(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137026
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】計算機システム及び配送計画の生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048376
(22)【出願日】2023-03-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】東條(松本) 紀子
(72)【発明者】
【氏名】古家 直樹
(72)【発明者】
【氏名】下村 真帆
(72)【発明者】
【氏名】古屋 聡一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC41
5L050CC41
(57)【要約】
【課題】旅客、貨物の輸送依頼者、及び交通事業者の三者の要求の可能な限り満たす配送計画の生成を生成する。
【解決手段】計算機システムは、出発地及び目的地を含む貨物の輸送予約を受け付け、出発地から目的地に至る路線の組合せである経路を探索し、経路の経由地に対応する地点ノードと、路線を用いて移動可能な経由地間を接続する路線エッジとから構成される経路グラフを生成し、経路グラフから探索用グラフを生成し、探索用グラフを用いて、経由点、路線、及び運行スケジュールを含む配送計画を生成する。探索用グラフのエッジには、依頼者、事業者、及び旅客の各々の要求の満足度合いを表すコストが設定される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅客及び貨物を輸送する車両を用いた貨物の配送計画を生成する計算機システムであって、
プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する少なくとも一つの計算機を備え、
貨物の輸送を依頼する依頼者が操作する第1端末、及び車両を用いた輸送サービスを提供する事業者が操作する第2端末と通信可能に接続し、
前記事業者が運用する車両の路線に関する路線情報を保持し、
出発地及び目的地を含む貨物の輸送予約を受け付ける第1処理と、
前記路線情報に基づいて、前記出発地から前記目的地に至る前記路線の組合せである経路を探索し、前記経路の経由地に対応する地点ノードと、前記路線を用いて移動可能な前記経由地間を接続する路線エッジとから構成される経路グラフを生成する第2処理と、
前記経路グラフから探索用グラフを生成する第3処理と、
前記探索用グラフを用いて、経由点、路線、及び運行スケジュールを含む配送計画を生成する第4処理と、を実行し、
前記第3処理では、前記計算機システムは、
前記経路グラフ及び前記路線情報に基づいて、前記路線の運行スケジュール及び前記路線の乗り換えに応じたノード及びエッジから構成され、前記依頼者の要求の満足度合いを表す第1コスト、前記事業者の要求の満足度合いを表す第2コスト、及び前記旅客の要求の満足度合いを表す第3コストが前記エッジに設定された、前記探索用グラフを生成し、
前記第4処理では、前記計算機システムは、
前記エッジに設定された前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを用いて算出される、前記旅客、前記依頼者、及び前記事業者の総合的な満足の度合いを表す評価指標に基づいて、前記探索用グラフから経路を探索し、
探索された前記経路を用いて前記配送計画を生成し、
前記配送計画を前記第2端末に送信することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記第3処理では、前記計算機システムは、
前記経路グラフから、前記路線エッジを介して接続される前記地点ノードに対応する始点ノード及び終点ノードから構成されるペアを生成し、
前記ペア毎に、前記始点ノードから前記終点ノードへの移動に用いる前記路線の運行スケジュールの数だけ、前記始点ノード及び前記終点ノードから構成される探索用ペアを生成し、
前記探索用ペアを構成する前記始点ノード及び前記終点ノードを接続する移動エッジを設定し、
前記移動エッジに対して、移動に伴う、前記依頼者、前記事業者、及び前記旅客の各々の要求の満足度合いを表す前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを設定し、
一つの前記探索用ペアの前記終点ノードと他の前記探索用ペアの前記始点ノードとが一致する前記探索用ペアの組合せを検索し、一つの前記探索用ペアの前記終点ノードと一つの前記探索用ペアの前記始点ノードとを接続する乗換エッジを設定し、
前記乗換エッジに対して、乗り換えに伴う、前記依頼者、前記事業者、及び前記旅客の各々の要求の満足度合いを表す前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを設定することを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記第3処理では、前記計算機システムは、
前記出発地のノードを追加し、
前記出発地のノードと、前記出発地に対応する前記始点ノードを含む前記探索用ペアとを接続する第1待機エッジを設定し、
前記第1待機エッジに対して、前記貨物の引き取りまでの待機時間に伴う、前記依頼者、前記事業者、及び前記旅客の各々の要求の満足度合いを表す前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを設定し、
