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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137001
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/12 20060101AFI20240927BHJP
   G11B 21/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G11B21/12 L
G11B21/02 630
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048331
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑樹
(57)【要約】
【課題】ネジ留めされたランプ機構を所望の位置に保つことができるディスク装置を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係るディスク装置は、磁気ディスクと、磁気ヘッドと、サスペンションと、ランプ機構と、筐体と、ネジとを備える。前記サスペンションは、ロード位置とアンロード位置との間で移動する。前記ランプ機構は、前記アンロード位置に位置する前記サスペンションを保持するランプ部材と、前記ランプ部材に固定されるとともに貫通孔が設けられた筒部材と、を有する。前記筐体は、ネジ穴が設けられるとともに前記筒部材を支持する第1の支持面を有する。前記ネジは、ネジ頭と、前記ネジ頭から延びるとともに前記貫通孔を通って前記ネジ穴に嵌め込まれたネジ軸と、を有し、前記ネジ頭と前記第1の支持面との間に前記筒部材を保持する。前記筒部材と前記筐体とが互いに接触する面積は、前記筒部材と前記ネジ頭とが互いに接触する面積よりも大きい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録面を有する磁気ディスクと、
前記磁気ディスクに対し情報を読み書きするよう構成された磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを保持し、前記磁気ヘッドが前記記録面の上に位置するロード位置と前記磁気ヘッドが前記記録面から離間したアンロード位置との間で移動するように構成された、サスペンションと、
前記アンロード位置に位置する前記サスペンションを保持するよう構成されたランプ部材と、前記ランプ部材に固定されるとともに貫通孔が設けられた筒部材と、を有するランプ機構と、
ネジ穴が設けられるとともに前記筒部材を支持する第1の支持面を有し、前記磁気ディスク、前記磁気ヘッド、前記サスペンション、及び前記ランプ機構を収容する、筐体と、
ネジ頭と、前記ネジ頭から延びるとともに前記貫通孔を通って前記ネジ穴に嵌め込まれたネジ軸と、を有し、前記ネジ頭と前記第1の支持面との間に前記筒部材を保持する、ネジと、
を具備し、
前記筒部材と前記筐体とが互いに接触する面積は、前記筒部材と前記ネジ頭とが互いに接触する面積よりも大きい、
ディスク装置。
【請求項2】
前記ネジ軸は、当該ネジ軸まわりのネジ締め方向に回転することで前記ネジ穴に捻じ込まれ、
前記筐体は、前記ランプ部材に接触することで前記ネジ締め方向の前記ランプ機構の回転を制限する第2の支持面、を有する、
請求項1のディスク装置。
【請求項3】
前記ランプ部材は、前記筒部材よりもヤング率が低く、
前記筒部材は、前記貫通孔の一方の端部が開口する第1の端面と、前記第1の端面の反対側に位置して前記貫通孔の他方の端部が開口する第2の端面と、を有し、前記第1の端面及び前記第2の端面が露出するように前記ランプ部材に埋められ、
前記第1の支持面は、前記第1の端面に接触し、
前記ネジ頭は、前記第2の端面に接触する、
請求項1のディスク装置。
【請求項4】
前記第1の端面は、前記第2の端面よりも大きい、
請求項3のディスク装置。
【請求項5】
前記筒部材は、前記貫通孔を形成する内面と、前記内面の反対側に位置する外面と、前記外面から突出するとともに前記第1の端面の少なくとも一部を含むフランジと、を有する、
請求項3のディスク装置。
【請求項6】
前記筒部材は、前記貫通孔を形成する内面と、前記内面の反対側に位置する外面と、を有し、
前記外面は、前記第1の端面から前記第2の端面に向かって先細る、
請求項3のディスク装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記ネジ穴を囲むように前記第1の支持面から突出するとともに前記貫通孔に収容される突起、をさらに有する、
請求項3乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項8】
前記第1の端面の材料は、前記第2の端面の材料と異なり、
前記第1の端面と前記第1の支持面との間の静止摩擦係数は、前記第2の端面と前記ネジ頭との間の静止摩擦係数よりも大きい、
請求項3乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項9】
前記第1の端面の表面粗さは、前記第2の端面の表面粗さよりも大きい、
請求項3乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項10】
前記第2の端面に、前記貫通孔を囲む円環状の溝が設けられた、
請求項3乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項11】
前記内面は、前記第2の端面に接続されるとともに前記第1の端面に向かって先細る内テーパ面を有する、
請求項5又は請求項6のディスク装置。
【請求項12】
前記外面は、前記第2の端面に接続されるとともに前記第2の端面に向かって先細る外テーパ面を有する、
請求項5又は請求項6のディスク装置。
【請求項13】
前記第1の端面及び前記第1の支持面は、同一方向に先細る円錐状に形成された、
請求項3乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項14】
前記ランプ部材は、前記第1の支持面及び前記ネジ頭から離間した、
請求項3乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項15】
記録面を有する磁気ディスクと、
前記磁気ディスクに対し情報を読み書きするよう構成された磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを保持し、前記磁気ヘッドが前記記録面の上に位置するロード位置と前記磁気ヘッドが前記記録面から離間したアンロード位置との間で移動するように構成された、サスペンションと、
