(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136970
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】搬送加熱装置
(51)【国際特許分類】
F27B 9/36 20060101AFI20240927BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240927BHJP
F27B 9/02 20060101ALI20240927BHJP
F27B 9/06 20060101ALI20240927BHJP
F27D 11/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F27B9/36
H05K3/34 507L
F27B9/02
F27B9/06 E
F27D11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048291
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】弁理士法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】志田 淳
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 剛史
【テーマコード(参考)】
4K050
4K063
5E319
【Fターム(参考)】
4K050AA02
4K050BA17
4K050CA13
4K050CC07
4K050CD06
4K050CD16
4K050CD22
4K050CD25
4K050CD30
4K050EA03
4K063AA05
4K063AA15
4K063BA12
4K063CA03
4K063FA04
4K063FA13
4K063FA18
4K063FA29
5E319AA08
5E319AC01
5E319AC03
5E319BB01
5E319CC36
5E319CD31
5E319CD36
5E319GG15
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】ゾーン間のバッファ部における温度低下を防止する。
【解決手段】複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、加熱炉間に存在するバッファ部と、被加熱物を搬送する搬送コンベアと、長手方向が被加熱物の搬送方向と交叉してバッファ部に設けられた管状の赤外線ランプヒーターとを備えた搬送加熱装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱炉が配列され、前記加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、
前記加熱炉間に存在するバッファ部と、
前記被加熱物を搬送する搬送コンベアと、
長手方向が前記被加熱物の搬送方向と交叉して前記バッファ部に設けられた管状の赤外線ランプヒーターと
を備えた搬送加熱装置。
【請求項2】
前記被加熱物に吹き付けた熱風が前記バッファ部の前記赤外線ランプヒーターを通過して負圧側に戻るようにされた請求項1に記載の搬送加熱装置。
【請求項3】
前記赤外線ランプヒーターの封止部を前記被加熱物に吹き付けた熱風が通過して負圧側に戻るようにされた請求項2に記載の搬送加熱装置。
【請求項4】
前記加熱炉は、被加熱物に対して突出する複数の噴射ノズルを有する加熱パネルと、前記加熱パネルとほぼ平行に配され、前記噴射ノズルが被加熱物に吹き付けた熱風の戻りガスを通過させる孔又はスリットを有する回収板とを備え、
前記戻りガスが前記バッファ部の前記赤外線ランプヒーターを通過するようになされた請求項1から3のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【請求項5】
前記赤外線ランプヒーターの封止部の少なくとも一部を覆うカバーを有する請求項1から3のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【請求項6】
前記赤外線ランプヒーターの封止部の少なくとも一部を覆うカバーを有する請求項4に記載の搬送加熱装置。
【請求項7】
赤外線ランプヒーターの封止部に対して冷却用ガスを吹きつけるようにした請求項1から3のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【請求項8】
