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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136916
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】天井搬送車システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240927BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65G1/04 551A
B65G1/00 501C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048227
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】松村 陽平
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ04
3F022JJ08
3F022JJ11
3F022KK11
3F022NN08
3F022NN12
3F022NN38
3F022NN55
3F022PP06
(57)【要約】
【課題】特段のスペースを必要とせずに載置部に対する物品の載置方向の自由度を向上させることができる天井搬送車システムを提供する。
【解決手段】天井搬送車システムは、走行方向が互いに異なる第1軌道4A及び第2軌道4Bを含む軌道4と、物品10を所定の向きで保持する保持部31を有し、軌道4に沿って走行する天井搬送車6と、第1軌道4A上の天井搬送車6Aと第2軌道4B上の天井搬送車6Bとから物品10が載置される載置部8と、を備える。物品10の底面10aには、凹部10hが複数形成されている。載置部8は、凹部10hと嵌合可能な複数の凸部2と、載置部8に載置される物品10の向きに応じて、凹部10hに凸部2が嵌合するように複数の凸部2の少なくとも何れかの位置を変更する凸部変更機構7と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行方向が互いに異なる第1軌道及び第2軌道を含む軌道と、
物品を所定の向きで保持する保持部を有し、前記軌道に沿って走行する天井搬送車と、
前記第1軌道上の前記天井搬送車と前記第2軌道上の前記天井搬送車とから前記物品が載置される載置部と、を備え、
前記物品の底面には、物品の向きに応じて載置部との位置関係が変化するように配置された複数の凹部が形成されており、
前記載置部は、
前記凹部と嵌合可能な複数の凸部と、
前記載置部に載置される前記物品の向きに応じて、前記凹部に前記凸部が嵌合するように複数の前記凸部の少なくとも何れかの位置を変更する凸部変更装置と、を有する、天井搬送車システム。
【請求項2】
前記天井搬送車は、鉛直方向に沿う回転軸周りに前記保持部を回転させる回転機構と、前記天井搬送車の動作を制御する制御部と、を有し、
前記第1軌道を走行する前記天井搬送車の前記制御部は、前記載置部に荷下ろしする際の前記物品の向きが、当該荷下ろし後に前記載置部から前記物品を荷積みする前記第2軌道を走行する前記天井搬送車にとっての前記所定の向きに合うように、前記回転機構を制御する、請求項1に記載の天井搬送車システム。
【請求項3】
前記載置部には、前記第1軌道上の前記天井搬送車から前記物品が載置される場合の当該物品の複数の前記凹部に対応する各位置と、前記第2軌道上の前記天井搬送車から前記物品が載置される場合における当該物品の複数の前記凹部に対応する各位置と、のそれぞれに前記凸部が設けられ、
前記凸部変更装置は、前記物品の底面における前記凹部ではない位置に接触した前記凸部を、当該物品の自重によって沈下させる、請求項1又は2に記載の天井搬送車システム。
【請求項4】
前記第1軌道の高さと前記第2軌道の高さとは、同じであり、
前記第1軌道の走行方向と前記第2軌道の走行方向とは、対向する、請求項1又は2に記載の天井搬送車システム。
【請求項5】
前記第1軌道の高さと前記第2軌道の高さとは、異なる、請求項1又は2に記載の天井搬送車システム。
【請求項6】
前記天井搬送車は、本体部と、鉛直方向に沿う回転軸周りに前記保持部を回転させる回転機構と、前記保持部を昇降させる昇降駆動部と、前記本体部から前記昇降駆動部を横方向へ移動させる横出し機構と、前記天井搬送車の動作を制御する制御部と、を有し、
