IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECディスプレイソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-投写型表示装置 図1
  • 特開-投写型表示装置 図2
  • 特開-投写型表示装置 図3
  • 特開-投写型表示装置 図4
  • 特開-投写型表示装置 図5
  • 特開-投写型表示装置 図6
  • 特開-投写型表示装置 図7
  • 特開-投写型表示装置 図8
  • 特開-投写型表示装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137037
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】投写型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/16 20060101AFI20240927BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240927BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240927BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240927BHJP
   F21V 29/51 20150101ALI20240927BHJP
   F21V 29/54 20150101ALI20240927BHJP
   F21V 29/71 20150101ALI20240927BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20240927BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240927BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240927BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 D
F21S2/00 375
F21V29/503
F21V29/51
F21V29/54
F21V29/71
F21V29/76
H05K7/20 S
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048389
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】シャープNECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 亮祐
【テーマコード(参考)】
2K203
5E322
【Fターム(参考)】
2K203FA44
2K203FB03
2K203KA76
2K203KA78
2K203LA02
2K203LA37
2K203LA39
2K203LA54
2K203MA12
2K203MA35
5E322AA01
5E322AB01
5E322BB03
5E322DB08
5E322DC01
5E322EA11
5E322FA09
(57)【要約】
【課題】熱絶縁性能の高め、再加熱されることなく、効率よく熱源を冷却でき、さらに容易に組み立てを行うことができる。
【解決手段】ペルチェ素子22は、放熱ヒートシンク21とペルチェホルダ23との間で双方に接するように挟持され、ペルチェホルダ23は、ペルチェ素子22が接する第1面23Aと、平面視して第1面23Aの外周部でペルチェ素子22に接しない第2面23Bと、を有し、第1面23Aは、第2面23Bより放熱ヒートシンク21から離反する方向に位置し、第1面23Aと第2面23Bとにより形成される段差部23cにペルチェ素子22の外周縁が接し、ペルチェホルダ23は、平面視してペルチェ素子22の外周に沿うホルダ溝231を備え、ペルチェホルダ23は、ホルダ溝231のさらに外側の第2面23Bにおいて放熱ヒートシンク21にねじ固定される投写型表示装置を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンクと、平板状のペルチェ素子を保持するペルチェホルダと、前記ペルチェホルダに接するレーザダイオードと、を備え、
