(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137002
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】契約管理サーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/012 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/012
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048332
(22)【出願日】2023-03-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://licenseportal.jp/令和5年2月10日
(71)【出願人】
【識別番号】517192593
【氏名又は名称】椎木 武
(74)【代理人】
【識別番号】100110560
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 恵三
(74)【代理人】
【識別番号】100182604
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 二美
(72)【発明者】
【氏名】椎木 武
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB05
5L030BB67
5L049BB05
5L049BB67
(57)【要約】
【課題】 顧客が使用しているソフトウェアの管理を一元化して、利用しやすいものとすること
【解決手段】 契約管理システムのサーバ100は、ソフトウェア製品の契約書のデータを収集する情報収集部101と、契約書の内容から所定の項目を抽出する項目抽出部102と、抽出した項目について所定の管理を行う管理部103と、顧客の有するソフトウェア製品に係る契約書などを格納する格納部104と、顧客の端末50に所定の通知を行う通知部105とを有する。情報収集部101は、顧客が購入した製品の契約書を格納部104に格納し、管理部103により契約条件の管理を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェア製品の契約書のデータを収集する情報収集手段と、
前記契約書の内容から所定の項目を抽出する項目抽出手段と、
前記項目抽出手段において抽出した項目について予め設定した契約条項につき所定の管理を行う管理手段と、
顧客の有するソフトウェア製品に係る契約書を当該顧客単位で格納する格納手段と、
を有する契約管理サーバ。
【請求項2】
前記情報収集手段は、顧客の使用するソフトウェアの契約書を当該ソフトウェアのベンダーのサーバから前記顧客からの当該ソフトウェアの情報に基づいて収集することを特徴とする請求項1に記載の契約管理サーバ。
【請求項3】
前記情報収集手段は、顧客の有する契約書の画像データからリーダブルな状態のデータを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の契約管理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア(コンピュータプログラム、ドキュメント類を含む)に係る使用許諾契約書、ライセンス契約書、約款、保証書その他の契約書(以下、「契約書」という)を一括して管理する契約管理サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェアを購入した場合、契約書が必ず添付され、顧客はこの契約内容に基づいてソフトウェアを使用することになる。ソフトウェアは著作物であり、ベンダーから顧客に提供されるソフトウェアは、ベンダーが権利を有するもの、ベンダー以外の第三者が権利を有するもの、オープンソースのもの等、様々である。ソフトウェアのベンダーは主にソフトウェアを開発ないし販売する主体である。更に、ソフトウェアに係る著作権は、著作権とサブライセンス権等が複合しており権利内容の詳細の把握は顧客には困難である。
【0003】
