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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024136995
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L29/78 653C
H01L29/78 652G
H01L29/78 656A
H01L29/78 652L
H01L23/48 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048323
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】生野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西島 直也
(72)【発明者】
【氏名】大西 孝治
(57)【要約】
【課題】オン抵抗を低減した半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態は、半導体部と、第1電極と、第2電極と、第1制御電極と、第2制御電極と、導電部材と、接合部材と、を備える。第1電極、第2電極、第1制御電極および第2制御電極は、半導体部上に設けられる。導電部材は、半導体部の下に設けられる。接合部材は、半導体部と導電部材との間に設けられる。薄肉部の厚さは、搭載部よりも薄い。平面視で、半導体部および導電部材は、矩形であり、導電部材は、半導体部を搭載する搭載部と搭載部を囲む薄肉部を有する。半導体部の頂点は、薄肉部に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する半導体部であって、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第1領域と、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを接続する半導体基板と、を有する半導体部と、
前記第1領域で前記第1面上に設けられた第1電極と、
前記第2領域で前記第1面上に、前記第1電極から離れて設けられた第2電極と、
前記第1領域に設けられ、前記第1電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第1制御電極と、
前記第2領域に設けられ、前記第2電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第2制御電極と、
前記第2面に対向して配置された第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有し、前記第3面を介して、前記半導体基板と電気的に接続された導電部材と、
前記半導体基板と前記導電部材との間に設けられた導電性を有する接合部材と、
を備え、
前記導電部材は、
前記第3面と前記第4面との間に設けられた搭載部と、
前記第4面の反対側に位置する第5面を有し、前記第5面と前記第4面との間の厚さが前記搭載部の厚さよりも薄い厚さを有する薄肉部と、
を含み、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記第2面と前記第5面との間に設けられ、
平面視で、
前記導電部材の外周の形状および前記半導体部の外周の形状は、それぞれ矩形であり、
前記導電部材の4つの第1頂点は、前記半導体部の4つの第2頂点に対応して配置され、
前記導電部材の外周は、前記半導体部の外周に一致するか、前記半導体部の外周よりも外側に位置し、
前記4つの第2頂点のうち、少なくとも1つの第2頂点は、前記薄肉部の領域内に位置するように配置された半導体装置。
【請求項2】
平面視で、前記4つの第2頂点のそれぞれは、前記薄肉部の領域内に位置するように配置された請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
平面視で、前記半導体部は、前記半導体部の外周が前記薄肉部と前記搭載部との境界を囲み、前記境界の外側に位置するように配置された請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
平面視で、前記薄肉部は、前記4つの第1頂点のうちの少なくとも1つの第1頂点を含む三角形の外周形状を有する請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する半導体部であって、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第1領域と、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを接続する半導体基板と、を有する半導体部と、
前記第1領域で前記第1面上に設けられた第1電極と、
前記第2領域で前記第1面上に、前記第1電極から離れて設けられた第2電極と、
前記第1領域に設けられ、前記第1電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第1制御電極と、
前記第2領域に設けられ、前記第2電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第2制御電極と、
前記第2面に対向して配置された第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有し、
前記第3面を介して、前記半導体基板と電気的に接続された導電部材と、
前記半導体基板と前記導電部材との間に配置された導電性を有する接合部材と、
を備え、
前記導電部材は、
前記第3面と前記第4面との間に設けられた搭載部と、
前記第4面の反対側に位置する第5面を有し、前記第5面と前記第4面との間の厚さが前記搭載部の厚さよりも薄い複数の薄肉部と、
を含み、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記第2面と前記第5面との間に設けられ、
平面視で、
前記導電部材および前記半導体部の外周は、それぞれ矩形であり、
前記導電部材の4つの第1頂点は、前記半導体部の4つの第2頂点に対応して配置され、
前記導電部材の外周は、前記半導体部の外周に一致するか、前記半導体部の外周よりも外側に位置し、
前記4つの第1頂点は、前記複数の薄肉部の領域内にそれぞれ配置された半導体装置。
【請求項6】
前記導電部材は、前記第3面に設けられた溝部を有し、
前記溝部は、前記搭載部から前記薄肉部にわたって設けられ、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記溝部内に設けられた請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電部材は、前記第3面に設けられた凹部を有し、
前記溝部は、前記凹部から前記薄肉部にわたって設けられ、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記凹部内に設けられた請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記導電部材は、前記第3面に設けられた複数の溝部を有し、
