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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136952
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 15/08 20060101AFI20240927BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240927BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 36/185 20060101ALN20240927BHJP
   A61K 31/36 20060101ALN20240927BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20240927BHJP
   A23L 25/00 20160101ALN20240927BHJP
【FI】
C09K15/08
A61P9/10 101
A61P39/06
A61P35/00
A61K36/185
A61K31/36
A23L33/105
A23L25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048266
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】596170550
【氏名又は名称】かどや製油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100194836
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 優一
(72)【発明者】
【氏名】山上 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 恒平
(72)【発明者】
【氏名】秡川 紫乃
【テーマコード(参考)】
4B018
4B036
4C086
4C088
4H025
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD56
4B018MD94
4B018ME06
4B018ME14
4B018MF01
4B036LC06
4B036LE02
4B036LH06
4B036LH27
4B036LK06
4B036LP07
4C086BA13
4C086CA01
4C086NA14
4C086ZA45
4C086ZB26
4C086ZC37
4C088AB12
4C088AC04
4C088BA08
4C088BA10
4C088BA19
4C088CA06
4C088CA09
4C088NA14
4C088ZA45
4C088ZB26
4C088ZC37
4H025AA12
4H025AC04
(57)【要約】
【課題】ゴマ油由来の白土油滓から、高濃度のリグナン類を含有する抽出物を効率的に製造する方法を提供し、そのリグナン類を含有する抽出物に褐変成分が含まれ、強い抗酸化性をもつ組成物を提供できるようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明は、ゴマ油由来の白土油滓と無極性溶媒とを混合し、その後濾過した瀘液から無極性溶媒を除去して得た第1のリグナン類抽出物を含み、第1のリグナン類抽出物が褐変成分を含むことを特徴とする。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴマ油由来の白土油滓と無極性溶媒とを混合し、その後濾過した瀘液から前記無極性溶媒を除去して得た第1のリグナン類抽出物を含み、前記第1のリグナン類抽出物が褐変成分を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記濾過による残渣とアルコールとを混合し、その後濾過した瀘液から前記アルコールを除去して得た第2のリグナン類抽出物を含み、前記第2のリグナン類抽出物が褐変成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ゴマ油由来の白土油滓とアルコールとを混合し、その後濾過した濾液から前記アルコールを除去して得た第3のリグナン類抽出物を含み、前記第3のリグナン類抽出物が褐変成分を含むことを特徴とする組成物。
【請求項4】
前記白土油滓が、焙煎ゴマ油由来の白土油滓であり、
前記第1のリグナン類抽出物が、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンのいずれか又は全てを含み、
前記第1のリグナン類抽出物が抗酸化能を有しており、DPPHによるラジカル消去活性評価法でDPPHラジカル消去率50%を示す値が60~70mg/mlである
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記白土油滓が、精製ゴマ油由来の白土油滓であり、
前記第1のリグナン類抽出物が、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンのいずれか又は全てを含み、
前記第1のリグナン類抽出物が抗酸化能を有しており、DPPHによるラジカル消去活性評価法でDPPHラジカル消去率50%を示す値が190~800mg/mlである
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記白土油滓が、焙煎ゴマ油由来の白土油滓であり、
前記第2のリグナン類抽出物が、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンのいずれか又は全てを含み、
前記第2のリグナン類抽出物が抗酸化能を有しており、DPPHによるラジカル消去活性評価法でDPPHラジカル消去率50%を示す値が4mg/ml以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記白土油滓が、精製ゴマ油由来の白土油滓であり、
前記第2のリグナン類抽出物が、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンのいずれか又は全てを含み、
前記第2のリグナン類抽出物が抗酸化能を有しており、DPPHによるラジカル消去活性評価法でDPPHラジカル消去率50%を示す値が4mg/ml以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記白土油滓が、焙煎ゴマ油由来の白土油滓であり、
前記第3のリグナン類抽出物が、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンのいずれか又は全てを含み、
前記第3のリグナン類抽出物が抗酸化能を有しており、DPPHによるラジカル消去活性評価法でDPPHラジカル消去率50%を示す値が25mg/ml以下である
ことを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記白土油滓が、精製ゴマ油由来の白土油滓であり、
前記第3のリグナン類抽出物が、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンのいずれか又は全てを含み、
前記第3のリグナン類抽出物が抗酸化能を有しており、DPPHによるラジカル消去活性評価法でDPPHラジカル消去率50%を示す値が10mg/ml以下である
ことを特徴とする請求項3に記載の組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグナン類抽出物を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リグナンとは、植物に含まれている化合物群(C-Cのフェニルプロパン類)の一種で、p-ヒドロキシフェニルプロパン単位の酸化的カップリングにより生成した低分子化合物群である。
【0003】
ゴマ種子には、リグナンの一種であるゴマリグナンが含まれており、その主要な成分として、セサミン、セサモリン、セサモール、セサミノールなどを挙げることができる。例えば、セサミノールには、強力な抗酸化活性、抗動脈硬化作用、抗ガン作用などがあり、セサミノールをはじめとするゴマ種子に含まれているリグナンについては、健康食品、医薬品、化粧品などへの利用が期待されている。