また、コンピュータや携帯情報端末にインストールされるソフトウェアの数は大変多くなっており、その使用条件、契約期間その他の契約内容を顧客がすべて把握するのは困難である。また、契約書の提供形態も、クリックオン契約や紙ベースで提供される契約など様々であるからこれを一括で管理することも困難である。なお、契約管理に関する技術としては、特許文献1に記載されたようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、この契約管理を顧客がソフトウェア毎に個別に行っており、ソフトウェアのベンダーからの通知等により気が付くという状況、あるいは通知がなく契約が終了している状態になっていた。社内での仕事は、複数のソフトウェアを使用して成立していることが多く、そのソフトウェア群を構成するソフトウェアの使用可能状況を簡単に把握することができていなかった。
【0006】
例えば、3Dプリンティングを行う仕事の場合、3Dキャプチャーのソフトウェア、3Dモデリングのソフトウェア、3Dプリンティングのソフトウェアなどが必要であり、それぞれが別のベンダーから提供されたものであると注意が行き届かず、いずれかのソフトウェアの契約に支障が生じた場合にすべての作業が停止するおそれがある。
【0007】
上記課題は、ベンダーから提供される保証書についても当てはまる。すなわち、ソフトウェア製品のみならず、家電製品等を購入した際に添付されている保証書は紛失しがちである。また、製品により保証期間は異なり、個別の管理が難しい。
【0008】
本発明は、顧客が使用しているソフトウェアの契約管理や製品の保証内容の管理を一元化して、利用しやすいものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る契約管理サーバは、ソフトウェア製品の契約書のデータを収集する情報収集手段と、前記契約書の内容から所定の項目を抽出する項目抽出手段と、前記項目抽出手段において抽出した項目について予め設定した契約条項につき所定の管理を行う管理手段と、顧客の有するソフトウェア製品に係る契約書を当該顧客単位で格納する格納手段とを有するものである。
【0010】
また、前記情報収集手段は、顧客の使用するソフトウェアの契約書を当該ソフトウェアのベンダーのサーバから前記顧客からの当該ソフトウェアの情報に基づいて収集するものであってもよい。
【0011】
また、前記情報収集手段は、顧客の有する契約書の画像データからリーダブルな状態のデータを生成するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る契約管理システムを示すハードウェア構成図である。
【
図2】
図1に示した契約管理システムの機能ブロック図である。
【
図3】契約管理システムのサーバの動作を示すフローチャートである。
【
図4】契約条項の抽出手順を示すフローチャートである。
【
図5】ソフトウェアの保守管理プロセスを示すフローチャートである。
【
図6】ソフトウェアの台数管理に関する手順を示すフローチャートである。
【
図7】サーバから顧客の端末への通知の手順を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態2に係る契約管理システムのサーバを示す機能ブロック図である。
【
図9】本発明の実施の形態2に係る契約管理システムのサーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る契約管理システムを示すハードウェア構成図である。
図2は、
図1に示した契約管理システムの機能ブロック図である。この契約管理システムは、管理者のサーバ100と、サーバ100に接続したスキャナやカメラ等の入力部110と、ディスプレイ等の表示部111とを有する。契約管理システムではネットワークを介してベンダーなどの提供者のサーバ90および顧客の端末50に接続される。
【0014】
顧客の端末50には、スキャナやカメラ等の入力部51が備えられる。また、顧客の端末50は、スマートフォン、タブレットなどの携帯情報端末、顧客が自らのIDを持って動作させるコンピュータなどが含まれる。顧客とは、ソフトウェアを使用する自然人または法人である。提供者のサーバ90にもスキャナやカメラ等の入力部52が備えられる。
【0015】
提供者のサーバ90は、ソフトウェア及びハードウェアのベンダー、販売店、代理店、家電量販店、メーカーなどの管理するサーバ、この業務を代理するエージェントの管理するサーバが含まれる。なお、本実施の形態においてベンダーとは、ソフトウェア製品等を顧客に供給する者すべてを指すものとする。契約書の提供形態は、ソフトウェア製品のデータをダウンロードする際に表示されるもの、電子メール添付されて提供されるもの、ソフトウェアを記憶した記憶媒体とともに紙で提供されるもの、ソフトウェア製品をインストールする際に表示されるもの、などが含まれる。