前記目的地のノードを追加し、
前記目的地のノードと、前記目的地に対応する前記終点ノードを含む前記探索用ペアとを接続する第2待機エッジを設定し、
前記第2待機エッジに対して、前記貨物の受け渡しまでの待機時間に伴う、前記依頼者、前記事業者、及び前記旅客の各々の要求の満足度合いを表す前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを設定することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
計算機システムが実行する、旅客及び貨物を輸送する車両を用いた貨物の配送計画の生成方法であって、
前記計算機システムは、
プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する少なくとも一つの計算機を含み、
貨物の輸送を依頼する依頼者が操作する第1端末、及び車両を用いた輸送サービスを提供する事業者が操作する第2端末と通信可能に接続し、
前記事業者が運用する車両の路線に関する路線情報を保持し、
前記配送計画の生成方法は、
前記計算機システムが、出発地及び目的地を含む貨物の輸送予約を受け付ける第1のステップと、
前記計算機システムが、前記路線情報に基づいて、前記出発地から前記目的地に至る前記路線の組合せである経路を探索し、前記経路の経由地に対応する地点ノードと、前記路線を用いて移動可能な前記経由地間を接続する路線エッジとから構成される経路グラフを生成する第2のステップと、
前記計算機システムが、前記経路グラフから探索用グラフを生成する第3のステップと、
前記計算機システムが、前記探索用グラフを用いて、経由点、路線、及び運行スケジュールを含む配送計画を生成する第4のステップと、を含み、
前記第3のステップは、前記計算機システムが、前記経路グラフ及び前記路線情報に基づいて、前記路線の運行スケジュール及び前記路線の乗り換えに応じたノード及びエッジから構成され、前記依頼者の要求の満足度合いを表す第1コスト、前記事業者の要求の満足度合いを表す第2コスト、及び前記旅客の要求の満足度合いを表す第3コストが前記エッジに設定された、前記探索用グラフを生成するステップを含み、
前記第4のステップは、
前記計算機システムが、前記エッジに設定された前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを用いて算出される、前記旅客、前記依頼者、及び前記事業者の総合的な満足の度合いを表す評価指標に基づいて、前記探索用グラフから経路を探索するステップと、
前記計算機システムが、探索された前記経路を用いて前記配送計画を生成するステップと、
前記計算機システムが、前記配送計画を前記第2端末に送信するステップと、を含むことを特徴とする配送計画の生成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の配送計画の生成方法であって、
前記第3のステップは、
前記計算機システムが、前記経路グラフから、前記路線エッジを介して接続される前記地点ノードに対応する始点ノード及び終点ノードから構成されるペアを生成するステップと、
前記計算機システムが、前記ペア毎に、前記始点ノードから前記終点ノードへの移動に用いる前記路線の運行スケジュールの数だけ、前記始点ノード及び前記終点ノードから構成される探索用ペアを生成するステップと、
前記計算機システムが、前記探索用ペアを構成する前記始点ノード及び前記終点ノードを接続する移動エッジを設定するステップと、
前記計算機システムが、前記移動エッジに対して、移動に伴う、前記依頼者、前記事業者、及び前記旅客の各々の要求の満足度合いを表す前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを設定するステップと、
前記計算機システムが、一つの前記探索用ペアの前記終点ノードと他の前記探索用ペアの前記始点ノードとが一致する前記探索用ペアの組合せを検索し、一つの前記探索用ペアの前記終点ノードと一つの前記探索用ペアの前記始点ノードとを接続する乗換エッジを設定するステップと、
前記計算機システムが、前記乗換エッジに対して、乗り換えに伴う、前記依頼者、前記事業者、及び前記旅客の各々の要求の満足度合いを表す前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを設定するステップと、を含むことを特徴とする配送計画の生成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の配送計画の生成方法であって、
前記第3のステップは、
前記計算機システムが、前記出発地のノードを追加するステップと、
前記計算機システムが、前記出発地のノードと、前記出発地に対応する前記始点ノードを含む前記探索用ペアとを接続する第1待機エッジを設定するステップと、
前記計算機システムが、前記第1待機エッジに対して、前記貨物の引き取りまでの待機時間に伴う、前記依頼者、前記事業者、及び前記旅客の各々の要求の満足度合いを表す前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを設定するステップと、
前記計算機システムが、前記目的地のノードを追加するステップと、
前記計算機システムが、前記目的地のノードと、前記目的地に対応する前記終点ノードを含む前記探索用ペアとを接続する第2待機エッジを設定するステップと、
