(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136949
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】充電制御装置、充電制御システム、充電制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20240927BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240927BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240927BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240927BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240927BHJP
B60L 53/63 20190101ALI20240927BHJP
B60L 53/62 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/00 P
H02J7/10 H
H02J7/10 B
H02J7/04 A
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/63
B60L53/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048262
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根岸 和広
(72)【発明者】
【氏名】藤原 達弘
(72)【発明者】
【氏名】永友 翔
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA03
5G503CA06
5G503CA08
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC02
5H125BC04
5H125BC05
5H125BC21
5H125DD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気自動車の充電時間を短縮する充電制御装置、システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】充電制御システム100において、充電制御装置103は、第1充電部及び第2充電部から、それぞれの状態を受け付ける受付部、複数の被充電装置を実際に充電した電力量である実際電力量を計測した計測結果を取得する取得部、実際電力量を合計した総電力量の上限値を設定する設定部、総電力量が上限値を超えると判断すると、複数の被充電装置のうち、第1充電部で第1被充電装置を充電し、第2被充電装置を第2充電部で充電するのを待機させる待機制御部、第1被充電装置を充電する充電制御を指示値で定まる一定電流で充電する定電流制御から、一定電圧で充電する定電圧制御に切り替える切替部及び第1被充電装置を充電する充電制御が定電流制御から定電圧制御に切り替ったと検出すると、前記第2被充電装置を充電する対象に変更する変更部を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被充電装置を充電する第1充電部、及び、第2被充電装置を充電する第2充電部を制御する充電制御装置であって、
前記第1充電部、及び、前記第2充電部から、それぞれの状態を受け付ける受付部と、
前記第1被充電装置、及び、前記第2被充電装置を含む複数の被充電装置を実際に充電した電力量である実際電力量を計測した計測結果を取得する取得部と、
前記状態に基づき、前記実際電力量を合計した総電力量の上限値を設定する設定部と、
前記総電力量が前記上限値を超えると判断すると、前記複数の被充電装置のうち、前記第1充電部で前記第1被充電装置を充電し、及び、前記第2被充電装置を前記第2充電部で充電するのを待機させる待機制御部と、
前記第1被充電装置を充電する充電制御を指示値で定まる一定電流で充電する定電流制御から、一定電圧で充電する定電圧制御に切り替える切替部と、
前記第1被充電装置を充電する充電制御が前記定電流制御から前記定電圧制御に切り替ったと検出すると、前記第2被充電装置を充電する対象に変更する変更部と
を備える充電制御装置。
【請求項2】
前記第1被充電装置、及び、前記第2被充電装置は、
電気自動車であり、
前記第1充電部、及び、前記第2充電部は、
前記第1被充電装置、及び、前記第2被充電装置が備えるリチウムイオン電池を充電する
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記指示値は、
前記第1充電部、及び、前記第2充電部に外部から指示され、
前記第1充電部、及び、前記第2充電部は、
前記待機制御部による制御に基づき、前記第1被充電装置、及び、前記第2被充電装置それぞれを前記指示値による前記定電流制御で充電を開始し、
前記切替部による切り替え以降は、前記定電圧制御で充電し、
前記定電流制御は、
電流を一定、かつ、時間経過に対して電圧を上げていく充電制御であり、
前記定電圧制御は、
電圧を一定、かつ、時間経過に対して電流を下げていく充電制御である
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記実際電力量が閾値未満であるか否かの判断、及び、前記実際電力量が充電されている傾向を示す充電傾向に基づき、前記実際電力量の低下を検出する検出部を更に備え、
前記変更部は、
前記検出部によって前記実際電力量の低下を検出すると、前記第1被充電装置を充電する充電制御が前記定電流制御から前記定電圧制御に切り替ったと検出する
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記充電傾向は、
複数の前記実際電力量をプロットした複数の点を近似した直線の傾きである
請求項4に記載の充電制御装置。
【請求項6】
第3被充電装置を充電する第3充電部を更に制御し、
前記第3被充電装置は、
前記第2被充電装置の次に充電を開始する対象であり、
前記待機制御部は、
前記第1充電部で前記第1被充電装置を充電し、前記第2充電部で前記第2被充電装置を充電し、前記第3充電部で前記第3被充電装置を充電するのを待機させ、
前記変更部は、
前記第2被充電装置を充電する充電制御が前記定電流制御から前記定電圧制御に切り替ったと検出すると、前記第3被充電装置の充電を開始するか否かを判断し、
前記第3被充電装置の充電を追加した前記総電力量が前記上限値を超えないと判断すると、前記第3被充電装置を追加して充電すると変更する
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項7】
第4被充電装置を充電する第4充電部を更に制御し、
前記第4被充電装置は、
前記第3被充電装置の次に充電を開始する対象であり、
前記待機制御部は、
前記第1充電部で前記第1被充電装置を充電し、前記第2充電部で前記第2被充電装置を充電し、前記第3充電部で前記第3被充電装置を充電し、前記第4充電部で前記第4被充電装置を充電するのを待機させ、
前記変更部は、
前記第3被充電装置を充電する充電制御が前記定電流制御から前記定電圧制御に切り替ったと検出すると、前記第4被充電装置の充電を開始するか否かを判断し、
前記第4被充電装置の充電を追加した前記総電力量が前記上限値を超えないと判断すると、前記第4被充電装置を追加して充電すると変更する
請求項6に記載の充電制御装置。
【請求項8】
前記計測結果に基づき、前記実際電力量が特定され、
前記第1充電部、及び、前記第2充電部は、
前記複数の被充電装置のそれぞれの充電率に基づき、前記指示値で定まるそれぞれの電力量になったと判断されると、前記複数の被充電装置を充電するそれぞれの充電制御を前記定電流制御から前記定電圧制御に前記切替部が切り替える定電流定電圧充電制御で充電し、
前記変更部は、
前記切替部による切り替えがされると、前記第2被充電装置を追加して充電する前記総電力量が前記上限値を超えるか否かを判断し、
前記第2被充電装置を追加して充電しても前記総電力量が前記上限値を超えない判断すると、前記第2被充電装置を追加して充電すると変更する
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項9】
第1被充電装置を充電する第1充電部と、
第2被充電装置を充電する第2充電部と、
前記第1被充電装置、及び、前記第2被充電装置を含む複数の被充電装置を充電した電力量であるそれぞれの実際電力量を計測する計測部と、
前記第1充電部、前記第2充電部、及び、前記計測部と接続する充電制御装置とを有する充電制御システムであって、
前記充電制御装置は、
前記第1充電部、及び、前記第2充電部から、それぞれの状態を受け付ける受付部と、
前記複数の被充電装置を実際に充電した電力量であるそれぞれの前記実際電力量を計測した計測結果を取得する取得部と、
前記状態に基づき、前記実際電力量を合計した総電力量の上限値を設定する設定部と、