赤外線ランプヒーターの封止部に対して冷却用ガスを吹きつけるようにした請求項4に記載の搬送加熱装置。
【請求項9】
前記赤外線ランプヒーターが中間赤外線を放射する請求項1から3のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【請求項10】
前記赤外線ランプヒーターが中間赤外線を放射する請求項4に記載の搬送加熱装置。
【請求項11】
前記赤外線ランプヒーターがハロゲンヒーターである請求項1から3のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【請求項12】
前記赤外線ランプヒーターがハロゲンヒーターである請求項4に記載の搬送加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント基板のリフローを行うリフロー装置に対して適用できる搬送加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品またはプリント基板に対して、予めはんだ組成物を供給しておき、リフロー炉の中に基板を搬送コンベアで搬送するリフロー装置が使用されている。リフロー装置は、基板を搬送する搬送コンベアと、この搬送コンベアによって被加熱物例えばプリント基板が供給されるリフロー炉本体とを備えている。リフロー炉は、例えば、搬入口から搬出口に至る搬送経路に沿って、複数のゾーンに対応する複数の加熱炉(加熱炉)が順に配置された構成とされている。複数のゾーンは、その機能によって、加熱ゾーン、冷却ゾーンなどの役割を有する。
【0003】
加熱ゾーンでは、基板に対して熱風が吹きつけられることによって、はんだ組成物内のはんだを溶融させてプリント基板の電極と電子部品とがはんだ付けされる。リフロー装置では、加熱時の温度を所望の温度プロファイルにしたがって制御することによって、所望のはんだ付けがなされる。
【0004】
このようなリフロー装置において、ゾーン間(加熱炉間)の領域には、ゾーンごとにそれぞれ温度を制御するために、熱風が当たりにくい空間(バッファ部と適宜称する)が存在する。バッファ部では、熱風が当たりにくいために、温度が低下し、温度プロファイル上で温度低下が生じる問題があった。かかる問題に対処するために、特許文献1に記載のリフロー装置では、リフローゾーンの間のバッファ部に対して、輻射パネルを通過する熱風の一部を熱風案内羽根によって導くようにしている。
【0005】
特許文献2は、搬送方向の前方側の加熱炉に設けられた開口を通じて、後方側のバッファ部に対して熱風を導入するようにして温度低下を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-000905号公報
【特許文献2】特開2022-065287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、輻射パネルの吹き出し孔に対して熱風案内羽根を設けるために、自身のゾーンに対して供給されるべき熱風の一部を使用するため、特に車載基板等大型部品が混載されたワークの各部品に対し、より充分な加熱を与えるために、更なる改良が求められていた。また、特許文献2の構成は、熱風を導入するための開口等を設けるために、機械的構造が複雑となる問題があった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、機械的構造が複雑化することなく、ゾーン間における温度低下を防止できる搬送加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、
加熱炉間に存在するバッファ部と、
被加熱物を搬送する搬送コンベアと、
長手方向が被加熱物の搬送方向と交叉してバッファ部に設けられた管状の赤外線ランプヒーターと
を備えた搬送加熱装置である。
【発明の効果】
【0010】
少なくとも一つの実施形態によれば、バッファ部に赤外線ランプヒーターを設けることによって、バッファ部における温度低下を抑えることができるため、はんだ付け品質を更に向上することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれの効果であってもよい。また、以下の説明における例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略を示す略線図である。
【
図2】
