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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136908
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】未返却車両の返却システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048214
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中村 真巳
(72)【発明者】
【氏名】橋壁 拓志
(72)【発明者】
【氏名】大川 英範
(72)【発明者】
【氏名】末廣 直人
(72)【発明者】
【氏名】北村 貴一
(72)【発明者】
【氏名】成田 達矢
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】規定場所に未返却の車両を簡便かつ短時間、低コストにて回収かつ返却可能な未返却車両の返却システムの提供。
【解決手段】本開示に係る未返却車両の返却システム100は、車両107の位置情報を収集可能なサーバ101と、ユーザが有する表示端末装置106と、サーバ101に収集された車両の位置情報の中から、規定場所に未返却の車両のうち、該ユーザの近辺に位置する車両の位置情報を抽出する抽出手段102と、表示端末装置106に、抽出手段102で抽出された車両の位置情報を転送する転送手段103と、該ユーザが抽出手段102で抽出された車両のいずれかを選択した場合に、該ユーザが選択した車両を操作可能とする解除手段104と、該ユーザが選択した車両を該規定場所に返却した場合に、返却した該車両を操作不能とするロック手段105と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置情報を収集可能なサーバと、
ユーザが有する表示端末装置と、
前記サーバに収集された車両の位置情報の中から、規定場所に未返却の車両のうち、前記ユーザの近辺に位置する車両の位置情報を抽出する抽出手段と、
前記表示端末装置に、前記抽出手段で抽出された車両の位置情報を転送する転送手段と、
前記ユーザが前記抽出手段で抽出された車両のいずれかを選択した場合に、前記ユーザが選択した車両を操作可能とする解除手段と、
前記ユーザが選択した車両を前記規定場所に返却した場合に、返却した前記車両を操作不能とするロック手段と、
を備える、未返却車両の返却システム。
【請求項2】
前記抽出手段が、
前記サーバに収集された車両の位置情報の中から、前記規定場所に未返却の車両の位置情報を抽出する第1の抽出手段と、
前記未返却の車両のうち、前記ユーザの近辺に位置する前記車両の位置情報を抽出する第2の抽出手段と、
を含む、請求項1に記載の未返却車両の返却システム。
【請求項3】
前記サーバが、前記車両の充電残量または燃料残量、および、各規定場所における車両の在庫数のうちの少なくとも1つの情報を収集可能であり、
前記転送手段が、この情報を前記表示端末装置に転送可能である、請求項1に記載の未返却車両の返却システム。
【請求項4】
前記ユーザが前記規定場所に選択した前記車両を返却した場合に、前記ユーザに対して対価を払う対価付与手段をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の未返却車両の返却システム。
【請求項5】
前記対価付与手段が、前記ユーザが返却した前記車両および前記規定場所に応じて、前記ユーザに対して払う対価を選択する機能を有する、請求項4に記載の未返却車両の返却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、未返却車両の返却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、自転車および(電動)キックボード等のシェアライドサービスが普及してきているが、利用後、規定場所以外の場所にこれらの車両を放置するユーザ(利用者)が、一定数いることが問題となっていた。
