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特開2024-136892蓄電装置、診断装置、および診断方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136892
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】蓄電装置、診断装置、および診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/396 20190101AFI20240927BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20240927BHJP
   G01R 31/367 20190101ALI20240927BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/392
G01R31/367
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048193
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 和夫
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA21
2G216BB01
2G216CB11
5G503AA01
5G503BA03
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA11
5G503EA08
5G503FA19
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS01
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】蓄電池の不具合を効果的に診断することができる蓄電装置を得る。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る蓄電装置は、直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池と、複数の蓄電池のそれぞれの電圧を検出可能なセンサと、センサによる複数回分の検出結果に基づいて、複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、第1の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合を診断可能な処理部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池と、
前記複数の蓄電池のそれぞれの電圧を検出可能なセンサと、
前記センサによる複数回分の検出結果に基づいて、前記複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、前記第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または前記第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、前記第1の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合を診断可能な処理部と
を備えた蓄電装置。
【請求項2】
前記第1の相関データは、前記第1の蓄電池の電圧と、前記複数の蓄電池のうちの前記第1の蓄電池とは異なる第2の蓄電池の電圧との相関関係を示す
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記処理部は、さらに、前記第1の蓄電池の電圧と、前記複数の蓄電池のうちの前記第1の蓄電池および前記第2の蓄電池とは異なる第3の蓄電池の電圧との相関関係を示す第2の相関データを生成可能であり、前記第1の相関データおよび前記第2の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合を診断可能である
請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第1の相関データは、前記第1の蓄電池の電圧と、前記複数の蓄電池のうちの前記第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1の相関データは、前記第1の蓄電池の電圧と、前記複数の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記処理部は、蓄電池の電圧の相関関係を示す相関データが入力され不具合度合いが出力される学習済みモデルを用いて、前記第1の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合度合いを算出することにより、前記第1の蓄電池の不具合を診断可能である
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記第1の相関データに基づいて特徴量を抽出可能であり、前記特徴量に基づいて前記第1の蓄電池の不具合を診断可能である
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記特徴量は、第1の軸は前記第1の蓄電池の電圧を示し、第2の軸は前記1以上の蓄電池の電圧を示す特性図における、特性の傾きを含む
請求項7に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記特徴量は、第1の軸は前記第1の蓄電池の電圧を示し、第2の軸は前記1以上の蓄電池の電圧を示す特性図における、特性の幅を含む
請求項7に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記処理部は、前記第1の蓄電池の診断結果に基づいて、前記第1の蓄電池を含むモジュールの交換を要求する処理を行うことが可能である
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項11】
直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池のそれぞれにおける電圧を検出可能なセンサから供給された複数回分の検出結果に基づいて、前記複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、前記第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または前記第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、前記第1の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合を診断可能な処理部を備えた
診断装置。
【請求項12】
直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池のそれぞれにおける電圧を検出可能なセンサから供給された複数回分の検出結果に基づいて、前記複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、前記第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または前記第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成することと、
前記第1の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合を診断することと
