IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

特開2024-136904半導体装置及び半導体装置の製造方法
<>
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図2
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図3
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図4
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図5
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図6
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図7
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図8
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図9
  • 特開-半導体装置及び半導体装置の製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136904
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048208
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 啓
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁
(72)【発明者】
【氏名】関口 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】洪 洪
(72)【発明者】
【氏名】磯部 康裕
(72)【発明者】
【氏名】杉山 亨
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102FA01
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD10
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR12
(57)【要約】
【課題】安定した特性を得ることが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1~2半導体層と第1~3電極と導電部と絶縁部とを含む。第2半導体層は、第1半導体層の上に設けられる。第1電極は、第2半導体層の上に設けられる。第1電極は、電極部と、電極延出部と、を含む。電極延出部は、第1半導体層から第2半導体層へ向かう第1方向と垂直な第2方向に電極部の上端部から延びる。第2電極は、第2半導体層の上に設けられ、第1電極と第2方向において離れる。導電部は、第2半導体層の上面に接し、第1電極と第2電極との間に位置し第1電極に接触する。絶縁部は、導電部の上に設けられ、導電部と電極延出部との間に位置する。第3電極は、絶縁膜部を介して第2半導体層の上方に位置し、第1電極と第2電極との間に位置する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体を含む第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第2半導体層と接する電極部と、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と垂直な第2方向に前記電極部の上端部から延びる電極延出部と、を含む第1電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1電極と前記第2方向において離れた第2電極と、
前記第2半導体層の上面に接し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し前記第1電極に接する導電部であって、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さが、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さよりも長い、導電部と、
前記導電部の上に設けられ、前記導電部と前記電極延出部との間に位置する絶縁部と、
絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する第3電極と、
を備えた、半導体装置。
【請求項2】
前記電極部は、前記導電部の一部の上面、及び、前記第2半導体層の前記上面に接する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1電極の上に設けられた第1配線層をさらに備え、
前記第1配線層は、第1配線部と、前記第1配線部の上端部から前記第2方向に延びた第1配線延出部と、を含み、
前記電極部から前記第1配線延出部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さは、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さよりも長く、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さよりも短い、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2電極の上に設けられた第2配線層をさらに備え、
前記第2配線層は、第2配線部と、前記第2配線部の上端部から前記第1電極側へ延びた第2配線延出部と、を含み、
前記導電部の前記第2電極側の前記端部と前記第2配線延出部の前記第1電極側の端部との間の前記第2方向に沿った長さは、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さよりも長い、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2電極の上に設けられた第2配線層をさらに備え、
前記第2配線層は、第2配線部と、前記第2配線部の上端部から前記第1電極側へ延びた第2配線延出部と、を含み、
