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特開2024-136883水中油型乳化化粧料及びマッサージ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136883
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料及びマッサージ方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20240927BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240927BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/44
A61K8/63
A61K8/34
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048179
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】森下 彰子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA162
4C083AB032
4C083AB051
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC492
4C083AC532
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD202
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD572
4C083AD632
4C083AD662
4C083BB04
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB36
4C083CC03
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】本発明はマッサージ性を発揮しつつ、浸透感に優れ、使用後のべたつきが低減可能である水中油型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】本発明の水中油型乳化化粧料は、25℃における動粘度が特定の範囲内であるある成分(A1)及び成分(A2)のジメチルポリシロキサン、成分(B):融点25~50℃の植物油脂、及び/又は、融点25~50℃の脂肪酸トリグリセリド、成分(C):ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物、成分(D):多価アルコール、及び成分(E):水を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A1)、下記成分(A2)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含有する水中油型乳化化粧料。
成分(A1):25℃における動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(A2):25℃における動粘度が30000~100000mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(B):融点25~50℃の植物油脂、及び/又は、融点25~50℃の脂肪酸トリグリセリド
成分(C):ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、及びヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物
成分(D):多価アルコール
成分(E):水
【請求項2】
さらに、下記成分(F)を含有する請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
成分(F):ノニオン性界面活性剤
【請求項3】
さらに、下記成分(G)を含有する請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
成分(G):水溶性高分子
【請求項4】
さらに、下記成分(H)を含有する請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
成分(H):前記成分(B)以外の、25℃で固形の油性成分
【請求項5】
さらに、下記成分(I)を含有する請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
成分(I):25℃で液状の油性成分
【請求項6】
洗い流さずに使用する請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項7】
マッサージをする際に使用する請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料を皮膚に塗布する塗布工程、
及び、前記塗布工程後に前記水中油型乳化化粧料を塗布した部位をマッサージするマッサージ工程を含み、
前記マッサージ工程後に、塗布部位を洗い流す工程を含まない、マッサージ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型乳化化粧料に関する。また、本発明は上記水中油型乳化化粧料を用いたマッサージ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
むくみの改善、リフトアップ効果やリフレッシュ効果を奏することを目的とした美容マッサージにおいて、これらの効果を高めるために、マッサージクリームなどの水中油型の化粧料が使用されてきた。
【0003】
