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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136959
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 33/12 20060101AFI20240927BHJP
   G11B 33/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G11B33/12 313S
G11B33/12 304
G11B33/02 501M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048278
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川満 悠生
(57)【要約】
【課題】設計の自由度を向上できるディスク装置を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係るディスク装置は、複数の磁気ディスクと、スピンドルモータと、筐体と、第1の基板と、第1のコネクタとを備える。前記磁気ディスクは、第1の回転軸に沿う軸方向に並べられる。前記スピンドルモータは、前記磁気ディスクを回転させる。前記筐体は、前記磁気ディスク及び前記スピンドルモータが収容された空間が内部に設けられ、前記スピンドルモータが取り付けられた第1の壁と、前記第1の壁から突出するとともに前記空間を囲む第2の壁と、を有する。前記第1の基板は、前記空間の外部に向く前記第2の壁の外面に取り付けられる。前記第1のコネクタは、前記第1の基板に取り付けられる。前記磁気ディスクの直径は、80mm以上且つ100mm以下である。前記軸方向における前記筐体の最大の寸法は、26.2mm以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸に沿う軸方向に並べられた複数の磁気ディスクと、
前記複数の磁気ディスクを前記第1の回転軸まわりに回転させるよう構成された、スピンドルモータと
前記複数の磁気ディスク及び前記スピンドルモータが収容された空間が内部に設けられ、前記スピンドルモータが取り付けられた第1の壁と、前記第1の壁から突出するとともに前記空間を囲む第2の壁と、を有する筐体と、
前記空間の外部に向く前記第2の壁の外面に取り付けられた第1の基板と、
前記第1の基板に取り付けられるとともに外部機器に接続されるよう構成された第1のコネクタと、
を具備し、
前記複数の磁気ディスクのそれぞれの直径は、80mm以上且つ100mm以下であり、
前記軸方向における前記筐体の最大の寸法は、26.2mm以上である、
ディスク装置。
【請求項2】
前記第1のコネクタは、シリアルATA規格及びSerial Attached SCSI規格のうち少なくとも一方に準拠するコネクタであり、
前記第1のコネクタの位置は、SFF-8300に定められる一つの規定における、3.5インチデバイスに搭載されるコネクタの位置に準拠する、
請求項1のディスク装置。
【請求項3】
前記軸方向における前記筐体の最大の寸法は、42mmより長く且つ54mm以下である、
請求項1のディスク装置。
【請求項4】
前記複数の磁気ディスクの数は、20枚以上である、
請求項1のディスク装置。
【請求項5】
前記第1のコネクタは、ライトアングルコネクタである、
請求項1のディスク装置。
【請求項6】
前記第1の基板に実装され、前記スピンドルモータを制御するよう構成された、コントローラ、
をさらに具備する請求項1のディスク装置。
【請求項7】
前記第1のコネクタは、前記第2の壁と前記第1の基板との間に位置する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項8】
前記第2の壁の外面に、前記第1のコネクタが収容される窪みが設けられた、
請求項7のディスク装置。
【請求項9】
前記複数の磁気ディスクに含まれる第1の磁気ディスクに情報を読み書きするよう構成された第1の磁気ヘッドと、
前記第1の磁気ヘッドを保持するとともに第2の回転軸まわりに回転することで前記第1の磁気ヘッドを移動させるよう構成された第1のアクチュエータと、
前記複数の磁気ディスクに含まれる第2の磁気ディスクに情報を読み書きするよう構成された第2の磁気ヘッドと、
前記第2の磁気ヘッドを保持するとともに前記第2の回転軸まわりに回転することで前記第2の磁気ヘッドを移動させるように構成された第2のアクチュエータと、
をさらに具備する請求項1乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項10】
前記空間に収容された第1のフレキシブルプリント回路板と、
前記空間に収容された第2のフレキシブルプリント回路板と、
前記第2の壁に設けられた第1の貫通孔を通して前記第1の基板と前記第1のフレキシブルプリント回路板とを電気的に接続する第2のコネクタと、
前記第2の壁に設けられた第2の貫通孔を通して前記第1の基板と前記第2のフレキシブルプリント回路板とを電気的に接続する第3のコネクタと、
をさらに具備し、
前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとは、前記軸方向に並べられ、
前記第2のコネクタと前記第3のコネクタとは、前記軸方向に並べられる、
請求項9のディスク装置。
【請求項11】
前記空間に収容されたフレキシブルプリント回路板と、
前記第2の壁に設けられた貫通孔を通して前記第1の基板と前記フレキシブルプリント回路板とを電気的に接続する第4のコネクタと、
を具備する請求項1乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項12】
前記第1の基板に向く底面と、前記底面に設けられるとともに前記第1の基板に電気的に接続される電極と、を有し、前記底面に沿う第1の方向と前記底面に直交する第2の方向とにおける加速度を検出可能なセンサ、
をさらに具備する請求項1乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項13】