【0004】
特許文献1には、ゴマ種子の粉砕物、脱脂粕から、セサミノールを含む含有物を製造する製造方法が開示されている。一般に、セサミノールはゴマ種子中では、セサミノールに糖が結合した配糖体(セサミノール配糖体)として含まれている。そのため、セサミノールをゴマ種子から抽出するためには、特許文献1に開示されているように、配糖体の糖鎖を切断して、セサミノールを分離する方法が取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-169784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、ゴマ種子由来のゴマ油、ゴマ種子には、強い抗酸化性があり、酸化安定性が高いことが知られている。高い酸化安定性が何に由来するものであるか明らかにされていないが、ゴマ種子由来のゴマ油、ゴマ種子の粉砕物などには何かしらの褐変成分が含まれており、その褐変成分が抗酸化性に関与している。
【0007】
ところで、ゴマ種子だけでなく、例えばゴマ油の製造過程におけるゴマ油の脱色処理で利用された白土油滓にもリグナンが豊富に含まれていることが考えられているが、これまで白土油滓からリグナンを製造する方法は見当たらない。
【0008】
そこで、本発明は、ゴマ油由来の白土油滓から、高濃度のリグナン類含有物を効率的に製造する方法を提供し、そのリグナン類含有物に褐変成分が含まれ、強い抗酸化性をもつ組成物を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本発明は、ゴマ油由来の白土油滓と無極性溶媒とを混合し、その後濾過した瀘液から無極性溶媒を除去して得た第1のリグナン類抽出物を含み、第1のリグナン類抽出物が褐変成分を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴマ油由来の白土油滓から高濃度のリグナン類含有物を効率的に製造する方法を提供し、そのリグナン類含有物に褐変成分が含まれ、強い抗酸化性をもつ組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態におけるリグナン類を含む抽出物の製造方法を説明するフローチャートである。
図2】第1及び第2の実施形態に係るゴマ油の製造工程における得られる白土油滓を説明する説明図である。
図3】第1の実施形態において、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いて、ヘキサン抽出工程で得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
図4】第1の実施形態において、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いて、エタノール抽出工程で得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
図5】第1の実施形態において、実施例3の工程と、実施例14の工程とで得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
図6】第1の実施形態において、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いて、ヘキサン抽出工程で得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
図7】第1の実施形態において、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いて、エタノール抽出工程で得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
図8】第1の実施形態において、実施例23の工程と、実施例34の工程とで得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
図9】第1の実施形態において、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
図10】第1の実施形態において、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
図11】第1の実施形態において、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物とエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能を示す図である。
図12】第1の実施形態において、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
図13】第1の実施形態において、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
図14】第1の実施形態において、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物とエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能を示す図である。
図15】第2の実施形態におけるリグナン類を含む抽出物の製造方法を説明するフローチャートである。
図16】第2の実施形態において、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いて、エタノール抽出工程で得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
図17】第2の実施形態において、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いて、エタノール抽出工程で得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
図18】第2の実施形態において、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
図19】第2の実施形態において、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(A)第1の実施形態
以下に、本発明に係るリグナン類抽出物を含有する組成物について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(A-1)第1の実施形態のリグナン類を含む抽出物の製造方法
以下では、まず、図1を用いて実施形態のリグナン類を含む抽出物の全体的な製造方法を説明し、その後、2種類の白土油滓のそれぞれを用いたときの結果を比較例と比較しながら説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態におけるリグナン類を含む抽出物の製造方法を説明するフローチャートである。
【0015】
[白土油滓の準備]
まず、ゴマ油の製造過程で得られる白土油滓を原料として準備する(ステップS101)。
【0016】
図2は、ゴマ油の製造過程における白土油滓を説明する説明図である。図2を参照して、ゴマ油の一般的な製造方法を簡単に説明すると共に、白土油滓を説明する。
【0017】
ゴマ種子を蒸煮し、蒸煮したゴマ種子を圧搾して搾油する。なお、ゴマ油には、大別して、焙煎ゴマ油と精製ゴマ油とがある。焙煎ゴマ油は、ゴマ種子を焙煎した後に蒸煮・圧搾して搾油したものをいい、精製ゴマ油は、焙煎せず、ゴマ種子を蒸煮・圧搾して搾油したものを精製処理したものいう。
【0018】
圧搾により搾油した油に脱色剤を投入して脱色処理を行ない、油に含まれる色素を取り除く。その際、脱色剤に色素成分が吸着して得られた脱色後の脱色剤を「白土油滓」とする。
【0019】
脱色剤は、例えば、活性炭、酸性白土などとすることができる。例えば、焙煎ゴマ油又は精製ゴマ油に、脱色剤として、例えば0.0~3.0wt程度の活性炭、例えば0.1~3.0wt程度の酸性白土を添加し、所定温度(例えば50~150℃程度)で所定時間(例えば10分~120分程度)静置して脱色する。原油に添加する脱色剤(活性炭、酸性白土など)の添加量は、焙煎ゴマ油の場合と、精製ゴマ油の場合とで変えてもよい。また、図2の製造工程に限らず、例えば、焙煎ゴマ油又は精製ゴマ油は、脱色工程前にヘキサン抽出したものとしてもよい。