前記導電部の前記第2電極側の前記端部と前記第2配線延出部の前記第1電極側の端部との間の前記第2方向に沿った長さは、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さと、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さと、の差よりも長い、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2電極の上に設けられた第2配線層をさらに備え、
前記第2配線層は、第2配線部と、前記第2配線部の上端部から前記第1電極側へ延びた第2配線延出部と、を含み、
前記導電部の前記第2電極側の前記端部と前記第2配線延出部の前記第1電極側の端部との間の前記第2方向に沿った長さは、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さと、前記電極部から前記第1配線延出部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さと、の差よりも長い、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1電極は、複数設けられ、
前記導電部は、複数設けられ、
複数の前記導電部のそれぞれは、複数の前記第1電極のそれぞれに接触する、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1電極は、複数設けられ、
1つの前記導電部は、複数の前記第1電極に接触する、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1方向に垂直で前記第2方向に垂直な第3方向における前記導電部の長さは、前記電極延出部の前記第3方向における長さよりも長く、
前記電極延出部の前記第3方向における端部は、前記第1方向において前記導電部と重なる位置である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記導電部の厚さは、前記電極延出部の厚さよりも薄い、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記導電部の材料は、前記第1電極の材料とは異なる、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2半導体層の上に設けられ、前記絶縁膜部を含む第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の上に設けられ、一部が前記導電部の上に設けられた第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜の上に設けられ、一部が前記電極延出部の上に設けられた第3絶縁膜と、
をさらに備えた、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項13】
窒化物半導体を含む第1半導体層の上に設けられ窒化物半導体を含む第2半導体層の一部の上に、導電部を形成する工程と、
前記導電部の第1部分の上に絶縁部を形成する工程と、
前記第2半導体層の上に位置し前記第2半導体層及び前記導電部と接触する電極部と、前記絶縁部の上に位置し前記電極部の上端から、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と垂直な第2方向に延びる電極延出部と、を含む第1電極を形成する工程と、
前記第2方向において前記第1電極及び前記導電部から離れた第2電極であって、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さが、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さよりも長い、第2電極を形成する工程と、
絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する第3電極を形成する工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記導電部を形成する工程は、前記第2半導体層の上に導電膜を形成し、前記導電膜の一部をウェットエッチングによって除去することを含む、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記絶縁部を形成する工程は、前記第2半導体層及び前記導電部の上に設けられ前記導電部を覆う絶縁膜を形成し、前記絶縁膜の一部を除去して前記絶縁膜に開口部を形成することを含み、
前記第1電極を形成する工程は、前記開口部内に前記電極部の一部を形成することを含む、請求項13または14に記載の半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体を用いたトランジスタなどの半導体装置においては、例えばスイッチングの繰り返し等の動作によって、オン抵抗の増大等の特性の変化が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-030079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、安定した特性を得ることが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1半導体層と、第2半導体層と、第1電極と、第2電極と、導電部と、絶縁部と、第3電極と、を含む。前記第1半導体層は、窒化物半導体を含む。前記第2半導体層は、前記第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む。前記第1電極は、前記第2半導体層の上に設けられる。前記第1電極は、電極部と、電極延出部と、を含む。前記電極部は、前記第2半導体層と接する。前記電極延出部は、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と垂直な第2方向に前記電極部の上端部から延びる。前記第2電極は、前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1電極と前記第2方向において離れる。前記導電部は、前記第2半導体層の上面に接し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し前記第1電極に接触する。