底面と、前記底面と交差するとともに前記第1の基板に向く側面と、前記底面に設けられて前記側面から離間しているとともに前記第1の基板に電気的に接続される電極と、を有し、前記底面に沿う二つの方向における加速度を検出可能なセンサ、
をさらに具備する請求項1乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項14】
前記空間の外部に向く前記第1の壁の外面に取り付けられた第2の基板、
をさらに具備する請求項1乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項15】
前記第1の基板は、前記空間の外部に向く前記第1の壁の外面に取り付けられた第1の部分と、前記第2の壁の外面に取り付けられた第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間に設けられた可撓性の第3の部分と、を有する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブのようなディスク装置において、筐体に、複数の磁気ディスクと、スピンドルモータ(SPM)と、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)とが収容される。さらに、筐体の底面に、プリント回路板(PCB)のような基板が搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-319592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディスク装置の性能の向上に伴い、筐体の底面における基板が搭載可能な領域が減少したり、多数の電子部品又は大型の電子部品が基板に実装されたりすることがある。この場合、例えば、基板における電子部品の配置や磁気ディスクの枚数が制限される虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、設計の自由度を向上できるディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態に係るディスク装置は、複数の磁気ディスクと、スピンドルモータと、筐体と、第1の基板と、第1のコネクタとを備える。前記複数の磁気ディスクは、第1の回転軸に沿う軸方向に並べられる。前記スピンドルモータは、前記複数の磁気ディスクを前記第1の回転軸まわりに回転させるよう構成される。前記筐体は、前記複数の磁気ディスク及び前記スピンドルモータが収容された空間が内部に設けられ、前記スピンドルモータが取り付けられた第1の壁と、前記第1の壁から突出するとともに前記空間を囲む第2の壁と、を有する。前記第1の基板は、前記空間の外部に向く前記第2の壁の外面に取り付けられる。前記第1のコネクタは、前記第1の基板に取り付けられるとともに外部機器に接続されるよう構成される。前記複数の磁気ディスクのそれぞれの直径は、80mm以上且つ100mm以下である。前記軸方向における前記筐体の最大の寸法は、26.2mm以上である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るHDDを示す例示的な斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態のHDDを示す例示的な平面図である。
図3図3は、第1の実施形態のHDDを分解して示す例示的な斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態のPCBAを示す例示的な正面図である。
図5図5は、第1の実施形態のPCB及びRVセンサを分解して示す例示的な斜視図である。
図6図6は、第2の実施形態に係るHDDを示す例示的な斜視図である。
図7図7は、第3の実施形態に係るPCB及びRVセンサを分解して示す例示的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)10を示す例示的な斜視図である。HDD10は、ディスク装置の一例であり、電子機器、記憶装置、外部記憶装置、又は磁気ディスク装置とも称され得る。
【0010】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、HDD10の幅に沿って設けられる。Y軸は、HDD10の長さに沿って設けられる。Z軸は、HDD10の厚さに沿って設けられる。
【0011】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0012】
図2は、第1の実施形態のHDD10を示す例示的な平面図である。図2に示すように、HDD10は、筐体11と、中継基板12と、複数の磁気ディスク13と、スピンドルモータ(SPM)14と、二つのヘッドスタックアセンブリ(HSA)15A,15Bと、ボイスコイルモータ(VCM)16と、ランプロード機構17と、二つのフレキシブルプリント回路板(FPC)18A,18Bとを有する。
【0013】
磁気ディスク13は、プラッタ又はメディアとも称され得る。FPC18Aは、第1のフレキシブルプリント回路板及びフレキシブルプリント回路板の一例である。FPC18Bは、第2のフレキシブルプリント回路板の一例である。
【0014】
図3は、第1の実施形態のHDD10を分解して示す例示的な斜視図である。図3に示すように、筐体11は、ベース21とカバー22とを有する。なお、筐体11は、この例に限られない。また、図2は、説明のため、カバー22を省略して筐体11を示している。
【0015】
ベース21及びカバー22のそれぞれは、例えばアルミニウム合金のような金属材料によって作られる。なお、ベース21及びカバー22の材料は、他の材料であっても良いし、互いに異なっても良い。
【0016】
図2に示すように、ベース21は、当該ベース21の内部に内室Sが設けられた略直方体の箱状に形成される。内室Sは、空間の一例である。内室Sは、ベース21の外部へ+Z方向に開放されている。磁気ディスク13、SPM14、HSA15A,15B、VCM16、ランプロード機構17、及びFPC18A,18Bは、内室Sに収容される。ベース21は、底壁25と側壁26とを有する。底壁25は、第1の壁の一例である。側壁26は、第2の壁の一例である。
【0017】