前記ペルチェ素子は、前記ヒートシンクと前記ペルチェホルダとの間で双方に接するように挟持され、
前記ペルチェホルダは、前記ペルチェ素子が接する第1面と、平面視して前記第1面の外周部で前記ペルチェ素子に接しない第2面と、を有し、
前記第1面は、前記第2面より前記ヒートシンクから離反する方向に位置し、
前記第1面と前記第2面とにより形成される段差部に前記ペルチェ素子の外周縁が接し、
前記ペルチェホルダは、平面視して前記ペルチェ素子の外周に沿うホルダ溝を備え、
前記ペルチェホルダは、前記ホルダ溝のさらに外側の前記第2面において前記ヒートシンクにねじ固定される投写型表示装置。
【請求項2】
前記ホルダ溝は、前記段差部の外側に設けられる請求項1に記載の投写型表示装置。
【請求項3】
前記ホルダ溝は、前記第1面の外周部に設けられる請求項1に記載の投写型表示装置。
【請求項4】
前記ホルダ溝は、周方向全周に連続して設けられる請求項1に記載の投写型表示装置。
【請求項5】
前記ペルチェホルダと前記ヒートシンクとの間には、平面視して前記ホルダ溝の外側において位置決めプレートが挟持されている請求項1に記載の投写型表示装置。
【請求項6】
前記位置決めプレートは、樹脂製である請求項5に記載の投写型表示装置。
【請求項7】
前記位置決めプレートは、前記ヒートシンク側に突出する第1ピンと、前記ペルチェホルダ側に突出する第2ピンと、を備え、
前記第1ピン及び前記第2ピンは、それぞれ前記ヒートシンクと前記ペルチェホルダに設けられた嵌合穴に嵌合される請求項5又は6に記載の投写型表示装置。
【請求項8】
前記位置決めプレートの表面は、多数の凹凸が形成される請求項5又は6に記載の投写型表示装置。
【請求項9】
前記レーザダイオードを収容する光源ホルダが設けられ、
前記光源ホルダの外周部は、前記ペルチェホルダの前記ホルダ溝の外側の位置に取り付けられる請求項1に記載の投写型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクタなどの電子機器には、動作時に熱を発するレーザダイオード等の素子や光源から熱が発せられるものが内蔵され、その動作時に熱を発することから、効率よく冷却する冷却構造が用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、レーザチップと直接またはマウント材を介して接合された冷却素子の放熱面に対し、その内壁面が接するように設けられたケースとして、冷却素子の放熱面と接する第1領域と、この第1領域とは異なる第2領域とにより形成し、第2領域の比熱が冷却素子の放熱面と接する第1領域よりも大きい半導体レーザ装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-235388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヒートシンク側(高温部)とレーザダイオード等の光源側との温度差を一定に維持することが求められている。例えば、レーザダイオードがヒートシンクに熱的に繋がってしまうと、例えば双方の温度差が小さくなり、冷却効率が低下してしまう。そのため、ヒートシンクとレーザダイオードとの熱絶縁し、冷却素子以外の部分から熱が伝達されないことで、効率よくレーザダイオードを冷却することが求められていた。また、レーザダイオードの冷却性能を高めるために、冷却素子をレーザダイオードに対して精度よく面接触させる必要があり、組み立てに手間がかかるという問題があり、その点で改善の余地があった。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、熱絶縁性能の高め、再加熱されることなく、効率よく熱源を冷却でき、さらに容易に組み立てを行うことができる投写型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係る投写型表示装置は、ヒートシンクと、平板状のペルチェ素子を保持するペルチェホルダと、前記ペルチェホルダに接するレーザダイオードと、を備え、前記ペルチェ素子は、前記ヒートシンクと前記ペルチェホルダとの間で双方に接するように挟持され、前記ペルチェホルダは、前記ペルチェ素子が接する第1面と、平面視して前