(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136825
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
F21S 41/365 20180101AFI20240927BHJP
F21S 41/265 20180101ALI20240927BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240927BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20240927BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20240927BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240927BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240927BHJP
【FI】
F21S41/365
F21S41/265
F21S41/663
F21S41/148
F21S41/43
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048097
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三菅 大
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 和則
(72)【発明者】
【氏名】高崎 祥太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
(57)【要約】
【課題】レンズの出射面の平面視形状がスラント形状の場合であっても、主配光パターンの車幅方向の外側の領域を照射する追加配光パターンを形成し易い車両用前照灯を提供することにある。
【解決手段】この発明は、第1レンズ41の入射面410が第1光源11側に突出した凸形状をなしている。この結果、この発明は、追加反射面からの反射光を第1レンズ41の入射面410に入射させ易くなる。この結果、この発明は、第1レンズ41の出射面411の平面視形状がスラント形状の場合であっても、主配光パターンPLの車幅方向の外側の領域を照射する追加配光パターンを形成し易い。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を反射させる反射面と、
前記反射面からの反射光の一部を遮蔽するシェードと、
前記反射光を主配光パターンおよび追加配光パターンとして車両の前方に照射するレンズと、
を備え、
前記レンズは、入射面と出射面とを有し、
前記出射面の平面視形状は、車幅方向の内側から外側に向けて前記車両の前側から後側に傾斜した形状あるいは回り込んだ形状をなしていて、
前記入射面は、前記光源側に突出した凸形状をなしていて、
前記反射面は、
前記主配光パターンを形成する主反射面と、
前記追加配光パターンを形成する追加反射面と、
を有し、
前記追加配光パターンは、前記主配光パターンの前記車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が前記主配光パターンに重畳する、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記入射面の凸形状の頂点は、前記主反射面の光軸に対して前記車幅方向の外側に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記追加配光パターンは、前記主配光パターンの前記車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が前記主配光パターンに重畳する第1追加配光パターンと、前記第1追加配光パターンの前記車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が前記第1追加配光パターンに重畳する第2追加配光パターンと、を有し、
前記追加反射面は、前記第1追加配光パターンを形成する第1追加反射面と、前記第2追加配光パターンを形成する第2追加反射面と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記第1追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の内側に配置されていて、
前記第2追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の外側に配置されている一次追加反射面と、前記主反射面の前記車幅方向の内側であって、前記第1追加反射面に対して前記レンズ側に配置されている二次追加反射面と、を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記追加配光パターンは、前記主配光パターンの前記車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が前記主配光パターンに重畳する第1追加配光パターンと、前記第1追加配光パターンの前記車幅方向の外側に位置する第2追加配光パターンと、前記第1追加配光パターンと前記第2追加配光パターンの間に位置し、かつ、前記車幅方向の内側の一部分が前記第1追加配光パターンに重畳し、前記車幅方向の外側の一部分が前記第2追加配光パターンに重畳する補助追加配光パターンと、を有し、
前記追加反射面は、前記第1追加配光パターンを形成する第1追加反射面と、前記第2追加配光パターンを形成する第2追加反射面と、前記補助追加配光パターンを形成する補助追加反射面と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記第1追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の内側に配置されていて、
前記第2追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の外側に配置されている一次追加反射面と、前記主反射面の前記車幅方向の内側であって、前記第1追加反射面に対して前記レンズ側に配置されている二次追加反射面と、を有し、
前記補助追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の内側と前記第1追加反射面との間に配置されている一次補助追加反射面と、前記第1追加反射面と前記二次追加反射面との間に配置されている二次補助追加反射面と、を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用前照灯。
