(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013685
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20240125BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20240125BHJP
F24F 8/192 20210101ALI20240125BHJP
【FI】
A61L9/20
F24F8/22
F24F8/192
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115963
(22)【出願日】2022-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月27日に販売 令和4年1月26日に販売 令和4年1月27日に販売 令和4年3月23日に販売 令和4年3月24日に販売 令和4年3月28日に販売 令和4年4月23日に販売 令和4年4月25日に販売 令和4年4月26日に販売 令和4年5月28日に販売 令和4年7月6日に販売 令和3年9月1日に徳島県総合防災訓練に出品 令和3年12月8日から令和3年12月10日にヒカリと感染症対策エキスポに出品 令和4年3月15日から令和4年3月16日に2022年空気とみらいEXPO展に出品 令和4年7月17日から令和4年7月18日に日本臨床整形外科学会学術集会で公開 令和3年9月28日から日立造船株式会社 築港工場に展示 令和4年7月1日から日立造船株式会社 南港本社に展示
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生杉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】堀本 佳成
(72)【発明者】
【氏名】大渕 隆文
(72)【発明者】
【氏名】和栗 新一郎
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180DD11
4C180DD17
4C180DD20
4C180HH05
4C180HH17
4C180HH19
4C180LL20
(57)【要約】
【課題】人の立ち入る空間に人体にとって有害な量の紫外線が漏洩することを防止するとともに、多くの数の病原体を短時間で減少させることができる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】空気清浄装置100は、空気中の病原体CVに紫外線を照射して病原体の数を減少させる。空気清浄装置100は、空気の通る通風路1と、紫外線光源2と、遮蔽体4とを備える。紫外線光源2は、通風路1の壁11の内面側から通風路1の壁11の他の内面に向けて紫外線UVを照射する。遮蔽体4は、紫外線UVの照射領域UAの外に向かう紫外線UVを受けて吸収するとともに、空気流を通す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の病原体に紫外線を照射して前記病原体の数を減少させる空気清浄装置であって、
前記空気の通る通風路と、
前記通風路の壁の内面側から前記通風路の壁の他の内面に向けて紫外線を照射する紫外線光源と、
前記紫外線の照射領域の外に向かう前記紫外線を受けて吸収するとともに、空気流を通す遮蔽体と
を備える、空気清浄装置。
【請求項2】
前記遮蔽体は、帯電することによって前記病原体を引き寄せる引き寄せ部を有し、
前記引き寄せ部は、前記紫外線を反射させる、請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記通風路の前記紫外線の照射領域での断面積が、前記通風路の上流側および/または下流側の空気流の速度よりも、前記紫外線の照射領域での空気流の速度が遅くなる大きさである、請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記遮蔽体は、ルーバー、格子、多孔体、ハニカム構造体、または前記通風路内部の空気の通る空間を囲む囲み部材である、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に浮遊する病原体に紫外線を照射して死滅させ、その数を減らすことで空気を浄化する、空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病原体は、人々の呼吸する空気中に浮遊している。人々は、一定の数以上の病原体を吸い込むと病気の諸症状を発症する。病気の諸症状は、人々の快適な生活を妨げるため好ましくない。したがって、人々が病気を発症することなく快適な生活を送るために、空気中に浮遊する病原体の数を減少させる必要がある。
【0003】
空気中を浮遊する病原体は、紫外線を照射されることで死滅し、その数が減少する。したがって、空気中に浮遊する病原体に紫外線を照射して、それら病原体の数を人々が病気の諸症状を発症しない程度の数に減少させる観点から空気を清浄にする、空気清浄装置が使用されている。空気清浄装置は、空気清浄装置の周囲の空気中に浮遊する病原体を、空気とともに装置内における通風路に導いて、その通風路内で病原体に紫外線を照射して死滅・減少させ、その後に空気とともに空気清浄装置の外部に排出している。これにより空気清浄装置の周囲に浮遊する病原体の数が減少すれば、その空間は、人々が病気に罹患しにくい快適な空間となる。