特許文献1では、行方不明となった車両の捜索を行い、車両回収機関にて車両を回収して、車両貸出機関へ引き渡す車両回収方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-135325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両回収機関が、行方不明となった車両のGPS情報を基に所在場所を捜索し、その場所まで行って回収を行う場合、車両の回収作業に多大な時間やコストを要する場合があった。
【0005】
本開示は、このような問題点に鑑みなされたものであり、規定場所に未返却の車両を簡便かつ短時間、低コストにて回収かつ返却可能な未返却車両の返却システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る未返却車両の返却システムは、
車両の位置情報を収集可能なサーバと、
ユーザが有する表示端末装置と、
前記サーバに収集された車両の位置情報の中から、規定場所に未返却の車両のうち、前記ユーザの近辺に位置する車両の位置情報を抽出する抽出手段と、
前記表示端末装置に、前記抽出手段で抽出された車両の位置情報を転送する転送手段と、
前記ユーザが前記抽出手段で抽出された車両のいずれかを選択した場合に、前記ユーザが選択した車両を操作可能とする解除手段と、
前記ユーザが選択した車両を前記規定場所に返却した場合に、返却した前記車両を操作不能とするロック手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、規定場所に未返却の車両を簡便かつ短時間、低コストにて回収かつ返却可能な未返却車両の返却システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る未返却車両の返却システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係る未返却車両の返却システムの流れを示すフローチャートである。
図3】実施形態2に係る未返却車両の返却システムの流れを示すフローチャートである。
図4】実施形態3に係る未返却車両の返却システムの構成を示すブロック図である。
図5】実施形態3に係る未返却車両の返却システムの流れを示すフローチャートである。
図6】本実施形態に係る未返却車両の返却システムの利用イメージを示す概略図である。
図7】ユーザが有する表示端末装置の表示方法の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
まず、図1を参照して実施形態1に係る未返却車両の返却システム100の構成を説明する。図1に示すように、未返却車両の返却システム100は、車両の位置情報が収集可能なサーバ101、抽出手段102、転送手段103、解除手段104、ロック手段105、ユーザが有する表示端末装置106および車両107を備える。
未返却車両の返却システム100は、自動車、自転車、(電動)キックボード等の車両のシェアライドサービス(シェアライドシステム)に適用できるものである。シェアライドサービスでは、ユーザA(利用者)が、車両利用開始時に返却先の場所を指定し、利用する方法がとられている。しかしながら、利用規約に反し、利用したユーザAが、所定の返却先(規定場所)に返却せずに、規定場所以外の不特定な場所にこれらの車両を放置、すなわち、乗り捨ててしまうことがあった。このような場合に、本実施形態に係る未返却車両の返却システムは、サーバ101に収集された車両107の位置情報から、乗り捨てられた未返却の車両の位置情報を抽出する。そして、近くのユーザB(回収候補者)の表示端末装置106に充電スポット等の規定の返却場所に返却する要求(依頼)を公開し、当該表示端末装置106に規定場所に未返却の車両の位置情報を転送する。次いで、ユーザBに放置された車両を回収し規定場所に返却してもらうシステムとなっている。したがって、特許文献1に記載の技術のように、車両回収機関が例えば非常に離れた場所に放置された車両を回収し、車両貸出機関へ引き渡す必要がない。また、未返却の利用済み車両を他のユーザA(利用者)に再度貸し出す方法も知られているが、このような方法と違い、放置車両を回収するユーザBは必ずしも利用者である必要はないため、より選択の幅が広がる。このように、本実施形態に係る未返却車両の返却システムは、規定場所に未返却の車両を簡便かつ短時間、低コストで回収および返却できるシェアライドの返却システムである。以下、実施形態1に係る未返却車両の返却システム100の構成について詳しく説明する。
