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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136960
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G03G15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048279
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】中植 隆久
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA22
2H270LA18
2H270LA29
2H270LD03
2H270LD09
2H270MA14
2H270MA15
2H270MA24
2H270MB11
2H270MB27
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で転写不良の発生を防止可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成部と、転写部材と、濃度検知装置と、制御部と、を備えた画像形成装置である。画像形成部は、像担持体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、を含む。制御部は、トナー像の濃度を補正するキャリブレーションモードを実行可能である。キャリブレーションモードの実行時に、現像装置によって基準画像を形成し、濃度検知装置により検知された基準画像の濃度に基づいて現像電圧を調整するとともに、調整した現像電圧に基づいて転写電圧を調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成された像担持体と、
前記像担持体を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像担持体を露光することにより静電潜像を形成する露光装置と、
前記像担持体に対向配置され、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記現像剤担持体に所定の現像電圧を印加して前記像担持体に形成された前記静電潜像に前記トナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
を含む画像形成部と、
前記像担持体に対向配置され、所定の転写電圧が印可されて前記像担持体上に形成された前記トナー像を被転写体に転写する転写部材と、
前記被転写体に転写された前記トナー像の濃度を検知する濃度検知装置と、
前記画像形成部と、前記転写部材と、前記濃度検知装置と、を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置において、
前記制御部は、前記トナー像の画質を維持するキャリブレーションモードを実行可能であり、
前記キャリブレーションモードの実行時に、前記現像装置によって基準画像を形成し、前記濃度検知装置により検知された前記基準画像の濃度に基づいて前記現像電圧を調整するとともに、調整した前記現像電圧に基づいて前記転写電圧を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数種の前記キャリブレーションモードを連続して実行可能であり、最初の前記キャリブレーションモードの実行時に、前記現像装置によってベタ濃度の前記基準画像を形成し、前記濃度検知装置により検知されたベタ濃度の前記基準画像の濃度に基づいて前記現像電圧を調整し、調整した前記現像電圧に基づいて前記転写電圧を調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写電圧は、調整した現像電圧及び外気中の水分量に基づいて調整されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体を備えた複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は特許文献1に開示されている。この画像形成装置は、画像形成部と、濃度検知装置と、転写部材と、を備えた画像形成装置である。画像形成部は、像担持体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、を含む。
【0003】
像担持体は、表面に感光層が形成される。帯電装置は、像担持体を帯電させる。露光装置は、帯電装置により帯電された像担持体を露光することにより静電潜像を形成する。現像装置は、現像剤担持体を有し、現像剤担持体に所定の現像電圧を印加して像担持体に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。現像剤担持体は、像担持体に対向配置され、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を担持する。
【0004】
転写部材は、像担持体に対向配置され、所定の転写電圧を印可して像担持体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する。濃度検知装置は、現像装置により形成されたトナー像の濃度を検知する。
【0005】