【0020】
この実施形態では、精製ゴマ油の製造過程で得られた白土油滓を「精製ゴマ油由来の白土油滓」と呼び、焙煎ゴマ油の製造過程で得られた白土油滓を「焙煎ゴマ油由来の白土油滓」と呼ぶ。この実施形態では、これらの白土油滓を原料として用いる。
【0021】
なお、脱色処理の際に得られた白土油滓であれば、上述した精製ゴマ油由来の白土油滓又は焙煎ゴマ油由来の白土油滓に限らない。
【0022】
[ヘキサン抽出工程]
次に、白土油滓にヘキサンを加えて攪拌して脱脂する(ステップS102)。そして、白土油滓にヘキサンを加えた溶液を濾過して(ステップS103)、これにより得た瀘液からヘキサンを除去するために、エバポレーターを用いて、瀘液からヘキサンを蒸発させる(ステップS104)。この脱溶剤処理で得たものを、ヘキサン抽出物とする(ステップS105)。ヘキサン抽出工程では、無極性溶媒であるヘキサンを用いて白土油滓を脱脂して、瀘液からヘキサンを除去することで得た抽出物を、ヘキサン抽出物と呼ぶ。つまり、ヘキサン抽出物は、無極性溶媒(ヘキサン)に溶け込んだリグナン類含有物と言える。
【0023】
なお、この脱脂工程では、無極性のヘキサンを溶媒として用いるが、ヘキサンに限らず、無極性溶媒、若しくは低い極性の溶媒を用いてもよい。例えば、無極性溶媒であれば、ジエチルエーテル、酢酸エチル、シクロヘキサン、イソオクタン等を用いるようにしてもよい。また、極性溶媒であれば、水、酢酸、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトニトリル等を用いるようにしてもよい。
【0024】
また、リグナンの種類は、例えば、セサミン、セサミノール、エピセサミン、エピセサミノール、セサモリン、2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-6-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン、2,6-ビス-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン、又は2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-6-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェノキシ)-3,7-ジオキサビシクロ[3,3,0]オクタン、セサモール、3,4-メチレンジオキシフェノール、5-ヒドロキシ-1,2-メチレンジオキシベンゼン、1,3-ベンゾジオキソール-5-オール、3,4-(メチレンビスオキシ)フェノール、5-ヒドロキシ-1,3-ベンゾジオキソール等がある。この実施形態では、リグナンの一種としてセサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンを抽出する場合を例示するが、これらに限らず、他のリグナンについても抽出できる。
【0025】
[エタノール抽出工程]
ステップS103で濾過して得た残渣に、エタノールを加えて攪拌する(ステップS106)。
【0026】
そして、残渣にエタノールを加えた溶液を濾過して(ステップS107)、残渣を抽出する(ステップS110)と共に瀘液を得る。ステップS107の濾過で得た瀘液からエタノールを除去するために、エバポレーターを用いて、瀘液からエタノールを蒸発する(ステップS108)。この脱溶剤処理で得たものを、エタノール抽出物とする(ステップS109)。エタノール抽出工程では、アルコールであるエタノールを用いて、アルコールに溶け込んだゴマリグナン類含有物を抽出する工程である。
【0027】
(A-2)焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたときの結果
[ヘキサン抽出工程]
図3は、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いて、ヘキサン抽出工程で、ヘキサン抽出物として得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
【0028】
図3では、歩留(wt%)を判断するため、焙煎ゴマ油由来の白土油滓1gに加えるヘキサン量を変化させている。
【0029】
例えば、実施例1の場合、焙煎ゴマ油由来の白土油滓1gに対して加えたヘキサンの量を1mlとし、これを「HEX×1」と表記している。実施例2では、白土油滓1gに対して2mlのヘキサンを加えており、実施例1の場合よりもヘキサン量を2倍にしているので「HEX×2」と表記している。同様に、実施例3~実施例7も、実施例1で加えたヘキサン量に対する倍率を示している。
【0030】
また、図3において、ヘキサン抽出物にどの成分がどのくらい含まれているかを、高速液体クロマトグラフィ(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)で、定性・定量分析した。
【0031】
[HPLC分析条件]
カラム:inertsil ODS-3(5μm 4.6mm×250mm)
検出器:5420 UV-VIS Detector
検出波長:290nm
流量:1.0ml/min
温度:30℃
流入量:10μl
移動相:メタノール:水=7:3
溶解溶媒:2-プロパノール:アセトニトリル=3:1
【0032】
図3に示すように、ヘキサン抽出物として、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンが抽出され、図3では、各成分の抽出量[mg/100gOIL]を示している。
【0033】
比較例1は、焙煎ゴマ油100g中に含まれる各成分の量を示し、比較例2は、精製ゴマ油100gに含まれる各成分の量を示している。
【0034】
比較例1は、セサモール:29[mg/100g]、セサミノール:6[mg/100g]、セサミン:736[mg/100g]、エピセサミン:0[mg/100g]、セサモリン:382[mg/100g]であった。
【0035】
比較例2は、セサモール:1[mg/100g]、セサミノール:169[mg/100g]、セサミン:285[mg/100g]、エピセサミン:350[mg/100g]、セサモリン:1[mg/100g]であった。
【0036】
これに対して、実施例1~実施例7は、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミンの抽出量が、比較例1及び2の各成分の抽出量よりも多いことが分かる。
【0037】
図3の結果より、セサモールは0.16~0.81wt%程度、セサミノールは0.10~0.32wt%程度、セサミンは1.0~1.5wt%程度、エピセサミンは1.1~1.5wt%程度、セサモリンは0.04~0.06wt%程度であることが分かる。
【0038】
実施例1~実施例7のように、ヘキサン量が増えることにより、歩留(wt%)の値が大きくなり、実施例5、実施例6、実施例7のように、白土油滓に対するヘキサン量を増やしていくと歩留の値が落ち着くことが分かる。
【0039】
セサモールの抽出量について、実施例1~実施例7のようにヘキサン量が多くなるにつれて、セサモールの抽出量が多くなっていることが分かる。また、比較例1及び比較例2のセサモールの抽出量に比べても多く抽出されていることが分かる。実施例1~実施例7のセサミノールの抽出量については、比較例1のセサミノールの抽出量に比べても多く抽出されていることが分かる。
【0040】
セサミン、エピセサミンについては、比較例1及び比較例2に比べてみても、実施例1~実施例7のセサミン、エピセサミンの抽出量は非常に大きいことが分かる。これは、セサミン、エピセサミンが、脱脂工程で使用される無極性溶媒のヘキサンに多く溶解しているためと考えられる。
【0041】
セサモリンについては、比較例2のセサモリンの抽出量と比較すると、実施例1~実施例7は、非常に多くのセサモリンを抽出していることが分かる。
【0042】
図3の結果より、白土油滓に対して加えるヘキサン量を変えた実施例1~実施例7のいずれも高濃度のゴマリグナン類含有物を抽出することができた。