前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さが、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さよりも長い。前記絶縁部は、前記導電部の上に設けられ、前記導電部と前記電極延出部との間に位置する。前記第3電極は、絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図3図3(a)~図3(c)は、参考例に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5図5は、実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図6図6は、実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図7図7は、実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図8図8は、実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図9図9(a)~図9(d)は、実施形態に係る半導体装置の製造工程を例示する模式的断面図である。
図10図10(a)~図10(d)は、実施形態に係る半導体装置の製造工程を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2は、実施形態に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図1は、図2に示したA-A線における断面に対応する。
図1及び図2には、実施形態に係る半導体装置100の一例として、HEMT(High Electron Mobility Transistor)が例示されている。図1に表したように、半導体装置100は、第1半導体層11と、第2半導体層12と、第1電極21と、第2電極22と、第3電極23と、絶縁層30と、導電部50と、を含む。半導体装置100は、さらに、配線層41(第1配線層)と、配線層42と、を含む。
なお、図2においては、配線層41、配線層42及び絶縁層30などの一部の図示を省略している。
【0009】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。第1半導体層11から第2半導体層12に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する2方向をX方向及びY方向とする。また、説明のために、第1半導体層11から第2半導体層12に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う場合がある。これらの方向は、第1半導体層11と第2半導体層12との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0010】
第1半導体層11は、窒化物半導体を含む。第2半導体層12は、第1半導体層11の上に設けられており、第1半導体層11と接している。第2半導体層12は、窒化物半導体を含む。第1半導体層11と第2半導体層12とは、例えばヘテロ接合を構成している。
【0011】
第1電極21は、例えばドレイン電極である。第1電極21は、第2半導体層12の一部の上に設けられている。第1電極21は、第2半導体層12の上面とオーミック接触しており、第2半導体層12と電気的に接続されている。
【0012】
第1電極21は、第1電極部21eと、第1電極延出部21fと、を含む。第1電極部21eの下端部は、第2半導体層12の上面に接している。第1電極延出部21fは、第1電極部21eの上端部からX方向に沿って第2電極22側へ延びている。第1電極部21e及び第1電極延出部21fは、例えば同じ材料で一体に形成された1つの導電層(金属層)でよい。
【0013】
導電部50は、第2半導体層12の上に設けられ、第2半導体層12の上面12uに接している。導電部50は、第2半導体層12とオーミック接触していてもよいし、オーミック接触していなくてもよい(例えばショットキー接触でもよい)。導電部50は、第1電極21と第2電極22との間に位置し、第2電極22に接触する。より具体的には、図1に表したように、導電部50の一部は、第1電極部21eと第2半導体層12との間に設けられており、第1電極部21eによって覆われている。つまり、第1電極部21eの一部は、導電部50の一部の上面50sに接触している。また、この例では、図2に表したように、導電部50は、第1電極21に沿ってY方向に延在している。
【0014】
図1に表したように、導電部50は、第1電極延出部21fよりも第1電極部21eから第2電極22側へ延びている。すなわち、長さL1(第1電極部21eから導電部50の第2電極22側の端部50xまでのX方向に沿った長さ)は、長さL2(第1電極部21eから第1電極延出部21fの第2電極22側の端部21fxまでのX方向に沿った長さ)よりも長い。第1電極延出部21fの端部21fxは、Z方向において導電部50と並ぶ(重なる)。
【0015】
配線層41は、第1電極21の上に設けられ、第1電極21と電気的に接続されている。配線層41は、配線部41e(第1配線部)と、配線延出部41f(第1配線延出部)と、を含む。配線部41eの下端部は、第1電極部21eの上端部と接している。配線延出部41fは、配線部41eの上端部からX方向に沿って第2電極22側へ延びている。配線部41e及び配線延出部41fは、例えば同じ材料で一体に形成された1つの導電層(金属層)でよい。
【0016】
この例では、配線延出部41fは、第1電極延出部21fよりも配線部41eから第2電極22側へ延びている。例えば、長さL3(第1電極部21eから配線延出部41fの第2電極22側の端部41fxまでのX方向に沿った長さ)は、上述の長さL2よりも長い。また、例えば、導電部50は、配線延出部41fよりも第1電極部21eから第2電極22側へ延びている。例えば、上述の長さL1は、長さL3よりも長い。配線延出部41fの端部41fxは、Z方向において導電部50と並び、第1電極延出部21fと並ばない。
【0017】
第2電極22は、例えばソース電極である。第2電極22は、第2半導体層12の一部の上に設けられている。第2電極22は、第1電極21からX方向に離れている。第2電極22は、第2半導体層12の上面とオーミック接触しており、第2半導体層12と電気的に接続されている。