【請求項7】
第1ランプユニットと、前記第1ランプユニットの前記車幅方向の内側に配置されている第2ランプユニットと、を有し、
前記第1ランプユニットは、前記光源としての第1光源と、前記反射面と、前記シェードと、前記レンズとしての第1レンズと、を備え、
前記第2ランプユニットは、第2光源と、前記第2光源からの光を、前記主配光パターンおよび前記追加配光パターン以外の他機能配光パターンとして車両の前方に照射する第2レンズと、を備え、
前記第1レンズと前記第2レンズとは、前記車幅方向に一体に形成されている単一レンズであり、
前記単一レンズの出射面の平面視形状は、前記車幅方向の内側から外側に向けて前記車両の前側から後側に傾斜した形状あるいは回り込んだ形状をなしていて、
前記二次追加反射面は、前記一次追加反射面からの一次反射光を、前記第1レンズ側に反射させて、前記一次反射光の前記第2レンズ側への光路を遮断する、
ことを特徴とする請求項4または6に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主配光パターンおよび追加配光パターンを車両の前方に照射する車両用前照灯として、たとえば、特許文献1に示すものがある。以下、特許文献1の車輌用前照灯について説明する。
【0003】
特許文献1の車輌用前照灯は、光源と、投影レンズと、主反射面と副反射面とを有するリフレクタと、可動シェードと、を備え、可動シェードのリフレクタ側にハイビームモードにおける光を副反射面に向けて反射する側方照射用反射面を形成した、ものである。
【0004】
以下、特許文献1の車輌用前照灯の作用について説明する。主反射面からの反射光の一部が可動シェードで遮蔽され、可動シェードで遮蔽されなかった反射光が、投影レンズを経て、主配光パターンとして、水平カットラインより下側の領域を照射する。また、副反射面で反射された光が、投影レンズを経て、追加配光パターンとして、主配光パターンの側方の領域を照射する。
【0005】
一方、特許文献2のランプユニットに示すように、レンズの出射面の平面視形状は、車体の意匠面に沿ったスラント形状が主流となっている。すなわち、レンズの出射面の平面視形状は、車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて車両の前側から後側に傾斜した形状あるいは回り込んだ形状をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-127314号公報
【特許文献2】特開2023-017456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の車輌用前照灯の投影レンズの出射面の平面視形状を、特許文献2のランプユニットのレンズの出射面の平面視形状のように、スラント形状になした場合、投影レンズを透過する光の屈折、反射作用により、主配光パターンの側方の領域を照射する追加配光パターンを形成することが難しくなる傾向にある。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、レンズの出射面の平面視形状がスラント形状の場合であっても、主配光パターンの車幅方向の外側の領域を照射する追加配光パターンを形成し易い車両用前照灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の観点の車両用前照灯は、前記の課題を解決するため、光源と、前記光源からの光を反射させる反射面と、前記反射面からの反射光の一部を遮蔽するシェードと、前記反射光を主配光パターンおよび追加配光パターンとして車両の前方に照射するレンズと、を備え、前記レンズは、入射面と出射面とを有し、前記出射面の平面視形状は、車幅方向の内側から外側に向けて前記車両の前側から後側に傾斜した形状あるいは回り込んだ形状をなしていて、前記入射面は、前記光源側に突出した凸形状をなしていて、前記反射面は、前記主配光パターンを形成する主反射面と、前記追加配光パターンを形成する追加反射面と、を有し、前記追加配光パターンは、前記主配光パターンの前記車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が前記主配光パターンに重畳する、ことを特徴とする。
【0010】
また、上述の発明においては、前記入射面の凸形状の頂点は、前記主反射面の光軸に対して前記車幅方向の外側に位置する、ことが好ましい。
【0011】
また、上述の発明においては、前記追加配光パターンは、前記主配光パターンの前記車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が前記主配光パターンに重畳する第1追加配光パターンと、前記第1追加配光パターンの前記車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が前記第1追加配光パターンに重畳する第2追加配光パターンと、を有し、前記追加反射面は、前記第1追加配光パターンを形成する第1追加反射面と、前記第2追加配光パターンを形成する第2追加反射面と、を有する、ことが好ましい。
【0012】
また、上述の発明においては、前記第1追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の内側に配置されていて、前記第2追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の外側に配置されている一次追加反射面と、前記主反射面の前記車幅方向の内側であって、前記第1追加反射面に対して前記レンズ側に配置されている二次追加反射面と、を有する、ことが好ましい。
【0013】
また、上述の発明においては、前記追加配光パターンは、前記主配光パターンの前記車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が前記主配光パターンに重畳する第1追加配光パターンと、前記第1追加配光パターンの前記車幅方向の外側に位置する第2追加配光パターンと、前記第1追加配光パターンと前記第2追加配光パターンの間に位置し、かつ、前記車幅方向の内側の一部分が前記第1追加配光パターンに重畳し、前記車幅方向の外側の一部分が前記第2追加配光パターンに重畳する補助追加配光パターンと、を有し、前記追加反射面は、前記第1追加配光パターンを形成する第1追加反射面と、前記第2追加配光パターンを形成する第2追加反射面と、前記補助追加配光パターンを形成する補助追加反射面と、を有する、ことが好ましい。
