(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136847
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】端末装置、電波出力制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240927BHJP
H01Q 1/50 20060101ALI20240927BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06K7/10 240
G06K7/10 252
G06K7/10 132
G06K7/10 184
H01Q1/50
H01Q3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048131
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇河 康
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA06
5J021CA04
5J021DB04
5J021HA06
5J021JA05
5J021JA06
5J046AA03
5J046TA03
(57)【要約】
【課題】複数の無線タグのそれぞれの情報を一括して読み取る通信部を、所望の無線タグの情報を読み取る際にも兼用する。
【解決手段】端末装置100は、RFIDタグ(無線タグ)Tに記憶された情報(タグ情報)を読み取るRFIDリーダ部(通信部)18の動作モードを、第1モード(例えば「在庫確認モード」)と、第1モードよりもRFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)を読み取れる範囲が狭い第2モード(例えば「商品取引モード」)と、のいずれか一方を選択的に設定する。また、端末装置100は、設定された動作モードに基づいて、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグに記憶されたタグ情報を読み取る通信部の動作モードを、第1モードと、前記第1モードよりも前記タグ情報を読み取れる範囲が狭い第2モードと、のいずれか一方を選択的に設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記動作モードに基づいて、前記通信部の前記無線タグと通信するための電波出力を調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記通信部は、
第1アンテナ部と、前記第1アンテナ部よりも前記タグ情報を読み取れる距離が短く且つ当該タグ情報を読み取れる範囲が狭い第2アンテナ部と、を備え、
前記設定手段により前記第1モードが設定された場合、前記通信部として前記第1アンテナ部を用い、前記第2モードが設定された場合、前記通信部として前記第2アンテナ部を用いる切替手段を備え、
前記調整手段は、
前記切替手段により前記第1アンテナ部と前記第2アンテナ部とを切り替えることで、前記通信部の前記無線タグと通信するための電波出力を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記第1アンテナ部を収容する第1収容部と、
前記第1収容部の端部から屈曲して延設される、前記第2アンテナ部を収容する第2収容部と、を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記調整手段は、
前記設定手段により設定された前記動作モードに応じて、前記通信部を構成するマッチング回路のマッチング定数を調整することで、当該通信部の前記無線タグと通信するための電波出力を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記通信部は、
アンテナと、前記アンテナに接続される第1マッチング回路と、前記第1マッチング回路よりも前記電波出力を抑えることが可能な第2マッチング回路と、を備え、
前記設定手段により前記第1モードが選択された場合、前記第1マッチング回路を用い、前記第2モードが設定された場合、前記第2マッチング回路を用いる切替手段を備え、
前記調整手段は、
前記切替手段により前記第1マッチング回路と前記第2マッチング回路とを切り替えることで、前記通信部の前記無線タグと通信するための電波出力を調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
前記設定手段は、
ソフトウェア制御により、前記通信部の動作モードを、前記第1モードと前記第2モードとのうちから設定する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記設定手段は、
ユーザによる選択操作に基づいて、前記通信部の動作モードを、前記第1モードと前記第2モードとのうちから選択的に設定する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
前記動作モードが前記第2モードであるときに、前記通信部が複数の無線タグにそれぞれ記憶された前記タグ情報を一括して読み取った場合に、前記複数の無線タグのうち、受信強度が最も強い無線タグのタグ情報を表示部に表示させる表示制御手段を備える、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項9】