前記アンロード位置に位置する前記サスペンションを保持するよう構成されたランプ部材と、前記ランプ部材に固定されるとともに貫通孔が設けられた筒部材と、を有するランプ機構と、
ネジ穴が設けられるとともに前記筒部材を支持する第1の支持面を有し、前記磁気ディスク、前記磁気ヘッド、前記サスペンション、及び前記ランプ機構を収容する、筐体と、
ネジ頭と、前記ネジ頭から延びるとともに前記貫通孔を通って前記ネジ穴に嵌め込まれたネジ軸と、を有し、前記ネジ頭と前記第1の支持面との間に前記筒部材を保持する、ネジと、
を具備し、
前記筒部材と前記筐体との間の静止摩擦係数は、前記筒部材と前記ネジ頭との間の静止摩擦係数よりも大きい、
ディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(HDD)のようなディスク装置は、例えば、磁気ディスクと、磁気ヘッドと、サスペンションと、ランプ機構とを有する。磁気ヘッドは、サスペンションに保持される。サスペンションは、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面上に位置するロード位置と、当該サスペンションがランプ機構に保持されるアンロード位置と、の間で回転する。ランプ機構は、例えばネジによって筐体に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0213254号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネジによりランプ機構が筐体にネジ留めされるとき、ネジが捻じれるように弾性変形する。ランプ機構は、弾性変形から復元するネジにより、所望の位置から回転させられてしまう虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、ネジ留めされたランプ機構を所望の位置に保つことができるディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態に係るディスク装置は、磁気ディスクと、磁気ヘッドと、サスペンションと、ランプ機構と、筐体と、ネジとを備える。前記磁気ディスクは、記録面を有する。前記磁気ヘッドは、前記磁気ディスクに対し情報を読み書きするよう構成される。前記サスペンションは、前記磁気ヘッドを保持し、前記磁気ヘッドが前記記録面の上に位置するロード位置と前記磁気ヘッドが前記記録面から離間したアンロード位置との間で移動するように構成される。前記ランプ機構は、前記アンロード位置に位置する前記サスペンションを保持するよう構成されたランプ部材と、前記ランプ部材に固定されるとともに貫通孔が設けられた筒部材と、を有する。前記筐体は、ネジ穴が設けられるとともに前記筒部材を支持する第1の支持面を有し、前記磁気ディスク、前記磁気ヘッド、前記サスペンション、及び前記ランプ機構を収容する。前記ネジは、ネジ頭と、前記ネジ頭から延びるとともに前記貫通孔を通って前記ネジ穴に嵌め込まれたネジ軸と、を有し、前記ネジ頭と前記第1の支持面との間に前記筒部材を保持する。前記筒部材と前記筐体とが互いに接触する面積は、前記筒部材と前記ネジ頭とが互いに接触する面積よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るHDDを示す例示的な斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態の筐体、磁気ディスク、及びランプ機構を示す例示的な平面図である。
図3図3は、第1の実施形態の筐体の一部及びランプ機構を示す例示的な平面図である。
図4図4は、第1の実施形態のHDDの一部を図3のF4-F4線に沿って示す例示的な断面図である。
図5図5は、第2の実施形態に係るHDDの一部を示す例示的な断面図である。
図6図6は、第3の実施形態に係るHDDの一部を示す例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)10を示す例示的な斜視図である。HDD10は、ディスク装置の一例であり、電子機器、記憶装置、外部記憶装置、又は磁気ディスク装置とも称され得る。
【0010】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、HDD10の幅に沿って設けられる。Y軸は、HDD10の長さに沿って設けられる。Z軸は、HDD10の厚さに沿って設けられる。
【0011】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0012】
図1に示すように、HDD10は、筐体11と、複数の磁気ディスク12と、スピンドルモータ13と、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)14と、ボイスコイルモータ(VCM)15と、ランプロード機構(ランプ機構)16と、フレキシブルプリント配線板(FPC)17とを有する。筐体11は、ベースとも称され得る。
【0013】
筐体11は、例えば、アルミニウム合金のような金属材料によって作られる。筐体11は、Y方向に延びるとともに、+Z方向に開放された直方体の箱状に形成される。筐体11は、底壁21と周壁22とを有する。
【0014】
底壁21は、X-Y平面に沿って広がる略矩形(四角形)の板状に形成される。周壁22は、底壁21の縁から略+Z方向に突出し、略矩形の枠状に形成される。底壁21と周壁22とは、一体に形成されている。
【0015】
筐体11の内部に、+Z方向に開放された内室25が設けられる。内室25は、例えば、底壁21と周壁22とにより形成(規定、区画)される。このため、周壁22は内室25を囲んでいる。筐体11は、磁気ディスク12、スピンドルモータ13、HSA14、VCM15、及びランプ機構16を内室25に収容する。
【0016】
+Z方向における周壁22の端部に、一つ以上のカバーが取り付けられる。当該カバーは、内室25を、例えば略気密に塞ぐ。内室25に、空気とは異なる気体が充填される。例えば、空気よりも密度が低い低密度ガスや、反応性の低い不活性ガス等が、内室25に充填される。本実施形態では、ヘリウムが内室25に充填される。なお、他の流体が内室25に充填されても良い。また、内室25は、真空、真空に近い低圧、又は大気圧よりも低い陰圧に保たれても良い。
【0017】
複数の磁気ディスク12は、X-Y平面に沿って広がるように配置される。磁気ディスク12の直径は、例えば、3.5インチであるが、この例に限られない。複数の磁気ディスク12はそれぞれ、例えば、少なくとも一つの記録面12aと、外縁12bとを有する。
【0018】
