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  • 特開-無人飛行体及びプロペラ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136971
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】無人飛行体及びプロペラ
(51)【国際特許分類】
   B64U 50/13 20230101AFI20240927BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20240927BHJP
   B64U 20/30 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
B64U50/13
B64U10/13
B64U20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048293
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 佑基
(57)【要約】
【課題】プロペラが障害物と接触した際に無人飛行体の急な落下を防ぎ、無人飛行体の安全性の向上を図る。
【解決手段】プロペラを備える無人飛行体であって、プロペラは、回転中心から先端部までの長さが第1の長さとされた第1のブレードと、回転中心から先端部までの長さが第2の長さとされた第2のブレードとを有し、第2の長さが第1の長さより短くされ、第2のブレードが弾性変形可能とされている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラを備える無人飛行体であって、
前記プロペラは、回転中心から先端部までの長さが第1の長さとされた第1のブレードと、回転中心から先端部までの長さが第2の長さとされた第2のブレードとを有し、
前記第2の長さが前記第1の長さより短くされ、
前記第2のブレードが弾性変形可能とされた、
無人飛行体。
【請求項2】
前記第1のブレードが弾性変形可能とされていない、
請求項1に記載の無人飛行体。
【請求項3】
前記第1のブレードと前記第2のブレードがそれぞれ二つ設けられ、
二つの前記第1のブレードは回転中心を挟んで第1の方向に直線状に配置され、
二つの前記第2のブレードは回転中心を挟んで前記第1の方向とは直交する第2の方向に直線状に配置されている
請求項1又は請求項2に記載の無人飛行体。
【請求項4】
前記第2のブレードのピッチ角が前記第1のブレードのピッチ角より大きくされた、
請求項1又は請求項2に記載の無人飛行体。
【請求項5】
無人飛行体に装着可能なプロペラであって、
回転中心から先端部までの長さが第1の長さとされた第1のブレードと、回転中心から先端部までの長さが第2の長さとされた第2のブレードとを有し、
前記第2の長さが前記第1の長さより短くされ、
前記第2のブレードが弾性変形可能とされた、
プロペラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体及び無人飛行体に装着されるプロペラの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行体として、複数のプロペラを回転させることで飛行するドローンがある。ドローンのプロペラには、障害物との接触に備えて対策が施されたものがある。下記非特許文献1には、障害物に接触した際に折れ曲がり変形するプロペラを備えたドローンが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】山下裕毅,“衝突しても曲がって復活する柔らかドローン用ローター 北陸先端大など「トンボプロペラ」開発”,[online],2021年5月12日,ITmedia NEWS,[令和5年1月10日検索],インターネット,<URL:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2105/12/news045.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドローンは複数のプロペラを回転させることで揚力や推力を得て飛行するため、プロペラが障害物に接触して破損すると、揚力や推力を失い落下する虞がある。そこでプロペラが障害物と接触して破損した場合であっても、ドローンが急に落下せず安全な場所まで移動できるようにすることが求められる。
【0005】
本提案はこのような背景に基づいて発明されたもので、無人飛行体のプロペラが障害物と接触した場合であっても、無人飛行体の急な落下を防ぎ、無人飛行体の安全性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無人飛行体は、プロペラを備える無人飛行体であって、前記プロペラは、回転中心から先端部までの長さが第1の長さとされた第1のブレードと、回転中心から先端部までの長さが第2の長さとされた第2のブレードとを有し、前記第2の長さが前記第1の長さより短くされ、前記第2のブレードが弾性変形可能とされたものである。
また本発明に係るプロペラは、上記の第1のブレードと第2のブレードにより構成されたものである。
