(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136975
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】配送管理装置、配送管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048302
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】伊能 大雅
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】櫟原 英士
(72)【発明者】
【氏名】大西 洋二
(72)【発明者】
【氏名】諸角 有紗
(72)【発明者】
【氏名】浜口 沙月
(72)【発明者】
【氏名】白井 良介
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた効率的な事前配送が実現できる配送管理装置、配送管理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】本開示の配送管理装置1は、予測部11及び決定部13を備える。予測部11は、商品の購入可能性Pを予測する。決定部13は、当該商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合に、所定の拠点へと当該商品を事前配送することを決定する。さらに、決定部13は、当該商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の購入可能性を予測する予測部と、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する
配送管理装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記所定の拠点に割り当てられたエリアにおける前記商品の購入可能性を予測し、
前記決定部は、前記エリアにおける前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、前記所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定する
請求項1に記載の配送管理装置。
【請求項3】
前記予測部は、前記エリアの顧客ごとに前記商品の購入可能性を予測し、
前記決定部は、前記顧客について前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、前記顧客の顧客拠点と前記顧客拠点への商品配送に使用される配送拠点との少なくとも一方の拠点へと前記商品を事前配送することを決定する
請求項2に記載の配送管理装置。
【請求項4】
前記商品特性は、商品価値の持続期間と商品の保管コストと商品の配送コストとの少なくとも一つであり、
前記決定部は、
前記商品価値の持続期間が短い程、前記所定値を高く設定し、
前記保管コストが高い程、前記所定値を高く設定し、
前記配送コストが高い程、前記所定値を高く設定する
請求項1に記載の配送管理装置。
【請求項5】
前記顧客の顧客属性を取得する顧客属性取得部をさらに備え、
前記決定部は、前記顧客属性に基づいて前記所定値を変更する
請求項3に記載の配送管理装置。
【請求項6】
前記予測部は、前記商品の購入可能性の予測における信頼性を算出し、
前記決定部は、前記予測の信頼性に基づいて前記所定値を変更する
請求項1に記載の配送管理装置。
【請求項7】
前記事前配送することが決定された商品が事前配送された場合、当該事前配送を前記顧客に通知する事前発送通知部をさらに備える
請求項3に記載の配送管理装置。
【請求項8】
前記事前配送することが決定された商品が事前配送された後、当該商品が所定期間購入されなかった場合、前記エリアの顧客に対して、当該商品の購入を促すための処理を実施する購入促進処理部をさらに備える
請求項2に記載の配送管理装置。
【請求項9】
配送管理装置が、
商品の購入可能性を予測し、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定し、さらに、
前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する
配送管理方法。
【請求項10】
商品の購入可能性を予測し、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定し、さらに、
前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する処理をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送管理装置、配送管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインショッピングにおける配送時間短縮に向け、顧客の興味・嗜好情報をもとに顧客の購入商品を予測し、中央倉庫から顧客の最寄りの物流倉庫まで商品を事前配送しておく技術がある。例えば、顧客の興味・嗜好情報をもとに購入商品を予測する技術に関しては、特許文献1にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る技術では、商品の購入可能性の予測が外れた場合には、物流倉庫における保管コストや中央倉庫に商品を返送するための配送コストが無駄に発生する。
【0005】
