IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アルソナ技研の特許一覧

特開2024-13702水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法
<>
  • 特開-水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法 図1
  • 特開-水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法 図2
  • 特開-水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法 図3
  • 特開-水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法 図4
  • 特開-水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法 図5
  • 特開-水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法 図6
  • 特開-水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013702
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20240125BHJP
   E03D 11/10 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
E03D5/10
E03D11/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116010
(22)【出願日】2022-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】519300301
【氏名又は名称】株式会社アルソナ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】飯高 友之
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AB03
2D039BB00
2D039CB02
2D039DA00
2D039FB00
2D039FC09
(57)【要約】
【課題】平常時に使用する水洗式トイレの使用水量を大幅に節水することが実施可能な水洗トイレ節水システムを提供する。
【解決手段】使用回数に応じて横引配管Pに汚物搬送用の搬送水を流す水洗式トイレを設ける。1回の洗浄水量が350cc~500ccの簡易水洗用の大便器10を配置する。大便器10使用ごとに汚物が横引配管Pに貯め置くように構成する。横引配管Pに搬送水を直接供給するフラッシング機構20を設ける。貯め置いた2~5回分の汚物を6~28リットルの搬送水で圧送するように構成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大便器の排水口から横引配管を通して汚物を搬送し大便器の使用回数に応じて横引配管に汚物搬送用の搬送水を流す水洗式トイレにおいて、
簡易水洗用の大便器を配置し、大便器使用ごとに汚物を横引配管に貯め置くように構成し、
横引配管に搬送水を直接供給するフラッシング機構を設け、
貯め置いた2~5回分の汚物をフラッシング機構からの搬送水で圧送するように構成したことを特徴とする水洗トイレ節水システム。
【請求項2】
前記フラッシング機構は、前記横引配管に1回6~28リットルの搬送水を直接供給する請求項1記載の水洗トイレ節水システム。
【請求項3】
前記大便器は、バランス式開閉弁を備えた簡易水洗用の大便器を使用し、洗浄水量を350ccとする請求項1記載の水洗トイレ節水システム。
【請求項4】
前記大便器は、強制式開閉弁を備えた簡易水洗用の大便器を使用し、洗浄水量を500ccとする請求項1記載の水洗トイレ節水システム。
【請求項5】
大便器の排水口から横引配管を通して汚物を搬送し大便器の使用回数に応じて横引配管に汚物搬送用の搬送水を供給する水洗式トイレのトイレ洗浄方法において、簡易水洗用の大便器から1回350cc~500ccの洗浄水と共に排出した汚物を横引配管に溜め置き、フラッシング機構から横引配管に直接供給した6~28リットルの搬送水で貯め置いた2~5回分の汚物を圧送することを特徴とするトイレ洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平常時に水洗トイレで使用する水量を大幅に節水する水洗トイレ節水システム及びトイレ洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、横引配管内の汚物の搬送を良好にする汚物搬送システムが記載されている。このシステムでは、大便器の排水口から横引配管を通し汚物を搬送するシステムにおいて、大便器の使用回数または使用時間をカウントし、所定のカウント値に達すると、大便器から横引配管に、大便器洗浄水とは別の汚物搬送用の水を流すように構成したシステムである。