前記複数の溝部は、互いに分離され、前記4つの第1頂点に向けてそれぞれ配置され、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記複数の溝部内に設けられた請求項5記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの共通の半導体基板上に、電気的に分離されたソース電極を有する2つのトランジスタを形成し、半導体基板を2つのトランジスタのドレイン電極とした半導体装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3650008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、オン抵抗を低減した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する半導体部であって、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第1領域と、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを接続する半導体基板と、を有する半導体部と、前記第1領域で前記第1面上に設けられた第1電極と、前記第2領域で前記第1面上に、前記第1電極から離れて設けられた第2電極と、前記第1領域に設けられ、前記第1電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第1制御電極と、前記第2領域に設けられ、前記第2電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第2制御電極と、前記第2面に対向して配置された第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有し、前記第3面を介して、前記半導体基板と電気的に接続された導電部材と、前記半導体基板と前記導電部材との間に設けられた導電性を有する接合部材と、を備える。前記導電部材は、前記第3面と第4面との間に設けられた搭載部と、前記第4面の反対側に位置する第5面を有し、前記第5面と前記第4面との間の厚さが前記搭載部の厚さよりも薄い厚さを有する薄肉部と、を含む。前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記第2面と前記第5面との間にも設けられる。平面視で、前記導電部材の外周の形状および前記半導体部の外周の形状は、それぞれ矩形であり、前記導電部材の4つの第1頂点は、前記半導体部の4つの第2頂点に対応して配置され、前記導電部材の外周は、前記半導体部の外周に一致するか、前記半導体部の外周よりも外側に位置し、前記4つの第2頂点のうち、少なくとも1つの第2頂点は、前記薄肉部の領域内に位置するように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図2】第1の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的な側面図である。
図3図1のIII-III線における模式的な断面図である。
図4】第1の実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的な側面図である。
図5】比較例の半導体装置の一部を例示する模式的な側面図である。
図6】比較例の半導体装置の一部を例示する模式的な側面図である。
図7】第1の実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的な側面図である。
図8】第1の実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図9】第1の実施形態の他の変形例に係る半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図10】第2の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図11】第2の実施形態に係る半導体装置の一部である導電部材を例示する模式的な斜視図である。
図12】第2の実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式図である。
図13】第2の実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式図である。
図14】第2の実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的な側面図である。
図15】第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を例示する模式的な斜視図である。
図16】第2の実施形態の他の変形例に係る半導体装置を例示する模式的な側面図である。
図17】第2の実施形態の他の変形例に係る半導体装置の一部を例示する模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明および図面において、n、nおよびp、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」および「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。なお、キャリア濃度は、実効的な不純物濃度とみなすものとする。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図2は、第1の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的な側面図である。
図3は、図1のIII-III線における模式的な断面図である。
図1図3に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、半導体部50と、第1電極10と、第2電極20と、第1制御電極71と、第2制御電極72と、導電部材30と、接合部材80と、を備える。第1電極10は、第1ソースパッドS1に電気的に接続されている。第2電極20は、第2ソースパッドS2に電気的に接続されている。第1電極10および第2電極20は、それぞれソース電極として機能する。第1制御電極71は、第1ゲートパッドG1に電気的に接続されている。第2制御電極72は、第2ゲートパッドG2に接続されている。第1制御電極71および第2制御電極72は、ゲート電極として機能する。
【0009】
半導体部50は、導電部材30上に配置される。接合部材80は、半導体部50と導電部材30との間に配置される。半導体部50は、第1面51と第2面52とを有する。第2面52は、第1面51の反対側に位置する面である。
【0010】
以下では、XYZの3次元座標系を用いて説明することがある。X軸およびY軸は、互いに直交する。X軸およびY軸を含む平面は、第1面51または第2面52に平行であるものとする。Z軸は、X軸およびY軸に直交する。第2面52から第1面51に向かう方向をZ軸の正方向とする。Z軸の正方向を「上」、「上方」と呼び、Z軸の負方向を「下」、「下方」と呼ぶことがあるが、これらの呼び方は重力の方向を示すものではない。「上」から見る場合および「下」から見る場合を平面視ということがある。また、XY平面に直交する方向から見る場合を側面視ということがある。
【0011】
半導体部50の第2面52には、導電層56が設けられている。導電層56は、半導体部50とオーミック接続されている。半導体部50は、導電層56および導電性を有する接合部材80を介して、導電部材30に電気的に接続されている。
【0012】
導電層56は、半導体基板53に電気的に接続されている。図3に関連して後述するように、半導体装置1は、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2を含んでおり、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、共通の半導体基板53、導電層56、接合部材80および導電部材30で電気的に接続されている。第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、電気的に分離された第1電極10および第2電極20を有しており、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2がオンすると、半導体基板53、導電層56、接合部材80および導電部材30を介して、第1電極10と第2電極20との間が導通する。つまり、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、双方向のスイッチを構成する。
【0013】
半導体部50において、半導体基板53は、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2の共通のドレイン電極に対応する。電気的には、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2の共通のドレイン電極である半導体基板53は、導電層56、接合部材80および導電部材30に積層されている。
【0014】