前記動作モードが前記第2モードであるときに、前記通信部が複数の無線タグにそれぞれ記憶された前記タグ情報を一括して読み取った場合に、前記複数の無線タグのうち、前記通信部が最初に読み取った無線タグのタグ情報を表示部に表示させる表示制御手段を備える、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項10】
無線タグが取り付けられる対象を撮像する撮像部と、
前記撮像部に撮像された対象を特定する特定部と、
前記対象と、前記対象に取り付けられた無線タグのタグ情報を紐づけて記憶する記憶部と、
を備え、
前記特定部は、
前記動作モードが前記第2モードであるときに、前記通信部が複数の無線タグにそれぞれ記憶された前記タグ情報を一括して読み取った場合に、前記撮像部によって撮像された前記対象を特定し、
前記複数の無線タグのうち、前記特定部によって特定された対象と紐づく無線タグのタグ情報を表示部に表示させる表示制御手段を備える、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項11】
前記設定手段は、
前記動作モードが前記第2モードであるときに、前記通信部が複数の無線タグにそれぞれ記憶された前記タグ情報を一括して読み取った場合に、前記動作モードを前記第1モードに設定する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項12】
無線タグに記憶されたタグ情報を読み取る通信部の動作モードを、第1モードと、前記第1モードよりも前記タグ情報を読み取れる範囲が狭い第2モードと、のいずれか一方を選択的に設定する設定工程と、
前記設定工程により設定された前記動作モードに基づいて、前記通信部の前記無線タグと通信するための電波出力を調整する調整工程と、
を含むことを特徴とする電波出力制御方法。
【請求項13】
端末装置のコンピュータを、
無線タグに記憶されたタグ情報を読み取る通信部の動作モードを、第1モードと、前記第1モードよりも前記タグ情報を読み取れる範囲が狭い第2モードと、のいずれか一方を選択的に設定する設定手段、
前記設定手段により設定された前記動作モードに基づいて、前記通信部の前記無線タグと通信するための電波出力を調整する調整手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置、電波出力制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、探索対象の無線タグとの距離が遠方から近距離に近づいて無線タグを特定するまで、無線タグの探索を補助することができる無線タグ通信装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている無線タグ通信装置では、所望の無線タグのみを狙って当該無線タグの情報を読み取る機能を有していない。このため、所望の無線タグの情報をピンポイントで読み取る場合には、上記機能を有するデバイスを別途用いる必要があり、ユーザの利便性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、複数の無線タグのそれぞれの情報を一括して読み取る通信部を、所望の無線タグの情報を読み取る際にも兼用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る端末装置は、
無線タグに記憶されたタグ情報を読み取る通信部の動作モードを、第1モードと、前記第1モードよりも前記タグ情報を読み取れる範囲が狭い第2モードと、のいずれか一方を選択的に設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記動作モードに基づいて、前記通信部の前記無線タグと通信するための電波出力を調整する調整手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の無線タグのそれぞれの情報を一括して読み取る通信部を、所望の無線タグの情報を読み取る際にも兼用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】端末装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】電波出力制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図5】(a)は円偏波アンテナを用いてRFIDタグとの間でデータのやりとりを行っている状態を示す図であり、(b)は直線偏波アンテナを用いてRFIDタグとの間でデータのやりとりを行っている状態を示す図である。
【
図6】変形例1及び変形例2の端末装置の一例を示す外観図である。
【
図7】変形例1のRFIDリーダ部の構成を示す図である。
【
図8】変形例2のRFIDリーダ部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
<端末装置の構成>
まず、
図1及び
図2を参照して、端末装置100の構成について説明する。
端末装置100は、読み取り対象物としてのRFIDタグ(無線タグ)T(
図5参照)に記憶された情報(タグ情報)を読み取り管理するハンディターミナルである。RFIDタグTは、例えば、倉庫や小売店等の施設に並べられた備品や商品に付されているものとする。
【0011】
図1は、端末装置100の一例を示す外観図である。
図1に示すように、端末装置100は、本体部10と、本体部10を支持する支持部20と、を備える。
【0012】
本体部10は、端末装置100の本体部分を構成する。本体部10には、端末装置100の大部分の構成要素が備えられている。
【0013】