記第1面の外周部で前記ペルチェ素子に接しない第2面と、を有し、前記第1面は、前記第2面より前記ヒートシンクから離反する方向に位置し、前記ペルチェホルダは、前記第1面と前記第2面とにより形成される段差部に接し、前記ペルチェ素子は、平面視して前記ペルチェホルダの外周に沿うホルダ溝を備え、前記ペルチェホルダは、前記ホルダ溝のさらに外側の前記第2面において前記ヒートシンクにねじ固定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱絶縁性能の高め、再加熱されることなく、効率よく熱源を冷却でき、さらに容易に組み立てを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタの外観を示す斜視図である。
図2図1のプロジェクタにおいて、筐体の上部カバーを取り外した状態の要部構成を斜め後方から見た斜視図である。
図3】放熱部と光源部の構成を示す斜視図である。
図4図3において、放熱部と光源部を分解した状態を示す斜視図である。
図5図3に示す放熱部と光源部の断面斜視図である。
図6図3に示す放熱部と光源部の構成で、放熱ヒートシンクを省略した断面図である。
図7】ペルチェ素子とペルチェホルダの分解指図である。
図8】放熱部の構成を示す断面斜視図である。
図9】ペルチェ素子とペルチェホルダの要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図9を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るプロジェクタ1(投写型表示装置)は、画像光(映像)をスクリーンなどの表示面に投写する装置である。プロジェクタ1は、光源装置3と、画像光形成装置4と、投写装置5と、筐体6と、送風ファン7と、ダクト8と、を備える。
【0010】
画像光形成装置4は、後述する光源装置3から出力された光に基づいて画像光を作る。図示しないが、画像光形成装置4は、DMD(Digital Micromirror Device)や液晶パネルなどの光変調素子及び、光変調素子を制御する電子部品などを有する。
投写装置5は、画像光形成装置4から出力された画像光を拡大してスクリーン等の表示面に投写する。
【0011】
筐体6は、光源装置3、画像光形成装置4、投写装置5、送風ファン7及びダクト8を収容する。筐体6は、光源装置3、画像光形成装置4、投写装置5、送風ファン7及びダクト8が載置される底板部61と、光源装置3、画像光形成装置4、投写装置5、送風ファン7及びダクト8を上方から覆う上部カバー62と、を有する。
送風ファン7及びダクト8は、光源部10を冷却する冷却構造を構成している。
【0012】
光源装置3は、光源部10と、放熱部20と、光学系ユニット30と、を備える。
【0013】
光学系ユニット30は、光源部10が配置されるペルチェホルダ23(図4参照)の載置面側に配置される。光学系ユニット30は、光源部10からの光(青色光)を適宜処理して白色光を画像光形成装置4に出射する。光学系ユニット30は、光源部10からの光を適宜処理するための複数の光学系部品(図示省略)と、これら光学系部品を収容する外殻部材31と、を有する。
【0014】
図3図6に示すように、光源部10は、光を出射する。光源部10は、レーザダイオード11と、レーザダイオード11を後述するペルチェホルダ23に固定する固定治具12と、レーザダイオード11を固定治具12と共に覆う光源ホルダ13と、を有する。
【0015】
光源部10が放熱部20の載置面に載置された状態において、光源部10のレーザダイオード11において発生した光は、主に載置面から離れる方向に向かう。図4において、矢印L1は、光源部10から出射した光が進む方向(光軸方向)を示している。なお、光軸方向L1を前後方向と定義し、前後方向で光の進む側を前側、その反対側を後側と定義する。
【0016】
図3図7に示すように、レーザダイオード11は、青色波長域のレーザ光を出射する。レーザダイオード11は、ペルチェホルダ23の前面23aに接した状態で取り付けられている。レーザダイオード11の取付け位置は、平面視して略矩形状(図では略正方形状)であり、ペルチェホルダ23の後面23bにおける後述する第1面23A(ペルチェ素子22が接する面)に重なる反対側の領域となる固定面23Cとなる。レーザダイオード11は、固定治具12によってペルチェホルダ23の前面32aに固定される。