現像前の像担持体に形成されたトナー像の表面電位と、現像後のトナー像の表面電位と、を測定する。測定して現像前後の表面電位と濃度検知装置で検知したトナー像の濃度からトナー帯電量を推定する。推定されたトナー帯電量に基づいて転写電圧を調整する。これにより、転写電圧の不足又は過剰な転写電圧を原因とする転写不良の発生を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-345075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、像担持体に形成されたトナー像の表面電位を測定するために表面電位センサーが必要になり、コストアップに繋がる問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡易な構成で転写不良の発生を防止可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、画像形成部と、転写部材と、濃度検知装置と、制御部と、を備えた画像形成装置である。画像形成部は、像担持体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、を含む。像担持体は、表面に感光層が形成される。帯電装置は、像担持体を帯電させる。露光装置は、帯電装置により帯電された像担持体を露光することにより静電潜像を形成する。現像装置は、現像剤担持体を有し、現像剤担持体に所定の現像電圧を印加して像担持体に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。現像剤担持体は、像担持体に対向配置され、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を担持する。転写部材は、像担持体に対向配置され、所定の転写電圧が印可されて像担持体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する。濃度検知装置は、現像装置により形成されたトナー像の濃度を検知する。制御部は、画像形成部と、転写部材と、濃度検知装置と、を制御する。制御部は、トナー像の濃度を補正するキャリブレーションモードを実行可能である。キャリブレーションモードの実行時に、現像装置によって基準画像を形成し、濃度検知装置により検知された基準画像の濃度に基づいて現像電圧を調整するとともに、調整した現像電圧に基づいて転写電圧を調整する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、簡易な構成で転写不良の発生を防止可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構成を示す側面断面図
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の現像装置3aにおける制御経路を含む画像形成部Pa周辺の部分拡大図
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100におけるキャリブレーションモードの実行例を示すフローチャート
図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100におけるキャリブレーションモードの実行時の基準画像の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。
【0013】
画像形成装置100は、画像形成部Pa~Pdと、一次転写ローラー(転写部材)6a~6dと、画像濃度センサー(濃度検知装置)40と、主制御部(制御部)80と、を備える。
【0014】
4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、画像形成装置100(ここではカラープリンター)本体内において、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0015】
画像形成部Pa~Pdは、感光体ドラム(像担持体)1a~1dと、帯電装置2a~2dと、露光装置5と、現像装置3a~3dと、を含む。画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト(被転写体)8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。
【0016】
一次転写ローラー(転写部材)6a~6dは、感光体ドラム(像担持体)1a~1dに対向配置され、所定の転写電圧が印可されて感光体ドラム(像担持体)1a~1d上に形成された各色の可視像(トナー像)を中間転写ベルト(被転写体)8に転写する。これにより、感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。
【0017】
その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Pは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0018】
トナー像が二次転写される転写紙Pは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0019】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
【0020】