底壁25は、X-Y平面に沿って広がる略矩形(四角形)の板状に形成されている。底壁25は、図2に示す内面31と、図3に示す外面32とを有する。内面31は、全体として略+Z方向に向く。内面31は、内室Sに面する。外面32は、内面31の反対側に位置し、全体として略-Z方向に向く。外面32は、内室Sの外部に向く。
【0018】
図3に示すように、外面32は、底面32aと、凹面32bとを有する。底面32aは、-Z方向におけるベース21の端に設けられる。凹面32bは、底面32aから略+Z方向に窪んでいる。言い換えると、凹面32bは、底面32aから、内室Sに向かって窪んでいる。
【0019】
側壁26は、底壁25の縁から略+Z方向に突出し、内室Sを囲む略矩形の枠状に形成されている。底壁25と側壁26とは、一体に形成されている。図2に示すように、側壁26は、内面35と外面36とを有する。
【0020】
底壁25の内面31と側壁26の内面35とが、内室Sを形成(規定、区画)する。すなわち、内面35は、内室Sに面する。外面36は、内面35の反対側に位置する。外面36は、内室Sの外部に向く。
【0021】
外面36は、端面36aと、凹面36bとを有する。端面36aは、-Y方向におけるベース21の端に設けられる。凹面36bは、端面36aから略+Y方向に窪んでいる。言い換えると、凹面36bは、端面36aから、内室Sに向かって窪んでいる。
【0022】
外面36は、二つの側面36cをさらに有する。二つの側面36cは、X方向における端面36aの両端から、略+Y方向に延びている。二つの側面36cは、略平坦に形成され、X方向に向く。
【0023】
図3に示すように、ベース21に、貫通孔37と、窪み38と、複数のネジ穴39とが設けられる。貫通孔37は、貫通孔、第1の貫通孔、及び第2の貫通孔の一例である。貫通孔37は、側壁26を貫通し、凹面36bと内面35とに開口する。すなわち、貫通孔37は、内室Sに連通する。
【0024】
窪み38は、底壁25の外面32と側壁26の外面36とに設けられた切欠きである。なお、窪み38は、側壁26の外面36にのみ開口しても良い。窪み38は、内室Sに連通せず、内室Sから離間している。
【0025】
複数のネジ穴39は、底壁25の底面32aと、側壁26の側面36cとに設けられる。例えば、HDD10は、ネジ穴39に挿入されるネジにより、ホストコンピュータのような外部機器のケース又はドライブベイに固定される。
【0026】
カバー22は、+Z方向における側壁26の端部に、例えば溶接により取り付けられる。カバー22は、内室Sを気密に塞ぐ。カバー22は、側壁26に例えばネジにより取り付けられる他のカバーを覆っても良い。
【0027】
内室Sに、空気とは異なるガスが充填される。例えば、空気よりも密度が低い低密度ガスや、反応性の低い不活性ガス等が、内室Sに充填される。本実施形態では、ヘリウムが内室Sに充填される。なお、他の流体が内室Sに充填されても良い。
【0028】
中継基板12は、プリント回路板(PCB)41と、二つの接続コネクタ42A,42Bとを有する。接続コネクタ42Aは、第2のコネクタ及び第4のコネクタの一例である。接続コネクタ42Bは、第3のコネクタの一例である。
【0029】
PCB41は、例えば、側壁26の内面35に取り付けられ、貫通孔37を気密に塞ぐ。例えば、PCB41と内面35との間の隙間が、半田、ガスケット、又は接着剤により封止される。
【0030】
二つの接続コネクタ42A,42Bは、略Z方向に並べられる。図2に示すように、二つの接続コネクタ42A,42Bのそれぞれは、内コネクタ45と、外コネクタ46とを有する。
【0031】
内コネクタ45及び外コネクタ46は、PCB41に実装される。内コネクタ45は、PCB41から内室Sに向かって突出し、内室Sに位置する。二つの外コネクタ46は、PCB41から内室Sの外部に向かって突出し、貫通孔37に位置する。内コネクタ45は、外コネクタ46に電気的に接続される。
【0032】
複数の磁気ディスク13は、Z方向と略直交するように広がる円盤状に形成される。磁気ディスク13の上面及び下面に、磁気記録層が設けられる。複数の磁気ディスク13は、Z方向に間隔を介して並べられる。
【0033】
本実施形態のHDD10は、3.5インチHDDである。複数の磁気ディスク13のそれぞれの直径は、例えば、80mm以上且つ100mm以下に設定される。具体的には、磁気ディスク13の直径は、約96mmに設定される。また、複数の磁気ディスク13の厚さは、約0.635mmに設定される。なお、磁気ディスク13の寸法は、この例に限られない。
【0034】
本実施形態のHDD10は、20枚の磁気ディスク13を有する。なお、磁気ディスク13の数は、この例に限られない。筐体11は、多数の磁気ディスク13を収容可能なように、Z方向に大きく形成される。
【0035】
例えば、図1に示すZ方向における筐体11の最大の寸法(厚さ)Tは、26.2mm以上に設定される。Small Form Factor Committeeにより策定された3.5インチハードディスクドライブのフォームファクタであるSFF-8300は、Z方向におけるHDDの寸法について、複数の最大寸法(以下、規定寸法と称する)を設定している。SFF-8300に定められる一つの規定寸法は、26.10mmである。すなわち、本実施形態における筐体11の最大の厚さTは、当該規定寸法よりも大きい。
【0036】
本実施形態の筐体11の最大の厚さTは、例えば、42mmより長く且つ54mm以下に設定される。具体的には、本実施形態の筐体11の最大の厚さTは、約53.7mmに設定される。SFF-8300に定められる他の一つの規定寸法は、42.00mmである。すなわち、本実施形態における筐体11の最大の厚さTは、当該規定寸法よりも大きい。
【0037】
X方向及びY方向における筐体11の最大の寸法は、SFF-8300に定められる一つの規定寸法に従っている。例えば、X方向における筐体11の最大の寸法(幅)は、101.85mmに設定される。また、Y方向における筐体11の最大の寸法(長さ)は、146.99mmに設定される。
【0038】
SPM14は、底壁25に取り付けられる。SPM14は、Z方向に間隔を介して重ねられた複数の磁気ディスク13を支持する。複数の磁気ディスク13は、例えば、クランプバネによってSPM14のハブに保持される。
