IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-信号伝送装置 図1
  • 特開-信号伝送装置 図2
  • 特開-信号伝送装置 図3
  • 特開-信号伝送装置 図4
  • 特開-信号伝送装置 図5
  • 特開-信号伝送装置 図6
  • 特開-信号伝送装置 図7
  • 特開-信号伝送装置 図8
  • 特開-信号伝送装置 図9
  • 特開-信号伝送装置 図10
  • 特開-信号伝送装置 図11
  • 特開-信号伝送装置 図12
  • 特開-信号伝送装置 図13
  • 特開-信号伝送装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137015
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】信号伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H04L25/02 303B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048353
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 雄二
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA13
5K029CC01
5K029DD04
5K029FF06
5K029JJ03
(57)【要約】
【課題】絶縁通信における絶縁素子の駆動頻度を低減する。
【解決手段】互いに絶縁された第1回路(10)及び第2回路(20)を備える信号伝送装置(1)であって、第1回路は、第1レベル及び第2レベルを交互に持つ第1矩形波信号(CLK1)を受け、第1矩形波信号のレベルにおける第1レベルから第2レベルへの遷移を契機に、エッジ信号(SEDGE)を絶縁素子(31)を用いて第2回路へ送信するエッジ信号送信回路(11)を備え、第2回路は、エッジ信号の受信結果に基づき、第1矩形波信号に同期した信号であって且つ第3レベル及び第4レベルを交互に持つ第2矩形波信号(CLK2)を生成する矩形波生成回路(21)を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに絶縁された第1回路及び第2回路を備えた信号伝送装置であって、
前記第1回路は、第1レベル及び第2レベルを交互に持つ第1矩形波信号を受け、前記第1矩形波信号のレベルにおける前記第1レベルから前記第2レベルへの遷移を契機に、エッジ信号を絶縁素子を用いて前記第2回路へ送信するよう構成されたエッジ信号送信回路を備え、
前記第2回路は、前記エッジ信号の受信結果に基づき、前記第1矩形波信号に同期した信号であって且つ第3レベル及び第4レベルを交互に持つ第2矩形波信号を生成するよう構成された矩形波生成回路を備える
、信号伝送装置。
【請求項2】
前記矩形波生成回路は、前記エッジ信号の受信に応答して前記第2矩形波信号のレベルを前記第3レベルから前記第4レベルに変化させ、その後、所定時間が経過すると前記第2矩形波信号のレベルを前記第4レベルから前記第3レベルに戻す
、請求項1に記載の信号伝送装置。
【請求項3】
前記矩形波生成回路は、前記エッジ信号の受信に応答して前記第2矩形波信号のレベルを前記第3レベルから前記第4レベルに変化させ、その後、所定時間が経過すると前記第2矩形波信号のレベルを前記第4レベルから前記第3レベルに戻し、
前記第1矩形波信号、前記第2矩形波信号は、夫々、第1クロック信号、第2クロック信号であり、
前記第2回路は、前記第2クロック信号に同期して動作するよう構成された同期回路を備え、
前記同期回路は、前記第2クロック信号のレベルの前記第3レベルから前記第4レベルへの変化に同期した動作を行う
、請求項1に記載の信号伝送装置。
【請求項4】
前記第1回路は、前記第1クロック信号に同期してデジタル信号を出力するよう構成されたデジタル信号出力回路と、前記デジタル信号を他の絶縁素子を用いて前記第2回路に送信するよう構成されたデジタル信号送信回路と、を備え、
前記第2回路は、前記デジタル信号送信回路からの前記デジタル信号を受信するよう構成されたデジタル信号受信回路を備え、
前記同期回路は、受信された前記デジタル信号と前記第2クロック信号とに基づき所定の信号処理を行う
、請求項3に記載の信号伝送装置。
【請求項5】
前記デジタル信号は時系列上に並ぶ複数ビット分のデータを表し、
前記デジタル信号出力回路は、前記デジタル信号により表されるデータが特定エッジを契機に更新されるよう前記デジタル信号を出力し、
前記特定エッジは前記第1クロック信号のレベルの前記第1レベルから前記第2レベルへの遷移である
、請求項4に記載の信号伝送装置。
【請求項6】
前記同期回路は、受信された前記デジタル信号のデータを、前記第2クロック信号に同期して読み取る
、請求項4又は5に記載の信号伝送装置。
【請求項7】
前記同期回路は、前記第2クロック信号に同期してデジタル信号を出力し、
前記第2回路は、前記デジタル信号を他の絶縁素子を用いて前記第1回路に送信するよう構成されたデジタル信号送信回路を備え、
前記第1回路は、前記デジタル信号送信回路からの前記デジタル信号を受信するよう構成されたデジタル信号受信回路と、受信された前記デジタル信号と前記第1クロック信号とに基づき所定の信号処理を行う信号処理回路と、を備える
、請求項3に記載の信号伝送装置。
【請求項8】
前記デジタル信号は時系列上に並ぶ複数ビット分のデータを表し、
前記同期回路は、前記デジタル信号により表されるデータが特定エッジを契機に更新されるよう前記デジタル信号を出力し、
前記特定エッジは前記第2クロック信号のレベルの前記第3レベルから前記第4レベルへの遷移である
、請求項7に記載の信号伝送装置。
【請求項9】
前記信号処理回路は、受信された前記デジタル信号のデータを、前記第1クロック信号に同期して読み取る
、請求項7又は8に記載の信号伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁素子を用いて第1回路及び第2回路間で絶縁通信を行う構成が実用化されている。第1回路及び第2回路間においてクロック信号等の矩形波信号の絶縁通信を行う際、矩形波信号のレベル変化のタイミング(ライズエッジ又はフォールエッジのタイミング)を送信側から受信側に伝送する。例えば絶縁素子としてパルストランスが用いられる場合、送信側でのデジタル信号にレベル変化が生じるたびにパルストランスを駆動する(パルストランスに電流を供給する)方法がある。絶縁素子としてコンデンサが用いられる場合も同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-205470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
絶縁素子の駆動には比較的大きな電力が必要であり、絶縁素子の駆動頻度の増大は装置の消費電力増大を招く。また絶縁素子が駆動される際にノイズが発生するため、絶縁素子の駆動頻度の増大は発生ノイズ量の増大に繋がる。
【0005】