【0014】
また、上述の発明においては、記第1追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の内側に配置されていて、前記第2追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の外側に配置されている一次追加反射面と、前記主反射面の前記車幅方向の内側であって、前記第1追加反射面に対して前記レンズ側に配置されている二次追加反射面と、を有し、前記補助追加反射面は、前記主反射面の前記車幅方向の内側と前記第1追加反射面との間に配置されている一次補助追加反射面と、前記第1追加反射面と前記二次追加反射面との間に配置されている二次補助追加反射面と、を有する、ことが好ましい。
【0015】
また、上述の発明においては、第1ランプユニットと、前記第1ランプユニットの前記車幅方向の内側に配置されている第2ランプユニットと、を有し、前記第1ランプユニットは、前記光源としての第1光源と、前記反射面と、前記シェードと、前記レンズとしての第1レンズと、を備え、前記第2ランプユニットは、第2光源と、前記第2光源からの光を、前記主配光パターンおよび前記追加配光パターン以外の他機能配光パターンとして車両の前方に照射する第2レンズと、を備え、前記第1レンズと前記第2レンズとは、前記車幅方向に一体に形成されている単一レンズであり、前記単一レンズの出射面の平面視形状は、前記車幅方向の内側から外側に向けて前記車両の前側から後側に傾斜した形状あるいは回り込んだ形状をなしていて、前記二次追加反射面は、前記一次追加反射面からの一次反射光を、前記第1レンズ側に反射させて、前記一次反射光の前記第2レンズ側への光路を遮断する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、レンズの出射面の平面視形状がスラント形状の場合であっても、主配光パターンの車幅方向の外側の領域を照射する追加配光パターンを形成し易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態を示す使用状態の平面図である。
【
図2】
図2は、右側の車両用前照灯の第1ランプユニットおよび第2ランプユニットを示す正面図(
図1におけるII矢視図)である。
【
図3】
図3は、右側の車両用前照灯の第1ランプユニットを示す鉛直断面図(
図1におけるIII-III線断面図)である。
【
図4】
図4は、右側の車両用前照灯の第1ランプユニットを示す水平断面図(
図2におけるIV-IV線断面図)である。
【
図5】
図5は、主反射面からの反射光の光路を示す説明図(
図4に対応する説明図)である。
【
図6】
図6は、第1追加反射面からの反射光の光路を示す説明図(
図4に対応する説明図)である。
【
図7】
図7は、第2追加反射面からの反射光の光路を示す説明図(
図4に対応する説明図)である。
【
図8】
図8は、補助追加反射面からの反射光の光路を示す説明図(
図4に対応する説明図)である。
【
図9】
図9は、右側の車両用前照灯の第1ランプユニットから車両の前方に照射されるロービーム配光パターンの主配光パターン、追加配光パターンとしての第1拡散配光パターン、第2拡散配光パターンおよび補助拡散配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
この明細書および別紙の特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯100が車両101に搭載された車両搭載状態における前、後、上、下、左、右である。また、前後、上下、左右の各方向は、車両用前照灯100が車両101に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。上下方向は、鉛直方向に平行であり、左右方向は、車幅方向であって水平方向である。正面方向および背面方向において、車両用前照灯100から光が出射される方向を正面方向とし、正面方向の反対方向を背面方向とする。
【0020】
図面は、この発明にかかる車両用前照灯100を示す概略図であるから、この発明にかかる車両用前照灯100の主要部品の主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略する。
図4から
図8において、シェード3の図示が省略されている。また、ハッチングの一部が省略されている。また、
図1から
図8において、符号「F」は「前」、「B」は「後」、「U」は上、「D」は「下」、「L」は「左」、「R」は「右」である。さらに、
図9において、符号「VU-VD」は、スクリーンの上下垂直線を示す。符号「HL-HR」は、スクリーンの左右水平線を示す。
【0021】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる車両用前照灯100の構成について説明する。
【0022】
(車両用前照灯100の説明)
この実施形態にかかる車両用前照灯100は、
図1に示すように、車両101の前部の右側に装備されている右側の車両用前照灯100である。右側の車両用前照灯100において、車幅方向の外側は車両101の右側であり、車幅方向の内側は車両101の左側である。以下、右側の車両用前照灯100について説明する。なお、車両101の前部の左側に装備されている左側の車両用前照灯(図示せず)は、右側の車両用前照灯100の構成を左右反転させたものであるから、説明を省略する。
【0023】
車両用前照灯100は、
図1に示すように、空間としての灯室104を形成するランプハウジング102およびランプレンズ103と、灯室104内に配置されている第1ランプユニット1LUおよび第2ランプユニット2LUと、を備える。
【0024】
ランプハウジング102は、光不透過性の樹脂部材から構成されている。ランプレンズ103は、光透過性の樹脂部材から構成されている。ランプレンズ103は、アウターレンズあるいはアウターカバーである。ランプレンズ103の表面(灯室104側の面に対して反対側の面であって、出射面)の平面視形状は、
図1に示すように、車両101の意匠面に沿って、車幅方向の内側から外側に向けて(車両101の左側から右側に行くに従って)、車両101の前側から後側に徐々に傾斜した形状、あるいは、回り込んだ形状、すなわち、スラント形状をなしている。なお、ランプレンズ103の裏面(灯室104側の面であって、入射面)の平面視形状も、ランプレンズ103の表面と同様に、スラント形状をなしている。
【0025】
第1ランプユニット1LUと第2ランプユニット2LUとは、