図2は、リフロー時の温度プロファイルの例を示すグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態の説明に用いるリフロー装置の断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態のガスの流れを説明するための断面図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは、赤外線ランプヒーターの取り付け構成の一例及び他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.リフロー装置の一例>
<2.一実施形態>
<3.他の実施形態>
<4.赤外線ランプヒーターの取り付け構造>
<5.変形例>
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限定されないものとする。
【0013】
<1.リフロー装置の一例>
図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略的構成を示す。プリント配線基板の両面に表面実装用電子部品が搭載されたワークが搬送コンベアの上に置かれ、搬入口11からリフロー装置の加熱装置内に搬入される。搬送コンベアは、互いに平行する2本の搬送チェーンによって構成されている。搬送コンベアが所定速度で矢印方向(
図1に向かって左から右方向)へワークを搬送し、ワークが搬出口12から取り出される。搬送コンベアの搬送方向が水平方向とされている。
【0014】
加熱装置は、搬入口11から搬出口12に至る搬送経路に沿って、複数の加熱炉が配列され、加熱炉によってワークに対して熱風(熱せられた雰囲気ガス)を吹きつけるように構成されている。複数の加熱炉(ゾーンと称する)がインライン状に配列されている。入口側から7個のゾーンZ1~Z7が加熱ゾーンであり、出口側の2個のゾーンZ8及びZ9が冷却ゾーンである。冷却ゾーンZ8及びZ9に関連して強制冷却ユニット14が設けられている。加熱ゾーンZ1~Z7のそれぞれは、それぞれ送風機、ヒーター、吹き出しパネルなどを含む上部加熱炉及び下部加熱炉を有する。なお、このゾーン数は、一例であり、異なる数のゾーンを有する構成としてもよい。
【0015】
上述した複数のゾーンZ1~Z9がリフロー時の温度プロファイルにしたがってワークの温度を制御する。
図2に温度プロファイルの一例の概略を示す。横軸が時間であり、縦軸がワーク例えば電子部品が実装されたプリント回路基板の表面温度である。最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部R1であり、次の区間がほぼ一定温度のプリヒート(予熱)部R2であり、次の区間がリフロー(本加熱)部R3であり、最後の区間が冷却部R4である。
【0016】
昇温部R1は、常温からプリヒート部R2(例えば150℃~170℃)まで基板を加熱する期間である。プリヒート部R2は、例えば等温加熱を行い、フラックスを活性化し、電極、はんだ粉の表面の酸化膜を除去し、また、プリント回路基板の加熱ムラをなくすための期間である。リフロー部R3(例えばピーク温度で220℃~240℃)は、はんだが溶融し、接合が完成する期間である。リフロー部R3では、はんだの溶融温度を超える温度まで昇温が必要とされる。リフロー部R3は、プリヒート部R2を経過していても、温度上昇のムラが存在するので、はんだの溶融温度を超える温度までの加熱が必要とされる。最後の冷却部R4は、急速にプリント回路基板を冷却し、はんだ組成を形成する期間である。なお、例えばSn―3.0Ag-0.5Cu等の鉛フリーはんだ合金組成の場合では、リフロー部R3における温度は、より高温(例えば240℃~260℃)となる。
【0017】
図2において、曲線1は、一例として、Sn-3.0Ag-0.5Cuの鉛フリーはんだ合金組成の温度プロファイルを示す。Sn-Pb共晶はんだの場合の温度プロファイルの一例は、曲線2で示すものとなる。鉛フリーはんだの融点は、共晶はんだの融点より高いので、プリヒート部R2及びリフロー部R3における設定温度が共晶はんだに比して高いものとされている。
【0018】
図1に示すリフロー装置では、
図2における昇温部R1の温度制御を、主としてゾーンZ1及びZ2が受け持つ。プリヒート部R2の温度制御は、主としてゾーンZ3、Z4及びZ5が受け持つ。リフロー部R3の温度制御は、ゾーンZ6及びZ7が受け持つ。冷却部R4の温度制御は、ゾーンZ8及びゾーンZ9が受け持つ。
【0019】
上述した複数の加熱炉間(ゾーン間)には、熱風が当たりにくいバッファ部が存在する。ゾーンZ1からゾーンZ7までの加熱ゾーン間に存在するバッファ部では、熱風が当たりにくいために、温度低下が生じる。なお、