【0043】
[エタノール抽出工程]
図4は、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いて、エタノール抽出工程で、エタノール抽出物として得た各成分の抽出量を説明する説明図である。図4は、図2の実施例6([HEX×40])の残渣を用いる場合を例示している。
【0044】
図4でも、歩留(wt%)を判断するため、実施例6のヘキサン抽出工程で得た残渣(HEX×40残渣)1gに加えるエタノール量を変化させている。
【0045】
具体的に、実施例11の「EtOH×1」は、実施例6のヘキサン抽出工程で得た残渣(HEX×40残渣)1gに対して加えたエタノールの量を1mlとし、実施例12は、実施例11で加えたエタノール量の2倍(「EtOH×2」)、すなわち焙煎ゴマ油由来の白土油滓1gに対してエタノール量を2mlとした。同様に、実施例13~実施例17も、実施例11で加えたエタノール量に対する倍率を示している。
【0046】
また、図4において、エタノール抽出物にどの成分がどのくらい含まれているかを、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で定性・定量分析し、HPLC分析条件は上述した条件と同様とする。
【0047】
図4に示すように、エタノール抽出物として、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンが抽出された。図4においてセサモールは5.2~6.5wt%程度、セサミノールは0.30~0.59wt%程度、セサミンは0.68~0.81wt%程度、エピセサミンは0.54~0.66wt%程度、セサモリンは0.007~0.030wt%程度であることが分かる。
【0048】
実施例11~実施例17は、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミンの抽出量が、比較例1及び2の各成分の抽出量よりも多いことが分かる。
【0049】
また、実施例11から実施例17のように、エタノール量が増えることにより、歩留(wt%)の値が大きくなり、実施例14、実施例15、実施例16、実施例17のように、白土油滓に対するエタノール量が10倍、20倍、40倍、80倍となると、歩留の値が落ち着くことが分かる。
【0050】
セサモール、セサミノールについて、比較例1及び比較例2のセサモールとセサミノールの抽出量と比較しても、実施例11~実施例17のセサモールとセサミノールの抽出量は非常に大きな量を抽出していることが分かる。
【0051】
実施例11~実施例17のセサミン、エピセサミンについては、比較例1及び比較例2のセサミン、エピセサミンの抽出量と比べても多く抽出されていることが分かる。
【0052】
セサモリンについては、比較例2のセサモリンの抽出量と比較すると、実施例11~実施例17は、非常に多くのセサモリンを抽出していることが分かる。
【0053】
図4の結果より、白土油滓に対して加えるエタノール量を変えた実施例11~実施例17のいずれも高濃度のゴマリグナン類含有物を抽出することができた。
【0054】
[ヘキサン抽出物とエタノール抽出物との比較]
図3及び図4を比較すると、図3のヘキサン抽出物は、セサミン、エピセサミンを、図4のエタノール抽出物のそれよりも高濃度で抽出していることが分かる。これは、脱脂工程で、セサミン、エピセサミンが、無極性のヘキサンに多く溶解しているからだと考えられる。
【0055】
また、図4のエタノール抽出物は、セサモール、セサミノールを、図3のヘキサン抽出物のそれよりも高濃度で抽出していることが分かる。これは、アルコールであるエタノールに、セサモール、セサミノールが多く溶解しているからだと考えられる。
【0056】
さらに、図3及び図4の結果より、ヘキサン抽出工程では、リグナンをなるべく多く残渣に残し、脂質を除去する観点から、実施例1~実施例7のうち、「実施例3」がより好適と考えられる。
【0057】
また、エタノール抽出工程では、歩留とセサモールの抽出量を指標とすると、実施例11~実施例17のうち、「実施例14」がより好適と考えられる。
【0058】
したがって、実施例3のヘキサン量でヘキサン抽出工程を実施し、このヘキサン抽出工程で得た残渣を用いて、実施例14のエタノール量でエタノール抽出工程を実施した。図5はその結果である。図5より、実施例3では、セサモール0.21wt%程度、セサミノール0.13wt%程度、セサミン1.1wt%程度、エピセサミン1.1wt%程度、セサモリン0.04wt%程度であり、これらは好適であり、高濃度の抽出ができた。また、図5より、実施例14では、セサモール4.4wt%程度、セサミノール1.3wt%程度、セサミン1.7wt%程度、エピセサミン1.5wt%程度、セサモリン0.07wt%程度であり、これらは好適であり、高濃度で抽出できた。図5の結果より、高濃度のリグナンを効果的に抽出していることが分かる。
【0059】
(A-3)精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたときの結果
[ヘキサン抽出工程]
図6は、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いて、ヘキサン抽出工程で、ヘキサン抽出物として得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
【0060】
ここでも、精製ゴマ油由来の白土油滓に対して加えるヘキサン量を変えて分析した。また、定性・定量分析の条件も上述したHPLC分析条件と同じである。
【0061】
比較例21は、セサモール:31[mg/100g]、セサミノール:3[mg/100g]、セサミン:629[mg/100g]、エピセサミン:0[mg/100g]、セサモリン:1[mg/100g]であった。
【0062】
比較例22は、セサモール:0[mg/100g]、セサミノール:150[mg/100g]、セサミン:254[mg/100g]、エピセサミン:146[mg/100g]、セサモリン:0[mg/100g]であった。
【0063】
実施例21~実施例27の結果より、ヘキサン量が増えることにより、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンのそれぞれの抽出量が多くなっていることが分かる。
【0064】
図6において、セサモールは0.001~0.011wt%程度、セサミノールは0.0~0.001wt%程度、セサミンは0.090~0.280wt%程度、エピセサミンは0.130~0.330wt%程度、セサモリンは0.000~0.001wt%程度であることが分かる。
【0065】
実施例21~実施例27のセサミン、エピセサミンの抽出量は、比較例2のそれと比較しても多く量を抽出できたことが分かる。特に、エピセサミンについては、比較例21及び比較例22と比較しても、実施例21~実施例27のいずれにおいても高濃度で抽出していることが分かる。
【0066】
[エタノール抽出工程]
図7は、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いて、エタノール抽出工程で、エタノール抽出物として得た各成分の抽出量を説明する説明図である。図7は、図5の実施例26([HEX×40])の残渣を用いる場合を例示している。
【0067】
ここでも、ヘキサン抽出工程で得た残渣に対して加えるエタノール量を変えて分析した。また、定性・定量分析の条件も上述したHPLC分析条件と同じである。
【0068】
図7において、セサモール0.570~0.660wt%程度、セサミノールは0.620~0.670wt%程度、セサミンは1.050~1.480wt%程度、エピセサミンは0.910~1.260wt%程度、セサモリンは0.014~0.026wt%程度であることが分かる。
【0069】
実施例32~実施例37のエタノール抽出物には、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミンが、比較例21及び22の各成分の抽出量よりも多く抽出されていることが分かる。
【0070】