【0018】
例えば、第2電極22は、第2電極部22eと、第2電極延出部22fと、を含む。第2電極部22eの下端部は、第2半導体層12の上面に接している。第2電極延出部22fは、第2電極部22eの上端部からX方向に沿って第1電極21側へ延びている。第2電極部22e及び第2電極延出部22fは、例えば同じ材料で一体に形成された1つの導電層(金属層)でよい。
【0019】
配線層42は、第2電極22の上に設けられ、第2電極22と電気的に接続されている。配線層42(第2配線層)は、配線部42e(第2配線部)と、配線延出部42f(第2配線延出部)と、を含む。配線部42eの下端部は、第2電極部22eの上端部と接している。配線延出部42fは、配線部42eの上端部からX方向に沿って第1電極21側へ延びている。配線部42e及び配線延出部42fは、例えば同じ材料で一体に形成された1つの導電層(金属層)でよい。
【0020】
配線延出部42fは、第2電極延出部22fよりも配線部42eから第1電極21側へ延び、第2電極22を覆っている。言い換えれば、X方向において、配線延出部42fの第1電極21側の端部42fxは、第2電極延出部22fの第1電極21側の端部22fxと、第1電極21と、の間に位置する。
配線延出部42fは、さらに第3電極23よりも第1電極21へ向かって延び、第3電極23、導電部材61、導電部材62を覆っている。言い換えれば、X方向において、配線延出部42fの端部42fxは、第3電極23と第1電極21との間に位置している。配線延出部42fは、例えばフィールドプレート電極として機能する。
【0021】
第3電極23は、例えばゲート電極である。第3電極23は、絶縁膜部31aを介して第2半導体層12の上方に位置している。つまり、第2半導体層12の上に絶縁膜部31aが設けられており、その絶縁膜部31aの上に第3電極23が設けられている。第3電極23は、絶縁膜部31aにより、第2半導体層12と絶縁されている。第3電極23は、第2電極22と、第1電極21と、の間に位置している。
【0022】
第3電極23は、第1電極21よりも第2電極22の近くに配置されている。すなわち、第3電極23と第1電極21との間の距離は、第3電極23と第2電極22との間の距離よりも長い。
【0023】
この例では、第3電極23の上方に、導電部材61が設けられている。導電部材61は、第3電極23と電気的に接続されており、第3電極23を覆っている。また、導電部材61と第1電極21との間には、導電部材62が設けられている。導電部材62は、例えば、図示しない接続部により第2電極22と電気的に接続されている。導電部材61及び導電部材62は、例えばフィールドプレート電極として機能する。
【0024】
第3電極23は、絶縁層30によって、第1電極21及び第2電極22のそれぞれと絶縁されている。この例では、絶縁層30は、第2半導体層12の上に設けられた第1絶縁膜31と、第1絶縁膜31の上に設けられた第2絶縁膜32と、第2絶縁膜32の上に設けられた第3絶縁膜33と、を含む。このように絶縁層30は、積層構造を有していてもよい。
【0025】
第1絶縁膜31及び第2絶縁膜32は、第1電極部21eと第2電極部22eとの間に設けられている。上述の絶縁膜部31aは、第1絶縁膜31の一部である。第3電極23は、第1絶縁膜31の上に設けられている。導電部50の一部の上に、第2絶縁膜32の一部が設けられている。導電部材61、導電部材62、第1電極延出部21f及び第2電極延出部22fは、第2絶縁膜32の上に設けられている。第3絶縁膜33は、配線部41eと配線部42eとの間に設けられており、導電部材61、導電部材62、第1電極延出部21f及び第2電極延出部22fを覆っている。配線延出部41f及び配線延出部42fは、第3絶縁膜33の上に設けられている。
【0026】
図1に表したように、半導体装置100には、第1絶縁部30aと第2絶縁部30bとが設けられている。第1絶縁部30a及び第2絶縁部30bは、絶縁層30の一部である。より具体的には、この例では、第1絶縁部30aは、第2絶縁膜32の一部であり、第2絶縁部30bは、第3絶縁膜33の一部である。
【0027】
第1絶縁部30aは、導電部50の一部の上に設けられた部分である。第1絶縁部30aは、第1電極部21eの側面及び導電部50の上面に接している。第1絶縁部30aの一部は、導電部50と第1電極延出部21fとの間に位置している。第2絶縁部30bは、配線部41eの側面、第1電極延出部21fの上面及び第1絶縁部30aの上面に接している。第2絶縁部30bは、配線延出部41fと第1絶縁部30aとの間に位置している。
【0028】
配線層41、配線層42及び絶縁層30の上には、さらに絶縁層35が設けられている。
【0029】
半導体装置100の各要素の材料の一例について説明する。
第1半導体層11は、例えばAlx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体層11におけるAlの組成比x1は、例えば、0以上0.01以下である。第1半導体層11は、例えばGaNでよい。
第2半導体層12は、例えばAlx2Ga1-x2N(x1<x2<1)を含む。第2半導体層12におけるAlの組成比x2は、例えば、0.1以上0.4以下である。
絶縁層30(第1絶縁膜31、第2絶縁膜32及び第3絶縁膜33のそれぞれ)及び絶縁層35は、窒化シリコン及び酸化シリコンの少なくともいずれかを含む。
第1電極21は、例えば、TiおよびAlよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2電極22は、例えば、TiおよびAlよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
配線層41及び配線層42は、例えば、Ti、Al、AuおよびWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
第3電極53は、例えば、Al、Ti、TiN、TiW、WN、Pt、Ni、In及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
導電部材61、導電部材62は、例えば、Al、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