前記第2軌道と前記載置部の移載位置との中心間距離は、前記第1軌道と前記載置部の前記移載位置との中心間距離よりも小さく、
前記制御部は、
前記第1軌道上の前記天井搬送車から前記物品を前記載置部へ載置する場合、前記回転機構により前記保持部を回転させた後、前記横出し機構により前記物品が前記移載位置上に位置するまで前記昇降駆動部を横方向へ移動させ、前記昇降駆動部により前記保持部を降下させる、請求項1に記載の天井搬送車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井搬送車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
天井搬送車システムに関する技術として、例えば特許文献1に記載された搬送システムが知られている。特許文献1に記載された搬送システムは、第1天井軌道を走行する第1天井搬送車と、第2天井軌道及び第3天井軌道を走行する第2天井搬送車と、第1天井搬送車及び第2天井搬送車との間で物品の受け渡しが可能な第1載置部(載置部)と、第1載置部を垂直軸周りに回転させる回転機構と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/153041号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したシステムでは、回転機構により載置部を回転できることから、載置部に対する物品の載置方向の自由度は向上されているものの、載置部の回転のためにその周辺に通常の場合(回転しない場合)よりもスペースが必要になってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、特段のスペースを必要とせずに載置部に対する物品の載置方向の自由度を向上させることができる天井搬送車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る天井搬送車システムは、走行方向が互いに異なる第1軌道及び第2軌道を含む軌道と、物品を所定の向きで保持する保持部を有し、軌道に沿って走行する天井搬送車と、第1軌道上の天井搬送車と第2軌道上の天井搬送車とから物品が載置される載置部と、を備え、物品の底面には、凹部が複数形成されており、載置部は、凹部と嵌合可能な複数の凸部と、載置部に載置される物品の向きに応じて、凹部に凸部が嵌合するように複数の凸部の少なくとも何れかの位置を変更する凸部変更装置と、を有する。
【0007】
この天井搬送車システムでは、載置部を回転させずに複数の凸部の少なくとも何れかの位置を変更するだけで、物品が載置部に対してどの方向を向いていても載置部に載置することができる。したがって、特段のスペースを必要とせずに載置部に対する物品の載置方向の自由度を向上させることが可能となる。その結果、走行方向が異なる複数の軌道間で載置部を共有することができる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の天井搬送車システムは、鉛直方向に沿う回転軸周りに保持部を回転させる回転機構と、天井搬送車の動作を制御する制御部と、を有し、第1軌道を走行する天井搬送車の制御部は、載置部に荷下ろしする際の物品の向きが、当該荷下ろし後に載置部から物品を荷積みする第2軌道を走行する天井搬送車にとっての所定の向きに合うように、回転機構を制御してもよい。この場合、次の荷積みに応じた向きで物品を載置部へ載置できるため、次の荷積みの際に物品を保持部で保持するための停車時間を短くすることが可能となる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)に記載の天井搬送車システムでは、載置部には、第1軌道上の天井搬送車から物品が載置される場合の当該物品の複数の凹部に対応する各位置と、第2軌道上の天井搬送車から物品が載置される場合における当該物品の複数の凹部に対応する各位置と、のそれぞれに凸部が設けられ、凸部変更装置は、物品の底面における凹部ではない位置に接触した凸部を、当該物品の自重によって沈下させてもよい。この場合、簡易な機構で凸部の位置変更が可能となる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)の何れか一項に記載の天井搬送車システムでは、第1軌道の高さと第2軌道の高さとは、同じであり、第1軌道の走行方向と第2軌道の走行方向とは、対向していてもよい。この場合、高さが同じで且つ走行方向が対向する第1軌道と第2軌道と間で、載置部を介して物品を受け渡すことが可能となる。