【0016】
契約管理システムのサーバ100は、ソフトウェア製品の契約書のデータを収集する情報収集部101と、契約書の内容から所定の項目を抽出する項目抽出部102と、抽出した項目について所定の管理を行う管理部103と、顧客の有するソフトウェア製品に係る契約書などを格納する格納部104と、顧客の端末50に所定の通知を行う通知部105とを有する。なお、サーバ100の各構成要素は、その機能を顧客の端末50やその他のコンピュータ上で機能させる場合が含まれる。例えば、顧客の端末50に所定のアプリケーションをインストールして所定の機能をもたせる等である。
【0017】
図3は、契約管理システムのサーバの動作を示すフローチャートである。サーバ100の前記情報収集部101が契約書等の契約情報の取得を行う。情報収集部101は、管理者が自ら販売する自社販売に係るソフトウェアか否かを判別する(ステップS1)。自社販売のソフトウェアであれば、サーバ100の格納部104に記憶又は格納されている契約書から自動的に取得して(ステップS2)、当該顧客のフォルダに当該契約書のデータを格納する(ステップSE)。自社販売か否かの判断は、商品番号やライセンス番号などから自動的にサーバ100が判別する。
【0018】
自社販売に係るソフトウェアの契約書は、データとして読み取りできるリーダブルな文書データで且つ日本語で準備しておく。これにより、そのまま顧客のフォルダに格納できる。なお、日本語化ができていない状態で販売する場合、またはリーダブルな状態でない場合、OCR処理、機械翻訳処理が行われるようにする(ステップS3)。特に、販売の開始直後のように、契約書の日本語によるローカライズ処理ができていない場合は、暫定的にOCR処理および機械翻訳により対応が可能となる。なお、本実施の形態では日本語を例に挙げているが翻訳する言語は契約書原本とは異なる言語であればよく任意である。
【0019】
OCR処理及び機械翻訳の場合、管理保証の対象外となる旨の通知が顧客の端末50になされ、この合意をオンライン上で行うことを条件として本契約管理システムの利用が継続できる。
【0020】
OCR処理および機械翻訳は、それぞれ独立した処理手段で行い、両者の整合を図ることもできる。このようにすれば、重要項目についてご認識が判明しやすいものとなる。具体的には、異なるOCRのWebサービスやソフトウェアにより複数のOCR処理した契約書を生成し、共通するワードから所定の内容を抽出して比較する。たとえば、契約期間のワードから具体的な年数を抽出し、これらを比較する。比較した契約書で異なる年数が抽出された場合には、OCR処理に誤りがあることがわかる。日本語への機械翻訳についても同様の処理ができる。たとえば、それぞれの契約書で「前者」が「全社」になっている等の同音異義の翻訳になっているようなものを抽出するようにする。特に、契約項目として顧客の確認頻度やニーズが高い部分について比較対照する。
【0021】
次に、自社販売のソフトウェアではない場合、顧客から当該ソフトウェアの情報を取得する(ステップS4)。具体的には、顧客は自身の端末50から契約書のデータをサーバ100に送信する。契約書のPDFなどのデータをサーバ100が取得し、これを処理する。リーダブルな状態か否かを判断する(ステップSA)。リーダブルな状態でない場合は、OCR処理を行う(ステップSB)。次に、日本語か否かを判別し(ステップSC)、日本語でない場合には機械翻訳を行う(ステップSD)。リーダブルな日本語の契約書、OCR処理および機械翻訳が完了した契約書は、格納部104に格納される(ステップSE)。
【0022】
次に、契約書の情報がデータで存在しない場合、カメラ、スキャナ、スクリーンショットにより画像データとして取得し顧客の端末50からサーバ100に送信する(ステップS5)。サーバ100では、OCR処理、機械翻訳を行い、上記同様に格納部104に格納する(ステップSA~SE)。なお、顧客の端末50でOCR処理および機械翻訳が行われた場合、これらの処理は行われず格納部104の顧客のフォルダに格納される(ステップSE)。
【0023】