一方、予測が外れた場合のコスト影響は、商品価値の持続期間、商品の保管コストや商品の配送コスト等の商品特性によって異なる。コスト影響が大きい商品ほど、事前配送は予測確度が高い場合にのみ慎重に行うことが望ましい。つまり、特許文献1に係る技術では、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた効率的な事前配送を実現するのが難しいという課題がある。
【0006】
本開示は、そのような課題を鑑みることによって、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた効率的な事前配送が実現できる配送管理装置、配送管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配送管理装置は、
商品の購入可能性を予測する予測部と、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する。
【0008】
本開示の配送管理方法は、
配送管理装置が、
商品の購入可能性を予測し、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定し、さらに、
前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する
配送管理方法。
【0009】
商品の購入可能性を予測し、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定し、さらに、
前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する処理をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた効率的な事前配送が実現できる配送管理装置、配送管理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る配送管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第2の実施形態に係る配送管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第2の実施形態に係る配送管理装置が用いられる事前配送フローの一例を示す図である。
【
図4】第2の実施形態に係る配送管理装置の商品の事前配送の決定方法を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る配送管理装置が用いられる事前配送フローの他の一例を示す図である。
【
図6】第2の実施形態に係る配送管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第3の実施形態に係る配送管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第4の実施形態に係る配送管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】第4の実施形態に係る配送管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】第5の実施形態に係る配送管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】第6の実施形態に係る配送管理装置における予測の信頼性に基づいて所定値Thを変更する方法を示す図である。
【
図12】各実施形態に係る配送管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、
図1を用いて、第1の実施形態に係る配送管理装置1の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る配送管理装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、配送管理装置1は、予測部11及び決定部13を備える。予測部11は、商品の購入可能性Pを予測する。決定部13は、当該商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合に、所定の拠点へと当該商品を事前配送することを決定する。さらに、決定部13は、当該商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する。
【0014】
第1の実施形態に係る配送管理装置1は、購入可能性がどれくらいあれば商品を事前配送するかの判断基準を、商品特性によって変更する。配送管理装置1は、商品の購入可能性Pの予測確度が高い場合にのみ事前配送を行うことによって、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた効率的な事前配送が実現できる。
【0015】
(第2の実施形態)
続いて、
図2から
図5を用いて、第2の実施形態に係る配送管理装置2の構成について説明する。
図2は、第2の実施形態に係る配送管理装置2の構成の一例を示すブロック図である。配送管理装置2は、第1の実施形態に係る配送管理装置1を具体化したものである。
【0016】
また、
図3は、第2の実施形態に係る配送管理装置2が用いられる事前配送フローの一例を示す図である。商品は中央倉庫から配送拠点(例えば最寄りの物流倉庫)まで事前配送される。事前配送された商品は、配送拠点から配送拠点の配送エリア内の顧客に配送される。事前配送された商品は、配送エリア内の顧客に配送されない場合、中央倉庫に返送される。この際、配送拠点における保管コストや中央倉庫に商品を返送するための配送コスト等が無駄に発生する。
【0017】