【0017】
レーザダイオード11は、発生する光による熱が発生する。このときのレーザダイオード11の熱は、取り付けられるペルチェホルダ23に伝達されて放熱する。すなわち、レーザダイオード11より低温のペルチェ素子22にペルチェホルダ23を介して接しているので、レーザダイオード11はペルチェ素子22による受熱により放熱し、冷却される。
【0018】
固定治具12は、レーザダイオード11の前端外周縁の全周を前側から押さえる押さえ枠121と、押さえ枠121から後方に延びてペルチェホルダ23の固定面23Cに固定する脚部122と、を有する。レーザダイオード11は、固定治具12によってペルチェホルダ23の固定面23Cに対して面接触した状態で保持される。
【0019】
光源ホルダ13は、レーザダイオード11及び固定治具12を収容した状態でペルチェホルダ23の前面23aに固定される。レーザダイオード11及び固定治具12によって外側から覆われている。光源ホルダ13は、天壁131と、筒壁132と、フランジ部133と、とから有頂筒状をなしている。天壁131は、円形の開口部131aを有する。開口部131aは、レーザダイオード11に対向し、レーザダイオード11から出射する光を通過させる。
【0020】
フランジ部133は、ペルチェホルダ23のホルダ溝231の外側の位置となる外周面23Dに接した状態でペルチェホルダ23を介在させて放熱ヒートシンク21に固定されている。フランジ部133の後面133aは、ペルチェホルダ23を放熱ヒートシンク21に固定する固定ねじ(図示省略)を挿通させるねじ孔134と、不図示の気密パッキンを収容する凹溝135と、を有する。固定ねじは、フランジ部133のねじ孔134およびペルチェホルダ23のねじ孔232を挿通して放熱ヒートシンク21のベース部211の雌ねじ部211aに締め付ける。凹溝135に収容される気密パッキンがペルチェホルダ23の外周面23Dに密着することで、光源ホルダ13とペルチェホルダ23との間で防塵構造を提供できる。
【0021】
放熱部20は、光源部10の冷却するためのものであり、放熱ヒートシンク21と、平板状のペルチェ素子22と、ペルチェ素子22を保持するペルチェホルダ23と、ペルチェ素子22とペルチェホルダ23との間に配置される位置決めプレート24と、を備える。
【0022】
図3図5及び図8に示すように、放熱ヒートシンク21は、複数のフィンを有する。放熱ヒートシンク21は、ペルチェ素子22が配置される載置面21a、及び、載置面21aと反対側に向く背面21bを有する板状に形成されている。載置面21a及び背面21bは、概ね平坦に形成され、概ね互いに平行している。
【0023】
載置面21aには、ペルチェ素子22が載置される。ペルチェ素子22は載置面21aに直接接触してもよいが、例えばペルチェ素子22と載置面21aとの間に熱伝導性グリスを介在させてペルチェ素子22から放熱ヒートシンク21への熱の伝わりを向上させてもよい。ペルチェ素子22が載置面21aに載置された状態において、ペルチェ素子22を介して設けられる光源部10のレーザダイオード11で発生した光は、主に載置面21aから離れる方向に向かう。
【0024】
図2に示すように、放熱ヒートシンク21は、載置面21aを含むベース部211と、拡張放熱部212と、背面放熱部213と、を有する。
【0025】
ベース部211は、板状に形成されている。ベース部211は、例えば銅等のように導電性の高い材料によって構成されている。ベース部211の外周側には、ペルチェホルダ23および光源ホルダ13を固定するための固定ねじが螺合される雌ねじ部211a(図4参照)と、位置決めプレート24の第1ピン241に係合する第1嵌合穴211b(図5参照)と、を有する。
【0026】
拡張放熱部212は、載置面21aに沿う幅方向においてベース部211の両端から張り出す。なお、拡張放熱部212は、例えば幅方向においてベース部211の一方の端のみから張り出してもよい。拡張放熱部212は、拡張放熱部212に対して載置面21aに直交する方向に空気を流すことで熱を放散するように構成されている。拡張放熱部212は、ベース部211を貫通して幅方向に延びる複数のヒートパイプ212Aと、複数のヒートパイプ212Aに取り付けられた複数の放熱フィン212Bと、を備える。背面放熱部213は、ベース部211の背面21bに設けられた複数の放熱フィン213Aを有する。ベース部211の背面21bは、載置面21aに概ね平行する。
