(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136907
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】光照射医療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20240927BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20240927BHJP
A61B 18/22 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61N5/067
A61N5/06 Z
A61B18/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048211
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 弘規
(72)【発明者】
【氏名】清水 一朗
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026AA04
4C026FF17
4C026FF34
4C026FF37
4C082PG11
4C082RA02
4C082RE17
4C082RE35
4C082RE38
(57)【要約】
【課題】光照射医療装置の操作時に使用者が加えた力が反射材にかかりにくく、反射材が破損するのを抑制しやすくすることができる光照射医療装置を提供する。
【解決手段】長手軸方向xに延在している内腔11を有するシャフト10と、シャフト10の内腔11に配置されており光拡散部21を有する光ファイバー20と、シャフト10の内腔11に配置されており長手軸方向xに伸縮可能な伸縮部材39と、シャフト10の内腔11において光拡散部21からの光を反射する反射材50と、を有し、長手軸方向xにおいて、反射材50は、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39の少なくともいずれか1つと固定されている固定区間51と、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39のいずれとも固定されていない非固定区間52と、を有している光照射医療装置1に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸方向に遠位端と近位端を有し、かつ前記長手軸方向に延在している内腔を有するシャフトと、
前記シャフトの前記内腔に配置されており、遠位部の所定区間に前記長手軸方向に延在しており前記シャフトの径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部を有する光ファイバーと、
前記シャフトの前記内腔に配置されており、前記長手軸方向に伸縮可能な伸縮部材と、
前記シャフトの前記内腔において、前記光ファイバーの外側かつ前記所定区間に配置されており、前記光拡散部からの光を反射する反射材と、を有し、
前記長手軸方向において、前記反射材は、前記シャフト、前記光ファイバー、および前記伸縮部材の少なくともいずれか1つと固定されている固定区間と、前記シャフト、前記光ファイバー、および前記伸縮部材のいずれとも固定されていない非固定区間と、を有している光照射医療装置。
【請求項2】
前記長手軸方向における前記固定区間の最大長さは、前記長手軸方向における前記非固定区間の最大長さよりも短い請求項1に記載の光照射医療装置。
【請求項3】
前記固定区間において、前記反射材は前記伸縮部材と固定されており、前記反射材は前記シャフト及び前記光拡散部と固定されていない請求項1または2に記載の光照射医療装置。
【請求項4】
前記伸縮部材と前記シャフトとが固定されている請求項3に記載の光照射医療装置。
【請求項5】
前記シャフトの径方向において、前記反射材の最大長さは、前記伸縮部材の最大長さよりも短い請求項1または2に記載の光照射医療装置。
【請求項6】
前記反射材は、前記長手軸方向に三等分割したときに真ん中に位置している中央領域を有しており、
前記伸縮部材には、前記反射材の中央領域よりも近位側に位置している第1伸縮部材が含まれている請求項1または2に記載の光照射医療装置。
【請求項7】
前記第1伸縮部材は線材がらせん状に巻回されている第1コイル部を有している請求項6に記載の光照射医療装置。
【請求項8】
前記伸縮部材には、前記反射材の中央領域よりも遠位側に位置している第2伸縮部材が含まれている請求項7に記載の光照射医療装置。
【請求項9】
前記第2伸縮部材は線材がらせん状に巻回されている第2コイル部を有している請求項8に記載の光照射医療装置。
【請求項10】
前記第1コイル部の前記線材の線径は前記第2コイル部の前記線材の線径以下である請求項9に記載の光照射医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管や消化管等の体内管腔において、がん細胞等の組織に光を照射するための光照射医療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光線力学的療法(Photodynamic Therapy:PDT)では、光増感剤を静脈注射や腹腔内投与で体内に投与し、がん細胞等の対象組織に光増感剤を集積させ、特定の波長の光を照射することにより光増感剤を励起させる。励起された光増感剤が基底状態に戻るときにエネルギー転換が生じ、活性酸素種を発生させる。活性酸素種が対象組織を攻撃することにより、対象組織を除去することができる。レーザー光を用いたアブレーションでは、対象組織にレーザー光を照射し、焼灼することが行われる。このような光照射を行うための装置が提案されている。
【0003】
特許文献1には、光ファイバと、光ファイバの出射端側に取り付けられており光ファイバの長手方向に延在する光照射部と、を備える光照射ファイバが開示されている。また、光照射部は、長手方向に延在しており出射端から出射された光を散乱させる散乱体を有する光散乱部を有し、光散乱部に接するチューブに光を反射させるための金属箔が配置されている態様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている光照射ファイバにおいては、チューブとチューブの間に金属箔を配置するものであるため、使用者が力を加えた際に起こるチューブの屈曲等に金属箔が耐えられずに破損するという問題があった。そこで、光を反射させるための反射材が破損しにくい光照射医療装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成し得た本発明の光照射医療装置の一実施態様は下記の通りである。
[1] 長手軸方向に遠位端と近位端を有し、かつ前記長手軸方向に延在している内腔を有するシャフトと、
前記シャフトの前記内腔に配置されており、遠位部の所定区間に前記長手軸方向に延在しており前記シャフトの径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部を有する光ファイバーと、
前記シャフトの前記内腔に配置されており、前記長手軸方向に伸縮可能な伸縮部材と、
前記シャフトの前記内腔において、前記光ファイバーの外側かつ前記所定区間に配置されており、前記光拡散部からの光を反射する反射材と、を有し、
前記長手軸方向において、前記反射材は、前記シャフト、前記光ファイバー、および前記伸縮部材の少なくともいずれか1つと固定されている固定区間と、前記シャフト、前記光ファイバー、および前記伸縮部材のいずれとも固定されていない非固定区間と、を有している光照射医療装置。
【0007】
上記光照射医療装置においては、反射材が非固定区間を有していることにより、光照射医療装置の操作時に使用者が加えた力が反射材にかかりにくくなる。これにより、反射材に負荷がかかることによって反射材が破損するのを抑制しやすくすることができる。
【0008】
本発明の光照射医療装置は、以下の[2]~[10]であることが好ましい。