導電部材30は、高い導電率を有する金属等によって形成されている。導電部材30は、Z軸方向の長さ、つまり導電部材30の厚さは、十分に厚い。例えば、導電部材30の厚さは、半導体部50の厚さと同程度から7倍程度であり、0.05mm~0.3mm程度とされる。導電部材30の導電率は、第1半導体層54、半導体基板53、導電層56および接合部材80よりも、十分高い。導電部材30を第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2の共通のドレイン電極に並列に接続することによって、半導体装置1は、低いオン抵抗を有する双方向スイッチとして機能する。
【0015】
導電部材30の構成について説明する。
図1に示すように、導電部材30の外周は、平面視で、4つの頂点(第1頂点)33a~33dを有する矩形である。導電部材30の外周は、平面視で、辺部L33ab~L33daで形成される矩形である。辺部L33abは、頂点33a、33bの間の直線である。辺部L33bcは、頂点33b、33cの間の直線である。辺部L33cdは、頂点33c、33dの間の直線である。辺部L33daは、頂点33d、33aの間の直線である。導電部材30は、このような、矩形の板状の部材である。
【0016】
導電部材30は、薄肉部32と搭載部34とを有する。薄肉部32は、導電部材30の外縁で搭載部34に連続して設けられており、搭載部34を囲んでいる。平面視で、薄肉部32と搭載部34との境界は、4つの頂点35a~35dを有する矩形である。薄肉部32と搭載部34との境界を搭載部34の外周ということがある。搭載部34の外周は、辺部L35ab~L35daで形成される矩形である。辺部L35abは、頂点35a、35bの間の直線である。辺部L35bcは、頂点35b、35cの間の直線である。辺部L35cdは、頂点35c、35dの間の直線である。辺部L35daは、頂点35d、35aの間の直線である。搭載部34は、4つの頂点35a~35dおよび4つの辺部L35ab~L35daで囲まれた矩形の部分である。薄肉部32は、4つ頂点33a~33dおよび4つの辺部L33ab~L33daで囲まれた矩形の部分と搭載部34の外周との間の部分である。
【0017】
図2に示すように、導電部材30は、第3面31a、第4面31bおよび第5面31cを有する。導電部材30の第3面31aは、全面にわたってほぼ平坦な面であり、半導体部50の第2面52に対向して配置されている。第3面31aは、搭載部34の面である。第4面31bは、第3面31aの反対側に位置する面である。第4面31bは、全面にわたってほぼ平坦な面である。第5面31cは、薄肉部32の面である。第5面31cは、第3面31aと同じ側に位置し、第4面31bの反対側に位置する面である。なお、図2では、図示の煩雑さを避けるため、導電層56の表記を省略している。図4図7図12、13についても同様に導電層56の表記を省略している。
【0018】
搭載部34の厚さは、搭載部34の全体にわたって、ほぼ一定である。薄肉部32の厚さは、搭載部34の厚さよりも薄い。薄肉部32の厚さは、Z軸方向に沿って、第3面31aから第5面31cにわたる長さである。搭載部34の厚さは、Z軸方向に沿って、第3面31aから第4面31bにわたる長さである。図2の具体例では、薄肉部32は、薄肉部32と搭載部34との境界では、搭載部34と同じ厚さであり、境界から薄肉部32の外縁に向かって次第に薄くなる。薄肉部32の面である第5面31cは、曲面であり、側面視で、第5面31cは、第5面31c側に中心を有する円または楕円の円弧の一部である。
【0019】
薄肉部の形状は、この例に限らず、他の形状であってもよい。例えば、薄肉部は、薄肉部と搭載部との境界から直線的に厚さが低減されるようにしてもよい。あるいは、薄肉部は、薄肉部と搭載部との境界から階段上に厚さが低減されるようにしてもよい。
【0020】
半導体部50は、平面視で、頂点(第2頂点)53a~53dを有する矩形の板状の部材である。半導体部50の平面視での外周は、辺部L53ab~L53daで形成される矩形である。辺部L53abは、頂点53a、53bの間の直線である。辺部L53bcは、頂点53b、53cの間の直線である。辺部L53cdは、頂点53c、53dの間の直線である。辺部L53daは、頂点53d、53aの間の直線である。
【0021】
平面視において、半導体部50は、半導体部50の外周が、搭載部34の外周と薄肉部32の外周との間に位置するように配置される。つまり、半導体部50の頂点53a~53dは、搭載部34の頂点35a~35dと薄肉部32の頂点33a~33dとの間にそれぞれ位置する。半導体部50の辺部L53ab~L53daは、搭載部34の辺部L35ab~L35daと薄肉部32の辺部L33ab~L33daとの間にそれぞれ位置する。半導体装置1への熱ストレス印加時に発生する応力を均等化する観点から、好ましくは、半導体部50の辺部L53ab~L53daは、薄肉部32の辺部L33a~L33dにそれぞれほぼ平行に位置するように配置され、搭載部34の辺部L35a~L35dにそれぞれほぼ平行に位置するように配置される。
【0022】
半導体部50の第2面52と導電部材30の第3面31aとの間に、接合部材80が設けられている。接合部材80は、半導体部50の第2面52と導電部材30の第5面31cとの間にも設けられている。
【0023】
導電部材30では、第3面31aから第5面31cにわたるZ軸方向の長さは、第3面31aから第4面31bにわたるZ軸方向の長さよりも短い。そのため、第2面52と第5面31cとの間の接合部材80の厚さは、第2面52と第3面31aとの間の接合部材80の厚さよりも厚い。
【0024】
接合部材80は、例えばハンダ、導電性接着剤または導電性ペースト等である。導電部材30は、例えば、CuやAl等を含む合金等で形成されている。半導体部50は、Si等で形成されている。接合部材80および導電部材30の線膨張係数は、半導体部50の線膨張係数より大きい。そのため、これらを含む半導体装置1に熱ストレスを印加すると、半導体部50、接合部材80および導電部材30の線膨張の違いにより、半導体部50に応力が集中する。熱ストレスによる応力は、半導体部50の外縁で集中することがあり、半導体部50の頂点53a~53dを含む角の部分でより集中する場合がある。
【0025】
接合部材80の弾性係数は、導電部材30および半導体部50の弾性係数よりも小さい。つまり、接合部材80は、導電部材30および半導体部50よりも柔らかい。そのため、半導体装置1に熱ストレスが印加され、導電部材30が線膨張係数に応じて変形しても、接合部材80がその変形を緩和して、半導体部50に対する応力の集中を緩和することができる。本実施形態に係る半導体装置1では、半導体部50の外縁付近において、接合部材80の厚さが厚くなるように導電部材30の薄肉部32を形成しているので、半導体部50の全体にわたって、熱ストレスによる応力の集中を緩和することができる。
【0026】
一方、導電部材30の搭載部34と半導体部50との間では、接合部材80の厚さは十分に薄い。接合部材80の導電率が導電部材30の導電率が小さい場合には、接合部材80の搭載部34における厚さを薄くすることによって、半導体部50と導電部材30との間の電気抵抗を低減することができ、半導体装置1のオン抵抗をより低くすることが可能になる。また、搭載部34と半導体部50との間で接合部材80が十分に薄いことによって、熱抵抗が低減され、半導体装置1の発熱を抑制し、温度上昇にともなうオン抵抗の上昇を抑制することができる。
【0027】
図4は、本実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的な側面図である。
図5および図6は、比較例の半導体装置の一部を例示する模式的な側面図である。
図4図6は、本実施形態に係る半導体装置1において、導電部材30の薄肉部32深さと接合部材80の厚さとの関係を示している。
図4図6では、H1~H3は、薄肉部32の深さを表している。薄肉部32の深さは、Z軸に平行な方向であって、第3面31aから第4面31bにわたる長さから、辺部L33daから第4面31bにわたる長さを差し引いた長さである。
図4には、薄肉部32の深さH1が適切な場合の例が示されている。
図5には、薄肉部32の深さH2が浅すぎる場合の例が示されている。
図6には、薄肉部32の深さH3が深すぎる場合の例が示されている。
図4図6に示すように、深さH1~H3の関係は、H2<H1<H3である。図4図6のそれぞれの場合において、薄肉部32に導入される接合部材80の体積は、同じであるものとする。
【0028】