例えばプロペラが障害物と接触した場合でも、回転中心から先端部までの長さが第1のブレードよりも短い第2のブレードは、障害物と接触し難くされている。また、第2のブレードは、仮に障害物と接触した場合でも、弾性変形により元の形状に復帰可能にされている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1のブレードが障害物と接触して破損した場合にも、第2のブレードにより揚力や推力を得ることができ、また、第2のブレードまでもが障害物と接触した場合にも、弾性変形により元の形状に復帰した第2のブレードによって揚力や推力を得ることができるため、プロペラが障害物と接触した際に無人飛行体の急な落下を防ぎ、無人飛行体の安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態の無人飛行体の斜視図である。
図2】実施の形態のプロペラ等を示す拡大斜視図である。
図3】実施の形態のプロペラの正面図である。
図4】実施の形態のプロペラの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の無人飛行体の実施の形態を説明していく。実施の形態では無人飛行体の例としてドローンを挙げる。
【0010】
図1はドローン1の斜視図である。公知のとおりドローンと呼ばれる範疇の無人飛行体しては各種の形状、構造が知られており、図1は一例に過ぎない。
【0011】
実施の形態のドローン1は、本体部2が中央に配置される。そして本体部2には四方に突出する4本のアーム3が取り付けられ、各アーム3の先端付近にモータ4及びモータ4で回転されるプロペラ10が装着されている。
また各アーム3の先端付近の下方には、スキッド5が取り付けられる。4本のスキッド5は、着地時の脚として機能する。
【0012】
本体部2の内部には、図示しないバッテリーやフライトコントローラが配置されている。フライトコントローラは、例えば受信機で受信する地上側の通信機からの指示に応じてESC(Electric Speed Controller)を制御し、モータ4の駆動を制御することで機体の姿勢や速度などを制御する。またフライトコントローラは自律飛行などとして目的地への自動飛行のための制御も行うことができる。
【0013】
図2は、1本のアーム3の先端に装着されたプロペラ10を示す拡大斜視図である。
プロペラ10は、モータ4の回転軸に接続される複数のブレード12を有している。プロペラ10は、複数のブレード12がモータ4の出力を受けて駆動されることで、モータ4の回転軸を回転中心Cnとして回転する。
【0014】
図2の例では、プロペラ10は、複数のブレード12として、二つの第1のブレード13と、二つの第2のブレード14とから成る四つのブレード12を有している。
【0015】
四つのブレード12はプロペラ10の回転中心Cnから四方に延びるように配置されている(図2及び図3参照)。具体的には、二つの第1のブレード13は、回転中心Cnを挟んで第1の方向D1に直線状に配置され、二つの第2のブレード14は回転中心Cnを挟んで第1の方向D1とは直交する第2の方向D2に直線状に配置されている。
【0016】
二つの第1のブレード13は、一つの第1のブレードユニット20として一体に形成されている。第1のブレードユニット20は、モータ4の回転軸に接続される接続部21と、接続部21から互いに反対の方向へ突出された二つの第1のブレード13と、とを有する。二つの第1のブレード13は、接続部21がモータ4の回転軸に接続されることにより、それぞれモータ4の回転軸に接続されている。
【0017】
第1のブレード13は、回転中心Cnから先端部13aまでの長さが第1の長さL1とされている(図3参照)。さらに第1のブレード13は、第1のピッチ角を有するように形成されている。ここでピッチ角(迎え角)とは、プロペラの回転面に対するブレードの傾斜角度のことをいう。
【0018】
第1のブレード13は、例えば剛性の高い材料で形成されている。このため、第1のブレード13は弾性変形可能とされていない。
【0019】
二つの第2のブレード14は、一つの第2のブレードユニット30として一体に形成されている。第2のブレードユニット30は、モータ4の回転軸に接続される接続部31と、接続部31から互いに反対の方向へ突出された二つの第2のブレード14と、を有する。二つの第2のブレード14は、接続部31がモータ4の回転軸に接続されることにより、それぞれモータ4の回転軸に接続されている。
【0020】
第2のブレード14は、回転中心Cnから先端部14aまでの長さが第2の長さL2とされている(図3参照)。第2の長さL2は、第1の長さL1より短くされている。さらに第2のブレード14は、第2のピッチ角を有するように形成されている。第2のピッチ角は、第1のピッチ角より大きくされている。
【0021】
第2のブレード14は、例えば柔軟性のある素材で形成されている。これにより、第2のブレード14は弾性変形可能とされている。
【0022】
上記のように構成されたプロペラ10を備えるドローン1(無人飛行体)にあっては、プロペラ10が障害物と接触した場合に、回転中心Cnから先端部までの長さが第1のブレード13よりも短い第2のブレード14が障害物と接触し難くされている。これにより、第1のブレード13が障害物と接触して破損した場合にも、第2のブレード14により揚力や推力を得ることができる。