[2] 前記長手軸方向における前記固定区間の最大長さは、前記長手軸方向における前記非固定区間の最大長さよりも短い[1]に記載の光照射医療装置。
[3] 前記固定区間において、前記反射材は前記伸縮部材と固定されており、前記反射材は前記シャフト及び前記光拡散部と固定されていない[1]または[2]に記載の光照射医療装置。
[4] 前記伸縮部材と前記シャフトとが固定されている[3]に記載の光照射医療装置。
[5] 前記シャフトの径方向において、前記反射材の最大長さは、前記伸縮部材の最大長さよりも短い[1]~[4]のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
[6] 前記反射材は、前記長手軸方向に三等分割したときに真ん中に位置している中央領域を有しており、
前記伸縮部材には、前記反射材の中央領域よりも近位側に位置している第1伸縮部材が含まれている[1]~[5]のいずれか一項に記載の光照射医療装置。
[7] 前記第1伸縮部材は線材がらせん状に巻回されている第1コイル部を有している[6]に記載の光照射医療装置。
[8] 前記伸縮部材には、前記反射材の中央領域よりも遠位側に位置している第2伸縮部材が含まれている[7]に記載の光照射医療装置。
[9] 前記第2伸縮部材は線材がらせん状に巻回されている第2コイル部を有している[8]に記載の光照射医療装置。
[10] 前記第1コイル部の前記線材の線径は前記第2コイル部の前記線材の線径以下である[9]に記載の光照射医療装置。
【発明の効果】
【0009】
上記光照射医療装置においては、反射材が非固定区間を有していることにより、光照射医療装置の操作時に使用者が加えた力が反射材にかかりにくくなる。これにより、反射材に負荷がかかることによって反射材が破損するのを抑制しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光照射医療装置の断面図(一部側面図)である。
【
図2】
図1に示した光照射医療装置のII-II線における切断部端面図である。
【
図3】
図1に示した光照射医療装置のIII-III線における切断部端面図である。
【
図4】
図2に示した光照射医療装置の変形例を示す切断部端面図である。
【
図5】
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
【
図6】
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
【
図7】
図6に示した光照射医療装置のVII-VII線における切断部端面図である。
【
図8】
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
【
図9】
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
【
図10】
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
【
図11】
図1に示した光ファイバーの遠位側を拡大した断面図である。
【
図12】
図1に示した光ファイバーの変形例を示す断面図である。
【
図13】
図1に示した光ファイバーの他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0012】
本発明の光照射医療装置の一実施態様は、長手軸方向に遠位端と近位端を有し、かつ長手軸方向に延在している内腔を有するシャフトと、シャフトの内腔に配置されており、遠位部の所定区間にシャフトの長手軸方向に延在しておりシャフトの径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部を有する光ファイバーと、シャフトの内腔に配置されており、シャフトの長手軸方向に伸縮可能な伸縮部材と、シャフトの内腔において、光ファイバーの外側かつ所定区間に配置されており、光拡散部からの光を反射する反射材と、を有し、シャフトの長手軸方向において、反射材は、シャフト、光ファイバー、および伸縮部材の少なくともいずれか1つと固定されている固定区間と、シャフト、光ファイバー、および伸縮部材のいずれとも固定されていない非固定区間と、を有している点に要旨を有する。
【0013】
光照射医療装置は、PDTや光アブレーションにおいて血管や消化管等の体内管腔で、がん細胞等の対象組織である処置部に対して特定の波長の光を照射するために用いられる。光照射医療装置は、単独で処置部まで送達されるものであってもよく、送達用のカテーテルや内視鏡と共に用いられてもよい。内視鏡を用いた治療では、内視鏡の鉗子チャンネルを通じて光照射医療装置が体内に配置され、処置部まで送達される。
【0014】
図1~
図13を参照しながら、光照射医療装置の基本構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光照射医療装置の断面図(一部側面図)である。
図2は、
図1に示した光照射医療装置のII-II線における切断部端面図である。
図3は、
図1に示した光照射医療装置のIII-III線における切断部端面図である。
図4は、
図2に示した光照射医療装置の変形例を示す切断部端面図である。
図5は、
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
図6は、
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
図7は、
図6に示した光照射医療装置のVII-VII線における切断部端面図である。
図8は、
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
図9は、
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
図10は、
図1に示した光照射医療装置の変形例を示す断面図(一部側面図)である。
図11は、
図1に示した光ファイバーの遠位側を拡大した断面図である。
図12は、
図1に示した光ファイバーの変形例を示す断面図である。
図13は、
図1に示した光ファイバーの他の変形例を示す断面図である。
図1~
図10に示す光照射医療装置1は、シャフト10と光ファイバー20と伸縮部材39と反射材50を有している。以下では光照射医療装置を単に装置と称することがある。
【0015】
本明細書において、装置1の遠位側とは、シャフト10の長手軸方向xの遠位端側であって処置対象側を指す。装置1の近位側とは、シャフト10の長手軸方向xの近位端側であって使用者の手元側を指す。各部材をシャフト10の長手軸方向xにおいて二等分割したときの近位側を近位部、遠位側を遠位部と称することがある。装置1の径方向において、内方はシャフト10の長手軸方向xに延びる中心軸cに向かう方向を指し、外方は内方とは反対の放射方向を指す。
【0016】
装置1は、長手軸方向xに遠位端と近位端を有し、かつ長手軸方向xに延在している内腔11を有するシャフト10を有している。
【0017】
装置1は、シャフト10の内腔11に配置されている光ファイバー20を有している。光ファイバー20は、その遠位部の所定区間に長手軸方向xに延在しておりシャフト10の径方向の外方に向かって光を射出する光拡散部21を有している。
【0018】
装置1は、シャフト10の内腔11に配置されており、長手軸方向xに伸縮可能な伸縮部材39を有している。
【0019】
装置1は、シャフト10の内腔11において、光ファイバー20の外側かつ所定区間に配置されている反射材50を有する。反射材50は、光拡散部21から射出された光を反射する。
【0020】
長手軸方向xにおいて、反射材50は、固定区間51と非固定区間52とを有している。固定区間51は、反射材50が長手軸方向xに有している区間であって、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39の少なくともいずれか1つと固定されている区間である。非固定区間52は、反射材50が長手軸方向xに有している区間であって、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39のいずれとも固定されていない区間である。