【0027】
このように構成される放熱ヒートシンク21は、光源部10を冷却する役割を果たす。具体的に、ペルチェホルダ23の前面23aに載置された光源部10(レーザダイオード11)において発生した熱は、ベース部211に伝わった後、主に拡張放熱部212のヒートパイプ212A及び複数の放熱フィン212Bに伝わる。そして、これら複数の放熱フィン212Bの間において空気を流すことで、光源部10から拡張放熱部212の複数の放熱フィン212Bに伝わった熱が放散される。
【0028】
図3図7に示すように、ペルチェ素子22は、放熱ヒートシンク21とペルチェホルダ23との間で双方に接するように挟持される。ペルチェ素子22の放熱部接触面となる後面22bは、放熱ヒートシンク21のベース部211に接する。ペルチェ素子22の受熱部接触面となる前面22aは、ペルチェホルダ23の第1面23A(後述する)に接する。ペルチェ素子22は、長方形の平板状をなしている。ペルチェ素子22は、表裏両面(前面22a、後面22b)に温度差を与える素子である。ペルチェ素子22は、放熱ヒートシンク21の放熱による冷却可能温度より低い温度の熱をレーザダイオード11に伝達して、レーザダイオード11をさらに効率よく冷却できる。例えば、放熱ヒートシンク21の放熱による冷却可能な温度が60℃である場合、ペルチェ素子22で温度差20℃を与えることで、レーザダイオード11を40℃に冷却する。
【0029】
ペルチェホルダ23の後面23bは、光軸方向から見た平面視して面中央に位置しペルチェ素子22が接する第1面23Aと、平面視して第1面23Aの外周部でペルチェ素子22に接しない第2面23Bと、を有する。すなわち、ペルチェホルダ23の後面23bは、平面視して中央部分に前方に凹む凹部234(図7及び図9参照)が形成されている。凹部234の底面が第1面23Aとなる。そのため、第1面23Aは、第2面23Bより放熱ヒートシンク21から離反する方向に位置する。図9に示すように、凹部234には、ペルチェ素子22の前面22aが嵌合された状態で配置される。そして、第1面23Aと第2面23Bとにより形成される段差部23cには、ペルチェ素子22の外周縁22cが接する。
【0030】
ペルチェホルダ23は、平面視してペルチェ素子22の外周に沿うホルダ溝231を備える。具体的にホルダ溝231は、第1面23Aの外周部において全周にわたって連続して設けられている。ホルダ溝231は、ペルチェ素子22の外周縁22cに光軸方向に対向した位置に配置される。ホルダ溝231は、溝幅が例えば5mm程度であり溝深さが2~3mm程度である。ホルダ溝231を設けることで、ホルダ溝231の両側に位置する第1面23Aと第2面23Bとは、双方が離間し、熱的に絶縁される。そのため、ホルダ溝231の溝深さは、深い方が好ましいが、光源ホルダ13を支持できる剛性を確保するため、および光源ホルダ13の内部空間の防塵性を確保するために、ペルチェホルダ23の厚み方向に貫通しないように設定される。
【0031】
ペルチェホルダ23は、ホルダ溝231のさらに外側の第2面23Bにおいて放熱ヒートシンク21にねじ固定される。すなわち、ペルチェホルダ23の放熱ヒートシンク21への第1取付部23eは、ホルダ溝231の外側となる。
【0032】
第2面23Bは、位置決めプレート24を介在させて放熱ヒートシンク21に取り付けられる。ペルチェホルダ23は、直接、放熱ヒートシンク21に接していない。第2面23Bにおける第1面23Aを挟んで上下に位置する部分には、ねじ孔232と、第2嵌合穴233と、を有する。ねじ孔232は、ペルチェホルダ23を厚さ方向に貫通し、ペルチェホルダ23を放熱ヒートシンク21に取り付けるための固定ねじが貫通される。第2嵌合穴233には、位置決めプレート24の第2ピン242(後述する)が係合される。
【0033】
ペルチェホルダ23の前面23aには、レーザダイオード11及び光源ホルダ13が固定される。ペルチェホルダ23の前面23aは、平面視して第1面23A(ペルチェ素子22が接する面)に重なる裏側の領域となる固定面23Cと、固定面23Cの外周部に位置する外周面23Dと、を有する。固定面23Cの略中央には、レーザダイオード11が取り付けられる。外周面23Dは、平面視して第2面23B(ペルチェ素子22が接しない面)に重なる裏側の領域となる。外周面23Dには、光源ホルダ13のフランジ部133が取り付けられる。