本開示は、絶縁素子の駆動頻度の低減に寄与する信号伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る信号伝送装置は、互いに絶縁された第1回路及び第2回路を備えた信号伝送装置であって、前記第1回路は、第1レベル及び第2レベルを交互に持つ第1矩形波信号を受け、前記第1矩形波信号のレベルにおける前記第1レベルから前記第2レベルへの遷移を契機に、エッジ信号を絶縁素子を用いて前記第2回路へ送信するよう構成されたエッジ信号送信回路を備え、前記第2回路は、前記エッジ信号の受信結果に基づき、前記第1矩形波信号に同期した信号であって且つ第3レベル及び第4レベルを交互に持つ第2矩形波信号を生成するよう構成された矩形波生成回路を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、絶縁素子の駆動頻度の低減に寄与する信号伝送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、参考構成に係る信号伝送装置を示す図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る信号伝送装置の構成図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係り、エッジ信号の送受信に関わる構成図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係り、信号伝送装置における信号波形図である。
図5図5は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、信号伝送装置の構成図である。
図6図6は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、幾つかの信号波形と送信されるデータ列及び受信されるデータ列とを示す図である。
図7図7は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、信号伝送装置の構成図である。
図8図8は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、幾つかの信号波形と送信されるデータ列及び受信されるデータ列とを示す図である。
図9図9は、本開示の実施形態に属する第3実施例に係り、クロック復元回路の構成図である。
図10図10は、本開示の実施形態に属する第3実施例に係り、クロック信号の送受信に関わる波形図である。
図11図11は、本開示の実施形態に属する第4実施例に係り、クロック復元回路の構成図である。
図12図12は、本開示の実施形態に属する第5実施例に係り、信号伝送装置の構成図である。
図13図13は、本開示の実施形態に属する第6実施例に係り、信号伝送装置の構成図である。
図14図14は、本開示の実施形態に属する第7実施例に係り、半導体装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の符号“10”によって参照される送信側回路は(図2参照)、送信側回路10と表記されることもあるし、回路10と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。レベルとは電位のレベルを指す。任意の注目した信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをライズエッジと称し、ローレベルからハイレベルへの切り替わりのタイミングをライズエッジタイミングと称する。任意の注目した信号又は電圧において、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをフォールエッジと称し、ハイレベルからローレベルへの切り替わりのタイミングをフォールエッジタイミングと称する。
【0011】
回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0012】
図1に参考構成に係る信号伝送装置900を示す。信号伝送装置900は互いに絶縁された送信側回路910及び受信側回路920を備えると共に、絶縁素子としてパルストランス931及び932を備える。信号伝送装置900は回路910及び920間でクロック信号の絶縁通信を行う。送信側回路910はエッジ検出回路911とドライバ912R及び912Fを備える。受信側回路920はクロック復元回路921を備える。
【0013】
エッジ検出回路911はクロック信号clk1のライズエッジ及びフォールエッジを検出する。ドライバ912Rはクロック信号clk1のライズエッジの検出を契機にパルストランス931の送信側コイルを駆動する。ドライバ912Fはクロック信号clk1のフォールエッジの検出を契機にパルストランス932の送信側コイルを駆動する。クロック復元回路921は、パルストランス931及び932の各受信側コイルに生じた電圧に基づき、クロック信号clk1を復元した信号に相当するクロック信号clk2を生成する。
【0014】
パルストランス931又は932の駆動の度に比較的大きな電力を要する。パルストランスの駆動回数の増大に伴い必要な電力が増大する。またパルストランスの駆動時にはノイズが発生するので、パルストランスの駆動頻度の増大に伴い発生ノイズ量も増大する。絶縁素子がコンデンサにて構成される場合も同様である。
【0015】
任意のクロック信号に同期して動作する任意のデジタル回路において、クロック信号のライズエッジ及びフォールエッジの内、何れか一方のみが重要であることも多い。例えば、クロック信号のライズエッジを契機に出力データを切り替えるケースが、これに該当する。本実施形態では、互いに絶縁された2つの回路間において、クロック信号のライズエッジ及びフォールエッジの内、何れか一方のみを絶縁通信にて転送する方法を信号伝送装置に適用する。
【0016】
図2に本実施形態に係る信号伝送装置1の概略構成を示す。信号伝送装置1は半導体集積回路を有する半導体装置であって良い。信号伝送装置1は、送信側回路10、受信側回路20及び絶縁素子31を備える。送信側回路10及び受信側回路20は電気的に互いに絶縁される。本明細書において、絶縁とは直流の信号及び電力の伝達が遮断されていることを意味する。
【0017】
送信側回路10はクロックジェネレータCGとエッジ信号送信回路11を備える。尚、クロックジェネレータCGは送信側回路10の構成要素に含まれないと解しても良い。この場合、クロックジェネレータCGは送信側回路10の外部に設けられた回路であって且つ送信側回路10に接続された回路であると解される。
【0018】
受信側回路20は、矩形波生成回路の例であるクロック復元回路21と、同期回路22と、を備える。尚、同期回路22は受信側回路20の構成要素に含まれないと解しても良い。この場合、同期回路22は、受信側回路20の外部に設けられた回路であって且つ受信側回路20に接続された回路であると解される。
【0019】
送信側回路10におけるグランドは“GND1”にて参照され、受信側回路20におけるグランドは“GND2”にて参照される。送信側回路10における任意の電圧又は信号は、グランドGND1を基準とする電圧又は信号であって、グランドGND1から見た電位を有する。受信側回路20における任意の電圧又は信号は、グランドGND2を基準とする電圧又は信号であって、グランドGND2から見た電位を有する。回路10及び20の夫々において、グランドは0V(ゼロボルト)の基準電位を有する基準導電部を指す又は基準電位そのものを指す。但し、グランドGND1とグランドGND2は互いに絶縁されているため、互いに異なる電位を有し得る。基準導電部は金属等の導体にて形成される。
【0020】
送信側回路10内の各回路は電源電圧VDD1に基づいて駆動する。電源電圧VDD1はグランドGND1よりも高い電位を有する正の直流電圧である。受信側回路20内の各回路は電源電圧VDD2に基づいて駆動する。電源電圧VDD2はグランドGND2よりも高い電位を有する正の直流電圧である。
【0021】
クロックジェネレータCGは、所定の周波数fREFを有するクロック信号CLK1を生成及び出力する。クロック信号CLK1及び後述のクロック信号CLK2は、何れも、ハイレベル及びローレベルの信号レベルを交互に持つ矩形波信号である。任意の信号においてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。クロック信号CLK1におけるローレベルはグランドGND1の電位を有し、クロック信号CLK1におけるハイレベルは電源電圧VDD1の電位を有する(但しグランドGND1より高いが電源電圧VDD1より低い電位を有していても良い)。クロック信号CLK2におけるローレベルはグランドGND2の電位を有し、クロック信号CLK2におけるハイレベルは電源電圧VDD2の電位を有する(但しグランドGND2より高いが電源電圧VDD2より低い電位を有していても良い)。