【0011】
(5)上記(1)~(3)の何れか一項に記載の天井搬送車システムでは、第1軌道の高さと第2軌道の高さとは、異なっていてもよい。この場合、高さが異なる第1軌道と第2軌道と間で、載置部を介して物品を受け渡すことが可能となる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)の何れか一項に記載の天井搬送車システムでは、天井搬送車は、本体部と、鉛直方向に沿う回転軸周りに保持部を回転させる回転機構と、保持部を昇降させる昇降駆動部と、本体部から昇降駆動部を横方向へ移動させる横出し機構と、天井搬送車の動作を制御する制御部と、を有し、第2軌道と載置部の移載位置との中心間距離は、第1軌道と載置部の移載位置との中心間距離よりも小さく、制御部は、第1軌道上の天井搬送車から物品を載置部へ載置する場合、回転機構により保持部を回転させた後、横出し機構により物品が載置部の移載位置上に位置するまで昇降駆動部を横方向へ移動させ、昇降駆動部により保持部を降下させてもよい。
【0013】
この場合、第2軌道と載置部の移載位置との中心間距離が第1軌道と載置部の移載位置との中心間距離よりも小さいことから、第1軌道上の天井搬送車から物品を載置部へ載置する際、載置部の移載位置上にて保持部を回転させて物品を回転させると、回転する当該物品が第2軌道を走行する天井搬送車と干渉しやすい可能性がある。そこで、物品の回転軌跡が第2軌道を走行する天井搬送車と干渉しない位置で保持部を回転させた後に、物品が移載位置上に位置するまで昇降駆動部を横方向へ移動させることで、かかる干渉を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、特段のスペースを必要とせずに載置部に対する物品の載置方向の自由度を向上させることができる天井搬送車システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態に係る天井搬送車システムにおける保管棚及びその両側の軌道を示す斜視図である。
図2図2は、物品を示す底面図である。
図3図3は、載置部を示す平面図である。
図4図4は、凸部変更機構の一部を拡大して示す断面図である。
図5図5(a)は、第1軌道上の天井搬送車から載置部へ物品を移載する場合を説明する平面図である。図5(b)は、図5(a)の続きを示す平面図である。図5(c)は、図5(b)の続きを示す平面図である。
図6図6(a)は、図5(c)の続きを示す平面図である。図6(b)は、図6(a)の続きを示す平面図である。図6(c)は、図6(b)の続きを示す平面図である。
図7図7(a)は、第2軌道上の天井搬送車から載置部へ物品を移載する場合を説明する平面図である。図7(b)は、図7(a)の続きを示す平面図である。図7(c)は、図7(b)の続きを示す平面図である。
図8図8(a)は、図7(c)の続きを示す平面図である。図8(b)は、図8(a)の続きを示す平面図である。図8(c)は、図8(b)の続きを示す平面図である。
図9図9(a)は、変形例に係る凸部変更装置を示す平面図である。図9(b)は、変形例に係る凸部変更装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。図面の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1に示されるように、天井搬送車システム1は、軌道4に沿って移動可能な天井搬送車6を用いて、物品10を搬送するためのシステムである。物品10は、例えば複数の半導体ウェハが収容されたFOUP(Front Opening Unified Pod)である。物品10は、複数の半導体ウェハを格納する容器、ガラス基板を格納する容器、レチクルポッド、一般部品等であってもよい。図2に示されるように、物品10の底面10aには、物品10の向きに応じて載置部8との位置関係が変化するように配置された複数の凹部10hが形成されている。凹部10hは、後述する凸部2が嵌合される空間である。凹部10hは、後述する凸部2に対応する形状で形成されている。凹部10hは、底面10aにおける一直線上にない3点に分散して配置されている。複数の凹部10hは、鉛直方向を回転軸とした180度回転対称性(2回対称性)を有していない。複数の凹部10hは、鉛直方向を回転軸とした90度回転対称性(4回対称性)を有していない。