【0010】
サーバ101は、シェアライドサービスに登録されている車両107の位置情報を収集できる。ここで、シェアライドサービスで利用可能な車両全てには、車両位置を把握できる位置センサが備えられている。抽出手段102(抽出部)は、サーバ101に収集された車両107の位置情報の中から、規定場所に未返却の車両Aのうち、ユーザの近辺に位置する車両Bの位置情報を抽出する。ここで、抽出手段102は、第1の抽出手段(第1の抽出部)と、第2の抽出手段(第2の抽出部)とを含むことができる。
【0011】
第1の抽出手段は、サーバ101に収集された車両107の位置情報の中から、返却先に指定された規定場所に未返却の(利用済み)車両A、言い換えると、契約不履行もしくは占有権が消失した乗り捨てられたシェアライド車両Aの位置情報を抽出する。この際、まず、シェアライドサービスで利用可能な車両全ての現在の位置情報を取得した後、指定された規定場所に返却されている、または存在している車両の位置情報を除き、規定場所に未返却の利用済み車両Aの位置情報のみを抽出する。なお、未返却車両の返却システム100では、シェアライドサービスにおいて利用可能な全ての車両の位置情報を、ユーザ(利用者または回収候補者)が表示端末装置106などで閲覧できる仕組みとなっている。その際、規定場所に返却済みの車両はグレーで表示し、規定場所に未返却の車両はブラックで表示するなど、両者の表示形態を分けることもできる。
【0012】
当該未返却車両の返却システム100のユーザB(回収候補者)が存在する場合、第2の抽出手段(第2の抽出部)は、規定場所に未返却の車両Aのうち、当該ユーザBの近辺に位置する車両Bの位置情報を1台または複数台抽出する。抽出される車両とユーザBとの距離(位置関係)は適宜設定でき、特に限定されない。
【0013】
転送手段103(転送部)は、ユーザBが有する表示端末装置106に、上記抽出手段で抽出された車両Bの位置情報を転送する。図7にユーザBが有する表示端末装置106の表示方法の一例の概略図を示す。ここで、サーバ101は、シェアライドサービスで利用可能な車両107の位置情報の他に、車両107の充電残量または燃料残量情報等の各種情報も収集することができる。転送手段103は、これらの情報をユーザが有する表示端末装置106に転送することができる。その際、抽出手段102は、充電残量や燃料残量などのこれらの情報のうち、未返却の車両Aやユーザの近辺に位置する車両Bについて、これらの情報を選択して抽出することもできる。すなわち、上述した第1の抽出手段は、規定場所に未返却の車両Aの位置情報とともに、車両Aの充電残量または燃料残量等の各種状態に関する情報も併せて抽出することができる。また、第2の抽出手段は、ユーザの近辺に位置する車両Bの位置情報とともに、車両Bの充電残量または燃料残量等の各種状態に関する情報も併せて抽出することができる。
したがって、例えば、ユーザBに位置情報を転送する車両Bとして、充電残量やガソリンや軽油などの燃料残量が残り少ない(例えば、残量20%以下の)車両データを優先的に転送することで、充電や燃料が切れる前に当該車両を返却することが可能となる。
このように、ユーザBが持つ表示端末装置106には、ユーザB近くのシェアライド車両が1台または複数台表示される。その際、ユーザBの表示端末装置106には、指定された規定場所に返却されている車両の位置情報は表示しても表示していなくてもよいが、返却済み車両はグレーで表示し、規定場所に未返却の車両はブラックで表示するなど、両者の表示形態を分けることが好ましい。また、充電残量や燃料残量が残り少ない車両は赤で表示するなど、工夫してもよい。
【0014】
解除手段104(解除部)は、ユーザBが上記車両Bのいずれかを選択した場合に、ユーザBが選択した車両Cを操作可能とする。また、ロック手段105(ロック部)は、ユーザが選択した車両Cを規定場所に返却した場合に、返却した前記車両Cを操作不能とする。
【0015】