すなわち、帯電装置2a~2dは、感光体ドラム(像担持体)1a~1dを帯電させる。露光装置5は、帯電装置2a~2dにより帯電された感光体ドラム(像担持体)1a~1dを露光することにより静電潜像を形成する。現像装置3a~3dは、現像ローラー(現像剤担持体)31を有し、現像ローラー(現像剤担持体)31に所定の現像電圧を印加して感光体ドラム(像担持体)1a~1dに形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。現像ローラー(現像剤担持体)31は、感光体ドラム(像担持体)1a~1dに対向配置され、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を担持する。
【0021】
詳細には、パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0022】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0023】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0024】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0025】
さらに、中間転写ベルト8を挟んで駆動ローラー11と対向する位置には画像濃度センサー(濃度検知装置)40が配置されている。画像濃度センサー40としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上に形成された各基準画像に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、およびベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
【0026】
トナーおよびベルト表面からの反射光には正反射光と乱反射光とが含まれる。この正反射光および乱反射光は、偏光分離プリズムで分離された後、それぞれ別個の受光素子に入射する。各受光素子は、受光した正反射光と乱反射光を光電変換して主制御部80(図3参照)に出力信号を出力する。そして、正反射光と乱反射光の出力信号の特性変化からトナー像の濃度を検知する。
【0027】
すなわち、画像濃度センサー(濃度検知装置)40が、中間転写ベルト(被転写体)8に転写されたトナー像の濃度を検知する。画像濃度センサー(濃度検知装置)40が検知したトナー像の濃度と、予め定められた基準濃度と比較して現像電圧の特性値などを調整する。これにより、各色についてトナー濃度の補正(キャリブレーション)が行われる。なお、キャリブレーションについては後で詳細に説明する。
【0028】
図2は、画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図である。なお、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb~Pdに配置される現像装置3b~3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0029】
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤という)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21および供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナーを磁性キャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bがそれぞれ回転可能に配設されている。
【0030】
そして、攪拌搬送スクリュー25aおよび供給搬送スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された不図示の現像剤通過路を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0031】
現像容器20は図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー25bの右斜め上方には現像ローラー(現像剤担持体)31が配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20bから露出し、感光体ドラム1aに対向している。現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する。
【0032】
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された複数の磁極を有するマグネット(図示せず)とで構成されている。なお、ここでは表面がローレット加工された現像スリーブを用いているが、表面に多数の凹形状(ディンプル)を形成したものや、表面がブラスト加工された現像スリーブ、更には、ローレット加工や凹形状の形成に加えてブラスト加工を施したものや、メッキ処理を施したものを用いることもできる。
【0033】
また、現像容器20には規制ブレード27が現像ローラー31の長手方向(図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられている。規制ブレード27の先端部と現像ローラー31表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0034】
現像ローラー31には、現像電圧電源43(図3参照)により直流電圧Vslv(DC)(以下、Vdcともいう)および交流電圧Vslv(AC)からなる現像電圧が印加される。
【0035】