前記総電力量が前記上限値を超えると判断すると、前記複数の被充電装置のうち、前記第1充電部で前記第1被充電装置を充電し、及び、前記第2被充電装置を前記第2充電部で充電するのを待機させる待機制御部と、
前記第1被充電装置を充電する充電制御を指示値で定まる一定電流で充電する定電流制御から、一定電圧で充電する定電圧制御に切り替える切替部と、
前記第1被充電装置を充電する充電制御が前記定電流制御から前記定電圧制御に切り替ったと検出すると、前記第2被充電装置を充電する対象に変更する変更部とを備える
充電制御システム。
【請求項10】
第1被充電装置を充電する第1充電部と、
第2被充電装置を充電する第2充電部と、
前記第1被充電装置、及び、前記第2被充電装置を含む複数の被充電装置を充電した電力量である実際電力量を計測する計測部と、
電力制御対象設備で使用する電力量である設備電力量を計測する設備充電計測部と、
前記第1充電部、前記第2充電部、前記計測部、及び、前記設備充電計測部と接続する充電制御装置とを有する充電制御システムであって、
前記充電制御装置は、
前記第1充電部、及び、前記第2充電部から、それぞれの状態を受け付ける受付部と、
前記設備電力量、及び、前記複数の被充電装置のそれぞれの前記実際電力量を計測した計測結果を取得する取得部と、
前記設備電力量、及び、前記状態に基づき、前記実際電力量を合計した総電力量の上限値を設定する設定部と、
前記総電力量が前記上限値を超えると判断すると、前記複数の被充電装置のうち、前記第1充電部で前記第1被充電装置を充電し、及び、前記第2充電部で前記第2被充電装置を充電するのを待機させる待機制御部と、
前記第1被充電装置を充電する充電制御を前記上限値で定まる一定電流で充電する定電流制御から、一定電圧で充電する定電圧制御に切り替える切替部と、
前記第1被充電装置を充電する充電制御が前記定電流制御から前記定電圧制御に切り替ったと検出すると、前記第2被充電装置を充電する対象に変更する変更部とを備える
充電制御システム。
【請求項11】
第1被充電装置を充電する第1充電部、及び、第2被充電装置を充電する第2充電部を制御する充電制御装置が行う充電制御方法であって、
前記充電制御装置が、前記第1充電部、及び、前記第2充電部から、それぞれの状態を受け付ける受付手順と、
前記充電制御装置が、前記第1被充電装置、及び、前記第2被充電装置を含む複数の被充電装置を実際に充電した電力量である実際電力量を計測した計測結果を取得する取得手順と、
前記充電制御装置が、前記状態に基づき、前記実際電力量を合計した総電力量の上限値を設定する設定手順と、
前記充電制御装置が、前記複数の被充電装置のうち、前記第1充電部で前記第1被充電装置を充電し、及び、前記第2被充電装置を前記第2充電部で充電するのを待機させる待機制御手順と、
前記充電制御装置が、前記第1被充電装置を充電する充電制御を指示値で定まる一定電流で充電する定電流制御から、一定電圧で充電する定電圧制御に切り替える切替手順と、
前記充電制御装置が、前記第1被充電装置を充電する充電制御が前記定電流制御から前記定電圧制御に切り替ったと検出すると、前記第2被充電装置を充電する対象に変更する変更手順と
を含む充電制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の充電制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置、充電制御システム、充電制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の電気をエネルギーにして動作する装置が知られている。これらの装置を充電する充電装置を制御する技術が知られている。
【0003】
例えば、契約電力値を超えない範囲で、電力を最大限に利用し、より効率的に充電可能にする目的で、「所定の契約電力値が設定された受電設備と、それぞれが受電設備に接続されると共に、電気自動車に対して充電可能な複数の充電装置と、受電設備及び複数の充電装置と通信可能であり、契約電力値を超えないように、各充電装置の充電時における最大出力電力値を設定する制御部と、を備える充電制御システム。制御部は、複数の充電装置における第1の充電装置に第1の電気自動車が接続された際、第1の電気自動車の要求電力値及び第1の充電装置の出力電力上限値の小さい方を第1の充電装置の最大出力電力値に設定し、電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、契約電力値を超えるか否かを判定する。」(要約抜粋)という構成の充電制御システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、複数の電動車両のそれぞれに搭載された蓄電池を適切に充電する目的で、「充電制御装置1は、第1通信部10と、決定部11と、制御部12とを備える。第1通信部10は、複数の充電設備2のそれぞれと通信する。決定部11は、複数の充電設備2に配分する充電電流値を決定する。制御部12は、決定部11が決定する充電電流値を、第1通信部10から複数の充電設備2のそれぞれに送信させる。決定部11は、複数の充電設備2のうちで充電電流の供給を行っていない1つ以上の充電設備2に対して第1電流値を配分する。決定部11は、複数の充電設備2のうちで充電電流の供給を行っている1つ以上の充電設備2に対して第2電流値を配分し、かつ、第1電流値と第2電流値の合計が所定の上限値を超えないように配分を決定する。」(要約抜粋)という構成の充電制御装置等がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-175315号公報
【特許文献2】特開2022-075347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の技術は、電気自動車の要求電力値、及び、充電装置の出力電力上限値のうち、小さい方を充電装置の最大出力電力値に設定する。そして、充電装置に電気自動車を接続した全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、契約電力値を超えるか否かを判定する。一方で、特許文献1に開示の技術は、充電中に充電電力量が変化するのを想定していない。そのため、電気自動車等を充電する充電時間が長くなる場合がある。
【0007】
特許文献2に開示の技術は、複数の充電設備のうち、充電電流の供給を行っている充電設備に対して電流値を配分し、かつ、電流値の合計が所定の上限値を超えないように配分する。一方で、特許文献2に開示の技術は、充電中の充電電力量を対象としていない。そのため、充電時間が長くなる場合がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、電気自動車等を充電部に接続してから充電が終了するまでの充電時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、充電制御装置が、
第1被充電装置を充電する第1充電部、及び、第2被充電装置を充電する第2充電部を制御する充電制御装置であって、
前記第1充電部、及び、前記第2充電部から、それぞれの状態を受け付ける受付部と、
前記第1被充電装置、及び、前記第2被充電装置を含む複数の被充電装置を実際に充電した電力量である実際電力量を計測した計測結果を取得する取得部と、
前記状態に基づき、前記実際電力量を合計した総電力量の上限値を設定する設定部と、
前記総電力量が前記上限値を超えると判断すると、前記複数の被充電装置のうち、前記第1充電部で前記第1被充電装置を充電し、及び、前記第2被充電装置を前記第2充電部で充電するのを待機させる待機制御部と、
前記第1被充電装置を充電する充電制御を指示値で定まる一定電流で充電する定電流制御から、一定電圧で充電する定電圧制御に切り替える切替部と、
前記第1被充電装置を充電する充電制御が前記定電流制御から前記定電圧制御に切り替ったと検出すると、前記第2被充電装置を充電する対象に変更する変更部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電気自動車等を充電部に接続してから充電が終了するまでの充電時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】充電制御システムの全体構成例を示す図である。
【
図6】定電流制御における実際電力量の例を示す図である。
【
図7】定電圧制御における実際電力量の例を示す図である。
【
図9】第4電気自動車を充電する対象に変更する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[全体構成例]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、図、及び、説明において同一部分には同一符号を付与する。また、特に明示しない限り、各構成要素は複数でも単数でも構わない。
【0013】
図1は、充電制御システムの全体構成例を示す図である。なお、図では、破線を信号線、実線を電力線とする。例えば、充電制御システム100は、電力メータ102、充電制御装置103、及び、HUB104を備える。
【0014】
また、HUB104には、第1充電器111、第2充電器112、第3充電器113、第4充電器114・・・のように、複数の充電器が接続する。