記録面12aは、磁気ディスク12の上面及び下面の少なくとも一方に設けられる。言い換えると、複数の記録面12aはそれぞれ、略+Z方向に向く磁気ディスク12の表面、又は略-Z方向に向く磁気ディスク12の表面である。記録面12aは、X-Y平面に沿って広がる略平坦な面である。記録面12aに、磁気ディスク12の磁気記録層が設けられる。なお、記録面12aの一部に、磁気記録層が設けられなくても良い。外縁12bは、磁気ディスク12の外周面である。
【0019】
スピンドルモータ13は、筐体11の底壁21に取り付けられる。なお、スピンドルモータ13は、他の位置に配置されても良い。複数の磁気ディスク12は、スピンドルモータ13に取り付けられる。
【0020】
複数の磁気ディスク12は、Z方向に間隔を介して並べられる。例えば、複数の磁気ディスク12の間に、スペーサが配置される。スピンドルモータ13は、複数の磁気ディスク12を支持するハブを有する。複数の磁気ディスク12は、例えば、クランプバネによってスピンドルモータ13のハブに保持される。
【0021】
スピンドルモータ13は、複数の磁気ディスク12を、第1の回転軸Ax1まわりに回転させる。第1の回転軸Ax1は、略Z方向に延びる仮想的な軸である。すなわち、第1の回転軸Ax1は、記録面12aと直交(交差)する方向に延びている。
【0022】
第1の回転軸Ax1は、スピンドルモータ13による回転の中心であり、磁気ディスク12及びスピンドルモータ13のハブの中心軸でもある。なお、ディスク状の磁気ディスク12の中心軸及びスピンドルモータ13のハブの中心軸は、スピンドルモータ13による回転の中心と異なっても良い。
【0023】
HSA14は、磁気ディスク12から離間した位置に配置された支持軸27に、回転可能に支持される。支持軸27は、例えば、筐体11の底壁21から略+Z方向に延びている。
【0024】
HSA14は、第1の回転軸Ax1から離間した第2の回転軸Ax2まわりに回転することができる。第2の回転軸Ax2は、略Z方向に延びる仮想的な軸である。このため、第1の回転軸Ax1と第2の回転軸Ax2とは、略平行に配置される。第2の回転軸Ax2は、例えば、HSA14の回転の中心であり、支持軸27の中心軸でもある。
【0025】
HSA14は、キャリッジ31と、複数のヘッドジンバルアセンブリ(HGA)32とを有する。キャリッジ31は、アクチュエータブロック35と、複数のアーム36と、コイルホルダ37とを有する。
【0026】
アクチュエータブロック35、複数のアーム36、及びコイルホルダ37は、例えばアルミニウムにより一体に形成される。なお、アクチュエータブロック35、アーム36、及びコイルホルダ37の材料は、この例に限られない。
【0027】
アクチュエータブロック35は、例えば、軸受を介して、支持軸27に回転可能に支持される。複数のアーム36は、アクチュエータブロック35から、第2の回転軸Ax2と直交する方向に突出している。なお、HSA14が分割され、複数のアクチュエータブロック35のそれぞれからアーム36が突出しても良い。
【0028】
複数のアーム36は、Z方向に間隔を介して配置される。アーム36はそれぞれ、隣り合う磁気ディスク12の間の隙間に進入可能な板状に形成される。複数のアーム36は、略平行に延びている。
【0029】
コイルホルダ37は、アクチュエータブロック35から突出し、アーム36の反対側に位置する。コイルホルダ37は、VCM15のボイスコイルを保持する。VCM15は、当該ボイスコイルと、一対のヨークと、当該ヨークに設けられた磁石とを有する。
【0030】
複数のHGA32のそれぞれは、複数のアーム36のうち対応する一つの先端部分に取り付けられ、当該アーム36から突出する。これにより、複数のHGA32は、Z方向に間隔を介して配置される。複数のHGA32のそれぞれは、サスペンション41と、磁気ヘッド42とを有する。磁気ヘッド42は、スライダとも称され得る。
【0031】
サスペンション41は、ベースプレート45と、ロードビーム46と、フレキシャ(flexure)47とを有する。ベースプレート45及びロードビーム46は、例えば、ステンレス鋼により作られる。なお、ベースプレート45及びロードビーム46の材料は、この例に限られない。ベースプレート45は、板状に形成され、アーム36の先端部に取り付けられる。
【0032】
ロードビーム46は、ベースプレート45の先端部に取り付けられ、ベースプレート45から第2の回転軸Ax2と直交する方向に突出する。ロードビーム46は、ベースプレート45よりも薄く、X-Y平面に沿って広がる板状に形成される。
【0033】
フレキシャ47は、細長い帯状に形成される。なお、フレキシャ47の形状は、この例に限られない。フレキシャ47は、例えば、ステンレス鋼等の金属板(裏打ち層)と、金属板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成され複数の配線(配線パターン)を構成する導電層と、導電層を覆う保護層(絶縁層)と、を有する積層板である。
【0034】
フレキシャ47は、ベースプレート45及びロードビーム46に取り付けられる。フレキシャ47の一方の端部は、ロードビーム46の上に位置するとともに変位可能なジンバル部(弾性支持部)を有する。当該ジンバル部に、磁気ヘッド42が搭載される。言い換えると、サスペンション41は、磁気ヘッド42を保持する。フレキシャ47は、磁気ヘッド42に電気的に接続される。
【0035】
磁気ヘッド42は、磁気ディスク12の記録面12aに対して、情報の記録及び再生を行う。言い換えると、磁気ヘッド42は、磁気ディスク12に対して情報を読み書きする。磁気ヘッド42は、磁気ディスク12にレーザ光又はマイクロ波を出射する装置が搭載されても良い。
【0036】
VCM15は、HSA14を第2の回転軸Ax2まわりに回転させ、所望の位置に配置する。すなわち、VCM15は、サスペンション41及び磁気ヘッド42を、第2の回転軸Ax2まわりに移動させる。VCM15によるHSA14の回転により磁気ヘッド42が磁気ディスク12の最外周に移動すると、ランプ機構16は、磁気ディスク12から離間した位置に磁気ヘッド42を保持する。
【0037】
FPC17の一方の端部は、フレキシャ47に接続される。FPC17の他方の端部は、例えば、筐体11に設けられたコネクタを介して、筐体11の外部に配置された基板に接続される。当該基板に、例えば、HDD10の全体を制御するコントローラと、ホストコンピュータに接続されるインターフェースコネクタとが搭載される。当該基板は、FPC17及びフレキシャ47を介して、磁気ヘッド42に電気的に接続される。
【0038】