図4に示すように、薄肉部32の深さH1が適切な場合には、薄肉部32に導入された接合部材80の厚さは、深さH1にほぼ等しい。また、接合部材80は、半導体部50の辺部L53daの位置をはみ出すことがない。
【0029】
図5に示すように、薄肉部32の深さH2が浅すぎる場合には、薄肉部32に導入された接合部材80の厚さは、深さH2にほぼ等しい。一方、接合部材80は、半導体部50の辺部L53daを超えて、はみ出した結果、半導体部50の側面に到達し得る。深さH2がさらに浅い場合には、薄肉部32に導入された接合部材80は、半導体部50の側面からさらに上面にまで這い上がり得る。半導体部50の側面や上面には、異なる電位を有する電極等が形成される場合があり、はみ出した接合部材80により、半導体装置1の短絡故障等を生じるおそれがある。
【0030】
図6に示すように、薄肉部32の深さH3が深すぎる場合には、薄肉部32に導入された接合部材80の厚さは、深さH3よりも薄い。そのため、熱ストレスによる導電部材30の膨張、収縮による応力の集中に対する接合部材80の緩和効果が低減される。接合部材80がハンダ等の場合には、接合部材80と第5面31cとの接触面積が小さくなると、濡れ面積も小さくなるので、接合部材80が半導体部50の側面に流れる場合があり、図5に示した例と同様に、半導体装置1の短絡故障等を生じるおそれがある。
【0031】
上述のように、薄肉部32には、適切な深さが存在し得る。
図7は、第1の実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的な側面図である。
図7には、薄肉部32の適切な深さH1を設定するための一例が示されている。本実施形態に係る半導体装置1では、薄肉部32の適切な深さH1を設定するために、以下の導電部材30の形状と半導体部50の形状との間の相互の関係が満たされることが好ましい。すなわち、導電部材30の形状と半導体部50の形状との間の相互の関係とは、導電部材30の厚さが、半導体部50の厚さの1倍~7倍程度であり、導電部材30の厚さが、0.05mm~0.30mm程度である。また、半導体部50の辺部L53daの位置は、導電部材30の辺部L33daの位置と同程度から0.1mm程度内側である。
【0032】
長さdは、辺部L35daのX軸上の位置から辺部L33daのX軸上の位置までの長さであり、薄肉部32のX軸方向の長さである。長さd/2は、辺部L35daのX軸上の位置から辺部L33daのX軸上の位置までの長さの1/2の長さである。この例では、薄肉部32の厚さは、外縁に向かうほど薄いので、d/2における深さH1’は、dにおける深さH1よりも薄い。
【0033】
θは、搭載部34と薄肉部32との境界、すなわち、辺部L35daにおける第2面52に対する角度を示している。接合部材80がハンダ等の場合には、十分な体積の接合部材80が薄肉部32に導入されるように、第5面31cで接合部材80が十分に濡れる角度が設定される。接合部材80の濡れ性接触角θLとすると、角度θは、以下の式(1)を満足することが好ましい。
【0034】
θ=θL±10% (1)
【0035】
接合部材80がハンダ等の場合には、式(1)を満たした上で、H1は、以下の式(2)を満たすことが好ましい。
【0036】
H1=5h±3h (2)
ここで、hは、搭載部34における接合部材80の厚さである。接合部材80の厚さは、Z軸の方向に沿って、第2面52から第3面31aにわたる長さである。この例のように、H1’<H1の場合には、式(2)のH1をH1’に置き換えた場合に、H1’が式(2)を満たすことが好ましい。
【0037】
式(1)および式(2)は、少なくとも一方を満たすことが好ましく、両方を満たすことがより好ましい。式(1)および式(2)の関係を満たすことによって、適切な厚さの接合部材80を薄肉部32に設けることができる。
【0038】
図4図7では、辺部L33daの方向から見た場合の例について説明したが、他の辺部から見た場合も同様に、式(1)および式(2)の関係を満たすことによって、適切な厚さの接合部材80を薄肉部32に設けることができる。
【0039】
次に、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2の構成について説明する。図3に戻って説明を続ける。
図3に示すように、半導体部50は、半導体基板53と、半導体基板53上に設けられた第1半導体層54と、第1半導体層54内に設けられた第2半導体層13および第3半導体層14と、第2半導体層13内に設けられた第4半導体層15と、第3半導体層14内に設けられた第5半導体層16とを有する。
【0040】
半導体基板53は、例えば、n型のシリコン基板である。第1半導体層54は、例えば、n型のシリコン層である。第1半導体層54のn型不純物濃度は、半導体基板53のn型不純物濃度よりも低い。第1半導体層54は、半導体基板53上に例えばエピタキシャル成長される。
【0041】
第2半導体層13および第3半導体層14は、例えば、p型のシリコン層である。第2半導体層13の底面、側面、第3半導体層14の底面、および側面に、第1半導体層54が接している。
【0042】
第4半導体層15および第5半導体層16は、例えば、n型のシリコン層である。第4半導体層15および第5半導体層16のn型不純物濃度は、第1半導体層54のn型不純物濃度よりも高い。第4半導体層15の底面および側面に、第2半導体層13が接している。第5半導体層16の底面および側面に、第3半導体層14が接している。
【0043】
第1半導体層54の表面、第2半導体層13の表面、第3半導体層14の表面、第4半導体層15の表面、および第5半導体層16の表面は、半導体部50の第1面51を構成する。半導体基板53の裏面は、半導体部50の第2面52を構成する。
【0044】
半導体部50は、第1面51と第2面52との間に、第1領域61と第2領域62を有する。第1領域61と第2領域62は、半導体部50のX軸方向に沿って並んでいる。
【0045】
半導体基板53および第1半導体層54は、第1領域61および第2領域62に共通に設けられている。第2半導体層13および第4半導体層15は、第1領域61に設けられている。第3半導体層14および第5半導体層16は、第2領域62に設けられている。
【0046】
第1領域61には、ゲート電極である複数の第1制御電極71が設けられている。第1制御電極71は、例えばトレンチゲートであり、第1領域61内をZ軸方向に沿って延びている。第1制御電極71の上面、側面、および底面は絶縁膜73で覆われている。第1制御電極71の側面は、絶縁膜73を介して、第2半導体層13に対向している。
【0047】
第2領域62には、ゲート電極である複数の第2制御電極72が設けられている。第2制御電極72は、例えばトレンチゲートであり、第2領域62内をZ軸方向に沿って延びている。第2制御電極72の上面、側面、および底面は絶縁膜74で覆われている。第2制御電極72の側面は、絶縁膜74を介して、第3半導体層14に対向している。
【0048】
例えば、複数の第1制御電極71は、X軸方向に離隔して並んでおり、複数の第1の制御電極71のそれぞれは、Y軸方向に延びている。また、複数の第2制御電極72は、X軸方向に離隔して並んでおり、複数の第2制御電極72のそれぞれは、Y軸方向に延びている。
【0049】
半導体部50の第1領域61における第1面51上に、ソース電極である第1電極10が設けられている。第1電極10は、半導体部50の第1面51において第4半導体層15に接する第1金属部11と、第1金属部11上に設けられた第1ソースパッドS1とを有する。
【0050】
第1金属部11の面積は、第1ソースパッドS1の面積よりも広い。第1金属部11の面積は、第1金属部11が半導体部50の第1面51に接する面積、または第1金属部11の表面の面積を表す。第1ソースパッドS1の面積は、第1ソースパッドS1の表面の面積を表す。換言すると、X-Y平面における第1金属部11の少なくとも一部の面積は、X-Y平面における第1ソースパッドS1の少なくとも一部の面積よりも広い。
【0051】
第1金属部11は、例えばアルミニウムを主に含み、半導体部50との接触抵抗を低減するコンタクト層として機能する。第1ソースパッドS1の最表面には、例えばハンダの濡れ性に優れた金膜を含む。その金膜と第1金属部11と間には、それら両者の密着性を高める例えばニッケル膜が形成される。
【0052】