図3は、現像装置3aの制御経路を含む画像形成部Pa周辺の部分拡大図である。以下の説明では画像形成部Paの構成および現像装置3aの制御経路について説明するが、画像形成部Pb~Pdの構成および現像装置3b~3dの制御経路についても同様であるため説明を省略する。
【0036】
現像ローラー31は、直流電圧と交流電圧が重畳された振動電圧を生成する現像電圧電源43に接続されている。現像電圧電源43は、交流定電圧電源43aと、直流定電圧電源43bとを備える。交流定電圧電源43aは、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を出力する。直流定電圧電源43bは、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を整流した直流電圧を出力する。
【0037】
現像電圧電源43は、画像形成時には交流定電圧電源43aおよび直流定電圧電源43bから直流電圧に交流電圧を重畳させた現像電圧を出力する。電流検出部44は、現像ローラー31と感光体ドラム1aの間に流れる直流電流値を検出する。
【0038】
帯電電圧電源45は、帯電装置2aの帯電ローラー34に直流電圧に交流電圧が重畳された帯電電圧を印加する。帯電電圧電源45の構成は現像電圧電源43と同様である。転写電圧電源47は、一次転写ローラー(転写部材)6a~6d、二次転写ローラー9(図1参照)に、それぞれ一次転写電圧(転写電圧)、二次転写電圧を印加する。
【0039】
クリーニング装置7aは、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するクリーニングブレード32と、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム1a表面を摺擦して研磨する摺擦ローラー33と、クリーニングブレード32および摺擦ローラー33によって感光体ドラム1aから除去された残留トナーをクリーニング装置7aの外部に排出する搬送スパイラル35と、を含む。
【0040】
次に、画像形成装置100の制御システムについて図3を参照して説明する。画像形成装置100には、CPU等で構成される主制御部(制御部)80が設けられている。主制御部80は、ROMやRAM等からなる記憶部70に接続される。記憶部70には、通常の画像形成モードやキャリブレーションモードを実行するプログラムが予め記憶されている。
【0041】
主制御部80は、記憶部70に格納された制御プログラムや制御用データに基づいて画像形成装置100の各部(帯電装置2a~2d、現像装置3a~3d、露光装置5、一次転写ローラー6a~6d、クリーニング装置7a~7d、二次転写ローラー9、定着部13、現像電圧電源43、電流検出部44、帯電電圧電源45、転写電圧電源47、電圧制御部50等)を制御する。すなわち、主制御部(制御部)80は、画像形成部Pa~Pdと、一次転写ローラー(転写部材)6a~6dと、画像濃度センサー(濃度検知装置)40と、を制御する。
【0042】
電圧制御部50は、現像ローラー31に現像電圧を印加する現像電圧電源43、帯電ローラー34に帯電電圧を印加する帯電電圧電源45、一次転写ローラー6a~6dおよび二次転写ローラー9に転写電圧を印加する転写電圧電源47を制御する。なお、電圧制御部50は、記憶部70に記憶される制御プログラムで構成されていてもよい。
【0043】
主制御部80には液晶表示部90、送受信部91が接続されている。液晶表示部90は、ユーザーが画像形成装置100の各種設定を行うためのタッチパネルとして機能するとともに、画像形成装置100の状態、画像形成状況や印字枚数等を表示する。送受信部91は、電話回線やインターネット回線を用いて外部との通信を行う。
【0044】
主制御部80は、通常の画像形成モードとは別にキャリブレーションモードを実行可能である。本実施形態の画像形成装置100では、キャリブレーションモードの実行時に、現像装置(3a~3d)によって基準画像(トナーパッチ)を形成し、画像濃度センサー(濃度検知装置)40により検知された基準画像の濃度に基づいて現像電圧を調整する。また、調整した現像電圧に基づいて一次転写ローラー(転写部材)6a~6dに印可される転写電圧を調整する。
【0045】
より詳細には、キャリブレーションモードの実行により、調整した現像電圧に基づいてトナー帯電量を推定し、推定されたトナー帯電量に基づいて一次転写ローラー(転写部材)6a~6dに印可される転写電圧を調整する。転写電圧(一次転写ローラー6a~6dに供給される転写電流)をトナー帯電量に基づいて調整して最適化することにより、トナー帯電量に対して転写電流が不足したときに発生する転写不良や、トナー帯電量に対して転写電流が過剰なときに発生する逆転写、白点等の画像欠損の発生を防止できる。これにより、キャリブレーションモードの実行によりトナー像の濃度を補正してトナー像の画質を維持できる。
【0046】
図4は、画像形成装置100におけるキャリブレーションモードの実行例を示すフローチャートである。主制御部(制御部)80は、複数種の前記キャリブレーションモードを連続して実行可能である。キャリブレーションモードは、例えば、前回のキャリブレーションモードの実行からの累積印字枚数が所定枚数(50k枚~100k枚)以上となっている場合等に実行される。本実施形態では、ベタ濃度を補正するキャリブレーションモードとハーフ濃度を補正するキャリブレーションとが連続して実行される。
【0047】