図1および
図2に示すように、車幅方向(車両101の左右方向)に配置されている。第1ランプユニット1LUは、車幅方向の外側(車両101の右側)に配置されている。第2ランプユニット2LUは、第1ランプユニット1LUに対して、車幅方向の内側(車両101の左側)でかつ車両101の前側に、配置されている。すなわち、第1ランプユニット1LUと第2ランプユニット2LUとは、車両101の前端部の左右コーナ部の車体形状に沿って、配置されている。
【0026】
灯室104内には、第1ランプユニット1LUおよび第2ランプユニット2LU以外のランプユニット、たとえば、デイタイムランニングランプユニット、フロントターンシグナルランプユニット、ポジションランプユニット、装飾用ランプユニットなどが、配置されている。また、灯室104内には、インナーパネル(インナーハウジング)などが配置されている場合がある。
【0027】
(第1ランプユニット1LUの説明)
第1ランプユニット1LUは、
図1から
図8に示すように、光源としての第1光源11と、リフレクタ2と、シェード3と、レンズとしての第1レンズ41と、第1ヒートシンク51と、第1フレーム部材61と、を備える。第1ランプユニット1LUは、プロジェクタータイプのランプユニットである。
【0028】
第1ランプユニット1LUは、
図4から
図8に示すように、リフレクタ軸Z1と、レンズ光軸Z10と、を有する。リフレクタ軸Z1は、リフレクタ2の後記の主反射面200の光軸(回転軸)と一致もしくはほぼ一致する。リフレクタ軸Z1は、車両101の前後方向の番線(図示せず)に対して車幅方向の外側に向いている。なお、リフレクタ軸Z1は、車両101の番線と平行であっても良い。レンズ光軸Z10は、第1レンズ41の光軸であって、車両101の番線と平行である。
【0029】
第1ランプユニット1LUは、ロービーム用ランプユニットであって、
図9に示すロービーム配光パターンの主配光パターンLP、追加配光パターンとしての第1拡散配光パターンWP1、第2拡散配光パターンWP2および補助拡散配光パターンWPSを、車両101の前方から車幅方向の外側にかけて照射する。なお、
図9に示す各配光パターンLP、WP1、WP2、WPSは、照射位置を示す簡易的な配光パターンであって、左右に長い長円形形状で示されているが、実際の配光パターンの形状とは、異なる。また、以下、追加配光パターンを、第1拡散配光パターンWP1、第2拡散配光パターンWP2および補助拡散配光パターンWPSとして称する。
【0030】
主配光パターンLPの上縁には、
図9中の太い実線で示すように、カットオフラインCLが形成されている。
図9に示すカットオフラインCLは、明暗の境界線を示す簡易なカットオフラインであって、中央の斜めカットオフライン、左側の上左右カットオフライン、および、右側の下左右カットオフラインで示されているが、実際のカットオフラインとは、異なる。主配光パターンLPの左端は、スクリーンの上下垂直線VU-VD(0°)から左側の約37°の位置に位置する。主配光パターンLPの右端は、スらクリーンの上下垂直線VU-VD(0°)から右側の約22°の位置に位置する。
【0031】
第1拡散配光パターンWP1の上縁は、スクリーンの左右水平線HL-HRとほぼ一致する。第1拡散配光パターンWP1の左端は、スクリーンの上下垂直線VU-VD(0°)から右側の約8°の位置に位置する。第1拡散配光パターンWP1の右端は、スクリーンの上下垂直線VU-VD(0°)から右側の約30°の位置に位置する。これにより、第1拡散配光パターンWP1は、主配光パターンLPの車幅方向の外側に位置する。第1拡散配光パターンWP1の左端の一部分は、主配光パターンLPの右端の一部分と重畳する。
【0032】
第2拡散配光パターンWP2の上縁は、スクリーンの左右水平線HL-HRとほぼ一致する。第2拡散配光パターンWP2の左端は、スクリーンの上下垂直線VU-VD(0°)から右側の約39°の位置に位置する。第2拡散配光パターンWP2の右端は、スクリーンの上下垂直線VU-VD(0°)から右側の約89°の位置に位置する。これにより、第2拡散配光パターンWP2は、第1拡散配光パターンWP1車幅方向の外側に位置する。
【0033】
補助拡散配光パターンWPSの上縁は、スクリーンの左右水平線HL-HRとほぼ一致する。補助拡散配光パターンWPSの左端は、スクリーンの上下垂直線VU-VD(0°)から右側の約20°の位置に位置する。補助拡散配光パターンWPSの右端は、スクリーンの上下垂直線VU-VD(0°)から右側の約50°の位置に位置する。これにより、補助拡散配光パターンWPSは、第1拡散配光パターンWP1と第2拡散配光パターンWP2との間に位置する。補助拡散配光パターンWPSの左端の一部分は、第1拡散配光パターンWP1の右端の一部分と重畳する。補助拡散配光パターンWPSの右端の一部分は、第2拡散配光パターンWP2の左端の一部分と重畳する。
【0034】
(第1光源11の説明)
第1光源11は、この例では、LEDである。第1光源11は、
図3に示すように、第1ヒートシンク51の後記の第1取付部510に取り付けられている。第1光源11は、側面から見てリフレクタ軸Z1に対して下側に配置されている。また、第1光源11は、
図4から
図8に示すように、上側から見てリフレクタ軸Z1と上下に重なって配置されている。第1光源11は、光L1を出射させる。
【0035】
(リフレクタ2の説明)
リフレクタ2は、
図1、
図3から
図8に示すように、主リフレクタ20と、第1セグメント21と、第2セグメント22と、補助セグメント2Sと、を有する。
【0036】
主リフレクタ20は、回転楕円の一部もしくは回転楕円を基調とする形状の一部から構成されている。主リフレクタ20の内面(第1光源11と対向する面)には、回転楕円面もしくは回転楕円面を基調とする主反射面200が形成されている。主反射面200は、第1焦点F201と第2焦点F202とを有する。第1焦点F201は、第1光源11に位置する。第2焦点F202は、第1レンズ41の後記の後側焦点FB上にもしくはその近傍に位置する。第1焦点F201と第2焦点F202とを結ぶ直線は、主反射面200の光軸であって、回転楕円面の回転軸であり、リフレクタ軸Z1である。
【0037】
主反射面200は、
図5に示すように、第1光源11からの光L1の一部を、反射光L20としてシェード3および第1レンズ41側に反射させ、かつ、主配光パターンLPとして第1レンズ41から車両101の前方に照射する。すなわち、シェード3で遮蔽されなかった反射光L20が第1レンズ41から主配光パターンLPとして車両101の前方に照射される。
【0038】
