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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136842
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】斜面崩壊防止施設
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E02D17/20 106
E02D17/20 103A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048124
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003528
【氏名又は名称】東京製綱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】西本 尚平
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DB01
2D044EA00
(57)【要約】
【課題】より効果的な落石防止機能をも備えさせた斜面崩壊防止施設の提供。
【解決手段】地山に打設される複数の補強材であって地山のゆるみやひずみによって補強材に生じる引張抵抗に基づいて地山の安定性を向上させる補強材11を有する、斜面崩壊防止施設であって、落石防止用の面材14と、面材14に直接若しくは間接的に連結されて面材14が斜面下方へと変位することを低減するためのアンカーであって、打設された状態においてその頭部に荷重がかかった際の変位量が補強11材よりも小さい変位低減アンカー12と、を備えることにより、落石防止機能も有する、斜面崩壊防止施設1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山に打設される複数の補強材であって地山のゆるみやひずみによって補強材に生じる引張抵抗に基づいて地山の安定性を向上させる補強材を有する、斜面崩壊防止施設であって、
落石防止用の面材と、
前記面材に直接若しくは間接的に連結されて前記面材が斜面下方へと変位することを低減するためのアンカーであって、打設された状態においてその頭部に荷重がかかった際の変位量が前記補強材よりも小さい変位低減アンカーと、
を備えることにより、落石防止機能も有する、斜面崩壊防止施設。
【請求項2】
前記変位低減アンカーが、前記補強材が打設されている範囲の外側の地山に打設されている、請求項1に記載の斜面崩壊防止施設。
【請求項3】
前記面材が、前記補強材の頭部を相互に連結する索体若しくは金網、又は、前記索体及び前記索体に締結された金網によって構成される、請求項1又は2に記載の斜面崩壊防止施設。
【請求項4】
前記変位低減アンカーの上部の、荷重がかかる方向に沿った方向から見た射影面積が、前記補強材の上部側の、傾斜に沿った方向から見た射影面積よりも大きい、請求項1又は2に記載の斜面崩壊防止施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜地における斜面崩壊を防止するための地山補強土工として用いられる斜面崩壊防止施設に関し、特に、落石防止機能も備えた斜面崩壊防止施設に関する。
【背景技術】
【0002】
傾斜地において、曲げ剛性が比較的小さいロックボルトや鉄筋などの補強材を地山に複数打設して、地山のゆるみやひずみによって補強材に生じる主に引張抵抗に基づいて、斜面崩壊を防止する地山補強土工法が用いられている。
このような地山補強土工法に関する従来技術が、特許文献1によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-155404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の地山補強土工法は、その基本概念は斜面崩壊の防止であり、落石防止の概念はないのが通常である。
上記のように、曲げ剛性が比較的小さいロックボルトや鉄筋などの補強材を使用する地山補強土工法においては、補強材の変形が生じることによって初めて引張抵抗が生じ、地山のゆるみやひずみを抑える作用が生じるものである。即ち、補強材の頭部が変位することが前提となる技術である。
このような地山補強土工法において、例えば、補強材やこれに連結されている索体等に対して締結させた金網を設けたとしても、落石防止機能を十分に発揮できない。上記のように、補強材の頭部は変位することが前提であり、従って、これに直接若しくは間接的に締結される金網も変位することになり、金網のずれ(動き)が生じる結果となる。金網にずれ(動き)が生じると、斜面に対する金網の位置にも設置時からのずれが生じ、浮石や転石を押さえる力や捕捉能力が低減するおそれがあるためである。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、補強材に生じる引張抵抗に基づいて地山の安定性を向上させる地山補強土工法として用いられる斜面崩壊防止施設において、より効果的な落石防止機能も備えさせた斜面崩壊防止施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