【0003】
すなわち、大便器の使用ごとに6リットル程度流す洗浄水をできるだけ節水するために、使用回数や使用時間をカウントし、所定の使用回数や時間に応じて洗浄水とは別の汚物搬送用の水として1回10リットル程度の水を大便器から横引配管に流すように構成したものである。
【0004】
特許文献2に、節水時において横引配管内の汚物搬送を可能にする便器システムが記載されている。この便器システムは、洗浄水の供給量が多い平常モードと、洗浄水の供給量が少ない節水モードとを変更する供給モード変更手段を備えたものである。
【0005】
平常モードとは通常使用する洗浄水を5~6リットルとする。節水モードとは断水時を想定したもので、洗浄水を1リットル程度に制限する。この節水モードに切り替えると、汚物が横引配管内に残留してしまうので、洗浄水タンクに設けたインナタンクに、バケツ等を用いて大量の搬送水を流し込むことで残留した汚物を下水まで搬送するシステムである。
【0006】
一方、1回の洗浄水量が500cc以下の簡易水洗トイレが一般に使用されている(特許文献3参照)。この簡易水洗トイレは、汲取り式トイレの一種で、公共下水道の整備が遅れている地域では、単純な汲み取り式よりも衛生的であり、水洗式便所により近い実用性が得られることから、単純な汲み取り式に代えて、現在多くの簡易水洗トイレが普及している。
【0007】
この簡易水洗トイレは、洗浄水と共に汚物を汚物タンクに落下させて溜めるので、大便器の排出口は汚物タンクに向いた鉛直直線状を成す。そのため、この排出口にフラップ弁を開閉自在に装着し、汚物タンクから臭気が逆流するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4094797号公報
【特許文献2】特開2019-230256号公報
【特許文献3】特開昭63-107631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の汚物搬送システムは、大便器の洗浄水を節水しすぎると、汚物が横引配管内に滞留してしまうので、横引配管に10リットル程度の水を流して滞留した汚物を搬送するシステムである。尚、このシステムは、水洗便器で通常使用する洗浄水を6リットルより少なくして節水する場合に対応するものである。
【0010】
ところが、6リットル程度の洗浄水をどこまで節水可能であるかについての情報は示されていない。すなわち、10リットル程度の搬送用の水を加えた場合に、全体として節水になるには、6リットル程度の洗浄水を何リットルまで少なくする必要があるか不明であり実施可能な節水効果を期待することは困難である。
【0011】
しかも、搬送用の水を大便器から横引き配管に流す構造なので、搬送用の水の勢いが大便器の排出路を通過する際に弱まる不都合もある。すなわち、水洗式の大便器では、配管から臭気の逆流を防止するため底部に水溜まり状のトラップを設けている。このトラップは、排出路の一部を上向きに屈曲することで一部の水が排出されず水溜まりになるように構成している。
【0012】
したがって、このような排出路に搬送用の水を流した場合、10リットル程度の水の勢いはこのトラップで減衰してしまい、横引配管内の汚物を十分に搬送することができなくなるおそれもある。このように、特許文献1に記載の汚物搬送システムは、実施可能な節水効果を期待することはできない。
【0013】
一方、特許文献2に記載の便器システムでは、水洗式トイレのトラップの代わりに敢えてフラッパー弁を開閉自在に設けることで、バケツ等を用いて大量の搬送水を大便器から横引配管内に直接流し込むように構成している。
【0014】
また、バケツによる搬送水の代わりに横引配管の下流側に汚水貯留槽を設け、この汚水貯留槽に溜めた汚水を搬送水として利用する記載もある。この汚水貯留槽は、横引配管の上流側に水中ポンプで汚水搬送して循環させることで、横引配管内に残留している汚物を搬送する構成である。
【0015】
ところがこの便器システムにおける節水モードとは、断水時に洗浄水タンク内の水を節水するモードであり、通常使用する洗浄水を節水するものではない。すなわち、断水が解消されると節水モードから平常モードに切り替えて、洗浄水は通常の5~6リットルに戻される。このように、この便器システムは、断水によって洗浄水の供給量が少なくなると一時的に洗浄水タンク内の水の使用を節水し、別の搬送水をバケツで加えたり、汚水タンクに溜めた汚水を再利用したりするシステムであり、平常時の洗浄水を継続的に節水するシステムではなかった。
【0016】
一方、平常時において1回の洗浄水量が500cc以下の簡易水洗トイレが普及しているが、この簡易水洗トイレは、汚物を汚物タンクに溜める汲取り式トイレとして使用される。そのため、汚物タンクの汚物貯留容量を確保するため洗浄水をできるだけ節水できるように構成したものである。したがって、簡易水洗トイレは汚物タンクを使用するために節水機能を有するもので、水洗式トイレとして使用するものではない。
【0017】