図2は、実施形態1に係る未返却車両の返却システム100を用いて行われる未返却車両の返却方法(実施形態1に係る未返却車両の返却方法)の流れを示すフローチャートである。シェアライドサービスに利用される車両107は、無線通信等を介して、搭載する位置センサに基づき、位置情報を特定のクラウドサーバに格納する(ステップS201))。その際、当該車両の充電残量、燃料残量、利用済み、未使用等の他の情報も一緒にクラウドサーバに格納できる。そして、これらの情報を基に、規定場所に未返却の利用済み車両Aの位置情報のうち、ユーザB(回収候補者)の近辺に位置する車両Bを抽出する(ステップS202)。その際、当該車両Bの充電残量、燃料残量等の各種情報も併せて抽出することができる。そして、ユーザBが有する表示端末装置106に、抽出された車両Bの位置情報等の各種情報を転送する(ステップS203)。その際、ユーザBが有する表示端末装置は、当該車両Bの位置情報を図7に示すように地図上に表示する。ここで、利用中や規定場所に返却されている車両は地図上に表示してもしなくてもよいが、これらの車両をグレーで表示したり、非表示にしたりして、ユーザBの近辺に位置する未返却の車両Bの位置情報が優先的に分かるようにすることが好ましい。続いて、得られた車両Bの位置情報に基づき、ユーザBが選択した車両Cを操作可能とする(ステップS204)。その際、例えば、ユーザBが、表示端末装置から選択したい車両を地図上でタップすると、返却場所が1つ以上表示される。そして、当該返却場所を選択し、「了承」をタップすると、当該車両の操作が可能となる。ここで、ユーザBが車両および返却場所を選択したことをクラウドサーバに通知し、当該車両が返却場所に戻ってくる予想時間を表示端末に表示してもよい。
続いて、ユーザBが選択した車両Cに乗って規定場所に到着し、返却すると、車両Cの制御が不可能となる(ステップS205)。なお、当該車両Cを回収および返却するユーザBは回収後かつ返却前に、当該車両Cを利用した後、規定場所に返却してもよい。したがって、当該ユーザBは、シェアライドサービスの利用者かつ未返却車両の返却システムの利用者(回収候補者)であってもよい。
【0016】
このように、実施形態1に係る未返却車両の返却方法を用いれば、シェアライドサービス車両が不特定の場所に乗り捨てられてしまった場合であっても、規定場所に容易に返却することが可能となる。
【0017】
なお、未返却車両の返却システム100は、各構成要素の一部又は全部が、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサやプログラムを記憶するメモリ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。例えば、未返却車両の返却システム100が、サーバ101と、表示端末装置106と、車両107と、未返却車両の返却装置(抽出手段102、転送手段103、解除手段104およびロック手段105を含む装置)とを備えていてもよい。
【0018】
また、未返却車両の返却システム100の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、未返却車両の返却システム100の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。図6は、本実施形態の未返却車両の返却システムの利用イメージを示す概略図であり、符号600はクラウド(クラウドサーバ)を指す。
【0019】
<実施形態2>
実施形態2に係る未返却車両の返却システムでは、サーバ101が車両の位置情報、充電残量または燃料残量情報の他に、各規定場所における車両の在庫数情報を収集するものである。その際、転送手段103により、ユーザBが有する表示端末装置106に、この各規定場所における車両の在庫数情報を転送してもよいが、ユーザBの近辺のものや、車両の在庫数が少ない規定場所の情報等を優先的に転送することが好ましい。これにより、利用要求が高い場所や時間に、シェアライド車両を規定場所に短時間で集めることができる。このため、抽出手段102は、サーバに収集された各規定場所における、車両の在庫数情報のうち、ユーザBの近辺のものや、在庫数が相対的に少ない規定場所のものを優先的に抽出する第3の抽出手段(第3の抽出部)を有することができる。このように、抽出手段102は、サーバ101に収集された情報のうち、ユーザBの近辺に位置する車両の充電残量または燃料残量、および、ユーザの近辺に位置する規定場所における車両の在庫数のうちの少なくとも1つの情報を抽出可能である。