前記計算機システムが、前記第2待機エッジに対して、前記貨物の受け渡しまでの待機時間に伴う、前記依頼者、前記事業者、及び前記旅客の各々の要求の満足度合いを表す前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを設定するステップと、を含むことを特徴とする配送計画の生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨客混載に伴う配送計画の生成を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
配送業者の人手不足が社会課題となっている一方で、公共交通事業では旅客の減少に伴って収益が減少しており、地域交通の維持が課題となっている。そこで、旅客の減少及び二酸化炭素の削減等に対する取り組みとして公共交通機関を使った貨客混載が注目されており、交通事業者、旅客及び貨物の輸送依頼者の全者の要求を満たした車両の運行を支援する配送計画立案技術が求められている。
【0003】
これに対して、貨客混載での配送計画を立案する技術が知られている。特許文献1では、オンデマンドの客貨混載システムにおいて,旅客及び貨物の輸送依頼者のいずれか一方の利用者を優先させた配送計画を立案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1で立案される配送計画は、旅客及び貨物の輸送依頼者のいずれか一方の利用者に偏った車両の運行となる。また、交通事業者の要求、複数の交通事業者での輸送についても考慮されていない。
【0006】
本発明は、旅客、貨物の輸送依頼者、及び複数の交通事業者の三者の要求の達成度合いを定量的に評価し、三者の要求を可能な限り満たす貨物の配送計画の生成を支援するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、旅客及び貨物を輸送する車両を用いた貨物の配送計画を生成する計算機システムであって、プロセッサ、前記プロセッサに接続される記憶装置、及び前記プロセッサに接続されるネットワークインタフェースを有する少なくとも一つの計算機を備え、貨物の輸送を依頼する依頼者が操作する第1端末、及び車両を用いた輸送サービスを提供する事業者が操作する第2端末と通信可能に接続し、前記事業者が運用する車両の路線に関する路線情報を保持し、出発地及び目的地を含む貨物の輸送予約を受け付ける第1処理と、前記路線情報に基づいて、前記出発地から前記目的地に至る前記路線の組合せである経路を探索し、前記経路の経由地に対応する地点ノードと、前記路線を用いて移動可能な前記経由地間を接続する路線エッジとから構成される経路グラフを生成する第2処理と、前記経路グラフから探索用グラフを生成する第3処理と、前記探索用グラフを用いて、経由点、路線、及び運行スケジュールを含む配送計画を生成する第4処理と、を実行し、前記第3処理では、前記計算機システムは、前記経路グラフ及び前記路線情報に基づいて、前記路線の運行スケジュール及び前記路線の乗り換えに応じたノード及びエッジから構成され、前記依頼者の要求の満足度合いを表す第1コスト、前記事業者の要求の満足度合いを表す第2コスト、及び前記旅客の要求の満足度合いを表す第3コストが前記エッジに設定された、前記探索用グラフを生成し、前記第4処理では、前記計算機システムは、前記エッジに設定された前記第1コスト、前記第2コスト、及び前記第3コストを用いて算出される、前記旅客、前記依頼者、及び前記事業者の総合的な満足の度合いを表す評価指標に基づいて、前記探索用グラフから経路を探索し、探索された前記経路を用いて前記配送計画を生成し、前記配送計画を前記第2端末に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、旅客、貨物の輸送依頼者、及び交通事業者の三者の要求の達成度合いを定量的に評価し、三者の要求を可能な限り満たす貨物の配送計画の生成を支援できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のシステムの構成例を示す図である。
【
図2】実施例1の配送計画生成支援システムを構成する計算機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3A】実施例1の制御情報に格納される情報の一例を示す図である。
【
図3B】実施例1の制御情報に格納される情報の一例を示す図である。
【
図4】実施例1のシステムにおける処理の流れを説明するシーケンス図である。
【
図5】実施例1の端末に表示される予約画面の一例を示す図である。
【
図6】実施例1の端末に表示される配送計画選択画面の一例を示す図である。
【
図7】実施例1の配送計画生成支援システムが実行する候補配送計画生成処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】実施例1の配送計画生成支援システムによる配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【
図9A】実施例1の配送計画生成支援システムによる配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【
図9B】実施例1の配送計画生成支援システムによる配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【