上記化粧料には、塗布時に、肌を動かすための適度な滑りと抵抗感を有しながら、肌に対して指が直接触れるような摩擦を感じにくい特性が求められる。このような特性を実現するためには、油性成分を一定量配合し、剤を硬くしてマッサージ時の抵抗感を出したり、滑りを良くしたりする必要がある(例えば、特許文献1)。従来は、マッサージ性を重視し、比較的重い塗布感触の化粧料が使用されることが多く、マッサージ後には、化粧料を洗い流すことが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-39851
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、洗い流しを伴わない手軽なマッサージ施術や、洗い流さないことにより、マッサージ用化粧料をスキンケア剤として肌にリーブオンする使用方法などが提案されている。しかしながら、従来の洗い流しを前提としたマッサージ用化粧料を用いた場合には、マッサージの持続性を重視するあまり、浸透が遅く剤が長時間肌に残り続けるように感じられたり、マッサージ後にもべたつきが感じられたりすることにより、リーブオンで使用する場合には不快感が生じるという課題があった。
【0006】
したがって、本発明の目的はマッサージ性を発揮しつつ、浸透感に優れ、使用後のべたつきが低減された水中油型乳化化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、下述の成分(A)~成分(E)を含有する水中油型乳化化粧料であれば、マッサージ性を発揮しつつ、浸透感に優れ、使用後のべたつきが低減可能であることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は下記成分(A1)、下記成分(A2)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含有する水中油型乳化化粧料を提供する。
成分(A1):動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(A2):動粘度が30000~100000mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(B):融点25~50℃の植物油脂、及び/又は、融点25~50℃の脂肪酸トリグリセリド

成分(C):ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、及びヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物
成分(D):多価アルコール
成分(E):水
【0009】
上記水中油型乳化化粧料は、さらに、下記成分(F)を含有することが好ましい。
成分(F):ノニオン性界面活性剤
【0010】
上記水中油型乳化化粧料は、さらに、下記成分(G)を含有することが好ましい。
成分(G):水溶性高分子
【0011】
上記水中油型乳化化粧料は、さらに、下記成分(H)を含有することが好ましい。
成分(H):上記成分(B)以外の25℃で固形の油性成分
【0012】
上記水中油型乳化化粧料は、さらに、下記成分(I)を含有することが好ましい。
成分(I):25℃で液状の油性成分
【0013】
また、上記水中油型乳化化粧料は洗い流さずに使用するものであることが好ましい。
【0014】
また、上記水中油型乳化化粧料はマッサージをする際に使用するものであることが好ましい。
【0015】
また、本発明は上記水中油型乳化化粧料を皮膚に塗布する塗布工程、及び、上記塗布工程後に上記水中油型乳化化粧料を塗布した部位をマッサージするマッサージ工程を含み、上記マッサージ工程後に、塗布部位を洗い流す工程を含まないマッサージ方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の水中油型乳化化粧料はマッサージ性を発揮しつつ、浸透感に優れ、使用後のべたつきが抑制される。したがって、上記水中油型乳化化粧料を使用したマッサージクリームは洗い流しをせずに使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「X~Y」は、「X以上Y以下」を意図する。また、本明細書において特記しない限り、成分の含有量を表す質量%は、水中油型乳化化粧料全体の質量を100質量%とした値である。
【0018】
また、本明細書において25℃で「固形」とは25℃で固形状又は半固形状(ペースト状)であることを意味するものであり、「液状」でないものをいう。また、「液状」とは、半径2cm、高さ7cmのガラスボトルに50gの試料を入れ、25℃の温度下、上記ガラスボトルを逆さにした際に、逆さにした直後より5分間に、試料がガラスボトルから垂れ落ちる性状であることを意味するものである。
【0019】
さらに、本発明において「マッサージ性」とは、剤を塗布することにより、マッサージのしやすさを向上させる特性であり、この特性はマッサージが十分にできる時間持続することを意味する。より具体的には、塗布時に適度な滑りと抵抗感を有することにより手(指や掌など)で肌を動かしやすくでき、なおかつ、手と肌との間に剤(剤の塗布層)が存在していると感じられることにより肌に対して手が直接触れるような摩擦を感じにくくする特性とその持続性を意味する。
さらに、「浸透感」とは、所謂皮膚への馴染みの良さであり、具体的には、塗布やマッサージが一定時間経過した後に、剤が肌に浸透して剤の残存感が消失することを意味する。言い換えると、浸透感がないとは、マッサージ中に、剤が長時間肌に残り続けることをいい、このような場合には、洗い流さずに使用する際の使用感が低下する。
さらに、「べたつき」とは、剤が肌に浸透した後に感じられる、粘着感を意味するものである。
【0020】
[水中油型乳化化粧料]