半導体部50の第1領域61における第1面51上に、第1配線層77が設けられている。第1配線層77は、第1制御電極71と電気的に接続されている。第1配線層77と第1電極10との間、および第1配線層77と半導体部50の間には、絶縁膜75が設けられている。
【0053】
半導体部50の第2領域62における第1面51上に、ソース電極である第2電極20が設けられている。第2電極20は、半導体部50の第1面51において第5半導体層16に接する第3金属部21と、第3金属部21上に設けられた第2ソースパッドS2とを有する。
【0054】
第3金属部21の面積は、第2ソースパッドS2の面積よりも広い。第3金属部21の面積は、第3金属部21が半導体部50の第1面51に接する面積、または第3金属部21の表面(図3における上面)の面積を表す。第2ソースパッドS2の面積は、第2ソースパッドS2の表面(図3における上面)の面積を表す。換言すると、X-Y平面における第3金属部21の少なくとも一部の面積は、X-Y平面における第2ソースパッドS2の少なくとも一部の面積よりも広い。
【0055】
第3金属部21は、例えばアルミニウムを主に含み、半導体部50との接触抵抗を低減するコンタクト層として機能する。第2ソースパッドS2の最表面には、例えばハンダの濡れ性に優れた金膜を含む。その金膜と第3金属部21と間には、それら両者の密着性を高める例えばニッケル膜が形成される。
【0056】
半導体部50の第2領域62における第1面51上に、第2配線層78が設けられている。第2配線層78は、第2制御電極72と電気的に接続されている。第2配線層78と第2電極20との間、および第2配線層78と半導体部50の間には、絶縁膜76が設けられている。
【0057】
半導体部50の第1面51上に絶縁膜80が設けられている。絶縁膜80は、第1電極10の第1金属部11および第2電極20の第3金属部21を覆っている。また、絶縁膜80は、第1電極10の第1ソースパッドS1の側面、および第2電極20の第2ソースパッドS2の側面を覆っている。第1電極10の第1ソースパッドS1の表面、および第2電極20の第2ソースパッドS2の表面は、絶縁膜80から露出している。
【0058】
半導体部50の第2面52に、導電層56が設けられている。導電層56は、半導体部50における第1領域61および第2領域62に共通に設けられており、第1領域61と第2領域62とを電気的に接続する。導電層56は、半導体基板53よりも抵抗率の低い金属を含み、Siを含む半導体基板53とオーミック接続される金属を含む。導電層56は、AgやTi、Ni等を含む。
【0059】
半導体装置1では、以上説明した構造により、半導体基板53を共有する第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2を有する。第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、X方向において隣り合っている。第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0060】
第1電極10は第1トランジスタQ1のソース電極として機能し、第4半導体層15は第1電極10と電気的に接続されたソース層として機能する。第1制御電極71に所定電圧を印加すると、第2半導体層13における第1制御電極71と対向する部分にチャネルが形成される。
【0061】
第2電極20は第2トランジスタQ2のソース電極として機能し、第5半導体層16は第2電極20と電気的に接続されたソース層として機能する。第2制御電極72に所定電圧を印加すると、第3半導体層14における第2制御電極72と対向する部分にチャネルが形成される。
【0062】
第1電極10と第2電極20は、互いに離れて配置され、電気的に分離されている。
【0063】
第1電極10の第1金属部11上に、例えば2つの第1ソースパッドS1が設けられている。第2電極20の第3金属部21上に、例えば2つの第2ソースパッドS2が設けられている。
【0064】
また、半導体部50の第1面51上には、第1配線層77を介して第1制御電極71と電気的に接続された第1ゲートパッドG1と、第2配線層78を介して第2制御電極72と電気的に接続された第2ゲートパッドG2が設けられている。第1ゲートパッドG1の周囲および第2ゲートパッドG2の周囲は絶縁膜79で覆われ、第1ゲートパッドG1の表面および第2ゲートパッドG2の表面が絶縁膜79から露出している。
【0065】
実施形態の半導体装置1は、例えばLiイオン電池等のための充放電保護回路に組み込まれ、双方向のスイッチとして使用される。本実施形態に係る半導体装置1では、半導体部50の第2面52に対向させ、接合部材80を介して導電部材30を配置し、半導体部50と導電部材30とを電気的に接続している。導電部材30は、導電部材30の導電率が十分に高くなるように構成されているので、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2の直列回路に双方向に電流に流したときの電圧降下を低減することができる。
【0066】
上述では、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、トレンチゲート構造を有するものとしたが、これに限らず、その他の任意の適切なトランジスタ構造とすることができる。例えば、第1トランジスタQ1および第2トランジスタQ2は、プレーナゲート構造を有するものとしてもよい。
【0067】
本実施形態に係る半導体装置1の効果について説明する。
本実施形態に係る半導体装置1は、半導体部50と、第1電極10と、第2電極20と、第1制御電極71と、第2制御電極72と、導電部材30と、接合部材80と、を備える。2つのトランジスタQ1、Q2は、半導体部50において、半導体基板53および第1半導体層54は、トランジスタQ1、Q2の共通のドレイン電極として機能する。つまり、トランジスタQ1、Q2では、半導体基板53および第1半導体層54を共通とすることによって、ドレイン電極同士が電気的に接続されている。半導体部50の裏面である第2面52には、導電性を有する接合部材80を介して、導電部材30が配置され、導電部材30は、半導体部50の半導体基板53に電気的に接続されている。導電部材30の導電率は、半導体基板53および第1半導体層54の導電率よりも十分高い。そのため2つのトランジスタQ1、Q2のドレイン電極同士は、低抵抗で電気的に接続され、半導体装置1は、低オン抵抗の双方向スイッチとすることができる。
【0068】
導電部材30は、搭載部34と薄肉部32とを有しており、薄肉部32は、搭載部34の周囲に設けられている。薄肉部32の厚さは、搭載部34の厚さよりも薄い。平面視で、半導体部50の外周は、薄肉部32の領域である。搭載部34と半導体部50との間には、接合部材80が設けられ、接合部材80は、薄肉部32と半導体部50との間にも設けられている。薄肉部32の厚さは、搭載部34の厚さよりも薄いので、薄肉部32では、接合部材80の厚さは、搭載部34における接合部材80の厚さよりも厚い。接合部材80の弾性係数は、半導体部50および導電部材30の弾性係数よりも低い。そのため、半導体装置1に熱ストレスを印加した場合に、導電部材30は、半導体部50よりも大きく伸縮する。導電部材30の収縮は、接合部材80によって緩和される。導電部材30の伸縮による応力は、半導体部の外縁付近に集中するので薄肉部32に導入された接合部材80によって応力集中が緩和される。
【0069】
搭載部34における接合部材80の厚さは、薄肉部32における接合部材80の厚さよりも薄い。接合部材80の導電率が導電部材30の導電率よりも低い場合であっても、半導体部50と導電部材30との間の電気抵抗は、十分に低くすることが可能である。また、接合部材80の熱伝導率が導電部材30の熱伝導率よりも低い場合であっても、半導体部50と導電部材30との間の熱抵抗は、十分に低くすることが可能である。
【0070】
半導体基板を共通のドレイン電極として2つのトランジスタを直列に接続した半導体装置が知られている(例えば、特許文献1)。ドレイン電極の電気抵抗を低減させるために半導体基板に高い導電率を有する金属板を接続することによって、半導体装置のオン抵抗は低減できる。
【0071】
半導体装置は、電子機器を構成する回路基板等に実装する場合に、ハンダ槽を経由させる場合がある。ハンダ槽は、200℃を超える高温となることもあり、半導体装置に大きな熱ストレスが印加される。また、半導体装置は、半導体装置の保存温度範囲内での温度サイクル試験や所定温度範囲での温度衝撃試験等の信頼性試験を通過することが求められる。