を含む診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電池の不具合を診断する蓄電装置および診断装置、ならびにそのような蓄電装置および診断装置において用いられる診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置では、しばしば、不具合を検出する技術が用いられる。例えば、特許文献1には、稼働中の蓄電装置におけるデータに基づいて、蓄電装置の劣化状態を評価する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020―119712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、蓄電装置では、蓄電池の不具合を診断することが望まれており、不具合をより効果的に診断することが期待されている。
【0005】
蓄電池の不具合を効果的に診断することができる蓄電装置、診断装置、および診断方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態における蓄電装置は、複数の蓄電池と、センサと、処理部とを備えている。複数の蓄電池は、直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能なものである。センサは、複数の蓄電池のそれぞれの電圧を検出可能なものである。処理部は、センサによる複数回分の検出結果に基づいて、複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、第1の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合を診断可能なものである。
【0007】
本開示の一実施の形態における診断装置は、直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池のそれぞれにおける電圧を検出可能なセンサから供給された複数回分の検出結果に基づいて、複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、第1の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合を診断可能な診断回路を備えている。
【0008】
本開示の一実施の形態における診断方法は、直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池のそれぞれにおける電圧を検出可能なセンサから供給された複数回分の検出結果に基づいて、複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成することと、第1の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合を診断することとを含むものである。
【0009】
本開示の一実施の形態における蓄電装置、診断装置、および診断方法によれば、蓄電池の不具合を効果的に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施の形態に係る蓄電システムの一構成例を表すブロック図である。
図2図2は、第1の実施の形態に係る蓄電モジュールおよび蓄電管理ユニットの一構成例を表す回路図である。
図3図3は、図2に示した蓄電池のセル電圧の一例を表す波形図である。
図4図4は、図2に示した診断部の一動作例を表す説明図である。
図5図5は、図2に示した診断部の一動作例を表す他の説明図である。
図6図6は、図2に示した診断部の一動作例を表すフローチャートである。
図7A図7Aは、相関データの一例を表す説明図である。
図7B図7Bは、相関データの他の一例を表す説明図である。
図7C図7Cは、相関データの他の一例を表す説明図である。
図8図8は、図2に示した診断部におけるニューラルネットワークモデルの一例を表す説明図である。
図9図9は、図2に示した診断部の一動作例を表す他の説明図である。
図10A図10Aは、相関データの他の一例を表す説明図である。
図10B図10Bは、相関データの他の一例を表す説明図である。
図11図11は、第1の実施の形態の変形例に係る診断部が扱う特徴量の一例を表す説明図である。
図12図12は、第1の実施の形態の変形例に係る診断部の一動作例を表す説明図である。
図13図13は、図11に示した特徴量の分布を表す説明図である。
図14図14は、第2の実施の形態に係る蓄電モジュールの一構成例を表す回路図である。
図15図15は、図14に示した診断部の一動作例を表す説明図である。
図16図16は、図14に示した診断部の一動作例を表す他の説明図である。
図17図17は、図14に示した診断部の一動作例を表すフローチャートである。
図18図18は、第2の実施の形態の変形例に係る診断部の一動作例を表す他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0012】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る蓄電システム1の一構成例を表すものである。蓄電システム1は、制御装置8による制御に基づいて、商用電源などの系統電源9から供給された電力を貯蔵し、あるいは、貯蔵された電力を系統電源9に供給するように構成される。蓄電システム1は、パワーコンディショナ11と、複数の蓄電ストリング20と、システム管理装置12とを備えている。この図1では、電力の供給経路を太線で示している。
【0013】
パワーコンディショナ11は、系統電源9から供給された交流電力を、AC/DC変換により直流電力に変換し、変換された直流電力を複数の蓄電ストリング20に供給するように構成される。また、パワーコンディショナ11は、複数の蓄電ストリング20から供給された直流電力を、DC/AC変換により交流電力に変換し、変換された交流電力を系統電源9に供給するようになっている。パワーコンディショナ11は、正極側の電源線PP、および負極側の電源線PNを介して、複数の蓄電ストリング20に接続される。
【0014】
複数の蓄電ストリング20のそれぞれは、パワーコンディショナ11から供給された直流電力に基づいて蓄電池を充電し、あるいは蓄電池に充電された電力をパワーコンディショナ11に供給するように構成される。複数の蓄電ストリング20は、電源線PP,PNを介してパワーコンディショナ11に接続される。蓄電ストリング20のそれぞれは、複数の蓄電モジュール30と、蓄電管理ユニット40とを有している。
【0015】
複数の蓄電モジュール30は、電源線PPと電源線PNとをつなぐ電源経路に設けられる。複数の蓄電モジュール30のそれぞれは、正極端子TPと、負極端子TNとを有している。蓄電ストリング20では、この電源経路において、互いに並列に接続された2つの蓄電モジュール30からなるユニットが、直列に複数接続される。
【0016】
図2は、蓄電モジュール30の一構成例を表すものである。なお、この図2には、説明の便宜上、蓄電管理ユニット40をも図示している。
【0017】
蓄電モジュール30は、複数の蓄電池31(この例では4つの蓄電池31A,31B,31C,31D)と、複数のバランス回路33(この例では4つのバランス回路33A,33B,33C,33D)と、電流センサ34と、温度センサ35と、アナログフロントエンド回路36と、モジュール制御部37とを有している。
【0018】
4つの蓄電池31は、蓄電モジュール30の正極端子TPと負極端子TNとを結ぶ経路において、直列に接続される。蓄電池31Aの正極は正極端子TPに導かれたノードN1に接続され、蓄電池31Aの負極はノードN2に接続される。蓄電池31Aの正極および負極の間の電圧は、蓄電池31Aのセル電圧VAである。蓄電池31Bの正極はノードN2に接続され、蓄電池31Bの負極はノードN3に接続される。蓄電池31Bの正極および負極の間の電圧は、蓄電池31Bのセル電圧VBである。蓄電池31Cの正極はノードN3に接続され、蓄電池31Cの負極はノードN4に接続される。蓄電池31Cの正極および負極の間の電圧は、蓄電池31Cのセル電圧VCである。蓄電池31Dの正極はノードN4に接続され、蓄電池31Dの負極はノードN5に接続される。蓄電池31Dの正極および負極の間の電圧は、蓄電池31Dのセル電圧VDである。4つの蓄電池31のそれぞれでは、複数の蓄電セル32が互いに並列に接続される。この蓄電セル32は、例えば、リチウムイオン2次電池を用いて構成される。なお、この例では、4つの蓄電池31のそれぞれに複数の蓄電セル32を設けたが、これに限定されるものではなく、4つの蓄電池31のそれぞれに1つの蓄電セル32を設けてもよい。