【0022】
エッジ信号送信回路11はクロックジェネレータCGに接続され、クロックジェネレータCGからクロック信号CLK1を受ける。エッジ信号送信回路11は、クロック信号CLK1に対象エッジが発生したかを検出し、クロック信号CLK1の対象エッジが検出されたことを契機に、絶縁素子31を用いて、エッジ信号SEDGEを受信側回路20に送信する。クロック信号CLK1の対象エッジはクロック信号CLK1のフォールエッジであっても良いが、ここでは、クロック信号CLK1のライズエッジであるとする。そうすると、エッジ信号SEDGEはクロック信号CLK1におけるローレベルからハイレベルへの遷移タイミングを表す。
【0023】
クロック復元回路21(矩形波生成回路)は、絶縁素子31を通じてエッジ信号SEDGEを受信し、エッジ信号SEDGEの受信結果に基づきクロック信号CLK2を生成する。クロック信号CLK2はクロック信号CLK1に同期した信号であり、クロック信号CLK1を復元した信号に相当する。但し、クロック信号CLK2のライズエッジはクロック信号CLK1のライズエッジと同期するものの、クロック信号CLK2のフォールエッジはクロック信号CLK1のフォールエッジと同期しない。結果、クロック信号CLK1のデューティとクロック信号CLK2のデューティは互いに相違し得る。
【0024】
図3にエッジ信号送信回路11及び絶縁素子31の構成例を示す。また図4にクロック信号CLK1及びCLK2を含む複数の信号の波形を示す。図3の構成において、エッジ信号送信回路11はエッジ検出回路111及びドライバ112を備える。図3の構成において、絶縁素子31は、互いに磁気結合された送信側コイル31_1t及び受信側コイル31_1rを有するパルストランス31_1である。
【0025】
エッジ検出回路111に対してクロック信号CLK1が入力される。エッジ検出回路111は、クロック信号CLK1におけるライズエッジ及びフォールエッジの内、ライズエッジのみを検出し、ライズエッジの検出結果を示す信号SR1を生成する。信号SR1にはクロック信号CLK1のライズエッジタイミングを示す情報が含まれており、エッジ検出回路111は当該情報を示すライズ検出パルスPLSを信号SR1中に含める。即ち、エッジ検出回路111は、クロック信号CLK1におけるライズエッジが検出されたことを契機にライズ検出パルスPLSを信号SR1内に発生させる。より詳細には、エッジ検出回路111は信号SR1のレベルを原則としてローレベルに設定し、クロック信号CLK1のライズエッジの検出を契機に所定の微小時間だけ信号SR1のレベルをハイレベルに設定する。ハイレベルの信号SR1がライズ検出パルスPLSに相当する。
【0026】
ドライバ112に対しエッジ検出回路111からの信号SR1が入力される。ドライバ112は、信号SR1におけるライズ検出パルスPLSに応答してパルストランス31_1をパルス駆動する。ドライバ112は、エッジ検出回路111からライズ検出パルスPLSを受けるごとに、ライズ検出パルスPLSを受けたタイミングにてパルストランス31_1をパルス駆動する。送信側コイル31_1tの第1端及び第2端はドライバ112に接続される。送信側コイル31_1tの第2端はグランドGND1に接続される。パルストランス31_1のパルス駆動とは、送信側コイル31_1tの第1端から第2端に向けてパルス状の電流を供給することを指す。
【0027】
パルストランス31_1のパルス駆動により送信側コイル31_1tにパルス状の電流が供給されると、当該電流に応じた信号SR2が受信側コイル31_1rに誘起される。受信側コイル31_1rの第1端及び第2端はクロック復元回路21に接続される。受信側コイル31_1rの第2端はグランドGND2に接続される。信号SR2は受信側コイル31_1rの第1端及び第2端間に発生する信号である。信号SR2は受信側コイル31_1rの第1端及び第2端間に発生した電圧の大きさを持つ。信号SR2は受信側コイル31_1rの第2端の電位から見た受信側コイル31_1rの第1端の電位を持つ、と考えても良い。
【0028】
クロック復元回路21はクロック信号CLK2のレベルを原則としてローレベルに設定する。クロック復元回路21は信号SR2の大きさ(絶対値)を監視し、所定値以上の大きさを持つ信号SR2が検出されたとき、クロック信号CLK2のレベルをローレベルからハイレベルに切り替える。その後、所定のリセット時間ΔTが経過すると、クロック復元回路21はクロック信号CLK2のレベルをハイレベルからローレベルに戻す。尚、リセット時間ΔTがクロック信号CLK1の1周期の長さよりも短くなるよう、リセット時間ΔTは予め設定される。リセット時間ΔTに依存して、クロック信号CLK2のフォールエッジタイミングはクロック信号CLK1のフォールエッジタイミングと相違することもあるし、一致することもある。
【0029】
パルストランス31_1のパルス駆動によりエッジ信号SEDGEが受信側回路20に送信される。エッジ信号SEDGEの受信は、クロック復元回路21にて所定値以上の大きさを持つ信号SR2が検出されることに相当する。即ち、クロック復元回路21は、エッジ信号SEDGEの受信に応答してクロック信号CLK2のレベルをローレベルからハイレベルに変化させ、その後、所定のリセット時間ΔTが経過するとクロック信号CLK2のレベルをハイレベルからローレベルに戻す。
【0030】
このため、クロック信号CLK1にライズエッジが生じるたびにクロック信号CLK2にもライズエッジが生じる。クロック信号CLK1のライズエッジタイミングとクロック信号CLK2のライズエッジタイミングは実質的に同じとなる。詳細には、エッジ信号送信回路11及びクロック復元回路21の応答特性に応じた遅延時間だけ、クロック信号CLK2のライズエッジタイミングがクロック信号CLK1のライズエッジタイミングより遅れるが、ここでは当該遅延時間が微小であるとして無視する。尚、絶縁素子31がパルストランス31_1であって磁気絶縁方式にてエッジ信号SEDGEの送受信を行う方法を上述したが、絶縁素子31はコンデンサであっても良い。絶縁素子31がコンデンサである場合、容量絶縁方式にてエッジ信号SEDGEの送受信が行われる。
【0031】
同期回路22はクロック復元回路21に接続され、クロック復元回路21からクロック信号CLK2を受ける(図2参照)。同期回路22はクロック信号CLK2に同期して動作する。詳細には、同期回路22はクロック信号CLK2のライズエッジに同期した動作を行う回路である。故に、同期回路22の出力信号又は内部状態はクロック信号CLK2のライズエッジを契機に変化する。このような特性を持つ限り、同期回路22は任意である。
【0032】
例えば、同期回路22はデジタル信号を出力する回路であって良く、この場合、同期回路22から出力されるデジタル信号はクロック信号CLK2のライズエッジを契機に更新される。
【0033】
また例えば、同期回路22はポジティブエッジトリガ型且つ同期式のフリップフロップを有していて良く、フリップフロップのクロック信号としてクロック信号CLK2が利用されても良い。この場合、フリップフロップの保持値はクロック信号CLK2のライズエッジを契機に更新される。複数のフリップフロップを有して成る順序回路を同期回路22に設けておいて良い。
【0034】
或いは例えば、同期回路22は1以上のスイッチのオン又はオフ状態を制御する回路であって良く、この場合、同期回路22は1以上のスイッチのオン又はオフ状態をクロック信号CLK2のライズエッジを契機に更新する。ここにおける1以上のスイッチは同期回路22の内部に又は外部に設けられる。
【0035】