【0020】
図3は、実施形態2に係る未返却車両の返却システムを用いて行われる未返却車両の返却方法(実施形態2に係る未返却車両の返却方法)の流れを示すフローチャートである。まず、実施形態1に係る未返却車両の返却方法と同様に、車両の位置情報をサーバに収集する(ステップS301)。その際、サーバは、当該車両の充電残量、燃料残量情報等の各種情報を併せて収集でき、さらに、本実施形態では、各規定場所における車両の在庫数情報も収集できる。そして、サーバに収集された車両の各種情報の中から、規定場所に未返却の車両Aの位置情報等の各種情報を抽出する(ステップS302a)。続いて、抽出された車両Aのうち、ユーザB(回収候補者)の近辺に位置する車両Bの位置情報等の各種情報を抽出する(ステップS302b)。なお、本実施形態では、サーバに収集された各規定場所における、車両の在庫数情報のうち、ユーザBの近辺や車両の在庫数が少ない規定場所の情報を抽出する(ステップS303)。続いて、ユーザBが有する表示端末装置に、ユーザB近辺の車両Bの位置情報およびこれらの規定場所の情報等の各種情報を転送する(ステップS304)。得られた車両Bの位置情報に基づき、ユーザBが選択した車両Cを操作可能とする(ステップS305)。続いて、ユーザが選択した車両Cを規定場所に返却後に、車両Cを操作不能とする(ステップS306)。
【0021】
このように、実施形態2に係る未返却車両の返却方法を用いれば、シェアライドサービス車両が不特定の場所に乗り捨てられてしまった場合であっても、より利用要求が高い規定場所に車両を容易に返却することが可能となる。
【0022】
<実施形態3>
図4に示すように、実施形態3に係る未返却車両の返却システム400は、実施形態1に係る未返却車両の返却システム100と同様に、サーバ401、抽出手段402、転送手段403、解除手段404、ロック手段405、表示端末装置406および車両407を備えるとともに、対価付与手段408を備えるものである。なお、実施形態1および2に係る未返却車両の返却システムと同様の構成に関しては説明を省略する。
【0023】
対価付与手段408(対価付与部)は、ユーザBが規定場所に、選択した車両Cを返却した場合に、当該ユーザBに対して対価を払うものであり、ユーザBの車両回収および返却行為に対してメリットを与えるものである。対価付与手段408は、ユーザBが返却した車両Cおよび規定場所に応じて、当該ユーザBに対して払う対価を選択する機能を有してもよい。このように実施形態3に係る未返却車両の返却システム400では、上述した実施形態2に係る未返却車両の返却システムと同様に、ユーザBの表示端末装置406に、複数の車両データが表示可能な場合は、ユーザB近くの在庫車両数が少ない返却先(規定場所)を優先的に表示できる機能を有することもできる。
例えば、返却先の規定場所(返却スポット)は、ユーザBの近隣で、在庫台数の少ない、利用客の多い場所等の条件に応じて、還元(付与)ポイントを変えて、ユーザB(返却者)が選択できるようにしてもよい。より具体的には、例えば、返却場所に既に多くの車両(例えば、3台以上)が存在する場合には、1ポイント付与され、在庫台数が残り2台以下の返却場所に返却する場合には、2ポイント付与するといった、必要に応じて金銭(お礼金)に変換できるポイントに差をつける方法などが採用できる。その際、通勤時間などの利用統計情報を加味して、ポイントを設定してもよい。
【0024】
また、実施形態3に係る未返却車両の返却システム400は、車両の充電残量や燃料残量をユーザの表示端末装置406に表示でき、残量が少ない車両を返却した場合に多くの対価を受け取るシステムにすることもできる。
例えば、残量が50%以上ある車両を規定場所に返却すると1ポイント付与し、残量が20%以上50%未満の車両を規定場所に返却すると2ポイント付与し、残量が20%未満の車両を規定場所に返却すると3ポイント付与するといった、必要に応じて金銭(お礼金)に変換できるポイントに差をつける方法などが採用できる。
【0025】