【0019】
4つのバランス回路33は、アナログフロントエンド回路36から供給された制御信号に基づいて、4つの蓄電池31のセル電圧をバランスさせるように構成される。バランス回路33Aは、蓄電池31Aに対応して設けられ、一端はノードN1に接続され、他端はノードN2に接続される。バランス回路33Bは、蓄電池31Bに対応して設けられ、一端はノードN2に接続され、他端はノードN3に接続される。バランス回路33Cは、蓄電池31Cに対応して設けられ、一端はノードN3に接続され、他端はノードN4に接続される。バランス回路33Dは、蓄電池31Dに対応して設けられ、一端はノードN4に接続され、他端はノードN5に接続される。
【0020】
4つの蓄電池31のセル電圧は、互いにほぼ等しいことが期待される。しかしながら、例えば、ある1つの蓄電池31のセル電圧が、他の蓄電池31のセル電圧よりも大きくなることがあり得る。例えば、蓄電池31Aのセル電圧VAが、蓄電池31B,31C,31Dのセル電圧VB,VC,VDよりも高い場合には、バランス回路33Aは、アナログフロントエンド回路36から供給された制御信号に基づいて、バランス回路33Aに対応する蓄電池31Aのセル電圧VAを、蓄電池31B,31C,31Dのセル電圧VB,VC,VDに近づかせるように動作する。具体的には、バランス回路33Aは、アナログフロントエンド回路36から供給された制御信号に基づいて、ノードN1からノードN2に向かって電流を流し蓄電池31Aを放電させることにより、蓄電池31Aのセル電圧VAを、他の蓄電池31B,31C,31Dのセル電圧VB,VC,VDに近づかせる。以上では、セル電圧VAがセル電圧VB,VC,VDよりも高い場合について説明したが、他の場合についても同様である。これにより、4つのバランス回路33は、4つの蓄電池31A,31B,31C,31Dのセル電圧VA,VB,VC,VDをバランスさせることができるようになっている。
【0021】
電流センサ34は、正極端子TPと負極端子TNとの間に流れる電流を検出するように構成される。電流センサ34の一端はノードN5に接続され、電流センサ34の他端は負極端子TNに接続される。電流センサ34は、例えば抵抗素子を用いて、その抵抗素子の両端間の電圧を検出することにより電流を検出するように構成することができる。なお、これに限定されるものではなく、電流センサ34は、例えばホール素子を用いて、そのホール素子が生成するホール電圧を検出することにより電流を検出するように構成してもよい。
【0022】
温度センサ35は、蓄電モジュール30の温度を検出するように構成される。なお、この例では、1つの蓄電モジュール30に1つの温度センサ35を設けたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば複数の温度センサ35を設けてもよい。
【0023】
アナログフロントエンド回路36は、4つの蓄電池31のセル電圧を検出し、4つの蓄電池31のセル電圧の検出結果、電流センサ34の検出結果、および温度センサ35の検出結果をモジュール制御部37に供給するように構成される。また、アナログフロントエンド回路36は、モジュール制御部37からの指示に基づいて、4つのバランス回路33に制御信号を供給するようになっている。
【0024】
モジュール制御部37は、例えばマイクロコントローラを用いて構成され、蓄電モジュール30の動作を制御するように構成される。具体的には、モジュール制御部37は、アナログフロントエンド回路36から供給された、4つの蓄電池31のセル電圧の検出結果、電流センサ34の検出結果、および温度センサ35の検出結果に基づいて、蓄電モジュール30の動作を監視する。また、モジュール制御部37は、アナログフロントエンド回路36を介して、4つのバランス回路33の動作を制御することにより、4つの蓄電池31のセル電圧をバランスさせるようになっている。また、モジュール制御部37は、蓄電管理ユニット40のユニット制御部43(後述)との間で通信を行うようになっている。
【0025】
モジュール制御部37は、診断部38を有している。診断部38は、4つの蓄電池31のセル電圧に基づいて、4つの蓄電池31の不具合を診断するように構成される。具体的には、診断部38は、ある所定の時間長を有する監視期間における、4つの蓄電池31A,31B,31C,31Dのセル電圧VA,VB,VC,VDについての12個の相関データを生成し、この12個の相関データに基づいて、蓄電池31A~31Dの不具合を診断するようになっている。
【0026】
図3は、監視期間Pにおける、あるセル電圧の時間変化の一例を表すものである。監視期間Pの時間長は、この例では2日である。なお、これに限定されるものではなく、1日であってもよいし、1週間であってもよいし、1か月であってもよい。監視期間Pは、例えば繰り返し設定される。診断部38は、監視期間Pにおいて、蓄電池31A~31Dの4つのセル電圧を監視する。そして、診断部38は、これらの4つのセル電圧に基づいて、12個の相関データを生成する。
【0027】
図4は、相関データの一例を表すものである。この例では、蓄電池31Aのセル電圧VA、および蓄電池31Bのセル電圧VBに係る相関データDABを示している。この相関データDABでは、横軸はセル電圧VBを示し、縦軸はセル電圧VAを示す。診断部38は、監視期間P内における同時刻に係るセル電圧VAおよびセル電圧VBに基づいて、1つの点をプロットする。診断部38は、監視期間Pにおいて、この動作を繰り返すことにより、図4に示した相関データDABを生成する。診断部38は、4つのセル電圧VA~VDにおける全ての組合せについて、このような相関データを生成する。
【0028】
図5は、診断部38が生成する相関データの一例を表すものである。診断部38は、12個の相関データDAB,DAC,DAD,DBA,DBC,DBD,DCA,DCB,DCD,DDA,DDB,DDCを生成する。この図5では、説明の便宜上、相関データを線で示している。
【0029】
例えば、相関データDABは、図4に示したように、セル電圧VAおよびセル電圧VBに係る相関データである。この相関データDABでは、横軸はセル電圧VBを示し、縦軸はセル電圧VAを示す。相関データDACは、セル電圧VAおよびセル電圧VCに係る相関データである。この相関データDACでは、横軸はセル電圧VCを示し、縦軸はセル電圧VAを示す。相関データDADは、セル電圧VAおよびセル電圧VDに係る相関データである。この相関データDADでは、横軸はセル電圧VDを示し、縦軸はセル電圧VAを示す。
【0030】
同様に、相関データDBAは、セル電圧VBおよびセル電圧VAに係る相関データである。この相関データDBAは、横軸はセル電圧VAを示し、縦軸はセル電圧VBを示す。相関データDBCは、セル電圧VBおよびセル電圧VCに係る相関データである。この相関データDBCでは、横軸はセル電圧VCを示し、縦軸はセル電圧VBを示す。相関データDBDは、セル電圧VBおよびセル電圧VDに係る相関データである。この相関データDBDでは、横軸はセル電圧VDを示し、縦軸はセル電圧VBを示す。
【0031】
同様に、相関データDCAは、セル電圧VCおよびセル電圧VAに係る相関データである。この相関データDCAは、横軸はセル電圧VAを示し、縦軸はセル電圧VCを示す。相関データDCBは、セル電圧VCおよびセル電圧VBに係る相関データである。この相関データDCBでは、横軸はセル電圧VBを示し、縦軸はセル電圧VCを示す。相関データDCDは、セル電圧VCおよびセル電圧VDに係る相関データである。この相関データDCDでは、横軸はセル電圧VDを示し、縦軸はセル電圧VCを示す。
【0032】
同様に、相関データDDAは、セル電圧VDおよびセル電圧VAに係る相関データである。この相関データDDAは、横軸はセル電圧VAを示し、縦軸はセル電圧VDを示す。相関データDDBは、セル電圧VDおよびセル電圧VBに係る相関データである。この相関データDDBでは、横軸はセル電圧VBを示し、縦軸はセル電圧VDを示す。相関データDDCは、セル電圧VDおよびセル電圧VDに係る相関データである。この相関データDDCでは、横軸はセル電圧VCを示し、縦軸はセル電圧VDを示す。