セサモール、セサミノールについて、比較例21及び比較例22のセサモールとセサミノールの抽出量と比較しても、実施例32~実施例37のセサモールとセサミノールの抽出量は非常に大きな量を抽出していることが分かる。
【0071】
セサミン、エピセサミンについては、実施例32~実施例37のセサミン、エピセサミンの抽出量は、比較例21及び比較例22のそれに比べても多く抽出されていることが分かる。
【0072】
セサモリンについて、実施例32~実施例37のセサモリンの抽出量は、比較例21及び比較例22のそれに比べても多く抽出されていることが分かる。
【0073】
図7の結果より、白土油滓に対して加えるエタノール量を変えた実施例32~実施例37のいずれも高濃度のゴマリグナン類含有物を抽出することができた。
【0074】
[ヘキサン抽出物とエタノール抽出物との比較]
図6及び図7を比較すると、図6のヘキサン抽出物は、セサミン、エピセサミンを高濃度で抽出していることが分かる。これは、脱脂工程で、セサミン、エピセサミンが、無極性のヘキサンに多く溶解しているからだと考えられる。
【0075】
また、図7のエタノール抽出物は、セサモール、セサミノールを高濃度で抽出していることが分かる。これは、アルコールであるエタノールに、セサモール、セサミノールが多く溶解しているからだと考えられる。
【0076】
さらに、図6及び図7の結果より、ヘキサン抽出工程では、リグナンをなるべく多く残渣に残し、脂質を除去する観点から、実施例21~実施例27のうち、「実施例23」がより好適と考えられる。
【0077】
また、エタノール抽出工程では、歩留とセサモールの抽出量を指標とすると、実施例31~実施例37のうち、「実施例34」がより好適と考えられる。
【0078】
したがって、実施例23のヘキサン量(HEX×5)でヘキサン抽出工程を実施し、このヘキサン抽出工程で得た残渣を用いて、実施例34のエタノール量(EtOH×10)でエタノール抽出工程を実施した。図8はその結果である。
【0079】
図8より、実施例23では、セサモール0.002wt%程度、セサミノール0.001wt%程度、セサミン0.110wt%程度、エピセサミン0.150wt%程度、セサモリン0.00wt%程度であり、これらは好適であり、高濃度の抽出ができた。また、図8より、実施例34では、セサモール0.390wt%程度、セサミノール0.330wt%程度、セサミン1.1wt%程度、エピセサミン0.970wt%程度、セサモリン0.008wt%程度であり、これらは好適であり、高濃度で抽出できた。図8の結果より、高濃度のリグナンを効果的に抽出していることが分かる。
【0080】
(A-4)褐変度の測定
次に、焙煎ゴマ油由来の白土油滓のヘキサン抽出物及びエタノール抽出物と、精製ゴマ油由来の白土油滓のヘキサン抽出物及びエタノール抽出物とのそれぞれの褐変度を測定した。
【0081】
[試験溶液]
ヘキサン抽出物又はエタノール抽出物のそれぞれに、エタノールを加えて攪拌し、これらの溶液を試験溶液とした。
【0082】
それぞれの試験溶液に、420nmの波長の光を照射し、サンプルが吸収した光の量を示す吸光度(ABS)を測定した。この吸光度の測定値を褐変度とする。吸光度の測定は、例えば、プレートリーダー(96穴プレートに200μl)、分光光度計を用いて測定した。
【0083】
(A-4-1)焙煎ゴマ油由来の白土油滓の抽出物の褐変度
図9は、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた、実施例2~実施例7のヘキサン抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
【0084】
比較例51は、市販されている焙煎ゴマ油20mgに、1mlのエタノールを加えたものをサンプルとし、この比較例51のサンプルに波長420nmの光を照射したときの吸光度の測定値は0.03であった。
【0085】
比較例52は、市販されている焙煎ゴマ油の脱色前のゴマ油(ここでは「焙煎原油」と呼ぶ。)20mgに、1mlのエタノールを加えたものをサンプルとし、この比較例52のサンプルの吸光度の測定値は0.08であった。
【0086】
これに対して、図9に示すように、実施例2のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.19、実施例3のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.49、実施例4のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.71、実施例5のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.34、実施例6のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.00、実施例7のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.00であった。
【0087】
実施例2~7のいずれの結果も、比較例51及び52の結果に比べて、吸光度の測定値が大きな値であることから、褐変していることが分かる。換言すると、実施例2~7のいずれのヘキサン抽出物を用いた溶液には褐変物質が含まれていることが分かる。
【0088】
図10は、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた、実施例12~実施例17のエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
【0089】
図10に示すように、実施例12のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.88、実施例13のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.98、実施例14のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は1.13、実施例15のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は1.10、実施例16のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は1.14、実施例17のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は1.15であった。
【0090】
実施例12~17のいずれの結果も、比較例51及び52の結果に比べて、吸光度の測定値が非常に大きい値となっていることから、いずれも褐変していることが分かる。すなわち、実施例12~17のいずれのエタノール抽出物を用いた溶液には褐変物質が含まれていることが分かる。
【0091】
また、図9図10との比較より、図10のエタノール抽出物を用いた溶液の吸光度の値の方が、図9のヘキサン抽出物を用いた溶液の吸光度の値よりも大きいことが分かる。このことから、エタノールに溶解した褐変物質が多く存在していることが分かる。
【0092】
図11は、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物とエタノール抽出物の褐変度を示す図である。
【0093】
図11において、実施例3で得たヘキサン抽出物20mgに、1mlのエタノールを加えたものを試験溶液とした。また、実施例14で得たエタノール抽出物3.5mgに、1mlのエタノールを加えたものを試験溶液とした。
【0094】
図11に示すように、実施例3のヘキサン抽出物を用いた試験溶液に、波長420nmの光を照射したときの吸光度の測定値は0.494であった。比較例51及び52の結果と比較すると、実施例3のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度の測定値は非常に大きな値であり、褐変していることが分かる。すなわち、実施例3のヘキサン抽出物を用いた試験溶液には褐変物質が含まれていることが分かる。
【0095】
(A-4-2)精製ゴマ油由来の白土油滓の抽出物の褐変度
図12は、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いた、実施例22~実施例27のヘキサン抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