図2及び
図3に示すように、配送管理装置2は、例えばサーバで実現され、中央倉庫や配送拠点に設置された端末と通信する。
配送管理装置2は、予測部11、商品特性取得部12、決定部13及び記憶部14を備える。
【0018】
予測部11は、配送拠点(第1の実施形態の「所定の拠点」に該当)に割り当てられた配送エリア(第1の実施形態の「エリア」に該当)における商品の購入可能性Pを予測する。商品の購入可能性Pは、例えばパーセンテージ(%)など数値で表される。また、商品の購入可能性Pは、予測された複数の値の平均値又は中央値であってもよい。具体的には、予測部11は、配送エリアにおける商品の購入履歴から商品の購入可能性Pを予測する。
【0019】
商品特性取得部12は、記憶部14から商品の商品特性を取得する。商品特性は、商品価値の持続期間、商品の保管コスト及び商品の配送コストの少なくとも一つを含む。
【0020】
図4は、第2の実施形態に係る配送管理装置2の決定部13における商品の事前配送の決定方法を示す図である。
図2から
図4に示すように、決定部13は、当該配送エリアにおける商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合に、配送拠点へと商品を事前配送することを決定する。一方、決定部13は、当該配送エリアにおける商品の購入可能性Pが所定値Thを上回らない場合に、配送拠点へと商品を事前配送しないことを決定する。
【0021】
加えて、決定部13は、商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する。具体的には、決定部13は、商品価値の持続期間が長い程、予測が外れても問題は少ないため、所定値Thを低く設定することによって、予測確度が低くても事前配送することを決定する。商品の価値持続期間が長い商品には、劣化しにくく需要が安定するもの(例えば宝石)が挙げられる。一方、決定部13は、価値持続期間が短い程、予測ミスが致命的になるため、所定値Thを高く設定することによって、予測確度が高い場合にのみ事前配送することを決定する。商品の価値持続期間が短い商品には、需要の変化が早いもの(例えば衣服)や賞味期限又は消費期限が短いもの(例えば生鮮食品)が挙げられる。
【0022】
また、決定部13は、商品の保管コスト又は配送コストが大きい程、予測ミスが致命的になるため、所定値Thを高く設定することによって、予測確度が高い場合にのみ事前配送することを決定する。一方、決定部13は、商品の保管コスト又は配送コストが小さい程、予測が外れても問題は少ないため、所定値Thを低く設定することによって、予測確度が低くても事前配送することを決定する。保管コスト又は配送コストが小さい商品には、サイズの小さい商品が挙げられる。
【0023】
記憶部14は、各商品の商品特性の情報を記憶する。各商品の商品特性の情報は、随時更新可能である。
【0024】
なお、中央倉庫から商品が事前配送される拠点は、配送拠点に限られず(
図3参照)、販売拠点(例えばコンビニ)であってもよい。
図5は、第2の実施形態に係る配送管理装置2が用いられる事前配送フローの他の一例を示す図である。
図5に示すように、商品は中央倉庫から販売拠点まで事前配送される。事前配送された商品は、商圏エリア内の顧客に販売される。事前配送された商品は、商圏エリア内の顧客に購入されない場合、中央倉庫に返送される。この際、配送拠点における保管コストや中央倉庫に商品を返送するための配送コスト等が無駄に発生する。
【0025】
その場合、配送管理装置2の予測部11は、販売拠点(第1の実施形態の「所定の拠点」に該当)に割り当てられた商圏エリア(第1の実施形態の「エリア」に該当)における商品の購入可能性を予測する。商品特性取得部12は、記憶部14から商品の商品特性を取得する。決定部13は、当該商圏エリアにおける商品の購入可能性が所定値Thを上回る場合に、販売拠点へと商品を事前配送することを決定する。また、決定部13は、商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する。
【0026】
続いて、
図6を用いて、第2の実施形態に係る配送管理装置2の動作について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る配送管理装置2の動作の一例を示すフローチャートである。
【0027】
図6に示すように、まず、配送管理装置2の予測部11は、配送拠点に割り当てられた配送エリアにおける商品の購入可能性Pを予測する(ステップS101)。
次に、商品特性取得部12は、記憶部14から商品の商品特性を取得する(ステップS102)。
【0028】
次に、決定部13は、商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する(ステップS103)。次に、決定部13は、商品の購入可能性Pが所定値Thを上回るか否かを判定する(ステップS104)。決定部13は、商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合(ステップS104のYES)、中央倉庫から配送拠点へと商品を事前配送することを決定する(ステップS105)。一方、商品の購入可能性Pが所定値Thを上回らない場合(ステップS104のNO)、処理は終了する。すなわち、商品が配送拠点へと事前配送されない。
【0029】
したがって、第2の実施形態に係る配送管理装置2は、購入可能性がどれくらいあれば商品を事前配送するかの判断基準を、商品特性によって変更する。配送管理装置2は、商品の購入可能性Pの予測確度が高い場合にのみ事前配送を行うことによって、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた、効率的な事前配送が実現できる。