本発明の水中油型乳化化粧料は、25℃における動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサン;25℃における動粘度が30000~100000mm2/sであるジメチルポリシロキサン;融点25~50℃の植物油脂、及び/又は、融点25~50℃の脂肪酸トリグリセリド;ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物;多価アルコール;及び、水を少なくとも含有する。
【0021】
本明細書では、上記「25℃における動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサン」を「成分(A1)」、上記「25℃における動粘度が30000~100000mm2/sであるジメチルポリシロキサン」を「成分(A2)」、上記「融点25~50℃の植物油脂、及び/又は、融点25~50℃の脂肪酸トリグリセリド」を「成分(B)」、上記「ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物」を「成分(C)」、上記「多価アルコール」を「成分(D)」、上記「水」を「成分(E)」とそれぞれ称する場合がある。すなわち、本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(A1)、成分(A2)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、及び成分(E)を少なくとも含有する。
【0022】
本発明の水中油型乳化化粧料は、ノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。また、本発明の水中油型乳化化粧料は、水溶性高分子を含有することが好ましい。本発明の水中油型乳化化粧料は、成分(B)以外の25℃で固形の油性成分を含有してもよい。本発明の水中油型乳化化粧料は、25℃で液状の油性成分を含有してもよい。本明細書では、上記「ノニオン性界面活性剤」を「成分(F)」、上記「水溶性高分子」を「成分(G)」、上記「成分(B)以外の25℃で固形の油性成分」を「成分(H)」、上記「25℃で液状の油性成分」を「成分(I)」とそれぞれ称する場合がある。上記水中油型乳化化粧料は、成分(F)、成分(G)、成分(H)、成分(I)を含有してもよく、成分(A1)~成分(I)以外の成分を含有していてもよい。
【0023】
<成分(A1)>
成分(A1)は動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサン(ジメチコン)である。成分(A1)は、化合物自体のべたつきのなさにより、浸透後のべたつきを抑制する効果を発揮する。また、塗布時の滑り性を向上し、剤の塗布層の厚み感(塗布層が存在する感触)を高めることにより、マッサージ性を向上する。成分(A1)は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。なお、本明細書において、動粘度は、JIS K 2283に準じて25℃の条件で測定したときの値である。
【0024】
成分(A1)の25℃における動粘度は、べたつき抑制効果とマッサージ性の観点から、好ましくは200~600mm2/sである。
【0025】
成分(A1)としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名「DOWSIL SH200C FLUID 1000cSt」(25℃の動粘度:1000mm2/s)、商品名「DOWSIL SH200C FLUID 350cSt」(25℃の動粘度:350mm2/s)、商品名「DOWSIL SH200C FLUID 100cSt」(25℃の動粘度:100mm2/s)(以上、ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。
【0026】
成分(A1)の含有量は、水中油型乳化化粧料中、0.5~6.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.7~2.0質量%である。成分(A1)の含有量が0.5質量%以上であることで、使用後のべたつきをより抑制することができる。また、マッサージ性をより一層向上できる。成分(A1)の含有量が6.0質量%以下であることにより、浸透感をより一層向上することができる。
【0027】
<成分(A2)>
成分(A2)は動粘度が30000~100000mm2/sであるジメチルポリシロキサン(ジメチコン)である。成分(A2)は、皮膜を形成することで、べたつきを抑制する効果を発揮することができる。さらに、浸透感を向上する。成分(A2)は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0028】
成分(A2)の25℃における動粘度は、べたつき抑制効果と浸透感の観点から、好ましくは50000~80000mm2/sである。
【0029】
成分(A2)としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名「KF-96H-3万cs」(25℃の動粘度:30000mm2/s)、商品名「KF-96H-5万cs」(25℃の動粘度:50000mm2/s)、商品名「KF-96H-6万cs」(25℃の動粘度:60000mm2/s)、商品名「KF-96H-10万cs」(25℃の動粘度:100000mm2/s)(以上、信越化学工業社製);商品名「DOWSIL SH200 FLUID 30,000cSt」(25℃の動粘度:30000mm2/s)、「DOWSIL SH200 FLUID 60,000cSt」(25℃の動粘度:60000mm2/s)、「DOWSIL SH200 FLUID 100,000cSt」(25℃の動粘度:100000mm2/s)(以上、ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。