【0015】
各充電器は、充電の対象となる装置(以下「被充電装置」という。)と接続する。具体的には、被充電装置は、充電を行う場合には充電器を介して充電制御システム100と接続して充電を行う。
【0016】
一方で、充電が完了し、被充電装置を充電した電力量をエネルギー源にして使用するには、充電を停止して被充電装置を充電器から外す。このように、被充電装置と充電制御システム100は、充電を行うか否かで着脱が可能な構成である。
【0017】
被充電装置は、充電可能な電池を搭載する装置である。例えば、被充電装置は、リチウムイオン電池を備える電気自動車(プラグインハイブリッドカー(plug-in hybrid car)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、及び、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)を含む。)である。すなわち、電気自動車は、リチウムイオン電池に充電した電力をエネルギー源にして駆動する装置である。
【0018】
なお、被充電装置は、電気自動車に限られない。例えば、被充電装置は、工場用蓄電池、又は、作業機械等の産業機器等でもよい。また、被充電装置は、同一の種類でなく、異なる複数の種類の装置であってもよい。以下、被充電装置を電気自動車とする例で説明する。また、充電する電池の種類もリチウムイオン電池に限られず、充電可能であれば他の種類の電池でもよい。
【0019】
特に、被充電装置は、電気自動車のように、数kW(キロワット)以上の出力がある充電器を用いて充電する大容量の電池を備える装置が望ましい。大容量の電池を充電すると、充電する電力量が多量であるため、複数の被充電装置を充電の対象にすると、電気料金が高くなりやすい。したがって、大容量の電池を備える装置が被充電装置に適用されると、より電気料金を抑制できる。
【0020】
充電制御システム100は、第1電気自動車121、第2電気自動車122、第3電気自動車123、第4電気自動車124・・・のように複数の電気自動車と充電器を介して接続する構成である。したがって、充電制御システム100は、複数の電気自動車を並行して充電するシステムである。接続する電気自動車の台数は任意である。
【0021】
電源310は、充電制御システム100に加え、電力制御対象設備300にも電力を供給する。充電制御システム100は、複数の電気自動車に加えて、電力制御対象設備300の電力計測も行う。
【0022】
電力制御対象設備300は、建屋、又は、産業機器等である。なお、電力制御対象設備300に設置される照明設備、及び、空調設備等が電力を用いる場合には、電力制御対象設備300に照明設備等が含まれる。なお、電力制御対象設備300は、ない場合もある。
【0023】
電力メータ102は、電力量を制御する対象の設備全体で使用している電力量(以下「設備電力量」という。)を計測する計測機である。例えば、電力メータ102は、充電制御システム100以外に、建屋に設置された照明設備で使用している電力量等も含めて電力量を計測する。なお、設備電力量は、複数の計測結果の平均値等といった統計値でもよいし、予測値等でもよい。
【0024】
なお、充電制御システム100のように、充電を行う設備だけを電力制御する場合には、他の設備における電力量を計測する計測機を省略できる。以下、充電制御システム100以外には、電力制御を行う対象がない例とする。また、各々の充電器は、電力メータ102とは別に、各充電器が充電する電力量を計測する計測機を備える。そして、計測結果は、充電制御装置103に通知される。
【0025】
第1充電器111、第2充電器112、第3充電器113、及び、第4充電器114は、各充電器が充電する電力量を計測する計測機を備える。例えば、第1充電器111が充電した電力量は、第1計測機301が計測する。同様に、第2充電器112、第3充電器113、及び、第4充電器114が充電したそれぞれの電力量は、第2計測機302、第3計測機303、及び、第4計測機304計測機がそれぞれ計測する。
【0026】
ただし、電力量を計測する計測機は、充電器と一体でなく、別の装置であってもよい。
【0027】
したがって、充電制御装置103は、HUB104を介して、電力メータ102から計測結果を取得すると、実際に充電した電力量を取得できる。
【0028】
HUB104は、各装置を接続するネットワーク機器である。例えば、HUB104は、ルータ、又は、スイッチ等でもよい。なお、充電制御装置103は、ローカルエリアネットワーク上、又は、クラウドのどちらでもよい。
【0029】
[充電例]
図2は、充電例を示す図である。以下、第1電気自動車121を充電する場合の例で説明する。
【0030】
まず第1電気自動車121が充電のために入庫する。入庫は、例えば、カメラ140が撮影した画像等で認識される。また、カメラ140が撮影した画像に基づき、入庫の状態、駐車位置、及び、車両のナンバーにより、車両が特定されてもよい。このように、充電制御システム100には、カメラ140等の周辺装置があってもよい。
【0031】
充電制御システム100は、駐車している第1電気自動車121に対して充電処理を行う。具体的には、第1電気自動車121の位置に合わせて送電装置を移動させる。送電装置の移動が完了すると、送電装置は、充電用の送電を開始する。
【0032】
なお、充電のためのハードウェア構成は、上述する構成に限られない。例えば、充電は、有線接続等で行われてもよい。
【0033】
図3は、充電のユースケースを例示する図である。例えば、充電は、
図3(A)、
図3(B)、及び、
図3(C)に示すようなユースケースが考えられる。
【0034】
図3(A)は、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122が充電している状態を示す図である。すなわち、2台の電気自動車が充電の対象である。
【0035】
図3(B)は、
図3(A)に示す状態に対し、第3電気自動車123が更に接続して充電を開始する状態である。すなわち、3台の電気自動車が充電の対象となる。
【0036】
図3(C)は、
図3(B)に示す状態に対し、第4電気自動車124が更に接続して充電を開始する状態である。すなわち、4台の電気自動車が充電の対象となる。
【0037】
以下、
図3(A)を「第1ユースケース」という。同様に、
図3(B)を「第2ユースケース」、
図3(C)を「第3ユースケース」という。
【0038】
このように、ある電気自動車を充電していると、追加して別の電気自動車が充電を開始する場合がある。以下、
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)の順に推移していく例で説明する。
【0039】
また、充電時間は、最初の電気自動車(この例では第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122である。)を充電部に接続する等の充電準備が完了した時点から、すべての電気自動車を満充電にするまでにかかる時間をいう。
【0040】
そして、第1電気自動車121、第2電気自動車122、第3電気自動車123、及び、第4電気自動車124が充電する電力量が同一であるとする。すなわち、第1電気自動車121、第2電気自動車122、第3電気自動車123、及び、第4電気自動車124は、電池の容量が同一であり、かつ、充電開始時の状態がいずれも同じであるとする。
【0041】
ただし、充電制御システム100は、複数の種類、すなわち、異なる充電条件の被充電装置を充電の対象としてもよい。
【0042】
例えば、充電を最も早く開始する第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122から充電が完了し、最も遅く充電を開始する第4電気自動車124が最後に充電を完了する。したがって、この例において、充電時間は、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122の充電開始(第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122は充電部に接続と同時に充電が開始されるとする。)から、第4電気自動車124の充電完了までにかかる時間である。
【0043】
[充電制御装置の例]
図4は、充電制御装置の例を示す図である。例えば、充電制御装置103は、Central Processing Unit(以下「CPU103H1」という。)、メモリ103H2、補助記憶装置103H3、入出力インタフェース(以下「入出力I/F103H4」という。)、及び、通信インタフェース(以下「通信I/F103H5」という。)を備える情報処理装置である。
【0044】
CPU103H1は、プログラム等に基づき、処理、及び、制御を行う制御装置、及び、演算装置の例である。
【0045】
メモリ103H2は、主記憶装置である。
【0046】
補助記憶装置103H3は、例えば、ハードディスク、又は、Solid State Drive(SSD)等である。
【0047】
入出力I/F103H4は、入力装置、及び、出力装置を接続するインタフェースである。
【0048】