同期回路22の動作にとって必要なタイミング情報はクロック信号(CLK1、CLK2)のライズエッジのタイミング情報であり、フォールエッジのタイミング情報は同期回路22の動作にとって不要である。図2の信号伝送装置1では、必要なタイミング情報のみを絶縁形式で送受信することで、消費電力の低減及び発生ノイズ量の低減を図る。
【0036】
以下、複数の実施例の中で、信号伝送装置1に関する幾つかの具体的な構成例、動作例、応用技術又は変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される(但し、図1の信号伝送装置900に関わる事項を除く)。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0037】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。図5に第1実施例に係る信号伝送装置1Aの構成を示す。信号伝送装置1Aは図2の信号伝送装置1の例である。信号伝送装置1Aは送信側回路10A及び受信側回路20A並びに絶縁素子31及び32を備える。
【0038】
送信側回路10Aは図2の送信側回路10の例である。送信側回路10Aは、上述のクロックジェネレータCG及びエッジ信号送信回路11を備えると共にデジタル信号出力回路12及びデジタル信号送信回路13を備える。受信側回路20Aは図2の受信側回路20の例である。受信側回路20Aは、上述のクロック復元回路21を備えると共に信号処理回路22A及びデジタル信号受信回路23を備える。信号処理回路22Aは上述の同期回路22の例である。信号伝送装置1AにおけるクロックジェネレータCG、エッジ信号送信回路11、クロック復元回路21及び絶縁素子31の動作及び構成は、図2図4を参照して説明した通りである。デジタル信号出力回路12、デジタル信号送信回路13、デジタル信号受信回路23は、以下、夫々、出力回路12、送信回路13、受信回路23と略記され得る。
【0039】
出力回路12はクロックジェネレータCGに接続され、クロックジェネレータCGからクロック信号CLK1を受ける。出力回路12はクロック信号CLK1に同期してデジタル信号SDAを出力する。デジタル信号SDAはシリアルのデジタル信号である。図6にクロック信号CLK1及びデジタル信号SDAを含む複数の信号の関係を示す。クロック信号CLK1において隣接する2つのライズエッジタイミング間の期間を単位期間と称する。1つの単位期間の長さはクロック信号CLK1の1周期の長さに等しい。
【0040】
デジタル信号SDAは時系列上に並ぶ複数ビット分のデータを表す。デジタル信号SDAは1単位期間において1ビット分のデータを有する。第i番目の単位期間におけるデジタル信号SDAによって表されるデータを、記号“D[i]”にて参照する。第i番目の単位期間はクロック信号CLK1における第i番目のライズエッジタイミングから開始される。iは任意の整数を表す。データD[i]は“1”又は“0”の値を持つ1ビットデータである。出力回路12は、第i番目の単位期間におけるデジタル信号SDAのレベルによりデータD[i]を表現する。図6において、波形611はクロック信号CLK1の波形であり、波形613はデジタル信号SDAの波形である。図6には、デジタル信号SDAにて表現されるデータ列612も図示される。図6に示される波形621及び623並びにデータ列622については後述される。
【0041】
ここでは出力回路12は、データD[i]が“1”の値を持つとき、第i番目の単位期間においてデジタル信号SDAのレベルをハイレベルに設定し、データD[i]が“0”の値を持つとき、第i番目の単位期間においてデジタル信号SDAのレベルをローレベルに設定するものとする。但し、データD[i]の値とデジタル信号SDAのレベルとの関係を上述の関係の逆にすることもできる。図6の例では、データD[i]、D[i+1]、D[i+2]、D[i+3]、D[i+4]、D[i+5]の値は、夫々、1、0、1、1、0、1である。
【0042】
上述の説明から理解されるよう、出力回路12はデジタル信号SDAにより表されるデータが特定エッジを契機に更新されるようデジタル信号SDAを出力する。特定エッジは、ここではクロック信号CLK1のライズエッジである。従って出力回路12は、クロック信号CLK1における第i番目のライズエッジを契機にデジタル信号SDAのレベルをデータD[i-1]に対応するレベルからデータD[i]に対応するレベルに切り替える。例えば、データD[i-1]の値が“0”であって且つデータD[i]の値が“1”であれば、出力回路12は、クロック信号CLK1における第i番目のライズエッジを契機にデジタル信号SDAのレベルをローレベルからハイレベルに切り替える。或いは例えば、データD[i-1]の値が“1”であって且つデータD[i]の値が“0”であれば、出力回路12は、クロック信号CLK1における第i番目のライズエッジを契機にデジタル信号SDAのレベルをハイレベルからローレベルに切り替える。仮に、データD[i-1]及びD[i]の値が共に“0”であれば、クロック信号CLK1の第i番目のライズエッジの前後間においてデジタル信号SDAはローレベルに維持され、データD[i-1]及びD[i]の値が共に“1”であれば、クロック信号CLK1の第i番目のライズエッジの前後間においてデジタル信号SDAはハイレベルに維持される。
【0043】
送信回路13は出力回路12に接続され、出力回路12からデジタル信号SDAを受ける。送信回路13及び受信回路23により絶縁通信形式にてデジタル信号SDAが送信側回路10Aから受信側回路20Aに伝送される。送信回路13はデジタル信号SDAを絶縁素子32を用いて受信側回路20Aに送信する。受信回路23は送信回路13からデジタル信号SDAを受信する。
【0044】
絶縁素子32は、送信側回路10A及び受信側回路20A間の絶縁を確保したまま信号SDAを送信側回路10Aから受信側回路20Aに伝送するための素子である。絶縁素子32は送信側コイル及び受信側コイルを有するパルストランスであって良い。この場合、絶縁素子32における送信側コイルは送信回路13に接続され且つ絶縁素子32における受信側コイルは受信回路23に接続される。送信回路13はデジタル信号SDAに応じて絶縁素子32をパルス駆動することで絶縁素子32の受信側コイルにデジタル信号SDAに応じた電圧を誘起させる。受信回路23にて絶縁素子32の受信側コイルでの誘起電圧を読み取ることでデジタル信号SDAを受信する。絶縁素子32のパルス駆動とは、絶縁素子32の送信側コイルに対し所定の向きにパルス状の電流を供給することを指す。送信回路13はデジタル信号SDAにおけるライズエッジごとに且つフォールエッジごとに絶縁素子32をパルス駆動する。デジタル信号SDAのライズエッジを契機にパルス駆動されるパルストランスと、デジタル信号SDAのフォールエッジを契機にパルス駆動されるパルストランスと、を別々に絶縁素子32に設けておいても良い。絶縁素子32を1以上のコンデンサにて形成しても良い。
【0045】
以下、送信側回路10A内のデジタル信号SDAと、受信回路23にて受信されたデジタル信号SDAとを明確に区別すべく、前者を原デジタル信号SDAと称し、後者を受信デジタル信号RSDAと称する。即ち、受信回路23は原デジタル信号SDAの受信結果に基づき受信デジタル信号RSDAを出力する。原デジタル信号SDAのライズエッジタイミングにて受信デジタル信号RSDAにもライズエッジが生じるよう、且つ、原デジタル信号SDAのフォールエッジタイミングにて受信デジタル信号RSDAにもフォールエッジが生じるよう、送信回路13は原デジタル信号SDAを送信し且つ受信回路23は受信デジタル信号RSDAを生成するものとする。
【0046】