【0004】
ところで、人体は、一定量以上の紫外線が照射されると、紫外線の照射された部位に火傷などの傷害を負う。したがって、空気清浄装置は、人の立ち入る空間に人体に有害な量の紫外線を漏洩させてはならない。特許文献1から特許文献3に開示されている空気清浄装置は、紫外線を遮光する部材(遮光部材)で紫外線光源を覆うことで、人体にとって有害な量の紫外線が人の立ち入る空間に漏洩することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-63592号公報
【特許文献2】特開平8-312977号公報
【特許文献3】特開平9-141054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1から特許文献3に開示されている空気清浄装置は、遮光部材、紫外線光源、または、それら両方が通風路の一部を塞ぐように配置されていた。したがって、通風路を通る空気流を遮光部材または紫外線光源が妨げてしまい、その分通風路を通過する空気流の量とともに空気流に運ばれて通風路内を移動し紫外線が照射される病原体の数が減り、多くの数の病原体を短時間で減少させることできないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、人の立ち入る空間に人体にとって有害な量の紫外線が漏洩することを防止するとともに、多くの数の病原体を短時間で減少させることができる空気清浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空気清浄装置は、空気の通る通風路と、前記通風路の壁の内面側から前記通風路の壁の他の内面に向けて紫外線を照射する紫外線光源と、前記紫外線の照射領域の外に向かう前記紫外線を受けて吸収するとともに、空気流を通す遮蔽体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の空気清浄装置によれば、人の立ち入る空間に人体にとって有害な量の紫外線が漏洩することを防止するとともに、多くの数の病原体を短時間で減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る空気清浄装置を示す縦断面図である。
【
図2】実施形態1に係る空気清浄装置を示す横断面図である。
【
図3】実施形態1に係る空気清浄装置の縦断面図であり、通風路出口部分を拡大した図である。
【
図4】実施形態1に係る空気清浄装置の変形例1を示す縦断面図であり、通風路出口部分を拡大した図である。
【
図5】実施形態1に係る空気清浄装置の変形例2を示す側面図である。
【
図6】実施形態1に係る空気清浄装置の変形例3を示す側面図である。
【
図7】実施形態1に係る空気清浄装置の変形例4を示す縦断面図であり、通風路出口部分を拡大した図である。
【
図8】実施形態1に係る空気清浄装置の変形例5を示す横断面図である。
【
図9】実施形態2に係る空気清浄装置の縦断面図であり、通風路出口を拡大した図である。
【
図10】実施形態2に係る空気清浄装置の変形例1を示す縦断面図であり、通風路出口を拡大した図である。
【
図11】実施形態2に係る空気清浄装置の変形例2を示す縦断面図であり、通風路出口を拡大した図である。
【
図12】実施形態2に係る空気清浄装置の変形例3を示す縦断面図であり、通風路出口を拡大した図である。
【
図13】実施形態3に係る空気清浄装置を示す縦断面図である。
【
図14】実施形態5に係る空気清浄機を示す縦断面図である。
【
図15】実施形態5に係る空気清浄機を示す横断面図である。
【
図16】実施形態5に係る空気清浄機における遮蔽体の遮蔽割合と、通風路内を通る空気流の量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
以下、本発明の実施形態1に係る空気清浄装置100の概略について、
図1を参照して説明する。
【0012】
図1に示す空気清浄装置100は、空気清浄装置100の周囲の空気中に浮遊する病原体CVを空気清浄装置100の内部に入れた後に紫外線UVを照射して死滅させて空気清浄装置100の外部に排出する。空気清浄装置100の周囲を浮遊する病原体CVは、ファンなどの装置(図示せず)が発生させる風、または、自然に発生する風などの空気流Fに運ばれて移動し、空気清浄装置100の内部を通り抜ける。空気清浄装置100が周囲の病原体CVを死滅させて排出することで、空気清浄装置100の周囲に浮遊する病原体CVの数が減る。人々の周囲を浮遊する病原体CVの数が少ない程、人々が病気に罹患する確率が小さくなる。このため、空気清浄装置100は、空気清浄装置100の周囲の病原体CVの数を減らすことで、人々が病気に罹患しにくい環境を作っている。
【0013】