【0030】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態に係る配送管理装置3の構成について説明する。
配送管理装置3は、第2の実施形態に係る配送管理装置2の構成と同様の構成を備える。ただし、配送管理装置3は、配送管理装置2の各構成とは異なる機能を有する。
【0031】
配送管理装置3の予測部11は、配送拠点に割り当てられた配送エリアの顧客ごとの商品の購入可能性Pを予測する。顧客は、個人でもコンビニ等の法人でもよい。具体的には、予測部11は、顧客の商品の購入履歴等から商品の購入可能性Pを予測する。また、予測部11は、顧客の行動履歴から商品の購入可能性Pを予測してもよい。
商品特性取得部12は、記憶部14から商品の商品特性を取得する。
【0032】
決定部13は、顧客の商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合に、顧客の顧客拠点と顧客拠点への商品配送に使用される配送拠点との少なくとも一方の拠点へと商品を事前配送することを決定する。顧客の顧客拠点は、顧客が個人の場合には顧客の住居などである。また、顧客の顧客拠点は、顧客が法人の場合には営業所などである。一方、決定部13は、顧客の商品の購入可能性Pが所定値Thを上回らない場合に、商品を事前配送しないことを決定する。
【0033】
続いて、
図7を用いて、第3の実施形態に係る配送管理装置3の動作について説明する。
図7は、第3の実施形態に係る配送管理装置3の動作の一例を示すフローチャートである。
【0034】
まず、
図7に示すように、まず、配送管理装置3の予測部11は、配送拠点に割り当てられた配送エリアの顧客ごとの商品の購入可能性Pを予測する(ステップS201)。次に、商品特性取得部12は、記憶部14から商品の商品特性を取得する(ステップS202)。
【0035】
決定部13は、商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する(ステップS203)。次に、決定部13は、商品の購入可能性Pが所定値Thを上回るか否かを判定する(ステップS204)。商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合(ステップS204のYES)、決定部13は、顧客の顧客拠点と顧客拠点への商品配送に使用される配送拠点へと商品を事前配送することを決定する(ステップS205)。一方、商品の購入可能性Pが所定値Thを上回らない場合(ステップS204のNO)、処理は終了する。すなわち、商品が配送拠点へと事前配送されない。
【0036】
したがって、第3の実施形態に係る配送管理装置3は、配送エリアの顧客ごとに詳細に商品の事前配送を判断することができる。したがって、配送管理装置3は、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた、より効率的な事前配送が実現できる。
【0037】
(第4の実施形態)
続いて、
図8を用いて、第4の実施形態に係る配送管理装置4の構成について説明する。
図8に示すように、配送管理装置4は、第2の実施形態に係る配送管理装置3の構成に加え、顧客属性取得部15を備える。
【0038】
上述したように、配送管理装置4の予測部11は、配送拠点に割り当てられた配送エリアの顧客ごとの商品の購入可能性Pを予測する。商品特性取得部12は、記憶部14から商品の商品特性を取得する。決定部13は、顧客の商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合に、顧客の顧客拠点と顧客拠点への商品配送に使用される配送拠点との少なくとも一方の拠点へと商品を事前配送することを決定する。一方、決定部13は、顧客の商品の購入可能性Pが所定値Thを上回らない場合に、商品を事前配送しないことを決定する。また、決定部13は、商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する。
【0039】
顧客属性取得部15は、配送拠点に割り当てられた配送エリアの当該顧客の顧客属性を記憶部14から取得する。顧客属性は、例えば優良顧客、VIP顧客又は会員種別の情報である。決定部13は、顧客属性に基づいて所定値Thを変更する。具体的には、決定部13は、顧客が優良顧客やVIP顧客など顧客属性が良い場合、その場合以外よりも所定値Thを低く設定することによって、予測確度が低くても商品を事前配送することを決定する。また、決定部13は、商品の商品特性よりも顧客属性を優先して所定値Thを変更してもよい。例えば、決定部13は、商品の商品特性からコスト影響が大きいとして所定値Thが高く設定された場合でも、顧客属性を優先して、顧客属性が良い場合は所定値Thを低く設定する。
記憶部14は、顧客ごとに商品の商品特性の情報及び顧客属性の情報を記憶する。
【0040】
続いて、
図9を用いて、第4の実施形態に係る配送管理装置4の動作について説明する。
図9は、第4の実施形態に係る配送管理装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【0041】
まず、