図2に示す温度プロファイルは、概略的なもので、温度低下が省略されている。本発明は、かかる温度低下を抑えるものである。
【0020】
<2.一実施形態>
図3及び
図4を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図3は、リフロー部に含まれる2個のゾーンZ6及びZ7の搬送方向の断面の構成を示し、
図4は、
図3のA-A線断面を示す。各ゾーンには、上部加熱炉及び下部加熱炉が対向して設けられ、上部加熱炉と下部加熱炉との対向間隙内で、プリント回路基板の片面又は両面に表面実装用電子部品が搭載された被加熱物(ワークWと適宜称する)が搬送コンベア21によって搬送される。上部加熱炉内及び下部加熱炉内は、雰囲気ガスである例えば窒素(N2)ガスが充満している。上部加熱炉及び下部加熱炉は、ワークWに対して熱風(熱せられた雰囲気ガス)を噴出してワークWを加熱する。なお、熱風と共に赤外線を照射しても良い。
【0021】
各加熱炉の上側および下側に取付けられたモータ22により回転されるファン23と、加熱用ヒーター24が設けられている。熱風は、加熱パネル25に形成されている孔を通じてワークに対して吹きつけられる。モータ22及びファン23は、例えばターボファンの構成とされる。さらに、図示しないが、各加熱炉には、ファン23からの風を分散させて加熱炉内の温度分布の均一化を図るために整流機構が設けられている。
【0022】
上部加熱炉間に上側バッファ部Buが存在し、下部加熱炉間に下側バッファ部Bdが存在する。負圧となっているバッファ部Bu及びBdからの雰囲気は加熱炉内の循環経路に戻る。
【0023】
上側バッファ部Buの搬送コンベア21と対向する端面の近傍に管状の上側赤外線ランプヒーターLuが設けられ、下側バッファ部Bdの搬送コンベア21と対向する端面の近傍に管状の下側赤外線ランプヒーターLdが設けられる。上側赤外線ランプヒーターLu及び下側赤外線ランプヒーターLdは、その長手方向がワークWの搬送方向と交叉して上側バッファ部Bu及び下側バッファ部Bdに設けられる。
【0024】
赤外線ランプヒーターLu及びLdは、バッファ部Bu及びBdの長さとほぼ等しい全長を有している。したがって、バッファ部Bu及びBdの開口の一部が赤外線ランプヒーターLu及びLdによって塞がれる。但し、赤外線ランプヒーターLu及びLdの両端の封止部(シール部とも称される)の径は、小さいので、バッファ部Bu及びBdの開口の塞がれる範囲が封止部の位置では、小さくなる。したがって、封止部の近傍では、ガスの循環が妨げられる程度が低くなる。
【0025】
図5は、加熱炉例えば上部加熱炉内における雰囲気ガスの循環経路を示す断面図である。加熱パネル25の小孔を通じて熱風がワークWに吹きつけられる。ワークWに吹き付けられることにより冷却されたガスがワークWに沿って流れ、加熱パネル25の周辺から上部の負圧側に向かう。すなわち、ファン23の上部に向かう。また、上部加熱炉の前後の上側バッファ部Buを通じてガスが上部に向かう。
【0026】
この上側バッファ部Buの開口付近に赤外線ランプヒーターLuが設けられている。上側赤外線ランプヒーターLuの封止部の付近の空隙を通ってワークWに吹き付けられることにより冷却されたガスが循環する。したがって、上側赤外線ランプヒーターLuの封止部の温度上昇を抑制することができる。図示しないが、下部加熱炉の場合も同様の雰囲気ガスの循環経路が形成され、下側バッファ部Bd内の赤外線ランプヒーターLdの封止部に対してワークWに吹き付けられることにより冷却されたガスが吹きつけられる。したがって、下側赤外線ランプヒーターLdの封止部の温度上昇を抑制することができる。
【0027】
<3.他の実施形態>
図6Aは、本発明の他の実施形態における例えばゾーンZ6の上部加熱炉の構成を示し、
図6Bは、
図6AのB-B線断面図である。他の実施形態では、加熱パネル26と、所定の間隙を介して加熱パネル26と平行に設けられている回収板27を有する。加熱パネル26の支持板から回収板27を貫通する多数の噴射ノズルが突出され、噴射ノズルの先端の開口から熱風がワークWに対して吹きつけられる。加熱パネル26は、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムなどを材料とするダイカスト法を含む鋳造法、または絞り加工法により成形されている。
【0028】
回収板27は、加熱パネル26がワークWに吹き付けた熱風の戻りガスを回収するために、噴射ノズルの近傍に形成された孔又はスリットを有する。加熱パネル26の噴射ノズルから噴出された熱風は、ワークWを加熱後に回収板27の孔又はスリットを通じて、加熱パネル26及び回収板27の対向間隙を通り、さらに回収通路を通ってファン23の中心部の吸い込み口から吸い込まれ、下方に吹き出される。