【0021】
装置1においては、反射材50が非固定区間52を有していることにより、装置1の操作時に使用者が加えた力が反射材50にかかりにくくなる。これにより、反射材50に負荷がかかることによって反射材50が破損するのを抑制しやすくすることができる。
【0022】
シャフト10は長手軸方向xに遠位端と近位端を有し、かつ長手軸方向xに延在している内腔11を有する。シャフト10は、内腔11を1つのみ有していてもよく、複数有していてもよい。シャフト10はその内腔11に光ファイバー20および伸縮部材39を配置するために筒形状を有している。シャフト10は、内腔11を1つのみ有する筒形状を有していることが好ましい。シャフト10は体内に挿入されるため、好ましくは可撓性を有している。シャフト10は内表面12と外表面13を有している。
【0023】
シャフト10は、一または複数の線材を所定のパターンで配置することで形成された中空体;上記中空体の内側表面または外側表面の少なくともいずれか一方に樹脂をコーティングしたもの;樹脂チューブ;またはこれらを組み合わせたもの、例えばこれらを長手軸方向に接続したものが挙げられる。線材が所定のパターンで配置された中空体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが示される。線材は、一または複数の単線であってもよく、一または複数の撚線であってもよい。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。シャフト10が樹脂チューブである場合、シャフト10は単層または複数層から構成することができる。シャフト10は長手軸方向xまたは周方向pの一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
【0024】
シャフト10は、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂や、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属から構成することができる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。シャフト10のうち少なくとも後述する光拡散部21と重なる部分は、光透過性を有する樹脂から構成されていることが好ましい。シャフト10のうち少なくとも光拡散部21と重なる部分は、透明樹脂から構成されていてもよい。
【0025】
図1に示すようにシャフト10の遠位端には先端チップ15が取り付けられていてもよい。シャフト10の遠位端部による生体組織の損傷を回避することができる。先端チップ15の形状としては、例えば円柱形状、長円柱形状、半球形状、長円球形状、角錐台形状、円錐台形状、長円錐台形状、角丸錐台形状、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0026】
図1では、シャフト10の近位部にハンドル70が接続されている。使用者がハンドル70を把持することで、装置1の操作が行いやすくなる。ハンドル70は、例えば長手軸方向xに延在している。ハンドル70は、一または複数の部材から構成することができる。
図1では、ハンドル70は長手軸方向xに延在している中空部71を有している。ハンドル70は例えば筒形状を有していてもよい。
図1ではハンドル70の中空部71にシャフト10と光ファイバー20と伸縮部材39が挿通されている。
【0027】
ハンドル70の構成材料は特に限定されないが、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を用いることができる。
【0028】
光ファイバー20は、対象組織まで光信号を送信する伝送路である。光ファイバー20は外表面23を有している。
図1に示すように光ファイバー20は、シャフト10の内腔11に配置されている。
図1では光ファイバー20の近位端部はハンドル70から近位側に向かって延出している。光ファイバー20の近位端部は半導体レーザー等の光源に接続される。
【0029】
光拡散部21は径方向の外方に向かって発光することができる発光エリアとして機能する。光拡散部21は、シャフト10の長手軸方向xおよび周方向pに延在するように配されている。光拡散部21は外表面24を有している。光拡散部21の外表面24は、光ファイバー20の外表面23のうちの一部である。光拡散部21の外表面24はシャフト10の内表面12側に面している。
【0030】
内視鏡を通じて、装置1を体腔内の対象組織がある位置まで挿入する。このとき、対象組織がシャフト10の外表面13よりも径方向の外方に位置するように配される。光拡散部21から射出された光がシャフト10のうち少なくとも光拡散部21と重なる部分を透過することで、装置1の周りにある対象組織に光が到達する。
【0031】
上述のように、光拡散部21からは、少なくともシャフト10の径方向の外方に向かって光が射出されることが好ましい。光拡散部21からは、シャフト10の周方向pの全体に亘り、シャフト10の径方向の外方に向かって光が射出されることが好ましい。光拡散部21からは、さらにシャフト10の遠位方向、すなわち前方に向かって光が射出されてもよい。
【0032】
光拡散部21は、光ファイバー20とは別個の拡散部材(例えば拡散板やプリズム)から構成させている部分ではなく、光ファイバー20の一部を構成する部分である。光ファイバー20はコアとクラッドを有している。クラッドはコアの外周に配されて、コアの径方向の外方の一部を覆っている。光拡散部21は、(i)コアのみ配されている態様、(ii)コアおよびクラッドが配されている態様、または(iii)一部にコアのみが配されており、他部にコアおよびクラッドが配されている態様、のいずれかから構成されていることが好ましい。クラッドの径方向の外方には保護用の被覆材が配されていてもよいが、光拡散部21の径方向の外方にはコア、クラッドおよび反射材50以外の部材は配されていなくてもよい。
【0033】
コアおよびクラッドを構成する材料は特に限定されず、プラスチック、石英ガラス、フッ化物ガラス等のガラスを用いることができる。
【0034】
シャフト10のうち少なくとも光拡散部21と重なる部分では、シャフト10を構成する樹脂に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機系粒子、架橋アクリル系粒子、架橋スチレン系粒子等の有機系粒子の光拡散性の材料を添加することができる。光拡散部21から射出される光がシャフト10によって一層拡散されやすくなる。
【0035】
光拡散部21は、光ファイバー20の最も遠位側に配されていることが好ましい。これにより光拡散部21の形成が行いやすくなり、光ファイバー20の遠位端部での柔軟性も高めることができる。
【0036】
長手軸方向xにおいて光拡散部21の長さは光ファイバー20の全長の50分の1以上、45分の1以上、30分の1以上の長さに設定されてもよい。このような長さに設定することで一度の照射で対象組織全体を照射しやすくなる。また、長手軸方向xにおいて光拡散部21の長さは光ファイバー20の全長の20分の1以下、25分の1以下、30分の1以下の長さに設定されてもよい。このような長さに設定することで対象外の組織への照射を防ぐことができる。
【0037】
光拡散部21は、シャフト10の周方向pの一部のみに配されていてもよいが、
図2に示すように、光拡散部21は、シャフト10の周方向pの全体に配されていることが好ましい。周方向pの広範囲を一度に照射することができるため、手技の効率化が図られる。
【0038】
伸縮部材39は、長手軸方向xにおける全体が、シャフト10の内腔11に配置されていることが好ましい。
【0039】