また、第2のブレード14は弾性変形可能とされている。これにより、第2のブレード14までもが障害物と接触した場合でも、弾性変形により元の形状に復帰した第2のブレード14によって揚力や推力を得ることができる。
従って、プロペラが障害物と接触した際にドローン1の急な落下を防ぐことができる。また、ドローン1の安全な場所への移動が可能にすることができる場合もある。よって、ドローン1の安全性の向上を図ることができる。
【0023】
またドローン1においては、第1のブレード13が弾性変形可能とされていない。
これにより、第1のブレード13が第2のブレード14と同様に柔軟性のある素材で形成されることによって弾性変形可能とされた場合と比較して、プロペラ10の剛性が高まると共にプロペラ10の重量増加が抑制される。従って、ドローン1の飛行性能を確保しつつドローン1の急な落下を防ぐことができる。
【0024】
さらにドローン1においては、第1のブレード13と第2のブレード14がそれぞれ二つ設けられ、二つの第1のブレード13は回転中心Cnを挟んで第1の方向D1に直線状に配置され、二つの第2のブレード14は回転中心Cnを挟んで前記第1の方向D1とは直交する第2の方向D2に直線状に配置されている。
これにより、異なる長さのブレード12を有するプロペラ10において、二つの第1のブレード13と二つの第2のブレード14が、直交する直線状に配置されていることにより、プロペラ10の良好なバランスを確保することができる。
【0025】
ドローン1においては、第2のブレード14のピッチ角が第1のブレード13のピッチ角より大きくされている。
これにより、第1のブレード13が破損した場合でも、例えばモータの回転数を上げることによって第2のブレード14のみによっても高い揚力や推力を得ることができる。
【0026】
また上記には、プロペラ10が、二つの第1のブレード13を有する第1のブレードユニット20と、二つの第2のブレード14を有する第2のブレードユニット30と、を備える構成を示した。このように構成されたプロペラ10においては、同じ種類のブレードを一つの部品にまとめることで、部品点数の削減と組立工程の簡易化を図ることができる。
【0027】
なおプロペラ10の構成は上記に限られない。例えばプロペラ10においては、複数のブレード12がそれぞれ別体として設けられていてもよい。
図4Aに示すプロペラ10Aは、モータ4の回転軸に接続される接続部15と、四つのブレード12(二つの第1のブレード13と二つの第2のブレード14)と、を備えて構成されている。四つのブレード12は、例えばネジ等の締結手段によりそれぞれ接続部15に連結されている。プロペラ10Aにおいても、回転中心Cnから第2のブレード14の先端部14aまでの長さ(第2の長さL2)は、回転中心Cnから第1のブレード13の先端部13aまでの長さ(第1の長さL1)より短くされている。
このように構成されたプロペラ10Aにおいては、破損等により一部のブレード12の交換が必要な場合に、当該一部のブレード12のみを新しいブレード12交換すればよいため、交換不要なブレード12を廃棄する必要がなく資源の有効活用を図ることができる。
【0028】
またプロペラ10においては、複数のブレード12が一体に形成されていてもよい。
図4Bに示すプロペラ10Bは、モータ4の回転軸に接続される接続部10aと、接続部10aにそれぞれ連続された四つのブレード12(二つの第1のブレード13と二つの第2のブレード14)と、を備えて構成されている。プロペラ10Bにおいても、回転中心Cnから第2のブレード14の先端部14aまでの長さ(第2の長さL2)は、回転中心Cnから第1のブレード13の先端部13aまでの長さ(第1の長さL1)より短くされている。この場合には、例えば形状や材料特性を変化させることにより、第1のブレードと第2のブレードのそれぞれの特性(弾性変形の有無)を出すことが考えられる。
なお、このように構成されたプロペラ10Bにおいては、プロペラを一つの部品で構成できるため、部品点数の削減と組立工程の簡易化を図ることができる。
【0029】
なお上記には、第1のブレード13と第2のブレード14がそれぞれ直線状の先端部13a、14aを有する例を示したが、ブレード12の形状は上記には限られず適宜選択することが可能である。ブレード12の形状に関わらず、ブレード12において回転中心Cnから最も離れた部分がブレード12の先端部となる。
【0030】
また上記にはプロペラ10が二つの第1のブレード13と二つの第2のブレード14の合計四つのブレードを有する例を示したが、プロペラ10は、少なくとも一つの第1のブレード13と一つの第2のブレード14とを有するように構成されていれば、任意の数のブレードを有するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 ドローン
10,10А,10B プロペラ
13 第1のブレード
13a 先端部
14 第2のブレード
14a 先端部
Cn 回転中心
D1 第1の方向
D2 第2の方向
L1 第1の長さ
L2 第2の長さ
図1
図2
図3
図4