【0033】
診断部38は、このような12個の相関データを生成し、これらの12個の相関データに基づいて、蓄電池31A~31Dの不具合を診断する。具体的には、この例では、診断部38は、機械学習の技術を用いて、蓄電池31A~31Dの不具合を診断する。そして、診断部38は、この診断結果に基づいて、蓄電モジュール30を交換すべきかどうかを判断する。診断部38が、蓄電モジュール30を交換すべきであると判断した場合には、モジュール制御部37は、蓄電モジュール30の交換要求通知を、蓄電管理ユニット40およびシステム管理装置12を介して、制御装置8に送信するようになっている。
【0034】
蓄電管理ユニット40(図1,2)は、蓄電ストリング20を管理するように構成される。蓄電管理ユニット40は、ヒューズ41と、スイッチ42と、ユニット制御部43と、駆動部44とを有している。
【0035】
ヒューズ41は、図1に示したように、電源線PPと複数の蓄電モジュール30とを結ぶ電源経路に設けられ、過電流が生じた場合に、この電源経路を切断するように構成される。これにより、蓄電システム1では、ある蓄電ストリング20に過電流が生じた場合に、その蓄電ストリング20を電源線PPから切り離すことができる。これにより、蓄電システム1では、安全性を高めることができるようになっている。
【0036】
スイッチ42は、図1に示したように、電源線PPと複数の蓄電モジュール30とを結ぶ電源経路に設けられ、例えば蓄電モジュール30に不具合が生じた場合に、この電源経路を一時的に切断するように構成される。スイッチ42は、例えば、トランジスタやリレーを用いて構成され、駆動部44により駆動されるようになっている。
【0037】
ユニット制御部43は、例えばマイクロコントローラを用いて構成され、蓄電ストリング20の動作を制御するように構成される。ユニット制御部43は、例えば、蓄電モジュール30に不具合が生じた場合に、駆動部44を介してスイッチ42をオフ状態にする。ユニット制御部43は、その蓄電ストリング20に含まれる複数の蓄電モジュール30のそれぞれにおけるモジュール制御部37との間で通信を行うとともに、システム管理装置12との間で通信を行う。これにより、ユニット制御部43は、その蓄電ストリング20に含まれる複数の蓄電モジュール30の動作状態を把握し、これらの動作状態をシステム管理装置12に通知するとともに、システム管理装置12からの指示に基づいて、蓄電ストリング20の動作を制御するようになっている。
【0038】
駆動部44は、ユニット制御部43からの制御信号に基づいて、スイッチ42を駆動するように構成される。
【0039】
システム管理装置12(図1)は、例えばプロセッサやメモリを用いて構成され、蓄電システム1の動作を制御するように構成される。システム管理装置12は、複数の蓄電ストリング20のそれぞれにおける蓄電管理ユニット40のユニット制御部43との間で通信を行うとともに、制御装置8との間で通信を行う。これにより、システム管理装置12は、例えば、複数の蓄電ストリング20の動作状態を把握し、これらの動作状態を制御装置8に通知するとともに、制御装置8からの指示に基づいて、複数の蓄電ストリング20の動作を制御するようになっている。
【0040】
また、システム管理装置12は、制御装置8との間で、例えばリレーなどを介してフラグ信号Fの送受信を行うように構成される。具体的には、システム管理装置12は、制御装置8から、緊急停止、充電停止、放電停止、緊急放電などを指示する様々なフラグ信号を受信することができる。また、システム管理装置12は、制御装置8に対して、警報、軽故障、重故障、充電要求などを通知する様々なフラグ信号を送信することができるようになっている。
【0041】
制御装置8は、例えばプロセッサやメモリを用いて構成され、システム管理装置12との間で通信を行うことにより、蓄電システム1の動作状態を把握するとともに、蓄電システム1の動作を制御するように構成される。また、制御装置8は、システム管理装置12との間で、例えばリレーなどを介してフラグ信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0042】
この構成により、蓄電システム1では、蓄電モジュール30に不具合が生じた場合には、その蓄電モジュール30のモジュール制御部37は、蓄電モジュール30の交換要求通知を、蓄電管理ユニット40およびシステム管理装置12を介して、制御装置8に送信する。これにより、作業員は、例えば、制御装置8において表示された、蓄電モジュール30を交換すべき旨のメッセージに基づいて、蓄電モジュール30を交換することができるようになっている。
【0043】
ここで、蓄電モジュール30、蓄電ストリング20、蓄電システム1のいずれか1つは、本開示の一実施の形態における「蓄電装置」の一具体例に対応する。蓄電池31A~31Dは、本開示の一実施の形態における「複数の蓄電池」の一具体例に対応する。アナログフロントエンド回路36は、本開示の一実施の形態における「センサ」の一具体例に対応する。モジュール制御部37は、本開示の一実施の形態における「処理部」の一具体例に対応する。相関データDAB,DAC,DAD,DBA,DBC,DBD,DCA,DCB,DCD,DDA,DDB,DDCのうちのいずれか1つは、本開示の一実施の形態における「第1の相関データ」の一具体例に対応する。
【0044】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の蓄電システム1の動作および作用について説明する。
【0045】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、蓄電システム1の全体動作概要を説明する。パワーコンディショナ11は、系統電源9から供給された交流電力を、AC/DC変換により直流電力に変換し、変換された直流電力を複数の蓄電ストリング20に供給する。また、パワーコンディショナ11は、複数の蓄電ストリング20から供給された直流電力を、DC/AC変換により交流電力に変換し、変換された交流電力を系統電源9に供給する。複数の蓄電ストリング20のそれぞれは、パワーコンディショナ11から供給された直流電力に基づいて蓄電池31を充電し、あるいは蓄電池31に充電された電力をパワーコンディショナ11に供給する。システム管理装置12は、蓄電システム1の動作を制御する。
【0046】
複数の蓄電ストリング20のそれぞれにおける蓄電モジュール30では、4つの蓄電池31は、電力を蓄える。4つのバランス回路33は、アナログフロントエンド回路36から供給された制御信号に基づいて、4つの蓄電池31のセル電圧をバランスさせる。電流センサ34は、正極端子TPと負極端子TNとの間に流れる電流を検出する。温度センサ35は、蓄電モジュール30の温度を検出する。アナログフロントエンド回路36は、4つの蓄電池31のセル電圧を検出し、4つの蓄電池31のセル電圧の検出結果、電流センサ34の検出結果、および温度センサ35の検出結果をモジュール制御部37に供給する。また、アナログフロントエンド回路36は、モジュール制御部37からの指示に基づいて、バランス回路33A~33Dに制御信号を供給する。モジュール制御部37は、4つの蓄電池31のセル電圧の検出結果、温度センサ25の検出結果、および電流センサ34の検出結果に基づいて、蓄電モジュール30の動作を監視する。また、モジュール制御部37は、アナログフロントエンド回路36を介して、バランス回路33A~33Dの動作を制御することにより、4つの蓄電池31のセル電圧をバランスさせる。モジュール制御部37の診断部38は、4つの蓄電池31~31のセル電圧に基づいて、4つの蓄電池31の不具合を診断し、この診断結果に基づいて、蓄電モジュール30を交換すべきかどうかを判断する。
【0047】
(詳細動作)
次に、診断部38の動作について、詳細に説明する。
【0048】
図6は、診断部38の一動作例を表すものである。診断部38は、例えば繰り返し設定される監視期間Pが開始する度に、以下の処理を行う。
【0049】