一方で、空気清浄装置100の内部で照射されている紫外線UVも、空気流Fの通る空間90を通って、空気清浄装置100の外部に向かう。従来の空気清浄装置では、空気流の通る空間を通って、紫外線が空気清浄装置の外部に漏洩することを防止するために、空気流を妨げる部材を空気流の通る空間に設置する構造となっていた。空気流を妨げる部材は、具体的には板構造部材である。そして、板構造部材は、その幅広の面で空気流を受けるように空気流の通る空間に配置されていた。空気清浄装置の内部を通り抜ける空気流は、上記の部材によって妨げられることで、時間当たりの空気流の通る量が減少する。すると、それとともに空気流の通る空間を移動する病原体の時間当たりの数も減るため、多くの数の病原体に短時間で紫外線を照射することができなかった。
【0014】
空気清浄装置100は、人体に有害な量の紫外線UVを遮蔽体4によって人々の立ち入る空間に漏洩させないようにしつつ、多数の病原体CVを短時間で減少させるために、遮蔽体4が中空構造になっている。遮蔽体4が中空構造となっていることで、従来の板構造部材などのような空気流を妨げる部材とは異なり、空気流Fが遮蔽体4の中空部分を通ることができる。
【0015】
一方で、中空構造の遮蔽体4は空気流を通しやすい反面、その中空部分を通って、人体に有害な量の紫外線UVが漏洩する危険性がある。このために、紫外線光源2の発した紫外線UVおよびその反射した紫外線UVが遮蔽体4の紫外線UVを受ける部分に照射される位置関係となるように、紫外線光源2および遮蔽体4が配置される。
【0016】
また、紫外線UVを照射する紫外線光源2が後述するように空気流Fを妨げない位置に設けられており、空気流Fの通る空間90には、遮蔽体4以外の構造体がない。このため、空気清浄装置100は、従来よりも多くの量の空気流Fを通り抜けさせることができる。したがって、空気清浄装置100は、従来よりも多くの数の病原体CVに紫外線UVを照射することができる。よって、空気清浄装置100は、より多くの数の病原体CVを短時間で死滅させて、その数を減少させることができる。
【0017】
実施形態1の空気清浄装置100の構造の詳細について、
図1から
図3を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、空気清浄装置100は、通風路1を備え、紫外線光源2と、反射体3と、遮蔽体4とを通風路1に備える。
【0019】
通風路1は、空気流Fの通る空間90を壁11で囲んだ構造体であり、通風路1内部と通風路1外部とを連通する通風路入口12および通風路出口13を有する。通風路入口12は、通風路1外部の空気流Fが通風路1内部に入るために通風路1に設けられ開口であり、通風路出口13は、通風路1内部の空気流Fが通風路1外部に出るために通風路1に設けられた開口である。通風路1の形状は、
図1および
図2に示すように四角形断面の角筒形状であるが、四角形以外の多角形断面を有する角筒形状、円筒形状、または、通風路1の長手方向の中途の位置で折れ曲がる形状の角筒もしくは円筒などでもよい。通風路1の壁11の材料には、亜鉛メッキなどのメッキならびポリ塩化ビニルなどの樹脂によるコーティングで表面処理をした鋼板、ステンレス鋼板、またはグラスウールなどが使用される。なお、樹脂は、紫外線UVが照射されると劣化する。このため、通風路1の壁11が樹脂を含む材料より製造されている場合、通風路1の壁11において紫外線UVが照射される箇所には、耐光性の塗料の塗布、または樹脂を含まない部材で覆うなどして通風路1の壁11を紫外線UVから保護する必要がある。
【0020】
図1および
図2に示す紫外線光源2は、紫外線UVを発する光源である。紫外線光源2の発する紫外線UVは、例えば、病原体CVの遺伝子を損傷させることで、それらを死滅させる。紫外線光源2は、深紫外線などの様々な波長の紫外線UVを発することができる。紫外線光源2の発する紫外線UVの波長の選択には、空気清浄装置100の設置環境などの条件が考慮される。紫外線光源2としては、例えば、発光ダイオード、または水銀ランプ、プラズマ発光体などを使用することができる。
【0021】
紫外線光源2は、通風路1の壁11における一つの内面側に設けられて、通風路1の壁11の他の内面に向けて紫外線UVを照射する。これにより、紫外線UVが通風路1内部に照射される。紫外線光源2を通風路1の内面側に設けるとは、
図1および
図2に示すように、紫外線光源2の一部が壁11の内面から通風路1の内部に向かって突出するように紫外線光源2を通風路1の壁11に設けることを意味する。その他に、紫外線光源2を通風路1内部と接するように通風路1の壁11の内面に設けること、紫外線光源2を通風路1の壁11において通風路1内部から外側に向かって凹んだ位置に設けること、および、紫外線光源2を保持するブラケットなどの保持部品により紫外線光源2を保持させて、紫外線光源2が通風路1内部に配置されるように通風路1の壁11に保持部品を設けることなども含む。
図1および
図2に示す紫外線光源2は、紫外線光源2が設けられた壁に対向する壁に向かって紫外線UVを照射する。
図1および
図2以外でも、例えば、紫外線光源2は、壁11のうち、紫外線光源2が設けられた壁と交差する壁に向かって紫外線UVを照射するように設けられてもよい。
【0022】