導電部50は、例えば、Al、Ti、TiN、TiW、WN、Pt、Ni、In及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。導電部50は、例えば金属層である。導電部50の材料は、例えば、第1電極21(第1電極部21e)の材料と異なっていてよい。例えば、第1電極21の電気抵抗率(Ω・cm)は、導電部50の電気抵抗率よりも低くてもよい。導電部50には、第1電極21と同じ材料を用いてもよい。
【0030】
半導体装置100の動作について説明する。
第1電極21には、第2電極22に対して正の電圧が印加される。例えば、第1半導体層11内の第1半導体層11と第2半導体層12との界面付近には、2次元電子ガス(2DEG)が発生する。第2電極22の電圧を基準として、第3電極23の電圧を制御することにより、第3電極23の下方における2次元電子ガスの濃度を制御することができる。例えば、第3電極23の電圧が閾値以上(例えば0V)の場合には、第3電極23の下方において2次元電子ガスが発生している。これにより、電子が第2電極22から第1半導体層11を介して第1電極21へ流れるオン状態が得られる。第3電極23の電圧が閾値よりも小さい場合(例えばマイナス)には、第3電極23の下方における2次元電子ガスの濃度が低下し、例えば第3電極23の下方においては2次元電子ガスが実質的に発生しない。これにより、電子が第2電極22から第1半導体層11を介して第1電極21へ実質的に流れないオフ状態が得られる。なお、この例では、第3電極23が0Vの場合にオン状態が得られるノーマリオンの装置を例示したが、実施形態は、第3電極23が0Vの場合にオフ状態が得られるノーマリオフの装置であってもよい。
【0031】
実施形態の効果について、参考例を参照しつつ説明する。
図3(a)~図3(c)は、参考例に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3(a)~図3(c)は、参考例に係る半導体装置190の第1電極21の周辺を例示している。半導体装置190は、導電部50が設けられない点において、実施形態に係る半導体装置100と異なる。
【0032】
図3(a)は、オフ状態において、第2電極22に対して正の電圧が第1電極21に印加されている状態を表す。図3(b)は、第1電極21に印加されている電圧が、図3(a)における電圧よりも、大きくなった状態である。図3(c)は、第1電極21に印加されている電圧が、図3(b)における電圧よりも、さらに大きくなった状態である。
【0033】
図3(a)に表したように、第1半導体層11と第2半導体層12との間の一部には、2次元電子ガスGが形成されている。2次元電子ガスGの第3電極23側には、空乏層の端部Deが位置する。第1電極21の電圧が大きくなると、図3(b)に表したように、2次元電子ガスGが形成される領域が狭くなり、空乏層の端部Deが第1電極21に近づく。図3(b)においては、端部Deは、第1電極延出部21fの端部21fxの下方付近に位置する。このとき、第2半導体層12と配線延出部41fとの間には、Z方向に沿った電界E1が発生する。第1電極21の電圧がさらに大きくなると、図3(c)に表したように、2次元電子ガスGが形成される領域がさらに狭くなり、空乏層の端部Deが第1電極部21eに近づく。図3(c)においては、端部Deは、第1電極部21eの側面の下方付近に位置する。このとき、第2半導体層12と第1電極延出部21fとの間には、Z方向に沿った電界E2が発生する。
【0034】
このように空乏層が第1電極21の周辺に到達すると、第2半導体層12と第1電極延出部21fとの間、及び、第2半導体層12と配線延出部41fとの間に強い縦電界が発生する。
【0035】
図4(a)及び図4(b)は、半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4(a)は、半導体装置190を例示し、図4(b)は、半導体装置100を例示している。
図4(a)に表したように、図3(a)~図3(c)に関して説明した縦電界によって、絶縁層30内や、第2半導体層12と絶縁層30との界面Bに、第2半導体層12から電子eが注入される。注入された電子eは、絶縁層30や界面Bにトラップされる。トラップされた電子eが、例えばオン状態において、第1半導体層11と第2半導体層12との界面に形成される2次元電子ガスに影響を与える恐れがある。例えば電子eによって生じる電界によって、2次元電子ガスの電子密度が低下し、オン抵抗が増大することが考えられる。
【0036】
これに対して、実施形態においては、第2半導体層12の上には、図1に関して述べたように長さL1が第1電極延出部21fの長さL2よりも長く、第1電極21と接触する導電部50が設けられている。図4(b)に表したように、例えば、第2半導体層12から第1電極延出部21fの下方に位置する導電部50に到達した電子eは、導電部50から第1電極21へ排出される。導電部50により、絶縁層30や界面Bに電子eがトラップされることが抑制できるため、オン抵抗の増大を抑制することができる。実施形態によれば、例えば電流コラプスを抑制することができ、安定した特性を得ることができる。
【0037】
図1に関して述べたように、例えば導電部50の長さL1は、配線延出部41fの長さL3よりも長くてもよい。このように、導電部50を広く形成することにより、電子eが絶縁層30や界面Bにトラップされることを、より抑制できる。ただし、実施形態においては、長さL3を長さL1よりも長くしてもよい。長さL3が長い場合には、配線層41の電気抵抗を抑制できる。
【0038】
なお、図示を省略するが、配線層41の上には、さらに別の配線層41が積層されてもよい。各配線層41の配線延出部41fの長さL3は、例えば第1電極延出部21fの長さL2よりも長く、導電部50の長さL1より短くてよい。
【0039】
また、図1に表したように第1電極部21eは、導電部50の一部の上面50s、及び、第2半導体層12の上面12uに接している。つまり、第1電極部21eは、導電部50の上面に接触し、かつ、第2半導体層12の上面に接触している。このようにして、例えば、第1電極部21eを、導電部50と第2半導体層12との両方に、より確実に接触させている。
【0040】
例えば、図4(b)に表したように、導電部50の厚さT50(Z方向に沿った長さ)は、第1電極延出部21fの厚さT21fよりも薄く、第1絶縁部30aの厚さT30aよりも薄い。導電部50を比較的薄くすることにより、例えば第1電極21の厚さを抑えることができ、Z方向の抵抗成分の増大が抑制される。