【0039】
SPM14は、複数の磁気ディスク13を、中心軸Ax1まわりに回転させる。中心軸Ax1は、第1の回転軸の一例である。中心軸Ax1は、磁気ディスク13の回転の中心であるとともに、SPM14のハブの中心軸である。
【0040】
本明細書において、便宜上、軸方向、径方向、及び周方向が定義される。軸方向は、中心軸Ax1に沿う方向である。中心軸Ax1は、Z方向に延びている。このため、軸方向はZ方向に等しい。径方向は、中心軸Ax1と直交する方向である。周方向は、中心軸Ax1まわりの方向である。
【0041】
図2に示すように、二つのHSA15A,15Bは、軸方向に並べられて、支持軸50に個別に回転可能に支持される。支持軸50は、磁気ディスク13から径方向に離間した位置に配置され、例えば、底壁25の内面31から略+Z方向に延びている。
【0042】
二つのHSA15A,15Bは、中心軸Ax1から離間した共通の中心軸Ax2まわりに回転することができる。中心軸Ax2は、第2の回転軸の一例である。中心軸Ax2は、例えば、HSA15A,15Bの回転の中心であり、支持軸50の中心軸でもある。中心軸Ax2は、中心軸Ax1と略平行に配置され、Z方向に延びている。
【0043】
二つのHSA15A,15Bのそれぞれは、キャリッジ51と、複数のヘッドジンバルアセンブリ(HGA)52とを有する。キャリッジ51は、アクチュエータブロック55と、複数のアーム56と、コイルホルダ57とを有する。アクチュエータブロック55、複数のアーム56、及びコイルホルダ57は、一体に形成される。
【0044】
アクチュエータブロック55は、例えば、軸受を介して、支持軸50に回転可能に支持される。複数のアーム56は、アクチュエータブロック55から、中心軸Ax2と直交する方向に略平行に突出している。複数のアーム56は、Z方向に間隔を介して配置され、複数の磁気ディスク13の間の隙間に進入可能である。
【0045】
コイルホルダ57は、アクチュエータブロック55から突出し、アーム56の反対側に位置する。コイルホルダ57は、VCM16のボイスコイルを保持する。VCM16は、当該ボイスコイルと、一対のヨークと、当該ヨークに設けられた磁石とを有する。
【0046】
複数のHGA52のそれぞれは、複数のアーム56のうち対応する一つの先端部分に取り付けられ、当該アーム56から突出する。複数のHGA52のそれぞれは、サスペンション61と、磁気ヘッド62とを有する。
【0047】
磁気ヘッド62は、スライダとも称され得る。HSA15Aの磁気ヘッド62は、第1の磁気ヘッドの一例である。HSA15Bの磁気ヘッド62は、第2の磁気ヘッドの一例である。
【0048】
サスペンション61は、ベースプレート65と、ロードビーム66と、フレキシャ(flexure)67とを有する。ベースプレート65は、アーム56の先端部に取り付けられる。ロードビーム66は、ベースプレート65の先端部に取り付けられ、ベースプレート65から中心軸Ax2と直交する方向に突出する。
【0049】
フレキシャ67は、細長い帯状に形成される。フレキシャ67は、例えば、ステンレス鋼等の金属板(裏打ち層)と、金属板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成され複数の配線(配線パターン)を構成する導電層と、導電層を覆う保護層(絶縁層)と、を有する積層板である。
【0050】
フレキシャ67は、ベースプレート65及びロードビーム66に取り付けられる。フレキシャ67の一方の端部は、ロードビーム66の上に位置するとともに変位可能なジンバル部(弾性支持部)を有する。
【0051】
磁気ヘッド62は、フレキシャ67の上記ジンバル部に実装される。磁気ヘッド62は、磁気ディスク13に対して、情報の記録及び再生を行う。言い換えると、磁気ヘッド62は、磁気ディスク13に対して情報を読み書きする。
【0052】
複数の磁気ディスク13のうち、HSA15Aの磁気ヘッド62が情報を読み書きする少なくとも一つは、第1の磁気ディスクの一例である。複数の磁気ディスク13のうち、HSA15Bの磁気ヘッド62が情報を読み書きする少なくとも一つは、第2の磁気ディスクの一例である。
【0053】
HSA15Aのキャリッジ51及びサスペンション61は、アクチュエータAcAを形成する。HSA15Bのキャリッジ51及びサスペンション61は、アクチュエータAcBを形成する。なお、アクチュエータAcA,AcBは、他の部品をさらに有しても良い。アクチュエータAcAは、第1のアクチュエータの一例である。アクチュエータAcBは、第2のアクチュエータの一例である。
【0054】
アクチュエータAcA,AcBのフレキシャ67は、磁気ヘッド62を保持する。アクチュエータAcA,AcBは、軸方向に並べられている。アクチュエータAcA,AcBは、共通の中心軸Ax2まわりに回転することで、磁気ヘッド62を移動させる。
【0055】
VCM16は、HSA15A,15Bを中心軸Ax2まわりに回転させ、所望の位置に配置する。VCM16によるHSA15A,15Bの回転により磁気ヘッド62が磁気ディスク13の最外周に移動すると、ランプロード機構17は、磁気ディスク13から離間した位置に磁気ヘッド62を保持する。
【0056】
二つのFPC18A,18Bのそれぞれは、二つの面71,72と複数の曲部73とを有する。面71,72は、互いに反対側に位置する。例えば、FPC18A,18Bの一方の端部において、面71にコネクタ75が実装され、面72に補強板76が取り付けられる。補強板76は、FPC18A,18Bを介してコネクタ75を支持する。コネクタ75は、二つの接続コネクタ42A,42Bのうち対応する一方の内コネクタ45に接続される。
【0057】
FPC18A,18Bの他方の端部において、面71に複数のパッドが設けられる。当該複数のパッドは、二つのHSA15A,15Bのうち対応する一方のフレキシャ67に、例えば半田によって接合される。これにより、二つのFPC18A,18Bは、二つのHSA15A,15Bのフレキシャ67と、二つの接続コネクタ42A,42Bとを接続する。
【0058】