【0030】
成分(A2)の含有量は、水中油型乳化化粧料中、0.05~1.5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~0.7質量%である。成分(A2)の含有量が0.05質量%以上であることで、使用後のべたつきをより抑制することができる。また、浸透感をより一層向上できる。成分(A2)の含有量が1.5質量%以下であることにより、使用後のべたつきをより抑制することができる。また、浸透感をより一層向上できる。
【0031】
本発明においては、作用機序の異なるべたつき抑制効果を有する、成分(A1)及び成分(A2)を併用することにより、高いレベルでのべたつき抑制効果を発揮させている。さらに、浸透感の比較的低い成分(A1)と浸透感を向上する成分(A2)を併用することで適度な浸透感を発揮させている。
【0032】
<成分(B)>
成分(B)は、融点25~50℃の植物油脂、及び/又は、融点25~50℃の脂肪酸トリグリセリドである。成分(B)は、体温付近の融点を有するため、塗布及びマッサージ中に融解することにより、浸透感を発揮する。また、浸透後のべたつき抑制効果を向上させている。さらに、塗布時の抵抗感を高め、マッサージ性を向上する。成分(B)は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0033】
上記融点25~50℃の植物油脂としては、シア脂、マンゴーバター(マンゴー種子油)、アストロカリウムムルムル種子脂などが挙げられる。上記融点25~50℃の脂肪酸トリグリセリドとしては、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリ(パーム油脂肪酸/パーム核油脂肪酸/オリーブ油脂肪酸/マカデミアナッツ油脂肪酸/アブラナ種子油脂肪酸)グリセリルなどが挙げられる。成分(B)としては、中でも、融点25~50℃の植物油脂が好ましい。
【0034】
成分(B)の含有量は、水中油型乳化化粧料中、5.0~25.0質量%であることが好ましく、より好ましくは7.0~15.0質量%である。成分(B)の含有量が5.0質量%以上であることで、使用後のべたつきをより抑制することができる。また、浸透感をより一層向上できる。さらに、マッサージ性をより一層向上できる。成分(B)の含有量が25.0質量%以下であることにより、成分(B)自体による使用後のべたつきをより抑制することができる。
【0035】
<成分(C)>
成分(C)は、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、及びヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である。成分(C)は、浸透感を向上し、なおかつ、使用後のべたつき抑制効果を向上することができる。成分(C)は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0036】
成分(C)の含有量は、水中油型乳化化粧料中、0.5~4.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0~3.0質量%である。成分(C)の含有量が0.5質量%以上であることにより、成分(C)以外の油性成分によるべたつきを抑制しつつ、適度な浸透感をより発揮することができる。含有量が4.0質量%以下であることにより、成分(C)由来のべたつきをより抑制することができる。
【0037】
<成分(D)>
成分(D)は、多価アルコールである。成分(D)は、塗布時の抵抗感を向上し、剤の塗布層の厚み感を高めることにより、マッサージ性を向上する。成分(D)は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0038】
成分(D)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオールなどのグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコールなどが挙げられる。
【0039】
成分(D)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、5.0~30.0質量%が好ましく、より好ましくは10.0~20.0質量%である。成分(D)の含有量が5.0質量%以上であると、マッサージ性をより向上することができる。成分(D)の含有量が30.0質量%以下であると、塗布後のべたつきをより抑えることができる。また、浸透感をより向上することができる。
【0040】
<成分(E)>
成分(E)は水である。成分(E)は水中油型の乳化系を形成するための媒体としての役割を発揮する。成分(E)としては、特に限定されないが、精製水が好ましい。
【0041】
成分(E)の含有量としては、水中油型乳化化粧料中、35.0~80.0質量%が好ましく、より好ましくは40.0~70.0質量%である。
【0042】
<成分(F)>
成分(F)はノニオン性界面活性剤である。成分(F)は、水中油型の乳化系を形成するための乳化剤として作用する。成分(F)は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0043】
成分(F)としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油などが挙げられる。
【0044】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。また、ソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。
【0045】