図9に示すように、まず、配送管理装置4の予測部11は、配送拠点に割り当てられた配送エリアの顧客ごとの商品の購入可能性Pを予測する(ステップS301)。次に、商品特性取得部12は、記憶部14から商品の商品特性を取得する(ステップS302)。次に、顧客属性取得部15は、顧客の顧客属性を記憶部14から取得する(ステップS303)。次に、決定部13は、商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する(ステップS304)。次に、決定部13は、顧客属性に基づいて所定値Thを変更する(ステップS305)。
【0042】
次に、決定部13は、商品の購入可能性Pが所定値Thを上回るか否かを判定する(ステップS306)。当該エリアにおける商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合(ステップS306のYES)、決定部13は、顧客の顧客拠点と顧客拠点への商品配送に使用される配送拠点へと商品を事前配送することを決定する(ステップS307)。一方、商品の購入可能性Pが所定値Thを上回らない場合(ステップS306のNO)、処理は終了する。すなわち、商品が配送拠点へと事前配送されない。
【0043】
したがって、第4の実施形態に係る配送管理装置4は、購入可能性がどれくらいあれば商品を事前配送するかの判断基準を、商品特性に加え、顧客の属性によって変更する。配送管理装置3は、商品の購入可能性Pの予測確度が高い場合にのみ事前配送を行うことによって、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた、より効率的な事前配送が実現できる。
【0044】
(第5の実施形態)
続いて、
図10を用いて、第5の実施形態に係る配送管理装置5の構成について説明する。
図10に示すように、配送管理装置5は、第3の実施形態に係る配送管理装置3の構成に加え、事前発送通知部16及び購入促進処理部17を備える。
【0045】
なお、配送管理装置5は、配送管理装置4の構成に加え、事前発送通知部16及び購入促進処理部17を備えていてもよい。また、配送管理装置5は、配送管理装置3又は配送管理装置4の構成に加え、事前発送通知部16及び購入促進処理部17の少なくとも1つの構成を備えていればよい。
【0046】
上述したように、配送管理装置5の予測部11は、配送拠点に割り当てられた配送エリアの顧客ごとの商品の購入可能性Pを予測する。商品特性取得部12は、記憶部14から商品の商品特性を取得する。決定部13は、顧客の商品の購入可能性Pが所定値Thを上回る場合に、顧客の顧客拠点と顧客拠点への商品配送に使用される配送拠点との少なくとも一方の拠点へと商品を事前配送することを決定する。一方、決定部13は、顧客の商品の購入可能性Pが所定値Thを上回らない場合に、商品を事前配送しないことを決定する。また、決定部13は、商品の商品特性に基づいて所定値Thを変更する。
【0047】
事前発送通知部16は、事前配送することが決定された商品が事前配送された場合、当該事前配送を顧客に通知する。例えば、事前発送通知部16は、顧客の用いる端末に対してプッシュ通知する。通知には、顧客の商品の購入可能性Pの数値が含まれる。そうすることによって、配送管理装置5は、顧客に商品の購入を促す。
【0048】
また、購入促進処理部17は、事前配送することが決定された商品が事前配送された後、当該商品が顧客に所定期間購入されなかった場合、配送エリアの顧客に対して、当該商品の購入を促すための処理を実施する。例えば、購入促進処理部17は、当該商品の購入を促すための処理として、配送エリアの顧客に対して当該商品の広告を提供する。購入促進処理部17は、当該商品の購入を促すための処理として、配送エリアの顧客に対して当該商品の値引きを提供する。そうすることによって、配送管理装置5は、予測が外れた場合でも配送エリアの顧客に商品の購入を促す。
【0049】
第5の実施形態に係る配送管理装置5は、顧客への通知や広告によって、事前配送された商品が顧客に購入されない可能性(すなわち配送ロス)を低減する。したがって、配送管理装置5は、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた、より効率的な事前配送が実現できる。
【0050】
(第6の実施形態)
続いて、
図11を用いて、第6の実施形態に係る配送管理装置6の構成について説明する。
配送管理装置6は、第2の実施形態に係る配送管理装置2の構成と同様の構成を備える。しかしながら、配送管理装置6の各構成は、配送管理装置2の各構成とは以下の点で機能が異なる。
【0051】
予測部11は、配送拠点に割り当てられた配送エリアにおける商品の購入可能性Pを予測する。この際、商品の購入可能性Pの値は、複数の値の平均値又は中央値である。
配送管理装置6の予測部11は、商品の購入可能性Pの予測における信頼性を算出する。決定部13は、予測の信頼性に基づいて所定値Thを変更する。
【0052】
図11は、第6の実施形態に係る配送管理装置6における予測の信頼性に基づいて所定値Thを変更する方法の一例を示す図である。
図11に示すように、予測部11は、商品の購入可能性Pを複数の値の平均値又は中央値とした場合の、複数の値の分散(標準偏差)Vを予測の信頼性として算出する。決定部13は、分散Vに基づいて、所定値Thを変更する。
図11(a)に示すように、決定部13は、商品の購入可能性Pの分散Vが小さい程、予測の信頼性が高いとして、所定値Thを低く設定する。一方、
図11(b)に示すように、決定部13は、商品の購入可能性Pの分散Vが大きい程、予測の信頼性が低いとして、所定値Thを高く設定する。
【0053】
なお、予測部11は、商品の購入可能性Pの分散Vに限られず、過去の商品の返品実績に基づいて予測の信頼性を算出してもよい。
【0054】