図9C】実施例1の配送計画生成支援システムによる配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【
図9D】実施例1の配送計画生成支援システムによる配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【
図9E】実施例1の配送計画生成支援システムによる配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【
図9F】実施例1の配送計画生成支援システムによる配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【
図9G】実施例1の配送計画生成支援システムによる配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【
図10】実施例2のシステムの構成例を示す図である。
【
図11】実施例2のシステムにおける処理の流れを説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例について図面を用いて説明する。なお、図面において、同一符号は、同一または相当部分を示す。また、本発明は、図示した例に限定されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【実施例0011】
本発明に係る実施例1を、
図1から
図9を用いて説明する。
【0012】
図1は、実施例1のシステムの構成例を示す図である。
図2は、実施例1の配送計画生成支援システムを構成する計算機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0013】
システムは、配送計画生成支援システム100及び複数の端末101から構成される。配送計画生成支援システム100は、LAN(Local Area Network)及びWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して各端末101と接続する。ネットワークの接続形式は有線及び無線のいずれでもよい。
【0014】
実施例1では、交通事業者は、路線バス及び電車等の車両を用いた輸送サービスを提供しているものとする。車両は、運行スケジュールに従って、固定の経路の移動を行うものとする。また、交通事業者は駅及び停留所における貨物の集荷及び配送を行う輸送サービスを提供しているものとする。
【0015】
端末101は、配送計画生成支援システム100を利用するユーザが操作する端末であり、図示しない、プロセッサ、記憶装置、ネットワークインタフェース、入力装置、及び出力装置を有する。本実施例では、交通事業者が操作する端末101-1、及び荷主が操作する端末101-2が存在する。なお、荷主は貨物の輸送依頼者の一例であってこれに限定されない。例えば、配送業者でもよい。また、交通事業者及び荷主は複数いるものとする。
【0016】
実施例1の配送計画生成支援システム100は、輸送サービスを提供する交通事業者が運用する車両を用いた貨物の配送計画の生成を支援する。なお、システム運用者の交通事業者は一例であってこれに限定されない。例えば、複数の交通事業者が運用者であってもよいし、配送業者であってもよいし、独立した事業者であってもよい。ここで、配送計画は、配送の経路、貨物の集荷場所及び配送場所、及び配送スケジュール等を含む情報である。配送計画生成支援システム100は、少なくとも一つの計算機200から構成される。計算機200は、プロセッサ201、主記憶装置202、副記憶装置203、及びネットワークインタフェース204を有する。各ハードウェア要素はバスを介して互いに接続される。なお、計算機200は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の入力装置を有してもよいし、ディスプレイ及びプリンタ等の出力装置を有してもよい。
【0017】
プロセッサ201は、主記憶装置202に格納されるプログラムを実行する。プロセッサ201がプログラムにしたがって処理を実行することによって、特定の機能を実現する機能部(モジュール)として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、プロセッサ201が当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。
【0018】
主記憶装置202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶装置であり、プロセッサ201が実行するプログラム及びプログラム使用するデータを格納する。主記憶装置202はワークエリアとしても用いられる。副記憶装置203は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置であり、データを永続的に格納する。
【0019】
なお、主記憶装置202に格納されるプログラム及びデータは、副記憶装置203に格納されてもよい。この場合、プロセッサ201は、副記憶装置203からプログラム及びデータを読み出し、主記憶装置202にロードする。
【0020】
配送計画生成支援システム100は、制御情報110を保持し、また、依頼受付部120、配送計画生成部121、評価部122、及び通知部123を有する。制御情報110は、配送計画の生成に使用する情報である。
【0021】
制御情報110には、路線バス及び電車の経路を管理するための路線情報300(