図2は、第1の実施形態の筐体11、磁気ディスク12、及びランプ機構16を示す例示的な平面図である。図2に示すように、ランプ機構16は、第1の回転軸Ax1から、当該第1の回転軸Ax1と直交する方向に離間した位置に配置される。さらに、ランプ機構16は、第2の回転軸Ax2から、当該第2の回転軸Ax2と直交する方向に離間している。
【0039】
図3は、第1の実施形態の筐体11の一部及びランプ機構16を示す例示的な平面図である。図4は、第1の実施形態のHDD10の一部を図3のF4-F4線に沿って示す例示的な断面図である。図4に示すように、ランプ機構16は、ランプボディ51と、スリーブ52とを有する。ランプボディ51は、ランプ部材の一例であり、樹脂部分とも称され得る。スリーブ52は、筒部材の一例であり、金属部分とも称され得る。
【0040】
ランプボディ51は、例えば、合成樹脂で作られる。なお、ランプボディ51は、他の材料で作られても良い。図3に示すように、ランプボディ51は、基壁61と、複数の保持突起62と、取付片63と、ピン64とを有する。
【0041】
基壁61は、略Z方向に延びる板状に形成される。基壁61は、Z方向と略直交する方向に向く二つの側面61a,61bを有する。側面61aは、第2の回転軸Ax2に向く。側面61bは、側面61aの反対側に位置する。
【0042】
複数の保持突起62は、基壁61の側面61aから突出している。複数の保持突起62はそれぞれ、HGA32に対応して設けられる。このため、複数の保持突起62は、Z方向に間隔を介して並べられる。複数の保持突起62の間の隙間に、対応する磁気ディスク12が配置される。
【0043】
保持突起62は、磁気ディスク12の外縁12bの近傍に位置する。保持突起62は、記録面12aの一部を覆う。保持突起62は、外縁12bから第1の回転軸Ax1と直交する方向に離間した位置に、ロードビーム46の先端を保持することができる。なお、保持突起62は、第1の回転軸Ax1と直交する方向における外縁12bの内側で、ロードビーム46の先端を保持しても良い。
【0044】
ロードビーム46の先端は、磁気ヘッド42が磁気ディスク12に対して情報を読み書きしないとき(アンロード時)には、上述のように、保持突起62に保持される。このとき、磁気ヘッド42は、磁気ディスク12の外縁12bから第1の回転軸Ax1と直交する方向に離間した位置に配置される。なお、アンロード時におけるHGA32の位置は、この例に限られない。
【0045】
一方、ロードビーム46の先端は、磁気ヘッド42が磁気ディスク12に対して情報を読み書きするとき(ロード時)には、基本的に、磁気ヘッド42とともに磁気ディスク12の記録面12a上に位置する。なお、ロード時におけるHGA32の位置は、この例に限られない。
【0046】
ロードビーム46の先端は、HSA14の回転に応じて、記録面12aの上の領域と、保持突起62に保持される位置(ホームポジション)と、の間で移動する。サスペンション41及び磁気ヘッド42は、HSA14の回転に応じて、第2の回転軸Ax2まわりに移動(回転)する。
【0047】
図2に示すように、HSA14と、当該HSA14に含まれるサスペンション41とは、ロード位置Plと、アンロード位置Puと、の間で第2の回転軸Ax2まわりに回転(移動)する。ロード位置Pl及びアンロード位置Puは、HSA14が延びる第2の回転軸Ax2まわりの角度(位置)である。
【0048】
ロード時において、HSA14はロード位置Plに位置する。すなわち、HSA14がロード位置Plに位置するとき、磁気ヘッド42は、磁気ディスク12の記録面12a上に位置する。なお、ロード位置Plは、一つの位置に限られず、磁気ヘッド42が記録面12a上に位置する複数の位置を含む。
【0049】
一方、アンロード時において、HSA14は、アンロード位置Puに位置する。すなわち、HSA14がアンロード位置Puに位置するとき、磁気ヘッド42が記録面12aから離間するように、サスペンション41のロードビーム46の先端がランプボディ51の保持突起62に保持される。
【0050】
図4に示すように、取付片63は、基壁61の側面61bから突出している。取付片63は、例えば、X-Y平面に沿う板状に形成される。なお、取付片63の形状は、この例に限られない。
【0051】
取付片63は、下面63aと上面63bとを有する。なお、本明細書における上下は、図4の配置を基準とする便宜的なものであり、位置、方向、及び使用態様を限定するものではない。下面63aは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。上面63bは、下面63aの反対側に位置する。上面63bは、略平坦に形成され、+Z方向に向く。図3に示すピン64は、略円柱状に形成され、下面63aから略-Z方向に突出している。
【0052】
図4に示すスリーブ52は、例えば、ステンレス鋼のような金属で作られる。このため、ランプボディ51は、スリーブ52よりもヤング率が低い。なお、スリーブ52は、他の材料で作られても良い。
【0053】
スリーブ52は、Z方向に延びる略円筒状に形成される。このため、スリーブ52に、Z方向に延びる貫通孔70が設けられる。貫通孔70は、円形の断面を有する孔である。スリーブ52は、第1の端面71と、第2の端面72と、内面73と、外面74と、フランジ75とを有する。
【0054】
第1の端面71は、-Z方向におけるスリーブ52の端面である。第1の端面71は、略円形の平面であり、-Z方向に向く。第2の端面72は、+Z方向におけるスリーブ52の端面である。すなわち、第2の端面72は、第1の端面71の反対側に位置する。第2の端面72は、略円形の平面であり、+Z方向に向く。第1の端面71に、貫通孔70の一方の端部が開口する。第2の端面72に、貫通孔70の他方の端部が開口する。
【0055】
貫通孔70は、収容部70aと、挿通部70bとを有する。収容部70aは、貫通孔70の一部であり、第1の端面71に開口する。挿通部70bは、貫通孔70の他の一部であり、第2の端面72に開口する。収容部70aと挿通部70bとは、互いに連通する。収容部70aの断面積は、挿通部70bの断面積よりも大きい。言い換えると、収容部70aにおける貫通孔70の直径は、挿通部70bにおける貫通孔70の直径よりも大きい。
【0056】
内面73は、貫通孔70を形成(規定、区画)する略円筒状の曲面である。内面73は、第1の内周面73aと、第2の内周面73bと、底面73cと、内テーパ面73dとを有する。
【0057】
第1の内周面73aは、第1の端面71から略+Z方向に延びる略円筒状の曲面であり、収容部70aを形成する。第1の内周面73aの直径は、略一定である。なお、第1の端面71と第1の内周面73aとの間の、他の部分が設けられても良い。
【0058】