曲部73は、FPC18A,18Bのうち円弧状に曲げられた部分である。複数の曲部73のそれぞれの円弧の中心軸は、略Z方向に延びている。本実施形態におけるFPC18A,18Bの面71,72は、全域に亘って略Z方向に延びており、Z方向と直交する部分を有さない。なお、FPC18A,18Bは、この例に限られず、面71,72がZ方向と直交するように曲げられても良い。
【0059】
図3に示すように、HDD10は、PCBアセンブリ(PCBA)81と、PCB82と、FPC83とをさらに有する。PCB82は、第2の基板の一例である。PCBA81は、PCB85と、インターフェースコネクタ(I/Fコネクタ)86とを有する。PCB85は、第1の基板の一例である。I/Fコネクタ86は、第1のコネクタの一例である。
【0060】
PCB85は、X-Z平面に沿って広がる板状に形成される。PCB85は、側壁26の外面36に、例えばネジ89により取り付けられる。図2に示すように、PCB85は、内面91と外面92とを有する。
【0061】
内面91は、略平坦に形成され、+Y方向に向く。PCB85の内面91と側壁26の外面36とは、互いに向かい合っている。内面91は、例えば、端面36aに支持される。外面92は、内面91の反対側に位置する。外面92は、略平坦に形成され、-Y方向に向く。内面91及び外面92は、軸方向に沿って設けられる。
【0062】
図3に示すように、PCB85に、開口部93が設けられる。開口部93は、PCB85をY方向に貫通し、内面91及び外面92に開口する。開口部93は、例えば、+Z方向におけるPCB85の縁に開口する切り欠きである。なお、開口部93は、孔であっても良い。
【0063】
I/Fコネクタ86は、本体95と、二つの取付部96と、接続端子97とを有する。本体95は、略X方向に延びる直方体状に形成される。本体95に、スロット98が設けられる。スロット98は、-Y方向に開口する窪みである。二つの取付部96は、X方向における本体95の両端に設けられる。接続端子97は、スロット98に設けられ、スロット98の底から-Y方向に突出している。
【0064】
I/Fコネクタ86は、シリアルATA(SATA)規格又はSerial Attached SCSI(SAS)規格に準拠するコネクタ(ポート)である。なお、I/Fコネクタ86は、SATA規格及びSAS規格の両方に準拠するコネクタであっても良いし、他の規格に準拠するコネクタであっても良い。I/Fコネクタ86は、例えば、接続端子97にデータケーブルと電源ケーブルとを接続され、当該データケーブル及び電源ケーブルを介して外部機器に接続される。
【0065】
I/Fコネクタ86は、PCB85に取り付けられる。例えば、I/Fコネクタ86は、PCB85の内面91に実装される。このため、I/Fコネクタ86は、内面91から略+Y方向に突出している。さらに、取付部96が、側壁26とPCB85との間に配置される。ネジ89が、PCB85と取付部96とを貫通し、側壁26に取り付けられる。これにより、側壁26、PCB85、及びI/Fコネクタ86の取付部96が、互いに固定される。
【0066】
I/Fコネクタ86は、ライトアングルコネクタである。すなわち、接続端子97が、I/Fコネクタ86が実装される内面91と略直交するY方向に延びている。このため、データケーブル及び電源ケーブルは、+Y方向にI/Fコネクタ86に挿入され、-Y方向にI/Fコネクタ86から抜かれる。
【0067】
I/Fコネクタ86の少なくとも一部は、窪み38に収容される。窪み38は、例えば、I/Fコネクタ86の外形に対応した形状を有する。窪み38を形成する側壁26の一部は、例えば、取付部96を支持する。I/Fコネクタ86のうち、少なくとも取付部96は、側壁26とPCB85との間に位置する。
【0068】
I/Fコネクタ86のスロット98は、PCB85の開口部93を通じて、HDD10の外部に露出される。I/Fコネクタ86は、部分的に、PCB85の開口部93に収容されても良い。
【0069】
I/Fコネクタ86の位置は、SFF-8300に定められる一つの規定における、3.5インチデバイスに搭載されるコネクタの位置に準拠する。なお、I/Fコネクタ86の位置は、SATA規格における3.5インチデバイスに搭載されるコネクタの位置に準拠しても良い。具体的には、I/Fコネクタ86の位置は、SerialATA Revision 3.3 Goldにおける6.22 Connector locationsの項に準拠しても良い。
【0070】
例えば、X方向において、接続端子97と+X方向における筐体11の端との間の距離は、13.43mmに設定される。Y方向において、接続端子97と底面32aに設けられたネジ穴39との間の距離は、36.38mmに設定される。Z方向において、接続端子97と側面36cに設けられたネジ穴39との間の距離は、2.85mmに設定される。なお、I/Fコネクタ86の位置は、SFF-8300に定められる他の規定に準拠しても良いし、SerialATAの他のRevisionに準拠しても良い。
【0071】
PCB82は、例えばネジにより底壁25の外面32に取り付けられる。PCB82は、例えば、凹面32bの内側に配置される。PCB82は、底壁25の底面32aよりも、カバー22に近い。すなわち、PCB82は、底壁25の底面32aから-Z方向に突出しない。本実施形態において、PCB82は、PCB85よりも小さい。
【0072】
FPC83は、例えば、PCB85と、PCB82と、SPM14とを電気的に接続する。なお、PCB85とPCB82とを接続するFPC又はケーブルと、PCB82とSPM14とを接続するFPC又はケーブルとが、別々に設けられても良い。
【0073】
図4は、第1の実施形態のPCBA81を示す例示的な正面図である。図4に示すように、PCBA81は、二つの回路100A,100Bと、二つのRVセンサ101と、電子ヒューズ102とをさらに有する。
【0074】
二つの回路100A,100Bのそれぞれは、リードライトコネクタ(R/Wコネクタ)111と、system-on-a-chip(SoC)112と、DRAM113と、静止型無効電力補償装置(SVC)114と、フラッシュメモリ(FROM)115と、レギュレータ116とを有する。なお、回路100A,100Bは、この例に限られない。SoC112は、コントローラの一例である。
【0075】