図3Aを参照)、路線の混雑度を管理するための混雑度情報310(
図3Bを参照)、及び制御パラメータが格納される。
【0022】
交通事業者は、端末101-1を用いて配送計画生成支援システム100に制御情報110を登録する。なお、制御パラメータは、後述する重み及び閾値等である。
【0023】
依頼受付部120は、貨物の輸送依頼を受け付ける。配送計画生成部121は、配送計画の候補(候補配送計画)を生成する。評価部122は、候補配送計画に対する交通事業者、旅客、及び荷主の各々の要求の達成度合いを示す評価指標を算出し、評価指標を用いて候補配送計画の絞り込みを行う。通知部123は、端末101に情報を送信し、提示された情報に対する応答を受信する。
【0024】
なお、配送計画生成支援システム100が有する各機能部については、複数の機能部を一つの機能部にまとめてもよいし、一つの機能部を機能毎に複数の機能部に分けてもよい。
【0025】
図3A及び
図3Bは、実施例1の制御情報110に格納される情報の一例を示す図である。
【0026】
図3Aは、路線情報300の一例を示す情報である。
図3Bは、混雑度情報310の一例を示す図である。
【0027】
路線情報300は、路線ID301、車両種別302、路線303、及び運行スケジュール304を含むデータを格納する。一つの路線に対して一つのデータが存在する。
【0028】
路線ID301は、路線を一意に識別するための識別情報を格納するフィールドである。車両種別302は、車両の種別を格納するフィールドである。路線303は、路線の出発地及び目的地を格納するフィールドである。運行スケジュール304は、出発地及び目的地を結ぶ路線の運行スケジュールを格納するフィールドである。運行スケジュール304には、出発地の出発時刻、並びに、経由地及び目的地の到着時間が格納される。
【0029】
混雑度情報310は、路線ID311、出発時刻312、及び混雑度313を含むデータを格納する。路線及び出発時刻(運行スケジュール)の組合せに対して一つのデータが存在する。
【0030】
路線ID311は路線ID301と同一のフィールドである。出発時刻312は、出発地の出発時刻を格納するフィールドである。混雑度313は、運行スケジュールに沿った運行時の車両の座席の空き度合いを示す混雑度を格納するフィールドである。なお、本実施例では、各車両につき一つの混雑度を格納しているが、各車両の経由地ごとの混雑度及び各車両の混雑度を格納してもよい。
【0031】
また、配送計画生成支援システム100は、混雑度情報310の代わりに、混雑度を出力する推論モデルの情報を保持してもよい。推論モデルは、例えば、路線、出発時刻、天候、及び季節等を入力として受け付け、混雑度を出力する。
【0032】
制御情報にはこの他に、路線図を作成するための路線情報を含む。地点と、地点のつながりを示すデータであれば、どのような形式であっても構わない。
【0033】
図4は、実施例1のシステムにおける処理の流れを説明するシーケンス図である。
図5は、実施例1の端末101に表示される予約画面の一例を示す図である。
図6は、実施例1の端末101に表示される配送計画選択画面の一例を示す図である。
【0034】
配送計画生成支援システム100は、制御情報を登録するためのインタフェースを提示する。交通事業者は、端末101-1を用いて、配送計画生成支援システム100に制御情報を登録する(ステップS101)。
【0035】
荷主は、端末101-2を用いて、貨物の輸送予約を行う(ステップS102)。例えば、配送計画生成支援システム100は、端末101-2に、
図5に示すような予約画面500を提示する。予約画面500は、入力欄501、502、503、504、及び予約ボタン505を含む。
【0036】
入力欄501は、荷積場所を入力する欄である。入力欄502は、荷下ろし場所を入力する欄である。入力欄503は、出発時間を入力する欄である。入力欄504は、荷主の識別情報を入力する欄である。交通事業者から発行された識別情報が格納される。予約ボタン505は、入力欄501、502、503、504に入力した値を含む予約情報を送信するための操作ボタンである。本実施例では、貨物の出発時間を指定して輸送予約を行っているが、到着時間の指定、時間帯の指定等、他の予約形式であってもよい。また、経由地を指定してもよい。
【0037】
配送計画生成支援システム100は、候補配送計画生成処理を実行する(ステップS103)。候補配送計画生成処理の詳細は
図7を用いて説明する。
【0038】
配送計画生成支援システム100は、候補配送計画生成処理の処理結果として出力された表示情報を、交通事業者が操作する端末101-1に送信する(ステップS104)。
【0039】
端末101-1には
図6に示すような配送計画選択画面600が表示される。配送計画選択画面600は、テーブル610及び採用ボタン620を含む。テーブル610は、配送計画生成支援システム100によって生成及び絞り込みが行われた候補配送計画を表示するテーブルであり、選択611、NO612、配送計画613、及び評価指標614を含むデータを格納する。一つの候補配送計画に対して一つのデータが存在する。
【0040】