【0072】
導電部材30は、半導体部50および接合部材80よりも高い導電率を有する材料で形成することができ、導電部材30を十分な厚さとすることは、十分に低い抵抗値を実現する上で有効である。一方、導電部材30の厚さを厚くすることによって、導電部材30の体積が増大するので、熱膨張係数によって増大する体積も増大し、これに応じて発生する応力も増大する。本実施形態に係る半導体装置1では、導電部材30の外縁に薄肉部32を設けて、薄肉部32における接合部材80の体積を増やすことによって、導電部材30の体積増加によって発生する応力にもとづく半導体部50の変形を緩和することができる。そのため、熱ストレス環境下においても、本実施形態に係る半導体装置1は、半導体部50への応力の集中を緩和することができ、低オン抵抗と耐熱環境との両立が可能である。
【0073】
(変形例1)
図8は、第1の実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図8に示すように、本変形例に係る半導体装置101aは、導電部材130aの構成が、図1に示した半導体装置1の場合と相違する。他の構成は、半導体装置1に場合と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
半導体装置101aの導電部材130aは、薄肉部132と搭載部134とを有する。薄肉部132は、導電部材130aの外縁に設けられており、搭載部134を囲んでいる。平面視で、薄肉部132と搭載部134との境界は、8つの頂点135a~135hを有する矩形である。薄肉部132と搭載部134との境界は、辺部L135a~L135hで形成される八角形である。辺部L135a~L135hは、隣り合う2つの頂点の間の直線である。辺部L135a、L135c、L135e、L135gは、他の辺部よりも短い長さを有している。
【0075】
搭載部34は、8つの頂点135a~135hおよび8つの辺部L135a~L135hで囲まれた八角形の部分である。薄肉部132は、4つ頂点33a~33dおよび4つの辺部L33ab~33daで囲まれた矩形の部分と搭載部134との間の部分である。
【0076】
図示しないが、薄肉部132の側面視での形状は、例えば、図1および図2に示した半導体装置1の場合と同様に、薄肉部132と搭載部134との境界から外縁に向かって次第に薄くなる。
【0077】
平面視において、半導体部50は、半導体部の外周が、搭載部134の外周と薄肉部132の外周との間に位置するように配置される。本変形例に係る半導体装置101aでは、搭載部134の外周が八角形であるため、半導体部50の頂点は、図1に示した半導体装置1の場合よりも、搭載部134の辺部からより離れて配置される。例えば、頂点53aでは、頂点53aと辺部L135aとの間の最短距離は、辺部L33abと辺部L53abとの間の最短距離よりも長い。つまり、本変形に係る半導体装置101aでは、半導体部50の頂点を含む角部において、半導体部50の他の外縁の部分よりも、接合部材80の体積を十分に大きくすることができる。
【0078】
接合部材を介して、半導体部と導電部材とを接合したモデルを用いて、応力シミュレーションを行うと、半導体部の頂点を含む角部において、応力がより集中する。そのため、本変形例に係る半導体装置101aでは、薄肉部132の頂点33a~33dをそれぞれ含む薄肉部132の領域を増大させることによって、半導体部50の頂点を含む角部を覆う接合部材80の体積を増大させる。これによって、熱ストレスを印加した場合の半導体部50への応力の集中をより効果的に緩和させることができる。
【0079】
(変形例2)
図9は、第1の実施形態の他の変形例に係る半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図9に示すように、本変形例に係る半導体装置101bは、導電部材130bの構成が、図1に示した半導体装置1の場合と相違する。他の構成は、半導体装置1に場合と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
半導体装置101bの導電部材130bは、薄肉部132a~132dと搭載部134aとを有する。薄肉部132aの外周は、頂点33a、135a1、135b1を含む直角三角形である。薄肉部132bの外周は、頂点33b、135c1、135d1を含む直角三角形である。薄肉部132cの外周は、頂点33c、135e1、135f1を含む直角三角形である。薄肉部132dの外周は、頂点33d、135g1、135h1をfを含む直角三角形である。
【0081】
図示しないが、薄肉部132a~132dの側面視での形状は、例えば、図1および図2に示した半導体装置1の場合と同様に、薄肉部132a~132dと搭載部134との境界から外縁に向かってそれぞれ次第に薄くなる。
【0082】
平面視において、半導体部50は、半導体部の外周が、導電部材130bの外周の内側に位置するように配置される。本変形例に係る半導体装置101bでは、半導体部50の頂点53a~53dをそれぞれ含む角部は、薄肉部132a~132dにそれぞれ位置するように配置される。具体的には、半導体部50の頂点53aは、頂点33a、135a1、135b1を含む直角三角形の内側に位置するように配置される。半導体部50の頂点53bは、頂点33b、135c1、135d1を含む直角三角形の内側に位置するように配置される。半導体部50の頂点53cは、頂点33c、135e1、135f1を含む直角三角形の内側に位置するように配置される。半導体部50の頂点53dは、頂点33d、135g1、135h1を含む直角三角形の内側に位置するように配置される。
【0083】
図6に関連して説明したように、半導体部と導電部材とを接合したモデルを用いて、応力シミュレーションを行うと、半導体部の頂点を含む角部において、応力がより集中する。半導体部の厚さや形状、導電部材の材質等によっては、半導体部50の辺部にはほとんど応力が集中せず、もっぱら半導体部50の角部に応力が集中する場合がある。そのような場合には、本変形例の導電部材130bを適用することによって、半導体部50の角部への応力の集中を緩和することができる。本変形例では、導電部材130bの角部のみに、薄肉部132a~132dを形成するので、導電部材130bの成型加工が容易になるとの利点がある。
【0084】
また、半導体部の厚さや形状、導電部材の材質等によっては、半導体部50の4つの角部すべてに応力が集中する場合に限らない。また、半導体部50、接合部材80および導電部材30の相互の接合時等に発生し得る位置ずれ等によっても、半導体部50の4つの角部のうちの一部に応力が集中する場合も生じ得る。そのため、応力シミュレーション等によって、応力が集中する角部に対応する位置に導電部材の薄肉部を設けるようにしてもよい。
【0085】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る半導体装置を例示する模式的な平面図である。
図11は、第2の実施形態に係る半導体装置の一部である導電部材を例示する模式的な斜視図である。
図10に示すように、本実施形態に係る半導体装置201は、導電部材230の構成が、図1に示した半導体装置1の場合と相違する。他の構成は、半導体装置1に場合と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0086】
図10に示すように、半導体装置201は、図1に示した導電部材30に代えて、導電部材230を備える。図10および図11に示すように、導電部材230は、薄肉部132a~132dと、搭載部234と、溝部236a~236dと、を有する。薄肉部132a~132dは、図9に関連して説明した変形例の薄肉部132a~132dと同じであり、詳細な説明を省略する。
【0087】
導電部材230では、搭載部234に溝部236a~236dが設けられている。溝部236a~236dは、導電部材230の第3面231aの側で、第3面231aに凹部を形成するように設けられている。第3面231aは、半導体部50の第2面52に対向する位置に配置される面である。溝部236aは、導電部材230の重心Cから薄肉部132aに向かって設けられている。溝部236bは、導電部材230の重心Cから薄肉部132bに向かって設けられている。溝部236cは、導電部材230の重心Cから薄肉部132cに向かって設けられている。溝部236dは、導電部材230の重心Cから薄肉部132dに向かって設けられている。