次に、契約書がデータでも紙の状態でも存在しない場合(ステップS6)、顧客は端末50からそのソフトウェアの製品名をサーバ100に送信する。あるいは、契約書の画像データを準備するのが面倒な場合、ソフトウェアの製品名をサーバ100に送信するようにしてもよい(この場合、ステップS5をスキップしてステップS6で契約書が存在しない旨を選択する)。サーバ100では、製品名から契約書のデータをソフトウェアベンダーのサーバ100で検索し、これをデータとして取得する(ステップS7)。このデータは、顧客の端末50に送信し当該顧客がすぐに確認できるようにしても良い。データとして取得した契約書がリーダブルであれば日本語化が必要か否かを判別して、必要により機械翻訳を行い、格納部104に格納する(ステップSA~SE)。
【0024】
ベンダーのサーバ100にアクセスするためにIDなどが必要となる場合等、ベンダーのサーバ100から契約書を入手できないとき、ソフトウェアの名称から他の顧客が同じソフトウェアを使用しているかを格納部104から検索し、該当するものがあれば当該契約書のみを抽出し、これを顧客のフォルダに登録するようにしてもよい。この場合、個人情報を削除するフィルタを使用して顧客氏名、住所等の特定できる情報を排除する。
【0025】
上記の処理フローにより顧客が利用するソフトウェアの契約書が格納部104に格納される。このソフトウェアには、端末50にインストールされているソフトウェアのほか、クラウド上に存在し、顧客がアクセス権のみを有する場合も含まれる。
【0026】
(著作物の除去)
ソフトウェアの契約書をデータとして取得する場合、ベンダーまたは第三者の著作物を複製するおそれが考えられる。著作物か否かは、創作性がある部分か否かで著作物判定部(図示省略)が判断する。契約条項には一般的に創作性がないと判断できるため、複製については問題がない。自社販売に係るソフトウェアの契約書に写真等の著作物が含まれている場合、これを予め除去した状態でサーバ100の格納部104に格納しておく。
【0027】
また、上記ステップにおいて顧客から送信されてくる画像データに著作物が含まれる場合、または、ベンダーから取得した契約書に著作物が含まれる場合、格納部104に格納する際に著作物の除去の処理を行う。
【0028】
具体的には、サーバ100は顧客からサーバ100に送信されてきたデータの中の写真の部分や契約書で一般的に使用される用語が含まれてないセンテンスや段落、ページなどを抽出して、これを著作物と判断し、除去を行う。例えば、「甲」「条」の文字が1ページ内に複数存在していない、縦書きである、などの場合、一般的文章であり著作物性の可能性があると判断して、当該部分を除去する。画像の判別は、一般的な画像処理技術を用いる。例えばグレースケールを検出する部分は取得データから外す又は塗りつぶしを行う。判断基準についてはこれに限定されず著作物判定部に適宜条件設定しておく。
【0029】
これにより、サーバ100の管理者や顧客が私的使用の複製を超えた複製等により第三者の著作権を侵害するのを防止できる。
【0030】
(契約条項の抽出)
図4は、契約条項の抽出手順を示すフローチャートである。サーバ100の項目抽出部102は、契約書から必要条項を抽出する(ステップS21)。具体的には、契約条件のうち、確認頻度が高いものなどを抽出項目として設定できる。例えば、契約期間、使用可能な端末台数、使用可能なユーザ数などを抽出項目として設定する。
【0031】
項目抽出部102は、言語を検索することで重要と推定される部分を抽出する。例えば契約期間であれば、「契約期間」「満了」「終了」などの契約期間(その項目)を表現する際に使用する頻度が高い文字を検索し、その前後にある、末尾に「年」、「月」などの文字(項目関連文字)が付加されている数字を抽出して、これを契約期間として認識してサーバ100の表示部111に表示する。すなわち、契約書には一定のパターンがあり、例えば、「期間」のような用語の前後には数字が存在することから、この数字を抽出する。また、「〇条」のようなものも近接して存在するため、「条」の前の数字は抽出しない、等の傾向も判断基準として使用できる。項目抽出部102では、このような契約書の記載パターンから契約内容を示す鍵となる文言を検索し、そこから具体的な項目を抽出する。
【0032】
なお、自動的に要件を生成することもできる。契約期間では、契約日をデータから抽出し、この契約日から前記取得した契約期間を加算し、契約の終了日を計算する。契約日から何年というくくりも一つのパターンであることから、契約日を検索して取得し、契約日からの契約期間を上記のごとく抽出し、契約日から契約満了日を計算してこれを顧客のフォルダに格納する。