第2の内周面73bは、略Z方向に延びる略円筒状の曲面であり、挿通部70bを形成する。第2の内周面73bの直径は、略一定である。このため、第2の内周面73bの直径は、第1の内周面73aの直径よりも小さい。
【0059】
底面73cは、+Z方向における第1の内周面73aの端と、-Z方向における第2の内周面73bの端との間に設けられる。底面73cは、略平坦に形成され、-Z方向に向く。底面73cは、収容部70aの底を形成する。
【0060】
内テーパ面73dは、第2の端面72に接続されるとともに、第1の端面71に向かって-Z方向に先細る円錐状の曲面である。言い換えると、内テーパ面73dは、第2の端面72から窪む略円錐状の凹面である。-Z方向における内テーパ面73dの端は、+Z方向における第1の内周面73aの端に接続される。
【0061】
外面74は、内面73の反対側に位置する。外面74は、外周面74aと、外テーパ面74bとを有する。外周面74aは、略Z方向に延びる略円筒状の曲面である。外周面74aの直径は、略一定である。外テーパ面74bは、第2の端面72に接続されるとともに、第2の端面72に向かって+Z方向に先細る円錐状の曲面である。-Z方向における外テーパ面74bの端は、+Z方向における外周面74aの端に接続される。
【0062】
フランジ75は、-Z方向における外周面74aの端部から突出している。このため、フランジ75は、第2の端面72から-Z方向に離間している。フランジ75は、貫通孔70まわりにおける外周面74aの全周に設けられる。なお、フランジ75は、例えば、切欠きによって分断されても良い。-Z方向におけるフランジ75の端面は、スリーブ52の第1の端面71の一部を形成する。言い換えると、フランジ75は、第1の端面71の一部を含む。
【0063】
第2の端面72に、少なくとも一つの溝76が設けられる。溝76は、貫通孔70を囲む円環状に形成される。具体的には、溝76は、貫通孔70、第1の端面71、第2の端面72、内面73、及び外面74と同心円状に形成される。第2の端面72に複数の溝76が設けられる場合、複数の溝76は互いに同心円状に形成される。
【0064】
第1の端面71は、第2の端面よりも大きい。本実施形態では、フランジ75が、第1の端面71の外径を拡大する。第1の端面71の外径は、第2の端面72の外径よりも大きい。貫通孔70の収容部70aは、第1の端面71の内径を拡大する。第1の端面71の内径は、第2の端面72の内径よりも大きい。
【0065】
第1の端面71における内径と外径との差(幅)が第2の端面72における内径と外径の差(幅)以下でも良い。本実施形態では、第1の端面71の外径が大きいことで、貫通孔70まわりの第1の端面71の長さ(円周)が長くなり、第1の端面71の面積が大きくなる。さらに、溝76が、第2の端面72の面積を低減させる。
【0066】
第1の端面71は、例えば、金属製のスリーブ52に塗布されたコーティング77によって形成される。コーティング77は、例えば、金属製のスリーブ52よりも摩擦を増大可能な金属又は合成樹脂で作られる。すなわち、第1の端面71の材料は、第2の端面72の材料と異なる。なお、第2の端面72が摩擦を低減可能なコーティングによって形成されても良いし、第1の端面71の材料と第2の端面72の材料とが同一であっても良い。
【0067】
第1の端面71の表面粗さは、第2の端面72の表面粗さよりも大きい。例えば、第1の端面71は、粗面処理(roughening)により表面粗さを増大させられる。なお、第2の端面72が研磨により表面粗さを低減されても良いし、第1の端面71の表面粗さが第2の端面72の表面粗さ以下であっても良い。
【0068】
スリーブ52は、例えばインサート成形により、ランプボディ51と一体に製造される。すなわち、スリーブ52は、ランプボディ51に埋められることで、ランプボディ51に固定される。なお、スリーブ52は、他の方法によりランプボディ51に固定されても良い。
【0069】
スリーブ52は、ピン64よりも磁気ディスク12に近い。言い換えると、スリーブ52と磁気ディスク12との間の距離は、ピン64と磁気ディスク12との間の距離よりも短い。また、スリーブ52は、ピン64よりも基壁61及び保持突起62に近い。なお、スリーブ52の位置は、この例に限られない。
【0070】
スリーブ52の一部は、取付片63の下面63aから-Z方向に僅かに突出している。このため、第1の端面71は、ランプボディ51の外部に露出している。スリーブ52の他の一部は、取付片63の上面63bから+Z方向に僅かに突出している。このため、第2の端面72は、ランプボディ51の外部に露出している。なお、下面63aと第1の端面71とが同一平面を形成しても良いし、上面63bと第2の端面72とが同一平面を形成しても良い。
【0071】
筐体11は、支持台80をさらに有する。支持台80は、底壁21から+Z方向に突出するとともに、周壁22に接続される。支持台80は、第1の支持面81を有する。第1の支持面81は、略平坦に形成され、+Z方向に向く。第1の支持面81は、第1の端面71に接触し、スリーブ52を支持する。
【0072】
第1の支持面81に、ネジ穴82と、図3に示す保持穴83とが設けられる。言い換えると、ネジ穴82及び保持穴83は、支持台80に設けられ、第1の支持面81で開口する。ネジ穴82は、保持穴83よりも磁気ディスク12に近い。
【0073】
ネジ穴82及び保持穴83は、円形の断面を有する穴であり、第1の支持面81から略-Z方向に窪む。すなわち、ネジ穴82と保持穴83とは、略平行に延びている。ネジ穴82及び保持穴83は、有底の穴であり、筐体11を貫通しない。図4に示すように、ネジ穴82の内周面に、雌ネジ84が設けられる。
【0074】
ネジ穴82は、貫通孔70に連通する。ネジ穴82の中心軸と貫通孔70の中心軸とは、一致しても良いし、互いに離間していても良い。図3に示すように、保持穴83に、ピン64が収容される。なお、ピン64及び保持穴83は、省略されても良い。
【0075】
図4に示すように、支持台80は、突起85をさらに有する。突起85は、第1の支持面81から突出している。突起85は、ネジ穴82を囲む円環状に形成される。突起85の内面は、ネジ穴82の一部を形成しても良い。
【0076】
突起85は、貫通孔70の収容部70aに収容される。突起85と第1の内周面73aとの間には、隙間が設けられる。さらに、突起85と底面73cとの間にも、隙間が設けられる。なお、突起85が第1の内周面73a及び底面73cに少なくとも部分的に接触しても良い。また、収容部70a及び突起85は、省略されても良い。
【0077】
図3に示すように、筐体11の周壁22は、内側面86と支持突起87とを有する。内側面86は、Z方向と略直交し又は傾斜する方向に向く。内側面86は、内室25の内側に向き、例えばランプ機構16の取付片63に向く。