複数種のキャリブレーションモードを連続して実行する際に、最初にベタ濃度を補正するキャリブレーションモードが実行される。具体的には、キャリブレーションモードが実行されると、ステップS1では、帯電装置2a~2dにより感光体ドラム1a~1dの表面を帯電させた後、露光装置5により感光体ドラム1a~1dの表面を露光して基準画像の静電潜像パターンを形成する。そして、現像電圧電源43によって現像ローラー31に所定の現像電圧を印加して静電潜像をトナー像に現像する。これにより、感光体ドラム1a~1d上にトナー像が形成される。
【0048】
ステップS2では、帯電電圧電源45によって一次転写ローラー(転写部材)6a~6dにそれぞれ所定の一次転写電圧(転写電圧)を印可して感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像を中間転写ベルト(被転写体)8に転写する。これにより、中間転写ベルト8上に基準画像が形成される。基準画像は、画像形成モードの実行時の同じ画像形成条件(例えば、帯電、露光、現像条件)で、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色で形成される。また、基準画像は、ベタ濃度(像密度100%)で形成される。
【0049】
図5は、本実施形態における基準画像の一例を示した図である。基準画像P1~P3は、ベタ濃度(像密度100%)で形成され、現像電圧を複数段階に変化させたものである。例えば、基準画像P1~P3は、像密度=100%で、それぞれの現像電圧は、基準画像P1=200V、基準画像P2=300V、基準画像P3=400Vである。
【0050】
ステップS3では、画像濃度センサー(濃度検知装置)40により中間転写ベルト(被転写体)8上の基準画像の濃度を検知する。本実施形態では、主制御部80が、ステップS2で形成された基準画像P1~P3の濃度を画像濃度センサー40に検知させる。
【0051】
ステップS4では、主制御部80が、画像濃度センサー40により検知された基準画像の濃度に基づいて現像電圧を調整する。本実施形態では、基準画像P1~P3の中からベタ濃度に最も近い基準画像の現像電圧を、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の現像電圧に調整(設定)する。これにより、トナー像の濃度を補正してベタ濃度(ソリッド領域)を含む画像を安定して高品質に出力できる。
【0052】
なお、現像電圧の調整は、上記方法に限定されない。例えば、以下の方法により現像電圧を調整してもよい。所定の画像形成条件で基準画像を1枚形成し、画像濃度センサー(濃度検知装置)40により基準画像の濃度を検知する。画像濃度センサー40の検知結果を、所定の画像形成条件で設定された基準濃度と比較し、検知された基準画像の濃度が、基準濃度よりも高い場合は、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の現像電圧を基準値よりも下げる調整を行う。これにより、現像ローラー31と静電潜像の画像部との間に形成される電界が小さくなる。従って、現像されるトナー量が減少し、トナー像の濃度が低下する。
【0053】
一方、また、検知された基準画像の濃度が、基準濃度よりも低い場合は、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の現像電圧を基準値よりも上げる調整を行う。これにより、現像ローラー31と感光体ドラム1a~1d上の静電潜像の画像部との間に形成される電界が大きくなる。従って、現像されるトナー量が増加し、トナー像の濃度が上昇する。
【0054】
ステップS5では、ステップS4で設定(調整)した現像電圧に基づいて、一次転写ローラー(転写部材)6a~6dに印可される通常印刷時(画像形成モードの実行時)の転写電圧を調整する。具体的には、予め記憶部70に記憶されたテーブルに基づいて現像電圧に対応する転写電圧を設定する。例えば、ステップS4において、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の現像電圧を基準値よりも下げる調整を行った場合に、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の転写電圧を基準値よりも下げる調整を行う。これにより、一次転写ローラー(転写部材)6a~6dに供給される転写電流は、基準値よりも下げる調整が行われる。
【0055】
一方、ステップS4において、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の現像電圧を基準値よりも上げる調整を行った場合に、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の転写電圧を基準値よりも上げる調整を行う。これにより、一次転写ローラー(転写部材)6a~6dに供給される転写電流は、基準値よりも上げる調整が行われる。
【0056】
なお、ステップS4において、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の現像電圧を調整しない場合は、通常印刷時(画像形成モードの実行時)の転写電圧も調整しない。
【0057】
ステップS4において調整した現像電圧は、トナー帯電量を反映している。このため、調整した現像電圧に基づいて一次転写電圧(転写電圧)を調整することは、結果的にトナー帯電量に基づいて転写電圧を調整している。これにより、転写電圧をトナー帯電量に基づいて調整して最適化できる。従って、トナー帯電量に対して転写電流が不足したときに発生する転写不良や、トナー帯電量に対して転写電流が過剰なときに発生する逆転写、白点等の画像欠損の発生を防止できる。これにより、簡易な構成で転写不良の発生を防止可能な画像形成装置100を提供できる。