【0096】
比較例61は、市販されている精製ゴマ油20mgに、1mlのエタノールを加えたものをサンプルとし、この比較例61のサンプルに波長420nmの光を照射したときの吸光度の測定値は0.00であった。
【0097】
比較例62は、市販されている精製ゴマ油の脱色前のゴマ油(ここでは「精製原油」と呼ぶ。)10mgに、1mlのエタノールを加えたものをサンプルとし、この比較例62のサンプルの吸光度の測定値は0.01であった。
【0098】
これに対して、図12に示すように、実施例22のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.00、実施例23のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.00、実施例24のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.00、実施例25のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.03、実施例26のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.00、実施例27のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.00であった。実施例22~27のいずれの結果も、比較例61及び62の結果に比べて、吸光度の測定値が同程度であり、褐変しているので、実施例22~27のいずれのヘキサン抽出物を用いた溶液には褐変物質が含まれている。
【0099】
図13は、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いた、実施例32~実施例37のエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
【0100】
図13に示すように、実施例32のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.48、実施例33のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.42、実施例34のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.43、実施例35のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.45、実施例36のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.39、実施例37のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.25であった。
【0101】
実施例32~37のいずれの結果も、比較例61及び62の結果に比べて、吸光度の測定値が非常に大きい値となっていることから、いずれも褐変していることが分かる。すなわち、実施例32~37のいずれのエタノール抽出物を用いた溶液には褐変物質が含まれていることが分かる。
【0102】
また、図12図13との比較より、図13のエタノール抽出物を用いた溶液の吸光度の値の方が、図12のヘキサン抽出物を用いた溶液の吸光度の値よりも大きいことが分かる。この場合も、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた場合と同様に、エタノールに溶解した褐変物質が多く存在していることが分かる。
【0103】
図14は、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物とエタノール抽出物の褐変度を示す図である。
【0104】
図14において、実施例23で得たヘキサン抽出物20mgに、1mlのエタノールを加えたものを試験溶液とした。また、実施例34で得たエタノール抽出物10mgに、1mlのエタノールを加えたものを試験溶液とした。
【0105】
図14に示すように、実施例23のヘキサン抽出物を用いた試験溶液に、波長420nmの光を照射したときの吸光度の測定値は0.002であった。実施例23のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度の測定値は、比較例61及び62の吸光度の測定値と同程度であることが分かる。一般的に、精製ゴマ油及び生圧搾原油には、褐変物質が含まれていることが知られており、実施例23のヘキサン抽出物を用いた試験溶液の吸光度の測定値が、精製ゴマ油及び生圧搾原油のそれと同程度であることから、実施例23のヘキサン抽出物を用いた試験溶液には褐変物質が含まれていることが分かる。
【0106】
また、実施例34のエタノール抽出物を用いた試験溶液に波長420nmの光を照射したときの吸光度の測定値は0.447であった。比較例61及び62の結果と比較すると、実施例34のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度の測定値は非常に大きな値であるので、このときも褐変していることが分かる。すなわち、実施例34のエタノール抽出物を用いた試験溶液には褐変物質が含まれていることが分かる。
【0107】
さらに、実施例23のヘキサン抽出物と、実施例34のエタノール抽出物とを比較すると、実施例34のエタノール抽出物を用いた試験溶液の方が、褐変度が高いことが分かる。これは、実施例34のエタノール抽出物に含まれている褐変物質が、溶媒としてのエタノールに溶解したため、褐変度が高くなったといえる。
【0108】
(A-5)抗酸化分析
上述したように、褐変が見られる、焙煎ゴマ油由来の白土油滓のヘキサン抽出物及びエタノール抽出物と、精製ゴマ油由来の白土油滓のヘキサン抽出物及びエタノール抽出物とのそれぞれの抗酸化作用を分析する。
【0109】
[分析方法]
DPPH(2,2-Diphenyl-1-Picrylhydrazyl)を用いた抗酸化活性評価法で、ラジカル消去活性(%)を算出して、抗酸化能を分析した。
【0110】
具体的には、株式会社同仁化学研究所製の抗酸化能測定キット(DPPH Antioxidant Assay Kit)を用いた。サンプルに試薬を添加して、30分間放置した。サンプルにおけるラジカル消去率50%に達するまでの濃度を抗酸化能IC50とし、サンプル毎の抗酸化能IC50を測定及び算出した。IC50の値が小さい方が、抗酸化能は高いといえる。
【0111】
(A-5-1)焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた抽出物の抗酸化作用
まず、図9を参照して、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物の抗酸化能について考察する。
【0112】
図9に示すように、比較例51及び52のそれぞれのIC50の値は、142mg/ml及び136mg/mlであった。また比較例70は、抗酸化物質Troloxをサンプルとする。この比較例70の抗酸化能IC50の値は0.064mg/ml(64μg/ml)であった。
【0113】
これに対して、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物の場合、実施例2~実施例7のそれぞれのIC50の値は61~67mg/mlであり、比較例51及び52のその値よりも小さい値であり、強いラジカル消去活性があることを示している。つまり、実施例2~実施例7の焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた各ヘキサン抽出物は、高い抗酸化能を有していることが分かる。
【0114】
次に、図10を用いて、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の抗酸化能について考察する。
【0115】
図10において、実施例12~実施例17のそれぞれのIC50の値は3~4mg/mlであり、比較例51及び52のその値よりも非常に小さい値であり、強いラジカル消去活性を示している。このことから、実施例12~実施例17の焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた各エタノール抽出物は、非常に高い抗酸化能を有していることが分かる。