第1セグメント21は、主リフレクタ20の車幅方向の内側に配置されている。第1セグメント21は、回転楕円の一部もしくは回転楕円を基調とする形状の一部から構成されている。第1セグメント21の内面(第1光源11と対向する面)には、回転楕円面もしくは回転楕円面を基調とする第1追加反射面210が形成されている。第1追加反射面210は、第1焦点F211と第2焦点F212とを有する。第1焦点F211は、第1光源11に位置する。第2焦点F212は、第1レンズ41の後側焦点FBと第1レンズ41の入射面410との間に位置する。
【0039】
第1追加反射面210は、
図6に示すように、第1光源11からの光L1の一部を、反射光L21として第1レンズ41側に反射させ、かつ、第1拡散配光パターンWP1として第1レンズ41から車両101の前方に照射する。
【0040】
第2セグメント22は、一次セグメント221と、二次セグメント222と、を有する。一次セグメント221は、主リフレクタ20の車幅方向の外側に配置されている。二次セグメント222は、主リフレクタ20の車幅方向の内側であって、補助セグメント2Sのうち最も第1レンズ41側に配置されている二次補助セグメント2S2に対して第1レンズ41側に配置されている。
【0041】
一次セグメント221は、回転楕円の一部もしくは回転楕円を基調とする形状の一部から構成されている。一次セグメント221の内面(第1光源11と対向する面)には、回転楕円面もしくは回転楕円面を基調とする一次追加反射面223が形成されている。一次追加反射面223は、第1焦点F224と第2焦点F225とを有する。第1焦点F224は、第1光源11に位置する。第2焦点F225は、第1レンズ41の後側焦点FBと第1レンズ41の入射面410との間に位置する。二次セグメント222は、曲面の一部または平面の一部のうち少なくともいずれか一方から構成されている。二次セグメント222の内面(一次追加反射面223と対向する面)には、曲面または平面のうち少なくともいずれか一方の面からなる二次追加反射面224が形成されている。この第2セグメント22における一次追加反射面223および二次追加反射面224は、第2追加反射面を構成する。
【0042】
一次追加反射面223は、
図7に示すように、第1光源11からの光L1の一部を、一次反射光L22として二次追加反射面224側に反射させる。二次追加反射面224は、
図7に示すように、一次追加反射面223からの一次反射光L22を、二次反射光L220として第1レンズ41側に反射させ、かつ、第2拡散配光パターンWP2として第1レンズ41から車両101の前方に照射する。また、二次追加反射面224(すなわち、二次セグメント222)は、一次追加反射面223からの一次反射光L22が第2ランプユニット2LUの後記の第2レンズ42側に進む光路LG(
図8中の破線矢印を参照)を遮断する。
【0043】
補助セグメント2Sは、一次補助セグメント2S1と、二次補助セグメント2S2と、を有する。一次補助セグメント2S1は、主リフレクタ20の車幅方向の内側であって、第1セグメント21に対して第1レンズ41側と反対側に配置されている。二次補助セグメント2S2は、主リフレクタ20の車幅方向の内側であって、第1セグメント21に対して第1レンズ41側に配置されている。
【0044】
一次補助セグメント2S1は、回転放物面の一部もしくは回転放物面を基調とする形状の一部から構成されている。一次補助セグメント2S1の内面(第1光源11と対向する面)には、回転放物面もしくは回転放物面を基調とする一次補助追加反射面2S3が形成されている。一次補助追加反射面2S3は、焦点F23Sを有する。焦点F23Sは、第1光源11に位置する。二次補助セグメント2S2は、曲面の一部から構成されている。二次補助セグメント2S2の内面(一次補助追加反射面2S3と対向する面)には、曲面の二次補助追加反射面2S4が形成されている。この補助セグメント2Sにおける一次補助追加反射面2S3および二次補助追加反射面2S4は、補助追加反射面を構成する。
【0045】
一次補助追加反射面2S3は、
図8に示すように、第1光源11からの光L1の一部を、一次反射光L2Sとして二次補助追加反射面2S4側に反射させる。二次補助追加反射面2S4は、
図8に示すように、一次補助追加反射面2S3からの一次反射光L2Sを、二次反射光L20Sとして第1レンズ41側に反射させ、かつ、補助拡散配光パターンWPSとして第1レンズ41から車両101の前方に照射する。
【0046】
(シェード3の説明)
シェード3は、
図3に示すように、第1光源11および主リフレクタ20と第1レンズ41との間に配置されている。シェード3は、主反射面200からの反射光L20の一部を遮蔽して、主配光パターンLPの上縁に水平のカットオフラインCLを形成する。主反射面200からの反射光L20であって、シェード3で遮蔽されず、シェード3の上縁30を通過した反射光L20は、主配光パターンLPとして、第1レンズ41から車両101の前方に照射される。
【0047】
シェード3の上縁30は、第1レンズ41の後側焦点FBに配置されている。なお、図示されていないが、シェード3の上縁30は、車両101の左右方向に形成されている。
【0048】
(第1レンズ41の説明)
第1レンズ41は、
図1から
図8に示すように、入射面410と出射面411とを有する。入射面410は、第1光源11および主リフレクタ20側に突出した凸形状、すなわち、非球面の凸レンズ面をなす。入射面410の凸形状の頂点Pは、主反射面200の光軸(リフレクタ軸Z1)に対して、車幅方向の外側に位置する。入射面410は、後側焦点FBを有する。
【0049】
出射面411の平面視形状は、ランプレンズ103の表面の平面視形状と同様に、車両101の意匠面に沿って、車幅方向の内側から外側に向けて(車両101の左側から右側に行くに従って)、車両101の前側から後側に徐々に傾斜した形状、あるいは、回り込んだ形状、すなわち、スラント形状をなしている。
【0050】
(第1ヒートシンク51の説明)
第1ヒートシンク51は、
図1および
図3に示すように、第1取付部510と、第1フィン部511と、を有する。第1取付部510は、水平な板形状をなしている。第1取付部510の上面には、第1光源11、リフレクタ2およびシェード3が取り付けられている。第1取付部510の下面には、第1フィン部511が一体に設けられている。第1取付部510には、第1取付ボス部512が一体に設けられている。
【0051】
(第1フレーム部材61の説明)
第1フレーム部材61は、
図1から