支持部20は、本体部10を着脱自在に接続するガンタイプの支持部である。支持部20は、本体部10を接続させる接続部21と、接続部21の後端に連結されて設けられた把持部22と、接続部21の前端に連結されて設けられた収容部23と、を備える。
【0014】
RFIDタグTの読み取り作業者であるユーザは、把持部22を握ることによって端末装置100を把持することができる。把持部22には、RFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)の読み取りを開始するためのトリガキー221等が設けられている。
【0015】
収容部23は、後述する円偏波アンテナ182及び直線偏波アンテナ183を収容している。収容部23は、接続部21の前端から下方に真っ直ぐ延設された第1収容部231と、第1収容部231の下端から後方(把持部22が設けられている方)に屈曲して延設された第2収容部232と、を有する。第1収容部231には、円偏波アンテナ182が収容されている。第2収容部232には、直線偏波アンテナ183が収容されている。
【0016】
次に、
図2を参照して、端末装置100の機能的構成について説明する。
図2は、端末装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、端末装置100は、CPU11と、RAM12と、記憶部13と、操作部14と、表示部15と、カメラ16と、無線通信部17と、RFIDリーダ部18と、バス19などを備える。端末装置100の各部は、バス19を介して接続されている。
【0018】
CPU(設定手段、調整手段)11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、端末装置100の各部の動作を制御するプロセッサである。
なお、
図2では単一のCPU11が図示されているが、これに限られない。CPU等のプロセッサが2以上設けられていてもよく、本実施形態のCPU11が実行する処理を、これらの2以上のプロセッサが分担して実行してもよい。
【0019】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。R AM12は、不揮発性メモリを含んでいてもよい。
【0020】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録 媒体である。記憶部13は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含み、プログラム1 31及び各種データを記憶する。プログラム131は、コンピュータ読み取り可能なプロ グラムコードの形態で記憶部13に格納されている。
【0021】
操作部14は、上述のトリガキー221などを備え、これらのキーに対する入力操作に応じた操作信号をCPU11に出力する。操作部14は、表示部15の画面に重ねられて設けられたタッチパネルを備えていてもよい。この場合には、操作部14は、タッチパネルに対する接触操作に応じて、接触位置などを示す操作信号をCPU11に出力する。
【0022】
表示部15は、例えば、液晶表示装置又は有機EL(Electro Luminescence)表示装置 などを備える。表示部15は、各種操作画面、CPU11による処理結果、カメラ16による撮影画像などを表示する。
【0023】
カメラ16は、入射光をその強度に応じた電気信号に変換する複数の撮像素子と、入射 光を当該撮像素子に導く光学系などを有する。カメラ16は、CPU11による制御下で、撮像素子及び光学系により定まる撮影範囲を撮影して静止画又は動画の撮影画像データ を生成し、記憶部13に記憶させる。
【0024】
無線通信部17は、変復調回路、信号処理回路などを有する通信モジュールであり、ア ンテナ(図示省略)を介して、Bluetooth(登録商標)及び無線LANによる無線通信に係る通信規格に対応した通信制御を行う。
【0025】
RFIDリーダ部18は、平板型のアンテナを用いた放射電磁波により、RFIDタグTとの間でデータのやりとりを行い、同時に電力共有を行う電波方式のリーダ部である。RFIDリーダ部18は、UHF帯(860~960MHz)の周波数帯でデータのやりとりを行う。RFIDリーダ部18は、変復調回路、信号処理回路などを有するコントローラ181、上記アンテナとしての円偏波アンテナ(第1アンテナ部)182及び直線偏波アンテナ(第2アンテナ部)183、アンテナ切替部184などを備える。
【0026】
RFIDリーダ部18は、円偏波アンテナ182及び直線偏波アンテナ183のうちアンテナ切替部184により選択された一方を介して、RFIDタグTとの間でデータのやりとりを行う。円偏波アンテナ182は、長距離且つ広範囲に電波を出力する特徴を有するアンテナであり、複数のRFIDタグTとの間で一括してデータのやりとりを行うことが可能となっている。一方、直線偏波アンテナ183は、短距離且つ狭域で電波を出力する特徴を有するアンテナであり、一のRFIDタグTとの間で、ピンポイントでデータのやりとりを行うことが可能となっている。また、本実施形態では、円偏波アンテナ182及び直線偏波アンテナ183は、それぞれ、インピーダンスを調整して電波の反射を抑えるためのマッチング回路を含んでいるものとする。
【0027】
図3は、RFIDリーダ部18の構成を示す図である。
図3に示すように、RFIDリーダ部18のコントローラ181は、アンテナ切替部(切替手段)184に接続されている。アンテナ切替部184には、円偏波アンテナ182及び直線偏波アンテナ183が接続されている。アンテナ切替部184は、円偏波アンテナ182及び直線偏波アンテナ183のうち一方をコントローラ181に接続させるマルチプレクサ回路である。
