一連結部314の幅方向寸法(
図4A中左右方向寸法)は、第一側板部311および第二側板部312の長辺(互いに略平行に対向する辺)方向寸法よりも小さい。このような構成によれば、第一11および第二側板部312の実装面の面積が小さくなることが抑制できる。すなわち、第一連結部314に無理な応力が掛からないように第一連結部314の曲率半径を大きくしようとすると、第一連結部314の長さをある程度大きくしなければならないため、第一側板部311および第二側板部312の互いに対向する長辺同士の間隔を大きくしなければならない。このため、第一連結部314が第一側板部311および第二側板部312の互いに対向する長辺の全長にわたって設けられる構成であると、第一側板部311および第二側板部312のそれぞれの全体にわたって短辺方向寸法を小さくしなければならない。
【0071】
これに対して、前記構成であると、第一側板部311および第二側板部312の間隔を、第一連結部314が設けられる箇所のみ部分的に大きくし、他の部分の間隔を小さくできる。このため、第一11および第二側板部312の実装面の面積が小さくなることが抑制できる。
」
【0072】
また、本実施形態では、殻状の多面体形状に含まれる複数の平面部は、第一回路基板31の第一側板部311および第二側板部312、第二回路基板33、第三回路基板34、並びに第四回路基板35により形成される。換言すると、立体パワーバックドアECU17に含まれるリジッドフレキシブル回路基板のリジッド部およびリジッド回路基板のそれぞれが、多面体の複数の平板部のそれぞれを形成する。そして、多面体の隣り合う平板部どうしの境界に相当する部分は、回路基板31,33,34,35どうしがハンダ付けされることにより形成される部分を含む。このような構成によれば、回路基板31,33,34,35どうしがハンダによって強固に物理的に接合される。したがって、パワーバックドアECU17は、立体形状を保持するための保持部材などを用いなくとも、立体形状に保持される。
【0073】
なお、回路基板31,33,34,35どうしがハンダにより接合される構成であると、接着剤を用いて接合される構成とは異なり、各回路基板31,33,34,35に接着剤を塗布する領域を設けなくてもよい。また、各回路基板31,33,34,35に接合のための凹凸形状を設けなくてもよい。このため、これらのスペースが不要であるから、回路基板31,33,34,35どうしの接合箇所およびその近傍に、導体パターンを設けることができる。また、回路基板どうしがハンダにより接合される構成であれば、接着剤が不要であるから、製造コストの削減を図ることができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、隣り合う回路基板31,33,34,35どうしをハンダによって接合されるため、隣り合う回路基板31,33,34,35どうしの導体パターンがハンダによって電気的に導通する。したがってこのハンダによって、隣り合う回路基板に跨る配線を構築することができる。または、互いに接合される回路基板に跨る配線の構築が容易になる、ということができる。したがって、パワーバックドアECU17に構築される回路の設計自由度の向上を図ることができる。
【0075】
そして、このような構成によれば、立体回路基板装置であるパワーバックドアECU17の小型化を図ることができる。特に、本実施形態のように、パワーバックドアECU17が長尺方向に直角な平面で切断した断面が略正方形である直方体形状を備えると(換言すると、断面略正方形の筒状の形状を備えると)、パワーバックドアECU17をパワーバックドア装置10のハウジング管12の内部に収容可能に構成できる。換言すると、パワーバックドア装置10のハウジング管12を大型化することなく、その内部にパワーバックドアECU17を収容できる。なお、各回路基板のそれぞれの表裏の実装面のうち、互いに接合された状態で内周側に位置する実装面に高さの高い部品(例えばOSコンデンサなど)を実装することにより、パワーバックドアECU17の外形寸法のさらなる小型化を図ることができる。
【0076】
そして、モータ14とモータ14を制御するためのパワーバックドアECU17とが隣接して配置される構成であると、パワーバックドア装置10にモータ14を制御するパワーバックドアECU17を搭載しつつ、パワーバックドア装置10の小型化または大型化の抑制の効果を高めることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、パワーバックドア装置10の小型化を図ること、または大型化を抑制することができるから、パワーバックドア装置10が搭載される車両ドアの小型化を図ること、または大型化を抑制することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
例えば、前記実施形態では、リジッドフレキシブル回路基板である第一回路基板31が3つのリジッド部311、312,313と2つのフレキ部314,315とを備える構成を示したが、第一回路基板31が有するリジッドおよびフレキ部の数は限定されない。また、第二回路基板33および第三回路基板34の少なくとも一方がリジッドフレキシブル回路基板であってもよい。要は、立体回路基板装置(パワーバックドアECU17)を形成する回路基板に、すくなくとも1つのリジッドフレキシブル回路基板が含まれる構成であればよい。
【0080】
また、1つのリジッドフレキシブル回路基板が、「1つのフレキシブル部を介して繋がる2つのリジッド部の組」を1組備えていてもよく、複数組備えていてもよい。この場合、「ある所定のリジッド部」が「他の所定のリジッド部」と「ある所定のフレキシブル部」を介して繋がっているとともに、当該「ある所定のリジッド部」が前記「他の所定のリジッド部」とは異なる「さらに他の所定のリジッド部」と「他の所定のフレキシブル部」を介して繋がっていてもよい。
【0081】
また、前記実施形態では、パワーバックドアECU17の形状が長尺方向に直角な断面が略正方形である直方体である例を示したが、パワーバックドアECU17の形状は限定されない。パワーバックドアECU17の形状は、当該パワーバックドアECU17が配置される領域の形状に応じて適宜設定される。
【符号の説明】
【0082】
10…パワーバックドア装置、17…パワーバックドアECU、31…第一回路基板、33…第二回路基板、34…第三回路基板、35…第四回路基板、92…バックドア、311…第一回路基板の第一側板部、312…第一回路基板の第二側板部、313…第一回路基板の端板部、314…第一回路基板の第一連結部、315…第一回路基板の第二連結部