RVセンサ101、電子ヒューズ102、R/Wコネクタ111、SoC112、DRAM113、SVC114、FROM115、及びレギュレータ116は、PCB85の内面91に実装され、凹面36bの内側に配置される。PCB85の内面91に、他の電子部品がさらに実装されても良い。例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC)やタンタルコンデンサが、内面91に実装される。
【0076】
本実施形態において、PCBA81の電子部品の全てが、内面91に実装される。なお、PCBA81の電子部品のうち少なくとも一つが、外面92に実装されても良い。例えば、I/Fコネクタ86が、外面92に実装され、外面92から突出しても良い。
【0077】
回路100AのR/Wコネクタ111と回路100BのR/Wコネクタ111とは、略Z方向に並べられる。回路100AのR/Wコネクタ111は、接続コネクタ42Aの外コネクタ46に接続される。回路100BのR/Wコネクタ111は、接続コネクタ42Bの外コネクタ46に接続される。これにより、接続コネクタ42A,42Bは、PCB85とFPC18A,18Bとを電気的に接続する。
【0078】
回路100AのSoC112は、R/Wコネクタ111、接続コネクタ42A、FPC18A、及びフレキシャ67を通じて、HSA15Aの磁気ヘッド62を制御する。回路100BのSoC112は、R/Wコネクタ111、接続コネクタ42B、FPC18B、及びフレキシャ67を通じて、HSA15Bの磁気ヘッド62を制御する。さらに、回路100A又は回路100BのSoC112は、FPC83を通じて、SPM14を制御する。なお、他の電子部品がSPM14を制御しても良い。
【0079】
回路100A,100Bのそれぞれにおいて、R/Wコネクタ111、SoC112、DRAM113、SVC114、及びFROM115は、X方向に並べられる。R/Wコネクタ111は、Z方向に延びた直方体状に形成される。すなわち、R/Wコネクタ111の端子がZ方向に並べられる。このため、回路100A,100Bのそれぞれにおいて、R/Wコネクタ111の端子と他の部品とを接続する配線が、X方向に略直線状に延ばされることができる。
【0080】
RVセンサ101は、例えば、ショックセンサ又は加速度センサである。二つのRVセンサ101は、互いに離間している。例えば、一方のRVセンサ101は、+X方向におけるPCB85の端部に実装される。他方のRVセンサ101は、-X方向におけるPCB85の端部に実装される。なお、RVセンサ101の位置は、この例に限られない。
【0081】
図5は、第1の実施形態のPCB85及びRVセンサ101を分解して示す例示的な斜視図である。図5に示すように、RVセンサ101は、略直方体状に形成され、底面101aと、二つの端面101b,101cと、二つの電極101d,101eとを有する。
【0082】
底面101aは、略平坦に形成され、-Y方向に向く。RVセンサ101の底面101aとPCB85の内面91とは、互いに向かい合っている。端面101bは、例えば、+X方向におけるRVセンサ101の端部に設けられる。端面101bは、略平坦に形成され、+X方向に向く。端面101cは、例えば、-X方向におけるRVセンサ101の端部に設けられる。端面101cは、略平坦に形成され、-X方向に向く。
【0083】
電極101dは、底面101aの一部と端面101bとに設けられる。電極101eは、底面101aの一部と端面101cとに設けられる。なお、電極101d,101eの位置は、この例に限られない。二つの電極101d,101eは、互いに離間している。
【0084】
PCB85の内面91に、二つのパッド91a,91bが設けられる。パッド91aは、例えば半田を介して、電極101dに接合される。パッド91bは、例えば半田を介して、電極101eに接合される。これにより、電極101d,101eは、PCB85に電気的に接続される。
【0085】
本実施形態の二つのRVセンサ101は、X方向とY方向とにおける加速度を検出することができる。このため、二つのRVセンサ101は、HDD10のX方向における加速度、Y方向における加速度、及びZ軸まわりの角加速度を検出することができる。X方向は、底面101aに沿う方向であり、第1の方向の一例である。Y方向は、底面101aに略直交する方向であり、第2の面の一例である。
【0086】
以上説明された第1の実施形態に係るHDD10において、筐体11は、SPM14が取り付けられた底壁25と、当該底壁25から突出するとともに内室Sを囲む側壁26と、を有する。このため、SPM14に保持される磁気ディスク13は、底壁25に沿って広がる。また、磁気ディスク13に情報を読み書きするためのHSA15A,15Bと、磁気ディスク13とは、底壁25に沿って並べられる。PCB85は、内室Sの外部に向く側壁26の外面36に取り付けられる。I/Fコネクタ86は、PCB85に取り付けられるとともに、外部機器に接続されるよう構成される。すなわち、PCB85は、I/Fコネクタ86が取り付けられ、HDD10の主要な基板として利用され得る。複数の磁気ディスク13のそれぞれの直径は、80mm以上且つ100mm以下である。すなわち、HDD10は、3.5インチHDDである。さらに、軸方向における筐体11の最大の寸法は、26.2mm以上である。すなわち、軸方向における筐体11の寸法は、SFF-8300に定められる一つの規定寸法である26.10mmよりも大きい。すなわち、I/Fコネクタ86が実装されるPCB85は、軸方向に長く形成されることができる。PCB85が底壁25の外面32に取り付けられる場合、PCB85の大きさは、磁気ディスク13やHSA15A,15Bのような内室Sに収容される部品に干渉しないように、制約を受ける。しかし、本実施形態のPCB85は、側壁26の外面36に取り付けられるため、当該側壁26に沿って大型化したとしても内室Sに収容される部品に干渉しにくい。これにより、PCB85は、所望の大きさに形成されながら、内室Sに収容される部品に干渉することを抑制できる。従って、本実施形態のHDD10は、設計の自由度を向上できる。
【0087】