【0033】
次に設定した項目を抽出できたか否かをチェックし、チェック内容を表示部111に表示する(ステップS22)。表示された画面内容をサーバ100の管理者が確認して漏れや誤りを確認する。漏れや誤りがある場合、元のデータを管理者が確認して修正を行う(ステップS23)。確認作業は自動化してもよい。漏れがある場合、空欄となることから管理者にアラートの表示を行う。誤りについては、条件設定しておき明らかな誤りを抽出できるようにする。例えば、契約期間について2桁の数字はアラートを表示する、等の一般的には不自然な内容になるものである。
【0034】
この抽出した項目は、格納部104の顧客のフォルダに格納される(ステップS24)。これとともに顧客の管理表を生成する(ステップS25)。
【0035】
(管理表の確認)
顧客は、サーバ100から付与されたIDとパスワードを入力し、顧客の専用ページにアクセスすることで前記管理表を確認できる。これにより顧客は、自身が使用しているソフトウェアの契約書の内容を全て確認可能となる。また、管理表には、所定のアラート機能が備えられており、重要な契約条項に関するものについて顧客に注意を促す。例えば、契約の更新が必要な期限などである。
【0036】
なお、契約に関するベンダーのWebページをあらかじめ収集しておき、各ベンダーの更新ページのリンクを生成して、管理表に格納しておいても良い。更に、ベンダーによるサポート期間が決められている場合、このサポート期間の期限についても顧客の使用するソフトウェアの管理表に格納してもよい。例えば、ブラウザのサポート期間や使用可能期限などを自動的に収集しておき、これを使用している顧客の管理表に情報を付加する。これにより、自身が使用しているソフトウェアが効率的に使用できる否かを確認できる。特に、すでに古い製品を使用し続けている顧客は便利である。
【0037】
図5は、ソフトウェアの保守管理プロセスを示すフローチャートである。ソフトウェアのアップデートが行われる場合、契約条件が変更されることがある。サーバ100の管理部103は、顧客が使用しているソフトウェアを提供するサーバ100を定期的に巡回し、アップデート情報を取得する(ステップS31)。アップデート情報の中に契約書の内容が含まれる場合、これをデータとして取得する。
【0038】
アップデートに係る契約書の内容と現在の契約書の内容とを比較する(ステップS32)。例えば、比較する項目は契約書の前記抽出項目とする。項目抽出部102は、この抽出項目について新たに取得した契約書のデータから抽出し、管理部103は、これを現在の契約書に係る抽出項目と比較する。そして、更新がされている情報があればこれを新たな契約条件として取得し顧客のフォルダに格納する(ステップS33)。
【0039】
アップデートに係る契約書は、上記
図3に示す手順で元の契約書と同様にデータとして取得する。そのうえで上記
図5に示す手順で現在の契約書との比較と更新を行えばよく、変更があった旨を顧客の端末50に通知部105により通知する。
【0040】
図6は、ソフトウェアの台数管理に関する手順を示すフローチャートである。サーバ100は、顧客の管理する端末50からインストールされているソフトウェアを抽出し、各端末50のIPアドレス等の情報から顧客ごとの端末50の台数を取得する(ステップS41)。これによりソフトウェア毎にその顧客が何台の端末50に当該ソフトウェアを使用しているか集計する(ステップS42)。集計した端末50の数と、契約上許諾されている使用台数とを比較して適合性を判定する(ステップS43)。ソフトウェアの契約書は顧客のフォルダに格納されていることから、この格納したデータの使用可能台数に基づいて判定を行う。
【0041】
判定結果は、顧客の端末50に送信される。台数が超過している場合は、顧客の端末50にその旨の通知を送信する(ステップS44)。また、台数に余裕がある場合、余裕がある台数ないし端末50の種類等について顧客に情報が送信される。また、これらの情報は管理表に反映される。このため、顧客は、新しい端末50を購入した際に、当該ソフトウェアを追加購入する必要があるのか或いは既存のソフトウェアで対応できるのかすぐにわかる。
【0042】