【0078】
支持台80が周壁22に接続されるため、内側面86は、第1の支持面81の縁に接続される。取付片63を含むランプ機構16は、周壁22の内側面86から離間している。さらに、ランプ機構16の基壁61及び保持突起62は、支持台80から離間している。
【0079】
支持突起87は、内側面86から取付片63に向かって突出している。支持突起87は、ネジ穴82よりも磁気ディスク12に近い。なお、支持突起87は、他の位置に設けられても良い。支持突起87は、第2の支持面88を有する。第2の支持面88は、Z方向と略直交し又は傾斜する方向に向く。第2の支持面88は、取付片63に接触する。
【0080】
図4に示すように、HDD10は、ネジ90をさらに有する。ネジ90は、例えば、ステンレス鋼のような金属で作られる。ネジ90は、ランプ機構16のスリーブ52を、筐体11の支持台80に取り付ける。ネジ90は、ネジ頭91と、ネジ軸92とを有する。
【0081】
ネジ頭91は、略Z方向に延びる略円柱状に形成される。ネジ頭91は、上面95と下面96とを有する。上面95は、略平坦に形成され、+Z方向に向く。上面95に、ネジ回しの突起が挿入される穴97が設けられる。下面96は、上面95の反対側に位置する。下面96は、略平坦に形成され、-Z方向に向く。
【0082】
ネジ軸92は、ネジ頭91の下面96の略中央から略-Z方向に延びている。言い換えると、ネジ頭91は、+Z方向におけるネジ軸92の端部に設けられる。ネジ軸92は、略円柱状に形成される。ネジ軸92の外周面に、雄ネジ98が設けられる。雄ネジ98の外径は、挿通部70bの直径よりも短い。ネジ軸92は、貫通孔70を通って、支持台80のネジ穴82に嵌め込まれる。これにより、ネジ軸92の雄ネジ98と、ネジ穴82の雌ネジ84とが互いに嵌合する。
【0083】
ネジ頭91の下面96は、第2の端面72に接触する。これにより、ネジ90は、第1の支持面81と下面96との間にスリーブ52を保持し、スリーブ52を支持台80にネジ留めする。
【0084】
ランプボディ51は、第1の支持面81及びネジ頭91から離間している。なお、ランプボディ51は、第1の支持面81及びネジ頭91に、例えば、部分的又は一時的に接触しても良い。
【0085】
例えば第1の端面71が第2の端面72よりも大きいため、スリーブ52と筐体11とが互いに接触する面積は、スリーブ52とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも大きい。なお、第1の端面71が第2の端面72より小さくても良い。この場合、例えば、第1の内周面73a及び底面73cが突起85に接触することで、スリーブ52と筐体11とが互いに接触する面積が、スリーブ52とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも大きくなる。
【0086】
第1の端面71と第1の支持面81との間の静止摩擦係数は、第2の端面72とネジ頭91との間の静止摩擦係数よりも大きい。すなわち、スリーブ52と筐体11との間の静止摩擦係数は、スリーブ52とネジ頭91との間の静止摩擦係数よりも大きい。
【0087】
ネジ軸92は、図3に示すネジ軸92まわりのネジ締め方向Dsに回転することで、ネジ穴82に捻じ込まれる。ネジ締め方向Dsは、図3のように-Z方向に第1の支持面81を見た場合における時計回り方向である。
【0088】
第2の支持面88は、ランプボディ51の取付片63に接触することで、ネジ締め方向Dsのランプ機構16の回転を制限する。さらに、第2の支持面88は、図3におけるピン64を中心とした時計回りにランプ機構16が回転することを制限する。
【0089】
以上のランプ機構16が筐体11に取り付けられるとき、ピン64が保持穴83に挿入されるとともに、突起85が収容部70aに挿入される。次に、第2の支持面88に取付片63が接触するように、ランプ機構16がネジ穴82まわり又は保持穴83まわりに回転させられる。
【0090】
取付片63が第2の支持面88に接触した状態で、ネジ90のネジ軸92が貫通孔70に挿入され、ネジ穴82に嵌め込まれる。ネジ90は、下面96が第2の端面72に接触するまでネジ締め方向Dsに回転させられる。
【0091】
ネジ90がネジ締め方向Dsに回転させられることで、ネジ軸92は、ネジ締め方向Dsに捩じれるように弾性変形する。例えばネジ回しが穴97から取り外され、ネジ90に作用する力が解放されると、弾性変形からの復元によりネジ軸92及びネジ頭91が、ネジ締め方向Dsの反対方向Drに回転する。
【0092】
下面96が第2の端面72に接触しているため、ネジ頭91は、ランプ機構16のスリーブ52に反対方向Drのトルクをかける。しかし、第1の端面71と第1の支持面81との間の静止摩擦力は、第2の端面72とネジ頭91との間の静止摩擦力を上回る。このため、ランプ機構16は、反対方向Drには回転せず、取付片63が第2の支持面88に接触した位置に保たれる。
【0093】
例えば、ネジ頭91が第2の端面72の上を滑って反対方向Drに回転し、ネジ軸92の弾性変形が解消する。なお、第2の端面72とネジ頭91との間の静止摩擦力が、ネジ頭91を回転させずに、ネジ軸92を捻じれた状態に保っても良い。
【0094】
以上より、ランプ機構16は、筐体11に取り付けられ、取付片63が第2の支持面88に接触する位置に正確に位置決めされる。このため、ランプ機構16とHSA14との間の距離が正確に設定され、アンロード位置Puも正確に設定される。なお、筐体11へのランプ機構16の取付方法は、この例に限られない。
【0095】
以上説明された第1の実施形態に係るHDD10において、ネジ90は、ネジ頭91と筐体11の第1の支持面81との間にスリーブ52を保持し、ランプ機構16を筐体11にネジ留めする。ネジ90によりランプ機構16がネジ留めされるとき、ネジ軸92が捻じれるように弾性変形する。ネジ90に作用する力が解放されると、弾性変形からの復元によりネジ軸92及びネジ頭91が回転する。このとき、ネジ頭91は、当該ネジ頭91に接触するスリーブ52にトルクをかける。しかし、本実施形態では、スリーブ52と筐体11とが互いに接触する面積は、スリーブ52とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも大きい。このため、筐体11とスリーブ52との間の摩擦力は、ネジ頭91がスリーブ52にかけるトルクを上回り、ランプ機構16を回転させずに保持する。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。
【0096】