従来のHDDでは、PCBが筐体の底壁に取り付けられる。この場合、上述のように、PCBの大きさは、磁気ディスクやHSAによって制約を受ける。また、筐体に封入されたヘリウムが漏れることを抑制するために、当該PCBの大きさが制約を受けることがある。一方、磁気ディスクの数が増加することで、スピンドルモータやVCMの消費電力が増大する。消費電力の増大に応じて、MLCCやタンタルコンデンサの数が増加する。しかし、PCBの面積やPCBまわりの空間の大きさが制限されている場合、MLCCやタンタルコンデンサの追加は難しい。HDDがマルチアクチュエータを備える場合も、制御回路の追加は難しい。本実施形態のHDD10は、以上のような従来における制限を解消することができ、設計の自由度を向上できる。
【0088】
I/Fコネクタ86は、SATA規格及びSAS規格のうち少なくとも一方に準拠するコネクタである。I/Fコネクタ86の位置は、SFF-8300に定められる一つの規定における、3.5インチデバイスに搭載されるコネクタの位置に準拠する。これにより、本実施形態のHDD10は、SFF-8300に準拠する一般的な3.5インチHDDの代わりに、種々の機器に搭載されることができる。
【0089】
軸方向における筐体11の最大の寸法は、42mmより長く且つ54mm以下である。このため、軸方向における側壁26の外面36の長さが長くなり、PCB85は軸方向に長く形成されることができる。これにより、多くの電子部品又は大型の電子部品がPCB85に余裕をもって実装されることができる。従って、本実施形態のHDD10は、設計の自由度を向上できる。
【0090】
複数の磁気ディスク13の数は、20枚以上である。20枚以上の磁気ディスク13が軸方向に並べられるため、軸方向における側壁26の外面36の長さが長くなる。これにより、PCB85は、軸方向に長く形成されることができ、多くの電子部品又は大型の電子部品を実装されることができる。従って、本実施形態のHDD10は、設計の自由度を向上できる。
【0091】
I/Fコネクタ86は、ライトアングルコネクタである。これにより、I/Fコネクタ86は、一般的なHDDの場合と同様のY方向に外部機器に接続されることができる。
【0092】
SoC112は、PCB85に実装され、SPM14を制御するよう構成される。すなわち、PCB85は、SoC112及びI/Fコネクタ86が実装される主要な基板である。主要なPCB85が側壁26に取り付けられることで、底壁25のような他の部分に他の基板を実装する必要が無くなる。
【0093】
I/Fコネクタ86は、側壁26とPCB85との間に位置する。すなわち、I/Fコネクタ86は、PCB85から外部に突出しない。これにより、本実施形態のHDD10は、一般的なHDDの代わりに、種々の機器に搭載されることができる。
【0094】
側壁26の外面36に、I/Fコネクタ86が収容される窪み38が設けられる。これにより、本実施形態のHDD10は、側壁26とPCB85との間にI/Fコネクタ86を容易に配置できるとともに、筐体11の内室Sを無駄にすることを抑制できる。
【0095】
アクチュエータAcA,AcBは、共通の中心軸Ax2まわりに回転することで磁気ヘッド62を移動させる。すなわち、本実施形態のHDD10は、マルチアクチュエータを備える。マルチアクチュエータを備えるHDDでは、一般的なHDDに比べ、基板に実装される電子部品の数が増大する。本実施形態のHDD10は、PCB85が所望の大きさに形成され得るため、マルチアクチュエータを備えることによる設計の制約を抑制できる。
【0096】
FPC18A,18Bは、内室Sに収容される。接続コネクタ42A,42Bは、側壁26に設けられた貫通孔37を通してPCB85とFPC18A,18Bとを電気的に接続する。アクチュエータAcA,AcBは、軸方向に並べられる。接続コネクタ42A,42Bは、軸方向に並べられる。これにより、FPC18Aは、FPC18Bを経由して接続コネクタ42Bに接続されたり、FPC18Bと交差したりする必要が無い。従って、FPC18A,18Bは、構造を簡略化可能であるとともに、共通化されることができる。
【0097】
FPC18A,18Bは、内室Sに収容される。接続コネクタ42A,42Bは、側壁26に設けられた貫通孔37を通してPCB85とFPC18A,18Bとを電気的に接続する。一般的なHDDでは、接続コネクタが底壁25を貫通するため、FPC18A,18Bは底壁25に沿って折り曲げられる。しかし、本実施形態では、FPC18A,18Bは、底壁25に沿って折り曲げられる必要が無い。すなわち、FPC18A,18Bのうち、折り曲げられるための部分が不要となる。このため、FPC18A,18Bは、小型化できるとともに、当該FPC18A,18Bを底壁25に沿って保持する補強板のような部品を省略することができる。従って、本実施形態のHDD10は、コストを低減することができる。また、HDD10は、内室Sにおける他の部品を配置可能な空間を拡大することができる。
【0098】
RVセンサ101は、PCB85に向く底面101aと、当該底面101aに設けられるとともにPCB85に電気的に接続される電極101d,101eと、を有する。一般的に、加速度を検出するショックセンサは、底面101aに沿う二つの方向における加速度を検出する。しかし、本実施形態のRVセンサ101は、底面101aに沿うX方向と底面101aに直交するY方向とにおける加速度を検出可能である。これにより、底壁25の外面32にPCBが取り付けられて当該PCBに一般的なショックセンサが実装された場合と同様に、RVセンサ101が加速度を検出することができる。
【0099】
PCB82は、内室Sの外部に向く底壁25の外面32に取り付けられる。これにより、多くの電子部品又は大型の電子部品が、PCB85とPCB82とに分散して実装されることができる。従って、本実施形態のHDD10は、設計の自由度を向上できる。
【0100】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図6を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0101】
図6は、第2の実施形態に係るHDD10を示す例示的な斜視図である。図6に示すように、第2の実施形態のHDD10は、PCB82及びPCB85の代わりに、複合基板200を有する。複合基板200は、第1の基板の一例である。複合基板200は、以下に説明される点を除き、PCB85に実質的に等しい。
【0102】