地山に打設される複数の補強材であって地山のゆるみやひずみによって補強材に生じる引張抵抗に基づいて地山の安定性を向上させる補強材を有する、斜面崩壊防止施設であって、落石防止用の面材と、前記面材に直接若しくは間接的に連結されて前記面材が斜面下方へと変位することを低減するためのアンカーであって、打設された状態においてその頭部に荷重がかかった際の変位量が前記補強材よりも小さい変位低減アンカーと、を備えることにより、落石防止機能も有する、斜面崩壊防止施設。
【0007】
(構成2)
前記変位低減アンカーが、前記補強材が打設されている範囲の外側の地山に打設されている、構成1に記載の斜面崩壊防止施設。
【0008】
(構成3)
前記面材が、前記補強材の頭部を相互に連結する索体若しくは金網、又は、前記索体及び前記索体に締結された金網によって構成される、構成1又は2に記載の斜面崩壊防止施設。
【0009】
(構成4)
前記変位低減アンカーの上部の、荷重がかかる方向に沿った方向から見た射影面積が、前記補強材の上部側の、傾斜に沿った方向から見た射影面積よりも大きい、構成1から3の何れかに記載の斜面崩壊防止施設。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、補強材に生じる引張抵抗に基づいて地山の安定性を向上させる地山補強土工法として用いられる斜面崩壊防止施設において、より効果的な落石防止機能も備えさせた斜面崩壊防止施設を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態の斜面崩壊防止施設を示す概略図
図2】実施形態の斜面崩壊防止施設に用いられる補強材を示す図
図3】実施形態の斜面崩壊防止施設に用いられる変位低減アンカー示す図
図4】斜面崩壊防止施設の他の例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0013】
図1は、本発明に係る実施形態の斜面崩壊防止施設の構成の概略を示す図(理解の容易のために、一部の部材を大きく描くなどしており、部品間のスケール比が実際とは異なる図)である。
本実施形態の斜面崩壊防止施設1は、傾斜地に設置されて地山(本件においては、自然傾斜地の他、切土や盛り土等によって形成された傾斜地を含む概念である)の斜面崩壊の発生を防止するための施設であり、地山補強土工として用いられる斜面崩壊防止施設である。
斜面崩壊防止施設1は、地山に打設される複数の補強材であって、地山のゆるみやひずみによって補強材に生じる引張抵抗に基づいて地山の安定性を向上させる補強材11と、
複数の補強材11の頭部を相互に連結する縦ロープ131及び横ロープ132と、
落石防止用の面材(金網)14と、
面材14に直接若しくは間接的に連結されて面材14が斜面下方へと変位することを低減するためのアンカーであって、打設された状態においてその頭部に斜面に沿った方向に荷重がかかった際の変位量が補強材11よりも小さい変位低減アンカー12と、
変位低減アンカー12と補強材11を連結する連結ロープ15と、
を備えている。
【0014】
図2は、打設状態の補強材11を示す図であり、図2(a):側面図、図2(b):上面図である。
補強材11は、
棒鋼111と、
棒鋼111の頭部に挿通されて、地表に接するように配置される支圧板112と、
支圧板112との間で縦ロープ131及び横ロープ132を保持する固定板113と、
を備えている。
【0015】
棒鋼111は、設置孔Hに挿入され、グラウト材Gによって地中に固定されている。棒鋼111の頭部にはネジ山が形成されている。棒鋼111は、地山のゆるみやひずみが生じた際に、これによって棒鋼111を引き伸ばすような力が生じ、これに対する引張抵抗によって地山の安定性を向上させる部材である。棒鋼111は曲げ剛性が比較的小さい部材であり、上記の機能が発揮される際には、その頭部が斜面下方に変位することになる。
支圧板112は、中央に棒鋼111を通す穴が形成されている円形状の板材であり、地山のゆるみやひずみが生じた際に棒鋼111に対して荷重が効率的にかかるようにする部材である。なお、ここでは円形のものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、矩形等、任意の外径形状の部材を用いることができる。
固定板113は、中央に棒鋼111を通す穴が形成され、4本の脚部1131を底面側に有している矩形の板状部材である。脚部1131は、縦ロープ131及び横ロープ132に対する係合部として機能する。即ち、図2(b)に示されるように、棒鋼111の頭部との間で縦ロープ131若しくは横ロープ132を挟み込むように配置されることで、補強材11の頭部に対する縦ロープ131及び横ロープ132の固定を行うものである。なお、ここでは矩形のものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、円形等、任意の外径形状の部材を用いることができる。
打設された棒鋼111に対する各部材の取り付けは、支圧板112を棒鋼111の頭部に通して設置し、縦ロープ131及び横ロープ132を図2(a)、(b)に示すように係合させて固定板113を棒鋼111の頭部に通し、座金WおよびナットN(本実施形態では球面ワッシャーと球面ナットを使用)で固定することで行われる。
【0016】