通信I/F103H5は、外部装置とデータを送受信する通信を行う。すなわち、通信I/F103H5によって、外部装置から通知を受け取ることで、情報が取得される。
【0049】
以上のような構成により、充電制御装置103は、プログラム等に基づき、演算装置、制御装置、及び、主記憶装置を協働させて処理、及び、制御を行う。
【0050】
なお、ハードウェア構成は、上記に説明した構成に限られない。例えば、充電制御装置103は、外部、又は、内部に、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置、通信装置、又は、補助装置を更に備えてもよい。また、充電制御装置103は、複数の情報処理装置を有する情報処理システムであってもよい。
【0051】
[充電制御の例]
図5は、充電制御の切り替え例を示す図である。以下、1台の電気自動車を充電する場合において、充電を制御する例を説明する。
図5において縦軸は、電力量であり、横軸は、充電を開始してからの経過時間(以下単に「経過時間」という。)を示す。具体的には、横軸に示す経過時間は、電気自動車を接続した後、充電の待機が終わり、充電を開始する時点を「0」とした後、充電中となった状態で経過した時間である。
【0052】
充電は、充電開始から切り替えまでは(
図5の例における経過時間「0」から切替時点「Tc」までである。)、一定電流で充電する定電流制御(CC(Constant Current)充電制御、以下「CC」という場合がある。)で行う。
【0053】
そして、定電流制御で充電していくと、電圧が高くなっていく。次に、最大電力になると、充電は、定電流制御から定電圧制御(CV(Constant Voltage)、以下「CV」という場合がある。)に切り替える。
図5の例では、切替時点「Tc」以降が定電圧制御である。
【0054】
このように、充電制御は、定電流制御と定電圧制御を切り替えて用いる「定電流定電圧充電(CCCV充電)」が望ましい。なお、定電流定電圧充電制御は、終止条件(例えば、充電を行う時間、終了する電流、又は、充電した電力量等である。また、終止条件は事前に設定する。)となると、充電を終了するように充電器を制御する。
【0055】
定電流制御は、充電において電流を一定にし、時間経過に対して電圧を徐々に上げて充電する制御である。
図5の例では、切替時点T1Aとなる最大電力は、充電器が外部から指示される。以下、充電器が指示される充電する電力量の指示値を「指示値P1A」という。このように、指示値P1Aは、定電流制御において使用可能な最大電力量を示す。したがって、充電器は、指示値P1A以下の電力量で充電する。なお、指示値は、電圧を指示してもよい。以下、指示値P1Aが電力量である例で説明する。
【0056】
例えば、充電量は、充電率(SOC(State Of Charge)ともいう。)で判断される。充電率は、電池の充電状態を示す指標である。具体的には、充電率は、満充電率を「100%」とし、完全に放電し切った状態を「0%」として示す指標である。具体的には、「50kWh」の容量である電池が完全に放電し切った状態から「25kWh」分、充電されると、「(50‐25)/50×100=50%」となる。
【0057】
充電率と電圧は、相関性があるため、充電率が定まると、電圧が特定できる。したがって、充電率を計測して計測結果に基づき電圧、又は、電力量が定まってもよいし、直接電圧が計測されてもよい。
【0058】
定電流制御は、充電において電流を一定にし、かつ、時間経過に対して電圧を上げていく。そのため、
図5における経過時間が「0」の時点から切替時点T1Aまでのように、電力量は、指示値P1Aとなるまで上昇していく制御である。すなわち、定電流制御は、指示値P1Aで定まる最大電力以下の電力量で充電する制御が行われる。
【0059】
指示値P1Aは、充電器が外部からに指示される。なお、充電制御装置103は、最大電力の設定値が事前に設定されていてもよいが(所謂初期値が事前に設定されている。)、外部からの指示値P1Aが優先して採用されるのが望ましい。
【0060】
電池の仕様等によって、電気自動車ごとに最大電力は異なる場合が多い。したがって、電気自動車ごとに最大電力は最適値が異なる。ゆえに、最大電力は、充電制御装置103に設定される初期値より、電気自動車ごとに外部から指示される指示値P1Aを用いるのが望ましい。
【0061】
定電圧制御は、充電において電圧を一定にし、時間経過に対して電流を下げていく制御である。したがって、定電圧制御に切り替わると、実際に充電される電力量(以下「実際電力量」という。)は、指示値P1Aで指示している電力量より少量の電力量となる。例えば、実際電力量は、
図5において、実線で示す「FA(t)」のようになる。
【0062】
一方で、指示値P1Aの通り、すなわち、仮に定電流制御で最初から最後まで充電した場合には、
図5において、一点鎖線で示す「FB(t)」のようになる。「FA(t)」と比較すると、「FB(t)」は、切り替えがなく、指示値P1Aで電力が一定のまま充電される場合である。
【0063】
なお、切り替えが行われる前は、「FA(t)」と「FB(t)」は、同一のグラフとなる。以下、指示値P1Aで指示している電力量で最後まで充電する場合における電力量、すなわち、「FB(t)」で示す電力量を「指示電力量」という。
【0064】
電池は、充電されると、電子が蓄積するため、電圧が上昇しやすくなる。そのため、定電流制御で満充電まで充電すると、電圧が過度に高くなり、電池にダメージが生じる場合がある。そこで、指示値P1Aで定まる最大電力に達した後は、充電制御を定電圧制御に切り替えると、高電圧による電池へのダメージを少なくできる。
【0065】
充電制御は、定電流制御の方が定電圧制御より急速に充電が可能である。すなわち、同じ充電率を充電するのに、定電流制御による充電の方が、定電圧制御による充電より満充電となるまでの時間が短い。したがって、定電流制御は、「急速充電」等と呼ばれる場合もある。ゆえに、できるだけ定電流制御で充電を行うと、満充電となるまでの時間を短くできる。
【0066】
指示電力量と実際電力量は、切り替え後、すなわち、定電圧制御での充電では、差分が生じる。特に、定電圧制御は、徐々に電流を下げていくため、切り替えから時間が経過するほど差分が大きくなる。
【0067】
具体的には、指示電力量と実際電力量の差分は、切り替え後の経過時間における任意の時間(以下、「定電圧制御時点TNA」という。)において、
図5に示すように、「差分D(TNA)=P1A‐PNA」である。「P1A」は、指示値P1Aで指示される電力量である。また、「PNA」は、定電圧制御時点TNAにおける実際電力量である。
【0068】
定電圧制御時点TNAにおける実際電力量「PNA」は、電力メータ102で計測する計測結果で特定される。ただし、定電圧制御時点TNAにおける実際電力量「PNA」は、計算式等で算出されてもよい。
【0069】
差分D(TNA)分の電力は、他の電気自動車を充電するのに回すことができる余剰電力量となる。
【0070】
[実際電力量の低下の検出例、及び、充電傾向の算出例]
図6は、定電流制御における実際電力量の例を示す図である。例えば、定電流制御における実際電力量を5点計測した計測結果をプロットすると、実際電力量は、
図6における第11計測結果P11、第12計測結果P12、第13計測結果P13、第14計測結果P14、及び、第15計測結果P15のようになる。
【0071】
第11計測結果P11、第12計測結果P12、第13計測結果P13、第14計測結果P14、及び、第15計測結果P15に対し、最小二乗法で近似直線を描くと、第1直線G1のようになる。
【0072】
充電傾向は、第1直線G1の傾きで特定される。具体的には、第1直線G1は、所謂右肩上がりの傾きであり、第1直線G1が示す充電傾向は、時間経過に対して実際電力量が増加する傾向である。
【0073】
定電流制御は、充電において電流を一定にし、かつ、時間経過に対して電圧を上げていく充電制御であるため、第1直線G1の傾きのように、充電傾向は、増加傾向になる。
【0074】
なお、第1直線G1は、直線に限られず、2次曲線等になる場合もある。
【0075】
図7は、定電圧制御における実際電力量の例を示す図である。例えば、定電圧制御における実際電力量を5点計測した計測結果をプロットすると、実際電力量は、
図7における第21計測結果P21、第22計測結果P22、第23計測結果P23、第24計測結果P24、及び、第25計測結果P25のようになる。
【0076】
図6と同様に、第21計測結果P21、第22計測結果P22、第23計測結果P23、第24計測結果P24、及び、第25計測結果P25に対し、最小二乗法で近似直線を描くと、第2直線G2のようになる。
【0077】
充電傾向は、第2直線G2の傾きで特定される。具体的には、第2直線G2は、所謂右肩下がりの傾きであり、第2直線G2が示す充電傾向は、時間経過に対して実際電力量が減少する傾向である。
【0078】
定電圧制御は、充電において電圧を一定にし、かつ、時間経過に対して電流を下げていく充電制御であるため、第2直線G2の傾きのように、充電傾向は、減少傾向になる。
【0079】
図6、及び、