【0018】
図1に示されるように、天井搬送車システム1は、軌道4と、複数の天井搬送車6と、複数の保管棚40と、を備える。軌道4は、工場等において作業者の頭上スペースである天井付近に敷設されている。軌道4は、例えば、軌道支柱5によって吊り下げ支持されている。軌道4は、互いに平行な第1軌道4A及び第2軌道4Bを含む。第1軌道4A及び第2軌道4Bの間には、保管棚40が設置されている。第1軌道4A及び第2軌道4Bは、一方通行の軌道4であって、走行方向が互いに異なる。例えば、第1軌道4Aを走行する天井搬送車6は、X方向の一方向に走行し、第2軌道4Bを走行する天井搬送車6は、X方向の他方向に走行する。第1軌道4Aの高さと第2軌道4Bの高さとは、同じである。軌道4の高さは、例えば軌道4において天井搬送車6が接地する位置の高さが相当する。
【0019】
天井搬送車6は、天井走行式無人走行車である。天井搬送車6は、軌道4に沿って走行し、物品10を搬送する。天井搬送車6は、物品10を保管棚40の載置部8に移載する。例えば第1軌道4Aを走行する天井搬送車6は、物品10をY方向の負方向に移載する。このときのY方向の負方向は、載置部8へ物品10を載置する際の載置方向である。載置方向は、例えば平面視で物品10が載置部8へ接近する方向に対応する。また例えば第2軌道4Bを走行する天井搬送車6は、物品10をY方向の正方向に移載する。このときのY方向の正方向は、載置方向である。物品10の載置方向は、天井搬送車6の走行方向であるX方向に例えば水平面内において直交する。天井搬送車6の台数は、特に限定されず、複数である。
【0020】
天井搬送車6は、天井搬送車6を軌道4に沿って走行させる走行部18と、非接触給電で軌道4側から受電する受電通信部20と、を有する。天井搬送車6は、軌道4の通信線等を利用して、図示しないコントローラと通信を行う。天井搬送車6は、本体フレーム23と、横出し機構24と、回転機構26と、昇降駆動部28と、昇降台30と、保持部31と、本体カバー33と、搬送車コントローラ(制御部)38と、を有する。
【0021】
横出し機構24は、回転機構26、昇降駆動部28、昇降台30及び保持部31を一括してY方向に移動させる。横出し機構24は、例えば、本体フレーム23に取り付けられた上部材24aと、上部材24aに沿ってY方向にスライドして進出又は退入することが可能な中部材24bと、中部材24bに沿ってY方向にスライドして進出又は退入することが可能な下部材24cと、を含む。回転機構26は、下部材24cの下側に取り付けられている。回転機構26は、昇降駆動部28、昇降台30及び保持部31を鉛直方向に沿う回転軸周りに回転させる。昇降駆動部28は、昇降台30をワイヤ、ロープ及びベルト等の吊持材の巻取りないし繰出しによって昇降させる。
【0022】
昇降台30は、保持部31を昇降させる。保持部31は、昇降台30に設けられ、物品10を所定の向きで保持又は解放する。保持部31は、チャックとも称される。本体カバー33は、例えば天井搬送車6の走行方向の前後に一対設けられている。搬送車コントローラ38は、本体フレーム23に配置されている。搬送車コントローラ38は、CPU、ROM及びRAM等によって構成された電子制御ユニットであって、天井搬送車6の各部の動作を制御する。このような天井搬送車6は、横出し機構24によって昇降駆動部28等を横方向に移動すると共に、昇降台30を昇降させることにより、保管棚40の載置部8との間で物品10を受け渡しする。
【0023】
保管棚40は、天井搬送車6から移載された物品10を受け、支持し、保管する。保管棚40は、軌道4の側方に配置されるサイドトラックバッファ(STB)である。保管棚40は、複数の棚支柱9によって吊り下げ支持されている。保管棚40は、物品10を保管するための載置部8を有する。載置部8には、物品10が一時的に載置される。載置部8は、第1軌道4A上の天井搬送車6と第2軌道4B上の天井搬送車6とから物品10が載置される。なお、保管棚40は、複数の載置部8を有してもよいし、載置部8を1つのみ有していてもよい。
【0024】
図1図3及び図4に示されるように、載置部8は、物品10の凹部10hと嵌合可能な複数の凸部2と、複数の凸部2の位置を変更する凸部変更機構(凸部変更装置)7と、を有する。凸部2は、載置部8に載置された物品10を位置決めする位置決めピンである。凸部2は、例えばキネマピンである。凸部2は、鉛直方向を軸方向とする柱状とされている。凸部2は、載置部8の載置面8aから上方に突出する。凸部2は、複数の第1凸部21と、複数の第2凸部22と、を含む。