【0116】
さらに、図11を用いて、実施例3で得たヘキサン抽出物20mgに1mlのエタノールを加えたものを試験溶液とし、実施例14で得たエタノール抽出物3.5mgに、1mlのエタノールを加えたものを試験溶液としたときのそれぞれの抗酸化能を考察する。
【0117】
これに対して、図11に示すように、実施例3のヘキサン抽出物を用いた試験溶液のIC50は、64mg/mlであった。また、実施例14のエタノール抽出物を用いた試験溶液のIC50は、5mg/mlであった。
【0118】
抗酸化能IC50は、ラジカル消去率が50%に達するまでのサンプル濃度を示しているので、IC50の値が小さい値程、抗酸化能が高いことを意味する。
【0119】
そうすると、実施例3のヘキサン抽出物及び実施例14のエタノール抽出物はそれぞれのIC50は、比較例51及び52のそれよりも小さいので、抗酸化能が高いことが分かる。
【0120】
さらに、実施例3のヘキサン抽出物及び実施例14のエタノール抽出物を比較すると、実施例14のエタノール抽出物のIC50の値は、実施例3のそれよりも小さいので、実施例14のエタノール抽出物の方が実施例3のヘキサン抽出物よりも、抗酸化能が高いことが分かる。
【0121】
(A-5-2)精製ゴマ油由来の白土油滓を用いた抽出物の抗酸化作用
まず、図12を参照して、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物の抗酸化能について考察する。
【0122】
図12に示すように、比較例61及び62のそれぞれのIC50の値は、130mg/ml及び182mg/mlであった。
【0123】
これに対して、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物の場合、実施例22~実施例27のそれぞれのIC50の値は195~767mg/mlであった。実施例22~実施例27のIC50の各値は、比較例51及び52のそれと比較して大きな値ではあるが、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたヘキサン抽出物は、ラジカルが消去されており、ラジカル消去活性を示しており、抗酸化能を有していることが分かる。
【0124】
次に、図13を用いて、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の抗酸化能について考察する。
【0125】
図13において、実施例32~実施例37のそれぞれのIC50の値は2~4mg/mlであり、比較例61及び62のその値よりも非常に小さい値であり、強いラジカル消去活性を示している。このことから、実施例32~実施例37の焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた各エタノール抽出物は、非常に高い抗酸化能を有していることが分かる。
【0126】
図14において、実施例23で得たヘキサン抽出物20mgに、1mlのエタノールを加えたものを試験溶液とした。また、実施例34で得たエタノール抽出物3.5mgに、1mlのエタノールを加えたものを試験溶液とした。
【0127】
これに対して、図14に示すように、実施例23のヘキサン抽出物を用いた試験溶液のIC50は、263mg/mlであった。また、実施例34のエタノール抽出物を用いた試験溶液のIC50は、3mg/mlであった。
【0128】
実施例23のヘキサン抽出物のIC50は、比較例61及び62のそれよりも大きい値であったが、ラジカルが消去されており、活性を示していると判断でき、抗酸化能は有意であることが分かる。
【0129】
さらに、実施例34のエタノール抽出物のIC50の値は、実施例23のそれよりと比較しても非常に小さく、更に比較例61及び62のそれと比較しても非常に小さいので、実施例34のエタノール抽出物の抗酸化能が高いことが分かる。
【0130】
(A-6)実施形態の効果
例えば、ゴマ種子由来のゴマ油、ゴマ種子の粉砕物、脱脂粕などに何らかの褐変成分(褐変物質)が含まれており、これら褐変成分が抗酸化性に関与していると推定されている。
【0131】
しかしながら、ゴマ油製造工程の一工程である脱色工程で使用された白土油滓に褐変成分が含まれていることは特定されていなかった。
【0132】
この実施形態では、白土油滓から抽出したヘキサン抽出物及びエタノール抽出物のいずれにも褐変成分が含まれていることが認められて、さらに褐変成分を含むヘキサン抽出物及びエタノール抽出物が抗酸化作用を有することが分かった。このことから、白土油滓からの抽出物には褐変成分が含まれており、褐変成分が抗酸化性に関与していることが分かる。
【0133】
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係るリグナン類抽出物を含有する組成物について図面を参照しながら説明する。
【0134】
(B-1)第2の実施形態のリグナン類含有物の製造方法
図15は、第2の実施形態におけるリグナン類含有物の製造方法を説明するフローチャートである。
【0135】
[白土油滓の準備]
まず、ゴマ油製造工程で得られる白土油滓を原料として準備する(ステップS201)。
【0136】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、精製ゴマ油由来の白土油滓と、焙煎ゴマ油由来の白土油滓との2種類の油滓のそれぞれを原料とする。
【0137】
[エタノール抽出工程]
次に、白土油滓にエタノールを加えて攪拌する(ステップS202)。そして、白土油滓にエタノールを加えた溶液を濾過して(ステップS203)、残渣を抽出する(ステップS206)と共に瀘液を得る。ステップS203の濾過で得た瀘液からエタノールを除去するために、エバポレーターを用いて、瀘液からエタノールを蒸発する(ステップS204)。この脱溶剤処理で得たものを、エタノール抽出物とする(ステップS205)。エタノール抽出工程では、アルコールであるエタノールを用いて、アルコールに溶け込んだゴマリグナン類含有物を抽出する工程である。
【0138】
(B-2)焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたときの結果
図16は、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いて、エタノール抽出工程で、エタノール抽出物として得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
【0139】
この実施形態でも、白土油滓に加えるエタノール量を変えて分析した。また、定性・定量分析の条件も、第1の実施形態のHPLC分析条件と同じである。
【0140】
図16の結果より、実施例41~実施例47は、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンの抽出量が、比較例21及び22の各成分の抽出量よりも多いことが分かる。
【0141】
図16より、実施例41~実施例47の各エタノール抽出物に含まれる各成分の抽出量は、セサモール1.600~7.900wt%程度、セサミノール0.210~2.700wt%程度、セサミン1.200~4.700wt%程度、エピセサミン1.200~4.700wt%程度、セサモリン0.04~0.170wt%程度であることが分かる。
【0142】
実施例41~実施例47のように、エタノール量が増えることにより、歩留の値は大きくなる。
【0143】
実施例41~実施例47のセサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンの抽出量は、比較例21及び比較例22の各成分の抽出量に比べて非常に大きいことが分かる。特に、実施例41、実施例42、実施例43における、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンの抽出量は顕著に多いことが分かる。
【0144】
このように、実施例41~実施例47の各成分の抽出量は、比較例21及び比較例22のそれに比べて非常に多きが、エタノール量が増えるにつれて各成分の抽出量が減少傾向にある、若しくは、各成分の抽出量がある値に収束していることも分かる。