上記グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルのいずれも含む。モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジアラキン酸グリセリルなどが挙げられる。上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6~10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ポリ(10)グリセリルなどの上記モノグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。また、グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
【0046】
上記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどが挙げられる。
【0047】
上記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルは、ポリオキシアルキレンモノ脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンジ脂肪酸エステルのいずれも含む。ポリオキシアルキレンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルなどが挙げられる。ポリオキシアルキレンジ脂肪酸エステルとしては、例えば、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジミリスチン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジベヘン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルが挙げられる。
【0048】
上記アルキルグルコシドとしては、特に限定されないが、炭素数12~22のアルキル基を有するアルキルグルコシドが挙げられ、例えば、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ヘキサデシルグルコシド(セチルグルコシド)、オクタデシルグルコシド(ステアリルグルコシド)、セテアリルグルコシド、アラキルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド、これらの混合物であるアルキルグルコシド(炭素数:12~22)などが挙げられる。
【0049】
成分(F)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、0.3~4.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5~2.0質量%である。成分(F)の含有量が0.3質量%以上であると、乳化安定性に一層優れる。成分(F)の含有量が4.0質量%以下であると、成分(F)自体による塗布後のべたつきをより抑えることができる。
【0050】
<成分(G)>
成分(G)は水溶性高分子である。成分(G)を含むことにより、剤の塗布層の厚み感をより一層高めマッサージ性をより一層向上させる。さらに、マッサージ中に成分(G)による構造が崩れることにより、浸透感がより一層向上する。成分(G)は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0051】
成分(G)としては、特に限定されないが、例えば、ゼラチン、アルギン酸塩;キサンタンガム、グアガム、カラギーナン、ペクチン、ローカストビーンガムなどの多糖類系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系水溶性高分子;カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキルコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸Na)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-6などのアクリル系水溶性高分子などが挙げられる。中でも、乳化安定性をより一層向上させる観点から、成分(G)は、アクリル系水溶性高分子を含むことが好ましい。
【0052】
成分(G)の含有量は、水中油型乳化化粧料中、0.05~3.5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~2.0質量%であり、さらに好ましくは0.2~1.0質量%である。成分(G)の含有量が0.05質量%以上であることにより、マッサージ性及び浸透感をより発揮することができる。成分(G)の含有量が3.5質量%以下であることにより、成分(G)自体のべたつきをより抑制することができる。
【0053】
<成分(H)>
成分(H)は、成分(B)以外の、25℃で固形の油性成分である。成分(H)を含有することにより、化粧料に適度な抵抗感を付与しマッサージ性をより一層向上する。さらに、浸透感をより一層向上する。加えて、べたつきをより一層抑えることができる。
【0054】
成分(H)としては、25℃で固形の、ロウ、高級アルコール、炭化水素油、高級脂肪酸、脂肪酸トリグリセリドなどが挙げられる。成分(H)としては1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0055】
上記25℃で固形のロウとしては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウなどが挙げられる。
【0056】
上記25℃で固形の高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコールなどが挙げられる。