図7は、サーバから顧客の端末への通知の手順を示すフローチャートである。サーバ100の管理部103は、期限などの重要項目について常に監視を行なっている(ステップS51)。通知が必要な項目が発生した場合(ステップS52)、サーバ100に登録されている顧客の連絡先(メールアドレス、SNSのIDなど)にその旨の情報を通知部105により通知する(ステップS53)。これとともに、格納部104のユーザのフォルダに通知した旨の連絡を行う(ステップS54)。
【0043】
また、上記実施の形態では、契約書を例に挙げて説明しているが、保証書もベンダー等と顧客との間で保証内容を定めた契約書の一種であり、同様に本システム及びサーバでの管理対象となる。上記実施の形態の「契約書」を「保証書」に読み替えることで同様に管理可能となる。保証書については保証期間、保証内容、保証対象外の事項が重要となるため、管理表にはこれらの項目を抽出して表を生成する。
【0044】
保証書が添付されている製品の例は、コンピュータ等のコンピュータハードウェアおよび周辺機器、冷蔵庫やエアコン等の白物家電、自転車等の乗り物、スポーツ用品等である。これらを一括してハードウェア製品という。
【0045】
さらに、管理表の契約期限等の情報に基づいて、ベンダーから顧客に新製品等の案内を通知できる。通知部105は、管理表に抽出した契約期限や使用している製品から顧客の端末に対して新しい製品の案内を提案する。通知は電子メール等の顧客が登録しているアドレス等に対して行う。顧客が新しい製品を購入することになれば、上記
図3に示した手順に従って契約書の管理を行うものとする。
【0046】
前記新しい製品の案内には、単に、バージョンアップ製品だけでなく、類似した製品、プロモーションを行う製品、または所謂ベータ版などの案内も含まれる。また、案内には見積ボタンや注文ボタンが実装されているので、顧客はこの契約管理システムをECサイトのように使用する事ができ、同時に購入履歴を含む契約情報等も当システム内に保管される。
【0047】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る契約管理システムのサーバを示す機能ブロック図である。
図9は、本発明の実施の形態2に係る契約管理システムのサーバの動作を示すフローチャートである。このサーバ200は、上記実施の形態1に示したサーバと略同様の構成であるが、ベンダーが契約書の登録を行うことができる点が異なる。このサーバ200は、ベンダーの登録や操作を管理するベンダー管理部106を有する。
【0048】
まず、第一の方法として、ベンダーのサーバから管理者のサーバ200に対し、顧客が購入した製品の契約書をサーバに登録する権限の付与をリクエストする(ステップS61)。リクエストには、ベンダー自身、製品その他の必要情報をサーバ200のベンダー管理部106が要求した情報を含むものとする。例えば、会社名および製品名(製品の詳細情報等を含む)を少なくともリクエストの際にサーバ200に提供する。
【0049】
サーバ200は、前記リクエストに基づいて、ベンダーによる登録を許可する(ステップS62)。登録の許可の際には、ベンダーのサーバに対してアクセスする権限が付与され、具体的にはIDとパスワードが付与され、当該ベンダーのページがサーバ200内に生成される。
【0050】
ベンダーは、契約の管理が自動的に行える旨、顧客に対して広告を行う(ステップS63)。この広告方法については限定はなく、既存の方法でよい。次に、顧客がソフトウェア製品を購入した場合、このソフトウェア製品の契約書をベンダーのサーバから管理者のサーバ200に送信される(ステップS64)。
【0051】
サーバ200が契約書を受領した後の手順は上記実施の形態1と同様である(ステップSA~SE)。また、顧客が管理者のサーバ200にベンダーから送ってほしいとのリクエストをすることもできる(ステップS66)。この場合、サーバ200は、リクエストをベンダーに依頼する(ステップS67)。これに基づいて、ベンダーは契約の管理が自動的に行える旨、顧客に対して広告を行う(ステップS63)。
【0052】
このサーバ200によれば、ベンダーが自動的に契約管理をするように手配するため、顧客は何ら手間をかける必要がなく、自分の使用しているソフトウェア製品等の契約書を一覧で管理できる。ベンダーは製品を販売する際のセールストークとして活用できるうえ、顧客からのカスタマーサービス部門などへの問い合わせを減らすことができる。
【符号の説明】
【0053】
100 サーバ
90 提供者のサーバ
50 顧客の端末
101 情報収集部
102 項目抽出部
103 管理部
104 格納部
105 通知部