反射体3は、あらかじめ設定される紫外線UVの照射される領域(紫外線UVの照射領域UA)に紫外線UVが照射されるように通風路1に設けられる。具体的には、反射体3は、通風路1の壁11の内面に設けられて、紫外線光源2からの紫外線UVを反射する。例えば、アルミニウムまたは鉄等の金属製で鏡面を有する板、フッ素樹脂製やシリコン樹脂製の板などが、反射体3となる。また、通風路1の壁11がアルミニウムまたは鉄等の金属製であれば、通風路1の壁11の内側表面を鏡面加工することによって、通風路1の壁11の内側表面を反射体3とすることができる。さらに、通風路1の壁11の内側表面に紫外線UVなどの光を反射するフッ素樹脂やシリコンなどのコーティングといった表面処理を施すことで、反射体3を構成してもよい。なお、紫外線光源2が、紫外線UVの照射領域UAの全域に紫外線UVを照射することができれば、反射体3を必ずしも通風路1に設けなくてもよい。
【0023】
図1に示すように、遮蔽体4は、紫外線UVの照射領域UAの内外を分ける境界であって、紫外線UVの照射領域UAから人の立ち入る空間、および/または、紫外線UVにより劣化する部品が配置されている空間に向かう紫外線UVの通る空間に設けられる。具体的には、
図1に示す遮蔽体4は、通風路入口12および通風路出口13に設けられている。したがって、遮蔽体4は、通風路入口12または通風路出口13を通って通風路1内部から通風路1外部に向かう紫外線UVを受け、紫外線UVを吸収することで、人体の有害な量の紫外線UVが紫外線UVの照射領域UAの外である通風路1外部に漏洩するのを防止できる。なお、
図1に示す遮蔽体4は、通風路入口12および通風路出口13に設けられているが、紫外線UVの照射領域UAの外に向かう紫外線UVを受けることができれば、どのような位置の設けてもよい。例えば、通風路入口12および通風路出口13よりも、通風路1外部側の位置または通風路1内部側の位置に遮蔽体4を設けてもよい。
【0024】
遮蔽体4は、紫外線UVを受けるとともに空気流Fが通る空気通路AP(
図3等参照)を有する構造体である。遮蔽体4には、
図3に示すような複数の羽板40により構成されるルーバーがある。遮蔽体4がルーバーの場合、空気通路APは、ルーバーを構成する各羽板40の間の空間であり、通風路1内部と通風路1外部とをつなげる空間である。通風路1内部に照射された紫外線UVの一部は、遮蔽体4に向かい、遮蔽体4の空気通路APを通り抜けて、通風路1外部に出ようとする。遮蔽体4を構成する各羽板40は、空気通路APを通り抜けようとする紫外線UVを受ける。
【0025】
羽板40は、空気通路APを通り抜けようとする紫外線UVが、空気通路APを通り抜けたときに基準量以下となっているように、羽板40で受けた紫外線UVを吸収する。羽板40は、受けた紫外線UVを吸収するために、例えば、フッ素系塗料またはシリコン系塗料またはアクリル系塗料などからなる紫外線UVの吸収率が高い塗料が塗布されたり、黒アルマイトなど紫外線UVの吸収率が高いメッキ処理を表面に施したり、または、紫外線UVを乱反射させる目的で微細な凹凸加工の表面処理を施したりして作られる。このようにして作られた羽板40は、JIS-C-7550―2014の表3に記載されているような、人体に傷害を与える紫外線UVの照度を考慮して定められた基準量以下となるように、受けた紫外線UVを吸収する。なお、空気通路APを通り抜けたときの紫外線UVの基準量は、空気清浄装置100を使用する国や地域など考慮して定めてもよい。例えば、一般社団法人日本照明工業会などの定めるガイドラインに沿うように定めてもよい。
【0026】
遮蔽体4は、羽板40が受けて基準量以下とならなかった紫外線UVを反射させ、それとは異なる羽板40で受けて基準量以下となるように吸収するような構造としてもよい。具体的には、
図3に示すように、各羽板40は、紫外線UVを基準量以下となるまで吸収できる回数だけ紫外線UVを反射させることができるように、空気流Fの方向に沿った方向の羽板40の長さ、および、各羽板40の設けられる間隔が、決められる。紫外線UVを複数回受けて反射させるような構造の遮蔽体4は、一度受けただけの紫外線UVを基準量以下となるように吸収する遮蔽体4と比較して、安価な塗料、材料、または表面処理で作ることができる利点がある。
【0027】
実施形態1の空気清浄装置100の動作について、
図1から
図3を参照して説明する。
【0028】
図1および
図2に示すように、紫外線光源2は、通風路1内部で紫外線UVを発し、紫外線UVの照射領域UAを形成する。紫外線UVの照射領域UAは、紫外線光源2の発した紫外線UVが到達する領域と、反射体3によって反射される紫外線UVが到達する領域とを含む。病原体CVは、紫外線UVの照射領域UAを通ることで紫外線UVが照射されて死滅し、その数が減少する。
【0029】
図1に示すように、通風路入口12および通風路出口13に設けられた遮蔽体4の羽板40は、
図3に示す空気通路APを通り抜けようとする紫外線UVを受けて、一定量の紫外線UVを吸収する。羽板40が受けたが吸収しきれなった紫外線UVは、羽板40が反射させる。
図3では、空気通路APを通り抜ける紫外線UVは、羽板40の構造上、少なくとも二度反射する。具体的には、羽板40で一度受けて吸収しきれずに反射した紫外線UV1は、それとは異なる羽板40でもう一度受けて吸収されて反射する。二度反射した後の紫外線UV2は、基準量以下となり、基準量以下となった紫外線UV2のみが通風路1を通り抜ける。したがって、人体にとって有害な量の紫外線UVが通風路1外部に漏洩することを遮蔽体4が防止している。
【0030】