図7のように、実際電力量をプロットした複数の点を近似した直線の傾きを特定するのが望ましい。すなわち、直線が求めると、充電傾向が第1直線G1の傾きのような増加傾向であるか、又は、充電傾向が第2直線G2の傾きのような減少傾向のどちらであるかが特定できる。
【0080】
以上のように、まず実際電力量を複数回サンプリングしてプロットする。次に、複数回のサンプリング結果に対し、近似直線を算出する。近似直線は、実際電力量が増加傾向である場合には、傾きが正の値となり、第1直線G1のような直線となる。
【0081】
一方で、近似直線は、実際電力量が減少傾向である場合には、傾きが「0」に近い値、又は、負の値となり、第2直線G2のような直線となる。
【0082】
したがって、充電傾向を直線の傾きで判断すると、充電制御装置103は、実際電力量が低下している状態であるか否かが判断できる。
【0083】
このような充電傾向の特定は、充電傾向を判断するために設定する閾値(以下単に「閾値」という。)未満の電力量に実際電力量がなった場合に行われる。
【0084】
閾値は、ユーザが事前に設定する。例えば、
図5に示す例において、「閾値P2A」のように設定する。閾値P2Aは、十分に低い電力量となったと判断できる値が設定される。
【0085】
充電制御装置103は、実際電力量PNA(TNA)が閾値P2A未満であるか否かを判断する。すなわち、充電制御装置103は、計測結果に基づき、「実際電力量PNA(TNA)<閾値P2A」を満たすか否かを判断する。
【0086】
例えば、充電制御装置103は、定期的に「実際電力量PNA(TNA)<閾値P2A」の判断を行う。ただし、切り替えが行われる時間は、ある程度推定できるため、切り替えが行われると推定される時間以降に、充電制御装置103は、「実際電力量PNA(TNA)<閾値P2A」の判断を行う等でもよい。
【0087】
具体的には、
図5に示す定電圧制御時点TNAの時点では、「実際電力量PNA(TNA)>閾値P2A」であるため、「実際電力量PNA(TNA)<閾値P2A」の判断条件を満たさない状態である。
【0088】
一方で、定電圧制御が行われると、
図5における時間「T2B」のように、実際電力量が「P2B」まで低下する。実際電力量が「P2B」であれば、「P2B<閾値P2A」であるため、「実際電力量<閾値P2A」の判断条件を満たす状態である。
【0089】
実際電力量が閾値未満の判断条件を満たすと判断すると、充電制御装置103は、
図6、又は、
図7のように、充電傾向を算出する。そして、
図7のように、充電傾向が減少傾向であると、充電制御装置103は、実際電力量が低下していると判断する。
【0090】
このように、実際電力量の低下は、閾値による判断、及び、充電傾向の2つの判断に基づいて検出されるのが望ましい。例えば、閾値だけで判断すると、ノイズ、又は、電力量のゆらぎ等が生じるため、実際電力量の低下が精度良く検出できない。
【0091】
一方で、閾値による判断、及び、充電傾向の2つの判断で実際電力量の低下を検出すると、実際電力量の低下が精度良く検出できる。なお、閾値による判断、及び、充電傾向は、順に判断してもよいし、又は、両方の判断を満たす(所謂「AND」の判断である。)場合を実際電力量が低下していると判断してもよい。
【0092】
また、複数の実際電力量をプロットした複数の点を近似した直線の傾きで実際電力量の低下を検出すると、切り替えが確実に起きたのを検出できる。例えば、1点の結果だけで切り替えを検出すると、実際電力量が安定していない状態等でも、切り替えを検出してしまう場合がある。このように検出すると、実際電力量の低下の有無が頻繁に変動してしまう場合がある。この検出結果が不安定であると、充電の対象が頻繁に変更されてしまう。
【0093】
一方で、複数の実際電力量をプロットした複数の点を近似した直線の傾きで実際電力量の低下を検出すると、実際電力量が確実に低下している状態を検出できる。そのため、安定した充電ができる。
【0094】
[充電する対象の変更例]
図8は、充電する対象の変更例を示す図である。以下、
図3に示す第1ユースケース、第2ユースケース、第3ユースケースというユースケースに分けて説明する。
【0095】
また、充電制御システム100が充電している実際電力量の合計を「総電力量」という。そして、総電力量には、上限値Pmaxが事前に設定される。
【0096】
事業者向けの電気料金は、「実量制」によって定まる契約電力で基本料金が定まる場合がある。具体的には、契約電力は、例えば、過去1年間において各月の最大需要電力のうち、最も大きい電力量で決定する場合がある。
【0097】
最大需要電力は、例えば、30分ごとの平均使用電力量のうち、月間で最も大きい電力量が採用される。したがって、同時に使用する負荷設備が多いほど、最大需要電力は、大きくなりやすい。したがって、電気料金を抑えるには、消費する電力量のピークを小さくする。ゆえに、電力量は、同時に集中させず、平準化させるのが望ましい。
【0098】
そこで、充電制御システム100に対して、ユーザが上限値Pmaxを事前に設定する。次に、充電制御システム100が使用する電力量、すなわち、総電力量が上限値Pmaxを超える条件であると、充電制御システム100は、充電する複数の電気自動車のうち、いずれかの電気自動車を充電するのを待機する。
【0099】
なお、上限値Pmaxは、契約電力、又は、電気料金以外に基づいて設定されてもよい。例えば、上限値Pmaxは、電源310の許容値等で定めてもよい。
【0100】
図8(A)は、第1ユースケースの充電例を示すグラフである。具体的には、
図8(A)は、
図3(A)に示すように、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122を充電制御システム100に接続した場合の総電力量である。以下、第1電気自動車121の方が第2電気自動車122より早く充電を開始したとする。
【0101】
図8(A)のように、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122も、まだ充電を開始したばかりの状態であると、いずれも定電流制御で充電される。
【0102】
以下、
図8(A)のように、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122を並列充電し、かつ、切り替え前状態(充電制御を切り替える前の状態をいう。以下、「第1状態」という。)における第1電気自動車121の実際電力量を「第11実際電力量E1A」という。
【0103】
一方で、第1状態における第2電気自動車122の実際電力量を「第21実際電力量E1B」という。
【0104】
定電流制御では、
図5に示すように、指示値P1Aに基づく電力量で充電される。したがって、「第11実際電力量E1A=第21実際電力量E1B=指示値P1A」(第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122の電池、及び、指示値P1Aは同じとする。)となる。ゆえに、「第1状態における総電力量=2×指示値P1A」である。
【0105】
そして、充電を継続すると、第1電気自動車121を充電する充電制御は、定電流制御から定電圧制御に切り替えられる。このような切り替えがされると、総電力量は、
図8(A)に示す総電力量から
図8(B)に示すような総電力量に遷移する。
【0106】
図8(B)は、第1状態から、第1電気自動車121の充電制御を定電圧制御に切り替えた場合の例を示す図である。以下、
図8(B)に示すように、2台の電気自動車を充電している状態において1台の充電制御が定電流制御から定電圧制御に切り替えられた状態を「第2状態」という。
【0107】
第2状態は、第1状態と比較すると、第11実際電力量E1Aが低下している点が異なる。以下、第11実際電力量E1Aから低下した、第1電気自動車121の実際電力量を「第12実際電力量E2A」という。
【0108】
第12実際電力量E2Aは、例えば、
図5における時間「T2B」の時点での実際電力量である「P2B」になる。そして、「第11実際電力量E1A>第12実際電力量E2A」であり、かつ、第1状態から第21実際電力量E1Bは維持されている(第2電気自動車122の充電制御は、まだ切り替えない。)と、総電力量は、第1状態と比較して、第2状態の方が少量となる。
【0109】
第1状態と第2状態の総電力量の差分D(TNA)が余剰電力量となる。余剰電力量を含む上限値Pmaxまでの充電可能量に基づき、充電制御システム100は、充電する対象が変更できるかを判断する。
【0110】
まず、第2ユースケースにおいて、以下のような場合がある。
【0111】
図8(C)は、第3電気自動車123の充電を待機する例である。以下、第1電気自動車121、第2電気自動車122、及び、第3電気自動車123は、指示値P1Aが同一であるとする。
【0112】
図8(C)は、第1電気自動車121、第2電気自動車122、及び、第3電気自動車123を同時に指示値P1Aで充電する場合である。以下、第1電気自動車121、第2電気自動車122、及び、第3電気自動車123を同時に指示値P1Aで充電する状態を「第3状態」という。
【0113】
また、第3状態における第3電気自動車123の実際電力量を「第31実際電力量E1C」という。したがって、「第11実際電力量E1A=第21実際電力量E1B=第31実際電力量E1C=指示値P1A」である。