まず、診断部38は、アナログフロントエンド回路36から、4つの蓄電池31のセル電圧の検出結果を取得する(ステップS101)。具体的には、診断部38は、蓄電池31Aのセル電圧VA、蓄電池31Bのセル電圧VB、蓄電池31Cのセル電圧VC、および蓄電池31Dのセル電圧VDの検出結果を取得する。
【0050】
次に、診断部38は、ステップS101において取得した4つのセル電圧の検出結果に基づいて、図5に示した12個の相関データを更新する(ステップS102)。具体的には、診断部38は、セル電圧VA,VBに基づいて相関データDAB,DBAを更新し、セル電圧VA,VCに基づいて相関データDAC,DCAを更新し、セル電圧VA,VDに基づいて相関データDAD,DDAを更新し、セル電圧VB,VCに基づいて相関データDBC,DCBを更新し、セル電圧VB,VDに基づいて相関データDBD,DDBを更新し、セル電圧VC,VDに基づいて相関データDCD,DDCを更新する。
【0051】
次に、診断部38は、監視期間Pが終了したかどうかを確認する(ステップS103)。監視期間Pがまだ終了していない場合(ステップS103において“N”)には、ステップS101に戻り、診断部38は、監視期間Pが終了するまで、ステップS101~S103の処理を繰り返す。
【0052】
ステップS103において、監視期間Pが終了した場合(ステップS103において“Y”)には、診断部38は、12個の相関データに基づいて、4つの蓄電池31の不具合を診断する(ステップS104)。具体的には、診断部38は、後述するように、機械学習の技術を用いて4つの蓄電池31の不具合を診断する。この例では、診断部38は、蓄電池31の漏液によるセルリーク、および局所劣化を診断することができる。
【0053】
そして、診断部38は、その診断結果に基づいて、蓄電モジュール30が故障に至る可能性が高いかどうかを判断する(ステップS105)。故障に至る可能性が高くない場合(ステップS105において“N”)には、この処理は終了する。また、故障に至る可能性が高い場合(ステップS105において“Y”)には、診断部38は、蓄電モジュール30を交換すべきと判断する(ステップS106)。そして、モジュール制御部37は、蓄電モジュール30の交換要求通知を、蓄電管理ユニット40およびシステム管理装置12を介して、制御装置8に送信する。
【0054】
以上で、この処理は終了する。作業員は、例えば、制御装置8において表示された、蓄電モジュール30を交換すべき旨のメッセージに基づいて、蓄電モジュール30を交換することができる。
【0055】
このように、蓄電システム1では、例えば漏液によるセルリークや局所劣化などの蓄電池31の不具合を早期に診断することができる。これにより、蓄電モジュール30が故障に至る前に蓄電モジュール30を交換することができるため、蓄電システム1の動作が突然停止する可能性を低減することができ、ひいては、蓄電システム1の全体のメンテナンス回数を削減することができる。
【0056】
次に、機械学習の技術を用いた、漏液によるセルリーク、および局所劣化の診断について、詳細に説明する。
【0057】
図7A~7Cは、セルリークが生じた場合における相関データDABの一例を表すものであり、図7(A)は蓄電池31A,31Bがともに正常である場合を示し、図7(B)は蓄電池31Aに軽度のセルリークが生じた場合を示し、図7(C)は蓄電池31Aに重度のセルリークが生じた場合を示す。蓄電池31Aに軽度のセルリークが生じた場合には、例えば、図7(B)に示したように、セル電圧VBが高い部分において、セル電圧VAが減少する。また、蓄電池31Aに重度のセルリークが生じた場合には、例えば、図7(C)に示したように、セル電圧VBが高い部分において、セル電圧VAがより大きく減少する。また、広いセル電圧VBの範囲において、傾斜が小さくなる。このように、相関データは、蓄電池31における不具合に応じたものとなる。診断部38は、このような相関データに基づいて、漏液によるセルリークを診断することができる。
【0058】
図8は、漏液によるセルリークを診断するニューラルネットワークモデルNMの一例を表すものである。このニューラルネットワークモデルNMは、相関データDが入力され、セルリークについての診断結果RESが出力されるモデルである。診断結果RESは、セルリークについての不具合度合いについての情報を含む。
【0059】
ニューラルネットワークモデルNMは、入力層LXにおけるk個のニューロンx(ニューロンx~x)と、中間層LYおけるm個のニューロンy(ニューロンy~y)と、出力層LZにおけるn個のニューロンz(ニューロンz~z)とを有している。なお、これに限定されるものではなく、例えば、より多くの中間層LYを有していてもよい。入力層LXと中間層LYとの間、中間層LYと出力層LZとの間には、層間のニューロンを接続するノードが張られており、それぞれのノードには、重みwi(iは自然数)が対応づけられている。
【0060】
ニューラルネットワークモデルNMは、予め学習処理が行われることにより生成される。例えば、蓄電池31A,31Bがともに正常である場合における相関データDABが入力された場合には、ニューロンzの出力信号が“1”になり、その他の出力層LZのニューロンの出力信号が“0”になるように学習される。蓄電池31Aのリーク抵抗値が25%より大きく50%以下であり、蓄電池31Bは正常である場合における相関データDABが入力された場合には、ニューロンzの出力信号が“1”になり、その他の出力層LZのニューロンの出力信号が“0”になるように学習される。蓄電池31Aのリーク抵抗値が20%より大きく25%以下であり、蓄電池31Bは正常である場合における相関データDABが入力された場合には、ニューロンzの出力信号が“1”になり、その他の出力層LZのニューロンの出力信号が“0”になるように学習される。診断部38は、このように学習されたニューラルネットワークモデルNMを用いて、漏液によるセルリークを診断することができる。ここで、ニューラルネットワークモデルNMは、本開示の一実施の形態における「学習済みモデル」の一具体例に対応する。
【0061】
診断部38は、例えば、図9において網掛けで示した相関データDAB,DAC,DADの全てにおいて、蓄電池31Aのリーク抵抗値が所定の値以下(例えば25%以下)である場合に、蓄電モジュール30が故障に至る可能性が高いので、蓄電モジュール30を交換すべきと判断する。ここで、例えば、相関データDABは、本開示の一実施の形態における「第1の相関データ」の一具体例に対応し、相関データDACは、本開示の一実施の形態における「第2の相関データ」の一具体例に対応する。同様に、診断部38は、例えば、相関データDBA,DBC,DBDの全てにおいて、蓄電池31Bのリーク抵抗値が所定の値以下である場合に、蓄電モジュール30が故障に至る可能性が高いので、蓄電モジュール30を交換すべきと判断する。診断部38は、例えば、相関データDCA,DCB,DCDの全てにおいて、蓄電池31Cのリーク抵抗値が所定の値以下である場合に、蓄電モジュール30が故障に至る可能性が高いので、蓄電モジュール30を交換すべきと判断する。診断部38は、例えば、相関データDDA,DDB,DDCの全てにおいて、蓄電池31Dのリーク抵抗値が所定の値以下である場合に、蓄電モジュール30が故障に至る可能性が高いので、蓄電モジュール30を交換すべきと判断する。このように、蓄電システム1では、蓄電池31の不具合を早期に診断することにより、蓄電モジュール30を交換すべきかどうかを早期に判断することができる。
【0062】
図10A,10Bは、局所劣化が生じた場合における相関データDABの一例を表すものであり、図10(A)は蓄電池31A,31Bがともに正常である場合を示し、図10(B)は蓄電池31Aに10%程度の局所劣化が生じた場合を示す。蓄電池31Aに重度の局所劣化が生じた場合には、図10(B)に示したように、広いセル電圧VBの範囲において、傾斜が小さくなる。また、セルリークの場合とは異なり、セル電圧VBが高い部分においてセル電圧VAはさほど減少しない。このように、相関データは、蓄電池31における不具合に応じたものとなる。
【0063】