一方で、空気清浄装置100の周囲の空気中を浮遊する病原体CVは、通風路1内部に向かう空気流Fに運ばれて移動し、通風路入口12に設けられた遮蔽体4の空気通路APを通って通風路1内部に入る。
【0031】
通風路1内部に入った病原体CVは、紫外線UVの照射領域UAを通るように空気流Fに運ばれて紫外線UVが照射される。通風路1内部には、紫外線光源2が通風路1の内面側に設けられており、従来のように紫外線光源2が通風路1内部に突出して設けられている場合よりも、紫外線光源2が通風路1内部に入り込んでいる部分が小さいため、紫外線光源2が通風路1内部に入り込んでいる部分により空気流Fが妨げられることが生じにくい。したがって、従来よりも時間当たりに多くの量の空気流Fが通風路1内部を通り抜けることができる。通風路1内部を通り抜ける空気流Fの量が多い程、空気流Fに運ばれる病原体CVの数も多くなるので、紫外線UVの照射領域UAには、従来よりも多くの数の病原体CVが運ばれる。したがって、従来よりも多くの数の病原体CVが、紫外線UVを照射されて死滅する。すなわち、時間当たりに減少する病原体の数が従来よりも多くなる。
【0032】
紫外線UVの照射領域UAで死滅した病原体CVは、空気流Fとともに通風路出口13に設けられた遮蔽体4の通風路1を通り抜けて通風路1外部に排出される。空気清浄装置100が死滅させる病原体CVの数が増え、空気清浄装置100の周囲を浮遊する病原体CVの数が減ることで、空気清浄装置100の周囲には人々が病気に罹患しにくい環境が形成される。前述のように、空気清浄装置100は、従来よりも時間当たりに多くの数の病原体CVを減少させることができる。したがって、空気清浄装置100は空気清浄装置100の周囲に人々が病気に罹患しにくい環境をより短時間で形成することができる。
【0033】
以下に、実施形態1に係る空気清浄装置100の変形例1から変形例4の構造について
図4から
図7を参照して説明する。実施形態1に係る空気清浄装置100の変形例1から変形例4の空気清浄装置100は、遮蔽体4の構造が、
図3に示す遮蔽体4と異なる。したがって、実施形態1に係る空気清浄装置100の変形例1から変形例4の説明は、それぞれの遮蔽体4の構造について行う。遮蔽体4以外の部分については、
図1から
図3を参照して説明したので、説明を省略する。
【0034】
[実施形態1の変形例1]
図4に示すように、変形例1の遮蔽体4は、
図3の遮蔽体4とは異なる形状の羽板40を有するルーバーである。
図4の遮蔽体4の羽板40は、通風路1の長手方向の任意の位置より後流側が、通風路1幅方向に折れ曲がった形状となっている。
【0035】
[実施形態1の変形例2]
図5に示すように、変形例2の遮蔽体4は、格子状である。
図5の遮蔽体4は、格子を構成する各枠44の間に設けられる空間が空気通路APとなっている。
【0036】
[実施形態1の変形例3]
図6に示すように、変形例3の遮蔽体4は、多孔体である。具体的には、
図6に示す遮蔽体4は、ハニカム構造体である。
図6の遮蔽体4は、ハニカム構造体の各セル45の中空部分が空気通路APとなっている。
【0037】
[実施形態1の変形例4]
図7に示すように、変形例4の遮蔽体4は、通風路1内部または通風路1内部の一部分を囲むように設けられる部材(囲み部材46)である。
図7の遮蔽体4は、囲み部材46が通風路1内部を囲み、囲み部材46の囲む空間が空気通路APとなっている。囲み部材46には、通風路1の壁11とは別の部材、または紫外線UVを吸収する表面処理の施された通風路1の壁11が含まれる。
【0038】
[実施形態1の変形例5]
以下に、変形例5の構造について
図8を参照して説明する。変形例5の空気清浄装置100は、通風路1の横断面構造を呈する少なくとも1つ以上の壁11に紫外線光源2がそれぞれ設けられている点が、
図2に示す空気清浄装置100と異なる。
図8に示す空気清浄装置100の紫外線光源2は、通風路1を構成する壁11の内、異なる2つの壁に設けられる。具体的には、一方の紫外線光源2が、他方の紫外線光源2の設けられる壁と交差する壁に設けられている。なお、
図8に示す空気清浄装置100は、一方の紫外線光源2が、他方の紫外線光源2の設けられる壁と交差する壁に設けられているが、一方の紫外線光源2が、他方の紫外線光源2の設けられる壁と対向する壁に設けられてもよい。また、複数の紫外線光源2を1つの壁の異なる位置に設けてもよい。例えば、複数の紫外線光源2は、上下方向に沿って並ぶように1つの壁に設けられる。
【0039】
[実施形態2]
実施形態2の空気清浄装置200について、
図9から
図12を参照して説明する。
【0040】
図9から
図12に示すように、実施形態2の空気清浄装置200は、遮蔽体4が、病原体CVを引き寄せて付着させる引き寄せ部41を有する点で、実施形態1の空気清浄装置100と異なる。実施形態2の説明は、実施形態1と主に異なる部分について行い、実施形態2と実施形態1との間で一致する部分については説明を省略する。
【0041】
図9に示すように、遮蔽体4は、紫外線UVを受けて吸収するとともに病原体CVを引き寄せて付着させる、引き寄せ部41を有する。
図9の遮蔽体4は、
図3の遮蔽体4と同じ形状のルーバーであり、各羽板40が引き寄せ部41となっている。
図3の遮蔽体4と同様にルーバーの各羽板40の間の空間は、空気通路APとなっている
【0042】