【0029】
図6A及び
図6Bに示す構成は、加熱後のガスがワークWに沿って流れず、回収板27の孔又はスリットを通じて加熱パネル26及び回収板27の対向間隙に取り込まれ、さらに、加熱パネル26の周辺から上部に戻るので、冷熱がワークW上に滞留する時間を短縮することができ、
図5に示す構成と比較してワークWに対し、より効率よく熱供給が可能となる。
【0030】
図6A及び
図6Bの構成においては、上部加熱炉の前後の上側バッファ部Buを通じてガスが上部に向かう。この上側バッファ部Buの開口付近に赤外線ランプヒーターLuが設けられている。したがって、ワークWに吹き付けられることにより冷却されたガスが封止部に対して吹きつけられ、封止部の温度上昇が抑制される。図示しないが、下部加熱炉の場合も同様の雰囲気ガスの循環経路が形成され、下側バッファ部Bd内の赤外線ランプヒーターLdに対しても同様にワークWに吹き付けられることにより冷却されたガスが吹きつけられ、封止部の温度上昇が抑制される。
【0031】
<4.赤外線ランプヒーターの取り付け構造>
上側赤外線ランプヒーターLu及び下側赤外線ランプヒーターLdは、石英ガラス管に不活性ガスと共にカーボン、タングステン等のフィラメントを封入した構造を有する。赤外線ランプヒーターの両端に封止部が設けられている。近赤外線を放射するハロゲンランプ、中間赤外線を放射するグラファイト(カーボン)ヒーター、遠赤外線を放射するセラミックヒーターなどの赤外線ランプヒーターを使用することができる。
【0032】
赤外線ランプヒーターの一例のハロゲンヒーターの場合、基本的には5000時間の寿命時間がある。しかしながら、封止部に含まれているモリブデン箔の温度を例えば300℃以下に保たないと、寿命がかなり短くなる。本発明の一実施形態では、ワークWに当たった後、すなわち、温度が低下したガスの循環経路中に赤外線ランプヒーター(ハロゲンヒーター)を配置するので、このガスが封止部を通過することによって封止部が高温となることを回避することができる。
【0033】
さらに、
図7Aに示すように、赤外線ランプヒーターLdの封止部31の上を覆う金属カバー32を設けることによって、高温のガスが封止部31に直接当たることを防止することができ、封止部31の温度上昇を防止して赤外線ランプヒーターLdの劣化を防止することができる。
【0034】
さらに、
図7Bに示すように、ノズル33を使用して低温のガス例えば窒素ガスを封止部31に対して吹き付けるようにしてもよい。この場合は、封止部31が窒素ガスによって冷却され、赤外線ランプヒーターLdの寿命をさらに延ばすことができる。なお、
図7A及び
図7Bには、赤外線ランプヒーターLdの一端側の構成が示されているが、他端側も同様の構成とされる。さらに、上側赤外線ランプヒーターLuについても下側赤外線ランプヒーターLdと同様の構成とされる。
【0035】
本発明は、赤外線ランプヒーターLu及びLdを設けることによって、バッファ部Bu及びBdにおける温度低下を抑えることができる。また、本発明は、ワークWに対し、効率よく熱供給が可能となる
図6A及び
図6Bに示す構成に対して適用することがより効果的である。すなわち、
図6A及び
図6Bに示すような加熱能力の高い構成において、バッファ部におけるワークWの温度低下を抑制することで、更なるワークWの品質向上が見込まれる。
【0036】
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば上側バッファ部及び下側バッファ部の一方にのみ、赤外線ランプヒーターを設けるようにしてもよい。また、この発明は、プリント回路基板に限らず、フレキシブル回路基板、リジッド回路基板とフレキシブル回路基板とを貼り合わせた基板、これらを組み合わせたリジッドフレキ回路基板のリフローに対しても適用できる。さらに、リフロー装置に限らず、樹脂の硬化のための加熱装置等に対しても適用できる。また、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
Bu・・・上側バッファ部、Bd・・・下側バッファ部、Lu・・・上側赤外線ランプヒーター、Ld・・・下側赤外線ランプヒーター、11・・・搬入口、12・・・搬出口、14・・・強制冷却ユニット、15・・・上部加熱炉、23・・・ファン、24・・・加熱用ヒーター、25,26・・・加熱パネル、27・・・加熱パネル、28・・・回収板31・・・封止部、32・・・金属カバー