【0028】
アンテナ切替部184は、CPU11によるソフトウェア制御に基づき、円偏波アンテナ182及び直線偏波アンテナ183のうち一方をコントローラ181に接続させる。例えば、操作部14の所定の操作に基づいて端末装置100の動作モードが在庫確認モードに設定された場合、すなわち、倉庫等に保管されている各商品に付されたRFIDタグTの情報(タグ情報)を一括して読み取って在庫確認を行うような状況下では、CPU11の制御下において、アンテナ切替部184を介して、円偏波アンテナ182をコントローラ181に接続させる。一方、操作部14の所定の操作に基づいて端末装置100の動作モードが商品取引モードに設定された場合、すなわち、店舗のレジで取引対象の商品に付されたRFIDタグTの情報(タグ情報)をピンポイントで読み取って会計を行うような状況下では、CPU11の制御下において、アンテナ切替部184を介して、直線偏波アンテナ183をコントローラ181に接続させる。
【0029】
なお、アンテナ切替部184は、例えば、ユーザによる手動スイッチ(操作部14)の操作によりポート選択端子を制御してアンテナ切替が行われるようにしてもよい。手動スイッチ(選択手段)は、プッシュ型(又はシーソー型)のスイッチであるものとする。例えば、手動スイッチがOFFの状態のとき、複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取る一括読取モード(長距離読取モード;第1モード)が設定され、ONの状態のとき、一のRFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)をピンポイントで読み取るピンポイント読取モード(短距離読取モード;第2モード)が設定されるようにする。つまり、手動スイッチがOFFの状態のとき、アンテナ切替部184を介して、円偏波アンテナ182がコントローラ181に接続されるようにする。一方、手動スイッチがONの状態のとき、アンテナ切替部184を介して、直線偏波アンテナ183がコントローラ181に接続されるようにする。
【0030】
<端末装置の動作>
次に、端末装置100の動作について、
図4を参照して説明する。
図4は、端末装置100により実行される電波出力制御処理の制御手順を示すフローチャートである。この電波出力制御処理は、例えば、端末装置100の動作モードがRFIDタグ読取モードに設定されたことを契機として実行されるようになっている。
【0031】
図4に示すように、電波出力制御処理が開始されると、まず、端末装置100のCPU11は、RFIDタグ読取モードにおいて「在庫確認モード」、すなわち複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取るモード(第1モード)が設定されているか否かを判定する(ステップS1)。
【0032】
ステップS1において、「在庫確認モード」が設定されていると判定された場合(ステップS1;YES)、CPU11は、RFIDリーダ部18のアンテナ切替部184(
図3参照)を制御してコントローラ181に円偏波アンテナ182を接続させる。この結果、「在庫確認モード」では、RFIDリーダ部18は、
図5(a)に示すように、円偏波アンテナ182を用いてRFIDタグTとの間でデータのやりとりを行うこととなるので、複数のRFIDタグTの情報(タグ情報)を一括して読み取ることができる。そして、CPU11は、処理をステップS3に進める。
【0033】
また、ステップS1において、「在庫確認モード」が設定されていないと判定された場合(ステップS1;NO)、CPU11は、ステップS2をスキップして、処理をステップS3に進める。
【0034】
次いで、CPU11は、RFIDタグ読取モードにおいて「商品取引モード」、すなわち一のRFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)をピンポイントで読み取るモード(第2モード)が設定されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0035】
ステップS3において、「商品取引モード」が設定されていると判定された場合(ステップS3;YES)、CPU11は、RFIDリーダ部18のアンテナ切替部184(
図3参照)を制御してコントローラ181に直線偏波アンテナ183を接続させる。この結果、「商品取引モード」では、RFIDリーダ部18は、
図5(b)に示すように、直線偏波アンテナ183を用いてRFIDタグTとの間でデータのやりとりを行うこととなるので、所望のRFIDタグTの情報(タグ情報)をピンポイントで読み取ることができる。そして、CPU11は、処理をステップS5に進める。
【0036】
また、ステップS3において、「商品取引モード」が設定されていないと判定された場合(ステップS3;NO)、CPU11は、ステップS4をスキップして、処理をステップS5に進める。
【0037】
次いで、CPU11は、終了操作(例えば、端末装置100の電源をOFFにする操作)がなされたか否かを判定する(ステップS5)。
【0038】
ステップS5において、終了操作がなされていないと判定された場合(ステップS5;NO)、CPU11は、処理をステップS1に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0039】
また、ステップS5において、終了操作がなされたと判定された場合(ステップS5;YES)、CPU11は、電波出力制御処理を終了する。