伸縮部材39は、長手軸方向xに伸縮可能に構成されていればよい。例えば、ゴムやシリコン等の樹脂で構成された部材であってもよく、その形状は板状であってもよいし、筒状であってもよく、円筒形状、楕円筒形状、または多角筒形状であってもよい。図面においては、伸縮部材39は筒状であって、その内腔に光ファイバー20が配置されている態様が開示されているが、本発明はこの態様に限定されることはない。光ファイバー20は、伸縮部材39の内腔に配置されていなくてもよい。また、伸縮部材39は板状または棒状であって、シャフト10の内腔11に配置されているものであってもよい。この場合、伸縮部材39は内腔を有していないことが好ましい。
【0040】
図6に示すように、反射材50は、長手軸方向xに三等分割したときに、真ん中に位置している中央領域50cと、中央領域50cよりも遠位側に位置している遠位領域50dと、中央領域50cよりも近位側に位置している近位領域50pと、を有している。伸縮部材39には、反射材50の中央領域50cよりも近位側に位置している第1伸縮部材40が含まれていることが好ましい。また、伸縮部材39には、反射材50の中央領域50cよりも遠位側に位置している第2伸縮部材60が含まれていることも好ましい。また、長手軸方向xにおいて、反射材50の中央領域50cが位置している区間には、伸縮部材39が配置されていないことが好ましい。
【0041】
第1伸縮部材40の近位部はハンドル70に固定されていてもよいし、第1伸縮部材40の近位端部はハンドル70に固定されていてもよい。第1伸縮部材40はハンドル70に直接固定されていてもよく、別の部材を介して間接的に固定されていてもよい。第1伸縮部材40とハンドル70の固定方法は特に限定されないが、例えば、溶着、溶接、かしめ等の圧着、接着剤による接着、係合、連結、結着、結紮等の物理的な固定等の方法、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。これにより、第1伸縮部材40を介してトルクを伝えやすくすることができる。なお、第1伸縮部材40とハンドル70が固定されていなくてもよい。
【0042】
図5に示すように、第1伸縮部材40は線材42がらせん状に巻回されている第1コイル部48を有していてもよい。なお、第1伸縮部材40全体が第1コイル部48で構成されていても構わない。
【0043】
図5に示すように、線材42は、光ファイバー20を周回するように配置されていてもよい。これにより、シャフト10を細径化しやすくなる。なお、図示しないが、光ファイバー20は、第1コイル部48の内腔に配置されていなくても構わない。
【0044】
線材42はその長手軸方向に先端と基端を有している。線材42は先端から基端まで単一の線状部材から構成されていてもよく、線材42はその長手軸方向において互いに連結された複数の線状部材から構成されてもよい。
【0045】
線材42の長手軸方向に垂直な断面の形状は、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせであってもよい。長円形状には楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれるものとする。本明細書の他の説明においても同様である。
【0046】
第1コイル部48を構成する線材42の線径(太さ)や、線材42の巻き数は特に限定されない。例えば、使用するシャフト10の内径などに応じて適宜設定すればよい。第1コイル部48の軸方向の長さは第1コイル部48の最大外径より大きくても小さくてもよい。
【0047】
シャフト10の長手軸方向xにおいて第1コイル部48の外径は一定であってもよく、長手軸方向xの位置によって第1コイル部48の外径が異なっていてもよい。例えば、長手軸方向xにおいて第1コイル部48を遠位部と近位部に二等分割したときに、第1コイル部48の遠位部の平均外径が、第1コイル部48の近位部の平均外径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0048】
シャフト10の長手軸方向xにおいて第1コイル部48の内径は一定であってもよく、長手軸方向xの位置によって第1コイル部48の内径が異なっていてもよい。例えば、長手軸方向xにおいて第1コイル部48を遠位部と近位部に二等分割したときに、第1コイル部48の遠位部の平均内径が、第1コイル部48の近位部の平均内径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0049】
第1コイル部48は、シャフト10よりも反射率が高い材料から構成されていることが好ましい。この構成により、第1コイル部48の内表面で反射光が拡散されやすくなる。ここで、反射率は光拡散部21から射出される光の反射率を指し、単位は%である。反射率は、オーシャンフォトニクス社製 反射率測定システム OP-RF-VIS-GT50を用いて測定することができる。
【0050】
第1コイル部48は金属から構成されていることが好ましく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、タングステン、タンタル、イリジウムおよびそれらの合金等の放射線不透過性金属でもよく、ステンレス鋼、Ni-Ti合金等の超弾性合金でもよい。
【0051】
第1コイル部48の一部が樹脂から構成されていてもよい。第1コイル部48が、コイル部材本体と、コイル部材本体の内表面に配されている反射層とを有していてもよい。コイル部材本体の材料によらず、反射層によって光拡散部21からの光を反射させることができる。例えば樹脂線材が巻回されたコイル体または樹脂チューブがコイル部材本体であってもよい。反射層は、コイル部材本体の内表面に反射材料を含むコート剤が塗布されることで配されてもよく、蒸着、スパッタリング、電気メッキ、化学メッキ等の方法で反射材料をコイル部材本体の内表面に付着させることにより配されてもよい。なお、反射層は金属薄膜であってもよい。反射材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、スズ、二酸化チタン、五酸化タンタル、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、フッ化マグネシウムまたはこれらの組み合わせが挙げられる。第1コイル部48が反射層を有する場合、コイル部材本体にはシャフト10の構成材料として挙げた材料の少なくともいずれか1つを用いることができる。
【0052】
本明細書において、第1コイル部48が有しているピッチをピッチP1と称する。ピッチP1とは、
図5に示すように第1コイル部48を構成する隣り合う線材42の中心軸から中心軸までの間隔であって、最も長い長さを有する部分を指す。
【0053】
第1コイル部48のピッチは特に限定されないが、第1コイル部48は線材42の線径以上のピッチを有していてもよく、1.1倍以上のピッチを有していてもよく、1.2倍以上のピッチを有していてもよい。また、第1コイル部48は線材42の線径の3.0倍以下のピッチを有していてもよく、2.5倍以下のピッチを有していてもよい。第1コイル部48のピッチP1は軸方向において一定であってもよく、軸方向の位置によって異なっていてもよい。なお、第1コイル部48に存在する全てのピッチP1が上記の範囲内であってもよいし、一部のピッチP1が上記の範囲内であってもよい。
【0054】
第1コイル部48は線材42の線径と同じピッチを有していてもよい。このようなコイルは、一般に密着巻きコイルと称される。密着巻きコイルでは、隣り合う2つの線材42の間に隙間がなく、第1コイル部48から光が漏れにくいため好ましい。また、第1コイル部48をマーカーとして使用する場合にも好ましい。
【0055】
第1コイル部48の近位部はハンドル70に固定されていてもよいし、第1コイル部48の近位端部はハンドル70に固定されていてもよい。第1コイル部48はハンドル70に直接固定されていてもよく、別の部材を介して間接的に固定されていてもよい。第1コイル部48とハンドル70の固定方法は特に限定されないが、例えば、溶着、溶接、かしめ等の圧着、接着剤による接着、係合、連結、結着、結紮等の物理的な固定等の方法、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。これにより、第1コイル部48を介してトルクを伝えやすくすることができる。なお、第1コイル部48とハンドル70は、固定されていなくてもよい。