選択611は、採用する候補配送計画を選択するためのラジオボタンを表示するフィールドである。NO612は、候補配送計画の識別番号を格納するフィールドである。配送計画613は、候補配送計画の具体的な内容を格納するフィールドである。実施例1の配送計画613には、配送の経路、出発地の出発時刻、及び最終目的地の到着時刻等が格納される。評価指標614は、評価指標を格納するフィールド群である。後述するように、旅客、荷主、及び交通事業者の各々の評価指標が算出され、また、三者の評価指標に基づいて総合評価指標が算出される。採用ボタン620は、選択611にて選択した候補配送計画の採用を通知するための操作ボタンである。
【0041】
交通事業者が採用ボタン620を操作した場合、端末101-1は、配送計画生成支援システム100に、交通事業者が選択した候補配送計画の識別番号を含む採用通知を送信する(ステップS105)。
【0042】
配送計画生成支援システム100は、端末101-2に、荷積場所の出発時間及び荷下ろし場所の到着時刻等を含む輸送便情報を送信する(ステップS106)。
【0043】
荷主は、輸送便情報の内容を確認し、端末101-2を操作して配送計画生成支援システム100に回答を送信する(ステップS107)。提示された輸送便の内容に同意する場合、荷主は予約を確定するための回答を送信し、提示された輸送便の内容に同意しない場合、荷主は予約をキャンセルするための回答を送信する。予約のキャンセルを受け付けた場合、配送計画生成支援システム100は、当該貨物の配送を削除してもよい。
【0044】
なお、配送計画生成支援システム100は、輸送便毎に、貨物の収容上限数を管理し、上限数に達した場合には依頼を受け付けないように制御する。また、配送計画生成支援システム100は、利用者が希望する輸送便を利用できない場合、他の時間帯での輸送便の利用をレコメンドし、当該輸送便の候補配送計画を生成するようにしてもよい。
【0045】
図7は、実施例1の配送計画生成支援システム100が実行する候補配送計画生成処理の一例を説明するフローチャートである。
図8、
図9A、
図9B、
図9C、
図9D、
図9E、
図9F、及び
図9Gは、実施例1の配送計画生成支援システム100による配送計画の生成方法の具体例を示す図である。
【0046】
配送計画生成部121は、依頼受付部120が受け付けた貨物の予約情報の中から一つの予約情報を選択する(ステップS201)。以下では、選択された予約情報の貨物をターゲット貨物と記載する。
【0047】
配送計画生成部121は、路線情報300を参照して、ターゲット貨物を出発地から目的地に輸送するための経路(路線の組合せ)を探索し、探索された経路を表す経路グラフを生成する(ステップS202)。
【0048】
例えば、ターゲット貨物を出発地であるA駅から目的地であるC駅まで輸送する場合、配送計画生成部121は、
図8のような経路グラフ800を生成する。経路グラフのノードは駅及び停留所等の地点を表し、エッジは地点間を接続する路線を表す。本実施例では、路線を表すエッジを移動エッジと記載する。
【0049】
本実施例では、一方向に進む経路のみから構成される経路グラフを生成しているが、双方向に進む経路から構成される経路グラフが生成されてもよい。なお、経由地が指定されている場合には、経由地を通過する経路が探索される。
【0050】
配送計画生成部121は、エッジを介して接続されるノードのペアを生成する(ステップS203)。経路グラフ800の場合、路線1を介して接続されるノード801及びノード802のペア、路線2を介して接続されるノード801及びノード802のペア、及び、路線3を介して接続されるノード802及びノード803のペアが生成される。
【0051】
配送計画生成部121は、各ノードのペアについて、路線情報300を参照して、運行スケジュールの数だけ探索用ペアを生成する(ステップS204)。このとき、配送計画生成部121は、探索用ペアを構成する路線の出発地のノード及び到着地のノードの間に移動エッジを設定する。後述するように、移動エッジには、路線の利用に伴うコストが設定される。なお、配送計画生成部121は、出発時刻を考慮して、出発時刻以降の運行スケジュールを対象としてもよい。
【0052】
例えば、貨物の出発時刻が13時であり、路線1について13時発及び13時半発の運行スケジュールがある場合、路線1を介して接続されるノード801及びノード802のペアからは
図9Aに示すような探索用ペア901、902が生成される。また、路線2について13時半発及び14時半発の運行スケジュールがある場合、路線2を介して接続されるノード801及びノード802のペアからは
図9Bに示すような探索用ペア903、904が生成される。路線3を介して接続されるノード802及びノード803のペアについても同様の処理によって、
図9Cに示すような探索用ペア911、912、913が生成される。
【0053】
以下では、探索用ペアの出発地のノードを始点ノードと記載し、路線の到着地のノードを終点ノードと記載する。
【0054】
配送計画生成部121は、接続可能な探索用ペアの組みを検索し、探索用ペア間にエッジを設定する(ステップS205)。これは、路線の乗り換えに対応する。以下では、探索用ペア間のエッジを乗換エッジと記載する。後述するように、乗換エッジには、路線の乗り換えに伴うコストが設定される。
【0055】
具体的には、配送計画生成部121は、終点ノード及び始点ノードが一致し、かつ、終点ノードの到着時刻が始点ノードの出発時刻より前となる、探索用ペアの組みを検索する。
【0056】
図9Dに示すように、探索用ペア901に対しては、探索用ペア911、912、913の各々が接続可能な探索用ペアとして検索される。また、
図9Eに示すように、探索用ペア902に対しては、探索用ペア912、913の各々が接続可能な探索用ペアとして検索される。