【0040】
以上のように、本実施形態の端末装置100は、RFIDタグ(無線タグ)Tに記憶された情報(タグ情報)を読み取るRFIDリーダ部(通信部)18の動作モードを、第1モード(例えば「在庫確認モード」)と、第1モードよりもRFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)を読み取れる範囲が狭い第2モード(例えば「商品取引モード」)と、のいずれか一方を選択的に設定する。また、端末装置100は、設定された動作モードに基づいて、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整する。
したがって、端末装置100によれば、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整することによって、複数のRFIDタグTのそれぞれの情報(タグ情報)を一括して読み取るRFIDリーダ部18を、所望のRFIDタグTの情報(タグ情報)をピンポイントで読み取る際にも兼用することができる。この結果、端末装置100の利便性を向上させることできるとともにコストを抑えることができる。
【0041】
また、本実施形態の端末装置100は、第1モード(例えば「在庫確認モード」)が設定された場合、円偏波アンテナ182を用い、第2モード(例えば「商品取引モード」)が設定された場合、直線偏波アンテナ183を用いるアンテナ切替部(切替手段)184を備える。また、端末装置100は、アンテナ切替部184により円偏波アンテナ182と直線偏波アンテナ183とを切り替えることで、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整する。
したがって、端末装置100によれば、第1モード(例えば「在庫確認モード」)が設定された場合、円偏波アンテナ182を用い、第2モード(例えば「商品取引モード」)が設定された場合、直線偏波アンテナ183を用いるので、RFIDタグTの読み取りを状況に応じて適切に行うことができる。
【0042】
[変形例1]
次に、変形例1の端末装置200について説明する。変形例1の端末装置200では、RFIDタグTの読み取りを行う際に、アンテナ切替は行わずに、第1マッチング回路281及び第2マッチング回路282のうち一方をコントローラ181及び円偏波アンテナ182に接続させることで、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整することを特徴としている。なお、上記の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
図6は、変形例1の端末装置200の一例を示す外観図である。なお、後述する変形例2の端末装置300は、変形例1の端末装置200と同様の外観を有している。
図6に示すように、端末装置200の支持部20は、収容部23に第1収容部231のみが設けられている。つまり、収容部23には、円偏波アンテナ182のみが収容されている。
【0044】
次に、
図7を参照して、変形例1のRFIDリーダ部18の構成について説明する。
図7は、変形例1のRFIDリーダ部18の構成を示す図である。
【0045】
図7に示すように、RFIDリーダ部18のコントローラ181は、回路切替部(切替手段)284に接続されている。回路切替部284には、第1マッチング回路281及び第2マッチング回路282が接続されている。回路切替部284は、第1マッチング回路281及び第2マッチング回路282のうち一方をコントローラ181に接続させるマルチプレクサ回路である。第1マッチング回路281と第2マッチング回路282は、互いに異なるマッチング定数が設定されており、第1マッチング回路282がコントローラ181に接続された場合、RFIDタグTと通信するための電波出力が250mW程度となるように調整されている。一方、第2マッチング回路282がコントローラ181に接続された場合、RFIDタグTと通信するための電波出力が50mW程度となるように調整されている。また、第1マッチング回路281及び第2マッチング回路282は、それぞれ共通の円偏波アンテナ182に接続されている。なお、変形例1における円偏波アンテナ182には、マッチング回路が含まれていないものとする。
【0046】
回路切替部284は、CPU11によるソフトウェア制御に基づき、第1マッチング回路281及び第2マッチング回路282のうち一方をコントローラ181に接続させる。例えば、操作部14の所定の操作に基づいて端末装置100の動作モードが在庫確認モードに設定された場合、すなわち、倉庫等に保管されている各商品に付されたRFIDタグTの情報(タグ情報)を一括して読み取って在庫確認を行うような状況下では、CPU11の制御下において、回路切替部284を介して、第1マッチング回路281をコントローラ181に接続させる。一方、操作部14の所定の操作に基づいて端末装置100の動作モードが商品取引モードに設定された場合、すなわち、店舗のレジで取引対象の商品に付されたRFIDタグTの情報(タグ情報)をピンポイントで読み取って会計を行うような状況下では、CPU11の制御下において、回路切替部284を介して、第2マッチング回路282をコントローラ181に接続させる。
【0047】