また、本実施形態では、スリーブ52と筐体11との間の静止摩擦係数は、スリーブ52とネジ頭91との間の静止摩擦係数よりも大きい。このため、スリーブ52と筐体11とが互いに接触する面積がスリーブ52とネジ頭91とが互いに接触する面積以下であったとしても、筐体11とスリーブ52との間の摩擦力は、ネジ頭91がスリーブ52にかけるトルクを上回る。従って、HDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。
【0097】
ランプ機構16が所望の位置に保たれることで、アンロード位置Puの位置が正確に設定される。このため、磁気ヘッド42が記録面12aから離間する位置が正確に設定される。これにより、HDD10は、記憶容量が減少してしまうことを抑制できる。
【0098】
さらに、基壁61の側面61aとサスペンション41との間の距離が正確に設定される。これにより、HDD10は、サスペンション41が側面61aに干渉してしまうことを抑制でき、ひいてはサスペンション41に衝突したランプボディ51の破片が筐体11の内部を汚損してしまうことを抑制できる。
【0099】
また、第2の端面72とネジ頭91との間の摩擦力の相対的減少により、ランプ機構16が正確に位置決めされる。このため、HDD10は、ランプ機構16とネジ頭91との間にワッシャを設けることが不要となり、コストの増大を抑制できる。
【0100】
ネジ軸92は、当該ネジ軸92まわりのネジ締め方向Dsに回転することでネジ穴82に捻じ込まれる。筐体11は、ランプボディ51に接触することでネジ締め方向Dsのランプ機構16の回転を制限する第2の支持面88を有する。すなわち、ランプ機構16は、第2の支持面88に接触することで、ネジ軸92まわりにおいて位置決めされる。ネジ90に作用するネジ締め方向Dsの力が開放されると、ネジ頭91は、スリーブ52にネジ締め方向Dsの反対方向Drのトルクをかける。しかし、筐体11とスリーブ52との間の摩擦力は、ネジ頭91がスリーブ52にかけるトルクを上回る。このため、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16が第2の支持面88からネジ締め方向Dsの反対方向Drに離間してしまうことを抑制できる。
【0101】
スリーブ52は、第1の端面71及び第2の端面72が露出するようにランプボディ51に埋められる。第1の支持面81が第1の端面71に接触し、ネジ頭91が第2の端面72に接触する。ネジ90に保持されるスリーブ52は、ランプボディ51よりもヤング率が高い。これにより、本実施形態のHDD10は、ランプ機構16がネジ90により変形することを抑制でき、ひいてはランプ機構16を所望の位置に保つことができる。
【0102】
第1の端面71は、第2の端面72よりも大きい。これにより、第1の端面71と第1の支持面81とが互いに接触する面積は、第2の端面72とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも、より確実に大きくなる。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。
【0103】
スリーブ52は、貫通孔70を形成する内面73と、当該内面73の反対側に位置する外面74と、当該外面74から突出するとともに第1の端面71の少なくとも一部を含むフランジ75と、を有する。これにより、第1の端面71と第1の支持面81とが互いに接触する面積は、第2の端面72とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも、より確実に大きくなる。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。また、フランジ75は、例えば切削又はプレス加工により容易に形成され得る。これにより、スリーブ52が容易に形成され得る。
【0104】
筐体11は、ネジ穴82を囲むように第1の支持面81から突出する突起85をさらに有する。突起85は、貫通孔70に収容される。これにより、突起85は、ランプ機構16を位置決めすることができる。さらに、突起85がスリーブ52の内面73に接触することで、スリーブ52と筐体11とが互いに接触する面積が増大する。
【0105】
第1の端面71の材料は、第2の端面72の材料と異なる。第1の端面71と第1の支持面81との間の静止摩擦係数は、第2の端面72とネジ頭91との間の静止摩擦係数よりも大きい。すなわち、第1の端面71は、静止摩擦係数を増大させる材料で作られる。これにより、ネジ軸92が弾性変形から復元するとき、筐体11とスリーブ52との間の摩擦力は、ネジ頭91がスリーブ52にかけるトルクを上回り、ランプ機構16を回転させずに保持する。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。
【0106】
第1の端面71の表面粗さは、第2の端面72の表面粗さよりも大きい。これにより、ネジ軸92が弾性変形から復元するとき、筐体11とスリーブ52との間の摩擦力は、ネジ頭91がスリーブ52にかけるトルクを上回り、ランプ機構16を回転させずに保持する。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。
【0107】
第2の端面72に、貫通孔70を囲む円環状の溝76が設けられる。溝76は、第2の端面72とネジ頭91との間の接触面積を低減する。さらに、溝76は、ネジ頭91が第2の端面72に対してネジ軸92まわりに回転しやすくなる方向に延びている。これにより、ネジ軸92が弾性変形から復元するとき、第1の端面71と第1の支持面81との間の摩擦力は、ネジ頭91が第2の支持面88にかけるトルクを上回り、ランプ機構16を回転させずに保持する。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。
【0108】
内面73は、第2の端面72に接続されるとともに第1の端面71に向かって先細る内テーパ面73dを有する。これにより、第2の端面72が小さくなり、第1の端面71と第1の支持面81とが互いに接触する面積は、第2の端面72とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも、より確実に大きくなる。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。さらに、内テーパ面73dは、貫通孔70に挿入されるネジ軸92をガイドすることができる。
【0109】