【0057】
配送計画生成部121は、探索用ペア及び乗換エッジに基づいて、探索用グラフを生成する(ステップS206)。例えば、経路グラフ800からは、
図9Fに示すような探索用グラフ900が生成される。
【0058】
配送計画生成部121は、探索用グラフに配送の出発地及び目的地のノードを追加し、エッジを設定する(ステップS207)。
図9Gに示すように、例えば、探索用グラフ900に対して、ノード951、952が設定され、ノード951と同一地点のノードとの間にエッジが設定され、ノード952と同一地点のノードとの間にエッジが設定される。以下の説明では、出発地及び目的地のノードと接続するエッジを待機エッジと記載する。後述するように、待機エッジには、貨物の引き取りまでの待機時間及び貨物の受け渡しまでの待機時間を考慮したコストが設定される。なお、待機時間を考慮しない場合、ステップS207の処理は省略できる。
【0059】
配送計画生成部121は、探索用グラフを最適化する(ステップS208)。
【0060】
例えば、探索用グラフのサイズが大きい場合、配送計画生成部121は、経由する地点の数が所定数より大きい経路を削除し、また、到着時間が所定時間より大きい経路を削除し、また、乗換時間が所定時間より大きい経路を削除する。また、配送計画生成部121は、逆走となる方向のエッジを削除してもよい。また、距離又は到着時刻に基づいて、経路の絞り込みを行ってもよい。
【0061】
次に、評価部122は、探索用グラフのエッジに対してのコストを設定する(ステップS209)。エッジのコストの設定方法は、移動エッジ、乗換エッジ、及び待機エッジ毎に異なる観点で設定される。以下、エッジに対するコストの設定方法について説明する。
【0062】
まずは、移動エッジのコストの設定方法について説明する。移動エッジには、交通事業者、荷主、旅客の三者のコストが設定される。
【0063】
交通事業者のコストは、貨物の輸送に伴う収益の増加に対応する満足度x11を説明変数とする関数y1を用いて算出される。満足度x11は、例えば、式(1)を用いて算出される。ここで、Sは定数である。Iは路線あたりの収益を表し、ΔIは貨物の輸送に伴う収益の増加額を表す。
【0064】
【0065】
旅客のコストは、車両の混雑に対する許容度x21及び貨物の輸送に伴って着席できないことに対する許容度x22を説明変数とする関数y2を用いて算出される。許容度x21は、例えば、式(2)を用いて算出され、許容度x22は、例えば、式(3)を用いて算出される。ここで、Aは定数であり、Rは混雑度を表す。Ssit及びSstandは定数であり、rsitは着席できる旅客の割合を表す。rsitは車両の混雑度に依存する関数である。なお、Aは天候に応じて値を変更してもよい。
【0066】
【0067】
【0068】
荷主のコストは、輸送時間に対する満足度x31及び輸送時の環境配慮に対する満足度x32を説明変数とする関数y3を用いて算出される。満足度x31は、例えば、式(4)を用いて算出される。ここで、Δtは希望出発時間と実際の出発時間との間の差を表す。満足度x32は、例えば式(5)を用いて算出される。ここでUactualは輸送時に排出されるCO2排出量であり、Uworstは最大CO2排出量を表す。
【0069】
【0070】
【0071】
なお、移動エッジには総合コストが設定されてもよい。総合コストYは、式(6)を用いて算出される。ここで、B1、B2、B3は重みを表す定数である。
【0072】
【0073】
本実施例では、総合コストYはコストの合計値として算出しているが、エッジに付与された各コストの最大値、平均値などいかなる方式で総合コストを算出してもよい。なお、前述したコストの算出方法は一例であってこれに限定されない。
【0074】
次に、乗換エッジのコストの設定方法について説明する。乗換エッジには、交通事業者、荷主、旅客の三者のコストが設定される。路線の乗り換えを伴う貨物の移動は、旅客の満足度に影響しないため、旅客のコストは0に設定される。
【0075】
交通事業者のコストは、貨物の輸送に伴う人件費の増加に対する許容度x11を説明変数とする関数y1を用いて算出される。許容度x11は、例えば、式(7)を用いて算出される。ここで、Cは貨物を輸送しない場合の人件費を表し、ΔCは貨物の輸送に伴う人件費の増加額を表す。本実施例では、乗換時の貨物の載せ替え作業を交通事業者が担う想定としており、載せ替え作業に人件費が増加する。
【0076】
【0077】
荷主のコストは、乗換にかかる時間に対する満足度x31を説明変数とする関数y3を用いて算出される。満足度x31は、例えば、式(8)を用いて算出される。ここで、Tは乗換のための待ち時間を表す。Bは重みを表す定数である。重みは貨物特性に応じて設定される。例えば、貨物が生鮮食品であれば時間経過により貨物の劣化が生じるため重みの値は大きくなり、貨物が部品であれば時間経過による貨物の劣化は生じないため重みは0となる。本実施例では、時間経過とともに線形に満足度が減る式となっているが、ある時間経過以降顕著に劣化が生じるなど、劣化の特性に応じて式を切り替えるなどしてもよい。
【0078】
【0079】
なお、乗換エッジには総合コストが設定されてもよい。総合コストYは、式(9)を用いて算出される。ここで、B1、B3は重みを表す定数である。
【0080】
【0081】
本実施例では、総合コストYは各コストの合計値として算出しているが、エッジに付与された各コストの最大値、平均値などいかなる方式で総合コストが算出されてもよい。なお、前述したコストの算出方法は一例であってこれに限定されない。