図3は、変位低減アンカー12を示す図であり、図3(a):上面図、図3(b):正面図、図3(c):側面図である。
変位低減アンカー12は、
頭部を残して地中に打設される部分である杭部121と、
杭部121の上部側に形成されている2枚の抵抗板122と、
抵抗板122の上部に接合されている支圧板123と、
杭部121の頭部(地表に出る部分)において、杭部121を貫通して形成された穴に挿通されるピンボルト部材124と、
を備えている。
変位低減アンカー12は、連結ロープ15によって補強材11と連結される。また、面材14は、補強材11に対して連結された縦ロープ131及び横ロープ132に対して結合されている。従って、変位低減アンカー12は、間接的に(縦ロープ131及び横ロープ132を介して)面材14に連結されており、変位低減アンカー12は、面材14が変位することを低減するための部材である。なお、ここでは変位低減アンカー12が、間接的に面材14に連結されるものを例としているが、直接的に面材14に連結されるものであってもよい。
【0017】
杭部121は、鋼管によって構成され、先端が少し先細りに形成されている。
抵抗板122は、垂直方向に沿って配置される板状の部材であって、杭部121の上部側の両側面に固定(溶接)されている。抵抗板122が地中に打設されることで、高い抵抗力が生じる(小さな変位に対して大きな耐力が得られる)ものである。杭部121は、当該高い抵抗力が発揮されるように、荷重がかかる方向に対して抵抗板122が概ね直交するような方向で打設される。例えば、斜面の上部側(山側)に打設され、他の部材を吊持する変位低減アンカー12(即ち、斜面に沿って下方向に荷重がかかる変位低減アンカー12)は、抵抗板122が水平方向(図1における左右方向)に延びるような方向で打設される(図1参照)。なお、当該構成により、補強材11と変位低減アンカー12は「変位低減アンカー12の上部の、荷重がかかる方向に沿った方向から見た射影面積が、補強材11の上部側の、傾斜に沿った方向から見た射影面積よりも大きい」という関係を有している。
支圧板123はアンカー上部で水平方向に沿って配置される板状の部材であり、抵抗板122に固定(溶接)されている。支圧板123は抵抗板122の曲げ剛性を向上する補強部材として機能する。
ピンボルト部材124は、杭部121の頭部に締結させる縦ロープ131若しくは横ロープ132(各ロープの端部に形成されたアイ部)が外れることを防止するための係合部である。
【0018】
縦ロープ131及び横ロープ132並びに連結ロープ15はワイヤロープで構成され、前述した各補強材11の間、若しくは、補強材11と変位低減アンカー12を連結するものである。
縦ロープ131(若しくは横ロープ132)は、上端の補強材11から下端の補強材11(若しくは左端の補強材11から右端の補強材11)に至る長さを有し、直線状に配置されている変位低減アンカー12に対して1本の縦ロープ131(若しくは横ロープ132)であるものであっても良いし、各補強材11の間をそれぞれ個別の縦ロープ131(若しくは横ロープ132)で連結するもの等であっても良い。
また、縦ロープ131(若しくは横ロープ132)が連結ロープ15と共通化されて1本のロープであるものであってもよい。
各ロープの中間部で補強材11の頭部と連結する場合には、図2(b)で説明したようにして連結される。各ロープの端部で補強材11の頭部と連結する場合には、ロープ端部にアイ部を形成し、当該アイ部を棒鋼111の頭部に掛けて、固定板113で係止するようにする。また、連結ロープ15の端部で変位低減アンカー12の頭部と連結する場合には、ロープ端部にアイ部を形成し、当該アイ部を杭部121の頭部に掛けてピンボルト部材124によって係止する。
なお、ロープ端部のアイ部の形成は巻き付けグリップやワイヤグリップを使用する等、必要な強度を有する任意の方法によって形成するものであってよい。また、各ロープの中間部や端部を、補強材やアンカーの頭部に取り付けるための構成は、上記説明した構成に限られるものではなく、索体を杭状の部材の頭部に取り付けるために用いられる任意の構造や機構を用いることができる。
【0019】
面材14は、ひし形金網によって構成されており、補強材11が打設される範囲に全面的に設けられている(図では、図の見易さの観点から、金網の四隅部分のみ描くようにしている)。
ひし形金網である面材14は、結合コイルによって、縦ロープ131及び横ロープ132に対して結合されている。
面材14は、斜面に概ね沿うように設置され、これにより、浮石・転石の初期始動を予防して現位置にて押え込む、若しくは、落石を安全に法尻まで導く機能を有している。
【0020】
上記の構成を有する本実施形態の斜面崩壊防止施設1は、斜面崩壊を防止する地山補強土工法において、斜面に概ね沿うように設置された面材14と当該面材14の変位を低減するための変位低減アンカー12を備えていることにより、より効果的な落石防止機能を兼ね備えた斜面崩壊防止施設である。
前述したように、曲げ剛性が比較的小さいロックボルトや鉄筋などの補強材を使用する従来の地山補強土工法においては、補強材の頭部が変位することが前提となり、これに直接又は間接的に金網等の面材を設けたとしても、金網等の面材にも変位が生じる結果となる。面材に変位が生じると、浮石や転石を押さえる力や捕捉能力が低減するおそれがある。