信号処理回路22Aはクロック復元回路21及び受信回路23に接続され、クロック復元回路21及び受信回路23からクロック信号CLK2及び受信デジタル信号RSDAを受ける。受信デジタル信号RSDAはクロック信号CLK2に同期した信号である。信号処理回路22Aはクロック信号CLK2を用いて受信デジタル信号RSDAが持つデータ(従って原デジタル信号SDAが持つデータ)を認識できる。即ち、信号処理回路22Aは受信デジタル信号RSDAが持つデータをクロック信号CLK2に同期して読み取ることができる。信号処理回路22Aは、クロック信号CLK2に基づき受信デジタル信号RSDAに対して所定の信号処理を行う。
【0047】
尚、原デジタル信号SDA及び受信デジタル信号RSDAはデジタルのデータを表す信号であるため、原デジタル信号SDA及び受信デジタル信号RSDAを原データ信号SDA及び受信データ信号RSDAに読み替えても良く、これに合わせてデジタル信号出力回路12、デジタル信号送信回路13及びデジタル信号受信回路23をデータ信号出力回路12、データ信号送信回路13及びデータ信号受信回路23に読み替えても良い。
【0048】
図6において、波形621はクロック信号CLK2の波形であり、波形623は受信デジタル信号RSDAの波形である。図6には、受信デジタル信号RSDAにて表現されるデータ列622も図示される。原デジタル信号SDAと同様、受信デジタル信号RSDAは時系列上に並ぶ複数ビット分のデータを表し、1単位期間において1ビット分のデータを有する。第i番目の単位期間における受信デジタル信号RSDAによって表されるデータを、記号“RD[i]”にて参照する。データRD[i]は“1”又は“0”の値を持つ1ビットデータである。受信回路23は、第i番目の単位期間における受信デジタル信号RSDAのレベルによりデータRD[i]を表現する。ここでは、原デジタル信号SDAの送受信における遅延は微小であるとして無視する。そうすると、受信デジタル信号RSDAの波形は原デジタル信号SDAの波形と同じであり、任意の整数iに関してデータRD[i]はデータD[i]と一致する。
【0049】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。図7に第2実施例に係る信号伝送装置1Bの構成を示す。信号伝送装置1Bは図2の信号伝送装置1の例である。信号伝送装置1Bは送信側回路10B及び受信側回路20B並びに絶縁素子31及び33を備える。
【0050】
送信側回路10Bは図2の送信側回路10の例である。送信側回路10Bは、上述のクロックジェネレータCG及びエッジ信号送信回路11を備えると共にデジタル信号受信回路14及び信号処理回路15を備える。受信側回路20Bは図2の受信側回路20の例である。受信側回路20Bは、上述のクロック復元回路21を備えると共にデジタル信号出力回路22B及びデジタル信号送信回路24を備える。デジタル信号出力回路22Bは上述の同期回路22の例である。信号伝送装置1BにおけるクロックジェネレータCG、エッジ信号送信回路11、クロック復元回路21及び絶縁素子31の動作及び構成は、図2図4を参照して説明した通りである。デジタル信号出力回路22B、デジタル信号送信回路24、デジタル信号受信回路14は、以下、夫々、出力回路22B、送信回路24、受信回路14と略記され得る。
【0051】
出力回路22Bはクロック復元回路21に接続され、クロック復元回路21からクロック信号CLK2を受ける。出力回路22Bはクロック信号CLK2に同期してデジタル信号SDBを出力する。デジタル信号SDBはシリアルのデジタル信号である。図8にクロック信号CLK2及びデジタル信号SDBを含む複数の信号の関係を示す。第2実施例では、クロック信号CLK2において隣接する2つのライズエッジタイミング間の期間が単位期間に相当する。1つの単位期間の長さはクロック信号CLK2の1周期の長さに等しい。但し、クロック信号CLK2のライズエッジタイミングとクロック信号CLK1のライズエッジタイミングとを実質的に同じとみなし、クロック信号CLK1において隣接する2つのライズエッジタイミング間の期間を単位期間と考えても良い。
【0052】
デジタル信号SDBは時系列上に並ぶ複数ビット分のデータを表す。デジタル信号SDBは1単位期間において1ビット分のデータを有する。第i番目の単位期間におけるデジタル信号SDBにより表されるデータが、第2実施例におけるデータD[i]である。第i番目の単位期間はクロック信号CLK2における第i番目のライズエッジタイミングから開始される。iは任意の整数を表す。データD[i]は“1”又は“0”の値を持つ1ビットデータである。出力回路22Bは、第i番目の単位期間におけるデジタル信号SDBのレベルによりデータD[i]を表現する。図8において、波形641はクロック信号CLK2の波形であり、波形643はデジタル信号SDBの波形である。図8には、デジタル信号SDBにて表現されるデータ列642も図示される。図8に示される波形651及び653並びにデータ列652については後述される。
【0053】
ここでは出力回路22Bは、データD[i]が“1”の値を持つとき、第i番目の単位期間においてデジタル信号SDBのレベルをハイレベルに設定し、データD[i]が“0”の値を持つとき、第i番目の単位期間においてデジタル信号SDBのレベルをローレベルに設定するものとする。但し、データD[i]の値とデジタル信号SDBのレベルとの関係を上述の関係の逆にすることもできる。図8の例では、データD[i]、D[i+1]、D[i+2]、D[i+3]、D[i+4]、D[i+5]の値は、夫々、1、0、1、1、0、1である。
【0054】
上述の説明から理解されるよう、出力回路22Bはデジタル信号SDBにより表されるデータが特定エッジを契機に更新されるようデジタル信号SDBを出力する。特定エッジは、ここではクロック信号CLK2のライズエッジである。従って出力回路22Bは、クロック信号CLK2における第i番目のライズエッジを契機にデジタル信号SDBのレベルをデータD[i-1]に対応するレベルからデータD[i]に対応するレベルに切り替える。例えば、データD[i-1]の値が“0”であって且つデータD[i]の値が“1”であれば、出力回路22Bは、クロック信号CLK2における第i番目のライズエッジを契機にデジタル信号SDBのレベルをローレベルからハイレベルに切り替える。或いは例えば、データD[i-1]の値が“1”であって且つデータD[i]の値が“0”であれば、出力回路22Bは、クロック信号CLK2における第i番目のライズエッジを契機にデジタル信号SDBのレベルをハイレベルからローレベルに切り替える。仮に、データD[i-1]及びD[i]の値が共に“0”であれば、クロック信号CLK2の第i番目のライズエッジの前後間においてデジタル信号SDBはローレベルに維持され、データD[i-1]及びD[i]の値が共に“1”であれば、クロック信号CLK2の第i番目のライズエッジの前後間においてデジタル信号SDBはハイレベルに維持される。
【0055】
送信回路24は出力回路22Bに接続され、出力回路22Bからデジタル信号SDBを受ける。送信回路24及び受信回路14により絶縁通信形式にてデジタル信号SDBが受信側回路20Bから送信側回路10Bに伝送される。送信回路24はデジタル信号SDBを絶縁素子33を用いて送信側回路10Bに送信する。受信回路14は送信回路24からデジタル信号SDBを受信する。
【0056】
絶縁素子33は、送信側回路10B及び受信側回路20B間の絶縁を確保したまま信号SDBを受信側回路20Bから送信側回路10Bに伝送するための素子である。絶縁素子33は送信側コイル及び受信側コイルを有するパルストランスであって良い。この場合、絶縁素子33における送信側コイルは送信回路24に接続され且つ絶縁素子33における受信側コイルは受信回路14に接続される。送信回路24はデジタル信号SDBに応じて絶縁素子33をパルス駆動することで絶縁素子33の受信側コイルにデジタル信号SDBに応じた電圧を誘起させる。受信回路14にて絶縁素子33の受信側コイルでの誘起電圧を読み取ることでデジタル信号SDBを受信する。絶縁素子33のパルス駆動とは、絶縁素子33の送信側コイルに対し所定の向きにパルス状の電流を供給することを指す。送信回路24はデジタル信号SDBにおけるライズエッジごとに且つフォールエッジごとに絶縁素子33をパルス駆動する。デジタル信号SDBのライズエッジを契機にパルス駆動されるパルストランスと、デジタル信号SDBのフォールエッジを契機にパルス駆動されるパルストランスと、を別々に絶縁素子33に設けておいても良い。絶縁素子33を1以上のコンデンサにて形成しても良い。