一部の簡易水洗トイレでは、汚物タンクの代わりに下水管に至る排水管に連結して水洗トイレに使用可能なユニットも提供されている。ところが、排水管に連結した簡易水洗トイレは、横引配管内に汚物が滞留しないようにするため、洗浄水の量を5~6リットルに変更されるので、平常時の洗浄水量を500cc以下にする簡易水洗トイレの節水機能は失われてしまう。
【0018】
そこで本発明は上述の課題を解決すべく創出されたもので、平常時に使用する水洗式トイレの使用水量を大幅に節水することが実施可能な水洗トイレ節水システム及び水洗トイレ洗浄方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、大便器10の排水口11から横引配管Pを通して汚物を搬送し大便器10の使用回数に応じて横引配管Pに汚物搬送用の搬送水を流す水洗式トイレにおいて、簡易水洗用の大便器10を配置し、大便器10使用ごとに汚物を横引配管Pに貯め置くように構成し、横引配管Pに搬送水を直接供給するフラッシング機構20を設け、貯め置いた2~5回分の汚物をフラッシング機構20からの搬送水で圧送するように構成したものである。
【0020】
第2の手段の前記フラッシング機構20は、前記横引配管Pに6~28リットルの搬送水を直接供給する。
【0021】
第3の手段の前記大便器10は、バランス式開閉弁12を備えた簡易水洗用の大便器10を使用し、洗浄水量を350ccとする。
【0022】
第4の手段の前記大便器10は、強制式開閉弁40を備えた簡易水洗用の大便器10を使用し、洗浄水量を500ccとする。
【0023】
第5の手段は、大便器10の排水口11から横引配管Pを通して汚物を搬送し大便器10の使用回数に応じて横引配管Pに汚物搬送用の搬送水を供給する水洗式トイレのトイレ洗浄方法において、簡易水洗用の大便器10から1回350cc~500ccの洗浄水と共に排出した汚物を横引配管Pに溜め置き、フラッシング機構20から横引配管Pに直接供給した6~28リットルの搬送水で貯め置いた2~5回分の汚物を圧送するトイレ洗浄方法にある。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、簡易水洗用の大便器を水洗式トイレに使用し、横引配管に貯め置いた2~5回分の汚物に対し、フラッシング機構から6~28リットルの搬送水を直接供給することで、平常時に水洗トイレで使用する水量を大幅に節水しながら長期にわたる使用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例を示す要部側断面図である。
図2】本発明のバランス式開閉弁を備えた大便器を示す要部側断面図である。
図3】本発明のバランス式開閉弁を示す要部側断面図である。
図4】本発明の他の実施例を示す要部側断面図である。
図5】本発明の強制式開閉弁を備えた大便器を示す要部側断面図である。
図6】本発明の強制式開閉弁を示し(イ)は閉塞状態、(ロ)は開放状態を示す要部側断面図である。
図7】本発明の実験装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明節水システムは、水洗式トイレの使用水量を日常的に節水するシステムである。すなわち、本発明水洗式トイレは、大便器10の排水口11から横引配管Pを通して汚物を搬送する構造で、大便器10の使用回数に応じて横引配管Pに汚物搬送用の搬送水を流す水洗式トイレである。
【0027】
大便器10は、1回の洗浄水量が350cc~500ccの簡易水洗用とし、この大便器10を使用するごとに汚物を横引配管Pに貯め置くように構成している。
【0028】
簡易水洗用の大便器10は、横引配管Pに向いた鉛直直線状を成す排水口11を有している(図1図4参照)。そして、大便器10の開口底部にフラッパー弁と称する揺動自在な弁を設けて排水口11から臭気が逆流するのを防いでいる。
【0029】
フラッパー弁には、バランス式開閉弁30(図2図3参照)や、強制式開閉弁40(図5図6参照)があり、それぞれ1回ごとの洗浄水量が異なるものである。
【0030】
バランス式開閉弁30は、洗浄水や汚物の重量で自動開閉する揺動自在な弁である(図3参照)。このバランス式開閉弁30は、1回の洗浄水量を350ccとするもので、フラッパー弁の中でも少ない洗浄水での洗浄が可能になっている。
【0031】
強制式開閉弁40は、大便器10の開口底部に水を溜める機構を有するもので、弁の開閉操作は手動等で強制的に開閉するフラッパー弁である(図6参照)。図示例では、レバー41を介して強制式開閉弁40を開き、開いた強制式開閉弁40はスプリング42の弾性力で元の位置に戻る機構である。強制式開閉弁40の1回の洗浄水量は溜め水と合わせて500ccの洗浄水を使用し、特に臭気の逆量を抑える効果が高い。
【0032】
このように、本発明で使用する大便器10は、現在使用されている簡易水洗用のバランス式開閉弁30や強制式開閉弁40を備えた大便器10、すなわち、洗浄水量350cc~500ccの大便器10を選択使用するものである。
【0033】
一方、横引配管Pに1回6~28リットルの搬送水を直接供給するフラッシング機構20を設ける(図1図4参照)。このフラッシング機構20の搬送水は、大便器10を2~5回使用するごとに1回供給するように設定する。すなわち、横引配管Pに溜め置いた2~5回分の汚物を6~28リットルの搬送水で圧送するように構成する。