したがって、第6の実施形態に係る配送管理装置6は、購入可能性がどれくらいあれば商品を事前配送するかの判断基準を、商品特性に加え、商品の購入可能性Pの予測における信頼性によって変更する。配送管理装置6は、商品の購入可能性Pの予測確度が高い場合にのみ事前配送を行うことによって、商品の事前配送の判断失敗時のコスト影響を抑えた、より効率的な事前配送が実現できる。
【0055】
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置及び各機能(処理)を、
図12に示すような、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ1001及び記憶装置であるメモリ1002を有するコンピュータ1000により実現してもよい。例えば、メモリ1002に実施形態における方法(映像処理方法)を行うためのプログラムを格納し、各機能を、メモリ1002に格納されたプログラムをプロセッサ1001で実行することにより実現してもよい。
【0056】
これらのプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0057】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0058】
第1の実施形態に係る配送管理装置1から第6の実施形態に係る配送管理装置6では、予測部11は、拠点(例えば配送拠点)の地域特性、季節や天気に基づいて商品の購入可能性Pを予測してもよい。例えば、予測部11は、拠点が雨のタイミングに傘の商品の購入可能性Pを高く予測する。また、決定部13も、拠点の地域特性、季節や天気に基づいて所定値Thを変更してもよい。
【0059】
第3の実施形態に係る配送管理装置3の予測部11は、顧客ごとの商品の購入可能性Pを予測する。第2の実施形態に係る配送管理装置2の予測部11は、配送エリアにおける複数の顧客の商品の購入可能性Pを集約したものを配送エリアにおける商品の購入可能性Pとしてもよい。集約とは、例えば平均をとるなどの処理を示す。
【0060】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
商品の購入可能性を予測する予測部と、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する
配送管理装置。
(付記2)
前記予測部は、前記所定の拠点に割り当てられたエリアにおける前記商品の購入可能性を予測し、
前記決定部は、前記エリアにおける前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、前記所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定する
付記1に記載の配送管理装置。
(付記3)
前記予測部は、前記エリアの顧客ごとに前記商品の購入可能性を予測し、
前記決定部は、前記顧客について前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、前記顧客の顧客拠点と前記顧客拠点への商品配送に使用される配送拠点との少なくとも一方の拠点へと前記商品を事前配送することを決定する
付記2に記載の配送管理装置。
(付記4)
前記商品特性は、商品価値の持続期間と商品の保管コストと商品の配送コストとの少なくとも一つであり、
前記決定部は、
前記商品価値の持続期間が短い程、前記所定値を高く設定し、
前記保管コストが高い程、前記所定値を高く設定し、
前記配送コストが高い程、前記所定値を高く設定する
付記1に記載の配送管理装置。
(付記5)
前記顧客の顧客属性を取得する顧客属性取得部をさらに備え、
前記決定部は、前記顧客属性に基づいて前記所定値を変更する
付記3に記載の配送管理装置。
(付記6)
前記予測部は、前記商品の購入可能性の予測における信頼性を算出し、
前記決定部は、前記予測の信頼性に基づいて前記所定値を変更する
付記1に記載の配送管理装置。
(付記7)
前記事前配送することが決定された商品が事前配送された場合、当該事前配送を前記顧客に通知する事前発送通知部をさらに備える
付記3に記載の配送管理装置。
(付記8)
前記事前配送することが決定された商品が事前配送された後、当該商品が所定期間購入されなかった場合、前記エリアの顧客に対して、当該商品の購入を促すための処理を実施する購入促進処理部をさらに備える
付記2に記載の配送管理装置。
(付記9)
前記決定部は、
前記顧客の前記顧客属性が良い程、前記所定値を低く設定する
付記5に記載の配送管理装置。
(付記10)
前記決定部は、
前記予測の信頼性が低い程、前記所定値を高く設定する
付記6に記載の配送管理装置。
(付記11)
配送管理装置が、
商品の購入可能性を予測し、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定し、さらに、
前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する
配送管理方法。
(付記12)
商品の購入可能性を予測し、
前記商品の購入可能性が所定値を上回る場合に、所定の拠点へと前記商品を事前配送することを決定し、さらに、
前記商品の商品特性に基づいて前記所定値を変更する処理をコンピュータに実行させる
プログラム。
【符号の説明】
【0061】
1、2、3、4、5、6 配送管理装置
11 予測部
12 商品特性取得部
13 決定部
14 記憶部
15 顧客属性取得部
16 事前発送通知部
17 購入促進処理部
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