図3に示すように、第1フランジ部610と第1フレーム部611とを有する。第1フレーム部611は、ほぼ筒形状をなしている。第1フランジ部610には、第1フレーム部611の後側開口部の周縁部が一体に設けられている。第1フランジ部610には、第1取付ボス部612が一体に設けられている。
【0052】
(第2ランプユニット2LUの説明)
第2ランプユニット2LUは、ロービーム用ランプユニットの第1ランプユニット1LUに対して、他機能のランプユニットであって、第1ランプユニット1LUの車幅方向の内側に配置されている。
【0053】
第2ランプユニット2LUは、第2光源12と、第2レンズ42と、第2ヒートシンク52と、第2フレーム部材62と、を備える。第2ランプユニット2LUは、直射タイプ(ダイレクトタイプ)のランプユニットである。
【0054】
第2ランプユニット2LUは、第2ランプ軸Z2を有する。第2ランプ軸Z2は、車両101の前後方向の番線と平行である。なお、第2ランプ軸Z2は、車両101の番線に対して、傾斜していても良い。
【0055】
第2ランプユニット2LUは、この例では、いわゆる、ADB(Adaptive Driving Beam)のランプユニット、または、AHSのランプユニットであって、配光可変のハイビーム配光パターン(図示せず)を、車両101の前方に照射する。すなわち、第2ランプユニット2LUは、対向車や先行車などの前方車両が存在しない時には、後記の第2光源12の全個の発光素子を点灯させて、ハイビーム配光パターンを車両101の前方に照射する。第2ランプユニット2LUは、前方車両が存在する時には、前方車両と対応する発光素子の点灯を制御して、前方車両が存在する領域をその周囲の領域よりも暗く制御したハイビーム配光パターンを車両101の前方に照射する。
【0056】
なお、第2ランプユニット2LUとしては、配光可変のハイビーム配光パターンおよび主配光パターンLP以外の他機能配光パターンを照射するランプユニットであっても良い。
【0057】
(第2光源12の説明)
第2光源12は、この例では、LEDである。第2光源12は、第2ヒートシンク52の後記の第2取付部520に取り付けられている。第2光源12は、
図2に示すように、複数個の発光素子を有する。複数個の発光素子は、それぞれ、独立して、点灯、消灯、発光強度の調整が行われる。
【0058】
(第2レンズ42の説明)
第2レンズ42は、
図1および
図2に示すように、入射面(図示せず)と出射面421とを有する。入射面は、図示されていないが、第2光源12側に突出した非球面の凸レンズ面をなす。入射面は、後側焦点(図示せず)を有する。
【0059】
出射面421の平面視形状は、第2ランプ軸Z2を対称軸として、ほぼ左右対称の形状をなしている。
【0060】
(第2ヒートシンク52の説明)
第2ヒートシンク52は、
図1に示すように、第2取付部520と、第2フィン部521と、を有する。第2取付部520は、鉛直な板形状をなしている。第2取付部520の前面には、第2光源12が取り付けられている。第2取付部520の後面には、第2フィン部521が一体に設けられている。第2取付部520には、第2取付ボス部522が一体に設けられている。
【0061】
(第2フレーム部材62の説明)
第2フレーム部材62は、
図1および
図2に示すように、第2フランジ部620と第2フレーム部621とを有する。第2フレーム部621は、ほぼ筒形状をなしている。第2フランジ部620には、第2フレーム部621の後側開口部の周縁部が一体に設けられている。第2フランジ部620には、第2取付ボス部622が一体に設けられている。
【0062】
(単一レンズ4の説明)
第1レンズ41と第2レンズ42とは、車幅方向に一体に形成されている単一レンズ4から構成されている。第1レンズ41は、単一レンズ4の車幅方向の外側の部分から構成されていて、第2レンズ42は、単一レンズ4の車幅方向の内側の部分から構成されている。
【0063】
単一レンズ4は、入射面401と出射面402とを有する。単一レンズ4の出射面402の平面視形状は、ランプレンズ103と同様に、車幅方向の内側から外側に向けて車両101の前側から後側に傾斜した形状あるいは回り込んだ形状、すなわち、スラント形状をなしている。
【0064】
単一レンズ4の入射面401の車幅方向の外側の部分は、第1レンズ41の入射面410を構成する。単一レンズ4の入射面401の車幅方向の内側の部分は、第2レンズ42の入射面を構成する。単一レンズ4の出射面402の車幅方向の外側の部分は、第1レンズ41の出射面411を構成する。単一レンズ4の出射面402の車幅方向の内側の部分は、第2レンズ42の出射面421を構成する。
【0065】
(単一ヒートシンク5の説明)
第1ヒートシンク51と第2ヒートシンク52とは、車幅方向に一体に形成されている単一ヒートシンク5から構成されている。単一ヒートシンク5の正面視形状は、横長の長方形形状をなす。第1ヒートシンク51は、単一ヒートシンク5車幅方向の外側の部分から構成されていて、第2ヒートシンク52は、単一ヒートシンク5の車幅方向の内側の部分から構成されている。なお、単一ヒートシンク5には、ファンユニット(図示せず)が配置されている場合がある。
【0066】
単一ヒートシンク5は、取付部とフィン部とを有する。単一ヒートシンク5の取付部およびフィン部の車幅方向の外側の部分は、第1ヒートシンク51の第1取付部510および第1フィン部511を構成する。単一ヒートシンク5の取付部およびフィン部の車幅方向の内側の部分は、第2ヒートシンク52の第2取付部520および第2フィン部521を構成する。
【0067】
(単一フレーム部材6の説明)
第1フレーム部材61と第2フレーム部材62とは、車幅方向に一体に形成されている単一フレーム部材6から構成されている。単一フレーム部材6の正面視形状は、横長の長方形形状をなす。第1フレーム部材61は、単一フレーム部材6の車幅方向の外側の部分から構成されていて、第2フレーム部材62は、単一フレーム部材6の車幅方向の内側の部分から構成されている。
【0068】
単一フレーム部材6は、フランジ部と筒形状のフレーム部とを有する。単一フレーム部材6のフランジ部および筒形状のフレーム部の車幅方向の外側の部分は、第1フレーム部材61の第1フランジ部610および第1フレーム部611を構成する。単一フレーム部材6のフランジ部および筒形状のフレーム部の車幅方向の内側の部分は、第2フレーム部材62の第2フランジ部620および第2フレーム部621を構成する。
【0069】
(第1ランプユニット1LUおよび第2ランプユニット2LUの組立の説明)
第1光源11は、単一ヒートシンク5の第1ヒートシンク51の第1取付部510に取り付けられている。第2光源12は、単一ヒートシンク5の第2ヒートシンク52の第2取付部520に取り付けられている。