【0057】
以下、送信側回路10B内のデジタル信号SDBと、受信回路14にて受信されたデジタル信号SDBとを明確に区別すべく、前者を原デジタル信号SDBと称し、後者を受信デジタル信号RSDBと称する。即ち、受信回路14は原デジタル信号SDBの受信結果に基づき受信デジタル信号RSDBを出力する。原デジタル信号SDBのライズエッジタイミングにて受信デジタル信号RSDBにもライズエッジが生じるよう、且つ、原デジタル信号SDBのフォールエッジタイミングにて受信デジタル信号RSDBにもフォールエッジが生じるよう、送信回路24は原デジタル信号SDBを送信し且つ受信回路14は受信デジタル信号RSDBを生成するものとする。
【0058】
信号処理回路15はクロックジェネレータCG及び受信回路14に接続され、クロックジェネレータCG及び受信回路14からクロック信号CLK1及び受信デジタル信号RSDBを受ける。受信デジタル信号RSDBはクロック信号CLK2に同期するのでクロック信号CLK1にも同期する。信号処理回路15はクロック信号CLK1を用いて受信デジタル信号RSDBが持つデータ(従って原デジタル信号SDBが持つデータ)を認識できる。即ち、信号処理回路15は受信デジタル信号RSDBが持つデータをクロック信号CLK1に同期して読み取ることができる。信号処理回路15は、クロック信号CLK1に基づき受信デジタル信号RSDBに対して所定の信号処理を行う。
【0059】
尚、原デジタル信号SDB及び受信デジタル信号RSDBはデジタルのデータを表す信号であるため、原デジタル信号SDB及び受信デジタル信号RSDBを原データ信号SDB及び受信データ信号RSDBに読み替えても良く、これに合わせてデジタル信号出力回路22B、デジタル信号送信回路24及びデジタル信号受信回路14をデータ信号出力回路22B、データ信号送信回路24及びデータ信号受信回路14に読み替えても良い。
【0060】
図8において、波形651はクロック信号CLK1の波形であり、波形653は受信デジタル信号RSDBの波形である。図8には、受信デジタル信号RSDBにて表現されるデータ列652も図示される。原デジタル信号SDBと同様、受信デジタル信号RSDBは時系列上に並ぶ複数ビット分のデータを表し、1単位期間において1ビット分のデータを有する。第i番目の単位期間における受信デジタル信号RSDBにより表されるデータが、第2実施例におけるデータRD[i]である。受信回路14は、第i番目の単位期間における受信デジタル信号RSDBのレベルによりデータRD[i]を表現する。ここでは、原デジタル信号SDBの送受信における遅延は微小であるとして無視する。そうすると、受信デジタル信号RSDBの波形は原デジタル信号SDBの波形と同じであり、任意の整数iに関してデータRD[i]はデータD[i]と一致する。
【0061】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。図9にクロック復元回路21の例であるクロック復元回路20_1の構成を示す。図10にクロック復元回路20_1の動作に関与する複数の信号波形を示す。クロック復元回路20_1は、検出回路211、コンパレータ212、ラッチ回路213及びリセット回路214を備える。絶縁素子31(図2参照)は上述のパルストランス31_1により構成される。検出回路211は受信側コイル31_1rの第1端及び第2端に接続され、信号SR2の入力を受ける。
【0062】
検出回路211は信号SR2の大きさに比例した電圧値を持つ電圧Vを生成する。上述したように、信号SR2は受信側コイル31_1rの第1端及び第2端間に発生する信号であり、受信側コイル31_1rの第1端及び第2端間に生じる電圧の大きさを持つ。信号SR2の大きさ(絶対値)が増大するにつれて、電圧Vが高くなる。電圧Vは例えば信号SR2の絶対値の平滑化信号であって良い。
【0063】
コンパレータ212の非反転入力端子に対して電圧Vが入力される。第3実施例において、コンパレータ212の反転入力端子には所定の閾電圧VTHが入力される。閾電圧VTHはグランドGND2の電位よりも高い直流電圧である。原則として電圧Vは0Vであり、パルストランス31_1がパルス駆動されたときにのみ電圧Vが微小時間だけ閾電圧VTHを上回る。
【0064】
コンパレータ212は電圧V及び閾電圧VTHの比較結果に応じた信号CMPを出力する。コンパレータ212での比較においてヒステリシス特性が付与される。具体的には、信号CMPがローレベルを有する状態において、コンパレータ212は第1不等式“V>VTH”の成否を判断する。コンパレータ212は、信号CMPがローレベルを有する状態において、第1不等式が不成立ならば信号CMPをローレベルに維持し、第1不等式が成立すると信号CMPにライズエッジを発生させる。信号CMPがハイレベルを有する状態において、コンパレータ212は第2不等式“V<VTH-ΔVHYS”の成否を判断する。コンパレータ212は、信号CMPがハイレベルを有する状態において、第2不等式が不成立ならば信号CMPをハイレベルに維持し、第2不等式が成立すると信号CMPにフォールエッジを発生させる。電圧ΔVHYSは“VTH-ΔVHYS>0”且つ“ΔVHYS>0”を満たすよう設定されたヒステリシス幅である。変形として“ΔVHYS=0”であっても良い。尚、信号CMPの初期レベルはローレベルである。
【0065】
ラッチ回路213及びリセット回路214に対してコンパレータ212からの信号CMPが入力される。ラッチ回路213からクロック信号CLK2が出力される。ラッチ回路213は原則としてクロック信号CLK2のレベルをローレベルに設定し、信号CMPにライズエッジが生じるとクロック信号CLK2のレベルをハイレベルに切り替えてラッチする(即ちクロック信号CLK2のレベルをハイレベルに保持する)。但し、リセット回路214は、信号CMPのライズエッジタイミングから所定のリセット時間ΔTが経過した時点でハイレベルの信号RSTをラッチ回路213に出力するリセット処理を行う。ラッチ回路213はハイレベルのRST信号を受けると上記ラッチを解消してクロック信号CLK2のレベルをローレベルに戻す。リセット回路214は原則として信号RSTのレベルをローレベルに設定し、リセット処理の実行時のみ、信号RSTのレベルを微小時間だけハイレベルに設定する。リセット回路214は信号CMPにライズエッジが生じるたびにリセット処理を行う。
【0066】
上述の構成及び動作により、クロック信号CLK1にライズエッジが生じるたびにクロック信号CLK2にもライズエッジが生じ、クロック信号CLK2のライズエッジの発生後、リセット時間ΔTが経過するとクロック信号CLK2にフォールエッジが生じる。
【0067】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。図11にクロック復元回路21の他の例であるクロック復元回路20_2の構成を示す。図11のクロック復元回路20_2は、図9のクロック復元回路20_1に対して検出回路215を追加した構成を持つ。当該追加と後述する事項を除き、クロック復元回路20_2の構成及び動作はクロック復元回路20_1と同様である。また第4実施例では絶縁素子31(図2参照)にパルストランス31_1に加えてパルストランス31_2が設けられる。パルストランス31_2は送信側コイル31_2t及び受信側コイル31_2rを備える。送信側コイル31_2tの第1端及び第2端は共にグランドGND1に接続され、パルストランス31_2がパルス駆動されることは無い。絶縁素子31から送信側コイル31_2tが省略されていても良い。