【0088】
溝部236a~236dの幅W1は、好ましくは、薄肉部132a~132dの幅W2よりも狭い。薄肉部132aの幅W2は、頂点33aに隣り合う2つの頂点135a1、135b1の間の長さである。他の薄肉部132b~132dについても同様である。このようにすることによって、接合部材80の薄肉部132a~132dへの導入を円滑にすることが可能になり、薄肉部132a~132dにおいて、十分な体積の接合部材80を形成することができる。
【0089】
図12および図13は、第2の実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式図である。
図12は、導電部材230の薄肉部132aの深さ、溝部236aの深さおよび半導体部50の厚さの相互の関係を示している。
長さd1は、図11の頂点135a1と頂点135b1とを結んだ線分から頂点33aまでの最短の長さである。長さd3は、頂点135a1と頂点135b1とを結んだ線分から頂点53aまでの最短の長さである。長さd2は、頂点53aから頂点33aまでの最短の長さである。つまり、d1=d2+d3である。
厚さTsiは、半導体部50の厚さである。厚さTmは、導電部材230の厚さである。Tdは、第3面231aから溝部236aの底部236aBまでのZ軸に沿う方向の長さであり、溝部236aの深さを表している。
【0090】
本実施形態に係る半導体装置201において、半導体部50の頂点53aを含む半導体部50の角の部分における熱ストレス印加時の応力の集中を緩和するには、これらの形状の相互の関係が適切な範囲となることが好ましい。これらの形状の相互の関係は、具体的には、溝部236aの幅W1と薄肉部132aの幅W2との関係である。これらの関係は、図10に示されている。また、これらの形状の相互の関係は、具体的には、薄肉部132aにおける半導体部50の頂点53aの位置である。図12では、d2とd3との関係として示されている。また、これらの形状の他の相互の関係は、導電部材230の厚さTmと溝部236aの深さTdとの関係である。なお、これらの相互の関係に関しては、第1の実施形態の場合と同様に、以下の関係が満たされることが好ましい。すなわち、導電部材230の厚さTmは、半導体部50の厚さTsiの1倍~7倍程度であり、導電部材230の厚さTmは、0.05mm~0.30mm程度であり、d2は0mmから0.1mm程度とされる。
【0091】
応力集中の緩和のための第1の条件は、以下の式(3)により与えられる。
W1≦W2 (3)
溝部236aの幅W1を、薄肉部132aの幅W2よりも狭くすることによって、十分な体積を有する接合部材80を薄肉部132aに形成することが可能になる。
【0092】
応力集中の緩和のための第2の条件は、以下の式(4)により与えられる。
d2<d3 (4)
式(4)を満たすことによって、半導体部50の頂点を含む角部に応力が集中する場合に、導電部材230の熱ストレスによる膨張、収縮を、十分な体積を有する接合部材80によって緩和することが可能になる。
【0093】
応力集中の緩和のための第3の条件は、以下の式(5)により与えられる。
Td=(1/10)×Tm~(1/1.3)×Tm (5)
溝部236aの近傍に応力が集中する場合には、溝部236aが十分な深さを有することによって、導電部材230の熱ストレスによる膨張、収縮を、十分な体積の接合部材80によって緩和することが可能になる。なお、導電部材230の製造時のばらつき等を考慮して、溝部236aにおける導電部材230の厚さが薄くなりすぎることを防止するために、式(5)の上限値が設けられている。
【0094】
式(3)~式(5)の条件は、すべて満足されることが好ましいが、半導体部の厚さや形状、導電部材の材質等に応じて、一部の条件を満たすようにしてもよい。
【0095】
図13には、溝部236aの深さを半導体部50の第2面52を基準にした場合の半導体部50の厚さTsi、導電部材230の厚さTm’および溝部236aの深さTd’の相互の関係を示している。つまり、図13に示すように、導電部材230の厚さTm’および溝部236aの深さTd’は、第2面52と第3面231aとの間での接合部材80を含めた導電部材230の厚さにもとづいて示されている。
【0096】
接合部材80の熱伝導率が導電部材230の熱伝導率よりも低い場合には、第2面52と第3面231aとの間での接合部材80の厚さは薄い方が好ましい。
【0097】
式(3)~式(5)の条件は、すべて満足されることが好ましいが、半導体部の厚さや形状、導電部材の材質等に応じて、一部の条件を満たすようにしてもよい。例えば、製品ごとに、応力シミュレーション等を行って、応力の集中する箇所を判断した上で、適切な条件を満たすように設定される。
【0098】
本実施形態に係る半導体装置201の効果について説明する。
本実施形態に係る半導体装置201は、第1の実施形態に係る半導体装置1と同様の効果を奏する。そのほか、以下の効果を奏する。
本実施形態に係る半導体装置201は、導電部材230を備える。導電部材230は、薄肉部132a~132dと、搭載部134と、溝部236a~236dと、を有している。溝部236a~236dは、搭載部134から薄肉部132a~132dに向けてそれぞれ設けられている。溝部236a~236dを設けることによって、薄肉部132a~132dへの接合部材80を十分に導入することができる。
【0099】
溝部236a~236dに関して、式(3)~式(5)または式(3)および式(4)を適切に満たすことによって、薄肉部132a~132dへの十分な体積の接合部材80を形成することが可能となり、応力の集中する箇所への溝部の配置により、効果的に応力集中を緩和させることが可能になる。
【0100】
(変形例1)
図14は、第2の実施形態の変形例に係る半導体装置を例示する模式的な側面図である。
図15は、第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を例示する模式的な斜視図である。
図14に示すように、本変形例に係る半導体装置201aは、導電部材230aの構成が、図10に示した半導体装置201の場合と相違する。他の構成は、半導体装置201に場合と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0101】
図14に示すように、半導体装置201aは、図10に示した導電部材230に代えて、導電部材230aを備える。図14および図15に示すように、導電部材230aは、薄肉部132a~132dと、搭載部234と、溝部236a~236dと、凹部237と、を有する。薄肉部132a~132d、搭載部234および溝部236a~236dは、図10および図11に関連して説明した第2の実施形態の場合と同じであり、詳細な説明を省略する。
【0102】
導電部材230aでは、搭載部234に凹部237が設けられている。凹部237は、搭載部のほぼ中央部付近に設けられている。溝部236a~236dは、凹部237から薄肉部132a~132dに向けてそれぞれ設けられている。
【0103】
凹部237は、溝部236a~236dの深さと同じ深さとされる。したがって、凹部237および溝部236a~236dの深さは、図12および図13に関連して説明した深さTdまたは深さTd’に対応し、式(5)の条件を満たすように値が設定されることが好ましい。
【0104】
導電部材230aを半導体部50に接合する工程において、導電部材230bの搭載部234に凹部237を設けることによって、導電部材230aと半導体部50との間に、十分な体積の接合部材80を供給することが可能になる。十分な体積を有する接合部材80を導電部材230aと半導体部50との間のより広い領域に設けることによって、より広範囲に応力の集中を緩和させる効果を実現することができる。
【0105】
凹部237の平面視での形状は、半導体部の厚さや形状、導電部材の材質等に応じて、図14および図15の具体例に限らず、適切に任意に設定することができる。
【0106】
(変形例2)
図16は、第2の実施形態の他の変形例に係る半導体装置を例示する模式的な側面図である。
図17は、第2の実施形態の他の変形例に係る半導体装置の一部を例示する模式的な斜視図である。