【0070】
単一レンズ4の第1レンズ41は、単一フレーム部材6の第1フレーム部材61の第1フレーム部611の前側開口部の周縁部に取り付けられている。単一レンズ4の第2レンズ42は、単一フレーム部材6の第2フレーム部材62の第2フレーム部621の前側開口部の周縁部に取り付けられている。
【0071】
単一ヒートシンク5の第1取付部510の第1取付ボス部512および第2取付部520の第2取付ボス部522と、単一フレーム部材6の第1フレーム部材61の第1取付ボス部612および第2フレーム部材62の第2取付ボス部622とは、相互に、スクリューなどにより取り付けられている。
【0072】
このようにして、第1ランプユニット1LUおよび第2ランプユニット2LUは、組み立てられている。
【0073】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用前照灯100は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0074】
第1ランプユニット1LUの第1光源11を点灯する。すると、第1光源11から出射した光L1の一部は、主反射面200で反射光L20として反射される。この反射光L20の一部は、シェード3で遮蔽され、シェード3で遮蔽されなかった反射光L20は、第1レンズ41から主配光パターンLPとして車両101の前方に照射される。
【0075】
また、第1光源11から出射した光L1の一部は、第1追加反射面210で反射光L21として反射される。この反射光L21は、第1レンズ41から第1拡散配光パターンWP1として車両101の前方に照射される。第1拡散配光パターンWP1は、主配光パターンLPの車幅方向の外側に位置していて、第1拡散配光パターンWP1の左端の一部分は、主配光パターンLPの右端の一部分と重畳する。
【0076】
さらに、第1光源11から出射した光L1の一部は、第2追加反射面の一次追加反射面223で一次反射光L22として反射される。この一次反射光L22は、第2追加反射面の二次追加反射面224で二次反射光L220として反射される。この二次反射光L220は、第1レンズ41から第2拡散配光パターンWP2として車両101の前方に照射される。第2拡散配光パターンWP2は、第1拡散配光パターンWP1車幅方向の外側に位置する。
【0077】
さらにまた、第1光源11から出射した光L1の一部は、補助追加反射面の一次補助追加反射面2S3で一次反射光L2Sとして反射される。この一次反射光L2Sは、補助追加反射面の二次補助追加反射面2S4で二次反射光L20Sとして反射される。この二次反射光L20Sは、第1レンズ41から補助拡散配光パターンWPSとして車両101の前方に照射される。補助拡散配光パターンWPSは、第1拡散配光パターンWP1と第2拡散配光パターンWP2との間に位置する。補助拡散配光パターンWPSの左端の一部分は、第1拡散配光パターンWP1の右端の一部分と重畳する。補助拡散配光パターンWPSの右端の一部分は、第2拡散配光パターンWP2の左端の一部分と重畳する。
【0078】
このようにして、第1ランプユニット1LUは、
図9に示すように、ロービーム配光パターンの主配光パターンLP、第1拡散配光パターンWP1、第2拡散配光パターンWP2および補助拡散配光パターンWPSを、車両101の前方から車幅方向の外側(右側)にかけて照射する。
【0079】
なお、左側の車両用前照灯の第1ランプユニットは、
図9に示すロービーム配光パターンと左右を反転させたロービーム配光パターン(図示せず)を車両101の前方から車幅方向の外側(左側)にかけて照射する。この結果、右側の車両用前照灯100の第1ランプユニット1LUから照射された
図9に示すロービーム配光パターンと、左側の車両用前照灯の第1ランプユニットから照射されたロービーム配光パターンとが重畳されて、全体のロービーム配光パターン(図示せず)が形成される。
【0080】
第2ランプユニット2LUの第2光源12を点灯する。すると、第2光源12から出射した光は、直接(ダイレクトに)第2レンズ42に入射し、第2レンズ42からハイビーム配光パターン(図示せず)として車両101の前方に照射される。ここで、車両101の前方に、対向車両や先行車両などの前方車両が存在する時には、ハイビーム配光パターンのうち、前方車両が存在する領域をその周囲の領域よりも暗く制御される。このようにして、第2ランプユニット2LUは、配光可変のハイビーム配光パターンを車両101の前方に照射する。
【0081】
第1光源11と第2光源12の点灯時において、単一フレーム部材6は、第1光源11からの光L1、第2光源12からの光(図示せず)、および、第1ランプユニット1LUの反射面からの反射光が単一レンズ4に入射するまでの間において、外部に漏れるのを防ぐ。
【0082】
第1光源11、第2光源12の点灯に伴って、第1光源11、第2光源12において発生する熱は、単一ヒートシンク5の取付部を介してフィン部から外部に放出される。
【0083】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用前照灯100は、以上のごとき構成、作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0084】
この実施形態にかかる車両用前照灯100において、第1レンズ41の入射面410は、第1光源11側に突出した凸形状をなしている。この結果、この実施形態にかかる車両用前照灯100は、追加反射面からの反射光、すなわち、第1セグメント21の第1追加反射面210からの反射光L21、第2セグメント22の二次追加反射面224からの二次反射光L220、および、補助セグメント2Sの二次補助追加反射面2S4からの二次反射光L20Sを、第1レンズ41の入射面410に入射させ易くなる。これにより、この実施形態にかかる車両用前照灯100は、追加反射面210、224、2S4からの反射光L21、L220、L20Sを第1レンズ41の入射面410に入射させる光量を増加させるので、第1レンズ41の出射面411の平面視形状がスラント形状の場合であっても、主配光パターンLPの車幅方向の外側の領域を照射する拡散配光パターン(第1拡散配光パターンWP1、第2拡散配光パターンWP2、補助拡散配光パターンWPS)を形成し易い。
【0085】
この実施形態にかかる車両用前照灯100において、第1レンズ41の入射面410の凸形状の頂点Pは、主反射面200の光軸(リフレクタ軸Z1)に対して車幅方向の外側に位置しているので、拡散配光パターン(第1拡散配光パターンWP1、第2拡散配光パターンWP2、補助拡散配光パターンWPS)を主配光パターンLPの車幅方向の外側に配光し易くなる。