なお、もとのユーザA(車両を利用し規定場所に返却しなかった利用者)が獲得するはずであったポイント(利用ポイント)をこのユーザAに付与する代わりに、当該車両の回収および返却を行ったユーザBに当該ポイントを付与してもよい。この形態であれば、シェアライドサービスの運営会社は、回収および返却を行うユーザBに新たにポイントを付与する必要がなくなるため、運営上の金銭的なメリットが生じる。
また、車両の乗り捨てを防止することを目的として、シェアライドサービス自体を、ユーザA(利用者)から予め保証金を納付した後に利用する形態としてもよく、その保証金の範囲内でインセンティブのやり取りを行ってもよい。
【0026】
図5は、実施形態3に係る未返却車両の返却システム500を用いて行われる未返却車両の返却方法(実施形態3に係る未返却車両の返却方法)の流れを示すフローチャートである。まず、実施形態1および2に係る未返却車両の返却方法と同様に、まず、車両の位置情報や必要に応じて車両の充電残量、燃料残量情報、各規定場所の車両の在庫数情報等の各種情報をサーバに収集する(ステップS501)。そして、サーバに収集された情報の中から、規定場所に未返却の車両Aの位置情報等の各種情報を抽出する(ステップS502a)。続いて、車両Aのうち、ユーザB(回収候補者)の近辺に位置する車両Bの位置情報等の各種情報を抽出する(ステップS502b)。サーバに収集された各規定場所における、車両の在庫数情報のうち、ユーザBの近辺や車両の在庫数が少ない規定場所の情報を抽出する(ステップS503)。そして、ユーザBが有する表示端末装置に、車両Bの位置情報および規定場所の情報等の各種情報を転送する(ステップS504)。得られた車両Bの情報に基づき、ユーザBが選択した車両Cを操作可能とする(ステップS505)。続いて、ユーザBが選択した車両Cを規定場所に返却後に、車両Cを操作不能とする(ステップS506)。その後、本実施形態では、返却した車両や返却した規定場所等に応じて、ユーザBに対して対価を払う(ステップS507)。
【0027】
このように、実施形態3に係る未返却車両の返却方法を用いれば、シェアライドサービス車両が不特定の場所に乗り捨てられてしまった場合であっても、規定場所に容易に返却されることが可能となる。さらに、回収返却を行ったユーザに対して対価を付与することで、当該システム利用者および運営者両者が利益を受け取ることができる。
【0028】
以上述べた通り、本開示に係る未返却車両の返却システムでは、ユーザが、シェアライドサービスにおける車両位置情報を随時閲覧できる。そして、ユーザB(回収候補者)の近辺に、規定場所に未返却の利用済み車両が存在した場合に、ユーザBが有する表示端末装置に、ユーザBの位置情報に近い(1台または複数台)車両の位置情報、必要に応じて、車両の充電残量または燃料残量、各規定場所における車両の在庫数情報等を表示できる。そして、ユーザBの表示端末から目的に合致した車両の返却要求を受け付けると、ユーザBによる当該車両の操作が可能となり、ユーザBにより、規定場所へと車両を返却後、当該車両の操作が不能となる。その後、必要に応じて、返却した車両および返却場所に応じてユーザBに対価が支払われる。
【0029】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、実施の形態やその一例を適宜組み合わせて実施してもよい。
【0030】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
車両の位置情報を収集可能なサーバと、
ユーザが有する表示端末装置と、
前記サーバに収集された車両の位置情報の中から、規定場所に未返却の車両のうち、前記ユーザの近辺に位置する車両の位置情報を抽出する抽出手段と、
前記表示端末装置に、前記抽出手段で抽出された車両の位置情報を転送する転送手段と、
前記ユーザが前記抽出手段で抽出された車両のいずれかを選択した場合に、前記ユーザが選択した車両を操作可能とする解除手段と、
前記ユーザが選択した車両を前記規定場所に返却した場合に、返却した前記車両を操作不能とするロック手段と、
を備える、未返却車両の返却システム。
(付記2)
前記抽出手段が、
前記サーバに収集された車両の位置情報の中から、前記規定場所に未返却の車両の位置情報を抽出する第1の抽出手段と、
前記未返却の車両のうち、前記ユーザの近辺に位置する前記車両の位置情報を抽出する第2の抽出手段と、