これに対し、本実施形態の斜面崩壊防止施設1によれば、金網等の面材の変位を抑止するための変位低減アンカー12を備えていることにより、浮石・転石の初期始動を予防する機能や落石を安全に法尻まで導く機能をより効果的に得ることができる(機能低下を防止することができる)ものである。
【0021】
なお、本実施形態では、面材(およびこれを支持する変位低減アンカー12)が、補強材が打設されている範囲に対して全体的に設けられるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、面材(およびこれを支持する変位低減アンカー12)が、補強材が打設されている範囲の一部に対して設けられるものや、補強材が打設されている範囲よりも広い範囲に設けられるものであってもよい。
図4には、このようなものの一例として、補強材11が打設されている範囲よりも、面材14が配置されている範囲が狭くなっている斜面崩壊防止施設1´を示した。
斜面崩壊防止施設1´は、左側の範囲においては浮石、転石、落石等の懸念が実質的に無いとして、補強材11が打設されている範囲の右側半分の範囲にのみ面材14が設けられている。また、当該面材14を支持(面材の変位を低減)するための変位低減アンカー12も、面材14の配置範囲に合わせた配置となっている。
【0022】
本実施形態では、補強材として、棒鋼(鉄筋)を用いるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、例えばガラス繊維補強プラスチック製のロックボルト等、主に補強材の引張抵抗によって地山のゆるみやひずみを低減させる地山補強土工法において使用される各種の補強材を用いるものであってよい。
【0023】
本実施形態では、変位低減アンカーとして、図3で示したアンカーを例として説明したが、本発明をこれに限るものではなく、「打設された状態においてその頭部に荷重がかかった際の変位量が補強材よりも小さいアンカー」若しくは曲げ剛性が補強材よりも大きいアンカーであればよい。例えば、抵抗板を備えていないパイプアンカー(その太さが補強材より太いことで、補強材より変位の小さなアンカーであるもの)や、土圧板(地表に対して略水平に設けられ、土圧によって抵抗力を得るもの)を備えるアンカー等であってもよい。また、抵抗板によって抵抗力を向上させるアンカーである場合について、本実施形態では抵抗板が2枚のものを例としているが、抵抗板が1枚であるものや3枚以上とするものであってもよい。また、杭部の下部側にも抵抗板を設けるものであってもよい。加えて、抵抗力を増加させるための部材は板状の部材に限られるものではなく、抵抗力を向上させ得る任意の部材を杭部に設けるものであってよい。
また、本実施形態では、変位低減アンカーが、補強材が打設されている範囲の外側の地山に打設されているものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、変位低減アンカーが補強材が打設されている範囲内に打設されるものであってもよい。例えば、浮石や転石が懸念される範囲が限定的で、面材を設ける範囲が、補強材が打設されている範囲よりも狭い場合には、変位低減アンカーが、補強材が打設されている範囲内に打設されることもあり得るものである。
【0024】
本実施形態では、補強材11が格子状に配置されているものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、例えば千鳥状の配置となっているもの等であってもよい(或いは、規則性の無い配置であっても構わないが、性能を担保させるための単位面積当たりの打設数の管理や、各補強材の頭部を索体で連結する作業などが煩雑となってしまうため、基本的には格子状等の、規則的な配置であることが好ましい)。
また、本実施形態では、変位低減アンカーの設置が、斜面上部側では補強材の2本毎、斜面両側では補強材の5本毎に、それぞれ設けられているものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、変位低減アンカーの設置間隔や設置本数は、使用するアンカーの性能及び落石防止機能として求められる仕様に基づいて適宜定めるものである。
【0025】
本実施形態では、面材がひし形金網で構成されているものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。ひし形金網ではない金網や、ロープを編網したもの(例えば、図4の例における補助縦ロープ1311や、補助横ロープ1321によって網状にするもの等)や、これらを両方備えるもの等であってもよい。
【0026】
本実施形態では、落石防止機能を兼ね備えた斜面崩壊防止施設1としての構成を説明したが、これは当該構成を備える斜面崩壊防止施設を新設することに限定されるものではなく、既存の斜面崩壊防止施設に対して、面材およびこれを支持する変位低減アンカーを増設することによって、既存の斜面崩壊防止施設に、落石防止機能を備えさせる(後付け)するものであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1...斜面崩壊防止施設
11...補強材
12...変位低減アンカー
131...縦ロープ(索体)
132...横ロープ(索体)
14...面材(金網)
図1
図2
図3
図4