なお、回路切替部284は、例えば、ユーザによる手動スイッチ(操作部14)の操作によりポート選択端子を制御して切替が行われるようにしてもよい。手動スイッチ(選択手段)は、プッシュ型(又はシーソー型)のスイッチであるものとする。例えば、手動スイッチがOFFの状態のとき、複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取る一括読取モード(長距離読取モード;第1モード)が設定され、ONの状態のとき、一のRFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)をピンポイントで読み取るピンポイント読取モード(短距離読取モード;第2モード)が設定されるようにする。つまり、手動スイッチがOFFの状態のとき、回路切替部284を介して、第1マッチング回路281がコントローラ181に接続されるようにする。一方、手動スイッチがONの状態のとき、回路切替部284を介して、第2マッチング回路282がコントローラ181に接続されるようにする。
【0048】
以上のように、変形例1の端末装置200は、第1モード(例えば「在庫確認モード」)が設定された場合、第1マッチング回路281を用い、第2モード(例えば「商品取引モード」)が設定された場合、第2マッチング回路282を用いる回路切替部(切替手段)284を備える。また、端末装置200は、回路切替部284により第1マッチング回路281と第2マッチング回路282とを切り替えることで、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整する。
したがって、端末装置200によれば、第1モード(例えば「在庫確認モード」)が設定された場合、第1マッチング回路281を用い、複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取れるようにする一方で、第2モード(例えば「商品取引モード」)が設定された場合、第2マッチング回路281を用い、一のRFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)をピンポイントで読み取れるようにすることができるので、RFIDタグTの読み取りを状況に応じて適切に行うことができる。
【0049】
[変形例2]
次に、変形例2の端末装置300について説明する。変形例2の端末装置300では、RFIDタグTの読み取りを行う際に、アンテナ切替やマッチング回路の切り替えは行わずに、マッチング回路381の内部の可変コンデンサ381aを調整することで、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整することを特徴としている。なお、上記の実施形態や変形例1と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図8は、変形例2のRFIDリーダ部18の構成を示す図である。
図8に示すように、RFIDリーダ部18のコントローラ181は、マッチング回路381に接続されている。マッチング回路381は、内部に可変コンデンサ381aを有しており、この可変コンデンサ381aを調整することでマッチング定数を変更し、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整することが可能となっている。また、マッチング回路381は、円偏波アンテナ182に接続されている。なお、変形例2における円偏波アンテナ182には、マッチング回路が含まれていないものとする。
【0051】
マッチング回路381は、CPU11によるソフトウェア制御に基づき、可変コンデンサ381aを調整することでマッチング定数を変更可能となっている。例えば、操作部14の所定の操作に基づいて端末装置100の動作モードが在庫確認モードに設定された場合、すなわち、倉庫等に保管されている各商品に付されたRFIDタグTの情報(タグ情報)を一括して読み取って在庫確認を行うような状況下では、CPU11の制御下において、複数のRFIDタグTの情報(タグ情報)を一括して読み取ることが可能なマッチング定数に変更する。一方、操作部14の所定の操作に基づいて端末装置100の動作モードが商品取引モードに設定された場合、すなわち、店舗のレジで取引対象の商品に付されたRFIDタグTの情報(タグ情報)をピンポイントで読み取って会計を行うような状況下では、CPU11の制御下において、一のRFIDタグTの情報(タグ情報)をピンポイントで読み取ることが可能なマッチング定数に変更する。
【0052】
なお、マッチング回路381は、例えば、ユーザによる手動スイッチ(操作部14)の操作により可変コンデンサ381aの調整が行われるようにしてもよい。手動スイッチは、プッシュ型(又はシーソー型)のスイッチであるものとする。例えば、手動スイッチがOFFの状態のとき、複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取る一括読取モード(長距離読取モード;第1モード)が設定され、ONの状態のとき、一のRFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)をピンポイントで読み取るピンポイント読取モード(短距離読取モード;第2モード)が設定されるようにする。つまり、手動スイッチがOFFの状態のとき、複数のRFIDタグTの情報(タグ情報)を一括して読み取ることが可能なマッチング定数となるように可変コンデンサ381aを調整する。一方、手動スイッチがONの状態のとき、一のRFIDタグTの情報(タグ情報)をピンポイントで読み取ることが可能なマッチング定数となるように可変コンデンサ381aを調整する。
【0053】
以上のように、変形例2の端末装置300は、マッチング回路381のマッチング定数を変更(調整)することで、RFIDリーダ部18のRFIDタグTと通信するための電波出力を調整する。