一例として、引き寄せ部41は、放電する放電部(図示せず)と、帯電する帯電部(図示せず)とを有する。放電部は、放電することによって周辺の酸素をイオンに変化させる。イオンとなった酸素の作用で病原体CVは帯電する。帯電した病原体CVは、病原体CVと電気的に反対の極性で帯電する帯電部に引き寄せられる。そして、病原体CVは、帯電部に付着する。また、放電部と帯電部とを有する引き寄せ部41の代わりに、ゴムなどの絶縁材料製の引き寄せ部41を使用してもよい。絶縁材料製の引き寄せ部41は、接触する空気流Fとの摩擦により摩擦電気が生じて帯電し、引き寄せ部41と電気的に反対の極性で帯電した病原体CVを引き寄せて付着させるためである。
【0043】
また、引き寄せ部41は、病原体CVを引き寄せて付着させるのではなく、単に付着させるだけでもよい。病原体CVは、人々が咳またはくしゃみなどをして人々の体外に排出されるため、多くの数の病原体CVが、咳またはくしゃみなどで生じる飛沫、すなわち水分に包まれた状態で空気清浄装置200の周囲を浮遊している。水分に包まれた病原体CVを付着させるために、引き寄せ部41の表面に水分を付着させやすくする親水化処理を行ってもよい。引き寄せ部41の表面を親水化処理することで、病原体CVを包む水分と一緒に病原体CVを親水化処理された引き寄せ部41の表面に付着させることができる。また、引き寄せ部41は、表面を微小な凹凸形状とすることで、その凹凸部分に病原体CVを引っ掛けて付着させてもよい。
【0044】
引き寄せ部41が通風路1内部の有害な病原体CVを付着させることで、通風路1内部の病原体CVは、通風路1内部の紫外線UVの照射領域UAに留まる。このため、紫外線UVの照射領域UAを通り抜けようとする病原体CVが死滅するまで、その病原体CVを紫外線UVの照射領域UAに留めて紫外線UVを照射し続けることができる。したがって、通風路1外部に排出される病原体CVの数が引き寄せ部41を設けない場合よりも減り、短時間で病原体CVの数を減少させるのに寄与する。
【0045】
以下に、実施形態2に係る空気清浄装置200の変形例1から変形例3の構造について
図10から
図12を参照して説明する。
【0046】
[実施形態2の変形例1]
図10に示すように、実施形態2に係る空気清浄装置200の変形例1の遮蔽体4は、紫外線UVを反射させるとともに病原体CVを引き寄せて付着させる引き寄せ部41と、引き寄せ部41よりも上流側または下流側に設けられ、紫外線UVを受けて吸収する遮光部42とを有する。引き寄せ部41は、遮光部42よりも通風路1内部側に設けられる。具体的には、
図10に示す遮蔽体4は、
図3に示す遮蔽体4と同じ形状のルーバーである。図示しないが、通風路入口12に遮蔽体4が設けられる場合、ルーバーを構成する各羽板40の上流側が遮光部42となり、各羽板40の下流側が引き寄せ部41となる。一方で、
図10に示すように、通風路出口13に遮蔽体4が設けられる場合、各羽板40の上流側が引き寄せ部41となり、各羽板40の下流側が遮光部42となる。
【0047】
遮光部42は、実施形態1にて説明した遮蔽体4と同様に、空気通路APを通り抜けようとする紫外線UVが、空気通路APを通り抜けたときに基準量以外となっているように、受けた紫外線UVを吸収する。さらに、遮光部42は、一度受けて基準量以下とならなかった紫外線UVをある部位で反射させ、遮光部42の別の部位で受けて基準量以下となるように吸収する。
【0048】
実施形態2の変形例1の引き寄せ部41は、紫外線UVを反射するので、引き寄せ部41に付着した病原体CVには、引き寄せ部41が受ける紫外線UVに加えて、引き寄せ部41が反射させた紫外線UVが照射される利点がある。そして、引き寄せ部41が反射させた紫外線UVであって、遮蔽体4の空気通路APを通り抜けようとする紫外線UVは、遮光部42が受けて、基準量以下となるように吸収される。
【0049】
[実施形態2の変形例2]
図11に示すように、変形例2の遮蔽体4は、
図10に示す遮蔽体4と同じように、病原体CVを引き寄せて付着させる引き寄せ部41および紫外線UVを受けて吸収する遮光部42を有し、引き寄せ部41が遮光部42よりも通風路1内部側に設けられる。しかし、遮光部42の数が引き寄せ部41の数よりも多い点で、
図10に示す遮蔽体4と異なる。具体的には、
図11に示す引き寄せ部41および遮光部42は両方とも複数の羽板40により構成されるルーバーであるが、引き寄せ部41のルーバーの羽板40の数よりも遮光部42のルーバーの羽板40の数の方が多い。
【0050】
[実施形態2の変形例3]
図12に示すように、変形例3の遮蔽体4の羽板40は、紫外線UVを反射する反射部43と、病原体CVを引き寄せて付着させる引き寄せ部41とを有する。ある羽板40の引き寄せ部41は、空気通路APを挟んで設けられた他の羽板40の反射部43と対向している。具体的には、遮蔽体4は、複数の羽板40により構成されるルーバーであり、各羽板40は2つの空気通路APに挟まれている。そして、一方の空気通路AP側に引き寄せ部41があり、他方の空気通路AP側に遮光部42がある。
【0051】
実施形態2の変形例3では、引き寄せ部41が空気通路APを挟んで反射部43と対向するように設けられているので、空気通路APに入った病原体CVは、引き寄せ部41の空気通路APに面する部分に付着して反射部43で反射した紫外線UVに照射される。つまり、空気通路APに入った病原体CVにも、紫外線UVを照射することができる。このため、通風路1外部に排出される病原体CVの数を減らすことができる。