【0056】
反射材50とは、例えば反射面が光拡散部21を向くように配されたミラーである。この構成により、反射材50によって光を反射することができるため、反射光が様々な方向に拡散されやすくなる。
【0057】
反射材50の表面は、アルミニウム、金、銀、銅、スズ、二酸化チタン、五酸化タンタル、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、またはフッ化マグネシウムから構成されていることが好ましい。
【0058】
図1、
図2に示すように、反射材50は板状であって、長手軸方向xから見たときに弧状に湾曲していることが好ましい。
【0059】
図2、
図3に示すように、シャフト10の径方向において、反射材50の最大長さL1は、伸縮部材39の最大長さL2よりも短いことが好ましい。これにより、使用者が操作することによって装置1の遠位部が湾曲した場合であっても、反射材50が設けられている部分での柔軟性を確保しやすくすることができる。シャフト10の径方向における反射材50の最大長さL1とは、
図2に示すように、反射材50を遠位側から見たときに、直線距離にして最も長い長さである。シャフト10の径方向における伸縮部材39の最大長さL2とは、
図3に示すように、伸縮部材39を遠位側から見たときに、直線距離にして最も長い長さである。
【0060】
図1に示すように、反射材50は、伸縮部材39よりもシャフト10の径方向内方に位置していてもよい。
図6に示すように、反射材50は、伸縮部材39よりもシャフト10の径方向外方に位置していてもよい。
【0061】
固定区間51において、反射材50が、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39の少なくともいずれか1つと固定されるにあたって、固定方法は特に限定されないが、例えば、溶着、溶接、かしめ等の圧着、接着剤による接着、係合、連結、結着、結紮等の物理的な固定等の方法、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0062】
図1、
図6に示すように、固定区間51において、反射材50は伸縮部材39と固定されており、反射材50はシャフト10及び光拡散部21と固定されていないことが好ましい。固定区間51において、反射材50は伸縮部材39と固定されており、反射材50はシャフト10及び光ファイバー20と固定されていなくてもよい。固定区間51において、反射材50がシャフト10および光拡散部21と固定されていない、または、反射材50がシャフト10および光ファイバー20と固定されていないことによって、操作時に使用者が加えた力によるシャフト10の変形等が反射材50に伝わりにくくなる。これにより、反射材50に負荷がかかることによって反射材50が破損するのを抑制しやすくすることができる。
【0063】
固定区間51において、反射材50は、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39の他に別途設けられた部材と互いに固定されていないことが好ましい。固定区間51において、反射材50は、伸縮部材39のみと互いに固定されていることがより好ましい。なお、固定区間51において、反射材50は、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39の他に別途設けられた部材と互いに固定されていても構わない。また、図示しないが、固定区間51において、反射材50はシャフト10のみと互いに固定されていてもよい。図示しないが、固定区間51において、反射材50は光ファイバー20のみと互いに固定されていてもよい。
【0064】
固定区間51は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。例えば、
図1に示すように、固定区間51は、第1伸縮部材40と反射材50の近位領域50pとが互いに固定されている区間1つのみであってもよい。
図6に示すように、固定区間51は、第1伸縮部材40と反射材50の近位領域50pとが互いに固定されている区間と、第2伸縮部材60と反射材50の遠位領域50dとが互いに固定されている区間の2つであってもよい。
【0065】
固定区間51において、反射材50は伸縮部材39と固定されており、反射材50はシャフト10及び光拡散部21と固定されておらず、伸縮部材39とシャフト10とが固定されていることが好ましい。このとき、第1伸縮部材40とシャフト10とが固定されていてもよいし、第2伸縮部材60とシャフト10とが固定されていてもよい。伸縮部材39はシャフト10に直接固定されていてもよく、別の部材を介して間接的に固定されていてもよい。伸縮部材39とシャフト10の固定方法は特に限定されないが、例えば、溶着、溶接、かしめ等の圧着、接着剤による接着、係合、連結、結着、結紮等の物理的な固定等の方法、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。上記のような構成とすることで、シャフト10に加えられた力が反射材50に対して伝わりにくくすることができる。これにより、装置1の操作時に使用者が加えた力によるシャフト10の変形等により、反射材50に負荷がかかることによって反射材50が破損するのを抑制しやすくすることができる。
【0066】
非固定区間52において、反射材50は、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39のいずれとも固定されていない。非固定区間52において、反射材50は、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39の他に別途設けられた部材と固定されていないことが好ましい。即ち、非固定区間52において、反射材50は、いかなる部材とも固定されていないことが好ましい。なお、非固定区間52において、反射材50が、シャフト10、光ファイバー20、および伸縮部材39の他に別途設けられた部材と固定されている態様も許容される。
【0067】
非固定区間52は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0068】
長手軸方向xにおける固定区間51の最大長さは、長手軸方向xにおける非固定区間52の最大長さよりも短いことが好ましい。長手軸方向xにおいて、固定区間51の最大長さが非固定区間52の最大長さよりも短いことにより、装置1の操作時に使用者が加えた力が反射材50にかかりにくくなる。これにより、反射材50に負荷がかかることによって反射材50が破損するのを抑制しやすくすることができる。なお、固定区間51が2つ以上設けられている場合には、それぞれの固定区間51の長手軸方向xにおける最大長さを合算して非固定区間52の最大長さと比較する。非固定区間52が2つ以上設けられている場合には、それぞれの非固定区間52の長手軸方向xにおける最大長さを合算して固定区間51の最大長さと比較する。
【0069】
長手軸方向xにおいて、反射材50は光拡散部21よりも長くてもよい。当該構成により、反射材50による光の反射によって、より効率的に患部に光を照射することができるため、手技の効率化が図られる。なお、長手軸方向xにおいて、反射材50は光拡散部21よりも短くても構わない。
【0070】
長手軸方向xにおいて第2伸縮部材60の全体が、シャフト10の内腔11に配置されていることが好ましい。
【0071】
第2伸縮部材60は、長手軸方向xに伸縮可能に構成されていればよい。例えば、ゴムやシリコン等の樹脂で構成された部材であってもよく、その形状は板状であってもよいし、筒状であってもよく、円筒形状、楕円筒形状、または多角筒形状であってもよい。
【0072】