【0145】
(B-3)精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたときの結果
図17は、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いて、エタノール抽出工程で、エタノール抽出物として得た各成分の抽出量を説明する説明図である。
【0146】
ここでも、白土油滓に加えるエタノール量を変えて分析した。また、定性・定量分析の条件も、第1の実施形態のHPLC分析条件と同じである。
【0147】
図17より、セサモール0.090~0.350wt%程度、セサミノール0.120~0.470wt%程度、セサミン0.390~0.840wt%程度、エピセサミン0.400~0.900wt%程度、セサモリン0.004~0.017wt%程度であることが分かる。
【0148】
図17の結果より、実施例51~実施例57は、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンの抽出量が、比較例21及び22の各成分の量よりも多いことが分かる。
【0149】
(B-4)褐変度の測定
次に、焙煎ゴマ油由来の白土油滓のエタノール抽出物と、精製ゴマ油由来の白土油滓のエタノール抽出物とのそれぞれの褐変度を測定した。
【0150】
[試験溶液]
第1の実施形態と同様に、エタノール抽出物のそれぞれに、エタノールを加えて攪拌し、これらの溶液を試験溶液とした。
【0151】
それぞれの試験溶液に、420nmの波長の光を照射し、サンプルが吸収した光の量を示す吸光度(ABS)を測定した。この吸光度の測定値を褐変度とする。吸光度の測定は、例えば、分光光度計を用いて測定した。
【0152】
(B-4-1)焙煎ゴマ油由来の白土油滓の抽出物の褐変度
図18は、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた、実施例42~実施例47のエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
【0153】
図18に示すように、実施例42のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.91、実施例43のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.57、実施例44のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.42、実施例45のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.39、実施例46のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.34、実施例47のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.46であった。
【0154】
実施例42~47のいずれの結果も、比較例51及び52の結果に比べて、吸光度の測定値が大きな値であることから、褐変していることが分かる。つまり、実施例42~47のいずれのエタノール抽出物を用いた溶液には褐変物質が含まれていることが分かる。
【0155】
(B-4-2)精製ゴマ油由来の白土油滓の抽出物の褐変度
図19は、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いた、実施例52~実施例57のエタノール抽出物の褐変度及び抗酸化能の測定結果を示す図である。
【0156】
図19に示すように、実施例52のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は1.01、実施例53のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.98、実施例54のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.33、実施例55のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.70、実施例56のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は1.01、実施例57のエタノール抽出物を用いた試験溶液の吸光度は0.31であった。
【0157】
実施例52~57のいずれの結果も、比較例61及び62の結果に比べて、吸光度の測定値が大きな値であることから、褐変していることが分かる。このことから実施例52~57のいずれのエタノール抽出物を用いた溶液には褐変物質が含まれていることが分かる。
【0158】
(B-5)抗酸化分析
上述したように、褐変が見られる、焙煎ゴマ油由来の白土油滓のエタノール抽出物と、精製ゴマ油由来の白土油滓のエタノール抽出物とのそれぞれの抗酸化作用を分析する。
【0159】
[分析方法]
第1の実施形態と同様の分析方法で、DPPH(2,2-Diphenyl-1-Picrylhydrazyl)を用いた抗酸化活性評価法で、ラジカル消去活性(%)を算出して、抗酸化能を分析した。
【0160】
(B-5-1)焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の抗酸化作用
図18を参照して、焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の抗酸化能について考察する。
【0161】
図18において、比較例51及び52のそれぞれのIC50の値は、142mg/ml及び136mg/mlであった。
【0162】
これに対して、実施例42~実施例47のそれぞれのIC50の値は5~25mg/mlであり、比較例51及び52のその値よりも非常に小さい値であり、強いラジカル消去活性を示している。このことから、実施例42~実施例47の焙煎ゴマ油由来の白土油滓を用いた各エタノール抽出物は、非常に高い抗酸化能を有していることが分かる。
【0163】
(B-5-2)精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の抗酸化作用
図19を参照して、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の抗酸化能を考察する。
【0164】
図19において、比較例61及び62のそれぞれのIC50の値は、130mg/ml及び182mg/mlであった。
【0165】
これに対して、精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物の場合、実施例52~実施例57のそれぞれのIC50の値は5~10mg/mlであり、比較例51及び52のその値よりも非常に小さい値であり、強いラジカル消去活性を示している。このことから、実施例52~実施例57の精製ゴマ油由来の白土油滓を用いたエタノール抽出物は、非常に高い抗酸化能を有していることが分かる。
【0166】
(B-6)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、脱脂処理をせず、白土油滓にエタノールを加えて、その後、濾過した瀘液を脱溶剤処理してエタノール抽出物を得ることで、高濃度のリグナン類含有物を経済的に製造することができる。さらに、第2の実施形態の製法により得られたエタノール抽出物には、褐変成分が含まれており、褐変成分が抗酸化性に関与していることが分かる。
【0167】
(C)他の実施形態
上述した実施形態で抽出したリグナン類含有物は、少なくとも、セサモール、セサミノール、セサミン、エピセサミン、セサモリンが含まれている。これらリグナンは、強力な抗酸化活性があり、コレステロール低下作用、アルコール代謝改善効果、抗高血圧作用、ビタミン増強調整作用、抗動脈硬化作用、糖尿病予防効果、抗ガン作用などがある。
【0168】
そのため、リグナン類抽出物を含む組成物は、医薬品、サプリメント等の健康食品(経口組成物)、化粧品などへの利用が期待されている。

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