【0025】
第1凸部21は、第1軌道4A上の天井搬送車6Aから載置された物品10における複数の凹部10hに対応する各位置に設けられている。第1凸部21は、天井搬送車6Aから載置された物品10の複数の凹部10hに、当該凹部10hの底面に突き当たるまで挿入可能である。第1凸部21は、載置面8aにおける一直線上にない3点に分散して配置されている。複数の第1凸部21は、鉛直方向を回転軸とした180度回転対称性を有していない。複数の第1凸部21は、鉛直方向を回転軸とした90度回転対称性を有していない。
【0026】
第2凸部22は、第2軌道4B上の天井搬送車6Bから載置された物品10における複数の凹部10hに対応する各位置に設けられている。第2凸部22は、隣接する一対の第1凸部21の間に配置されている。第2凸部22は、天井搬送車6Bから載置された物品10の複数の凹部10hに、当該凹部10hの底面に突き当たるまで挿入可能である。第2凸部22は、載置面8aにおける一直線上にない3点に分散して配置されている。複数の第2凸部22は、鉛直方向を回転軸とした180度回転対称性を有していない。複数の第2凸部22は、鉛直方向を回転軸とした90度回転対称性を有していない。
【0027】
凸部変更機構7は、載置部8に載置される物品10の向きに応じて、凹部10hに凸部2が嵌合するように複数の凸部2の位置を変更する。凸部変更機構7は、物品10の底面10aにおける凹部10hでない位置(平面部分)に接触した凸部2を、当該物品10の自重によって沈下(下方へ移動)させる。図示する例では、凸部変更機構7は、載置部8に載置される物品10の向きに応じて、3つの凹部10hに3つの第1凸部21が嵌合するように、3つの第1凸部21の高さ位置を3つの第2凸部22の高さ位置よりも高くする(3つの第2凸部22の高さ位置を3つの第1凸部21の高さ位置よりも低くする)。或いは、凸部変更機構7は、載置部8に載置される物品10の向きに応じて、3つの凹部10hに3つの第2凸部22が嵌合するように、3つの第2凸部22の高さ位置を3つの第1凸部21の高さ位置よりも高くする(3つの第1凸部21の高さ位置を3つの第2凸部22の高さ位置よりも低くする)。
【0028】
図4に示される一例では、凸部変更機構7は、凸部2の先端部を載置面8aの孔8bから載置面8a上に出現させながら、凸部2の基端側をバネ71を介して載置部8の底部8cにて支持する。これにより、凸部2は、バネ71により上方に付勢された状態で先端部が載置面8aから上方に突き出ると共に、鉛直方向に移動可能とされる。凸部変更機構7は、第1凸部21と第1凸部21に隣接する第2凸部22とを、リンク機構72を介して連結する。これにより、第1凸部21及び第2凸部22の何れか一方が上から押されて沈下すると、これらの何れか他方がバネ71及びリンク機構72により浮上(上方へ移動)するように構成される。
【0029】
このような凸部変更機構7では、例えば、第1凸部21が凹部10hに嵌合する場合、第1凸部21が凹部10hの底面まで突き当り、第1凸部21により物品10が位置決めされる。このとき、第2凸部22は、物品10の底面10aに接触し、物品10の自重によって下方へ押され、沈下する。これにより、リンク機構72により当該沈下に応じて第1凸部21が上に押し上げられて浮上し、第1凸部21が載置面8aから十分に且つ確実に突出した状態である程度固定される。なお、凸部変更機構7の構成は図示される例に限定されず、種々の構成を採用してもよい。
【0030】
図1に戻り、第2軌道4Bと載置部8の移載位置との中心間距離L2は、第1軌道4Aと載置部8の移載位置との中心間距離L1よりも小さい。第1軌道4Aと載置部8の移載位置との中心間距離L1は、第2軌道4Bと載置部8の移載位置との中心間距離L2よりも大きい。移載位置は、物品10が載置部8に位置決めされて載置されている(凹部10hに凸部2が嵌合している)ときの当該物品10の位置である。
【0031】
第1軌道4Aを走行する天井搬送車6の搬送車コントローラ38は、載置部8に荷下ろし(天井搬送車6から載置部8へ物品10を移載)する際の物品10の向きが、当該荷下ろし後に載置部8から物品10を荷積み(載置部8から天井搬送車6へ物品10を移載)する第2軌道4Bを走行する天井搬送車6にとっての所定の向きに合うように、回転機構26を制御する。