【0041】
導電部50は、第1電極21の周辺に設けられればよい。例えば、図1に表したように、X方向において、導電部50の端部50xは、配線延出部41fの端部41fxと、配線延出部42fの端部42fxと、の間である。導電部50の端部50xと配線延出部42fの端部42fxとの間のX方向に沿った長さL4は、長さL1と長さL3との差よりも長く、長さL1と長さL2との差よりも長い。例えば、長さL4は、長さL1よりも長い。
【0042】
図5図8は、実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的平面図である。
図5図8は、実施形態の変形例に係る半導体装置101~104における第1電極21の周辺部分の平面配置を表している。半導体装置101~104は、導電部50及び第1電極21の平面形状において、図2に表した半導体装置100と異なる。
【0043】
図5に表した半導体装置101においては、複数の第1電極21及び複数の導電部50が設けられている。複数の第1電極21及び複数の導電部50は、Y方向に並んでいる。各導電部50は、各第1電極21と接触するように設けられている。つまり、1つの導電部50が、1つの第1電極21と接触する。また、1つの配線層41がY方向に延在し、複数の第1電極21の上に設けられている。配線層41は、各第1電極21と電気的に接続されている。
【0044】
Z方向に沿って見た平面視において、第1電極延出部21fの外縁は、第1電極部21eを囲むように設けられていてもよい。第1電極延出部21fの外縁の平面形状は、例えば矩形状でもよい。すなわち、第1電極21の第1電極延出部21fは、第1電極部21eから四方(X方向及びY方向)に延出していてもよい。
【0045】
Z方向に沿って見た平面視において、導電部50の外縁は、例えば、第1電極21を囲むように設けられていてもよい。導電部50の外縁の平面形状は、例えば矩形状でもよい。例えば、導電部50のY方向に沿った長さL50は、第1電極延出部21fのY方向に沿った長さL21fよりも長い。第1電極延出部21fは、Y方向における両端部(端部f1及び端部f2)を有する。端部f1及び端部f2は、Z方向において導電部50と重なる位置に配置されている。例えば、Z方向に沿って見た平面視において、端部f1及び端部f2は、導電部50のY方向における両端部(端部g1及び端部g2)の間に位置する。このように、第1電極21に対して導電部50を広く形成することにより、絶縁層30等に電子eがトラップされることをより抑制することができる。
【0046】
図6に表した半導体装置102においては、1つの導電部50に対して、複数の第1電極21が設けられている。複数の第1電極21は、Y方向に並んでいる。1つの導電部50は、Y方向に延在して、複数の第1電極21と接触している。
【0047】
図7に表した半導体装置103においては、導電部50の幅W50(X方向に沿った長さ)が、図6に表した半導体装置102における導電部50の幅よりも狭い。半導体装置103においては、第1電極21の端部f1(辺)の一部f1aは、Z方向において導電部50と重なっている。一方、端部f1の別の一部f1bは、Z方向において導電部50と重ならない。なお、一部f1aは、一部f1bよりも第2電極22側の部分である。同様に、半導体装置103においては、第1電極21の端部f2(辺)の一部f2aは、Z方向において導電部50と重なっている。一方、端部f2の別の一部f2bは、Z方向において導電部50と重ならない。なお、一部f2aは、一部f2bよりも第2電極22側の部分である。
【0048】
図5図7の例においては、導電部50の幅(X方向に沿った長さ)は、例えば一定である。これに限らず、図8に表した半導体装置104のように、導電部50の幅は、Y方向に沿って変化してもよい。例えば、半導体装置104においては、導電部50は、Y方向において交互に並ぶ複数の幅広部51と複数の幅狭部52とを含む。幅広部51の幅W51は、幅狭部52の幅W52よりも広い。複数の幅広部51のそれぞれが、複数の第1電極21のそれぞれに直接接している。幅狭部52は、第1電極21から離れている。図8の例では、第1電極21の端部f1(辺)及び端部f2(辺)は、Z方向において導電部50と重ならない。
【0049】
図9(a)~図9(d)及び図10(a)~図10(d)は、実施形態に係る半導体装置の製造工程を例示する模式的断面図である。
なお、図9(a)~図10(c)は、第1電極21が形成される領域の周辺のみを表している。図10(d)は、第1電極21、第2電極22及び第3電極23が形成される領域の周辺を表している。
【0050】
図9(a)に表したように、第1半導体層11の上に第2半導体層12を設ける。そして、第2半導体層12の上に、例えばLPCVD(Low-Pressure Chemical Vapor Deposition)等によって、第1絶縁膜31を形成する。
【0051】
その後、図9(b)に表したように、例えば反応性イオンエッチング等によって、第1絶縁膜31の一部を除去して、開口部OP1を形成する。開口部OP1において、第2半導体層12の上面12uが露出している。
【0052】
その後、図9(c)に表したように、例えば、スパッタ等によって、導電膜50fを形成する。導電膜50fは、第1絶縁膜31の上、及び、第2半導体層12の上面12uの上に設けられる。
【0053】
その後、図9(d)に表したように、例えば、ウェットエッチングによって、第1絶縁膜31の上、及び、第2半導体層12の上面12uの一部の上から、導電膜50fの一部を除去する。これにより、第1絶縁膜31の上面、及び、上面12uの一部である第1領域12uaが露出し、導電部50が形成される。
【0054】
その後、図10(a)に表したように、例えばPECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)等によって、第1絶縁膜31の上、第2半導体層12(上面12uの第1領域12ua)の上、及び、導電部50の上に、第2絶縁膜32を形成する。このとき、第2絶縁膜32は、例えば導電部50及び第1領域12uaの全体を覆っている。
【0055】