【0068】
検出回路215は受信側コイル31_2rの第1端及び第2端に接続される。受信側コイル31_2rの第2端はグランドGND2に接続される。信号SR2’は受信側コイル31_2rの第1端及び第2端間に発生する信号であり、受信側コイル31_2rの第1端及び第2端間に生じる電圧の大きさを持つ。検出回路215は信号SR2’の大きさに比例した電圧値を持つ電圧Vを生成する。信号SR2’の大きさ(絶対値)が増大するにつれて、電圧Vが高くなる。電圧Vは例えば信号SR2’の絶対値の平滑化信号であって良い。ノイズの影響がなければ電圧Vは常に0Vである。
【0069】
クロック復元回路20_2においては、コンパレータ212の非反転入力端子、反転入力端子に対し、夫々、検出回路211からの電圧V、検出回路215からの電圧Vが入力される。
【0070】
コンパレータ212は電圧V及びVの比較結果に応じた信号CMPを出力する。コンパレータ212での比較においてオフセット及びヒステリシス特性が付与される。具体的には、信号CMPがローレベルを有する状態において、コンパレータ212は第3不等式“V>V+VTH”の成否を判断する。コンパレータ212は、信号CMPがローレベルを有する状態において、第3不等式が不成立ならば信号CMPをローレベルに維持し、第3不等式が成立すると信号CMPにライズエッジを発生させる。信号CMPがハイレベルを有する状態において、コンパレータ212は第4不等式“V<V+VTH-ΔVHYS”の成否を判断する。コンパレータ212は、信号CMPがハイレベルを有する状態において、第4不等式が不成立ならば信号CMPをハイレベルに維持し、第4不等式が成立すると信号CMPにフォールエッジを発生させる。閾電圧VTHはオフセット電圧に相当し、所定の正の直流電圧を有する。電圧ΔVHYSは“VTH-ΔVHYS>0”且つ“ΔVHYS>0”を満たすよう設定されたヒステリシス幅である。変形として“ΔVHYS=0”であっても良い。尚、信号CMPの初期レベルはローレベルである。
【0071】
ラッチ回路213及びリセット回路214に対してコンパレータ212からの信号CMPが入力される。信号CMPに応じたラッチ回路213及びリセット回路214の動作は第3実施例で示した通りである。故に、第3実施例と同様(図10参照)、クロック信号CLK1にライズエッジが生じるたびにクロック信号CLK2にもライズエッジが生じ、クロック信号CLK2のライズエッジの発生後、リセット時間ΔTが経過するとクロック信号CLK2にフォールエッジが生じる。
【0072】
第4実施例では、コンパレータ212を差動入力構成で動作させることにより、第3実施例よりもコモンモードノイズに対する影響を受けにくくなる。信号SR2及びSR2’に対して共通のノイズ(コモンモードノイズ)が重畳したとしても、信号CMPに影響は生じないからである。
【0073】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。図5の信号伝送装置1Aにおいて、例えばデジタル信号出力回路12は図12に示す如くAD変換回路12aであっても良い。AD変換回路12aは、サンプリングタイミングにおける入力アナログ信号SAAをAD変換(アナログ/デジタル変換)することでAD変換の結果を表すデジタル信号SDAを生成し、デジタル信号SDAをクロック信号CLK1に同期して送信回路13に出力する。ここで出力されるデジタル信号SDAの特性は上述した通りである。入力アナログ信号SAAは送信側回路10Aとは異なる任意の回路からAD変換回路12aに供給される。入力アナログ信号SAAは送信側回路10A内で生成される信号であっても良い。サンプリングタイミングは図示されない制御回路により指定される。
【0074】
AD変換回路12aにおけるAD変換の形式は任意である。AD変換回路12aはデルタシグマ型のAD変換回路であっても良く、この場合、復元デジタル信号RSDAに対しクロック信号CLK2に同期してデジタルのフィルタリング処理を行うデジタルフィルタを信号処理回路22Aに設けておくことができる。
【0075】
デジタル信号出力回路12がAD変換回路12aである場合、絶縁素子の駆動に伴うノイズはAD変換の精度に影響を与えうる。しかしながら、本実施形態の構成の採用により発生ノイズ量の低減(絶縁素子31の駆動に伴う発生ノイズ量の低減)が期待されるので、AD変換の精度向上が見込める。
【0076】
この他、デジタル信号出力回路12はクロック信号CLK1に同期してデジタル信号SDAを出力する回路であれば任意である。信号伝送装置1Aはクロック信号CLK1及びCLK2に同期して任意のデジタル信号SDAの送受信を行う絶縁通信装置(デジタルアイソレータ)であっても良い。
【0077】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。第5実施例に示した事項を図7の構成に適用しても良い。即ち図7の信号伝送装置1Bにおいて、例えばデジタル信号出力回路22Bは図13に示す如くAD変換回路22Baであっても良い。AD変換回路22Baは、サンプリングタイミングにおける入力アナログ信号SABをAD変換(アナログ/デジタル変換)することでAD変換の結果を表すデジタル信号SDBを生成し、デジタル信号SDBをクロック信号CLK2に同期して送信回路24に出力する。ここで出力されるデジタル信号SDBの特性は上述した通りである。入力アナログ信号SABは受信側回路20Bとは異なる任意の回路からAD変換回路22Baに供給される。入力アナログ信号SABは受信側回路20B内で生成される信号であっても良い。サンプリングタイミングは図示されない制御回路により指定される。
【0078】
AD変換回路22BaにおけるAD変換の形式は任意である。AD変換回路22Baはデルタシグマ型のAD変換回路であっても良く、この場合、復元デジタル信号RSDBに対しクロック信号CLK1に同期してデジタルのフィルタリング処理を行うデジタルフィルタを信号処理回路15に設けておくことができる。
【0079】
デジタル信号出力回路22BがAD変換回路22Baである場合、絶縁素子の駆動に伴うノイズはAD変換の精度に影響を与えうる。しかしながら、本実施形態の構成の採用により発生ノイズ量の低減(絶縁素子31の駆動に伴う発生ノイズ量の低減)が期待されるので、AD変換の精度向上が見込める。
【0080】
この他、デジタル信号出力回路22Bはクロック信号CLK2に同期してデジタル信号SDBを出力する回路であれば任意である。信号伝送装置1Bはクロック信号CLK1及びCLK2に同期して任意のデジタル信号SDBの送受信を行う絶縁通信装置(デジタルアイソレータ)であっても良い。
【0081】
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。第7実施例では、上述の各種技術に対する変形技術又は補足事項等を説明する。尚、第7実施例での以下の記述において、信号伝送装置1は信号伝送装置1A又は1Bでも良いし、送信側回路10は送信側回路10A又は10Bでも良いし、受信側回路20は受信側回路20A又は20Bでも良い。
【0082】
本開示に係る送信側回路10において(図2参照)、エッジ信号送信回路11は、第1レベル及び第2レベルを交互に持つ第1矩形波信号を受け、第1矩形波信号における第1レベルから第2レベルへの遷移を契機に、エッジ信号SEDGEを絶縁素子31を用いて受信側回路20に送信する。そして、受信側回路20におけるクロック復元回路21(矩形波生成回路)は、エッジ信号SEDGEの受信結果に基づき、第1矩形波信号に同期した信号であって且つ第3レベル及び第4レベルを交互に持つ第2矩形波信号を生成する。上述の各構成において、クロック信号CLK1及びCLK2が第1及び第2矩形波信号に対応し、且つ、第1及び第3レベルがローレベルに対応する一方で第2及び第4レベルがハイレベルに対応する。