【0032】
例えば、搬送車コントローラ38は、第1軌道4A上の天井搬送車6Aから載置部8への荷下ろしの際、その後の第2軌道4B上の天井搬送車6Bによる荷積みを考慮して、回転機構26により保持部31を180度回転させ、物品10の向きを水平面内で180度回転させる。
【0033】
具体的には、図5(a)に示される状態の天井搬送車6Aにおいて、搬送車コントローラ38は、まず、横出し機構24により昇降駆動部28を横方向へ移動させる。これにより、図5(b)に示されるように、物品10を横方向に移動させる。このときの物品10の位置は、当該物品10の回転軌跡が第2軌道4Bを走行する天井搬送車6Bと干渉しない位置である。搬送車コントローラ38は、回転機構26により保持部31を180度回転させる。これにより、図5(c)、図6(a)及び図6(b)に順に示されるように、第2軌道4Bを走行する天井搬送車6Bと干渉せずに物品10の向きを180度回転させる。
【0034】
続いて、搬送車コントローラ38は、横出し機構24により昇降駆動部28を、物品10が載置部8の移載位置上に位置するまで横方向へ移動させる。これにより、図6(c)に示されるように、載置部8の移載位置の直上に位置するまで物品10を横方向に移動させる。その後、昇降駆動部28により保持部31を降下させる。以上により、天井搬送車6Aから載置部8へ物品10が載置される。
【0035】
また例えば、搬送車コントローラ38は、第2軌道4B上の天井搬送車6Bから載置部8への荷下ろしの際、その後の第1軌道4A上の天井搬送車6Aによる荷積みを考慮して、回転機構26により保持部31を180度回転させ、物品10の向きを水平面内で180度回転させる。
【0036】
具体的には、図7(a)に示される状態の天井搬送車6Bにおいて、搬送車コントローラ38は、まず、横出し機構24により昇降駆動部28を、物品10が載置部8の移載位置上に位置するまで横方向へ移動させる。これにより、図7(b)に示されるように、載置部8の移載位置の直上に位置するまで物品10を横方向に移動させる。搬送車コントローラ38は、回転機構26により保持部31を180度回転させる。これにより、図7(c)、図8(a)及び図8(b)に順に示されるように、物品10の向きを180度回転させる。その後、昇降駆動部28により保持部31を降下させる。以上により、天井搬送車6Bから載置部8へ物品10が載置される。このとき、第1軌道4Aと載置部8とは十分に離れているので、第1軌道4Aを走行する天井搬送車6Aとの接触を想定することなく、載置部8上で物品10を回転可能である。
【0037】
以上、天井搬送車システム1では、載置部8を回転させずに複数の凸部2の位置を変更するだけで、物品10が載置部8に対してどの方向を物品10が向いていても載置部8に載置することができる。したがって、特段のスペースを必要とせずに載置部8に対する物品10の載置方向の自由度を向上させることが可能となる。例えば、載置部8に対して物品10を載置する載置方向がY方向の負方向及び正方向の何れであっても、別途に大型な機構を要せずに、当該物品10を載置部8に凸部2で位置決めして載置させることができる。その結果、走行方向が異なる複数の軌道4間で載置部8を共有することができる。
【0038】
天井搬送車システム1は、搬送車コントローラ38により、載置部8に荷下ろしする際の物品10の向きが、当該荷下ろし後に載置部8から荷積みするときに保持部31で保持する物品10の所定の向きに合うように、回転機構26が制御される。この場合、次の荷積みに応じた向きで物品10を載置部8へ載置できるため、次の荷積みの際に物品10を保持部31で保持するための停車時間を短くすることが可能となる。
【0039】
天井搬送車システム1では、凸部変更機構7は、物品10の底面10aにおける凹部10hでない位置に接触した凸部2を、当該物品10の自重によって沈下させる。この場合、簡易な機構で凸部2の位置変更が可能となる。
【0040】
天井搬送車システム1では、第1軌道4Aの高さと第2軌道4Bの高さとは、同じであり、第1軌道4Aの走行方向と第2軌道4Bの走行方向とは、対向している。この場合、高さが同じで且つ走行方向が対向する第1軌道4Aと第2軌道4Bと間で、載置部8を介して物品10を受け渡すことが可能となる。
【0041】