を含む、付記1に記載の未返却車両の返却システム。
(付記3)
前記サーバが、前記車両の充電残量または燃料残量、および、各規定場所における車両の在庫数のうちの少なくとも1つの情報を収集可能であり、
前記転送手段が、この情報を前記表示端末装置に転送可能である、付記1または2に記載の未返却車両の返却システム。
(付記4)
前記ユーザが前記規定場所に選択した前記車両を返却した場合に、前記ユーザに対して対価を払う対価付与手段をさらに備える、付記1~3のいずれかに記載の未返却車両の返却システム。
(付記5)
前記対価付与手段が、前記ユーザが返却した車両および前記規定場所に応じて、前記ユーザに対して払う対価を選択する機能を有する、付記4に記載の未返却車両の返却システム。
(付記6)
サーバに収集された車両の位置情報の中から、規定場所に未返却の車両のうち、ユーザの近辺に位置する車両の位置情報を抽出し、
前記ユーザが有する表示端末装置に、前記抽出された車両の位置情報を転送し、
前記ユーザが前記抽出された車両のいずれかを選択した場合に、前記ユーザが選択した車両を操作可能とし、
前記ユーザが選択した車両を前記規定場所に返却した場合に、返却した前記車両を操作不能とする、未返却車両の返却方法。
(付記7)
前記車両の位置情報を抽出する際に、前記サーバに収集された車両の位置情報の中から、前記規定場所に未返却の車両の位置情報を抽出した後に、前記未返却の車両のうち、前記ユーザの近辺に位置する前記車両の位置情報を抽出する、付記6に記載の未返却車両の返却方法。
(付記8)
前記車両の充電残量または燃料残量、および、各規定場所における車両の在庫数のうちの少なくとも1つの情報をさらに収集し、この情報を前記表示端末装置に転送する、付記6または7に記載の未返却車両の返却方法。
(付記9)
前記ユーザが前記規定場所に選択した車両を返却した場合に、前記ユーザに対して対価を払う、付記6~8のいずれかに記載の未返却車両の返却方法。
(付記10)
前記ユーザが返却した車両および前記規定場所に応じて、前記ユーザに対して払う対価を選択する、付記9に記載の未返却車両の返却方法。
(付記11)
サーバに収集された車両の位置情報の中から、規定場所に未返却の車両のうち、ユーザの近辺に位置する車両の位置情報を抽出する抽出手段と、
前記ユーザが有する表示端末装置に、前記抽出手段で抽出された車両の位置情報を転送する転送手段と、
前記ユーザが前記抽出された車両のいずれかを選択した場合に、前記ユーザが選択した車両を操作可能とする解除手段と、
前記ユーザが選択した車両を前記規定場所に返却した場合に、返却した前記車両を操作不能とするロック手段と、
を備える、未返却車両の返却装置。
(付記12)
前記抽出手段が、
前記サーバに収集された車両の位置情報の中から、前記規定場所に未返却の車両の位置情報を抽出する第1の抽出手段と、
前記未返却の車両のうち、前記ユーザの近辺に位置する前記車両の位置情報を抽出する第2の抽出手段と、
を含む、付記11に記載の未返却車両の返却装置。
(付記13)
前記抽出手段が、前記サーバに収集された情報のうち、前記ユーザの近辺に位置する前記車両の充電残量または燃料残量、および、前記ユーザの近辺に位置する前記規定場所における車両の在庫数のうちの少なくとも1つの情報を抽出可能であり、
前記転送手段が、この情報を前記表示端末装置に転送可能である、付記11または12に記載の未返却車両の返却装置。
(付記14)
前記ユーザが前記規定場所に選択した前記車両を返却した場合に、前記ユーザに対して対価を払う対価付与手段をさらに備える、付記11~13のいずれかに記載の未返却車両の返却装置。
(付記15)
前記対価付与手段が、前記ユーザが返却した車両および前記規定場所に応じて、前記ユーザに対して払う対価を選択する機能を有する、付記14に記載の未返却車両の返却装置。
【符号の説明】
【0031】
100、400 未返却車両の返却システム
101、401 サーバ
102、402 抽出手段
103、403 転送手段
104、404 解除手段
105、405 ロック手段
106、406 表示端末装置
107、407 車両
408 対価付与手段
600 クラウド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7