診断部38は、このような相関データに基づいて、例えば、漏液によるセルリークの場合(図8,9)と同様に、局所劣化を診断可能なニューラルネットワークモデルNMを用いて、局所劣化を診断することができ、蓄電モジュール30を交換すべきかどうかを判断することができる。なお、この例では、セルリークを診断可能なニューラルネットワークモデルNM、および局所劣化を診断可能なニューラルネットワークモデルNMを別々に設けたが、これに限定されるものではなく、1つのニューラルネットワークモデルNMを用いて、漏液によるセルリークおよび局所劣化の両方を診断できるようにしてもよい。
【0064】
このように、蓄電システム1では、直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な4つの蓄電池31と、4つの蓄電池31のそれぞれの電圧を検出可能なアナログフロントエンド回路36と、アナログフロントエンド回路36による複数回分の検出結果に基づいて、4つの蓄電池31のうちの第1の蓄電池の電圧と第2の蓄電池の電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、第1の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合を診断可能なモジュール制御部37とを設けるようにした。これにより、蓄電システム1では、例えば、漏液によるセルリークや、局所劣化が生じていることを診断することができるので、蓄電池31の不具合を効果的に診断することができる。すなわち、直列に接続された4つの蓄電池31では、動作において、セル電圧がほぼ同じであることが期待されるが、例えば、ある蓄電池31に不具合が生じている場合には、その蓄電池31のセル電圧の振る舞いが、他の蓄電池31のセル電圧の振る舞いと異なり得る。蓄電システム1では、2つの蓄電池31の電圧の相関関係を示す相関データに基づいて、蓄電池31の不具合を診断するようにしたので、例えばSOC(State Of Charge)などを用いることなく、蓄電池31の不具合を効果的に診断することができる。
【0065】
また、蓄電システム1では、モジュール制御部37は、さらに、第1の蓄電池の電圧と第3の蓄電池の電圧との相関関係を示す第2の相関データを生成可能であり、第1の相関データおよび第2の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合を診断するようにした。これにより、蓄電システム1では、図9に示すように、不具合が生じている蓄電池31を特定することができるので、蓄電池31の不具合を効果的に診断することができる。
【0066】
また、蓄電システム1では、モジュール制御部37は、蓄電池31の電圧の相関関係を示す相関データが入力され不具合度合いが出力されるニューラルネットワークモデルNMを用いて、第1の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合度合いを算出することにより、第1の蓄電池の不具合を診断するようにした。これにより、相関データが、不具合度合いに応じて複雑に変化する場合でも、ルールベースの処理に比べて、不具合度合いをより容易に推定することができる。その結果、蓄電システム1では、蓄電池31の不具合を効果的に診断することができる。
【0067】
また、蓄電システム1では、モジュール制御部37は、第1の蓄電池の診断結果に基づいて、第1の蓄電池を含む蓄電モジュール30の交換を要求する処理を行うようにした。これにより、蓄電システム1では、例えば作業員が、その要求に基づいて、蓄電モジュール30が完全に故障する前に、蓄電モジュール30を交換することができる。これにより、蓄電システム1では、例えば、システムの稼働が停止する時間を短くすることができる。
【0068】
[効果]
以上のように本実施の形態では、直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な4つの蓄電池と、4つの蓄電池のそれぞれの電圧を検出可能なアナログフロントエンド回路と、アナログフロントエンド回路による複数回分の検出結果に基づいて、4つの蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と第2の蓄電池の電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、第1の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合を診断可能なモジュール制御部とを設けるようにしたので、蓄電池の不具合を効果的に診断することができる。
【0069】
本実施の形態では、モジュール制御部は、さらに、第1の蓄電池の電圧と第3の蓄電池の電圧との相関関係を示す第2の相関データを生成可能であり、第1の相関データおよび第2の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合を診断するようにしたので、蓄電池の不具合を効果的に診断することができる。
【0070】
本実施の形態では、モジュール制御部は、蓄電池の電圧の相関関係を示す相関データが入力され不具合度合いが出力されるニューラルネットワークモデルを用いて、第1の相関データに基づいて、第1の蓄電池の不具合度合いを算出することにより、第1の蓄電池の不具合を診断するようにしたので、蓄電池の不具合を効果的に診断することができる。
【0071】
本実施の形態では、モジュール制御部37は、第1の蓄電池の診断結果に基づいて、第1の蓄電池を含む蓄電モジュール30の交換を要求する処理を行うようにしたので、システムの稼働が停止する時間を短くすることができる。
【0072】
[変形例1-1]
上記実施の形態等では、漏液によるセルリークおよび局所劣化を診断したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、漏液によるセルリークおよび局所劣化のうちの一方のみを診断してもよいし、漏液によるセルリークおよび局所劣化以外の不具合を診断してもよい。
【0073】
[変形例1-2]
上記実施の形態等では、機械学習の技術を用いて蓄電池31の不具合を診断したが、これに限定されるものではない。これに代えて、いわゆるルールベースの技術を用いて蓄電池31を診断してもよい。以下に、相関データに含まれる特徴量を用いて蓄電池31の不具合を診断する例について、詳細に説明する。
【0074】
本変形例に係る診断部38は、12個の相関データのそれぞれに基づいて、特徴量を算出し、その特徴量に基づいて蓄電池31の不具合を診断するように構成される。
【0075】
図11は、相関データDABを模式的に表すものである。相関データDABは、横軸の値が大きくなるほど、縦軸の値が大きくなる、右上がりの特性を示す。この例では、診断部38は、相関データDABに含まれる傾きkおよび幅Wを用いて、蓄電池31の不具合を診断する。傾きkは、図11における特性の傾きであり、幅Wは、図11における特性の幅である。診断部38は、この例では、傾きkおよび幅Wを、相関データの特徴量として用いる。診断部38は、この傾きkおよび幅Wを、図12に示すようにプロットする。診断部38は、傾きkおよび幅Wに基づいて、蓄電池31の不具合を診断することができる。
【0076】
すなわち、図13に示すように、傾きkおよび幅Wは、不具合によって異なる。例えば、正常な蓄電池31、および軽度のセルリークが生じている蓄電池31では、図13に示したグループG1のように、傾きkは大きく、幅Wが小さい。一方、例えば、重度のセルリークが生じると、図13に示したグループG2のように、傾きkが低下するとともに、幅Wが増大する。また、例えば、局所劣化が生じると、図13に示すグループG3のように、傾きkがやや低下するとともに、幅Wが増大する。よって、グループG1,G2,G3は、図13に示したように、傾きkおよび幅Wにより判別可能である。診断部38は、傾きkおよび幅Wに基づいて、蓄電池31の不具合を診断することができる。
【0077】