【0052】
[実施形態3]
実施形態3の空気清浄装置300について、
図13を参照して説明する。
【0053】
図13に示すように、実施形態3の空気清浄装置300は、実施形態1の空気清浄装置100とは、通風路1の構造が異なる。詳細には、空気清浄装置300の通風路1は、紫外線UVの照射領域UAでの空気流FUAの速度が、紫外線UVの照射領域UAよりも上流側および/または下流側の空気流の速度よりも遅くなるような構造である。実施形態3の説明は、実施形態1および実施形態2と主に異なる部分について行い、実施形態3と実施形態1および実施形態2との間で一致する部分については説明を省略する。
【0054】
図13に示すように、実施形態3の空気清浄装置300の通風路1は、通風路入口12から通風路1内部に入った空気流F12が減速する減速領域DAと、減速領域DAの後流側にある紫外線UVの照射領域UAと、紫外線UVの照射領域UAを通った空気流FUAを増速させる増速領域AAとを有する。減速領域DAは、通風路1内部において、上流側よりも下流側が、流路断面積が大きくなる領域である。流路断面積は、壁11に囲まれた空気流Fの通る空間90の断面積を意味する。紫外線UVの照射領域UAは、具体的には、通風路1内部の紫外線光源2を有する空間であって、通風路1の壁11と遮蔽体4とで囲まれた領域である。増速領域AAは、通風路1内部において、上流側よりも下流側が、流路断面積が小さくなる領域である。なお、
図13では、紫外線UVの照射領域UAは、流路断面積が上流側と下流側とで同じとして図示しているが、紫外線UVの照射領域UAの上流側および下流側の流路断面積は異なってもよい。また、
図13の空気清浄装置300は、減速領域DAおよび増速領域AAの両方を有するが、用途によっては、減速領域DAまたは増速領域AAの何れか一方のみを有する構造としてもよい。
【0055】
通風路1が減速領域DAを有することで、紫外線UVの照射領域UAでの空気流FUAの速度が、通風路入口12での空気流F12の速度よりも遅くなる。したがって、紫外線UVの照射領域UAに病原体CVが入ってから出るまでの時間が、減速領域DAを設けない場合よりも長くなり、より長い時間病原体CVに紫外線UVが照射される。死滅する病原体CVの数は、紫外線UVを照射する時間が長くなる程多くなるため、減速領域DAを設けることで、より多くの数の病原体CVを死滅させることができる。
【0056】
通風路1が増速領域AAを有することで、通風路出口13での空気流F13の速度が、紫外線UVの照射領域UAでの空気流FUAの速度よりも速くなる。したがって、空気流Fの速度が一定以上であることを要求する機器等にも清浄化した空気流Fを供給するように空気清浄装置300を接続することができる。
【0057】
[実施形態4]
実施形態4は、ビルなどの建物内の換気、建物内での空気の循環、または建物の室内の温度調整の用途のダクト(建物用ダクト)に接続され、図示しないが、上述の実施形態1の空気清浄装置100から実施形態3の空気清浄装置300までの何れかを有するダクト(空気清浄ダクト)である。空気清浄ダクトは、
図1から
図13に示す通風路1内部に建物用ダクトを流れる空気が通るように建物用ダクトの途中または出口部分に蛇腹状のホースなどの接続部材(図示せず)を介して接続される。このように空気清浄ダクトを建物用ダクトに接続すると、建物用ダクトを流れる空気が通風路1内部の紫外線UVの照射領域UAを通るため、建物用ダクトを流れる空気とともに運ばれる病原体CVが照射領域UAで紫外線UVに照射されて死滅し、その数が減少する。したがって、建物用ダクトは、病原体CVの数が少ない清浄化された空気を建物の部屋などに供給することができる。
【0058】
一般的に、建物用ダクト内を通る空気流の量は、建物用ダクトの用途に応じた基準により空気流の速度の範囲で定められている。空気流の速度の範囲の基準は、例えば、建築設備設計基準令和3年度版に示されているが、基準で定められた空気流の速度が、紫外線UVの照射領域UAを通る空気流に乗った病原体CVの数を十分に減少させるのに必要となる一定値以下のゆっくりとした空気流の速度よりも速い場合が多い。したがって、
図1に示す通風路入口12、通風路1内部、および通風路出口13の流路断面積が同じである空気清浄装置100を建物用ダクトに接続すると、建物用ダクトを流れる空気が減速されることなく、そのままの速度で通風路1内部を通り抜ける。このため、多くの数の病原体CVが死滅せずに紫外線UVの照射領域UAを通り抜けてしまう場合がある。
【0059】
多くの病原体CVが紫外線UVの照射領域UAを通り抜けることを防止するために、実施形態4の空気清浄ダクトは、実施形態3の空気清浄装置300(
図13参照)のように、減速領域DAと増速領域AAとを備えることが特に好ましい。なお、
図13の空気清浄装置300は、減速領域DAおよび増速領域AAは通風路1の一部として説明したが、減速領域DAおよび増速領域AAを通風路1とは別の部材としてもよい。具体的には、減速領域DAを有する接続部材(図示せず)および増速領域AAを有する接続部材(図示せず)を、それぞれ通風路入口12および通風路出口13に接続してもよい。