外面74は、第2の端面72に接続されるとともに当該第2の端面72に向かって先細る外テーパ面74bを有する。これにより、第2の端面72が小さくなり、第1の端面71と第1の支持面81とが互いに接触する面積は、第2の端面72とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも、より確実に大きくなる。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。
【0110】
ランプボディ51は、第1の支持面81及びネジ頭91から離間している。これにより、スリーブ52が安定して第1の支持面81及びネジ頭91に接触する。従って、第1の端面71と第1の支持面81とが互いに接触する面積は、第2の端面72とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも、より確実に大きくなる。
【0111】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0112】
図5は、第2の実施形態に係るHDD10の一部を示す例示的な断面図である。図5に示すように、第2の実施形態のランプ機構16は、スリーブ52の代わりにスリーブ200を有する。スリーブ200は、以下に説明する点を除き、スリーブ52に実質的に等しい。
【0113】
スリーブ200は、外面74及びフランジ75の代わりに、外面201を有する。外面201は、内面73の反対側に位置する。外面201は、第1の端面71及び第2の端面72に接続される。
【0114】
外面201は、第1の端面71から第2の端面72に向かって先細る。言い換えると、第1の端面71に接続される-Z方向における外面201の端の直径は、第2の端面72に接続される+Z方向における外面201の端の直径よりも大きい。
【0115】
以上説明された第2の実施形態のHDD10において、スリーブ200は、貫通孔70を形成する内面73と、当該内面73の反対側に位置する外面201と、を有する。外面201は、第1の端面71から第2の端面72に向かって先細る。これにより、第1の端面71と第1の支持面81とが互いに接触する面積は、第2の端面72とネジ頭91とが互いに接触する面積よりも、より確実に大きくなる。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。また、スリーブ200は、厚さを徐々に変化させるため、荷重により変形することを抑制できる。
【0116】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、第3の実施形態に係るHDD10の一部を示す例示的な断面図である。図6に示すように、第3の実施形態のランプ機構16は、スリーブ52の代わりにスリーブ300を有する。スリーブ300は、以下に説明する点を除き、スリーブ52に実質的に等しい。
【0117】
スリーブ300は、第1の端面71の代わりに、第1の端面301を有する。第1の端面301は、-Z方向におけるスリーブ300の端面である。第1の端面301は、+Z方向に先細る円錐状に形成される。言い換えると、第1の端面301は、第2の端面72に向かって窪む円錐状の凹面である。
【0118】
スリーブ300に、貫通孔70の代わりに、貫通孔305が設けられる。内面73は、貫通孔305を形成する。貫通孔305は、円形の断面を有し、Z方向に延びている。貫通孔305の直径は、略一定である。なお、第3の実施形態のスリーブ300は、収容部70a及び挿通部70bを有しても良い。貫通孔305の一方の端部は第1の端面301に開口し、貫通孔305の他方の端部は第2の端面72に開口する。
【0119】
第3の実施形態の筐体11は、支持台80の代わりに、支持台310を有する。支持台310は、以下に説明する点を除き、支持台80に実質的に等しい。支持台310は、第1の支持面311を有する。一方で、支持台310は、突起85を有さない。
【0120】
第1の支持面311は、+Z方向に先細る円錐状に形成される。すなわち、第1の端面301と第1の支持面311とは、同一方向に先細る。なお、第1の端面301及び第1の支持面311は、-Z方向に先細る円錐状に形成されても良い。
【0121】
鉛直方向に対する第1の端面301の角度は、鉛直方向に対する第1の支持面311の角度と略等しい。すなわち、第1の端面301と第1の支持面311とは、略平行である。
【0122】
第1の支持面311は、第1の端面301に接触し、スリーブ300を支持する。第1の支持面311に、ネジ穴82が設けられる。一方、保持穴83は、支持台310のうち略平坦で+Z方向に向く他の面に設けられる。なお、保持穴83は、この例に限られない。
【0123】
以上説明された第3の実施形態のHDD10において、第1の端面301及び第1の支持面311は、同一方向に先細る円錐状に形成される。これにより、第1の端面301及び第1の支持面311がネジ軸92と直交する平面である場合に比べ、第1の端面301と第1の支持面311とが互いに接触する面積が大きくされ得る。従って、本実施形態のHDD10は、ネジ留めされたランプ機構16を所望の位置に保つことができる。また、第1の端面301が第1の支持面311に押し付けられることで、第1の端面301の中心と第1の支持面311の中心とが一致させられる。従って、第1の端面301及び第1の支持面311は、ランプ機構16を位置決めすることができる。
【0124】
なお、第3の実施形態において、円錐状の第1の端面301と第1の支持面311とが互いに接触する。このように、第1の端面及び第1の支持面は、平面に限定されない。例えば、第1の端面及び第1の支持面のそれぞれに凹凸が設けられ、第1の端面の凹凸と第1の支持面の凹凸とが互いに嵌合しても良い。この場合、凹凸により、第1の端面と第1の支持面とが互いに接触する面積が増大する。
【0125】
以上の説明において、「抑制する」は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以上の説明において、「制限する」は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
10…ハードディスクドライブ(HDD)、11…筐体、12…磁気ディスク、12a…記録面、16…ランプ機構、41…サスペンション、42…磁気ヘッド、51…ランプボディ、52,200,300…スリーブ、70,305…貫通孔、71,301…第1の端面、72…第2の端面、73…内面、73d…内テーパ面、74,201…外面、74b…外テーパ面、75…フランジ、76…溝、81,311…第1の支持面、82…ネジ穴、85…突起、88…第2の支持面、90…ネジ、91…ネジ頭、92…ネジ軸、Pl…ロード位置、Pu…アンロード位置、Ds…ネジ締め方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6