その後、図10(b)に表したように、導電部50の第1部分50aの上に、第1絶縁部30aが形成される。すなわち、例えば反応性イオンエッチング等によって、第2半導体層12の一部の上面12ub、及び、導電部50の第2部分50bの上面50sの上から、第2絶縁膜32の一部を除去して、第2絶縁膜32に開口部OP2を形成する。開口部OP2において、上面50s及び上面12ubが露出している。なお、上面12ubは、上面12uの第1領域12uaの一部である。
【0056】
その後、図10(c)に表したように、開口部OP2内及び第1絶縁部30aの上に、第1電極21を形成する。具体的には、例えば、第2絶縁膜32、上面50s、及び上面12ubの上に、第1電極21となる電極膜を形成する。反応性イオンエッチング等によって、第2絶縁膜32の一部32aの上から電極膜の一部を除去することで、第1電極21を形成する。第1電極21のうち、開口部OP2内において、上面50s及び上面12ubの上に設けられた部分が第1電極部21eとなる。第1電極21のうち、第1絶縁部30aの上に設けられた部分が第1電極延出部21fとなる。
【0057】
図10(d)に表したように、第2電極22を形成する。第2電極22の形成は、例えば、第1電極21の形成と同時に行ってもよい。すなわち、開口部OP2を形成する際に、第2電極22を形成する位置に応じて、第1絶縁膜31及び第2絶縁膜32に開口部OP3を形成する。開口部OP3において、第2半導体層12を露出させる。その後、上述の電極膜を開口部OP3内にも形成し、反応性イオンエッチング等によって第1電極21と同時に加工することで、第2電極22を形成する。
【0058】
また、適宜の方法及びタイミングで、第3電極23を形成する。例えば、第1電極21や第2電極22を形成する前において、第2絶縁膜32に第3電極23を埋め込むようにして形成してもよい。あるいは、第2絶縁膜32を形成する前において、第3電極23を形成し、その後、第2絶縁膜32を積層及び研磨してもよい。
【0059】
実施形態においては、例えば図9(d)に関して説明したように、導電膜50fの一部をウェットエッチングによって加工する。ウェットエッチングを用いることで、ドライエッチングを用いた場合に比べて、第2半導体層12への影響(ダメージ)を抑制することができる。例えば、2次元電子ガスにおけるキャリア密度が減少することを抑制することができる。ウェットエッチングのエッチング液としては、例えば導電膜50fの材質がTiNであれば塩酸と過酸化水素水および水の混合液等を用いることができる。
【0060】
また、例えば図10(c)に関して説明したように、開口部OP2において、第2半導体層12及び導電部50を露出させ、その上に第1電極部21eを形成する。これにより、例えば、第1電極部21eと第2半導体層12とのオーミック接合を形成しつつ、導電部50と第1電極部21eとをより確実に接続できる。
【0061】
上述したように、第1電極21の材料は、導電部50の材料とは異なっていてもよい。例えば、第1電極21には、第2半導体層12とオーミック接合を形成しやすい材料を選択し、導電部50には、ウェットエッチングによって加工しやすい材料を選択することができる。
【0062】
実施形態によれば、安定した特性を得ることが可能な半導体装置が提供できる。
【0063】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
窒化物半導体を含む第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に設けられ、窒化物半導体を含む第2半導体層と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第2半導体層と接する電極部と、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と垂直な第2方向に前記電極部の上端部から延びる電極延出部と、を含む第1電極と、
前記第2半導体層の上に設けられ、前記第1電極と前記第2方向において離れた第2電極と、
前記第2半導体層の上面に接し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し前記第1電極に接触する導電部であって、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さが、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さよりも長い、導電部と、
前記導電部の上に設けられ、前記導電部と前記電極延出部との間に位置する絶縁部と、
絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する第3電極と、
を備えた、半導体装置。
(構成2)
前記電極部は、前記導電部の一部の上面、及び、前記第2半導体層の前記上面に接する、構成1に記載の半導体装置。
(構成3)
前記第1電極の上に設けられた第1配線層をさらに備え、
前記第1配線層は、第1配線部と、前記第1配線部の上端部から前記第2方向に延びた第1配線延出部と、を含み、
前記電極部から前記第1配線延出部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さは、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さよりも長く、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さよりも短い、構成1または2に記載の半導体装置。
(構成4)
前記第2電極の上に設けられた第2配線層をさらに備え、
前記第2配線層は、第2配線部と、前記第2配線部の上端部から前記第1電極側へ延びた第2配線延出部と、を含み、
前記導電部の前記第2電極側の前記端部と前記第2配線延出部の前記第1電極側の端部との間の前記第2方向に沿った長さは、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さよりも長い、構成1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成5)
前記第2電極の上に設けられた第2配線層をさらに備え、
前記第2配線層は、第2配線部と、前記第2配線部の上端部から前記第1電極側へ延びた第2配線延出部と、を含み、