【0114】
第3状態では、「第3状態における総電力量=3×指示値P1A」である。そして、
図8(C)に示すように、総電力量が上限値を超える条件であると、充電制御システム100は、第3電気自動車123の充電開始を待機する。
【0115】
一方で、第3電気自動車123の充電がなければ、総電力量が上限値Pmaxを超えないため、充電制御システム100は、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122を第1状態(前半)、又は、第2状態(後半)のように充電する。
【0116】
第1状態において、総電力量と上限値Pmaxの差分(以下、「第1状態可能量X1」という。)が指示値P1A未満であると、
図8(C)に示すように、第3電気自動車123の充電をすると総電力量が上限値Pmaxを超えるため、充電制御システム100は、第3電気自動車123の充電を開始しない。
【0117】
一方で、第1状態は、時間が経過すると、第1電気自動車121の充電制御の切り替えによって、第2状態に遷移する。
【0118】
第2状態において、総電力量と上限値Pmaxの差分(以下、「第2状態可能量X2」という。)は、第1状態と第2状態の総電力量の差分D(TNA)の分、第1状態可能量X1より多量になる。そして、第2状態可能量X2であれば、以下のように第3電気自動車123の充電開始が可能な場合がある。
【0119】
図8(D)は、第3電気自動車123の充電が可能な例である。以下、
図8(D)に示すように、第2状態に対し、第3電気自動車123の充電を追加して開始した場合を「第4状態」という。
【0120】
第4状態は、第3状態と比較すると、第1電気自動車121の充電制御が定電流制御から定電圧制御に切り替わっているため、第1電気自動車121の実際電力量が、指示値P1Aではなく、第12実際電力量E2Aである。
【0121】
第4状態は、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122の充電に加えて、第3電気自動車123の充電を追加して開始しても、総電力量が上限値Pmaxを超えない場合である。
【0122】
このように、第1電気自動車121の充電制御の切り替えがされた場合において、実際電力量に基づき、充電制御システム100は、総電力量が上限値Pmaxを超えるか否かを判断する。
【0123】
そして、第4状態のように、第3電気自動車123の充電を開始しても総電力量が上限値Pmaxを超えないと判断すると、充電制御システム100は、第3電気自動車123の充電を追加して開始する、すなわち、充電の対象を2台から3台に変更する。
【0124】
このようなタイミングで充電する対象を変更できると、例えば、第1電気自動車121の充電が終了するのを待って第3電気自動車123の充電を開始するより、第3電気自動車123の充電を早く開始できる。そのため、第3電気自動車123の充電を前倒して開始する分、充電時間を短縮化させることができる。
【0125】
なお、第4状態以降、すなわち、第4電気自動車124以降の4台目となる電気自動車についても同様に変更されるのが望ましい。
【0126】
図9は、第4電気自動車を充電する対象に変更する例を示す図である。例えば、第4状態、すなわち、
図8(D)に示すように、第1電気自動車121、第2電気自動車122、及び、第3電気自動車123を充電の対象としている状態に、更に第4電気自動車124の充電を開始したとすると、以下のようになる。
【0127】
図9(A)は、第2電気自動車122が切り替え前である例を示す図である。以下、
図9(A)に示すように、第4状態において、第4電気自動車124の充電を更に開始した状態を「第5状態」という。
【0128】
第5状態は、「第5状態における総電力量=第12実際電力量E2A+3×指示値P1A」である。そして、「第5状態における総電力量>上限値Pmax」であると、充電制御システム100は、第4電気自動車124の充電を開始するのを待機する。
【0129】
そして、第1電気自動車121と同様に、充電制御システム100は、第2電気自動車122の充電制御が切り替わるのを検出するのが望ましい。具体的には、充電制御システム100は、充電制御の切り替えによって、以下のような状態を検出する。
【0130】
図9(B)は、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122が定電圧制御で充電される状態の例を示す図である。以下、
図9(B)に示すように、充電制御システム100が、第1電気自動車121、第2電気自動車122、及び、第3電気自動車123の3台を充電し、かつ、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122の充電制御が定電圧制御に切り替わった後の状態を「第6状態」という。
【0131】
第6状態は、第5状態と比較すると、第2電気自動車122の実際電力量が低下している点が異なる。以下、第4状態における総電力量と上限値Pmaxの差分を第3状態可能量X3という。また、第6状態における総電力量と上限値Pmaxの差分を第4状態可能量X4という。
【0132】
第4状態可能量X4は、第3状態可能量X3と比較すると、第2電気自動車122の実際電力量が低下した分、第3状態可能量X3より多量になる。
【0133】
したがって、第3状態可能量X3では、第4電気自動車124を指示値P1Aで充電できなくとも、第4状態可能量X4であれば、第4電気自動車124を指示値P1Aで充電できる場合がある。ゆえに、充電制御システム100は、第2電気自動車122の充電制御が定電圧制御に切り替わったのを検出すると、第4電気自動車124を充電する対象に変更するかを判断するのが望ましい。
【0134】
そして、第6状態における総電力量に指示値P1Aを加えても、総電力量が上限値Pmaxを超えないと判断すると、充電制御システム100は、第4電気自動車124の充電を開始するように充電の対象を3台から4台に変更する。一方で、第6状態における総電力量に指示値P1Aを加えると、以下のように総電力量が上限値Pmaxを超える場合がある。
【0135】
図9(C)は、第4電気自動車124の充電を開始すると総電力量が上限値Pmaxを超える場合の例を示す図である。以下、
図9(C)に示すように、第6状態において、更に第4電気自動車124を指示値P1Aで充電した状態を「第7状態」という。
【0136】
第7状態は、第5状態と比較すると、第6状態の通り、第2電気自動車122の実際電力量が低下している点が異なる。しかし、第7状態は、第6状態に更に第4電気自動車124を指示値P1Aで充電すると、総電力量が上限値Pmaxを超える状態である。
【0137】
第7状態の状態になると判断されると、充電制御システム100は、第4電気自動車124の充電が開始されるのを引き続き待機させる。そして、以下のようになると、充電制御システム100は、第4電気自動車124の充電を開始する。
【0138】
図9(D)は、第1電気自動車121の充電が終了した場合の例を示す図である。以下、
図9(D)に示すように、第7状態において第1電気自動車121の充電が終了した状態を「第8状態」という。
【0139】
第8状態は、第7状態と比較すると、第1電気自動車121の充電が終了したため、第1電気自動車121への充電を停止し、第1電気自動車121の実際電力量がない点が異なる。
【0140】
このような状態であれば、更に第4電気自動車124を指示値P1Aで充電しても、総電力量が上限値Pmaxを超えない状態である。
【0141】
以上のように、充電中の総電力量に追加して充電を行うと、総電力量が上限値Pmaxを超えるか否かが判断されて、充電制御システム100は、追加して充電を開始してよいか否かを判断するのが望ましい。
【0142】
[2台の被充電装置の例]
第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122の2台のみが充電部に接続する場合がある。そして、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122を同時に定電流制御で充電すると、総電力量が上限値Pmaxを超える場合であるとする。
【0143】
このような場合には、充電制御装置103は、第1電気自動車121の充電を開始し、かつ、第2電気自動車122の充電を待機するように制御する。
【0144】
次に、第1電気自動車121を充電する充電制御が定電流制御から定電圧制御に切り替ったと検出すると、充電制御装置103は、第2電気自動車122を追加して充電するように充電の対象を変更する。
【0145】
このように、2台の被充電装置の場合でも、第2電気自動車122の充電を開始するのが、第1電気自動車121の充電が終了するよりも前に開始されるため、第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122を充電部に接続してから、第2電気自動車122の充電が終了するまでの充電時間を短縮することができる。
【0146】
[全体処理例]
図10は、全体処理例を示す図である。以下、第1電気自動車121乃至第3電気自動車123の3台の電気自動車が充電器に接続された時点を全体処理の開始とする。