【0057】
上記25℃で固形の炭化水素油としては、例えば、セレシン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ワセリンなどが挙げられる。
【0058】
上記25℃で固形の高級脂肪酸(例えば、炭素数8~22の脂肪酸)としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などが挙げられる。
【0059】
上記25℃で固形の脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、トリステアリン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリルなどが挙げられる。
【0060】
成分(H)の含有量は、特に限定されないが、水中油型乳化化粧料中、0.5~10.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0~7.0質量%である。成分(H)の含有量が0.5質量%以上であると、マッサージ性及び浸透感をより発揮させることできる。また、塗布後のべたつきを一層抑えることができる。成分(H)の含有量が10.0質量%以下であると、塗布後のべたつきを一層抑えることができる。
【0061】
<成分(I)>
成分(I)は25℃で液状の油性成分である。成分(I)を含有することにより、滑り性を向上しマッサージ性をより一層向上させ、浸透感をより一層高めることができる。成分(I)は1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0062】
成分(I)としては特に限定されないが、例えば、25℃で液状である、炭化水素油、植物油、エステル油、高級脂肪酸、成分(A1)及び成分(A2)以外のジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0063】
上記25℃で液状の炭化水素油としては例えば、α-オレフィンオリゴマー、ミネラルオイル、水添ポリイソブテン、イソドデカン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィンなどが挙げられる
【0064】
上記25℃で液状の植物油としては、例えば、ホホバ油などが挙げられる。
【0065】
上記25℃で液状のエステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、アジピン酸ジイソプロピル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリットなどが挙げられる。
【0066】
上記25℃で液状の高級脂肪酸(例えば、炭素数8~22の脂肪酸)としては、例えば、イソステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。
【0067】
上記25℃で液状の成分(A1)及び成分(A2)以外のジメチルポリシロキサンとしては市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名「DOWSIL SH200C FLUID 3000cSt」(25℃の動粘度:3000mm2/s)、商品名「DOWSIL SH200C FLUID 5000cSt」(25℃の動粘度:5000mm2/s)、「DOWSIL SH200 FLUID 10000cSt」(25℃の動粘度:10000mm2/s)、「DOWSIL SH200 FLUID 12500cSt」(25℃の動粘度:12500mm2/s)(以上、ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。
【0068】
成分(I)の含有量は、水中油型乳化化粧料中、3.0~20.0質量%であることが好ましく、より好ましくは5.0~15.0質量%である。成分(I)の含有量が3.0質量%以上であることにより、マッサージ性及び浸透感をより一層発揮することができる。含有量が20.0質量%以下であることにより、成分(I)自体のべたつきをより抑制することができる。
【0069】
また、上記水中油型乳化化粧料は上述の成分(A1)~成分(I)以外のその他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、例えば、エタノールなどの低級アルコール、成分(F)以外の界面活性剤(レシチンなど)、酸化防止剤、防腐成分、清涼成分、血行促進成分、紫外線吸収剤、植物抽出エキス、香料、pH調整剤などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0070】
上記水中油型乳化化粧料の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。上記水中油型乳化化粧料の製造方法としては、例えば、上述した各成分を加えて、ディスパーミキサー、パドルミキサーなどの公知の混合装置を用いて混合する方法などを例示することができる。
【0071】
上記水中油型乳化化粧料は、皮膚化粧料であることが好ましく、例えば、保湿化粧料、しわ改善用化粧料、マッサージ用途に使用される化粧料などが挙げられる。中でも、特に好ましくは、マッサージをする際に使用される化粧料(マッサージをする際に塗布される皮膚化粧料)である。上記水中油型乳化化粧料の性状は、特に限定されないが、クリーム、乳液、ジェルなどが挙げられ、特に、クリームであることが好ましい。
【0072】
上記水中油型乳化化粧料は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨などとして用いられる。上記水中油型乳化化粧料を塗布する部位としては、特に限定されないが、例えば、顔(額、目元、目じり、頬、口元など)、身体(腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中など)などが挙げられる。中でも、特に好ましくは顔に用いられるものである。