【0083】
但し、任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。従って、第1レベルがハイレベルであって且つ第2レベルがローレベルとなるように上述の各構成が変形されても良い。これに加えて又はこれに代えて、第3レベルがハイレベルであって且つ第4レベルがローレベルとなるように上述の各構成が変形されても良い。
【0084】
図14に半導体装置100の外観斜視図を示す。信号伝送装置1は半導体装置100に組み込まれた装置であって良い。半導体装置100は、半導体基板上に形成された半導体集積回路を有する半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体から半導体装置100の外部に対して露出する複数の外部端子と、を備えた電子部品である。半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置100が形成される。尚、図14に示される半導体装置100の外部端子の数及び半導体装置100の筐体の種類は例示に過ぎず、それらを任意に設計可能である。
【0085】
半導体装置100に第1~第3半導体チップが設けられて良い。この場合、第1半導体チップ内の半導体集積回路に送信側回路10を含め、且つ、第2半導体チップ内の半導体集積回路に受信側回路20を含める。この際、信号伝送装置1に設けられる絶縁素子(31、32、33)は第3半導体チップに形成される(但し、第1及び第2半導体チップに分散して配置されて良い)。
【0086】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0087】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0088】
本開示の一側面に係る信号伝送装置は、互いに絶縁された第1回路(10)及び第2回路(20)を備えた信号伝送装置(1)であって、前記第1回路は、第1レベル及び第2レベルを交互に持つ第1矩形波信号(CLK1)を受け、前記第1矩形波信号のレベルにおける前記第1レベルから前記第2レベルへの遷移を契機に、エッジ信号(SEDGE)を絶縁素子(31)を用いて前記第2回路へ送信するよう構成されたエッジ信号送信回路(11)を備え、前記第2回路は、前記エッジ信号の受信結果に基づき、前記第1矩形波信号に同期した信号であって且つ第3レベル及び第4レベルを交互に持つ第2矩形波信号(CLK2)を生成するよう構成された矩形波生成回路(21)を備える構成(第1の構成)である。
【0089】
これにより、矩形波信号のライズエッジ及びフォールエッジを夫々に第1回路から第2回路へと伝送する方式と比べて、絶縁素子の駆動頻度を低減することができる。結果、必要な電力及び発生ノイズ量を低減することができる。
【0090】
上記第1の構成に係る信号伝送装置において、前記矩形波生成回路は、前記エッジ信号の受信に応答して前記第2矩形波信号のレベルを前記第3レベルから前記第4レベルに変化させ、その後、所定時間(ΔT)が経過すると前記第2矩形波信号のレベルを前記第4レベルから前記第3レベルに戻す構成(第2の構成)であっても良い。
要な電力及び発生ノイズ量を低減することができる。
【0091】
上記第1の構成に係る信号伝送装置において、前記矩形波生成回路は、前記エッジ信号の受信に応答して前記第2矩形波信号のレベルを前記第3レベルから前記第4レベルに変化させ、その後、所定時間(10)が経過すると前記第2矩形波信号のレベルを前記第4レベルから前記第3レベルに戻し、前記第1矩形波信号、前記第2矩形波信号は、夫々、第1クロック信号、第2クロック信号であり、前記第2回路は、前記第2クロック信号に同期して動作するよう構成された同期回路(22)を備え、前記同期回路は、前記第2クロック信号のレベルの前記第3レベルから前記第4レベルへの変化に同期した動作を行う構成(第3の構成)であっても良い。
【0092】
上記第3の構成に係る信号伝送装置において(図5参照)、前記第1回路は、前記第1クロック信号に同期してデジタル信号(SDA)を出力するよう構成されたデジタル信号出力回路(12)と、前記デジタル信号を他の絶縁素子(32)を用いて前記第2回路に送信するよう構成されたデジタル信号送信回路(13)と、を備え、前記第2回路は、前記デジタル信号送信回路からの前記デジタル信号を受信するよう構成されたデジタル信号受信回路(23)を備え、前記同期回路(22A)は、受信された前記デジタル信号と前記第2クロック信号とに基づき所定の信号処理を行う構成(第4の構成)であっても良い。
【0093】
上記第4の構成に係る信号伝送装置において、前記デジタル信号は時系列上に並ぶ複数ビット分のデータを表し、前記デジタル信号出力回路は、前記デジタル信号により表されるデータが特定エッジを契機に更新されるよう前記デジタル信号を出力し、前記特定エッジは前記第1クロック信号のレベルの前記第1レベルから前記第2レベルへの遷移である構成(第5の構成)であっても良い。
【0094】
上記第4又は第5の構成に係る信号伝送装置において、前記同期回路は、受信された前記デジタル信号のデータを、前記第2クロック信号に同期して読み取る構成(第6の構成)であっても良い。
【0095】
上記第3の構成に係る信号伝送装置において(図7参照)、前記同期回路(22B)は、前記第2クロック信号に同期してデジタル信号(SDB)を出力し、前記第2回路は、前記デジタル信号を他の絶縁素子(33)を用いて前記第1回路に送信するよう構成されたデジタル信号送信回路(24)を備え、前記第1回路は、前記デジタル信号送信回路からの前記デジタル信号を受信するよう構成されたデジタル信号受信回路(14)と、受信された前記デジタル信号と前記第1クロック信号とに基づき所定の信号処理を行う信号処理回路(15)と、を備える構成(第7の構成)であっても良い。
【0096】
上記第7の構成に係る信号伝送装置において、前記デジタル信号は時系列上に並ぶ複数ビット分のデータを表し、前記同期回路は、前記デジタル信号により表されるデータが特定エッジを契機に更新されるよう前記デジタル信号を出力し、前記特定エッジは前記第2クロック信号のレベルの前記第3レベルから前記第4レベルへの遷移である構成(第8の構成)であっても良い。
【0097】
上記第7又は第8の構成に係る信号伝送装置において、前記信号処理回路は、受信された前記デジタル信号のデータを、前記第1クロック信号に同期して読み取る構成(第9の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0098】
1、1A、1B 信号伝送装置
10、10A、10B 送信側回路(第1回路)
20、20A、20B 受信側回路(第2回路)
CG クロックジェネレータ
11 エッジ信号送信回路
12 デジタル信号出力回路
13 デジタル信号送信回路
14 デジタル信号受信回路
15 信号処理回路
21 クロック復元回路
22 同期回路
22A 信号処理回路
22B デジタル信号出力回路
23 デジタル信号受信回路
24 デジタル信号送信回路
31~33 絶縁素子
31_1、31_2 パルストランス
31_1t、31_2t 送信側コイル
31_2t、31_2t 受信側コイル
VDD1、VDD2 電源電圧
GND1、GND2 グランド
CLK1、CLK2 クロック信号
EDGE エッジ信号
111 エッジ検出回路
112 ドライバ
211、215 検出回路
212 コンパレータ
213 ラッチ回路
214 リセット回路
DA、SDB デジタル信号(原デジタル信号)
RSDA、RSDB 受信デジタル信号
12a、22Ba AD変換回路
AA、SAB 入力アナログ信号
100 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14