なお、この例では、診断部38は、傾きkおよび幅Wを用いて蓄電池31の不具合を診断したが、これに限定されるものではない。これに代えて、診断部38は、例えば、傾きkおよび幅Wのうちの一方のみを用いて蓄電池31の不具合を診断してもよいし、傾きkおよび幅W以外の特徴量を用いて蓄電池31の不具合を診断してもよい。また、診断部38は、他の特徴量を用いて、蓄電池31の不具合を診断してもよい。
【0078】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい
【0079】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る蓄電システム2について説明する。本実施の形態は、相関データが、上記第1の実施の形態と異なるものである。なお、上記第1の実施の形態に係る蓄電システム1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0080】
図14は、蓄電システム2における蓄電モジュール50の一構成例を表すものである。蓄電モジュール50は、モジュール制御部57を有している。モジュール制御部57は、診断部58を有している。診断部58は、4つの蓄電池31のセル電圧に基づいて、4つの蓄電池31の不具合を診断するように構成される。具体的には、診断部58は、ある所定の時間長を有する監視期間における、4つのセル電圧についての4つの相関データを生成し、この4つの相関データに基づいて、蓄電池31A~31Dの不具合を診断するようになっている。
【0081】
まず、診断部58は、上記実施の形態の場合(図3)と同様に、監視期間Pにおいて、蓄電池31A~31Dの4つのセル電圧を監視する。そして、診断部58は、これらの4つのセル電圧に基づいて、4つの相関データを生成する。
【0082】
図15は、相関データの一例を表すものである。この例では、蓄電池31Aのセル電圧VA、および蓄電池31B~31Dのセル電圧VB~VDの代表電圧VBCDに係る相関データDAを示している。代表電圧VBCDは、セル電圧VB,VC,VDの平均値を示す電圧であってもよいし、セル電圧VB,VC,VDの中央値を示す電圧であってもよい。この相関データDAでは、横軸は代表電圧VBCDを示し、縦軸はセル電圧VAを示す。診断部58は、監視期間P内における同時刻に係るセル電圧VB,VC,VDに基づいて代表電圧VBCDを算出し、セル電圧VAおよび代表電圧VBCDに基づいて、1つの点をプロットする。診断部58は、監視期間Pにおいて、この動作を繰り返すことにより、図15に示した相関データDAを生成する。
【0083】
図16は、診断部58が生成する相関データの一例を表すものである。診断部58は、4つの相関データDA,DB,DC,DDを生成する。
【0084】
例えば、相関データDAは、図15に示したように、セル電圧VAおよび代表電圧VBCDに係る相関データである。この相関データDAでは、横軸は代表電圧VBCDを示し、縦軸はセル電圧VAを示す。相関データDBは、セル電圧VBおよび代表電圧VACDに係る相関データである。代表電圧VACDは、セル電圧VA,VC,VDの代表電圧である。この相関データDBでは、横軸は代表電圧VACDを示し、縦軸はセル電圧VBを示す。相関データDCは、セル電圧VCおよび代表電圧VABDに係る相関データである。代表電圧VABDは、セル電圧VA,VB,VDの代表電圧である。この相関データDCでは、横軸は代表電圧VABDを示し、縦軸はセル電圧VCを示す。相関データDDは、セル電圧VDおよび代表電圧VABCに係る相関データである。代表電圧VABCは、セル電圧VA,VB,VCの代表電圧である。この相関データDDでは、横軸は代表電圧VABCを示し、縦軸はセル電圧VDを示す。
【0085】
診断部58は、このような4つの相関データを生成し、これらの4つの相関データに基づいて、蓄電池31A~31Dの不具合を診断する。具体的には、この例では、診断部58は、第1の実施の形態の場合と同様に、機械学習の技術を用いて、蓄電池31A~31Dの不具合を診断する。この例では、診断部58は、第1の実施の形態の場合と同様に、漏液によるセルリーク、および局所劣化を診断することができる。そして、診断部58は、この診断結果に基づいて、蓄電モジュール50を交換すべきかどうかを判断する。診断部58が、蓄電モジュール50を交換すべきであると判断した場合には、モジュール制御部57は、蓄電モジュール50の交換要求通知を、蓄電管理ユニット40およびシステム管理装置12を介して、制御装置8に送信する。
【0086】
図17は、診断部58の一動作例を表すものである。診断部58は、監視期間Pが開始する度に、以下の処理を行う。
【0087】
まず、診断部58は、アナログフロントエンド回路36から、4つの蓄電池31のセル電圧の検出結果を取得する(ステップS101)。
【0088】
次に、診断部58は、代表電圧VBCD,VACD,VABD,VABCを算出する(ステップS111)。具体的には、診断部58は、セル電圧VB,VC,VDに基づいて代表電圧VBCDを算出し、セル電圧VA,VC,VDに基づいて代表電圧VACDを算出し、セル電圧VA,VB,VDに基づいて代表電圧VABDを算出し、セル電圧VA,VB,VCに基づいて代表電圧VABCを算出する。
【0089】
次に、診断部58は、4つのセル電圧VA,VB,VC,VD、および代表電圧VBCD,VACD,VABD,VABCに基づいて、図16に示した4つの相関データを更新する(ステップS112)。
【0090】
次に、診断部58は、監視期間Pが終了したかどうかを確認する(ステップS103)。監視期間Pがまだ終了していない場合(ステップS103において“N”)には、ステップS101に戻り、診断部38は、監視期間Pが終了するまで、ステップS101,S111,S112,S103の処理を繰り返す。
【0091】
ステップS103において、監視期間Pが終了した場合(ステップS103において“Y”)には、診断部58は、4つの相関データに基づいて、4つの蓄電池31を診断する(ステップS114)。具体的には、診断部58は、機械学習の技術を用いて、4つの蓄電池31を診断する。この例では、診断部58は、上記第1の実施の形態の場合と同様に、漏液によるセルリーク、および局所劣化を診断することができる。
【0092】
そして、診断部58は、その診断結果に基づいて、蓄電モジュール50が故障に至る可能性が高いかどうかを判断する(ステップS105)。故障に至る可能性が高くない場合(ステップS105において“N”)には、この処理は終了する。また、故障に至る可能性が高い場合(ステップS105において“Y”)には、診断部58は、蓄電モジュール50を交換すべきと判断する(ステップS106)。そして、モジュール制御部57は、蓄電モジュール50の交換要求通知を、蓄電管理ユニット40およびシステム管理装置12を介して、制御装置8に送信する。
【0093】
以上で、この処理は終了する。ここで、モジュール制御部57は、本開示の一実施の形態における「処理部」の一具体例に対応する。相関データDA,DB,DC,DDのうちのいずれか1つは、本開示の一実施の形態における「第1の相関データ」の一具体例に対応する。代表電圧VBCD,VACD,VABD,VABCは、本開示の一実施の形態における「代表電圧」の一具体例に対応する。
【0094】
このように、蓄電システム2では、第1の相関データは、第1の蓄電池の電圧と、複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示すようにした。この場合でも、例えばSOCなどを用いることなく、蓄電池31の不具合を効果的に診断することができる。
【0095】
以上のように本実施の形態では、第1の相関データは、第1の蓄電池の電圧と、複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示すようにしたので、蓄電池の不具合を効果的に診断することができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0096】
[変形例2-1]