天井搬送車システム1では、第2軌道4Bと載置部8の移載位置との中心間距離L2は、第1軌道4Aと載置部8の移載位置との中心間距離L1よりも小さい。中心間距離L2が中心間距離L1よりも小さいことから、第1軌道4A上の天井搬送車6Aから物品10を載置部8へ載置する際、載置部8の移載位置上にて保持部31を回転させて物品10を回転させると、回転する当該物品10が第2軌道4Bを走行する天井搬送車6Bと干渉しやすい可能性がある。この点、天井搬送車システム1では、物品10の回転軌跡が第2軌道4Bを走行する天井搬送車6と干渉しない位置で保持部31を回転させた後に、物品10が移載位置上に位置するまで昇降駆動部28を横方向へ再移動させることで、かかる干渉を回避することが可能となる。
【0042】
本実施形態では、回転機構26により物品10の向きを変えて物品10を載置部8へ載置する場合に、本体カバー33(フロントフレーム及びリアフレーム)への干渉の懸念がなく、天井搬送車6の外形の変更が不要であり、既存の軌道4にて天井搬送車6を走行させることが容易である。
【0043】
なお、物品10を昇降駆動部28で降下させて本体カバー33外へ位置させたときに、回転機構26により当該物品10を回転させて向きを変更することも考えられる。ただし、この場合、回転の反力を昇降駆動部28の吊持材(ワイヤ、ロープ及びベルト等)で受けることになり姿勢が安定し難い。この点、本実施形態では、昇降駆動部28による物品10の降下前に回転機構26により当該物品10を回転させる。これにより、姿勢の安定化の点で有効である。
【0044】
以上、実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の一側面の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
上記実施形態は、凸部変更装置として凸部変更機構7を備えているが、これに限定されない。例えば上記実施形態は、凸部変更機構7に代えて、図9に示される凸部変更装置107を備えていてもよい。
【0046】
凸部変更装置107は、3つの凸部2を水平旋回(水平面内で回転)させる機構である。具体的には、凸部変更装置107は、回転テーブル171、軸部172及びモータ173を備える。回転テーブル171は、円形板状の部材である。回転テーブル171は、載置面8aに形成された孔8xに、その中心軸周りの回転方向に回転自在に挿入されている。軸部172は、回転テーブル171の回転軸を構成する柱体であって、回転テーブル171と同軸で当該回転テーブル171の下面に連結されている。モータ173は、回転テーブル171を回転させる駆動力を付与する駆動源である。モータ173の出力軸に設けられた駆動ギア173aは、軸部172に設けられた従動ギア172aに噛み合っている。モータ173の動作は、天井搬送車6の搬送車コントローラ38からの指令により制御される。
【0047】
このような凸部変更装置107では、載置部8に載置される物品10の向きに応じて、回転テーブルの回転位置が変わるように搬送車コントローラ38によりモータ173の動作が制御される。その結果、回転テーブル171が適宜に回転され、当該物品10の凹部10hに嵌合するように複数の凸部2の位置が回転方向に変更される。例えば凸部変更装置107は、載置部8に載置される物品10の向きに応じて、回転テーブル171を0度回転させる(つまり回転させない)又は180度回転させる。このような凸部変更装置107によれば、凸部2の位置変更を具体的に実現できる。
【0048】
上記実施形態では、第1軌道4Aの高さと第2軌道4Bの高さとは、異なっていてもよい。この場合、高さが異なる第1軌道4Aと第2軌道4Bと間で、載置部8を介して物品10を受け渡すことが可能となる。また、軌道4の高さが異なる場合、各軌道4は平面視で完全に重なっていてもよい。さらに、各軌道4は、平面視で平行であってもよいし、交差していてもよい。
【0049】
上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…天井搬送車システム、2…凸部、4…軌道、4A…第1軌道、4B…第2軌道、6…天井搬送車、7…凸部変更機構(凸部変更装置)、8…載置部、10…物品、10a…底面、10h…凹部、21…第1凸部、22…第2凸部、24…横出し機構、26…回転機構、28…昇降駆動部、31…保持部、38…搬送車コントローラ(制御部)。L1,L2…中心間距離、107…凸部変更装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9