【0073】
上記水中油型乳化化粧料は、塗布後、マッサージの施術に必要なある程度の時間(例えば、30秒以上、好ましくは1分以上)は、適度な滑り性や抵抗感(マッサージ性)を発揮する。なおかつ、良好な浸透感を発揮し、塗布後数分経過後には、剤が皮膚に浸透したと感じられ、剤の残留感が消失する。さらに、浸透後のべたつきが低減されている。このため、上記水中油型乳化化粧料はマッサージ後に、洗い流したり、さらに洗顔を行ったりする必要がない。したがって、上記水中油型乳化化粧料は、洗い流さずに使用することができる。
【0074】
[水中油型乳化化粧料を使用したマッサージ方法]
また、本発明の一実施形態として、上記水中油型乳化化粧料を使用したマッサージ方法を提供する。上記水中油型乳化化粧料は、上述のとおり、マッサージ性を有するとともに、優れた浸透感を有し、さらに、浸透後はべたつきが低減されている。このため上記水中油型乳化化粧料を使用したマッサージ方法では、通常のマッサージクリームとは異なり上記水中油型乳化化粧料洗い流しを行わなくてもよい。したがって、本発明は上記水中油型乳化化粧料を使用した、洗い流しを含まないマッサージ方法を提供することができる。
【0075】
上記マッサージ方法は、例えば、上記水中油型乳化化粧料を皮膚に塗布する塗布工程、及び、上記塗布工程後に上記水中油型乳化化粧料を塗布した部位をマッサージするマッサージ工程を含み、上記マッサージ工程後に、塗布部位を洗い流す工程を含まない、マッサージ方法である。上記マッサージ工程では、例えば、上記水中油型乳化化粧料を塗布した部位を、手(掌や指)で、筋肉をほぐすように一定の圧力をかけて動かすなどのマッサージを行う。
【実施例0076】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。表に記載の配合量は、特記しない限り、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量)であり、「質量%」で表す。なお、「MONTANOV202」及び「SIMULGEL NS」は原料の配合量で示す。
【0077】
実施例1~15、比較例1~10
表1に記した組成に従い、実施例及び比較例の水中油型乳化化粧料を常法により調製し、下記評価試験に供した。評価結果は、表1に併記する。
【0078】
表1に記載の成分の詳細は次のとおりである。
<成分(A1)>
ジメチルポリシロキサンa:商品名「DOWSIL(TM) SH200C FLUID 350cSt」、ダウ・ケミカル社製、動粘度:350mm2/s
ジメチルポリシロキサンc:商品名「DOWSIL(TM) SH200C FLUID 100cSt」、ダウ・ケミカル社製、動粘度:100mm2/s
<成分(A2)>
ジメチルポリシロキサンb:商品名「DOWSIL(TM) SH200 60,000cSt」、ダウ・ケミカル社製、動粘度:60000mm2/s
ジメチルポリシロキサンd:商品名「DOWSIL(TM) SH200 100,000cSt」、ダウ・ケミカル社製、動粘度:100000mm2/s
<成分(B)>
マンゴー種子油:商品名「クロピュアマンゴーバター-SO-(JP)」、CRODA社製、半固形状、融点26~36℃
シア脂:商品名「Star Shea Butter refind」、IMCD Benelux B.V.社製、半固形状、融点30~38℃
アストロカリウムムルムル種子脂:商品名「Murumuru Butter」、IMCD Benelux B.V.社製、半固形状、融点約34℃
<成分(C)>
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル):商品名「エルデュウPS-306R」、味の素ヘルシーサプライ社製
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル:商品名「コスモール168ARV」、日清オイリオグループ社製
テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル:商品名「コスモール168EV」、日清オイリオグループ社製
ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル:商品名「コスモール168M」、日清オイリオグループ社製
<成分(D)>
グリセリン
DPG:ジプロピレングリコール
1,3-ブチレングリコール
<成分(F)>
MONTANOV202:商品名「MONTANOV202」、SEPPIC SA社製、成分(F)としてアラキルグルコシドを含み、成分(I)としてアラキジルアルコール、ベヘニルアルコールを含む原料
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.):商品名「レオドール TW-S120V」、花王社製
ステアリン酸グリセリル:商品名「CUTINA GMS-V」、BASF社製
<成分(G)>
ポリアクリレートクロスポリマー-6:商品名「SEPIMAX ZEN」、SEPPIC SA社製
キサンタンガム:商品名「エコーガムT」、住友ファーマ&フード社製
SIMULGEL NS:商品名「SIMULGEL NS」、SEPPIC SA社製、成分(G)として(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸Na)コポリマーを含み、成分(F)としてポリソルベート60及びイソステアリン酸ソルビタン、成分(I)としてスクワラン、成分(E)として水を含む原料
<成分(H)>
ワセリン:商品名「ハクショクワセリン1S」、Sonneborn社製
マイクロクリスタリンワックス:商品名「MULTIWAX W-835」、Sonneborn社製