第1伸縮部材40は第2伸縮部材60より長手軸方向xに伸びやすくてもよいし、縮みやすくてもよい。なお、第2伸縮部材60は第1伸縮部材40より長手軸方向xに伸びやすくてもよいし、縮みやすくても構わない。
【0073】
第1伸縮部材40の遠位端部と反射材50の近位領域50pが固定されており、第2伸縮部材60の近位部と反射材50の遠位領域50dとが固定されていてもよい。これにより、反射材50のシャフト10の径方向における位置及び、長手軸方向xにおける位置を安定させやすくすることができる。
【0074】
第2伸縮部材60の遠位端部と光ファイバー20の遠位端部とが固定されていてもよい。第2伸縮部材60の遠位端と光ファイバー20の遠位端212とが固定されていてもよい。第2伸縮部材60は光ファイバー20に直接固定されていてもよく、別の部材を介して間接的に固定されていてもよい。第2伸縮部材60と光ファイバー20の固定方法は特に限定されないが、例えば、溶着、溶接、かしめ等の圧着、接着剤による接着、係合、連結、結着、結紮等の物理的な固定等の方法、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。これにより、光ファイバー20もしくは光拡散部21の長手軸方向xにおける位置を安定させやすくすることができる。なお、第2伸縮部材60の遠位端部と光ファイバー20の遠位端部とが固定されていなくてもよい。
【0075】
図8、
図9に示すように、第2伸縮部材60は線材62がらせん状に巻回されている第2コイル部68を有していてもよい。第2伸縮部材60は全体が第2コイル部68であってもよい。
【0076】
図8、
図9に示すように、線材62は、光ファイバー20を周回するように配置されていてもよい。これにより、シャフト10を細径化しやすくなる。なお、図示しないが、光ファイバー20は、第2コイル部68の内腔に配置されていなくても構わない。
【0077】
線材62はその長手軸方向に先端と基端を有している。線材62は先端から基端まで単一の線状部材から構成されていてもよく、線材62はその長手軸方向において互いに連結された複数の線状部材から構成されてもよい。
【0078】
線材62の長手軸方向に垂直な断面の形状は、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせであってもよい。長円形状には楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれるものとする。本明細書の他の説明においても同様である。
【0079】
第2コイル部68を構成する線材62の線径(太さ)や、線材62の巻き数は特に限定されない。例えば、使用するシャフト10の内径などに応じて適宜設定すればよい。第2コイル部68の軸方向の長さは第2コイル部68の最大外径より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0080】
シャフト10の長手軸方向xにおいて第2コイル部68の外径は一定であってもよく、長手軸方向xの位置によって第2コイル部68の外径が異なっていてもよい。例えば、長手軸方向xにおいて第2コイル部68を遠位部と近位部に二等分割したときに、第2コイル部68の遠位部の平均外径が、第2コイル部68の近位部の平均外径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0081】
シャフト10の長手軸方向xにおいて第2コイル部68の内径は一定であってもよく、長手軸方向xの位置によって第2コイル部68の内径が異なっていてもよい。例えば、長手軸方向xにおいて第2コイル部68を遠位部と近位部に二等分割したときに、第2コイル部68の遠位部の平均内径が、第2コイル部68の近位部の平均内径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0082】
第2コイル部68は、シャフト10よりも反射率が高い材料から構成されていることが好ましい。この構成により、第2コイル部68の内表面63で反射光が拡散されやすくなる。ここで、反射率は光拡散部21から射出される光の反射率を指し、単位は%である。反射率は、オーシャンフォトニクス社製 反射率測定システム OP-RF-VIS-GT50を用いて測定することができる。
【0083】
第2コイル部68は金属から構成されていることが好ましく、例えば、金、銀、白金、パラジウム、タングステン、タンタル、イリジウムおよびそれらの合金等の放射線不透過性金属でもよく、ステンレス鋼、Ni-Ti合金等の超弾性合金でもよい。
【0084】
第2コイル部68の一部が樹脂から構成されていてもよい。第2コイル部68が、コイル部材本体と、コイル部材本体の内表面に配されている反射層とを有していてもよい。コイル部材本体の材料によらず、反射層によって光拡散部21からの光を反射させることができる。例えば樹脂線材が巻回されたコイル体または樹脂チューブがコイル部材本体であってもよい。反射層は、コイル部材本体の内表面に反射材料を含むコート剤が塗布されることで配されてもよく、蒸着、スパッタリング、電気メッキ、化学メッキ等の方法で反射材料をコイル部材本体の内表面に付着させることにより配されてもよい。なお、反射層は金属薄膜であってもよい。反射材料としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、スズ、二酸化チタン、五酸化タンタル、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、フッ化マグネシウムまたはこれらの組み合わせが挙げられる。第2コイル部68が反射層を有する場合、コイル部材本体にはシャフト10の構成材料として挙げた材料の少なくともいずれか1つを用いることができる。
【0085】
本明細書において、第2コイル部68が有しているピッチをピッチP2と称する。ピッチP2とは、
図8に示すように第2コイル部68を構成する隣り合う線材62の中心軸から中心軸までの間隔であって、最も長い長さを有する部分を指す。
【0086】
第2コイル部68のピッチは特に限定されないが、第2コイル部68は線材62の線径以上のピッチを有していてもよく、1.1倍以上のピッチを有していてもよく、1.2倍以上のピッチを有していてもよい。また、第2コイル部68は線材62の線径の3.0倍以下のピッチを有していてもよく、2.5倍以下のピッチを有していてもよい。第2コイル部68のピッチP2は軸方向において一定であってもよく、軸方向の位置によって異なっていてもよい。なお、第2コイル部68に存在する全てのピッチP2が上記の範囲内であってもよいし、一部のピッチP2が上記の範囲内であってもよい。
【0087】
第2コイル部68は線材62の線径と同じピッチを有していてもよい。このようなコイルは、一般に密着巻きコイルと称される。密着巻きコイルでは、隣り合う2つの線材62の間に隙間がなく、第2コイル部68から光が漏れにくいため好ましい。また、第2コイル部68をマーカーとして使用する場合にも好ましい。
【0088】
第1コイル部48のピッチP1と、第2コイル部68のピッチP2とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0089】
第1コイル部48の巻方向と、第2コイル部68の巻方向は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0090】
図9に示すように、第2コイル部68の内表面63と光ファイバー20の外表面23とが接していてもよい。第2コイル部68の内表面63と光ファイバー20の外表面23とが固定されていてもよい。第2コイル部68の内表面63と光拡散部21の外表面24とが接していてもよい。第2コイル部68の内表面63と光拡散部21の外表面24とが固定されていてもよい。第2コイル部68は光ファイバー20に直接固定されていてもよく、別の部材を介して間接的に固定されていてもよい。第2コイル部68と光ファイバー20の固定方法は特に限定されないが、例えば、溶着、溶接、かしめ等の圧着、接着剤による接着、係合、連結、結着、結紮等の物理的な固定等の方法、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。なお、第2コイル部68の内表面63と光ファイバー20の外表面23とが接していなくてもよく、固定されていなくてもよい。