【0034】
図示のフラッシング機構20は、屋内に設置したフラッシング機構20を示している。図1は、搬送水用タンク21を使用したフラッシング機構20である。また、給水管25にフラッシング機構20を直接連結しても良い(図4参照)。この他、屋外に設置して雨水等を利用する屋外用のフラッシング機構20などを使用することも可能である(図示せず)。
【0035】
図1のフラッシング機構20は、搬送水用タンク21を備えている。この搬送水用タンク21に給水管22から搬送水が供給される。そして、カウンター23のカウント数で自動バルブ24が開き、6~28リットルの搬送水が横引配管Pに供給される。カウンター23は、大便器10の使用回数をカウントするもので、使用回数が2~5回の使用で自動バルブ24が開くように設定する。また、仮に1日経過しても設定の使用回数まで満たない場合は、タイマー(図示せず)が作動して自動バルブ24が開くように設定し、横引配管P内に汚物が付着するのを防止することも可能である。
【0036】
図4に示すフラッシング機構20は、給水管と洗浄管25との間にバルブ26を設け、この洗浄管25を横引配管Pに連結したものである。このバルブ26にもカウンター23が設けられ、大便器10の使用回数が2~5回になると6~28リットルの搬送水を横引配管Pに供給する。
【0037】
本発明トイレ洗浄方法は、簡易水洗用の大便器10から1回350cc~500ccの洗浄水と共に排出した汚物を横引配管Pに滞留させるもので、貯め置いた2~5回分の汚物を、フラッシング機構20から横引配管Pに直接供給した1回6~28リットルの搬送水で圧送するトイレ洗浄方法である。
【0038】
実験によると、一般に使用されている横引配管Pに汚物を貯め置く限界は5回分までとなり、6回分からは横引配管Pに汚物が固まって詰まることが想定される。尚、大便器10の1回分の汚物量(0.30リットル)は、「内閣府(防災担当)が指定する避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」の「1日のし尿の発生量の目安」に基づく。
【0039】
実験は図7に示す装置で実施した。この装置はタンク50から横引配管60に搬送水を流すもので、この横引配管60を透明にして内部の搬送確認試験を行った。試験内容は次のとおりである。
【0040】
1 本装置は一般の配管状況を模したもので、総延長20m、配管勾配は2/100とし、横引き配管60(VU透明100φ)に大曲エルボ(VULL90°)を2ヶ所設置した。縦引き配管には(VUDL90°エルボ)を3ヶ所に設置し、横引き配管60までの落差は、タンク50の落とし口(口径38mm)から横引き配管の管底まで1,270mmとした。
2 本発明の試験に使用したトイレットペーパーの量は、日本トイレ協会HPの<トイレットペーパー使用量計算資料>に基づいて計算した(トイレットペーパーはシングルを使用)。
3 大便・小便によって使用量が異なるが、大便の容量を含み平均3m/1回使用すると仮定した。
4 大便よりトイレットペーパーの方が詰まりやすいため、トイレットペーパーの量を倍にし、条件を厳しくして検査した。
5 1回(3mのペーパーをボール状にして2個/1回)0.35リットルで流し、5回分を横引き配管60に溜め置きして、搬送水を30リットル/1回から徐々に少なくして搬送できなくなる限界まで搬送水を横引配管60に流すことを繰り返した。
6 一方、溜め置きが5回を超える場合、トイレットペーパーが横引き配管60内に機械的に詰まりだすことが分かった。
7 5回分が6リットルで問題なく流れることを確認した。6リットルより少なくした場合横引配管60にトイレットペーパ(汚物)が残留することが分かった。
試験の結果、横引き配管60に溜め置きした5回分のトイレットペーパ(汚物)は、1回6リットルの搬送水で問題なく流れるものである。
【0041】
【表1】
【0042】
表1は、(イ)本発明システム(洗浄水量0.35リットル)と、(ロ)従来の節水システム(洗浄水量4.8リットル)と、(ハ)従来の一般の水洗トイレ(洗浄水量6リットル)との総水量(し尿共)を比較したものである。
【0043】
(イ)の本発明システムにおいて、使用回数1回で6リットルの搬送水を流した場合の「総水量(し尿共)」は6.65リットルになる。また、使用回数2回で6リットルの搬送水(フラッシング水量)を流した場合は7.30リットルになる。
【0044】
(ロ)の従来の節水システムは、他社から超節型として市販されているシステムで通常6リットル程度の洗浄水量を4.8リットルまで節水したものである。この「総水量(し尿共)」を確認すると、使用回数1回の場合は、5.10リットルで、使用回数2回の場合は10.20リットルになる。この結果、(イ)で使用回数2回の「総水量(し尿共)」が7.30リットルであるのに対し、(ロ)の使用回数2回の「総水量(し尿共)」は10.20リットルなので、2.9リットルの節水になり、節水率は28.43%になる。
【0045】