【0034】
図4に示すように、ペルチェホルダ23と放熱ヒートシンク21との間には、熱絶縁性を有する樹脂製の位置決めプレート24が挟持されている。位置決めプレート24は、ペルチェホルダ23と放熱ヒートシンク21とを熱絶縁する。位置決めプレート24は、枠状に形成され、平面視してホルダ溝231の外側に配置される。位置決めプレート24の上枠部24A及び下枠部24Bには、放熱ヒートシンク21側に突出する第1ピン241と、ペルチェホルダ23側に突出する第2ピン242と、を備える。第1ピン241は、放熱ヒートシンク21のベース部211に設けられる第1嵌合穴211bに嵌合する。第2ピン242は、ペルチェホルダ23に設けられる第2嵌合穴232)に嵌合される。位置決めプレート24の前面24a及び後面24bは、多数の突起や凹凸(図示省略)が形成されていてもよい。これにより、位置決めプレート24を放熱ヒートシンク21及びペルチェホルダ23に対して面接触させない構造となり、熱を伝え難くする。なお、位置決めプレート24は、樹脂製であることに限定されることはなく、例えば石膏、陶器、あるいはマイカ等の素材を使用することも可能である。
【0035】
本実施形態のプロジェクタ1では、放熱ヒートシンク21と、平板状のペルチェ素子22を保持するペルチェホルダ23と、ペルチェホルダ23に接するレーザダイオード11と、を備える。ペルチェ素子22は、放熱ヒートシンク21とペルチェホルダ23との間で双方に接するように挟持される。ペルチェホルダ23は、ペルチェ素子22が接する第1面23Aと、平面視して第1面23Aの外周部でペルチェ素子22に接しない第2面23Bと、を有する。第1面23Aは、第2面23Bより放熱ヒートシンク21から離反する方向に位置し、第1面23Aと第2面23Bとにより形成される段差部23cにペルチェ素子22の外周縁23dが接する。ペルチェホルダ23は、平面視してペルチェ素子22の外周に沿うホルダ溝231を備える。ペルチェホルダ23は、ホルダ溝231のさらに外側の第2面23Bにおいて放熱ヒートシンク21にねじ固定される。
【0036】
本実施形態のプロジェクタ1によれば、ペルチェ素子22はペルチェホルダ23の第1面23Aに接しているので、ペルチェ素子22の温度がペルチェホルダ23を介してレーザダイオード11に確実に伝達され、ペルチェ素子22によるレーザダイオード11の冷却効果を高めることができる。さらにペルチェホルダ23の第1面23Aにおいて、平面視してペルチェ素子22の外周に沿うホルダ溝231が設けられているので、ホルダ溝231の両側に位置する第1面23Aと第2面23Bとの双方が離間し、熱的に絶縁される。そのため、ペルチェ素子22に接しない位置で高温になる放熱ヒートシンク21に固定される第2面23Bから第1面23Aが再加熱されるといった熱影響を抑えることができる。したがって、熱絶縁性能の高めることができ、効率よく熱源であるレーザダイオード11を冷却することができる。
【0037】
また、本実施形態では、ペルチェホルダ23において第1面23Aが第2面23Bより奥まった段差部23cが形成された凹部234を有するので、凹部234にペルチェ素子22を嵌め込んだ状態で第1面23Aに対してペルチェ素子22の前面22aを接した状態で取り付けることができる。すなわち、組立時には、凹部234に対してペルチェ素子22を位置決めすることができ、ペルチェ素子22をペルチェホルダ23に組み付ける作業の手間を低減できる。
【0038】
また、本実施形態のプロジェクタ1では、ホルダ溝231は、第1面23Aの外周部に設けられる。この場合、ペルチェ素子22の外周部を除く大部分がペルチェホルダ23の第1面23Aに接するため、ペルチェ素子22の温度をペルチェホルダ23を介してレーザダイオード11に確実に伝達できる。
【0039】
また、本実施形態のプロジェクタ1では、ホルダ溝231は、周方向全周に連続して設けられる。これにより、第1面23Aの全周にわたって第2面23Bに対して離間した状態となり、ペルチェホルダ23の後面23bにおいて第1面23Aと第2面23Bとが繋がる箇所が無くなり、双方の面23A、23Bでより確実に熱的に絶縁される。そのため、ペルチェ素子22に接しない位置で高温になる放熱ヒートシンク21に固定される第2面23Bから第1面23Aが再加熱されることを防止でき、熱絶縁性能の高めることができる。