【0091】
本明細書では、光拡散部21のうち、伸縮部材39、第1伸縮部材40、第1コイル部48、第2伸縮部材60、第2コイル部68に覆われておらずシャフト10側に露出している部分を露出部22と称する。第2伸縮部材60もしくは第2コイル部68の存在により、先端部の剛性を高めることができるため、操作性を向上させやすくすることができる。また、光拡散部21のうち第2伸縮部材60もしくは第2コイル部68に覆われている部分では光拡散部21から射出される光が第2伸縮部材60の内表面もしくは第2コイル部68の内表面63で反射するため、反射光が光拡散部21のうち第2伸縮部材60もしくは第2コイル部68で覆われていない部分である露出部22から様々な方向に拡散されやすくなる。その結果、シャフト10の周方向pにおいて露出部22の発光強度分布が均一化されやすくなる。これにより、腫瘍等の対象組織への照射回数や対象組織に対する露出部22の位置調整の回数を減らすことができるため、手技の効率化が図られる。なお、伸縮部材39、第1伸縮部材40、第1コイル部48、第2伸縮部材60、第2コイル部68が光拡散部21を覆う場合は、光拡散部21の一部のみを覆うのであり、光拡散部21の全部を覆わないことが好ましい。これにより、光拡散部21に露出部22が形成される。シャフト10の径方向において、露出部22とシャフト10の間には、反射材50以外に別の部材が存在しないことが好ましいが、露出部22から射出される光を遮らない部材であれば配されていてもよい。
【0092】
第1伸縮部材40は光ファイバー20を周回するように線材42がらせん状に巻回されている第1コイル部48を有しており、第2伸縮部材60は光ファイバー20を周回するように線材62がらせん状に巻回されている第2コイル部68を有しており、第1コイル部48の線材42の線径は第2コイル部68の線材62の線径以下であってもよい。第1コイル部48の一部の線材42の線径が第2コイル部68の線材62の線径以下であってもよいが、第1コイル部48の全ての線材42の線径が第2コイル部68の線材62の線径以下であることが好ましい。これによって遠位側にトルクを伝えやすくすることができるため、操作性を向上させやすくすることができる。
【0093】
図10に示すように、第1コイル部48は多層巻きされており、第2コイル部68は単層巻きされていてもよい。多層巻きされている第1コイル部48によりトルクが遠位側に伝わりやすくなり、装置1の操作性を高めることができる。なお、第2コイル部68が多層巻きされており、第1コイル部48が単層巻きされていても構わない。
【0094】
第2コイル部68の遠位端部は、第2コイル部68を遠位側から見た時の面積が第2コイル部68の遠位端部の内腔よりも大きい蓋部650を有していることが好ましい。蓋部650は、例えば、第2コイル部68の遠位端681側を加熱して変形させることによって形成することができる。これにより、
図8~
図10のような遠位端681側が閉じられた第2コイル部68を得ることができる。また、1つの内腔を有する筒状コイルと、筒状コイルとは別の金属部材を準備し、金属部材を加熱して筒状コイルの遠位側の開口を塞ぐように溶着することで蓋部650を形成することもできる。このようにして、遠位端681側が閉じられた第2コイル部68を得ることもできる。
【0095】
図11~
図13を参照しながら光ファイバー20の構成例を説明する。
図11~
図13では、光ファイバー20は、長手軸方向xに延在しているコア25を有し、光ファイバー20は、コア25の外周に配されている第1クラッド26を有している第1区間31を有している。第1区間31では、コア25と第1クラッド26の境界で光が全反射しやすくなるため、第1区間31では、光がコア25内に閉じ込められながら光ファイバー20の遠位側に伝搬される。
【0096】
第1区間31では、1つの第1クラッド26の中に1つのコア25が配されていることが好ましい。第1区間31では、光ファイバーをシングルコア光ファイバーと言い換えることができる。
【0097】
光ファイバー20のプロファイルの増加を防ぐために、第1区間31では第1クラッド26が光ファイバー20の径方向の最も外側に位置していてもよい。すなわち、第1区間31には被覆材などの他の部材が配されなくてもよい。
【0098】
図示していないが、光ファイバー20の第1区間31には、第1クラッド26の外周に被覆材が配されていてもよい。第1区間31の外側を保護することが可能となり、第1区間31において外への光漏れや射出を抑制することもできる。被覆材は、第1クラッド26の外表面上に配される被覆層であってもよく、第1クラッド26を内包するシースであってもよい。被覆材は、紫外線硬化樹脂等の樹脂から構成することができる。
【0099】
図11では、光ファイバー20は、光拡散部21に、コア25の外周に配されており第1クラッド26よりも外表面の表面粗さが大きい第2クラッド27を有し第1区間31よりも遠位側に位置している第2区間32を有している。第1区間31よりも第2区間32でクラッドの表面粗さを大きくすることで、光の一部はコア25内に閉じ込められながら光ファイバー20の遠位側に伝搬され、残りの光は第2クラッド27から外に漏れて径方向の外方に射出される。なお、第1区間31では光が径方向の外方に射出されないか、または第2区間32よりも光の漏れ量が小さいことが好ましい。
【0100】
第1区間31と同様に、第2区間32では、1つの第2クラッド27の中に1つのコア25が配されていることが好ましい。第1区間31と第2区間32は一の光ファイバーから構成されていてもよい。第1区間31の第1クラッド26と第2区間32の第2クラッド27は一体成形されていてもよい。光ファイバー20は、第1区間31用の光ファイバーと第2区間32用の光ファイバーが長手軸方向xに接合されていてもよい。第1区間31の第1クラッド26と第2区間32の第2クラッド27は別々に形成された後で接合されてもよい。
【0101】
第2区間32では、第2クラッド27が光ファイバー20の径方向の最も外側に位置していることが好ましい。すなわち、第2区間32では、コア25と第2クラッド27以外の部材(例えば被覆材)が配されていないことが好ましい。この構成により、第2区間32からシャフト10の径方向の外方に向かって光を射出しやすくすることができる。
【0102】
第2区間32の第2クラッド27の外表面の表面粗さは、第1区間31の第1クラッド26の外表面の表面粗さよりも大きい。ここで、表面粗さは、光ファイバー20の外表面の長手軸方向における粗さ曲線の基準長さ間での算術平均粗さRaである。基準長さは、使用するレーザー顕微鏡の拡大率に応じて設定すればよいが、例えば200μmである。上記算術平均粗さRaは、JIS B 0601(2001)に規定される算術平均粗さRaに相当し、JIS B 0633(2001)に準じて測定される。測定には、JIS B 0651(2001)に規定される測定機(例えば、キーエンス社製レーザー顕微鏡 VK-X3000)を用いる。
【0103】
第2区間32の第2クラッド27の外表面の表面粗さの平均値が、第1区間31の第1クラッド26の外表面の表面粗さの平均値よりも大きいことが好ましい。第1区間31ではコア25内に光が閉じ込められやすくなり、第2区間32では第2クラッド27から光が径方向の外方に射出されやすくなる。その結果、長手軸方向xにおいて光拡散部21の発光強度分布が均一化されやすくなる。表面粗さの平均値とは、測定対象となる区間(例えば第1区間31)において、長手軸方向xに並ぶように設定された10点以上の測定点の表面粗さ値の平均値である。
【0104】