<成分(I)>
スクワラン:商品名「NIKKOL シュガースクワラン」、日本サーファクタント工業社製
ジメチルポリシロキサンe:商品名「DOWSIL(TM) SH200 12,500cSt」、ダウ・ケミカル社製、動粘度:12500mm2/s
<その他の成分>
水酸化カリウム:pH調整剤
【0079】
[評価]
上記水中油型乳化化粧料約2gを手で顔に塗布し、塗布部を指全体で中央から外側に圧力をかけるようになでることにマッサージした。塗布後の塗布感触より、「マッサージ性」、「浸透感」、「塗布後のべたつきのなさ」を以下の評価基準で官能評価した。各評価は専門評価員3人で行った。
【0080】
(1)マッサージ性
上記マッサージの際の感触(適度な滑り性及び抵抗感)及びその感触の持続性より以下の評価基準で評価した。
◎(優れる):マッサージ可能な感触の持続時間が1分以上であり、抵抗感及び滑り性が良好である。
○(良好):マッサージ可能な感触の持続時間が1分以上であるが、抵抗感がやや弱い又は滑り性がやや劣る塗布感触である。
△(実用可能):マッサージ可能な感触の持続時間が20秒以上、1分未満である。
×(不良):滑り性又は抵抗感がほとんどなく塗布感触が実用上マッサージに適さない。または、マッサージ可能な感触の持続時間が20秒未満であり実用上マッサージに適さない。
【0081】
(2)浸透感
上記マッサージの際に、剤の残留感がなくなったと感じるまでの時間より以下の評価基準で評価した。
◎(優れる):塗布後3分後には、剤の残留感がなくなっていた。
○(良好):塗布後3分~5分の間に、剤の残留感がなくなった。
×(不良):塗布後5分経過しても、剤の残留感が残っていた。
【0082】
(3)浸透後のべたつきのなさ
上記マッサージの際に、剤の残留感がなくなった(浸透した)後の肌を手で触ってべたつきの有無より以下の評価基準で評価した。
◎(優れる):べたつきをほとんど感じない又は全く感じない。
○(良好):べたつきをやや感じるものの、洗い流さなくても実用上不快ではないレベルである。
△(実用可能):べたつきを感じるものの、洗い流さなくても実用できるレベルである。
×(不良):強いべたつきを感じ、洗い流しなしでは実用上不快である。
【0083】
【表1】
【0084】
実施例の水中油型乳化化粧料は乳化安定性を有し、マッサージ性を発揮しつつ、浸透感に優れ、使用後のべたつきが低減されることが確認された。一方で成分(D)を含有しない場合、乳化安定性に劣り、塗布後すぐ浸透してしまうためマッサージ性に劣っていた(比較例1)。また、成分(A1)及び成分(A2)のいずれか一方、又は成分(A1)及び成分(A2)の両方を含有しない場合、塗布後のべたつきを抑制することができなかった(比較例2、3、8)。さらに、成分(A1),成分(A2)に該当しないジメチルポリシロキサンを使用した場合も塗布後のべたつきを低減することができなかった(比較例10)。また、成分(B)を含有しない場合、成分(B)及び成分(C)の両方を含有しない場合、および成分(B)及び成分(C)の両方を含有せず、代わりにその他の固形の油性成分を使用した場合、体温で組成が変化しないため、浸透感に劣り、塗布後のべたつきを抑制することができなかった(比較例4,5、9)。また、成分(C)を含有しない場合も塗布後のべたつきを抑制することができなかった(比較例6,7)。
【0085】
さらに、以下の表2に本発明の処方例を示す。
【0086】
【表2】
【0087】
以下に本発明のバリエーションを記載する。
[付記1]
下記成分(A1)、下記成分(A2)、下記成分(B)、下記成分(C)、下記成分(D)、及び下記成分(E)を含有する水中油型乳化化粧料。
成分(A1):25℃における動粘度が100~1000mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(A2):25℃における動粘度が30000~100000mm2/sであるジメチルポリシロキサン
成分(B):融点25~50℃の植物油脂、及び/又は、融点25~50℃の脂肪酸トリグリセリド
成分(C):ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、及びヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物
成分(D):多価アルコール
成分(E):水
[付記2]
さらに、下記成分(F)を含有する付記1に記載の水中油型乳化化粧料。
成分(F):ノニオン性界面活性剤
[付記3]
さらに、下記成分(G)を含有する付記1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
成分(G):水溶性高分子
[付記4]
さらに、下記成分(H)を含有する付記1~3のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
成分(H):前記成分(B)以外の、25℃で固形の油性成分
[付記5]
さらに、下記成分(I)を含有する付記1~4のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
成分(I):25℃で液状の油性成分
[付記6]
洗い流さずに使用する付記1~5のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
[付記7]
マッサージをする際に使用する付記1~6のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料。
[付記8]
付記1~7のいずれか1つに記載の水中油型乳化化粧料を皮膚に塗布する塗布工程、及び、前記塗布工程後に前記水中油型乳化化粧料を塗布した部位をマッサージするマッサージ工程を含み、
前記マッサージ工程後に、塗布部位を洗い流す工程を含まない、マッサージ方法。