前記導電部の前記第2電極側の前記端部と前記第2配線延出部の前記第1電極側の端部との間の前記第2方向に沿った長さは、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さと、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さと、の差よりも長い、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成6)
前記第2電極の上に設けられた第2配線層をさらに備え、
前記第2配線層は、第2配線部と、前記第2配線部の上端部から前記第1電極側へ延びた第2配線延出部と、を含み、
前記導電部の前記第2電極側の前記端部と前記第2配線延出部の前記第1電極側の端部との間の前記第2方向に沿った長さは、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さと、前記電極部から前記第1配線延出部の前記第2電極側の前記端部までの前記第2方向に沿った前記長さと、の差よりも長い、構成3に記載の半導体装置。
(構成7)
前記第1電極は、複数設けられ、
前記導電部は、複数設けられ、
複数の前記導電部のそれぞれは、複数の前記第1電極のそれぞれに接触する、構成1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成8)
前記第1電極は、複数設けられ、
1つの前記導電部は、複数の前記第1電極に接触する、構成1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成9)
前記第1方向に垂直で前記第2方向に垂直な第3方向における前記導電部の長さは、前記電極延出部の前記第3方向における長さよりも長く、
前記電極延出部の前記第3方向における端部は、前記第1方向において前記導電部と重なる位置である、構成1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成10)
前記導電部の厚さは、前記電極延出部の厚さよりも薄い、構成1~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成11)
前記導電部の材料は、前記第1電極の材料とは異なる、構成1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成12)
前記第2半導体層の上に設けられ、前記絶縁膜部を含む第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の上に設けられ、一部が前記導電部の上に設けられた第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜の上に設けられ、一部が前記電極延出部の上に設けられた第3絶縁膜と、
をさらに備えた、構成1~11のいずれか1つに記載の半導体装置。
(構成13)
窒化物半導体を含む第1半導体層の上に設けられ窒化物半導体を含む第2半導体層の一部の上に、導電部を形成する工程と、
前記導電部の第1部分の上に絶縁部を形成する工程と、
前記第2半導体層の上に位置し前記第2半導体層及び前記導電部と接触する電極部と、前記絶縁部の上に位置し前記電極部の上端から、前記第1半導体層から前記第2半導体層へ向かう第1方向と垂直な第2方向に延びる電極延出部と、を含む第1電極を形成する工程と、
前記第2方向において前記第1電極及び前記導電部から離れた第2電極であって、前記電極部から前記導電部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さが、前記電極部から前記電極延出部の前記第2電極側の端部までの前記第2方向に沿った長さよりも長い、第2電極を形成する工程と、
絶縁膜部を介して前記第2半導体層の上方に位置し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する第3電極を形成する工程と、
を備えた半導体装置の製造方法。
(構成14)
前記導電部を形成する工程は、前記第2半導体層の上に導電膜を形成し、前記導電膜の一部をウェットエッチングによって除去することを含む、構成13に記載の半導体装置の製造方法。
(構成15)
前記絶縁部を形成する工程は、前記第2半導体層及び前記導電部の上に設けられ前記導電部を覆う絶縁膜を形成することを含み、
前記第1電極を形成する工程は、前記開口部内に前記電極部の一部を形成することを含む、構成13または14に記載の半導体装置の製造方法。
【0064】
本願明細書において、「垂直」は、厳密な垂直だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直であれば良い。
本願明細書において、「電気的に接続」には、直接接触して接続される場合の他に、他の導電性部材などを介して接続される場合も含む。
ある要素が別の要素の「上に設けられ」という範囲は、2つの当該要素が互いに接する(又は連続する)場合だけでなく、2つの当該要素の間に別の要素が設けられた場合を含んでもよい。例えば、ある要素が別の要素の「上に設けられ」という範囲は、2つの当該要素が互いに接しているか否かに関わらず、ある要素が別の要素の上方に位置する場合を含んでもよい。
【0065】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
11:第1半導体層
12:第2半導体層
12u:上面
12ua:第1領域
12ub:上面
21:第1電極
21e:第1電極部
21f:第1電極延出部
21fx:端部
22:第2電極
22e:第2電極部
22f:第2電極延出部
22fx:端部
23:第3電極
30:絶縁層
30a:第1絶縁部
30b:第2絶縁部
31:第1絶縁膜
31a:絶縁膜部
32:第2絶縁膜
32a:一部
33:第3絶縁膜
35:絶縁層
41:配線層
41e:配線部
41f:配線延出部
41fx:端部
42:配線層
42e:配線部
42f:配線延出部
42fx:端部
50:導電部
50a:第1部分
50b:第2部分
50f:導電膜
50s:上面
50x:端部
51:幅広部
52:幅狭部
53:第3電極
61:導電部材
62:導電部材
100~104、190:半導体装置
B:界面
De:空乏層の端部
E1、E2:電界
G:2次元電子ガス
L1~L4、L21f、L50:長さ
OP1~OP3:開口部
T21f、T30a、T50:厚さ
W50、W51、W52:幅
f1、f2:端部
f1a、f1b、f2a、f2b:端部の一部
g1、g2:端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10