【0147】
ステップS01では、充電制御装置103は、各充電部から各充電部の状態を受け付ける。例えば、各充電部の状態は、バッテリー接続有無、若しくは、充電器中であるか否かのステータス、又は、使用中の電力量等である。また、各充電部が急速充電を行う場合には、SOC等も各充電部の状態に含まれる。
【0148】
ステップS02では、充電制御装置103は、充電する対象のうち、充電を待機させる対象がある場合には、充電を待機するように制御する。具体的には、ステップS02は、
図8(C)に示す第3状態となる場合には、第3電気自動車123の充電開始を待機する制御である。このように、充電制御装置103は、各充電部の状態に基づき、充電指示の指示対象を決める。
【0149】
ステップS03では、充電制御装置103は、各充電部から実際の充電で使用している電力量を取得する。なお、電力制御対象設備300が使用する電力量は、ステップS01より前に、電力メータ102から取得される。 ステップS04では、充電制御装置103は、第1電気自動車121等が充電中であるか否かを判断する。
【0150】
次に、第1電気自動車121が充電中であると判断すると(ステップS04でYES)、充電制御装置103は、ステップS05に進む。一方で、第1電気自動車121が充電中でないと判断すると(ステップS04でNO)、充電制御装置103は、ステップS02に進む。
【0151】
すなわち、ステップS04で第1電気自動車121が充電中でないと判断される場合(ステップS04でNO)は、第1電気自動車121の充電が終了した場合等である。この場合には、充電を待機中の電気自動車があれば、充電制御装置103は、充電待機を解除し、充電を開始する。なお、待機中の電気自動車がない場合には、全体処理は終了する。
【0152】
次に、充電制御装置103は、充電制御の切り替えを検出する。例えば、充電制御の切り替えは、以下のようなステップS05乃至ステップS10の処理で実現する。なお、充電制御の切り替えを検出は、ステップS05乃至ステップS10に限られない。
【0153】
ステップS05では、充電制御装置103は、実際電力量が閾値未満か否かを判断する。すなわち、ステップS05では、充電制御装置103は、実際電力量が低い値であるか否かを判断する。具体的には、ステップS05は、
図5に示すように、閾値P2Aを事前に設定して、計測した実際電力量と、閾値P2Aとを比較して実行する。
【0154】
次に、実際電力量が閾値未満であると判断されると(ステップS05でYES)、充電制御装置103は、ステップS06に進む。一方で、実際電力量が閾値未満でないと判断されると(ステップS05でNO)、充電制御装置103は、ステップS10に進む。
【0155】
ステップS06では、充電制御装置103は、実際電力量の計測がN回以上されたか否かを判断する。なお、「N回」は、
図6、又は、
図7のように、充電傾向を算出するのに用いる近似直線を生成するのに要するサンプリング数である。また、「N回」は事前に設定する値である。ただし、「N」は、2以上の値である。
【0156】
すなわち、ステップS06は、「N回」以上の計測がされて、「N点」以上プロットできる実際電力量が計測されたか否かを判断する処理である。
【0157】
次に、実際電力量の計測がN回以上されたと判断すると(ステップS06でYES)、充電制御装置103は、ステップS07に進む。一方で、実際電力量の計測がN回以上されていないと判断されると(ステップS06でNO)、充電制御装置103は、ステップS10に進む。
【0158】
ステップS07では、充電制御装置103は、充電傾向を算出する。例えば、充電制御装置103は、
図6、又は、
図7のように、傾きが充電傾向を示す直線を生成する。そして、計測結果をプロットした点を近似した直線の傾きによって、充電傾向を算出する。
【0159】
ステップS08では、充電制御装置103は、充電傾向が減少傾向であるか否かを判断する。具体的には、充電制御装置103は、充電傾向が、
図6のような増加傾向であるか、又は、
図7のような減少傾向であるかを判断する。
【0160】
次に、充電傾向が減少傾向であると判断すると(ステップS08でYES)、充電制御装置103は、ステップS09に進む。一方で、充電傾向が減少傾向でないと判断すると(ステップS08でNO)、充電制御装置103は、ステップS10に進む。
【0161】
ステップS09では、充電制御装置103は、実際電力量が低下したと判断する。このように実際電力量が低下したという判断によって、充電制御装置103は、充電制御が定電流制御から定電圧制御に切り替ったと検出するのが望ましい。
【0162】
ステップS10では、充電制御装置103は、実際電力量が低下していないと判断する。このように実際電力量が低下していないという判断によって、充電制御装置103は、充電制御が定電流制御から切り替っていないと判断するのが望ましい。
【0163】
ステップS11では、充電制御装置103は、切り替え、及び、上限値Pmax等に基づき対象を変更する。具体的には、ステップS11では、充電制御装置103は、待機中である第3電気自動車123を追加して充電対象とする。このように、充電制御装置103は、充電の対象を2台から3台に変更する。
【0164】
また、電力メータ102による計測によって、電力制御対象設備300が使用する電力量が定まる。ゆえに、充電制御装置103は、電力メータ102から計測結果を取得すると、電力制御対象設備300が使用する電力量を確保して、電気自動車を充電するのに使用できる電力量を算出できる。この算出結果に基づき、充電制御システム100は、電気自動車を充電するのに上限値Pmaxまでの電力量が使用可能である。
【0165】
例えば、夏の季節におえる日中の時間帯は、冷房等の空調設備が多量の電力量を使用するので、電力制御対象設備300が使用する電力量は多量になる場合がある。このような場合には、電気自動車を充電するのに使用できる電力量は、少なく設定され、上限値Pmaxには低い値が設定される。
【0166】
ステップS12では、充電制御装置103は、充電する対象を維持する。具体的には、ステップS12では、充電制御装置103は、充電する対象を変更せず、引き続き第1電気自動車121、及び、第2電気自動車122の2台を充電の対象とし、かつ、第3電気自動車123の1台を待機の対象とする。
【0167】
なお、全体処理は、上述する処理内容、及び、処理順序に限られない。
【0168】
[機能構成例]
図11は、機能構成例を示す図である。例えば、充電制御システム100は、第1充電部100F1、第2充電部100F2、第3充電部100F3、及び、充電制御装置103を有する。
【0169】
以下、被充電装置を3台とする例で説明するが、被充電装置は4台以上であってもよい。そして、被充電装置が4台以上の場合には、図示するように、第4充電部100F4のように、更に充電部、及び、計測部がある構成でもよい。
【0170】
また、充電制御システム100は、各充電部が充電する電力量を計測するため、第1充電部100F1乃至第4充電部100F4に対し、第1計測部100F13乃至第4計測部100F16を備える。そして、充電制御システム100は、電源310に対して、設備充電計測部100F5を更に備える。なお、設備充電計測部100F5を含む各計測部の配置、及び、数は、充電制御システム100が電力量を制御する対象によって異なる。
【0171】
充電制御装置103は、取得部100F6、設定部100F7、変更部100F8、受付部100F9、待機制御部100F10、及び、切替部100F11を備える。さらに、充電制御装置103は、検出部100F12を更に備えるのが望ましい。
【0172】
第1充電部100F1は、第1被充電装置201に接続し、第1被充電装置201を充電する。例えば、第1充電部100F1は、第1充電器111等で実現する。
【0173】
第2充電部100F2は、第2被充電装置202に接続し、第2被充電装置202を充電する。例えば、第2充電部100F2は、第2充電器112等で実現する。
【0174】
第3充電部100F3は、第3被充電装置203に接続し、第3被充電装置203を充電する。例えば、第3充電部100F3は、第3充電器113等で実現する。
【0175】
第4充電部100F4は、第4被充電装置204に接続し、第4被充電装置204を充電する。例えば、第4充電部100F4は、第4充電器114等で実現する。
【0176】
電源310は、充電制御システム100、及び、電力制御対象設備300に接続し、充電制御システム100、及び、電力制御対象設備300に電力を提供する。
【0177】
第1計測部100F13乃至第4計測部100F16は、第1充電部100F1乃至第4充電部100F4が充電した実際電力量を計測する計測手順を行う。例えば、第1計測部100F13乃至第4計測部100F16は、第1計測機301乃至第4計測機304等で実現する。
【0178】
取得部100F6は、第1計測部100F13乃至第4計測部100F16、及び、設備充電計測部100F5による計測結果を取得する取得手順を行う。例えば、取得部100F6は、通信I/F103H5等で実現する。
【0179】