(ハ)一般の水洗トイレの「総水量(し尿共)」を比較すると、使用回数1回は5.10リットルで、使用回数2回では12.60リットルである。したがって、(イ)で使用回数2回の7.30リットルは、(ハ)と比べて5.3リットルの節水になり、節水率42.06%になる。
【0046】
これらの節水率は、大便器10の使用回数が増えるごとに節水率も高まる。現実的に横引き配管60への溜め置きが可能な5回までの節水が可能になるので、(ロ)と比較すると最大68.73%、(ハ)の場合で最大70.63%もの節水が可能になる。
【0047】
【表2】
【0048】
表2は(イ)本発明システム(洗浄水量0.5リットル)と、(ロ)従来の節水システムと、(ハ)従来の一般の水洗トイレの洗浄水量を比較したものである。すなわち、(イ)の洗浄水量を0.35リットルから0.5リットルに増加した場合でも、2回目に6リットルの搬送水を流した「総水量(し尿共)」を比較すると、(ロ)、(ハ)と比べて約61%~68%の節水になる。
【0049】
本発明の搬送水は、この6リットルから最大28リットルまで増加することが可能である。すなわち、一般に水洗トイレ用の横引き配管60として使用されている100φの横引き配管60を想定すると、大便器10の使用回数で溜め置く回数は5回までが限度である。
【0050】
そこで、表1に示す(イ)本発明システム(洗浄水量0.35リツトル)の搬送水(フラッシング)の水量(6リットル/回)を増加した場合、(28リットル/回)を超えると(ハ)の一般の水洗トイレ5回分の総水量(し尿共)31.50リットルを超えることになる。したがって、本発明における搬送水の最大水量は(28リットル/回)で、最小水量は(6リットル/回)となる。
【0051】
尚、本発明の横引配管Pは一般使用されているサイズのものを前提としているが、これより大口径の横引配管Pを使用する場合は、横引配管Pに溜め置き可能な回数を増加し、搬送水の量を増加するなどの対応も可能になる。
【符号の説明】
【0052】
P 横引配管
10 大便器
11 排水口
12 浄水タンク
20 フラッシング機構
21 搬送水用タンク
22 給水管
23 カウンター
24 自動バルブ
25 洗浄管
26 バルブ
30 バランス式開閉弁
40 強制式開閉弁
50 タンク
60 横引配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗式トイレにおいて、フラッパー弁を有する簡易水洗用の大便器を配置し、大便器使用ごとに1回350cc~500ccの洗浄水を流して汚物を横引配管に貯め置くように構成し、
横引配管に搬送水を直接供給するフラッシング機構を設け、
フラッシング機構による1回6~28リットルの搬送水で貯め置いた2~5回分の汚物を圧送するように構成したことを特徴とする水洗トイレ節水システム。
【請求項2】
前記大便器は、バランス式開閉弁を備えた簡易水洗用の大便器を使用し、洗浄水量を350ccとする請求項1記載の水洗トイレ節水システム。
【請求項3】
前記大便器は、強制式開閉弁を備えた簡易水洗用の大便器を使用し、洗浄水量を500ccとする請求項1記載の水洗トイレ節水システム。
【請求項4】
フラッパー弁を有する簡易水洗用の大便器を配置し、大便器使用ごとに1回350cc~500ccの洗浄水を流して汚物を横引配管に貯め置くように構成され、大便器の使用回数に応じて横引配管に汚物搬送用の搬送水を供給する水洗式トイレのトイレ洗浄方法において、搬送水を横引配管に直接供給するフラッシング機構から1回6~28リットルの搬送水で貯め置いた2~5回分の汚物を圧送することを特徴とするトイレ洗浄方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、水洗式トイレにおいて、フラッパー弁を有する簡易水洗用の大便器10を配置し、大便器10使用ごとに1回350cc~500ccの洗浄水を流して汚物を横引配管Pに貯め置くように構成し、横引配管Pに搬送水を直接供給するフラッシング機構20を設け、フラッシング機構20による1回6~28リットルの搬送水で貯め置いた2~5回分の汚物を圧送するように構成したものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
の手段の前記大便器10は、バランス式開閉弁12を備えた簡易水洗用の大便器10を使用し、洗浄水量を350ccとする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
の手段の前記大便器10は、強制式開閉弁40を備えた簡易水洗用の大便器10を使用し、洗浄水量を500ccとする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
の手段は、フラッパー弁を有する簡易水洗用の大便器10を配置し、大便器10使用ごとに1回350cc~500ccの洗浄水を流して汚物を横引配管Pに貯め置くように構成され、大便器10の使用回数に応じて横引配管Pに汚物搬送用の搬送水を供給する水洗式トイレのトイレ洗浄方法において、横引配管Pに搬送水を直接供給するフラッシング機構20による1回6~28リットルの搬送水で貯め置いた2~5回分の汚物を圧送するトイレ洗浄方法にある。