【0040】
また、本実施形態のプロジェクタ1では、ペルチェホルダ23と放熱ヒートシンク21との間には、平面視してホルダ溝231の外側において樹脂製の位置決めプレート24が挟持されている。これにより、第2面23Bにおけるホルダ溝231より外側の位置で、ペルチェホルダ23と放熱ヒートシンク21とが固定部に、熱伝導性の低い樹脂製の位置決めプレート24が介在される。そのため、放熱ヒートシンク21の熱がペルチェホルダ23の第2面23Bに伝わり難くなり、第2面23Bからレーザダイオード11が再加熱されることをより抑制できる。
【0041】
また、本実施形態のプロジェクタ1では、位置決めプレート24は、放熱ヒートシンク21側に突出する第1ピン241と、ペルチェホルダ23側に突出する第2ピン242と、を備える。第1ピン241及び第2ピン242は、それぞれ放熱ヒートシンク21とペルチェホルダ23に設けられた嵌合穴211b、233に嵌合される。この場合、位置決めプレート24の取り付け部が第1ピン241及び第2ピン242のみとなり、位置決めプレート24と放熱ヒートシンク21、ペルチェホルダ23との接触面積が小さくなるので、放熱ヒートシンク21の熱がペルチェホルダ23の第2面23Bに伝わり難くなり、第2面23Bからレーザダイオード11が再加熱されることを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態のプロジェクタ1では、位置決めプレート24の表面は、多数の凹凸が形成される。これにより、位置決めプレート24の表面と放熱ヒートシンク21、ペルチェホルダ23との接触面積が小さくなるので、放熱ヒートシンク21の熱がペルチェホルダ23の第2面23Bに伝わり難くなり、第2面23Bからレーザダイオード11が再加熱されることをより抑制できる。
【0043】
また、本実施形態のプロジェクタ1では、レーザダイオード11を収容する光源ホルダ13が設けられる。光源ホルダ13の外周部は、ペルチェホルダ23のホルダ溝231の外側の位置に取り付けられる。すなわち、レーザダイオード11の熱で高温になる光源ホルダ13もペルチェホルダ23におけるホルダ溝231より外側の位置に固定される。そのため、光源ホルダ13からの熱が第1面23Aに伝わり難くなり、第2面23Bからレーザダイオード11が再加熱されることを抑制できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0045】
本実施形態においては、ペルチェホルダ23のホルダ溝231が第1面23Aの外周部であって、段差部23cの内側に形成されているが、この位置であることに限定されることはない。例えば、段差部23cの外側にホルダ溝231が設けられていてもよい。また、ホルダ溝231は、周方向全周に延在していることに限定されることはない。例えば、ペルチェホルダ23が放熱ヒートシンク21に取り付けられる部分の第2面23B(上記実施形態では、第1面23Aの上下の第2面23B)に隣接する位置のみにホルダ溝231が設けられる構成としてもよい。
【0046】
また、ペルチェホルダ23と放熱ヒートシンク21との間に挟持される樹脂製の位置決めプレート24を省略することも可能である。また、位置決めプレート24の第1ピン241、第2ピン242、表面の多数の凹凸等の構成も適宜変更可能であるとともに、省略してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 プロジェクタ(投写型表示装置)
3 光源装置
10 光源部
11 レーザダイオード
12 固定治具
13 光源ホルダ
20 放熱部
21 放熱ヒートシンク
211b 第1嵌合穴
22 ペルチェ素子
23 ペルチェホルダ
23a 前面
23b 後面
23c 段差部
23A 第1面
23B 第2面
231 ホルダ溝
232 ねじ孔
233 第2嵌合穴
234 凹部
24 位置決めプレート
241 第1ピン
242 第2ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9