設定部100F7は、受付部100F9が受け付ける第1充電部100F1乃至第4充電部100F4のそれぞれの状態、及び、設備充電計測部100F5による計測結果等に基づき、上限値Pmaxを設定する設定手順を行う。例えば、設定部100F7は、通信I/F103H5、及び、入出力I/F103H4等で実現する。なお、図示するように、充電制御システム100が電力制御対象設備300も電力制御する場合には、上限値Pmax(すなわち、電気自動車を充電するのに使用可能な総電力量である。)は、電力制御対象設備300が使用する電力量も考慮して設定される。
【0180】
変更部100F8は、第1被充電装置201を充電する充電制御が定電圧制御に切り替ったと検出すると、充電、又は、待機の対象にする被充電装置を変更する変更手順を行う。例えば、変更部100F8は、CPU103H1等で実現する。
【0181】
受付部100F9は、第1充電部100F1乃至第4充電部100F4のそれぞれの状態を受け付ける受付手順を行う。例えば、受付部100F9は、通信I/F103H5等で実現する。
【0182】
待機制御部100F10は、総電力量が上限値Pmaxを超えると判断すると、複数の被充電装置のうち、第2被充電装置202乃至第4被充電装置204のいずれかを充電するのを待機させる待機制御手順を行う。例えば、待機制御部100F10は、CPU103H1等で実現する。なお、待機制御部100F10が充電、又は、待機の対象とする被充電装置は、被充電装置の接続、及び、充電部の数等によって異なる。
【0183】
切替部100F11は、第1被充電装置201を充電する充電制御を指示値P1Aで定まる一定電流で充電する定電流制御から、一定電圧で充電する定電圧制御に切り替える切替手順を行う。例えば、切替部100F11は、CPU103H1等で実現する。
【0184】
検出部100F12は、例えば、実際電力量が閾値未満であるか否かの判断、及び、充電傾向に基づく実際電力量の低下等によって、実際電力量の低下を検出すると、第1被充電装置201を充電する充電制御が定電流制御から定電圧制御に切り替ったと検出する検出手順を行う。例えば、検出部100F12は、CPU103H1等で実現する。
【0185】
設備充電計測部100F5は、設備電力量を計測する設備充電計測手順を行う。例えば、設備充電計測部100F5は、電力メータ102等で実現する。
【0186】
複数の被充電装置を充電対象とする場合において、総電力量が上限値Pmaxを超えると判断すると、待機制御部100F10は、第3被充電装置203等を充電するのを待機させる。一方で、総電力量が指示値P1Aを超えない範囲で、複数の被充電装置の充電が並行して開始される。
【0187】
そして、第1計測部100F13乃至第4計測部100F16によって、実際電力量を計測すると、第1被充電装置201を充電する充電制御を切替部100F11が定電流制御から定電圧制御に切り替えるのを検出できる。このような切り替えが起きたのを検出して、変更部100F8は、第3被充電装置203の充電を開始させて、充電、又は、待機の対象を変更する。
【0188】
このように、上述の構成であれば、充電制御の切り替えタイミングに基づいて、第3被充電装置203の充電を早く開始するように、充電、又は、待機の対象を変更できる。そのため、第1被充電装置201の充電が終了するのを待ってから第3被充電装置203の充電を開始するのと比較すると、充電の開始が前倒しできるため、充電時間を短縮することができる。
【0189】
総電力量が上限値Pmaxを超えないように充電ができるため、電気料金を抑える等ができる。
【0190】
[比較例]
図12は、比較例を示す図である。例えば、
図11における充電制御システム100が第1計測部100F13乃至第4計測部100F16、及び、検出部100F12等がない構成の比較例で説明する。なお、第4電気自動車124の指示値P1Aで充電する場合の実際電力量を「第41実際電力量E1D」という。
【0191】
実際電力量が計測、及び、取得されないと、総電力量は、
図12(A)、
図12(C)、又は、
図12(E)のように、指示値P1A、すなわち、定電流制御で充電されると推定される。また、定電流制御から定電圧制御の切り替えを検出しない場合も同様である。
【0192】
一方で、実際には、充電制御は、定電流制御から定電圧制御に切り替えられる。したがって、総電力量は、
図12(B)、
図12(D)、又は、
図12(F)である。
【0193】
図12(B)、
図12(D)、又は、
図12(F)のように、余剰電力量がある状態であれば、もう1台の電気自動車を追加しても、総電力量が上限値Pmaxを超えない状態であっても、比較例では、1台の電気自動車の充電が終了するのを待機する。そのため、充電時間が長くなる。
【0194】
[変形例]
充電制御の切り替えを検出するのは、Artificial Intelligence(AI、例えば、ディープラーニング(deep learning、深層学習)等である。)等で行ってもよい。例えば、計測部による計測結果、及び、充電制御を示すデータを学習データとした「教師あり」の学習で、学習部が学習モデルを事前に学習させて「学習済みモデル」を生成する。このような学習済みモデルを用いて、計測結果を入力して充電制御を判断する実行部に、充電制御を特定させた結果を出力させる。このようにして、AIによって、充電制御の切り替えが検出されてもよい。
【0195】
[その他の実施形態]
前述の処理、及び、本実施形態で実行される処理に用いるデータは、情報処理システムによって実行、及び、記憶されてもよい。例えば、情報処理システムは、処理又は記憶を冗長、分散、並列、又は、これらの組み合わせを実現するため、複数の情報処理装置で実行又は記憶してもよい。したがって、本発明は、前述に示すハードウェア構成以外の装置、及び、前述に示す装置以外のシステムで実現されてもよい。
【0196】
また、本発明に係る充電制御方法は、プログラムで実現されてもよい。プログラムは、単一のプログラムに限定されず、複数のプログラムの集合体でもよい。また、本発明に係るプログラムは、単一の装置で実行されるものに限定されず、複数の情報処理装置で分担して実行されてもよい。さらに、各情報処理装置の役割分担は、前述の例に限定されない。すなわち、前述した処理の一部、又は、全部が前述した情報処理装置とは異なる情報処理装置が実行してもよい。
【0197】
さらに、プログラムによって実現される各手段の一部、又は、全部は、集積回路等のハードウェアで実現することもできる。さらに、プログラムは、コンピュータによって読み出し可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。記録媒体とは、例えば、ハードディスク、SDカード(登録商標)、DVD等の光学ディスク、又は、インターネット上のサーバ等を指す。したがって、プログラムは、インターネット等の電気通信回線を介して配信されでもよい。
【0198】
また、情報処理システムを構成する情報処理装置等は、海外にあってもよい。
【0199】
本発明は上述の実施例に限定されない。ゆえに、本発明には、上述する実施例以外に様々な変形例が含まれる。また、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える実施形態に限定されない。例えば、実施例の一部を他の構成に置き換えてもよい。又は、実施例の構成に他の構成を加えてもよい。このように、各実施例は、構成に他の構成が追加、構成の削除、又は、構成の置換がされてもよい。ゆえに、特許請求の範囲に記載する技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上述に例示する実施例は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0200】
100 :充電制御システム
100F1 :第1充電部
100F10 :待機制御部
100F11 :切替部
100F12 :検出部
100F13 :第1計測部
100F14 :第2計測部
100F15 :第3計測部
100F16 :第4計測部
100F2 :第2充電部
100F3 :第3充電部
100F4 :第4充電部
100F5 :設備電力計測部
100F6 :取得部
100F7 :設定部
100F8 :変更部
100F9 :受付部
102 :電力メータ
103 :充電制御装置
111 :第1充電器
112 :第2充電器
113 :第3充電器
114 :第4充電器
301 :第1計測機
302 :第2計測機
303 :第3計測機
304 :第4計測機
121 :第1電気自動車
122 :第2電気自動車
123 :第3電気自動車
124 :第4電気自動車
201 :第1被充電装置
202 :第2被充電装置
203 :第3被充電装置
204 :第4被充電装置
300 :電力制御対象設備
310 :電源
E1A :第11実際電力量
E1B :第21実際電力量
E1C :第31実際電力量
E1D :第41実際電力量
E2A :第12実際電力量
G1 :第1直線
G2 :第2直線
P1A :指示値
P2A :閾値
PNA :実際電力量
Pmax :上限値
T1A :切替時点
TNA :定電圧制御時点
X1 :第1状態可能量
X2 :第2状態可能量
X3 :第3状態可能量
X4 :第4状態可能量