したがって、端末装置300によれば、マッチング回路381のマッチング定数を変更することで、第1モード(例えば「在庫確認モード」)が設定された場合、複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取れるようにする一方で、第2モード(例えば「商品取引モード」)が設定された場合、一のRFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)をピンポイントで読み取れるようにすることができるので、RFIDタグTの読み取りを状況に応じて適切に行うことができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、
図3に示したように、アンテナ切替部184によって円偏波アンテナ182及び直線偏波アンテナ183のうちのいずれか一方に切り替えるようにしているが、更に、切り替えられたアンテナ(例えば、円偏波アンテナ182)に接続されるマッチング回路を切り替えられるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、第2モード(例えば「商品取引モード」)、すなわちピンポイント読取モード(短距離読取モード)が設定されている際に、複数のRFIDタグTの情報(タグ情報)を読み取ってしまった場合、例えば、最初に情報(タグ情報)を読み取ったRFIDタグT、又は、受信強度が最も強いRFIDタグTの情報のみを表示部15に表示させるようにしてもよい。つまり、端末装置100,200,300は、RFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)を読み取るRFIDリーダ部18の動作モードが第2モードであるときに、RFIDリーダ部18が複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取った場合に、複数のRFIDタグTのうち、RFIDリーダ部18が最初に読み取ったRFIDタグTの情報(タグ情報)を表示部15に表示させるCPU11(表示制御手段)を備えるようにしてもよい。また、端末装置100,200,300は、RFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)を読み取るRFIDリーダ部18の動作モードが第2モードであるときに、RFIDリーダ部18が複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取った場合に、複数のRFIDタグTのうち、受信強度が最も強いRFIDタグTの情報(タグ情報)を表示部15に表示させるCPU11(表示制御手段)を備えるようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施の形態では、第2モード(例えば「商品取引モード」)、すなわちピンポイント読取モード(短距離読取モード)が設定されている場合、カメラ16で撮像された対象の画像認識を行うことで、読み取り可能なRFIDタグTを限定できるようにしてもよい。具体的には、端末装置100,200,300のCPU11は、RFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)を読み取るRFIDリーダ部18の動作モードが第2モードであるときに、RFIDリーダ部18が複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取った場合に、カメラ16で撮像された対象の画像認識を行うことで、当該対象を特定し、複数のRFIDタグTのうち、特定された対象と紐づくRFIDタグTの情報(タグ情報)を表示部15に表示させるようにしてもよい。このとき、端末装置100,200,300の記憶部13には、上記の対象と、当該対象に取り付けられたRFIDタグTの情報(タグ情報)とが紐付けられて記憶されているものとする。
【0057】
また、上記実施の形態では、RFIDタグTに記憶された情報(タグ情報)を読み取るRFIDリーダ部18の動作モードが自動的に切り替えられるようにしてもよい。例えば、9時から12時までの時間帯は第1モードに、13時から17時までの時間帯は第2モードに切り替えられるといったように、所定の時間帯によって上記動作モードが自動的に切り替えられるようにしてもよい。また、上記動作モードが予め登録(ID登録)されたユーザに基づいて自動的に切り替えられるようにしてもよい。また、上記動作モードが第2モードであるときに、RFIDリーダ部18が複数のRFIDタグTにそれぞれ記憶された情報(タグ情報)を一括して読み取った場合に、当該動作モードが第1モードに自動的に切り替えられるようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13(例えば、フラッシュメモリ)を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【符号の説明】
【0059】
100 端末装置
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
131 プログラム
14 操作部
15 表示部
16 カメラ
17 無線通信部
18 RFIDリーダ部
181 コントローラ
182 円偏波アンテナ
183 直線偏波アンテナ
184 アンテナ切替部
200 端末装置
281 第1マッチング回路
282 第2マッチング回路
284 回路切替部
300 端末装置
381 マッチング回路
381a 可変コンデンサ
T RFIDタグ