【0086】
この実施形態にかかる車両用前照灯100において、拡散配光パターンは、主配光パターンLPの車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が主配光パターンLPに重畳する第1拡散配光パターンWP1と、第1拡散配光パターンWP1の車幅方向の外側に位置する第2拡散配光パターンWP2と、第1拡散配光パターンWP1と第2拡散配光パターンWP2の間に位置し、かつ、車幅方向の内側の一部分が第1拡散配光パターンWP1に重畳し、車幅方向の外側の一部分が第2拡散配光パターンWP2に重畳する補助拡散配光パターンWPSと、を有する。この結果、この実施形態にかかる車両用前照灯100は、第2拡散配光パターンWP2を第1拡散配光パターンWP1の車幅方向の外側に位置させても、補助拡散配光パターンWPSにより、第1拡散配光パターンWP1と第2拡散配光パターンWP2との間を滑らかに繋げることができる。
【0087】
この実施形態にかかる車両用前照灯100において、第1追加反射面210は、主反射面200の車幅方向の内側に配置されていて、第2追加反射面は、主反射面200の車幅方向の外側に配置されている一次追加反射面223と、主反射面200の車幅方向の内側であって、第1追加反射面210に対して第1レンズ41側に配置されている二次追加反射面224と、を有し、補助追加反射面は、主反射面200の車幅方向の内側と第1追加反射面210との間に配置されている一次補助追加反射面2S3と、第1追加反射面210と第2追加反射面の二次追加反射面224との間に配置されている二次補助追加反射面2S4と、を有する。この結果、この実施形態にかかる車両用前照灯100は、第1追加反射面210により、主配光パターンLPの車幅方向の外側に位置し、かつ、一部分が主配光パターンLPに重畳する第1拡散配光パターンWP1を容易に得ることができ、第2追加反射面の一次追加反射面223および二次追加反射面224により、第1拡散配光パターンWP1の車幅方向の外側に位置する第2拡散配光パターンWP2を容易に得ることができ、補助追加反射面の一次補助追加反射面2S3および二次補助追加反射面2S4により、第1拡散配光パターンWP1と第2拡散配光パターンWP2の間に位置し、かつ、車幅方向の内側の一部分が第1拡散配光パターンWP1に重畳し、車幅方向の外側の一部分が第2拡散配光パターンWP2に重畳する補助拡散配光パターンWPSを容易に得ることができる。
【0088】
この実施形態にかかる車両用前照灯100において、第1ランプユニット1LUの反射面は、一次追加反射面223からの一次反射光L22を、第1レンズ41側に反射させて、一次反射光L22の第2レンズ42側への光路を遮断する二次追加反射面224を有するものである。この結果、この実施形態にかかる車両用前照灯100は、第1光源11からの光L1を、第2拡散配光パターンWP2として有効に利用することができ、かつ、第1ランプユニット1LUの車幅方向の内側に配置されている第2ランプユニット2LU側に入射してグレアとなるのを防止することができる。
【0089】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、拡散配光パターンが第1拡散配光パターンWP1と第2拡散配光パターンWP2と補助拡散配光パターンWPSとを有し、追加反射面が第1追加反射面210と第2追加反射面の一次追加反射面223および二次追加反射面224と補助追加反射面の一次補助追加反射面2S3および二次補助追加反射面2S4とを有する、例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、拡散配光パターンが第1拡散配光パターンWP1と第2拡散配光パターンWP2とを有し、追加反射面が第1追加反射面210と第2追加反射面の一次追加反射面223および二次追加反射面224とを有し、補助拡散配光パターンWPSと補助追加反射面の一次補助追加反射面2S3および二次補助追加反射面2S4とを有さない場合でも良い。この場合においては、主反射面200の面積が補助追加反射面の一次補助追加反射面2S3により狭まれないので、主配光パターンLPの光量を上げることができる。また、第2拡散配光パターンWP2の車幅方向の内側の一部分を第1拡散配光パターンWP1に重畳することにより、主配光パターンLPから車幅方向の外側に滑らかに繋がっている第1拡散配光パターンWP1および第2拡散配光パターンWP2を得ることができる。
【0090】
この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0091】
1LU 第1ランプユニット
11 第1光源
2 リフレクタ
20 主リフレクタ
200 主反射面
21 第1セグメント
210 第1追加反射面
22 第2セグメント
221 一次セグメント
222 二次セグメント
223 一次追加反射面
224 二次追加反射面
2S 補助セグメント
2S1 一次補助セグメント
2S2 二次補助セグメント
2S3 一次補助追加反射面
2S4 二次補助追加反射面
3 シェード
30 上縁
41 第1レンズ
410 入射面
411 出射面
51 第1ヒートシンク
510 第1取付部
511 第1フィン部
512 第1取付ボス部
61 第1フレーム部材
610 第1フランジ部
611 第1フレーム部
612 第1取付ボス部
2LU 第2ランプユニット
12 第2光源
42 第2レンズ
421 出射面
52 第2ヒートシンク
520 第2取付部
521 第2フィン部
522 第2取付ボス部
62 第2フレーム部材
620 第2フランジ部
621 第2フレーム部
622 第2取付ボス部
4 単一レンズ
401 入射面
402 出射面
5 単一ヒートシンク
6 単一フレーム部材
100 車両用前照灯
101 車両
102 ランプハウジング
103 ランプレンズ
104 灯室(空間)
B 後
CL 水平のカットオフライン
D 下
F 前
F201 第1焦点
F202 第2焦点
F211 第1焦点
F212 第2焦点
F224 第1焦点
F225 第2焦点
F2S3 焦点
FB 後側焦点
HL-HR 左右水平線
L 左
L1 光
L20 反射光
L21 反射光
L22 反射光
L220 反射光
L2S 反射光
L20S 反射光
LG 光路
LP 主配光パターン
P 頂点
R 右
U 上
VU-VD 上下垂直線
WP1 第1拡散配光パターン(追加配光パターン)
WP2 第2拡散配光パターン(追加配光パターン)
WPS 補助拡散配光パターン(追加配光パターン)
Z1 リフレクタ軸
Z10 レンズ光軸
Z2 第2ランプ軸