【0060】
[実施形態5]
実施形態5は、上述の実施形態1の空気清浄装置100から実施形態3の空気清浄装置300までの何れかを有する空気清浄機400である。
図14には、実施形態3の空気清浄装置300の形状を少し変更した空気清浄装置301を有する空気清浄機400を示す。実施形態5の空気清浄機400は、空気清浄装置301に加えて、通風路1内部を通る空気流Fを発生させる送風装置6を少なくとも有し、その他、通風路1内部に入る空気に浮遊する粉塵を捕集するフィルタなども使用する環境に応じて設けられる。
【0061】
図13の空気清浄装置300で説明した減速領域DAおよび増速領域AAは、
図14に示すように、それぞれ空気清浄機400の通風路入口12および通風路出口13の後流側の領域に設けられる。具体的には、空気清浄機400の通風路入口12の流路断面積は、通風路1内部の紫外線UVの照射領域UAでの流路断面積よりも小さくなっている。したがって、通風路1内部に入る空気流F22は、通風路入口12を通って、紫外線UVの照射領域UAに至る際に減速する。また、空気清浄機400には、通風路出口13から出た空気流F23を案内する案内部材15が通風路出口13の後流側に設けられている。案内部材15によって構成される空気流F23の通路15Pの流路断面積は、通風路1内部の紫外線UVの照射領域UAでの流路断面積よりも小さくなっている。したがって、通風路出口13を出た空気流F23は、空気流F23の通路15Pで増速する。
【0062】
送風装置6は、空気清浄装置100の通風路1内部に設けられる。送風装置6が空気流Fを発生させると、空気清浄機400の周囲の空気が病原体CVとともに通風路入口12を通って通風路1内部に入る。通風路1内部に入った病原体CVは、空気流Fに運ばれて移動し、紫外線UVの照射領域UAを通り紫外線UVを照射されて死滅した後に、通風路出口13を通って、空気清浄機400の外部に排出される。このように、空気清浄機400が周囲の病原体CVをその内部に入れて死滅させた後に外部に排出することで、空気清浄機400の周囲の病原体CVの数が減り、人々が病気に罹患しにくい環境が形成される。
【0063】
実施形態5の空気清浄機400も、
図1から
図13の空気清浄装置100と同様に、通風路1内部を流れる空気の量が多い程、その分多くの数の病原体CVを短時間で死滅させて、その数を減少させることができる。通風路1内部を通る空気流Fの量は、送風装置6の種類または性能と、
図15に示すように通風路出口13での流路断面積EAにおいて遮蔽体4に塞がれている流路断面積MAの割合(遮蔽割合)により定まる。遮蔽割合が大きい程、
図14に示す通風路1内部を通る空気流Fの量が少なくなる。
【0064】
遮蔽割合と、空気流の量との関係について
図16を参照して説明する。
図16は、送風装置6がブロワの場合における、遮蔽割合と、遮蔽割合が50%での通風路1を通る空気流の量を1.0とした場合における、通風路1を通る空気流の量FRとの関係を示したグラフである。
図16に示す遮蔽割合と、遮蔽割合が50%での通風路1を通る空気流の量FRとの関係は、各遮蔽割合における通風路1内部に生じる圧力損失の計測値と、ブロワのカタログに記載されたブロワの性能のデータとから算出した。
【0065】
図16に示すように、遮蔽割合が0%のときの空気流の量FRは、1.1程度である。しかし、空気流の量FRは、遮蔽割合が大きくなるにしたがって少なくなる。遮蔽割合が50%の場合、空気流の量FRは、遮蔽割合が0%のときと比較して、10%程度低くなる。そして、遮蔽割合が50%よりも大きくなると空気流の量FRはさらに少なくなり、多くの数の病原体CVを短時間で死滅させることができなくなる。したがって、多くの数の病原体CVを短時間で死滅させるために、遮蔽体4は、遮蔽割合が50%以下となるように設けることが好ましい。また、
図16では、送風装置6がブロワである場合について例示したが、送風装置6が、例えば、ブロワ以外の遠心式送風機、軸流ファンなどの軸流式送風機、またはクロスフローファンなどの横流送風機の場合も遮蔽割合が50%よりも大きくなると通風路1を通る空気流の量がブロワと同等またはブロワよりも少なくなるため、遮蔽割合が50%よりも大きくならないように、遮蔽体4を設けることが好ましい。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上述の実施形態に限られるものではなく、紫外線光源2が通風路1の内面側の位置に配置され、紫外線UVの照射領域UAの外に向かう紫外線UVが漏洩することを防止する遮蔽体4が空気流を通す構造であり、遮蔽体4が病原体CVを付着させる引き寄せ部41を有し、通風路1が、通風路1内部の上流側および/または下流側を通る空気流の速度よりも紫外線UVの照射領域UAを通る空気流の速度の方が遅くなる構造を有するという本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0067】
1 :通風路
2 :紫外線光源
3 :反射体
4 :遮蔽体
6 :送風装置
41 :引き寄せ部
46 :囲み部材
100 :空気清浄装置
200 :空気清浄装置
300 :空気清浄装置
400 :空気清浄機
CV :病原体
UA :紫外線の照射領域