【0058】
なお、転写電圧は、ステップS4において調整した現像電圧及び外気中の水分量に基づいて調整することがより好ましい。外気中の水分量は、例えば、機内温度および機内湿度の両方を検知する環境センサーにより検知することができる。外気中の水分量と、トナー帯電量に基づく転写電圧と、に基づいて転写電圧を調整することにより、調整する転写電圧をより最適化できる。例えば、外気中の水分量が増加するにつれてトナーの付着力も増加する。このとき、調整する転写電圧を基準値よりもさらに上げる調整を行う。また、外気中の水分量が低下するにつれてトナーの付着力も低下する。このとき、調整する転写電圧を基準値よりもさらに下げる調整を行う。
【0059】
ステップS6では、帯電装置2a~2dにより感光体ドラム1a~1dの表面を帯電させた後、露光装置5により感光体ドラム1a~1dの表面を露光して基準画像の静電潜像パターンを形成する。そして、現像電圧電源43によって現像ローラー31にステップS4で調整した現像電圧を印加して静電潜像をトナー像に現像する。これにより、感光体ドラム1a~1d上にトナー像が形成される。
【0060】
ステップS7では、帯電電圧電源45によって一次転写ローラー(転写部材)6a~6dにそれぞれステップ5で調整した一次転写電圧(転写電圧)を印可して感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像を中間転写ベルト(被転写体)8に転写する。これにより、中間転写ベルト8上に基準画像が形成される。基準画像は、画像形成モードの実行時の同じ画像形成条件(例えば、帯電、露光、現像条件)で、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色で形成される。また、基準画像は、ハーフ濃度(例えば、像密度50%)で形成される。
【0061】
ステップS8では、画像濃度センサー(濃度検知装置)40により中間転写ベルト(被転写体)8上の基準画像の濃度を検知する。
【0062】
ステップS9では、主制御部80が、画像濃度センサー40により検知された基準画像の濃度に基づいて現像電圧及び転写電流以外の画像形成条件を変更する。これにより、トナー像の濃度を補正してハーフ濃度(中間調濃度)を含む画像を安定して高品質に出力できる。
【0063】
すなわち、主制御部(80)は複数種のキャリブレーションモードを連続して実行可能であり、最初のキャリブレーションモード(ステップS1~S6)の実行時に、現像装置3a~3dによってベタ濃度の基準画像を形成し、画像濃度センサー(濃度検知装置)により検知されたベタ濃度の基準画像の濃度に基づいて現像電圧を調整し、調整した現像電圧に基づいて転写電圧を調整する。
【0064】
これにより、複数種のキャリブレーションを連続して実行する場合に、トナーの消費量を低減することができるとともに、キャリブレーションの時間を短縮できる。
【0065】
なお、本実施形態では、ベタ濃度を補正するキャリブレーションモードとハーフ濃度を補正するキャリブレーションとが連続して実行されたが、ベタ濃度を補正するキャリブレーションモードが最初に実行されれば、その後に実行されるキャリブレーションの種類は限定されない。例えば、実際の画像出力の際の色の濃度の傾き(γテーブル)を演算処理によって設定して補正を行うI/Oキャリブレーションを実行してもよい。
【0066】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では転写電圧は、調整した現像電圧及び外気中の水分量に基づいて調整されているが、外気の温度に基づいて調整されてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では画像形成装置100として図1に示したようなカラープリンターを例に挙げて説明したが、カラープリンターに限らず、モノクロおよびカラー複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。以下、実施例により本発明の効果について更に詳細に説明する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
2a~2d 帯電装置
3a~3d 現像装置
3b~3d 現像装置
4a~4d トナーコンテナ
5 露光装置
6a~6d 一次転写ローラー(転写部材)
7a~7d クリーニング装置
8 中間転写ベルト
9 二次転写ローラー
10 従動ローラー
11 駆動ローラー
12a 給紙ローラー
12b レジストローラー対
13 定着部
13a 定着ローラー対
14 分岐部
15 排出ローラー対
16 用紙カセット
17 排出トレイ
18 面搬送路
19 ベルトクリーナー
20 現像容器
20a 仕切壁
20b 開口部
21 攪拌搬送室
22 供給搬送室
25a 攪拌搬送スクリュー
25b 供給搬送スクリュー
27 規制ブレード
31 現像ローラー(現像剤担持体)
32 クリーニングブレード
33 摺擦ローラー
34 帯電ローラー
35 搬送スパイラル
40 画像濃度センサー(濃度検知装置)
43 現像電圧電源
43a 交流定電圧電源
43b 直流定電圧電源
44 電流検出部
45 帯電電圧電源
47 転写電圧電源
50 電圧制御部
70 記憶部
80 主制御部(制御部)
90 液晶表示部
91 送受信部
100 画像形成装置
P 転写紙
P1~P3 基準画像
Pa~Pd 画像形成部
図1
図2
図3
図4
図5