【0082】
次に、待機エッジのコストの設定方法について説明する。待機エッジには、交通事業者、荷主、旅客の三者のコストが設定される。荷受け及び荷渡しにおける待ち時間は荷主の満足度にのみ影響するため、交通事業者及び旅客のコストは0に設定される。
【0083】
荷主のコストは、出発や到着にかかる時間に対する満足度x31を説明変数とする関数y3を用いて算出される。満足度x31は、例えば、式(10)を用いて算出される。ここで、Tは、出発駅についてから実際に出発するまでの待ち時間や、駅に到着して受け取り主に受け取られるまでの待ち時間を表す。Bは重みを表す定数である。重みは貨物特性に応じて設定される。例えば、貨物が生鮮食品であれば時間経過により貨物の劣化が生じるため重みの値は大きくなり、貨物が部品であれば時間経過による貨物の劣化は生じないため重みは0となる。本実施例では、時間経過とともに線形に満足度が減る式となっているが、ある時間経過以降顕著に劣化が生じるなど、劣化の特性に応じて式を切り替えるなどしてもよい。
【0084】
【0085】
なお、待機エッジには総合コストが設定されてもよい。総合コストYは、式(11)を用いて算出される。ここで、B3は重みを表す定数である。
【0086】
【0087】
なお、前述したコストの算出方法は一例であってこれに限定されない。
【0088】
また、前述した各エッジのコストの設定方法は一例であってこれに限定されない。三者すべての満足度を考慮してもよいし、一者又は二者の満足度のみを考慮してもよい。なお、コストの設定はエッジの設定と同時に実行されてもよい。
【0089】
評価部122は、コストが付与された探索用グラフを用いた経路探索を実行し、配送計画(候補配送計画)を生成する(ステップS210)。
【0090】
評価部122は、例えば、ダイクストラ法等の公知の経路探索方法を用いて、エッジに付与された三者のコストを用いて算出される評価指標が最大又は最小となる経路を探索する。探索用グラフの経路に含まれるノード及びエッジは、地点及び運行スケジュールが対応づけられているため、経路から配送計画を生成することができる。評価指標は、例えば、経路に含まれるエッジのコストの合計値等である。なお、評価部122は、交通事業者、旅客、及び荷主のいずれかのコストのみに着目して経路を探索してもよい。
【0091】
なお、評価部122は、評価指標に基づいて所定数の経路を選択してもよい。交通事業者は、評価指標の閾値を制御パラメータとして制御情報110に設定し、また、当該閾値を用いた評価指標の制約条件を制御情報110に設定する。
【0092】
評価部122は、全ての貨物の予約情報について処理が完了したか否かを判定する(ステップS211)。全ての貨物の予約情報について処理が完了していない場合、評価部122は、ステップS201に戻り、同様の処理を実行する。
【0093】
全ての貨物の予約情報について処理が完了した場合、評価部122は、表示情報を生成し(ステップS212)、通知部123に出力する(ステップS213)。
【0094】
例えば、評価部122は、複数の配送計画を選択している場合、評価指標に基づいてソートされた配送計画を含む表示情報を生成する。例えば、評価指標が高い順に配送計画がソートされる。通知部123は、交通事業者が操作する端末101-1に表示情報を送信する。
【0095】
なお、重み及び閾値を調整することによって、旅客、荷主、交通事業者のいずれかを重要視した配送計画を生成できる。また、評価指標の算出の際においても、重みを調整することによって、いずれかの説明変数を重要視した評価指標を算出できる。例えば、荷主の貨物予約時に、「輸送時間」、「環境配慮」のいずれを重要視するかを選択させ、荷主のコストを設定する場合、選択された説明変数に重みを付与する形で評価指標が算出されてもよい。
【0096】
また、交通事業者ごとにコストを設定し、各交通事業者のコストに基づいて評価に用いる交通事業者のコストを算出してもよい。例えば、各交通事業者のコストの和、平均、最大値、最小値などを、評価に使用する交通事業者のコストとしてもよい。
【0097】
実施例1によれば、配送計画生成支援システム100は、貨物の輸送における移動、乗換、及び待機に対する、旅客、荷主、及び交通事業者の満足度又は不快度を表す説明変数を用いて、旅客、貨物の輸送依頼者、及び交通事業者の三者の要求の達成度合いを定量的に評価し、配送計画を生成できる。また、配送計画生成支援システム100は、評価指標に基づいて選択した配送計画を提示することによって、三者の要求を可能な限り満たす配送計画の生成を支援できる。
実施例2では、乗換時の貨物の載せ替え作業を交通事業者ではなく、専用の載せ替え業者が担う点が実施例1と異なる。以下、実施例1との差異を中心に実施例2について説明する。
実施例2の配送計画生成支援システム100が実行する配送計画生成処理は実施例1と同一である。ただし、候補配送計画のコストの設定方法が一部異なる。移動エッジ及び待機エッジのコストの設定方法については実施例1と同一であるが、乗換エッジのコストの設定方法について異なる。
乗換エッジに付与されるコストには、載せ替え業者及び荷主の二者のコストが設定される。貨物が移動の際に乗換が発生することは、旅客及び交通事業者の満足度に影響しないため、二者のコストを考慮している。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。