複合基板200は、フレックスリジッド配線板又はリジッドフレキシブル基板である。複合基板200は、二つのリジッド部201,202と、フレキシブル部203とを有する。リジッド部201は、第1の部分の一例である。リジッド部202は、第2の部分の一例である。フレキシブル部203は、第3の部分の一例である。
【0103】
フレキシブル部203は、FPCによって形成される。このため、フレキシブル部203は、可撓性を有する。一方、リジッド部201,202は、フレキシブル部203を形成するFPCと、当該FPCに接合されたPCBと、によって形成される。なお、リジッド部201,202及びフレキシブル部203は、この例に限られない。
【0104】
リジッド部201,202の剛性は、フレキシブル部203の剛性よりも高い。二つのリジッド部201,202は、互いに離間している。フレキシブル部203は、リジッド部201とリジッド部202との間に設けられ、二つのリジッド部201,202を電気的に接続する。
【0105】
リジッド部201は、第1の実施形態のPCB82と同様に、底壁25の外面32に取り付けられる。一方、リジッド部202は、第1の実施形態のPCB85と同様に、側壁26の外面36に取り付けられる。
【0106】
I/Fコネクタ86、RVセンサ101、電子ヒューズ102、R/Wコネクタ111、SoC112、DRAM113、SVC114、FROM115、及びレギュレータ116は、リジッド部202に実装される。なお、RVセンサ101、電子ヒューズ102、R/Wコネクタ111、SoC112、DRAM113、SVC114、FROM115、及びレギュレータ116のうち少なくとも一つが、リジッド部201に実装されても良い。
【0107】
以上説明された第2の実施形態のHDD10において、複合基板200は、リジッド部201,202とフレキシブル部203とを有する。リジッド部201は、内室Sの外部に向く底壁25の外面32に取り付けられる。リジッド部202は、側壁26の外面36に取り付けられる。フレキシブル部203は、リジッド部201とリジッド部202との間に設けられ、可撓性を有する。これにより、多くの電子部品又は大型の電子部品が、リジッド部201,202に分散して実装されることができる。従って、本実施径他のHDD10は、設計の自由度を向上できる。
【0108】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、第3の実施形態に係るPCB85及びRVセンサ301を分解して示す例示的な斜視図である。図7に示すように、第3の実施形態のPCBA81は、RVセンサ101の代わりに、RVセンサ301を有する。RVセンサ301は、以下に説明する点を除き、RVセンサ101に実質的に等しい。
【0109】
RVセンサ301の底面101aは、例えば、X-Y平面に沿って広がり、略+Z方向に向く。RVセンサ301は、側面301aをさらに有する。側面301aは、底面101aと交差している。側面301aは、略平坦に形成され、-Y方向に向く。RVセンサ301の側面301aとPCB85の内面91とは、互いに向かい合っている。
【0110】
電極101d,101eは、底面101a及び端面101b,101cに設けられるが、側面301aには設けられない。すなわち、電極101d,101eは、側面301aから離間している。
【0111】
パッド91aは、例えば半田を介して、端面101bの電極101dに接合される。パッド91bは、例えば半田を介して、端面101cの電極101eに接合される。このように、底面101aとPCB85の内面91とが向かい合っていなくとも、電極101d,101eは、PCB85に電気的に接続されることができる。
【0112】
本実施形態のRVセンサ101は、X方向とY方向とにおける加速度を検出することができる。X方向及びY方向は、底面101aに沿う方向であり、底面に沿う二つの方向の一例である。
【0113】
以上説明された第3の実施形態のHDD10において、RVセンサ301は、底面101aと、側面301aと、電極101d,101eとを有する。側面301aは、底面101aと交差する。電極101d,101eは、底面101aに設けられて側面301aから離間しているとともに、PCB85に電気的に接続される。RVセンサ301は、底面101aに沿う二つの方向における加速度を検出可能である。一般的に、電極101d,101eが設けられた底面101aは、RVセンサ301が実装される基板(PCB85)に向く。しかし、本実施形態のRVセンサ301において、側面301aがPCB85に向く。これにより、底壁25の外面32にPCB85が取り付けられて当該PCB85に一般的なショックセンサが実装された場合と同様に、RVセンサ301が加速度を検出することができる。
【0114】
以上の実施形態において、I/Fコネクタ86は、ライトアングルコネクタである。しかし、I/Fコネクタ86は、当該I/Fコネクタ86が実装される内面91に沿った方向に接続端子97が延びる通常のコネクタであっても良い。
【0115】
また、以上の実施形態において、PCB82及びリジッド部201は、底壁25の外面32に取り付けられる。しかし、PCB82及びリジッド部201は、側壁26の側面36cのような筐体11の他の部分に取り付けられても良い。
【0116】
以上の説明において、「抑制する」は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
10…ハードディスクドライブ(HDD)、11…筐体、13…磁気ディスク、14…スピンドルモータ(SPM)、18A,18B…フレキシブルプリント回路板(FPC)、25…底壁、26…側壁、32,36…外面、37…貫通孔、38…窪み、42A,42B…接続コネクタ、62…磁気ヘッド、82,85…プリント回路板(PCB)、86…インターフェースコネクタ(I/Fコネクタ)、101,301…RVセンサ、101a…底面、101d,101e…電極、112…system-on-a-chip(SoC)、200…複合基板、201,202…リジッド部、203…フレキシブル部、301a…側面、S…内室、Ax1,Ax2…中心軸、AcA,AcB…アクチュエータ、T…寸法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7