上記実施の形態等では、診断部58は、蓄電池31Aのセル電圧VA、およびセル電圧VA以外のセル電圧VB~VDの代表電圧VBCDに係る相関データDAを生成し、蓄電池31Bのセル電圧VB、およびセル電圧VB以外のセル電圧VA,VC,VDの代表電圧VACDに係る相関データDBを生成し、蓄電池31Cのセル電圧VC、およびセル電圧VC以外のセル電圧VA,VB,VDの代表電圧VABDに係る相関データDCを生成し、蓄電池31Dのセル電圧VD、およびセル電圧VD以外のセル電圧VA,VB,VCの代表電圧VABCに係る相関データDDを生成した。これに限定されるものではなく、例えば図18に示すように、蓄電池31Aのセル電圧VA、およびセル電圧VA~VDの代表電圧VABCDに係る相関データDAを生成し、蓄電池31Bのセル電圧VB、およびセル電圧VA~VDの代表電圧VABCDに係る相関データDBを生成し、蓄電池31Cのセル電圧VC、およびセル電圧VA~VDの代表電圧VABCDに係る相関データDCを生成し、蓄電池31Dのセル電圧VD、およびセル電圧VA~VDの代表電圧VABCDに係る相関データDDを生成してもよい。ここで、代表電圧VABCDは、本開示の一実施の形態における「代表電圧」の一具体例に対応する。
【0097】
[変形例2-2]
上記実施の形態等では、診断部58は、例えば、蓄電池31Aのセル電圧VA、および蓄電池31B~31Dのセル電圧VB~VDの代表電圧VBCDに係る相関データDAを生成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、診断部58は、例えば、蓄電池31Aのセル電圧VA、および蓄電池31B~31Dのうちの2つの蓄電池31のセル電圧の代表電圧に係る相関データDAを生成してもよい。
【0098】
[変形例2-3]
上記実施の形態に係る蓄電システム2に、上記第1の実施の形態の各変形例を適用してもよい。
【0099】
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0100】
例えば、上記実施の形態等では、モジュール制御部37が、蓄電池31の不具合を診断したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、ユニット制御部43が蓄電池31の不具合を診断してもよいし、システム管理装置12が蓄電池31の不具合を診断してもよいし、制御装置8が蓄電池31の不具合を診断してもよい。制御装置8が蓄電池31の不具合を診断する場合には、この制御装置8は、本開示の一実施の形態における「診断装置」の一具体例に対応する。
【0101】
本明細書中に記載された効果はあくまで例示であり、本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本開示に関して、他の効果が得られてもよい。
【0102】
さらに、本開示は、以下の態様を取り得る。
<1>
直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池と、
前記複数の蓄電池のそれぞれの電圧を検出可能なセンサと、
前記センサによる複数回分の検出結果に基づいて、前記複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、前記第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または前記第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、前記第1の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合を診断可能な処理部と
を備えた蓄電装置。
<2>
前記第1の相関データは、前記第1の蓄電池の電圧と、前記複数の蓄電池のうちの前記第1の蓄電池とは異なる第2の蓄電池の電圧との相関関係を示す
<1>記載の蓄電装置。
<3>
前記処理部は、さらに、前記第1の蓄電池の電圧と、前記複数の蓄電池のうちの前記第1の蓄電池および前記第2の蓄電池とは異なる第3の蓄電池の電圧との相関関係を示す第2の相関データを生成可能であり、前記第1の相関データおよび前記第2の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合を診断可能である
<2>記載の蓄電装置。
<4>
前記第1の相関データは、前記第1の蓄電池の電圧と、前記複数の蓄電池のうちの前記第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す
<1>記載の蓄電装置。
<5>
前記第1の相関データは、前記第1の蓄電池の電圧と、前記複数の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す
<1>記載の蓄電装置。
<6>
前記処理部は、蓄電池の電圧の相関関係を示す相関データが入力され不具合度合いが出力される学習済みモデルを用いて、前記第1の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合度合いを算出することにより、前記第1の蓄電池の不具合を診断可能である
<1>から<5>のいずれか1つに記載の蓄電装置。
<7>
前記処理部は、前記第1の相関データに基づいて特徴量を抽出可能であり、前記特徴量に基づいて前記第1の蓄電池の不具合を診断可能である
<1>から<5>のいずれか1つに記載の蓄電装置。
<8>
前記特徴量は、第1の軸は前記第1の蓄電池の電圧を示し、第2の軸は前記1以上の蓄電池の電圧を示す特性図における、特性の傾きを含む
<7>記載の蓄電装置。
<9>
前記特徴量は、第1の軸は前記第1の蓄電池の電圧を示し、第2の軸は前記1以上の蓄電池の電圧を示す特性図における、特性の幅を含む
<7>記載の蓄電装置。
<10>
前記処理部は、前記第1の蓄電池の診断結果に基づいて、前記第1の蓄電池を含むモジュールの交換を要求する処理を行うことが可能である
<1>から<9>のいずれか1つに記載の蓄電装置。
<11>
直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池のそれぞれにおける電圧を検出可能なセンサから供給された複数回分の検出結果に基づいて、前記複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、前記第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または前記第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成可能であり、前記第1の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合を診断可能な処理部を備えた
診断装置。
<12>
直列に接続され、それぞれが電力を蓄えることが可能な複数の蓄電池のそれぞれにおける電圧を検出可能なセンサから供給された複数回分の検出結果に基づいて、前記複数の蓄電池のうちの第1の蓄電池の電圧と、前記第1の蓄電池以外の1以上の蓄電池の電圧、または前記第1の蓄電池以外の2以上の蓄電池の電圧の代表電圧との相関関係を示す第1の相関データを生成することと、
前記第1の相関データに基づいて、前記第1の蓄電池の不具合を診断することと
を含む診断方法。
【符号の説明】
【0103】
1…蓄電システム、11…パワーコンディショナ、12…システム管理装置、20…蓄電ストリング、30,50…蓄電モジュール、31,31A,31B,31C,31D…蓄電池、32…蓄電セル、33,33A,33B,33C,33D…バランス回路、34…電流センサ、35…温度センサ、36…アナログフロントエンド回路、37,57…モジュール制御部、38,58…診断部、40…蓄電管理ユニット、41…ヒューズ、42…スイッチ、43…ユニット制御部、44…駆動部、D,DA,DAB,DAC,DAD,DBA,DB,DBC,DBD,DC,DCA,DCB,DCD,DD,DDA,DDB,DDC…相関データ、F…フラグ信号、k…傾き、P…監視期間、PP,PN…電源線、TP…正極端子、TN…負極端子、VA,VB,VC,VD…セル電圧、VABC,VABD,VACD,VBCD…代表電圧、W…幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18