図11に示すように長手軸方向xにおいて第2区間32を遠位部323と近位部324に二等分割したときに、近位部324における第2クラッド27の外表面の表面粗さの平均値が、遠位部323における第2クラッド27の外表面の表面粗さの平均値よりも小さいことが好ましい。この構成により、近位部324では遠位部323よりもコア25内に光を閉じ込める効果を高めつつ、遠位部323では第2クラッド27から径方向の外方に向かって光が射出されやすくなるため、長手軸方向xにおいて第2区間32の発光強度分布が均一化されやすくなる。
【0105】
長手軸方向xにおいて第1区間31よりも第2区間32の方が短いことが好ましい。光拡散部21を形成しやすくなり、光ファイバー20の遠位端部での柔軟性も高めることができる。長手軸方向xにおいて第2区間32の長さは、第1区間31の長さの20分の1以下、25分の1以下、30分の1以下の長さに設定することができる。また、長手軸方向xにおいて第2区間32の長さは、第1区間31の長さの50分の1以上、45分の1以上、あるいは30分の1以上の長さに設定されてもよい。
【0106】
図11から理解できるように第2区間32の第2クラッド27の平均厚みは、第1区間31の第1クラッド26の平均厚みよりも小さいことが好ましい。このようにクラッドの厚みを調整することで、第1区間31ではコア25内に光が閉じ込められやすくなり、第2区間32では第2クラッド27から光が径方向の外方に射出されやすくなる。ここでクラッドの厚みは、キーエンス社製レーザー顕微鏡 VK-X3000を用いて測定することができる。
【0107】
図12、
図13に示すように、光ファイバー20が第1区間31を有している場合、光ファイバー20は、光拡散部21に、クラッドが存在せず第1区間31よりも遠位側に位置している第3区間33を有していてもよい。第3区間33ではクラッドが存在しないことにより、コア25からの光が径方向の外方に射出される。
【0108】
第3区間33では、コア25の周方向の少なくとも一部でクラッドが存在していないことが好ましく、コア25の周方向の全体でクラッドが存在していないことがより好ましい。
【0109】
光ファイバー20単体で見たときに、光ファイバー20の第3区間33において、径方向の最も外側に位置しているのはコア25であってもよい。すなわち、第3区間33では、クラッドだけでなく、コア25と反射材50以外のあらゆる部材(例えば被覆材)が配されていなくてもよい。
【0110】
長手軸方向xにおいて、第3区間33のコア25の外径は一定の値であってもよく、長手軸方向xの位置によってコア25の外径が異なる値であってもよい。
【0111】
図12、
図13に示すように、長手軸方向xにおいて、第3区間33の遠位端は、コア25の遠位端と同じ位置にあることが好ましい。第3区間33を形成しやすくなり、光ファイバー20の遠位端部での柔軟性も高めることができる。
【0112】
第3区間33のコア25の外表面の表面粗さは、第1区間31の第1クラッド26の外表面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。第1区間31ではコア25内に光が閉じ込められやすくなり、第3区間33ではコア25から光が径方向の外方に射出されやすくなる。
【0113】
光拡散部21には第2区間32と第3区間33の少なくともいずれか一方が配されていることが好ましく、第2区間32と第3区間33の両方が配されていてもよい。
図12に示すように、光拡散部21には、その近位側から遠位側に向かって順に第2区間32、第3区間33が配されていることが好ましい。この構成により、長手軸方向xにおいて光拡散部21の発光強度分布が均一化されやすくなる。この効果を高めるためには、長手軸方向xにおいて第1区間31と第2区間32と第3区間33は隣接していることが好ましく、より詳細には、第1区間31と第2区間32が隣接しており、第2区間32と第3区間33が隣接していることが好ましい。
【0114】
光ファイバー20が第2区間32と第3区間33を有している場合、
図12に示すように長手軸方向xにおいて第2区間32よりも第3区間33の方が短いことが好ましい。この構成により、長手軸方向xにおける光拡散部21の全体の発光強度分布を均一化させやすくなる。なお、長手軸方向xにおいて第3区間33よりも第2区間32の方が短い態様も許容される。
【0115】
長手軸方向xにおいて第3区間33の長さは、第2区間32および第3区間33の合計長さの20%以下の大きさであることが好ましく、18%以下の大きさであることがより好ましく、15%以下の大きさであることがさらに好ましい。また、長手軸方向xにおいて第3区間33の長さは、第2区間32および第3区間33の合計長さの5%以上、8%以上、あるいは10%以上の大きさであってもよい。この構成により、長手軸方向xにおける光拡散部21の発光強度分布を均一化させやすくなる。
【0116】
第2区間32の第2クラッド27の外表面の表面粗さの平均値は、第3区間33のコア25の外表面の表面粗さの平均値よりも小さいことが好ましい。この構成により、第2区間32と第3区間33のそれぞれで、長手軸方向xにおける発光強度分布を均一化させやすくなる。
【0117】
図11に示すように、光ファイバー20は、光拡散部21に第2区間32のみを有していてもよい。すなわち、光ファイバー20は、光拡散部21に第3区間33を有していなくてもよい。第2区間32のみを有する構成であっても、長手軸方向xにおける光拡散部21の発光強度分布を均一化させることができる。コア25が露出していないため、手技中の装置1の曲げに伴う光ファイバー20の損傷を防ぐ効果も有する。
【0118】
光ファイバー20が、光拡散部21に第2区間32のみを有している場合、長手軸方向xにおいて、第2区間32の遠位端がコア25の遠位端と同じ位置にあることが好ましい。
【0119】
図13に示すように、光ファイバー20は、光拡散部21に第3区間33のみを有していてもよい。すなわち、光ファイバー20は、光拡散部21に第2区間32を有していなくてもよい。第3区間33のみを有する構成であっても、長手軸方向xにおける光拡散部21の発光強度分布を均一化させることができる。
【0120】
第2区間32および第3区間33は、エッチングや研磨によりクラッドを剥離させることで形成することができる。第2区間32や第3区間33の表面粗さを調整するために、第2クラッド27の外表面や第3区間33のコア25の外表面に凹凸が形成されていてもよい。凹凸は、機械的または化学的に第2クラッド27または第3区間33のコア25の表面を荒らすことで形成可能である。表面を荒らす方法としては、エッチング加工、ブラスト加工、けがき針、ワイヤブラシ、またはサンドペーパーを用いる方法が挙げられる。
【0121】
光拡散部21からは治療用の第1光線が射出されればよい。第1光線は、体内組織を照射し、PDTやPITといった光治療に適した波長のレーザー光であることが好ましい。第1光線のほか、標的化用の第2光線が射出されてもよい。第2光線は、第1光線の射出前に治療部位を把握するために射出される光線であり、第1光線よりも放射エネルギーが低いことが好ましい。
【符号の説明】
【0122】
1:光照射医療装置
10:シャフト
11:内腔
12:内表面
13:外表面
15:先端チップ
20:光ファイバー
21:光拡散部
22:露出部
23:光ファイバーの外表面
24:光拡散部の外表面
25:コア
26:第1クラッド
27:第2クラッド
31:第1区間
32:第2区間
323:遠位部
324:近位部
33:第3区間
39:伸縮部材
40:第1伸縮部材
401:第1伸縮部材の遠位端
402:第1伸縮部材の近位端
42:線材
48:第1コイル部
481:第1コイル部の遠位端
482:第1コイル部の近位端
50:反射材
50d:遠位領域
50c:中央領域
50p:近位領域
51:固定区間
52:非固定区間
501:反射材の遠位端
502:反射材の近位端
60:第2伸縮部材
601:第2伸縮部材の遠位端
602:第2伸縮部材の近位端
62:線材
68:第2コイル部
681:第2コイル部の遠位端
682:第2コイル部の近位端
70:ハンドル
x:長手軸方向
p:周方向
L1:反射材の最大長さ
L2:伸縮部材の最大長さ