図16に示すように、本変形例に係る半導体装置201bは、導電部材230bの構成が、図10に示した半導体装置201の場合と相違する。他の構成は、半導体装置201に場合と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0107】
図16に示すように、半導体装置201bは、図10に示した導電部材230に代えて、導電部材230bを備える。図16および図17に示すように、導電部材230bは、薄肉部132a~132dと、搭載部234と、溝部236a1~236d1と、を有する。薄肉部132a~132dおよび搭載部134は、図10および図11に関連して説明した第2の実施形態の場合と同じであり、詳細な説明を省略する。
【0108】
本変形例では、導電部材230bの溝部236a1~236d1は、図10および図11に関連して説明した導電部材230の溝部236a~236dと異なり、搭載部234の中央部である重心Cにおいて、接続されておらず、互いに分離されている。溝部236a1~236d1のそれぞれは、搭載部234の重心Cから離れた位置から薄肉部132a~132dに延びている。
【0109】
本変形例では、搭載部134の中央部付近に溝部が形成されていないので、導電部材230bと半導体部50との間の接合部材80の厚さを薄くすることができる。接合部材80は、導電部材230bに比べて、導電率および熱伝導率が低い場合があるので、接合部材80の厚さを薄くすることによって、抵抗値の増大および発熱を抑制することが可能になる。その一方で、溝部236a1~236d1を介して、十分な体積を有する接合部材80を薄肉部132a~132dに形成することが可能になる。
【0110】
このようにして、オン抵抗を低減した半導体装置を実現することができる。
【0111】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0112】
実施形態は、以下の態様を含む。
【0113】
(付記1)
第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する半導体部であって、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第1領域と、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを接続する半導体基板と、を有する半導体部と、
前記第1領域で前記第1面上に設けられた第1電極と、
前記第2領域で前記第1面上に、前記第1電極から離れて設けられた第2電極と、
前記第1領域に設けられ、前記第1電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第1制御電極と、
前記第2領域に設けられ、前記第2電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第2制御電極と、
前記第2面に対向して配置された第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有し、前記第3面を介して、前記半導体基板と電気的に接続された導電部材と、
前記半導体基板と前記導電部材との間に設けられた導電性を有する接合部材と、
を備え、
前記導電部材は、
前記第3面と前記第4面との間に設けられた搭載部と、
前記第4面の反対側に位置する第5面を有し、前記第5面と前記第4面との間の厚さが前記搭載部の厚さよりも薄い厚さを有する薄肉部と、
を含み、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記第2面と前記第5面との間に設けられ、
平面視で、
前記導電部材の外周の形状および前記半導体部の外周の形状は、それぞれ矩形であり、
前記導電部材の4つの第1頂点は、前記半導体部の4つの第2頂点に対応して配置され、
前記導電部材の外周は、前記半導体部の外周に一致するか、前記半導体部の外周よりも外側に位置し、
前記4つの第2頂点のうち、少なくとも1つの第2頂点は、前記薄肉部の領域内に位置するように配置された半導体装置。
【0114】
(付記2)
平面視で、前記4つの第2頂点のそれぞれは、前記薄肉部の領域内に位置するように配置された付記1記載の半導体装置。
【0115】
(付記3)
平面視で、前記半導体部は、前記半導体部の外周が前記薄肉部と前記搭載部との境界を囲み、前記境界の外側に位置するように配置された付記2記載の半導体装置。
【0116】
(付記4)
平面視で、前記薄肉部は、前記4つの第1頂点のうちの少なくとも1つの第1頂点を含む三角形の外周形状を有する付記1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0117】
(付記5)
第1面と前記第1面の反対側に位置する第2面とを有する半導体部であって、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第1領域と、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを接続する半導体基板と、を有する半導体部と、
前記第1領域で前記第1面上に設けられた第1電極と、
前記第2領域で前記第1面上に、前記第1電極から離れて設けられた第2電極と、
前記第1領域に設けられ、前記第1電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第1制御電極と、
前記第2領域に設けられ、前記第2電極と前記半導体基板との間に流れる電流を制御する第2制御電極と、
前記第2面に対向して配置された第3面と、前記第3面の反対側に位置する第4面と、を有し、
前記第3面を介して、前記半導体基板と電気的に接続された導電部材と、
前記半導体基板と前記導電部材との間に配置された導電性を有する接合部材と、
を備え、
前記導電部材は、
前記第3面と前記第4面との間に設けられた搭載部と、
前記第4面の反対側に位置する第5面を有し、前記第5面と前記第4面との間の厚さが前記搭載部の厚さよりも薄い複数の薄肉部と、
を含み、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記第2面と前記第5面との間に設けられ、
平面視で、
前記導電部材および前記半導体部の外周は、それぞれ矩形であり、
前記導電部材の4つの第1頂点は、前記半導体部の4つの第2頂点に対応して配置され、
前記導電部材の外周は、前記半導体部の外周に一致するか、前記半導体部の外周よりも外側に位置し、
前記4つの第1頂点は、前記複数の薄肉部の領域内にそれぞれ配置された半導体装置。
【0118】
(付記6)
前記導電部材は、前記第3面に設けられた溝部を有し、
前記溝部は、前記搭載部から前記薄肉部にわたって設けられ、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記溝部内に設けられた付記5記載の半導体装置。
【0119】
(付記7)
前記導電部材は、前記第3面に設けられた凹部を有し、
前記溝部は、前記凹部から前記薄肉部にわたって設けられ、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記凹部内に設けられた付記6記載の半導体装置。
【0120】
(付記8)
前記導電部材は、前記第3面に設けられた複数の溝部を有し、
前記複数の溝部は、互いに分離され、前記4つの第1頂点に向けてそれぞれ配置され、
前記接合部材は、前記第2面と前記第3面との間に設けられるとともに、前記複数の溝部内に設けられた付記5記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0121】
1、101a、101b、201、201a、201b…半導体装置、10…第1電極、20…第2電極、30、130a、130b、230、230a、230b…導電部材、31a…第3面、31b…第4面、31c…第5面、32、132、132a~132d…薄肉部、34、134、134a、234…搭載部、33a~33d、35a~35d、53a~53d、135a~135h、135a1~135h1…頂点、50…半導体部、51…第1面、52…第2面、53…半導体基板、61…第1領域、62…第2領域、71…第1制御電極、72…第2制御電極、80…接合部材、236a~236d、236a1~236d1…溝部、237…凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17